以下、図面を参照しながら本発明の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1にかかる波長選択スイッチのレーザアレイ100を示す上面図である。レーザアレイ100は、電流制御型の波長可変レーザであるDBRレーザアレイであり、半導体基板110と、半導体基板110上に設けられたレーザ活性層111〜116と、半導体基板110上に設けられたレーザ制御層121〜126とを備える。レーザ活性層111とレーザ制御層121とは、半導体基板110上においてDBRレーザ101を形成する。レーザ活性層112〜116とレーザ制御層122〜126とについても、半導体基板110上においてそれぞれDBRレーザ102〜106を形成する。DBRレーザ101〜106は、それぞれ並列に配置されている。
また、レーザアレイ100は、レーザ活性層111〜116とそれぞれ接続された電極131〜136と、電極131〜136にそれぞれ接続された増幅器181〜186と、増幅器181〜186に接続されたDAコンバータ171〜176とを備える。また、レーザアレイ100は、レーザ制御層121〜126とそれぞれ接続された電極141〜146と、電極141〜146にそれぞれ接続された増幅器191〜196と、増幅器191〜196にそれぞれ接続されたDAコンバータ151〜156と、DAコンバータ171〜176及びDAコンバータ151〜156にそれぞれ接続された制御装置170とを備える。レーザ活性層111は、DAコンバータ171から増幅器181及び電極131を介して制御装置170からの信号が変換された電流が印加されレーザ光を発振する。また、レーザ活性層112〜116もそれぞれDAコンバータ172〜176から増幅器182〜186及び電極132〜136を介して制御装置170からの信号が変換された電流が印加されレーザ光を発振する。
レーザ制御層121は、DAコンバータ151から増幅器191及び電極141を介して、制御装置170からの信号が変換された電流が印加され、屈折率を変化させることにより出力光の波長が制御される。レーザ制御層122〜126も、それぞれDAコンバータ152〜156から増幅器192〜196及び電極142〜146を介して、制御装置170からの信号が変換された電流が印加され、屈折率を変化させることより出力光の波長が制御される。
また、レーザアレイ100は、各DBRレーザからの出力光を導波する導波路161〜166と、導波路161〜166を導波した出力光を合波する光結合器であるMMI(多モード干渉)カプラ167と、最終段で出力光の強度を調整するSOA(半導体増幅器)168と、SOA168からの出力光を導波して出力する導波路169と、SOA168に接続された電極137とを備える。各DBRレーザの発振光は、後段に配置された導波路161〜166を介してMMIカプラ167により1つに合波され、SOA168を経た後に、出力光として導波路169から出力される。SOA168は、電極137を介して、外部から電流が供給される。
次に、本実施例における波長選択スイッチのレーザアレイの発振光の波長制御の方法について説明する。波長選択スイッチのDBRレーザアレイにおいて波長を変更する場合、波長の範囲に応じて2種類の方法がある。第1の方法は、発振を行っている第1のDBRレーザの可変波長範囲内で波長を変化させる場合である。この場合は第1のDBRレーザ(発振中)の制御層に印加する電流のみを変化させる。この方法では制御層に印加する電流の変化量と正の相関を持つ周波数変動が観測される。従って制御電流変化量が大きい、すなわち波長を大きく変動させる場合には、波長を変更してから波長が安定するまでの時間が遅くなってしまうが、これについては発振を行うDBRレーザに隣接する第2のDBRレーザの制御層に電流を印加することにより熱補償を用いれば、波長ドリフトを低減でき、結果として波長を変更してから波長が安定するまでの時間を短くすることが出来る。
第2の方法は、比較的波長の変化量が大きい場合、即ち発振を行っている第1のDBRレーザの可変波長範囲を超えた波長変化をさせる場合であるが、このような場合には第1のDBRレーザから他の第3のDBRレーザに発振を切り替えることにより発振光の波長を変更する。第1のDBRレーザから第3のDBRレーザに発振を切り替える場合、DBRレーザの制御層に印加する電流だけでなく、活性層に印加する電流の変化も伴うため、第1の方法に比べて各DBRレーザの電流変化量が大きい、すなわち波長ドリフトも大きい。従って、結果として波長を変更してから波長が安定するまでの時間も大きくなってしまう。この場合、本実施例においては、DBRレーザアレイのすべてのDBRレーザの制御層に予め電流を印加して、DBRレーザにおいて発生する発熱量を波長変更前後において一定とすることにより、半導体基板における温度変化を抑制し、温度変化による屈折率変化を抑制する。
本実施例においては、波長選択スイッチのDBRレーザアレイにおいて波長を変更する際に、変更する波長の値が決定していない場合に、第1の方法による波長の変更を行う場合、及び第2の方法により波長の変更を行う場合の双方の場合における温度変化による屈折率変化に対応するために、DBRレーザアレイの熱補償を行い、波長ドリフトを低減し、波長が安定するまでの時間を短縮する。
具体的には、波長の変更による熱補償を行うために、発振を行う第1のDBRレーザ以外のDBRレーザの制御層すべてに予め電流を印加して、チップ内の熱分布を緩和する。
まず、波長選択スイッチのDBRレーザアレイにおいて第1の値の波長を出力するために、発振を行うDBRレーザである第1のDBRレーザの活性層及び制御層に所望の値の電流を印加する。次に、その後のDBRレーザアレイにおける波長変更において上記第1の方法により波長変更が行われる場合に対応するために、第1のDBRレーザに隣接する第2のDBRレーザの制御層に所望の電流を印加する。第2のDBRレーザの制御層に電流を印加することにより、第1のDBRレーザの可変波長範囲内で波長を変更する場合(上記第1の方法による波長変更)に、第1のDBRレーザの熱補償を行うことができるため、波長を変更してから波長が安定するまでの時間を短縮することができる。
さらに、第1のDBRレーザ及び第2のDBRレーザ以外のDBRレーザの制御層に印加する電流値も設定する。その後のDBRレーザアレイにおける波長変更において上記第2の方法により波長変更が行われる場合に対応するためである。ここで、第1及び第2のDBRレーザの以外のDBRレーザの制御層には、すべて同一の電流値を設定する。各レーザに同一の電流値を設定することにより、発振を行うレーザ付近のみに偏ってしまうチップ内の熱を広範囲に分布して波長の変更に対する熱補償を行うことができ、第1のDBRレーザ以外の他の任意のDBRレーザ(第3のDBRレーザとする)に発振を切り替えて波長を変更する場合(上記第2の方法による波長変更)にも、波長を変更してから波長が安定するまでの時間を短縮することが可能となる。なお、印加する電流値は、収束する周波数ずれが大きくならない程度の値にとどめておくのが良い。
次に、波長選択スイッチのDBRレーザアレイにおいて波長を変更して、第2の値の波長を出力するが、このとき、第1の方法により波長を変更する場合、発振を行っている第1のDBRレーザの制御層に印加する電流値を変更することにより、波長を変更する。また、このとき、第1のDBRレーザに隣接する第2のDBRレーザに印加する電流も変更して、波長変更前の第1のDBRレーザの制御層に印加する電流値と第2のDBRレーザの制御層に印加する電流値との合計が、波長変更後の第1のDBRレーザの制御層に印加する電流値と第2のDBRレーザの制御層に印加する電流値との合計と、同一になるようにする。第1のDBRレーザに隣接する第2のDBRレーザに電流を印加することにより、さらなる第1の方法による波長変更に対する熱補償を行うためである。なお、第1及び第2のDBRレーザ以外のDBRレーザの制御層に印加する電流値は、波長変更前と同一である。さらなる第2の方法による波長変更に対する熱補償を行うためである。
一方で、第2の方法により波長を変更する場合、第1のDBRレーザから第3のDBRレーザに切り替えて発振を行うために、第3のDBRレーザの活性層及び制御層に電流を印加する。また、熱補償を行うための第3のDBRレーザに隣接するDBRレーザ(第4のDBRレーザとする)の制御層にも電流を印加する。
ここで、切替先の第3のDBRレーザの活性層には第1のDBRレーザに印加した電流の値と同一の値の電流を印加する。また、第4のDBRレーザの制御層に印加する電流値は、発振を行う第3のDBRレーザの制御層の電流値に対して相補的な値に設定して、第3のDBRレーザを熱補償用に用いる。具体的には、第3のDBRレーザの制御層に印加する電流値と第4のDBRレーザの制御層に印加する電流値の合計が、チャネル1において第1のDBRレーザ制御層に印加した電流値と第2のDBRレーザの制御層に印加した電流値との合計値となるように設定する。さらなる第1の方法による波長変更に対する熱補償を行うためである。また、第3のDBRレーザおよび第4のDBRレーザ以外のDBRレーザの制御層にも電流を印加する。さらなる第2の方法による波長変更に対する熱補償を行うためである。印加する電流値は、チャネル1において第1のDBRレーザ及び第2のDBRレーザ以外のDBRレーザの制御層に印加した電流値と同一の電流値とする。
本実施形態においては、チャネル1とチャネル2では全ての活性層電流と制御電流の和が一定になるように設定する。これは、チャネル1とチャネル2の総電流の合計値が変わってしまうと、チップの温度が安定せず振動してしまうことにより、発振波長も安定しないためである。また、本実施形態においては印加電流を一定としているが、印加する電力一定としてもよい。
このようにDBRレーザの制御層に印加する電流値を設定することで、発振を行うレーザ付近のみに偏ってしまうチップ内の熱を広範囲に分布することができ、さらに任意のDBRレーザに切り替えたときにも、波長を変更してから波長が安定するまでの時間を短縮することが可能となる。
ここで、従来のレーザアレイの発振光の波長制御の例と、本実施例のレーザアレイの発振光の波長制御の例とを、比較して説明する。
1.従来のレーザアレイの発振光の波長制御の例
図2は、図1のレーザアレイ100における、レーザアレイの熱補償を行わない場合のレーザ活性層及びレーザ制御層の設定電流である。まず、DBRレーザ101のレーザ活性層111に70mAの電流を印加し、DBRレーザ101のレーザ制御層121に5mAの電流を印加する。このときのDBRレーザ101の発振周波数は190.1THz(チャネル1)であった。
次に、波長選択スイッチのDBRレーザアレイ100において波長の変更を行うが、上記第2の方法により波長を変更する。ここで選択されるDBRレーザはDBRレーザ103である。このとき、DBRレーザ103のレーザ活性層113に70mAの電流を印加し、DBRレーザ103のレーザ制御層123に10mAの電流を印加する。このときのDBRレーザ103の発振周波数は192.0THz(チャネル2)であった。
ここで、DBRレーザ101への電流印加とDBRレーザ103への電流印加とを1msごとに切替え、190.1Tzの発振周波数(チャネル1)と192.0THzの発振周波数(チャネル2)とを交互に得る。切替えたときから目標周波数の10GHz内に入った時間を切り替え時間と定義した場合、本制御方法では、切り替え時間は20μsであった。
2.実施例1のレーザアレイの発振光の波長制御の例
図3は、図1のレーザアレイ100における、本発明の実施例3にかかる方法により熱補償を行った場合のレーザ活性層及びレーザ制御層の設定電流である。
まず、DBRレーザ101のレーザ活性層111に70mAの電流を印加し、DBRレーザ101のレーザ制御層121に5mAの電流を印加する。この際各DBRレーザの熱補償を行うために、まずは隣接のDBRレーザ102のレーザ制御層122に対して35mAの電流を印加する。これは、その後のDBRレーザアレイにおける波長変更において上記第1の方法により波長変更が行われる場合の熱補償を行うために必要な電流である。このときのDBRレーザ101の発振周波数は190.1THz(チャネル1)であった。
更にDBRレーザ101および102以外のDBRレーザ103〜106のレーザ制御層123〜126に予め20mAの電流を印加する。その後のDBRレーザアレイにおける波長変更において上記第2の方法により波長変更が行われる場合に対応するためである。レーザ制御層123〜126に予め同一の電流値を設定することにより、発振を行うレーザ付近のみに偏ってしまうチップ内の熱を広範囲に分布してチップ内の熱分布を予め緩和しておくことができ、上記第2の方法による波長の変更に対する熱補償を行うことができる。
次に、波長選択スイッチのDBRレーザアレイ100において波長の変更を行うが、上記第2の方法により波長を変更する。ここで選択されるDBRレーザはDBRレーザ103である。まず、DBRレーザ103のレーザ活性層113に70mAの電流を印加し、DBRレーザ103のレーザ制御層123に10mAの電流を印加する。このときのDBRレーザ103の発振周波数は192.0THz(チャネル2)であった。また、更なるDBRレーザアレイにおける波長変更において上記第1の方法により波長変更が行われる場合に対応するためにDBRレーザ103の熱補償を行う。熱補償は、隣接するDBRレーザ102の制御層に対して30mAの電流を印加するが、この電流値は、発振を行うDBRレーザ103の制御層に印加する電流の設定値に対し、相補的な値に設定する必要がある。具体的には、DBRレーザ103の制御層123に印加する電流値とDBRレーザ102の制御層122に印加する電流値との合計値が、チャネル1においてDBRレーザ101の制御層121に印加した電流値とDBRレーザ102の制御層122に印加した電流値との合計値と同一になるように設定する。
次に、DBRレーザ103および102以外の各DBRレーザ101、104〜106のレーザ制御層121、124〜126に予め20mAの電流を印加する。さらなるDBRレーザアレイにおける波長変更において上記第2の方法により波長変更が行われる場合に対応するためである。
ここで、DBRレーザ101への電流印加とDBRレーザ103への電流印加とを1msごとに切替え、190.1Tzの発振周波数(チャネル1)と192.0THzの発振周波数(チャネル2)とを交互に得る。切替えたときから目標周波数の10GHz内に入った時間を切り替え時間と定義した場合、本制御方法では、切り替え時間は10μsであった。
従って本発明の制御方法を用いる事によって、著しい切り替え時間の短縮を図ることができた。なお、今回は6アレイの場合に関して記述したが、アレイ数が6以外の場合でも効果があるのは言うまでもない。
[実施例2]
図4は、本発明の実施例2にかかる波長選択スイッチのレーザアレイ400を示す上面図である。レーザアレイ400は、電流制御型の波長可変レーザであるTDA−DFBレーザアレイであり、半導体基板410と、半導体基板410上に設けられたレーザ活性層411a〜416a、411b〜416b、411c〜416cと、半導体基板410上に設けられたレーザ制御層421a〜426a、421b〜426b、421c〜426cとを備える。レーザ活性層411a〜411cとレーザ制御層421a〜421cとは、それぞれが基板上に設けられ、半導体基板410上において交互に配置されTDA−DFBレーザ401を形成する。レーザ活性層412a〜416a、412b〜416b、412c〜416cとレーザ制御層422a〜426a、422b〜426b、422c〜426cとについても、半導体基板410上において交互に配置されTDA−DFBレーザ402〜406を形成する。TDA−DFBレーザ401〜406は、それぞれ並列に配置されている。
また、レーザアレイ400は、レーザ活性層411a〜416a、411b〜416b、411c〜416cとそれぞれ接続された電極431〜436と、電極431〜436にそれぞれ接続された増幅器481〜486と、増幅器481〜486にそれぞれ接続されたDAコンバータ471〜476とを備える。また、レーザアレイ400は、レーザ制御層421a〜426a、421b〜426b、421c〜426cとそれぞれ接続された電極441〜446と、電極441〜446にそれぞれ接続された増幅器491〜496と、増幅器491〜496にそれぞれ接続されたDAコンバータ451〜456と、DAコンバータ471〜476及びDAコンバータ451〜456に接続された制御装置470とを備える。レーザ活性層411a〜411cはDAコンバータ471から増幅器481及び電極431を介して制御装置470からの信号が変換された電流が印加されレーザ光を発振する。レーザ活性層412a〜416cもそれぞれDAコンバータ472〜476から増幅器482〜486及び電極432〜436を介して制御装置470からの信号が変換された電流が印加されレーザ光を発振する。
レーザ制御層421a〜421cはDAコンバータ451から増幅器491及び電極441を介して、制御装置470からの信号が変換された電流が印加され、屈折率を変化させることにより出力光の波長が制御される。レーザ制御層422a〜426cもそれぞれDAコンバータ452〜456から増幅器492〜496及び電極442〜446を介して、制御装置470からの信号が変換された電流が印加され、屈折率を変化させることにより出力光の波長が制御される。
また、レーザアレイ400は、各TDA−DFBレーザからの出力光を導波する導波路461〜466と、導波路461〜466を導波した出力光を合波する光結合器であるMMI(多モード干渉)カプラ467と、最終段で出力光の強度を調整するSOA(半導体増幅器)468と、SOA468からの出力光を導波して出力する導波路469と、SOA468に接続された電極437とを備える。各TDA−DFBレーザの発振光は、後段に配置された導波路461〜466を介してMMIカプラ467により1つに合波され、SOA468を経た後に、出力光として導波路469から出力される。SOA468は、電極437を介して、外部から電流が供給される。
次に、本実施例における波長選択スイッチのレーザアレイの発振光の波長制御の方法について説明する。波長選択スイッチのTDA−DFBレーザアレイにおいて波長を変更する場合、波長の範囲に応じて2種類の方法がある。第1の方法は、発振を行っている第1のTDA−DFBレーザの可変波長範囲内で波長を変化させる場合である。この場合は第1のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流のみを変化させる。この方法では制御層に印加する電流の変化量と正の相関を持つ周波数変動が観測される。従って制御電流変化量が大きい、すなわち波長を大きく変動させる場合には、波長を変更してから波長が安定するまでの時間が遅くなってしまうが、これについては発振を行う第1のTDA−DFBレーザに隣接する第2のTDA−DFBレーザの制御層に電流を印加することにより熱補償を用いれば、波長ドリフトを低減でき、結果として波長を変更してから波長が安定するまでの時間を短くすることが出来る。
第2の方法は、比較的波長の変化量が大きい場合、即ち発振を行っている第1のTDA−DFBレーザの可変波長範囲を超えた波長変化をさせる場合であるが、このような場合には第1のTDA−DFBレーザから他の第3のTDA−DFBレーザに発振を切り替えることにより発振光の波長を切り替える。第1のTDA−DFBレーザから第3のTDA−DFBレーザに発振を切り替える場合、TDA−DFBレーザの制御層に印加する電流だけでなく、活性層に印加する電流の変化も伴うため、第1の方法に比べて各TDA−DFBレーザの電流変化量が大きい、すなわち波長ドリフトも大きい。従って、結果として波長を変更してから波長が安定するまでの時間も大きくなってしまう。この場合、本実施例においては、TDA−DFBレーザアレイのすべてのTDA−DFBレーザの制御層に予め電流を印加して、TDA−DFBレーザにおいて発生する発熱量を波長変更前後において一定とすることにより、半導体基板における温度変化を抑制し、温度変化による屈折率変化を抑制する。
本実施例においては、波長選択スイッチのTDA−DFBレーザアレイにおいて波長を変更する際に、変更する波長の値が決定していない場合に、第1の方法による波長の変更を行う場合、及び第2の方法により波長の変更を行う場合の双方の場合における温度変化による屈折率変化に対応するために、TDA−DFBレーザアレイの熱補償を行い、波長ドリフトを低減し、波長が安定するまでの時間を短縮する。
具体的には、波長の変更による熱補償を行うために、発振を行う第1のTDA−DFBレーザ以外のTDA−DFBレーザの制御層すべてに予め電流を印加して、チップ内の熱分布を緩和する。
まず、波長選択スイッチのTDA−DFBレーザアレイにおいて第1の値の波長を出力するために、発振を行うTDA−DFBレーザである第1のTDA−DFBレーザの活性層及び制御層に所望の値の電流を印加する。次に、その後のTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第1の方法により波長変更が行われる場合に対応するために、第1のTDA−DFBレーザに隣接する第2のTDA−DFBレーザの制御層に所望の電流を印加する。第2のTDA−DFBレーザの制御層に電流を印加することにより、第1のTDA−DFBレーザの可変波長範囲内で波長を変更する場合(上記第1の方法による波長変更)に、第1のTDA−DFBレーザの熱補償を行うことができるため、波長を変更してから波長が安定するまでの時間を短縮することができる。
さらに、第1のTDA−DFBレーザ及び第2のTDA−DFBレーザ以外のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値も設定する。その後のTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第2の方法により波長変更が行われる場合に対応するためである。ここで、第1及び第2のTDA−DFBレーザ以外のTDA−DFBレーザの制御層には、すべて同一の電流値を設定する。各レーザに同一の電流値を設定することにより、発振を行うレーザ付近のみに偏ってしまうチップ内の熱を広範囲に分布して波長の変更に対する熱補償を行うことができ、第1のTDA−DFBレーザ以外の他の任意のTDA−DFBレーザ(第3のTDA−DFBレーザとする)に発振を切り替えて波長を変更する場合(上記第2の方法による波長変更)にも、波長を変更してから波長が安定するまでの時間を短縮することが可能となる。なお、印加する電流値は、収束する周波数ずれが大きくならない程度の値にとどめておくのが良い。
次に、波長選択スイッチのTDA−DFBレーザアレイにおいて波長を変更して、第2の値の波長を出力するが、このとき、第1の方法により波長を変更する場合、発振を行っている第1のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値を変更することにより、波長を変更する。また、このとき、第1のTDA−DFBレーザに隣接する第2のTDA−DFBレーザに印加する電流も変更して、波長変更前の第1のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値と第2のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値との合計が、波長変更後の第1のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値と第2のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値との合計と、同一になるようにする。第1のTDA−DFBレーザに隣接する第2のTDA−DFBレーザに電流を印加することにより、さらなる第1の方法による波長変更に対する熱補償を行うためである。なお、第1及び第2のTDA−DFBレーザ以外のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値は、波長変更前と同一である。さらなる第2の方法による波長変更に対する熱補償を行うためである。
一方で、第2の方法により波長を変更する場合、第1のTDA−DFBレーザから第3のTDA−DFBレーザに切り替えて発振を行うために、第3のTDA−DFBレーザの活性層及び制御層に電流を印加する。また、熱補償を行うための第3のTDA−DFBレーザに隣接するTDA−DFBレーザ(第4のTDA−DFBレーザとする)の制御層にも電流を印加する。
ここで、切替先の第3のTDA−DFBレーザの活性層には第1のTDA−DFBレーザに印加した電流の値と同一の値の電流を印加する。また、第4のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値は、発振を行う第3のTDA−DFBレーザの制御層の電流値に対して相補的な値に設定して、第3のTDA−DFBレーザを熱補償用に用いる。具体的には、第3のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値と第4のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値の合計が、チャネル1において第1のTDA−DFBレーザ制御層に印加した電流値と第2のTDA−DFBレーザの制御層に印加した電流値との合計値となるように設定する。さらなる第1の方法による波長変更に対する熱補償を行うためである。また、第3のTDA−DFBレーザおよび第4のTDA−DFBレーザ以外のTDA−DFBレーザの制御層にも電流を印加する。さらなる第2の方法による波長変更に対する熱補償を行うためである。印加する電流値は、チャネル1において第1のTDA−DFBレーザ及び第2のTDA−DFBレーザ以外のTDA−DFBレーザの制御層に印加した電流値と同一の電流値とする。
本実施形態においては、チャネル1とチャネル2では全ての活性層電流と制御電流の和が一定になるように設定する。これは、チャネル1とチャネル2の総電流の合計値が変わってしまうと、チップの温度が安定せず振動してしまうことにより、発振波長も安定しないためである。また、本実施形態においては印加電流を一定としているが、印加する電力一定としてもよい。
このようにTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値を設定することで、発振を行うレーザ付近のみに偏ってしまうチップ内の熱を広範囲に分布することができ、さらに任意のTDA−DFBレーザにチャネルを切り替えたときにも、波長を変更してから波長が安定するまでの時間を短縮することが可能となる。
ここで、従来のレーザアレイの発振光の波長制御の例と、本実施例のレーザアレイの発振光の波長制御の例とを、比較して説明する。
1.従来のレーザアレイの発振光の波長制御の例
図5は、図4のレーザアレイ400における、熱補償を行わない場合のレーザ活性層及びレーザ制御層の設定電流である。まず、TDA−DFBレーザ403のレーザ活性層413に80mAの電流を印加し、TDA−DFBレーザ403のレーザ制御層423に10mAの電流を印加する。このときのTDA−DFBレーザ403の発振周波数は192.0THz(チャネル1)であった。
次に、波長選択スイッチのTDA−DFBレーザアレイ400において波長の変更を行うが、上記第2の方法により波長を変更する。ここで選択されるTDA−DFBレーザはTDA−DFBレーザ405である。このとき、TDA−DFBレーザ405のレーザ活性層415に80mAの電流を印加し、TDA−DFBレーザ405のレーザ制御層425に15mAの電流を印加する。このときのTDA−DFBレーザ405の発振周波数は193.3THz(チャネル2)であった。
ここで、TDA−DFBレーザ403への電流印加とTDA−DFBレーザ405への電流印加とを1msごとに切替え、192.0Tzの発振周波数(チャネル1)と193.3THzの発振周波数(チャネル2)とを交互に得る。切替えたときから目標周波数の10GHz内に入った時間を切り替え時間と定義した場合、本制御方法では、切り替え時間は50μsであった。
2.実施例2のレーザアレイの発振光の波長制御の例
図6は、図4のレーザアレイ400における、本発明の実施例2にかかる方法により熱補償を行った場合のレーザ活性層及びレーザ制御層の設定電流である。
まず、TDA−DFBレーザ403のレーザ活性層413に80mAの電流を印加し、TDA−DFBレーザ403のレーザ制御層423に10mAの電流を印加する。この際各TDA−DFBレーザの熱補償を行うために、まずは隣接のTDA−DFBレーザ404のレーザ制御層424に対して35mAの電流を印加する。これは、その後のTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第1の方法により波長変更が行われる場合の熱補償を行うために必要な電流である。このときのTDA−DFBレーザ404の発振周波数は192.0THz(チャネル1)であった。
更にTDA−DFBレーザ403および404以外のTDA−DFBレーザ401〜402、405〜406のレーザ制御層421〜422、425〜426に予め10mAの電流を印加する。その後のTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第2の方法により波長変更が行われる場合に対応するためである。レーザ制御層421〜422、425〜426に予め同一の電流値を設定することにより、発振を行うレーザ付近のみに偏ってしまうチップ内の熱を広範囲に分布してチップ内の熱分布を予め緩和しておくことができ、上記第2の方法による波長の変更に対する熱補償を行うことができる。
次に、波長選択スイッチのTDA−DFBレーザアレイ400において波長の変更を行うが、上記第2の方法により波長を変更する。ここで選択されるTDA−DFBレーザはTDA−DFBレーザ405である。まず、TDA−DFBレーザ405のレーザ活性層415に80mAの電流を印加し、TDA−DFBレーザ405のレーザ制御層425に15mAの電流を印加する。このときのTDA−DFBレーザ405の発振周波数は193.3THz(チャネル2)であった。また、更なるTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第1の方法により波長変更が行われる場合に対応するためにTDA−DFBレーザ405の熱補償を行う。熱補償は、隣接するTDA−DFBレーザ404の制御層424に対して30mAの電流を印加するが、この電流値は、発振を行うTDA−DFBレーザ405の制御層に印加する電流の設定値に対し、相補的な値に設定する必要がある。具体的には、TDA−DFBレーザ405の制御層425に印加する電流値とTDA−DFBレーザ404の制御層424に印加する電流値との合計値が、チャネル1においてTDA−DFBレーザ403の制御層423に印加した電流値とTDA−DFBレーザ404の制御層424に印加した電流値との合計値と同一になるように設定する。
次に、TDA−DFBレーザ405および404以外の各TDA−DFBレーザ401〜403、406のレーザ制御層421〜423、426に予め10mAの電流を印加する。さらなるTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第2の方法により波長変更が行われる場合に対応するためである。
ここで、TDA−DFBレーザ403への電流印加とTDA−DFBレーザ405への電流印加とを1msごとに切替え、192.0THzの発振周波数(チャネル1)と193.3THzの発振周波数(チャネル2)とを交互に得る。切替えたときから目標周波数の10GHz内に入った時間を切り替え時間と定義した場合、本制御方法では、切り替え時間は40μsであった。
従って本発明の制御方法を用いる事によって、著しい切り替え時間の短縮を図ることができた。なお、今回は6アレイの場合に関して記述したが、アレイ数が6以外の場合でも効果があるのは言うまでもない。
[実施例3]
本実施例においても、波長選択スイッチのTDA−DFBレーザアレイにおいて波長を変更する際に、変更する波長の値が決定していない場合に、第1の方法による波長の変更を行う場合、及び第2の方法により波長の変更を行う場合の双方の場合における温度変化による屈折率変化に対応するために、TDA−DFBレーザアレイの熱補償を行い、波長ドリフトを低減し、波長が安定するまでの時間を短縮する。
具体的には、波長の変更による熱補償を行うために、発振を行う第1のTDA−DFBレーザ以外のTDA−DFBレーザの制御層すべてに予め電流を印加して、チップ内の熱分布を緩和する。
まず、波長選択スイッチのTDA−DFBレーザアレイにおいて第1の値の波長を出力するために、発振を行うTDA−DFBレーザである第1のTDA−DFBレーザの活性層及び制御層に所望の値の電流を印加する。次に、その後のTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第1の方法により波長変更が行われる場合に対応するために、第1のTDA−DFBレーザに隣接する第2のTDA−DFBレーザの制御層に所望の電流を印加する。第2のTDA−DFBレーザの制御層に電流を印加することにより、第1のTDA−DFBレーザの可変波長範囲内で波長を変更する場合(上記第1の方法による波長変更)に、第1のTDA−DFBレーザの熱補償を行うことができるため、波長を変更してから波長が安定するまでの時間を短縮することができる。
さらに、第1のTDA−DFBレーザ及び第2のTDA−DFBレーザ以外のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値も設定する。その後のTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第2の方法により波長変更が行われる場合に対応するためである。本実施形態の場合、第1及び第2のTDA−DFBレーザ以外のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値は、発振を行っている第1のTDA−DFBレーザ及び隣接する第2のTDA−DFBレーザとの組からの熱勾配を相殺するように、第1のTDA−DFBレーザ及び第2のTDA−DFBレーザからの距離が離れるに従って、TDA−DFBレーザアレイの制御層に印加する電流値を離れる距離に比例して大きくしていく。
チップ内において、発振を行うTDA−DFBレーザに近い位置ほど、チップの温度が高くなっているため、発振を行うTDA−DFBレーザからの距離が遠くなるにしたがって、レーザの制御層に印加する電流値を高くして、チップ内の温度を均等化する。本実施例のように各TDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値を設定することにより、発振を行うレーザ付近のみに偏ってしまうチップ内の熱を広範囲に分布して波長の変更に対する熱補償を行うことができ、第1のTDA−DFBレーザ以外の他の任意のTDA−DFBレーザ(第3のTDA−DFBレーザとする)に発振を切り替えて波長を変更する場合(上記第2の方法による波長変更)にも、波長を変更してから波長が安定するまでの時間を短縮することが可能となる。
次に、波長選択スイッチのTDA−DFBレーザアレイにおいて波長を変更して、第2の値の波長を出力するが、このとき、第1の方法により波長を変更する場合、発振を行っている第1のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値を変更することにより、波長を変更する。また、このとき、第1のTDA−DFBレーザに隣接する第2のTDA−DFBレーザに印加する電流も変更して、波長変更前の第1のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値と第2のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値との合計が、波長変更後の第1のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値と第2のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値との合計と、同一になるようにする。第1のTDA−DFBレーザに隣接する第2のTDA−DFBレーザに電流を印加することにより、さらなる第1の方法による波長変更に対する熱補償を行うためである。なお、第1及び第2のTDA−DFBレーザ以外のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値は、波長変更前と同一である。さらなる第2の方法による波長変更に対する熱補償を行うためである。
一方で、第2の方法により波長を変更する場合、第1のTDA−DFBレーザ以外のTDA−DFBレーザ(第3のTDA−DFBレーザ)において発振を行うために、第3のTDA−DFBレーザの活性層及び制御層に電流を印加する。また、熱補償を行うための第3のTDA−DFBレーザに隣接するTDA−DFBレーザ(第4のTDA−DFBレーザとする)の制御層にも電流を印加する。
ここで、切替先の第3のTDA−DFBレーザの活性層には第1のTDA−DFBレーザに印加した電流の値と同一の値の電流を印加する。また、第4のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値は、発振を行う第3のTDA−DFBレーザの制御層の電流値に対して相補的な値に設定して、第3のTDA−DFBレーザを熱補償用に用いる。具体的には、第3のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値と第4のTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値の合計が、チャネル1において第1のTDA−DFBレーザ制御層に印加した電流値と第2のTDA−DFBレーザの制御層に印加した電流値との合計値となるように設定する。さらなる第1の方法による波長変更に対する熱補償を行うためである。また、第3のTDA−DFBレーザおよび第4のTDA−DFBレーザ以外のTDA−DFBレーザの制御層にも電流を印加する。さらなる第2の方法による波長変更に対する熱補償を行うためである。印加する電流値は、発振を行う第3のTDA−DFBレーザ及び隣接する第4のTDA−DFBレーザとの組からの距離が離れるに従って、TDA−DFBレーザアレイの制御層に印加する電流値を離れる距離に比例して大きくしていく。
本実施形態においては、チャネル1とチャネル2では全ての活性層電流と制御電流の和が一定になるように設定する。これは、チャネル1とチャネル2の総電流の合計値が変わってしまうと、チップの温度が安定せず振動してしまうことにより、発振波長も安定しないためである。また、本実施形態においては印加電流を一定としているが、印加する電力一定としてもよい。
このようにTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値を設定することで、発振を行うレーザ付近のみに偏ってしまうチップ内の熱を広範囲に分布することができ、さらに任意のTDA−DFBレーザに発振を切り替えたときにも、波長を変更してから波長が安定するまでの時間を短縮することが可能となる。
図7は、図4のレーザアレイ400における、本発明の実施例3にかかる方法により熱補償を行った場合のレーザ活性層及びレーザ制御層の設定電流である。
まず、TDA−DFBレーザ403のレーザ活性層413に80mAの電流を印加し、TDA−DFBレーザ403のレーザ制御層423に10mAの電流を印加する。この際各TDA−DFBレーザの熱補償を行うために、まずは隣接のTDA−DFBレーザ404のレーザ制御層424に対して35mAの電流を印加する。これは、その後のTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第1の方法により波長変更が行われる場合の熱補償を行うために必要な電流である。このときのTDA−DFBレーザ404の発振周波数は192.0THz(チャネル1)であった。
更にTDA−DFBレーザ403および404以外のTDA−DFBレーザ401〜402、405〜406のレーザ制御層421〜422、425〜426に電流を印加する。その後のTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第2の方法により波長変更が行われる場合に対応するためである。ここで、印加する電流値は、発振を行うTDA−DFBレーザ403及び熱補償を行うTDA−DFBレーザ404からの距離が遠くなるに従って、TDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値を大きくしていく。具体的には発振を行うTDA−DFBレーザ403(のTDA−DFBレーザ404の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ402の制御層422、及び熱補償を行うTDA−DFBレーザ404(のTDA−DFBレーザ403の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ405の制御層425には、10mAの電流を印加する。また、TDA−DFBレーザ402(のTDA−DFBレーザ403の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ401の制御層421、及びTDA−DFBレーザ405(のTDA−DFBレーザ404の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ426の制御層406には、20mAの電流を印加する。つまり発振を行うTDA−DFBレーザ403及び熱補償を行うTDA−DFBレーザ404からの距離が遠くなるに従って、10mA、20mAと、TDA−DFBレーザの制御層に印加する電流が高くなるように設定する。レーザ制御層421〜422、425〜426に本実施形態のような電流値を設定することにより、発振を行うレーザ付近のみに偏ってしまうチップ内の熱を広範囲に分布してチップ内の熱分布を予め緩和しておくことができ、上記第2の方法による波長の変更に対する熱補償を行うことができる。
次に、波長選択スイッチのTDA−DFBレーザアレイ400において波長の変更を行うが、上記第2の方法により波長を変更する。ここで選択されるTDA−DFBレーザはTDA−DFBレーザ405である。まず、TDA−DFBレーザ405のレーザ活性層415に80mAの電流を印加し、TDA−DFBレーザ405のレーザ制御層425に15mAの電流を印加する。このときのTDA−DFBレーザ405の発振周波数は193.3THz(チャネル2)であった。また、更なるTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第1の方法により波長変更が行われる場合に対応するためにTDA−DFBレーザ403の熱補償を行う。熱補償は、隣接するTDA−DFBレーザ404の制御層424に対して30mAの電流を印加するが、この電流値は、発振を行うTDA−DFBレーザ405の制御層に印加する電流の設定値に対し、相補的な値に設定する必要がある。具体的には、TDA−DFBレーザ405の制御層425に印加する電流値とTDA−DFBレーザ404の制御層424に印加する電流値との合計値が、チャネル1においてTDA−DFBレーザ403の制御層423に印加した電流値とTDA−DFBレーザ404の制御層424に印加した電流値との合計値と同一になるように設定する。
次に、TDA−DFBレーザ404および405以外の各TDA−DFBレーザ401〜403、406のレーザ制御層421〜423、426に予め電流を印加するが、発振を行うTDA−DFBレーザ405及び熱補償を行うTDA−DFBレーザ404からの距離が遠くなるに従って、TDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値を大きくしていく。具体的には発振を行うTDA−DFBレーザ405(のTDA−DFBレーザ404の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ406の制御層426、及び熱補償を行うTDA−DFBレーザ404(のTDA−DFBレーザ405の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ403の制御層423には、10mAの電流を印加する。また、TDA−DFBレーザ403(のTDA−DFBレーザ404の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ402の制御層422には、20mAの電流を印加する。さらに、TDA−DFBレーザ402(のTDA−DFBレーザ403の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ401の制御層421には、30mAの電流を印加する。つまり発振を行うTDA−DFBレーザ405及び熱補償を行うTDA−DFBレーザ404の組からの距離が遠くなるに従って、10mA、20mA、30mAと、TDA−DFBレーザの制御層に印加する電流が高くなるように設定する。レーザ制御層421〜423、426に、予めこのような設定値の電流を印加することにより、さらなるTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第2の方法により波長変更が行われる場合に対応するためである。
ここで、TDA−DFBレーザ403への電流印加とTDA−DFBレーザ405への電流印加とを1msごとに切替え、192.0THzの発振周波数(チャネル1)と193.3THzの発振周波数(チャネル2)とを交互に得る。切替えたときから目標周波数の10GHz内に入った時間を切り替え時間と定義した場合、本制御方法では、切り替え時間は28μsであった。
従って本発明の制御方法を用いる事によって、著しい切り替え時間の短縮を図ることができた。なお、今回は6アレイの場合に関して記述したが、アレイ数が6以外の場合でも効果があるのは言うまでもない。
[実施例4]
図8は、図4のレーザアレイ400における、本発明の実施例4にかかる方法により熱補償を行った場合のレーザ活性層及びレーザ制御層の設定電流である。
まず、TDA−DFBレーザ403のレーザ活性層413に80mAの電流を印加し、TDA−DFBレーザ403のレーザ制御層423に10mAの電流を印加する。この際各TDA−DFBレーザの熱補償を行うために、まずは隣接のTDA−DFBレーザ404のレーザ制御層424に対して35mAの電流を印加する。これは、その後のTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第1の方法により波長変更が行われる場合の熱補償を行うために必要な電流である。このときのTDA−DFBレーザ404の発振周波数は192.0THz(チャネル1)であった。
更にTDA−DFBレーザ403および404以外のTDA−DFBレーザ401〜402、405〜406のレーザ制御層421〜422、425〜426に電流を印加する。その後のTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第2の方法により波長変更が行われる場合に対応するためである。ここで、印加する電流値は、発振を行うTDA−DFBレーザ403及び熱補償を行うTDA−DFBレーザ404からの距離が遠くなるに従って、TDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値を大きくしていく。具体的には発振を行うTDA−DFBレーザ403(のTDA−DFBレーザ404の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ402の制御層422、及び熱補償を行うTDA−DFBレーザ404(のTDA−DFBレーザ403の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ405の制御層425には、10mAの電流を印加する。また、TDA−DFBレーザ402(のTDA−DFBレーザ403の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ401の制御層421、及びTDA−DFBレーザ405(のTDA−DFBレーザ404の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ406の制御層426には、20mAの電流を印加する。つまり発振を行うTDA−DFBレーザ403及び熱補償を行うTDA−DFBレーザ404からの距離が遠くなるに従って、10mA、40mAと、TDA−DFBレーザの制御層に印加する電流が高くなるように設定する。レーザ制御層421〜422、425〜426に本実施形態のような電流値を設定することにより、発振を行うレーザ付近のみに偏ってしまうチップ内の熱を広範囲に分布してチップ内の熱分布を予め緩和しておくことができ、上記第2の方法による波長の変更に対する熱補償を行うことができる。
次に、波長選択スイッチのTDA−DFBレーザアレイ400において波長の変更を行うが、上記第2の方法により波長を変更する。ここで選択されるTDA−DFBレーザはTDA−DFBレーザ405である。まず、TDA−DFBレーザ405のレーザ活性層415に80mAの電流を印加し、TDA−DFBレーザ405のレーザ制御層425に15mAの電流を印加する。このときのTDA−DFBレーザ405の発振周波数は193.3THz(チャネル2)であった。また、更なるTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第1の方法により波長変更が行われる場合に対応するためにTDA−DFBレーザ405の熱補償を行う。熱補償は、隣接するTDA−DFBレーザ404の制御層424に対して30mAの電流を印加するが、この電流値は、発振を行うTDA−DFBレーザ405の制御層に印加する電流の設定値に対し、相補的な値に設定する必要がある。具体的には、TDA−DFBレーザ405の制御層425に印加する電流値とTDA−DFBレーザ404の制御層424に印加する電流値との合計値が、チャネル1においてTDA−DFBレーザ403の制御層423に印加した電流値とTDA−DFBレーザ404の制御層424に印加した電流値との合計値と同一になるように設定する。
次に、TDA−DFBレーザ404および405以外の各TDA−DFBレーザ401〜403、406のレーザ制御層421〜423、426に予め電流を印加するが、発振を行うTDA−DFBレーザ405及び熱補償を行うTDA−DFBレーザ404からの距離が遠くなるに従って、TDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値を大きくしていく。具体的には発振を行うTDA−DFBレーザ405(のTDA−DFBレーザ404の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ406の制御層426、及び熱補償を行うTDA−DFBレーザ404(のTDA−DFBレーザ405の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ403の制御層423には、10mAの電流を印加する。また、TDA−DFBレーザ403(のTDA−DFBレーザ404の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ402の制御層422には、25mAの電流を印加する。さらに、TDA−DFBレーザ402(のTDA−DFBレーザ403の反対側)に隣接するTDA−DFBレーザ401の制御層401には、55mAの電流を印加する。つまり発振を行うTDA−DFBレーザ405及び熱補償を行うTDA−DFBレーザ404からの距離が遠くなるに従って、10mA、25mA、55mAと、TDA−DFBレーザの制御層に印加する電流が高くなるように設定する。レーザ制御層421〜423、426に、予めこのような設定値の電流を印加することにより、さらなるTDA−DFBレーザアレイにおける波長変更において上記第2の方法により波長変更が行われる場合に対応するためである。
ここで、TDA−DFBレーザ403への電流印加とTDA−DFBレーザ405への電流印加とを1msごとに切替え、192.0THzの発振周波数(チャネル1)と193.3THzの発振周波数(チャネル2)とを交互に得る。切替えたときから目標周波数の10GHz内に入った時間を切り替え時間と定義した場合、本制御方法では、切り替え時間は12μsであった。
従って本発明の制御方法を用いる事によって、著しい切り替え時間の短縮を図ることができた。なお、今回は6アレイの場合に関して記述したが、アレイ数が6以外の場合でも効果があるのは言うまでもない。
[実施例5]
上記実施例1乃至4において、各TDA−DFBレーザの制御層に印加する電流値を設定することで、発振を行うレーザ付近だけでなく、チップ(半導体基板)全体に熱を加えることができ、さらに任意のTDA−DFBレーザに発振を切り替えて波長を変更したときにも、波長を変更してから波長が安定するまでの時間を短縮することが可能となる。
しかし、波長を変更してから波長が安定するまでの時間を短縮するためにレーザアレイ400の全体のチップ温度を上昇させて熱補償を行った場合の発振波長は、熱補償を行わない場合の発振波長と異なることがある。熱補償を行わずにTDA−DFBレーザの制御層に電流を印加した場合の発振波長を目標の発振波長と考えた場合、熱補償を行った場合の実際の発振波長と、目標の発振波長との間で、ずれが生じてしまう。この発振波長(発振周波数)のずれについて説明する。
まず、電流注入による波長(周波数)の変更を行った場合の任意のTDA−DFBレーザの実際の周波数の変動について説明する。図9は、上記第1の方法又は第2の方法により波長を変更するために、制御層に印加する電流の値を変化させたときの、発振周波数の時間的変化を示す図である。図9において、発振周波数の時間的変化は実線901により表され、制御電流の時間的変化は一点鎖線902により表されている。切替前の制御電流値をA1、切替後の制御電流値をA2で示している。一方、切替前の発振周波数H1は制御電流がA1からA2切り替わることにより(切替911)、図9に示すような変動を経る。この時、まずキャリア効果によって一度高周波側に大きく変動し、目標の発振周波数(熱補償を行わない場合の発振周波数)H2を上回り、H3になる。このとき、最大周波数値と目標周波数値との差(H3−H2)に相当する値ΔHmaxを最大周波数ずれと呼ぶ。その後、熱の発生に伴い徐々に低周波数側に周波数変動が起こり、一定の発振周波数の値H4に安定する。ここで、最終的にH4は切替後の目標の発振周波数値H2を下回る場合があり、切り替え後の目標周波数と収束周波数値との差(H2−H4)に相当する値ΔHconを、収束周波数ずれと呼んでいる。
本発明においては、この収束周波数ずれを低減するために、レーザアレイ400のTDA−DFBレーザに印加する制御電流を所望の値だけ下げて、収束周波数ずれの校正を行ない、目標の発振周波数(波長)を得る。図10は、レーザアレイ400のチップ温度と発振波長との関係を示す図である。レーザアレイ400の発振波長はチップ温度が上昇するのに伴って長波長側に変化する。すべてのTDA−DFBレーザに制御電流を印加することによって、図10において、チップ温度はB1となる。このとき、レーザアレイ400の発振波長の値はI1である。ここで、レーザアレイ400の発振波長の値を、目標の発振波長I2に戻さなければならない。したがって、レーザアレイ400のTDA−DFBレーザに印加する制御電流を所望の値だけ下げることにより、目標の発振波長I2を発振するように制御する。
レーザアレイ400のTDA−DFBレーザに印加する制御電流を調整した上で上述の通り第1の方法及び第2の方法で波長の変更を行うことにより、レーザアレイ400の収束周波数ずれを低減することができる。
なお、レーザアレイ400から出力される発振波長の収束値が、目標の発振波長に満たない場合(発振周波数が、目標の周波数よりも大きい場合)は、レーザアレイ400のTDA−DFBレーザに印加する制御電流を所望の値だけ上げて、目標の発振波長を得ることができる。
ここで、本発明のレーザアレイの発振光の収束周波数ずれの校正の具体的な例を説明する。図11は、レーザアレイ400中の任意の1のTDA−DFBレーザにおける、波長制御を行う際の制御電流と安定後の発振波長との関係を示す図である。ここで、実線1101は熱補償を行うために各TDA−DFBレーザの制御層に追加的に電流を印加した場合(実施例4)を示し、破線1102は熱補償を行わない場合を示している。
本実施形態において、熱補償を行わずに、ある電流値C1を、任意のDFBレーザの制御層に印加すると、一定時間経過後、発振周波数はJ2に安定した。一方、実施例4の方法により熱補償を行って、ある電流値C1を、任意のDFBレーザの制御層に印加すると、一定時間経過後、発振周波数はJ1に安定した。実施例4の方法により熱補償を行って、制御電流値C1を印加した場合、チップ温度上昇により、実際の発信周波数は、J1で示した長波長化した波長になってしまう(収束周波数ずれはJ2−J2=ΔJ)。ここで、実施例4の方法(実線1101)により発振周波数J2を得るためには、制御電流値をC2としなければならない。従って、電流校正値をC1−C2=ΔCとして、発振を行っているTDA−DFBレーザの制御層に印加する電流を、ΔCだけ下げる。そうすると、一定時間経過後、発振周波数はJ2に安定することになる。なお、発信を行っているTDA−DFBレーザの制御層への印加電圧の減少分は、隣接するTDA−DFBレーザの制御層の制御層へ印加する電圧の増加分とする。
図12は、図4のレーザアレイ400における、本実施例の波長校正を行った場合のレーザ活性層及びレーザ制御層の設定電流である。
まず、TDA−DFBレーザ403のレーザ活性層413及びレーザ制御層423に電流を印加するが、レーザ活性層413に印加する電流は80mAのまま変更せず、レーザ制御層423へ印加する電流を2mAだけ下げて8mAに変更する。また、この際各TDA−DFBレーザの熱補償を行うために隣接するレーザ制御層424に印加する電流は、2mAだけ上げて37mAに変更する。なお、他のレーザ制御層421、422、425及び426に印加する電流値は実施例4と同じである。このときのTDA−DFBレーザ404の発振周波数は192.0THz(チャネル1)であった。
次に、波長選択スイッチのTDA−DFBレーザアレイ400において波長の変更を行うが、上記第2の方法により波長を変更する。ここで選択されるTDA−DFBレーザは、実施例4と同様にTDA−DFBレーザ405である。まず、TDA−DFBレーザ405のレーザ活性層415及びレーザ制御層425に電流を印加するが、レーザ活性層415に印加する電流は80mAのまま変更せず、レーザ制御層425へ印加する電流を4mAだけ下げて11mAに変更する。また、この際各TDA−DFBレーザの熱補償を行うために隣接するレーザ制御層424に印加する電流は、4mAだけ上げて34mAに変更する。なお、他のレーザ制御層421、422、423及び426に印加する電流値は実施例4と同じである。このときのTDA−DFBレーザ405の発振周波数は193.3THz(チャネル2)であった。
実施例4の波長制御方法を用い、TDA−DFBレーザ403への電流印加とDFBレーザ405への電流印加とを1msごとに切替えて、192.0THzの発振周波数(チャネル1)と193.3THzの発振周波数とを交互に得る。ここで、切替えたときから目標周波数の10GHz内に入った時間を切り替え時間と定義した場合、切替後1msにおける目標周波数に対する収束周波数ずれは3GHzであった。これに対して、本実施例において、TDA−DFB403への電流印加とTDA−DFBレーザ405への電流印加とを1msごとに切替えた場合、切替後1msにおける目標周波数に対する収束周波数ずれは10MHzとなり、大幅な低減を図る事が出来た。
従って、本実施例の波長可変レーザアレイの波長校正方法によって、著しい収束周波数ずれの低減を実現する事が出来た。なお、今回は6アレイの場合に関して記述したが、アレイ数が6以外の場合でも効果があるのは言うまでもない。