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JP6394662B2 - 電気音響変換器用振動板エッジ材、電気音響変換器用振動板、および、マイクロスピーカー振動板 - Google Patents
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JP6394662B2 - 電気音響変換器用振動板エッジ材、電気音響変換器用振動板、および、マイクロスピーカー振動板 - Google Patents

電気音響変換器用振動板エッジ材、電気音響変換器用振動板、および、マイクロスピーカー振動板 Download PDF

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本発明は、各種音響機器に使用される電気音響変換器用振動板エッジ材に関し、さらに詳細には、スピーカー振動板として好適であり、耐熱性、高出力時の耐久性、低音から高音までの再生性、および、二次加工性に優れた電気音響変換器用振動板に関する。
小型電子機器(例えば、携帯電話、PDA、ノートブックコンピューター、DVD、液晶TV、デジタルカメラ、携帯音楽機器など)の普及により、これら電子機器に使用される小型のスピーカー(通常、マイクロスピーカーと呼ばれる)や小型のレシーバ、更にはマイクロホン、イヤホン等の小型の電気音響変換器の需要が高まっている。
一般に、スピーカー振動板には、音響輻射音圧レベルを維持するため密度が低い事、歪を抑制して耐許容入力を大きく保持するため剛性が大きい事に加えて、再生周波数帯を広げるため引張弾性率が特定の範囲にある事、振動板の分割振動を抑え周波数特性を平坦にするため内部損失が大きい事などが要求される。また、スピーカーの駆動源であるボイスコイル近傍や車載用スピーカーなどに使用する場合には、振動板が高温に長時間曝されるため、このような使用条件下で十分に耐えうる耐熱性が必要となる。
一方、近年、モバイル社会やユビキタス社会、あるいは、音楽ソースのデジタル化などを背景に、各種小型電子機器の高機能化、高性能化が行われている。これらに用いられているスピーカーにおいても、例えば、携帯電話のスピーカー振動板に要求される耐入出力レベルが、汎用機種の0.3W程度に対して、高出力機種では0.5〜0.6W程度以上(現状での上限は1.2W程度)と向上してきている。但し、現状では0.6〜0.8W程度の機種が多く、1.0Wを超える機種の比率は低い。
このような課題に対し、特許文献1には、ポリイミド樹脂製フィルムを成形してなる振動板について開示されており、該部材は靱性、寸法安定性、耐腐食性、耐熱耐寒性、耐候性、強度等の特性に優れる旨の記載がある。しかしながら、該部材に用いられるポリイミド樹脂は熱硬化性であり、フィルムの生産性に劣るという欠点がある。また、熱硬化性のポリイミド樹脂は弾性率が高すぎるため、低音の再生に向かないという欠点があった。
特許文献2には、ポリエーテルイミド樹脂を成形してなるスピーカー振動板について開示されており、該部材は耐熱性、内部損失、剛性に優れる旨の記載がある。ポリエーテルイミド樹脂は熱可塑性であるため前記熱硬化性ポリイミド樹脂の欠点であるフィルムの生産性に優れ、また、ガラス転移温度が高く耐熱性にも優れるという特徴があるものの、やはり弾性率が高すぎて低音の再生に向かない。
特開昭51−006014号公報 特開昭60−055797号公報
本発明は、耐熱性、高出力時の耐久性、低音から高音までの再生性、および、二次加工性に優れる電気音響変換器用振動板に用いる事が可能なエッジ材、ならびに、該エッジ材を用いた電気音響変換器用振動板を提供する事を目的としている。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する結晶性ポリイミド樹脂を用いる事により、上記課題を解決できる事を見出し、本発明に至った。
すなわち本発明の第1の態様は、テトラカルボン酸成分(a−1)と、脂肪族ジアミンを主成分とするジアミン成分(a−2)とからなる結晶性ポリイミド樹脂(A)を主成分として含有する電気音響変換器用振動板エッジ材である。
本発明の第1の態様において、前記ジアミン成分(a−2)が、少なくとも炭素数4〜12の直鎖状脂肪族ジアミンを含むことが好ましい。
本発明の第1の態様において、前記ジアミン成分(a−2)が、少なくとも脂環族ジアミンを含むことが好ましい。
本発明の第1の態様において、前記脂環族ジアミンが、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであることが好ましい。
本発明の第1の態様に係る電気音響変換器用振動板エッジ材は、JIS K7127に準拠した引張弾性率が1000MPa以上、2500MPa未満のフィルムからなることが好ましい。
本発明の第1の態様に係る電気音響変換器用振動板エッジ材は、JIS P8115に準拠した耐折強度が1000回以上のフィルムからなることが好ましい。
本発明の第1の態様に係る電気音響変換器用振動板エッジ材は、JIS K7127に準拠した引張破断伸度が200%以上のフィルムからなることが好ましい。
本発明の第1の態様に係る電気音響変換器用振動板エッジ材は、結晶融解エンタルピー(ΔHm)が25J/g以上であることが好ましい。
本発明の第1の態様に係る電気音響変換器用振動板エッジ材は、厚みが1μm以上、200μm以下のフィルムからなる事が好ましい。
本発明の第1の態様に係る電気音響変換器用振動板エッジ材は、該電気音響変換器用振動板エッジ材を表裏層に、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤から選ばれる少なくとも1層の粘着剤層を中間層に配していてもよい。
本発明の第2の態様は、上記本発明の第1の態様に係る電気音響変換器用振動板エッジ材を用いた電気音響変換器用振動板である。
本発明の第3の態様は、上記本発明の第1の態様に係る電気音響変換器用振動板エッジ材を用いたマイクロスピーカー振動板である。
本発明によれば、耐熱性、高出力時の耐久性、低音から高音までの再生性、および、二次加工性に優れ、各種音響機器に使用した際に好適に使用できる電気音響変換器用振動板エッジ材、ならびに、該エッジ材を用いた電気音響変換器用振動板を提供する事ができる。
本発明の一実施形態に係るマイクロスピーカー振動板1の構造を示す断面図である。 本発明の他の実施形態に係るマイクロスピーカー振動板1´の平面図である。
以下、本発明を詳しく説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、数値AおよびBについて「A〜B」という表記は「A以上B以下」を意味するものとする。かかる表記において数値Bのみに単位を付した場合には、当該単位が数値Aにも適用されるものとする。
本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材は、結晶性ポリイミド樹脂(A)を主成分として含む。ここで「主成分」とは、電気音響変換器用振動板エッジ材に含まれる結晶性ポリイミド樹脂(A)の割合が、50質量%を超える事を意味する。電気音響変換器用振動板エッジ材に含まれる結晶性ポリイミド樹脂(A)の割合は、50質量%を超える事が重要であり、60質量%以上である事が好ましく、70質量%以上である事がより好ましく、80質量%以上である事が更に好ましく、90質量%以上である事が特に好ましく、とりわけ電気音響変換器用振動板エッジ材を構成する成分の全て(100質量%)が結晶性ポリイミド樹脂(A)である事がとりわけ好ましい。
[結晶性ポリイミド樹脂(A)]
本発明に用いる結晶性ポリイミド樹脂(A)は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを重合して得られる。
結晶性ポリイミド樹脂(A)を構成するテトラカルボン酸成分(a−1)は、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸等の脂環族テトラカルボン酸、3,3‘,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3‘,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ピロメリット酸等を例示する事ができる。また、これらのアルキルエステル体も使用する事が出来る。
なかでも、テトラカルボン酸成分(a−1)のうち50モル%を超える成分がピロメリット酸である事が好ましい。テトラカルボン酸成分(a−1)がピロメリット酸を主成分とする事により、本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材が耐熱性、二次加工性および低吸水性に優れる。かかる観点から、テトラカルボン酸成分(a−1)のうち、ピロメリット酸は60モル%以上である事がより好ましく、80モル%以上である事が更に好ましく、90モル%以上である事が特に好ましく、とりわけテトラカルボン酸成分(a−1)の全て(100モル%)がピロメリット酸である事が好ましい。
結晶性ポリイミド樹脂(A)を構成するジアミン成分(a−2)は、脂肪族ジアミンを主成分とする事が重要である。すなわち、ジアミン成分(a−2)のうち50モル%を超える成分が脂肪族ジアミンである事が重要であり、60モル%以上である事がより好ましく、80モル%以上である事が更に好ましく、90モル%以上である事が特に好ましく、とりわけジアミン成分(a−2)の全て(100モル%)が脂肪族ジアミンである事が好ましい。このことにより、本発明の電気音響変換器用振動板に、耐熱性、低吸水性、成形性および二次加工性を付与することができる。なお、本発明における脂肪族ジアミンには、脂環族ジアミンも包まれる。
前記ジアミン成分(a−2)に含まれる脂肪族ジアミンとしては、炭化水素基の両末端にアミン基を有するジアミン成分であれば特に制限はないが、耐熱性を重視する場合には、環状炭化水素の量末端にアミン基を有する脂環族ジアミンを含むことが好ましい。脂環族ジアミンの具体例としては、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、イソフォロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性と成形性、二次加工性を両立できるという観点から、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが好適に用いられる。
一方、本発明の電気音響変換器用振動板において、成形性、二次加工性を重視する場合には、前記ジアミン成分(a−2)に含まれる脂肪族ジアミンとして、直鎖状炭化水素の量末端にアミン基を有する直鎖状脂肪族ジアミンを含むことが好ましい。直鎖状脂肪族ジアミンとしては、アルキル基の両末端にアミン基を有するジアミン成分であれば特に制限はないが、具体例としては、エチレンジアミン(炭素数2)、プロピレンジアミン(炭素数3)、ブタンジアミン(炭素数4)、ペンタンジアミン(炭素数5)、ヘキサンジアミン(炭素数6)、ヘプタンジアミン(炭素数7)、オクタンジアミン(炭素数8)、ノナンジアミン(炭素数9)、デカンジアミン(炭素数10)、ウンデカンジアミン(炭素数11)、ドデカンジアミン(炭素数12)、トリデカンジアミン(炭素数13)、テトラデカンジアミン(炭素数14)、ペンタデカンジアミン(炭素数15)、ヘキサデカンジアミン(炭素数16)、ヘプタデカンジアミン(炭素数17)、オクタデカンジアミン(炭素数18)、ノナデカンジアミン(炭素数19)、エイコサン(炭素数20)、トリアコンタン(炭素数30)、テトラコンタン(炭素数40)、ペンタコンタン(炭素数50)等が挙げられる。これらの中でも、成形性や二次加工性、低吸湿性に優れるという観点から、炭素数4〜12の直鎖状脂肪族ジアミンが挙げられる。また、これら直鎖状脂肪族ジアミンが炭素数1〜10の枝分かれ構造を有するものであってもよい。
前記ジアミン成分(a−2)に含まれる脂肪族ジアミン以外の成分として、他のジアミン成分を含んでいてもよい。具体的には、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)1,4’−ジイソプロピルベンゼン、α,α’-ビス(3−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,6−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン成分、ポリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリプロピレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル等のエーテルジアミン成分、シロキサンジアミン類等が挙げられる。
ジアミン成分(a−2)は、脂環族ジアミンと直鎖状脂肪族ジアミンのいずれか、または両方を含んでも良いが、耐熱性と成形性のバランスに優れる事から、脂環族ジアミンと直鎖状脂肪族ジアミンの両方を含む事が好ましい。脂環族ジアミンと直鎖状脂肪族ジアミンを両方含む場合、それぞれの含有量は、脂環族ジアミン:直鎖状脂肪族ジアミン=99:1〜1:99モル%の範囲である事が好ましく、90:10〜10:90モル%である事がより好ましく、80:20〜20:80モル%である事が更に好ましく、70:30〜30:70モル%である事が特に好ましく、60:40〜40:60モル%である事がとりわけ好ましい。ジアミン成分(a−2)に含まれる脂環族ジアミンと直鎖状脂肪族ジアミンの割合がかかる範囲であれば、本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材は耐熱性と成形性のバランスに優れる。
結晶性ポリイミド樹脂(A)の結晶融解温度は260℃以上、340℃以下である事が好ましく、270℃以上、335℃以下である事がより好ましく、280℃以上、330℃以下である事が更に好ましい。結晶性ポリイミド樹脂(A)の結晶融解温度が260℃以上であれば、電気音響変換器用振動板エッジ材の耐熱性が十分なものとなる。例えば、ピーク温度が260℃であるリフロー工程にも耐え得る耐熱性を付与する事ができる。一方、結晶融解温度が340℃以下であれば、例えば、本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材に用いるフィルムの溶融成形において汎用の設備を用い、比較的低温での二次加工が出来るため好ましい。
[電気音響変換器用振動板エッジ材]
本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材は、スピーカーやレシーバ、マイクロホン、イヤホン等の電気音響変換器に使用するものであれば全てに適用可能であり、特に携帯電話等のマイクロスピーカー振動板として好適に使用できる。
電気音響変換器用振動板エッジ材のガラス転移温度(Tg)は150℃以上である事が好ましく、160℃以上である事がより好ましく、170℃以上である事がさらに好ましい。電気音響変換器用振動板エッジ材のガラス転移温度が150℃以上であれば、十分な耐熱性を維持する事ができる。
電気音響変換器用振動板エッジ材の結晶融解エンタルピー(ΔHm)は25J/g以上である事が好ましく、30J/g以上である事がより好ましく、35J/g以上である事がさらに好ましい。結晶融解エンタルピー(ΔHm)が25J/g以上であれば、結晶性の高いフィルムないし成形品が得られ、電気音響変換器用振動板が耐熱性に優れるだけでなく、高音域の再生性を確保できるだけの弾性率が得られるため好ましい。
電気音響変換器用振動板エッジ材の結晶融解温度は260℃以上、340℃以下である事が好ましく270℃以上、335℃以下である事がより好ましく、280℃以上、330℃以下である事がさらに好ましい。電気音響変換器用振動板エッジ材の結晶融解温度が260℃以上であれば、十分な耐熱性を付与する事ができる。一方、電気音響変換器用振動板エッジ材の結晶融解温度が340℃以下であれば、溶融成形時の成形性に優れる。
なお、本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材は、以下に示す好ましい特性を備えるフィルムを、後述する方法で二次加工する事により得る事ができる。
本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材に用いられるフィルムは、JIS K7127に準拠した引張弾性率が1000MPa以上、2500MPa未満である事が好ましい。引張弾性率が1000MPa以上であれば、高温域の再生性が確保されるほか、電気音響変換器用振動板エッジ材として十分に使用可能な剛性(コシ)を有する。かかる観点から、引張弾性率は1500MPa以上である事がさらに好ましく、1800MPa以上である事が特に好ましい。一方、引張弾性率が2500MPa未満であれば、例えば、マイクロスピーカーの振動板の場合、ハンドリング性や高出力時の耐久性などに優れた厚み20〜40μmのフィルムを用いても最低共振周波数(f0:エフゼロ)が十分低く、低音域の再生性が確保され音質が良好となるため好ましい。かかる観点から、引張弾性率は2400MPa以下である事がさらに好ましく、2300MPa以下である事が特に好ましい。
本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材に用いられるフィルムは、JIS P8115に準拠した耐折強度が1000回以上である事が好ましく、1500回以上である事がより好ましい。耐折強度がかかる範囲であれば、高出力時の耐久性に優れ、振動板が亀裂や破損等を生じにくい。
本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材に用いられるフィルムは、JIS K7127に準拠した引張破断伸度が200%以上である事が好ましく、250%以上である事がより好ましい。引張破断伸度がかかる範囲であれば、破断等のトラブルを生じる事なく、種々の形状、例えば深絞り性が要求されるような形状においても安定して二次加工する事ができる。
さらに、本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材に用いられるフィルムには、上記した成分以外に、本発明の趣旨を超えない範囲で、その他の樹脂や充填材、各種添加剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、着色剤、滑剤、難燃剤等を適宜配合してもよい。
本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材に用いられるフィルムの製膜方法としては、公知の方法、例えばTダイを用いる押出キャスト法やカレンダー法、あるいは流延法等を採用する事ができ、特に限定されるものではないが、フィルムの生産性等の面からTダイを用いる押出キャスト法が好適に用いられる。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね280℃以上、350℃以下である。溶融混練には、一般的に使用される単軸押出機、二軸押出機、ニーダーやミキサーなどが使用でき、特に制限されるものではない。
Tダイを用いる押出キャスト法の場合、得られるフィルムは急冷して非晶状態で採取しても良いし、キャスティングロールで加熱することによって結晶化させても良いし、非晶状態で採取した後に加熱処理を施して結晶化した状態で採取しても良い。一般に非晶状態のフィルムは耐久性や二次加工性に優れ、結晶化後のフィルムは耐熱性や剛性(コシ)に優れるため、用途に応じて最適な結晶化状態のフィルムを使用することが重要である。
結晶化フィルムを用いる場合、生産性やコストの観点から、キャスティングロールで加熱して結晶化させる事が好ましい。一般に、薄膜フィルムをキャスティングロールで結晶化させて採取する場合、ライン速度を速くする必要があり、キャスティングロールにフィルムが接触する時間が少ないため結晶化が十分に完了せず、所望の結晶性を有するフィルムが得られない場合がある。本発明に用いる結晶性ポリイミド樹脂(A)は極めて結晶化速度が速いため、キャスティングロールでの熱処理によって十分な結晶性を有する薄膜フィルムを得る事が出来る。
結晶化速度を好ましいものとするための目安としては、結晶性ポリイミド樹脂(A)を加熱速度10℃/分で示差走査熱量計(DSC)を用いて結晶融解温度以上まで昇温し、完全に結晶を融解させた後、10℃/分で降温した際の結晶化ピークの温度を降温結晶化温度としたとき、結晶融解温度と降温結晶化温度の差が70℃以下であることが好ましく、60℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがさらに好ましい。降温過程での結晶化ピークがかかる温度範囲にあれば、十分に結晶化速度が速く、キャスティングロールでの熱処理によって十分な結晶性を有する薄膜フィルムを得る事が出来る。
本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材に用いられるフィルムの厚みは、特に制限されるものではないが、電気音響変換器用振動板エッジ材としては、通常1〜200μmである。また、フィルムの押出機からの流れ方向(MD)とその直交方向(TD)における物性の異方性ができるだけ少なくなるように製膜する事も重要である。
このようにして得られたフィルムは、電気音響変換器用振動板エッジ材としてさらに二次加工される。二次加工方法は特に限定されるものではないが、例えばスピーカー振動板の場合には、該フィルムをそのガラス転移温度や軟化温度を考慮して加熱し、プレス成形や真空成形等によりドーム形状やコーン形状などに二次加工される。また、振動板の形状は特に制限されず、任意であり、円形状、楕円形状、オーバル形状等が選択できる。図1は、本発明の一実施形態に係るマイクロスピーカー振動板1の構造を示す図であり、平面視で円形のマイクロスピーカー振動板1を、円の中心線を通る面で切断した断面図である。図1に示すように、マイクロスピーカー振動板1は、ドーム部(ボディ)1aを中心に、ボイスコイル2に取り付ける凹嵌部1b、周縁部(エッジ)1c、および、その外周にフレーム等に貼り付ける外部貼付け部1dを有する。
本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材に用いられるフィルムは、引張弾性率が高すぎないため、特に小型の電気音響変換器用振動板エッジ材に用いた場合に、低音域の再生性が確保され音質が良好となるため好ましい。ここで、振動板の大きさとしては、最大径が25mm以下、好ましくは、20mm以下、下限は通常5mm程度のものが好適に用いられる。なお、最大径とは振動板の形状が円形状の場合には直径、楕円形状やオーバル形状の場合には長径を採用するものとする。
振動板面には、いわゆるタンジェンシャルエッジと呼ばれる、横断面形状がV字状の溝などを適宜付与する事ができる。図2には、本発明の他の実施形態に係るマイクロスピーカー振動板1´の平面図を示す。マイクロスピーカー振動板1´は、円形のドーム部(ボディ)1a´の外周縁部に、複数のタンジェンシャルエッジ1eが付与されたタンジェンシャルエッジ部1g、および、複数のタンジェンシャルエッジ1fが付与されたタンジェンシャルエッジ部1hを有する。タンジェンシャルエッジを有する形態において、フィルムの平均厚みが好ましくは3〜40μm、より好ましくは5〜38μmであると、厚みが十分確保されているためにハンドリング性も良く、プレス成形等の時間当たりの二次加工性や二次加工精度(形状の再現性)が向上しやすいため好ましい。
また、本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材は、該電気音響変換器用振動板エッジ材を表裏層に、ダンピング効果(内部損失)の高い粘着層を中間層に有する積層体であってもよい。このような積層構造とする事により、表裏層の電気音響変換器用振動板エッジ材が有する耐熱性、剛性、耐久性および成形性に加え、中間層が有する優れた減衰特性を付与する事ができる。積層体である電気音響変換器用振動板エッジ材を作製する方法は特に制限されない。例えば、上記好ましい特性を有する一対のフィルムを二次加工して表層および裏層を構成する電気音響変換器用振動板エッジ材をそれぞれ作製し、これらを中間層に用いられる粘着剤を介して接着する事により作製する方法、または、上記好ましい特性を有する一対のフィルムを中間層に用いられる粘着剤を介して接着して積層フィルムを作製し、該積層フィルムを上記方法により二次加工する方法等が挙げられる。この場合、中間層に用いられる粘着剤の種類としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられるが、接着性の観点から、アクリル系またはシリコーン系粘着剤を用いる事が好ましい。また、この場合、表層および裏層の厚みはそれぞれ1μm以上、30μm以下である事が好ましく、2μm以上、25μm以下である事がより好ましく、3μm以上、20μm以下である事が更に好ましい。一方、中間層厚みは3μm以上、50μm以下である事が好ましく、5μm以上、40μm以下である事がより好ましく、10μm以上、30μm以下である事が更に好ましい。中間層の材料種や各層の厚みがかかる構成であれば、各種機械特性や成形を維持したまま減衰特性にも優れる振動板が得られる。
更に、振動板の二次加工適性や防塵性あるいは、音響特性の調整や意匠性向上等のために、本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材に用いるフィルムまたは成形した振動板の表面にさらに帯電防止剤や各種エラストマー(例えば、ウレタン系、シリコーン系、炭化水素系、フッ素系など)をコーティングや積層したり、金属を蒸着したり、スパッタリングあるいは、着色(黒色や白色など)したりするなどの処理を適宜行ってもよい。さらに、アルミニウムなどの金属や他のフィルムとの積層、あるいは、不織布との複合化などを適宜行ってもよい。
本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材は、スピーカー振動板に用いた場合に、高出力時の耐久性に優れている。例えば、携帯電話においては汎用機種の0.3W程度に対して、高出力機種に適用できる0.6〜1.0W程度の耐出力レベルに対応が可能となる。また、結晶性ポリイミド樹脂(A)を主成分として含有するフィルムは、スピーカー振動板、特にマイクロスピーカーの振動板としての基本的な音響特性に加えて、耐熱性や振動板二次加工時の成形性にも優れている。
なお、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(JIS K6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
以下に実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に記載される原料及び本発明の電気音響変換器用振動板エッジ材に用いられるフィルムについての種々の測定は次のようにして行った。
(1)ガラス転移温度、結晶融解温度、結晶融解エンタルピー、降温時の結晶化温度
各種原料及び得られたフィルムについて、JIS K7121により加熱速度10℃/分で示差走査熱量計(DSC)測定を用い、昇温過程におけるガラス転移温度、結晶融解温度及び結晶融解エンタルピーを測定した。その後、結晶性材料については、10℃/分で降温した際の結晶化ピーク(降温結晶化温度)の温度を測定し、結晶融解温度との差から結晶化速度を評価した。
(2)引張弾性率
得られたフィルムについてJIS K7127に準拠して温度23℃の条件で測定した。
(3)耐折強度
得られたフィルムについてJIS P8115に準拠して温度23℃の条件で測定した。
(4)引張破断伸度
得られたフィルムについてJIS K7127に準拠して温度23℃、試験速度200mm/分の条件で測定した。
1.結晶性ポリイミド樹脂(A)
(A)−1:結晶性ポリイミド樹脂(三菱ガス化学株式会社製、商品名:サープリムTO65S、テトラカルボン酸成分:ピロメリット酸=100モル%、ジアミン成分:1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン/オクタメチレンジアミン=60/40モル%、結晶融解温度:322℃、結晶融解エンタルピー:40J/g、ガラス転移温度:185℃)
(実施例1)
結晶性ポリイミド樹脂(A)として(A)−1を、Φ40mm単軸押出機を用いて340℃で溶融混練した後、Tダイより押出し、次いで約200℃のキャスティングロールにて加熱、結晶化し、厚み25μmの結晶化フィルムを作製した。得られたフィルムについて、上記(1)〜(4)の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
結晶性ポリイミド樹脂(A)に代えて(N)−1:ポリエーテルイミド1000(SABICイノベーティブプラスチックス株式会社製、Ultem1000、非晶性樹脂、ガラス転移温度:220℃)を使用し、成形温度を380℃とした以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製及び測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
結晶性ポリイミド樹脂(A)に代えて(N)−2:ポリエーテルイミド5000(SABICイノベーティブプラスチックス株式会社製、UltemCRS5001、非晶性樹脂、ガラス転移温度:230℃)を使用し、成形温度を380℃とした以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製及び測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
結晶性ポリイミド樹脂(A)に代えて(N)−3:結晶性ポリイミド樹脂(三井化学株式会社製、商品名:オーラムPL450C、テトラカルボン酸成分:ピロメリット酸=100モル%、ジアミン成分:4,4‘−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル=100モル%、結晶融解温度:387℃、結晶融解エンタルピー:34J/g、ガラス転移温度:245℃)を使用し、成形温度を400℃、キャスティングロール温度を230℃とし、非晶状態のフィルムを採取した以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製及び測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006394662
実施例1では、本発明の結晶性ポリイミド樹脂(A)を主成分とするフィルムを結晶化させた状態で使用している。該フィルムは引張弾性率が適切な範囲にあるため、剛性(コシ)ひいてはハンドリング性に優れるだけでなく、低音域の再生性にも優れる。また、通常、結晶化させたフィルムは靱性が低下するため、耐折強度や引張破断伸度の値が低下する傾向にあるが、該フィルムは結晶化した状態であってもこれらの項目について十分に優れた値を示しており、ひいては高出力時の耐久性に優れる。また、結晶融解エンタルピー、結晶融解温度、耐折強度、引張破断伸度が好ましい範囲にあるため、耐熱性や高出力時の耐久性、二次加工性に優れる。更に、結晶融解温度と降温時の結晶化温度の差が小さいので、結晶化速度が十分に速く、キャスティングロールでの熱処理によって十分な結晶性を有する25μmのフィルムが得られている。
一方、比較例1及び2では、耐熱性非晶性樹脂であるポリエーテルイミドからなるフィルムを使用している。該フィルムは非晶性樹脂を使用しているため融点を持たず、耐熱性に劣る。また、引張弾性率が高く、低音の再生性に劣るだけでなく、耐折強度や引張破断伸度が低いため、高出力時の耐久性や二次加工性も十分でない。
比較例3では、ピロメリット酸と4,4‘−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルを主成分とする結晶性ポリイミド樹脂からなるフィルムを使用している。得られた非晶性フィルムは、弾性率、耐折強度、引張破断伸度といった機械特性が、振動板として使用するのに十分な水準に達していない。また、当該原料は結晶融解温度と降温時の結晶化温度の差が大きい(結晶化速度が遅い)ため、キャスティングロールでの熱処理によって結晶化フィルムが得られていないが、例え結晶化フィルムが得られたとしても、一般にフィルムを結晶化させる事によって弾性率は向上し、耐折強度や引張破断伸度は低下する傾向にあるので、振動板として使用するのに適切な物性が得られない事は明白である。更に、当該原料は融点が極めて高いため、製膜時に十分な流動性を得るためには成形機の温度を400℃以上に設定する必要があり、エネルギー的に不利であるだけでなく、吐出量が少ないため生産性にも劣る。
1、1´ スピーカー振動板
1a、1a´ ドーム部(ボディ)
1b 凹嵌部
1c 周縁部(エッジ)
1d 外部貼付け部
1e、1f タンジェンシャルエッジ
1g、1h タンジェンシャルエッジ部
2 ボイスコイル

Claims (12)

  1. テトラカルボン酸成分(a−1)と、脂肪族ジアミンを主成分とするジアミン成分(a−2)とからなる結晶性ポリイミド樹脂(A)を主成分として含有する電気音響変換器用振動板エッジ材。
  2. 前記ジアミン成分(a−2)が、少なくとも炭素数4〜12の直鎖状脂肪族ジアミンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気音響変換器用振動板エッジ材。
  3. 前記ジアミン成分(a−2)が、少なくとも脂環族ジアミンを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の電気音響変換器用振動板エッジ材。
  4. 前記脂環族ジアミンが、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであることを特徴とする、請求項3に記載の電気音響変換器用振動板エッジ材。
  5. JIS K7127に準拠した引張弾性率が1000MPa以上、2500MPa未満のフィルムからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気音響変換器用振動板エッジ材。
  6. JIS P8115に準拠した耐折強度が1000回以上のフィルムからなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気音響変換器用振動板エッジ材。
  7. JIS K7127に準拠した引張破断伸度が200%以上のフィルムからなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気音響変換器用振動板エッジ材。
  8. 結晶融解エンタルピー(ΔHm)が25J/g以上であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気音響変換器用振動板エッジ材。
  9. 厚みが1μm以上、200μm以下のフィルムからなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気音響変換器用振動板エッジ材。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気音響変換器用振動板エッジ材を表裏層に、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤から選ばれる少なくとも1層の粘着剤層を中間層に配することを特徴とする、電気音響変換器用振動板エッジ材。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気音響変換器用振動板エッジ材を用いた電気音響変換器用振動板。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気音響変換器用振動板エッジ材を用いたマイクロスピーカー振動板。
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