実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る空気調和機の床置き型室内機100(以降、室内機100と称す)の前面側からの外観斜視図、図2はその室内機100の背面側からの外観斜視図である。図1は一部が分解図となっている。そして、図3は、室内機100の熱交換器室1部分の縦断面図であり、図4は、室内機100の前側部分となる正面パネル7とエアフィルタ15を取り外した状態を正面から見た模式図である。この室内機100は屋外に設置される室外機(図示なし)とともに空気調和機を構成する。
室内機100と図示しない室外機とは液管とガス管から成る接続配管20を介して接続され、冷媒が充填された冷媒回路が形成されている。当該空気調和機の運転中は、この冷媒回路で蒸気圧縮式冷凍サイクルが動作する。この冷媒回路内の冷媒として、ここでは上述したHFO冷媒の一種であるHFO−1234yfとHFC冷媒の一種であるR32との混合冷媒が用いられている。HFO−1234yfもR32もともに微燃レベルの可燃性を有しており、この混合冷媒は可燃性冷媒である。
図1に示すように、この室内機100は全体として直方体形状の外観をなし、空調する部屋の壁面を背にして床面上に置かれて設置される床置き型である。室内機100は、図4に示すように、筺体5の内部に左右方向に分かれて熱交換器室1と配管室2とを有している。正面視で左側に位置する熱交換器室1には、熱交換器3とその熱交換器3に室内空気を流通させる送風ファン4が配置されている。この熱交換器3は冷媒回路の一構成要素であり、室内機100の運転中には内部を冷媒が流れる。
右側に位置する配管室2では、上部にこの室内機100を運転制御する制御装置8を含む電装基板が収納された電気品ユニット9が配置されている。また、配管室2にはそれぞれが熱交換器3に接続されているガス管と液管から成る2本の連絡配管10が配置されている。
筺体5は、ケーシング6と、そのケーシング6の前面に取り付けられる正面パネル7とで構成されている。正面パネル7は、ケーシング6に対して、着脱可能となっている。ケーシング6は、筺体5の天面となる上面板6aと背面を覆う背面板6bと左右の側壁となる側面板6c、底面となる底板6dを備える。ケーシング6の前面開口を正面パネル7が覆う。なおケーシング6は、背面側と前面側とで前後方向に分割されているものを組み合わせる構成であってもよい。
室内機100の運転中は、送風ファン4の回転により、筺体5の下部から室内空気を吸い込んで、熱交換器3を通過させ、その際に熱交換器3内を流れる冷媒と熱交換した室内空気(調和空気)を、筺体5の上部から吹き出し、室内へと返流させる。筺体5の前面下部には、筺体5内部へ吸い込まれる室内空気の入口となる吸込口11が形成されている。吸込口11には、正面パネル7に一体成形されている吸込グリル13が設置される。吸込グリル13は、複数の矩形状板が上下方向に所定の間隙を設けて配置されていて、それら間隙が流入する室内空気の通り道となる。
そして筺体5上部の前側角部に、熱交換後の調和空気を吹き出す吹出口12が形成されている。吹出口12はケーシング6の上部に開口して形成される。吹出口12には、吹き出される空気流の向きを調整可能とする上下風向板14が配置されている。吹出口12は、図1に示すように、室内機100が停止中では、上下風向板14により閉じられ、運転中には、図3に示すように、上下風向板14が回動して開口される。
ケーシング6の前面側にはエアフィルタ15が取り付けられている。エアフィルタ15は、送風ファン4の回転によって生成される空気流において吸込口11の下流側で、熱交換器3の上流側となる位置に設置される。
図4に示すように、筺体5の内部は水平方向、ここでは左右方向に、仕切板16によって熱交換器室1と配管室2とに仕切られている。仕切板16の左側に位置する熱交換器室1には、熱交換器3と送風ファン4が配置されている。熱交換器3は、図3に示すように、前側熱交換器3aと背面側熱交換器3bとを備え、それらが側面視で上向きのV字形状を呈するようにして構成されている。熱交換器3はフィンアンドチューブ式であり、ここではフィン31がアルミニウム製、伝熱管32には耐腐食性の高い無酸素銅管が用いられている。
なお、伝熱管32の冷房運転時の入口(暖房運転時は出口)には連絡配管10の液管の一端が、伝熱管32の冷房運転時の出口には連絡配管10のガス管の一端がそれぞれろう付けによって接続されている。
図3に示すように、熱交換器室1では、空気流において熱交換器3の下流側となる位置に送風ファン4が設置されている。ここで送風ファン4は、細長い円筒状のクロスフローファンが用いられており、前側熱交換器3aの上部後方に、回転軸線方向を左右方向に一致させて横向きに設置されている。熱交換器室1には、送風ファン4の回転により吸込口12から吹出口13に至る空気流が流れる風路が形成されている。
一方、仕切板16の右側に位置する配管室2では、上部に位置する電気品ユニット9よりも下側に連絡配管10の他端側が位置するように、熱交換器3から連絡配管10が導かれている。これら連絡配管10の他端側には、屋外の室外機(図示なし)に一端が接続されて当該室内機100が設置されている部屋(空調対象)に取り入れられた接続配管20の他端が接続されることとなる。
接続配管20もガス管と液管から成り、連絡配管10と接続配管20とはガス管同士、液管同士がそれぞれ接続される。冷房運転、暖房運転どちらであっても、ガス管にはガス冷媒が流れ、液管には液冷媒もしくは気液二相状態の冷媒が流れる。ガス冷媒の体積流量が大きいため、管径(内径)はガス管の方が大きい。熱交換器3、連絡配管10、接続配管20はいずれも、冷媒が充填された冷媒回路の一部を成しており、室内機100の運転時には冷媒回路を循環する冷媒が流れる。
図4が示すように、連絡配管10と接続配管20との接続部Gは、配管室2内で上下方向に電気品ユニット9より下に位置する。両配管は接続部Gの位置でフレア接続されている。連絡配管10の他端側の先端となる接続部10aにはフレア継手のユニオン(以降、フレア継手ユニオンと称す)がろう付固定されている。そして、接続配管20の室内機100側の先端となる接続部20aでは、配管端面にラッパ状のフレア部が形成され、そのフレア部の周囲を囲えるようにフレアナットが取り付けられている。
連絡配管10と接続配管20との接続部Gでは、一方の接続部10aのフレア継手ユニオンと他方の接続部20aのフレアナットとがネジ結合される。フレア継手ユニオンが雄ねじでフレアナットが雌ねじでの結合である。このネジ結合により、接続部10aのフレア継手ユニオンの先端面と接続部20aの配管フレア部の内面が密着し、停止時を含め大気圧よりも圧力が高い冷媒回路内の冷媒をシールする。
図5は、室内機100の配管室2における連絡配管10と接続配管20との取り回し状態を表している。接続配管20の室内機100側の先端部分(接続部20aを含む)は、ケーシング6の背面板6a下部の一部が切り抜かれて開口している配管通過口17を通って配管室2内に入り込めるようになっている。配管通過口17はケーシング6において配管室2の背面下部となる位置に設けられている。接続配管20の少なくとも室内に導かれている部分では、液管、ガス管それぞれが先端の接続部20aを除いて、冷媒が流れる銅管の外側を断熱材が覆っていて、銅管外表面への結露水付着を防いでいる。この明細書では、冷媒が流れる銅管とその銅管を覆う断熱材とを含んで接続配管20とする。
なお、配管通過口17は、ケーシング6の背面ではなく配管室2に面する側面板6c(室内機100では右側に位置する側面板6cの方となる)に設けてもよい。配管室2の下部(電気品ユニット9のよりも下方)には、予め接続配管20の室内機100側の一部が入り込めるスペースが確保されている。
室内機100の設置作業において作業者は、配管通過口17を通過させて接続配管20の接続部20a側部分を配管室2内に引き入れて連絡配管10との接続作業を行うため、配管通過口17の開口寸法は、液管とガス管の2本からなる接続配管20が配管室2内にスムーズに引き入れられるように、接続配管20の外形寸法よりも大きく形成されている。そのため、接続配管20と配管通過口17との間には隙間が生じることになる。この隙間により配管室2内部空間と室内機100の外側となる室内空間とが通じる。ここで配管通過口17の位置の接続配管20は、銅管の外側を断熱材が覆っているため、接続配管20と配管通過口17との間の隙間とは、ここでは、断熱材の外表面と配管通過口17の開口面との間で形成されるものとなる。
熱交換器室1には、冷房運転時に熱交換器3に付着する結露水を受けるドレンパン18が、熱交換器3の下に位置している。ドレンパン18は上面が開口している溝状の容器で、上面の開口を熱交換器3側に向けて左右方向に延伸して設置されている。ドレンパン18は、重力により熱交換器3を伝って滴下された結露水を、その上面開口で受け取る。ドレンパン18が受け取ったドレン水は、ドレンパン18に接続する図示しないドレンホースを通って屋外に排水される。
次に、この室内機100の基本的な動作について説明する。ユーザによるリモコンからの操作信号や各種センサの検知信号、または予め定められたプログラム等に基づいて制御装置10がこの室内機100の運転を制御する。ユーザによりリモコンから冷房運転もしくは暖房運転の開始が指示されると、制御装置10は、室外機と通信して室外機に設置されている圧縮機を駆動させ、冷媒回路内に冷媒を循環させて冷凍サイクルを動作させる。圧縮機も冷媒回路の一構成要素である。そして、図3に示すように、上下風向板16を回動して吹出口13を開口させるとともに、送風ファン4を回転駆動させる。
送風ファン4の回転により室内空気が筺体5下部の吸込口11から吸い込まれ、エアフィルタ15および熱交換器3を順に通過する。エアフィルタ15を通過する際に室内空気中に含まれる塵埃がエアフィルタ15によって捕捉されるため、熱交換器3へと導かれる室内空気は塵埃が除去されており、熱交換器3に塵埃が付着することが防止される。
室内空気は熱交換器3を通過する際に熱交換器3の伝熱管32内を流れる冷媒と熱交換し、冷房運転であれば室内空気の熱量が冷媒の蒸発熱として奪われることで冷やされ、暖房運転であれば冷媒の凝縮熱が室内空気に付与されることで暖められ、それぞれ調和空気となる。熱交換器3を通過して調和空気となった空気流は、その後、クロスフローファンである送風ファン4を横断し、送風ファン4の下流側へと進み、吹出口13から室内へと吹き出される。その際、吹き出される空気流は、上下風向板16や左右風向板(図示せず)によって、吹き出し方向が調整される。
室内機100はこのような基本的な構成と機能を有しているが、上述のとおり、冷媒回路内の冷媒として可燃性冷媒を使用している。もしこの室内機100において冷媒の漏洩が生じた場合に、伝熱管32のピンホールからのような緩慢な漏洩、いわゆるスローリークで、漏洩する冷媒の単位時間当たりの重量(以降、漏洩速度)が小さいときでは、空気よりも重い漏洩冷媒ガスが室内機100から室内空間へ流出しても、自然に拡散していき、滞留しない。ここで自然に拡散するとは、高濃度域から低濃度領域へと冷媒が自発的に移動していくことである(以降、自然拡散と称する)。
ピンホールからの漏洩のようなスローリークでは、床置き型室内機であっても、室内機100から室内空間へと流出する漏洩冷媒ガスの単位時間当たりの重量(以降、室内流出速度)が、室内空間にて自然拡散する冷媒の単位時間当たりの重量(以降、自然拡散速度)に比べて小さいため、流出した漏洩冷媒が滞留することなく、室内で冷媒ガス濃度が可燃範囲まで上昇する可能性は低い。
また運転時では、送風ファン4が生成する空気流の影響で室内の空気が撹乱されており、それに伴って室内空間に流出した漏洩冷媒ガスが強制的に拡散されるので、やはり冷媒ガスの濃度が可燃域まで上がる可能性は低い。このように、伝熱管32のピンホールからのような緩慢な漏洩な場合には、停止時であっても運転時であっても、可燃濃度の気相が形成される可能性は低く、漏洩冷媒に引火する事態は起こり難い。なおここで、冷媒の漏洩とは、冷媒回路内の冷媒が冷媒回路外へと漏れることをいう。
よって、漏洩冷媒への引火を危惧する状況としては、上記のようなスローリークではなく、漏洩速度が大きい冷媒漏洩となる。このような急速な冷媒の漏洩は、たとえば接続部Gにおいてフレア接続が外れることによって発生する可能性がある。接続配管20の接続部20aにおいて、配管端面に形成されるラッパ形状のフレア部の大きさが小さ過ぎる、すなわちフレア部のラッパ形状の外径が小さい場合や、フレアナット2を締め込み過ぎてフレア部が減肉化されてしまった場合には、大気圧より高い冷媒回路内の冷媒の圧力によって、接続配管20のフレア部がフレアナットから押し出されてしまったり、フレア部が切断されてしまったりする事態が起こり得る。
そうなると、接続配管20の接続部20aのフレアナットだけが連絡配管10の接続部10aのフレア継手ユニオンに締結されたままの状態で、接続配管20が接続部Gから抜け、すなわちフレア接続が外れてしまって、伝熱管32のピンホールからの漏洩とは比較にならないほど急速な冷媒漏洩、すなわち漏洩速度が大きい冷媒の漏洩が発生する。例えばピンホールからの冷媒漏洩では漏洩速度が0.1kg/分程度であるが、フレア接続外れによる冷媒漏洩では漏洩速度は、1.25kg/分程度となり、10倍以上大きくなる。
特に室内機100の停止時では、このような急速な冷媒の漏洩が生じると、漏洩直後に一気に気化した漏洩冷媒ガスによって配管室2の圧力が上昇し、漏洩冷媒ガスは押し出されるように、接続配管20と配管通過口17との隙間などから室内へと流出する。このとき、漏洩冷媒ガスの室内流出速度が自然拡散速度よりも大きいと、漏洩冷媒ガスの自然拡散が追い付かずに、漏洩冷媒ガスが室内機100の周辺、特に配管通過口17の近辺で滞留し、可燃濃度の気相が形成される恐れが生じる。配管通過口17は、室内機100の下部で床面に近い位置に設けられているので、接続配管20と配管通過口17との隙間から流出する漏洩冷媒ガスは床面に沿うようにして流出し、床面上に滞留し易い。
なお、冷媒ガス濃度(対空気)の可燃範囲は、HFO1234yfで6.2〜12.3vol%、R32で14.4〜29.3vol%であり、ここでは、これらの混合冷媒を使用しているので、混合比に応じて可燃濃度の範囲は、下限が6.2vol%より大きく上限が29.3vol%よりも小さくなる。
配管室2内に位置する接続部Gでフレア接続外れが生じて接続配管20が接続部Gから抜けると、抜けた接続配管20からも、連絡配管10の方からも、冷媒回路内の大気圧よりも高い圧力の冷媒が、大気圧下の配管室2内に勢いよく放出される。配管室2に放出された漏洩冷媒は、圧力が一気に低下するため、漏洩後直ちに気化する。そうなると、配管室2の圧力は漏洩冷媒の気化に伴って大気圧より高い圧力に一時的に上昇し、配管室2内は冷媒ガスがリッチな状態となる。
そこでこの室内機100は、このような配管室2で急速な冷媒の漏洩が生じて配管室2内に一時的に満ちた漏洩冷媒ガスを積極的に室内機100の外へ、すなわち室内空間へと放出すべく、配管室2の上面に開口する通気孔19を備えている。この通気孔19は、配管室2と室外機100の外側となる室内空間とに通じており、接続配管20と配管通過口17との隙間による通気面積よりも十分に大きい開口面積を有している。
この通気孔19は、筺体5の上面であるケーシング6の上面板6aの配管室2に面する位置に開口して形成されている。この通気孔19から配管室2内へ異物が侵入するのを防止するために、通気孔19には、アタッチメント部品としてのガード21が取り付けられている。図6は、ガード21の斜視図であり、略矩形状の外枠21aの内側に縦桟21bと横桟21cを有して格子状に複数の開口21dが形成されている。ガード21の格子状の開口21dは外枠21aおよび縦桟21b、横桟21cに固定されたフィルタ21eで覆われており、配管室2内への塵埃の侵入も防止している。
格子状の複数の開口21dによる開口面積は、接続配管20と配管通過口17との隙間によって配管室2内外を連通する面積よりも十分に大きく、フィルタ21eを通しても複数の開口21dの通風抵抗は、接続配管20と配管通過口17との隙間の通過抵抗よりも十分に小さいものとなっている。
ガード21は、ここでは、通風孔19へ嵌め込まれて取り付けられていて、ケーシング6に対して着脱可能であり、フィルタ21eに塵埃が堆積してきた場合には、ユーザはガイド21を取り外して水洗いすることができる。ケーシング6もガード21(フィルタ21eは除く)も樹脂成形品である。
室内機100は、配管室2の上面に通気孔19が形成されているため、接続部Gの接続外れにより配管室2に急速な冷媒漏洩が生じて、配管室2内が一時的に漏洩冷媒ガスのリッチな状態になっても、漏洩冷媒ガスは通風抵抗が小さい通気孔19を積極的に通って、より詳細にはガード21の複数の開口21dを通過して、室内空間へと流出する。
そして通気孔19は、筺体5の上面、すなわち室内機100において床面に対して最も高い位置であるケーシング6の上面板6aに形成されており、通気孔19から流出した漏洩冷媒ガスは空気よりも重いので、床面に向かって下降する。そして床面に下降する際に室内の空気と混合しながら下降することで得られる拡散効果によって、高濃度に滞留することが回避される。このため、室内に冷媒の可燃濃度の気相が形成される事態を防ぐことができる。
先に挙げた特許文献1の壁掛け型室内機と比べれば、室内機から漏洩冷媒ガスが流出する位置の床面からの高さは低いが、漏洩冷媒の急激な気化により圧力が一時的に上昇した状態の配管室2から流速を伴って通気孔19より流出することになるので、床面への下降の際の拡散効果が得やすく、高濃度な滞留の回避が可能となる。
他の流出経路に比べて通風抵抗が小さい(流出面積が大きい)通気孔19から漏洩冷媒ガスは積極的に流出するため、他の流出経路の1つである、接続配管20と配管通過口17との隙間からの流出量は、通気孔19を有さない従来の床置き型室内機と比べると大幅に減少する。接続配管20と配管通過口17との隙間は従来機同様にこの室内機100にも存在するため、この隙間からの漏洩冷媒ガスの流出をゼロとすることはできない。しかし、流出量を大きく減少させることができるので、漏洩冷媒ガスの室内流出速度は自然拡散速度よりも小さく、接続配管20と配管通過口17との隙間から流出した漏洩冷媒が、室内機100の周辺で高濃度に滞留することはない。
以上のように、この室内機100は、ケーシング6の上面板6aの配管室2を覆っている部分、すなわち配管室2の上面に開口して、配管室2とこの室内機100が設置されている部屋の室内空間とに通じる通気孔19を備えているので、配管室2内で接続部Gのフレア接続外れのような急激な冷媒漏洩が生じる事態となっても、漏洩冷媒ガスが通気孔19を通って室内空間へと流出する。そして、流出した漏洩冷媒ガスは空気よりも重いので床面に向かって下降するが、漏洩冷媒ガスは、この下降の際に室内の空気と混合しながら下降することで拡散効果が得られ、床面上に高濃度に滞留することを回避できる。このため、室内機100の周辺に漏洩冷媒の可燃濃度の気相が形成されることを防止できる。
なお、通気孔19の開口位置は、配管室2の上面に必ずしも限定されるものではない。配管室2の背面もしくは側面もしくは前面の上面に近い上部に、すなわち、配管室2の背面上部もしくは側面上部もしくは前面上部に開口するように設けても、そこから流出した漏洩冷媒ガスが下降の際の拡散効果を得ることができ、高濃度に滞留することを回避できる。
また、配管室2の上面、側面、背面、前面の中から選択される2つ以上の面のそれぞれに通気孔19を設けるようにしてもよいし、1つの面に2つ以上の通気孔19を設けてもよい。通気孔19そのものをガード21のようにを格子状に配置される複数の開口で構成してもよい。ここで、配管室2の背面と側面は、ケーシング6の背面板6bと右側の側面板6cのことであり、配管室2の前面は正面パネル7となる。
通気孔19を配管室2の上面に設けた場合には、通気孔19から流出する漏洩冷媒ガスが上向きの速度成分を有することになるので、冷媒ガスが下降する距離が背面上部や側面上部に設ける場合に比べて大きくなり、そのため下降する際の拡散効果も大きくなる利点がある。
一方、配管室2の背面上部、側面上部、前面上部のいずれかに通気孔19を設ける場合には、水平方向に開口することになるので、天面に設ける場合と比して、ガード21のフィルタ21eに塵埃が堆積し難くなり、ユーザによるガード21の清掃の頻度を低下させることができる。また、背面上部に設ける場合では、他の面に設ける場合と比べて通気孔19およびガード21をユーザが視認し難くなるため、意匠性の観点で有利となる。
このように、配管室2に面する筺体5の上面もしくは配管室2に面する筺体5の上部に、配管室2とこの室内機100が設置されている部屋の室内空間とに通じる通気孔19を開口させることにより、配管室2内で接続部Gのフレア接続外れのような急激な冷媒漏洩が生じても、漏洩冷媒ガスが通気孔19を通って室内空間へと流出し、床面に向かって下降すまでの間に拡散して、床面上に高濃度に滞留することを回避でき、室内機100の周辺に漏洩冷媒の可燃濃度の気相が形成されることを防止できる。
実施の形態2.
続いて、この発明の実施の形態2について図面を参照しながら説明する。実施の形態2に係る空気調和機の床置き型室内機200(以降、室内機200と称する)の基本的な構成は、実施の形態1の室内機100と同じであり、同一部品には同一符号を付して、詳細な説明は省略する。図7は室内機200における通気孔19周辺の外観斜視図であり、図8はその部分の縦断面を示す模式図である。図示されていない部分は実施の形態1の室内機100と同じ形態である。この室内機200は、漏洩冷媒の放出口となる開口部を有して通気孔19を覆うガイドカバー22を備えている点で、実施の形態1の室内機100と構成上相違している。
通気孔19は、ケーシング6の上面板6aにおける配管室2に面する位置に設けられており、上面板6aを貫通している。ガイドカバー22は、上面板6aから膨出して通気孔19の上方を覆っている。ガイドカバー22には、この室内機200が設置されている部屋の室内空間へと開口する放出口22aを備えている。この放出口22aは、通気孔19を通過した漏洩冷媒ガスを室内空間へと放出するための開口部である。ここでは、放出口22aは1個で、室内機200の背面側、すなわち部屋の壁面側を向いて開口している。そしてガイドカバー22は、放出口22aが開口している背面側以外の周囲3方向(前側と左右両側)に側壁部22bと、3方向の側壁部22bの上端に接して、距離を隔てて通気孔19の上方に位置するルーフ部22cとを具備して、通気孔19を覆っている。
このようにガイドカバー22は、特にルーフ部22cが通気孔19の上方に位置していることから、通気孔19から配管室2内へ異物や塵埃が侵入することを防ぐカバーの機能を有するとともに、放出口22aを特定の方向に向けて開口することで、室内機200から室内空間へと流出する漏洩冷媒ガスを、側壁部22bとルーフ部22cとにより放出口22aへと導き、放出口22aから特定の方向へ流出させるガイドの機能を有している。
図7、図8に示す室内機200のガイドカバー22は、放出口22aを背面側に向けて開口しているが、このような構成とする作用効果についてこれより説明する。放出口22aを背面側に向けることで、まずは放出口22aがユーザに視認され難くなるという効果を奏する。放出口22aと通気孔19を通して配管室2の一部が露出されるが、放出口22aを背面方向へ開口していれば、放出口22aが視認されにくいので、室内にいるユーザが配管室2の一部を目にする事態が避けられ、室内機本体の意匠性の低下を防止できるという意匠面での効果が得られる。
続いて、放出口22aが背面側を向いて開口していることにより、配管室2から放出口22aを通過して室内空間へと流出する漏洩冷媒ガスの流れが、背面側へ向かうこととなる。ここで、室内機200は、部屋の壁面を背にして設置されることが多く、特に筺体5の背面(ここではケーシング6の背面板6bとなる)と、この背面と向かい合う部屋の壁面とが近接した設置状況であることが多い。
室内機200の背面側に近接して壁面が存在していて、放出口22aがその壁面の方に向いて開口していれば、配管室2で接続部Gの接続外れによる急速な冷媒漏洩が生じて、一気に気化した漏洩冷媒ガスが通気孔19を経て放出口22から流速を有して室内空間に流出するときに、その漏洩冷媒ガス流が、放出口22aと対向する部屋の壁面と衝突することになる。
このような部屋の壁面への衝突により、漏洩冷媒ガス流が分散されるため、水平方向に広い範囲で床面へと下降することになり、床面へ下降するまでの間の拡散効果が壁面に衝突しない場合よりも大きくなるという機能面での効果が得られる。これにより、床面上への漏洩冷媒ガスの高濃度な滞留を回避して、室内機200の周辺に漏洩冷媒の可燃濃度の気相が形成されることを防止できる。
さらに、ガイドカバー22は、ルーフ部22cにおける通気孔19側の面、すなわち下面側が筺体5の前側から背面側へ向かって上方へと傾く傾斜面で構成されており、ルーフ部22cの放出口22a端が最も高い位置となっている。図7および図8に示す形態では、板状のルーフ部22c全体が背面側へ向かって上方に傾斜しており、上面と下面とが平行で同じように傾斜しているが、漏洩冷媒ガスが接することになる下面だけが傾斜していればよい。すなわち、ガイドカバー22のルーフ部22cは、少なくとも通気孔19側となる面が少なくとも背面側へ向かって上方へと傾く傾斜面となっていればよい。ここでは、上面板6aから上方に(図8において時計回りに)20度傾斜いている。
このように、ガイドカバー22のルーフ部22cを上方に傾斜させることにより、放出口22aから流出する漏洩冷媒ガスの流れ方向を斜め上方とすることができる。これにより、流速を有して流出した漏洩冷媒ガスが床面へと下降を始める位置を、ルーフ部22がケーシング上面板6aと平行に構成されている場合よりも高い位置とすることができるので、漏洩冷媒ガスが床面に到達するまでの距離が長くなり、下降の際の拡散効果をより大きくできる、という効果を奏する。
また、上述したように放出口22aから流出した漏洩冷媒ガスが、近接する部屋壁面に衝突する場合では、ルーフ部22がケーシング上面板6aと平行に構成されている場合よりも、壁面と衝突する位置を高くすることができるので、その衝突で分散された漏洩冷媒ガスが床面に到達するまでの距離を長くすることができ、さらに拡散効果が大きくなるという効果が得られる。
このガイドカバー22は、樹脂成形品である筺体5のケーシング6に一体的に、すなわち上面板6aに連続して形成されているが、ケーシング6とは別体として、ケーシング6に爪固定のような弾性変形を利用した留め具を利用して通気孔19を覆うように取り付ける構成としてもよいし、通風孔19に嵌め込んで取り付ける構成としてもよい。
図9は、室内機200の通気孔19に実施の形態1で示したガード21を取り付けた構成の要部の外観斜視図であり、図7と対比させている。図9に示すように、ガード21とガイドカバー22の両方を取り付けるように構成すれば、両方の効果がそれぞれ発揮される。
以上のように、この室内機200は、ケーシング6の上面板6aの配管室2を覆う部分、すなわち配管室2の上面に開口して、配管室2と室内機200の外側となる室内空間とに通じる通気孔19と、この通気孔19を通過した漏洩冷媒ガスを室内空間へと放出するための放出口22aを有して通気孔19の上方を覆うガイドカバー22と、を備え、ガイドカバー22の放出口22aが室内機200の背面側に向かって開口しているので、配管室2内で接続部Gのフレア接続外れのような急激な冷媒漏洩が生じる事態となっても、漏洩冷媒ガスが通気孔19を経て放出口22aから室内空間へと流出する際に、流出する漏洩冷媒ガス流が、放出口22aと向かい合う部屋の壁面と衝突して分散されて広い範囲で下降することとなるため、床面へと下降する際の拡散効果が大きくなる。そのため、床面上に高濃度に滞留することを回避でき、室内機200の周辺に漏洩冷媒の可燃濃度の気相が形成されることを防止できる。
また、ガイドカバー22の放出口22aを背面側に向けて開口することで、放出口22aがユーザに視認され難くなり、室内にいるユーザが、放出口22aと通気孔19を通して配管室2内部の一部を目にするような事態の発生を避けることができ、室内機本体の意匠性の低下を防止できる効果が得られる。
さらに、ガイドカバー22のルーフ部22cを、筺体5の前面側から背面側へ向かって放出口22a側が高くなるように上方へと傾斜させることにより、放出口22aから流出する漏洩冷媒ガスの流れ方向を斜め上方にして、流出した漏洩冷媒ガスが床面へと下降を始める位置を高くしたり、室内機200の背面側に近接して部屋壁面がある場合にはその壁面と漏洩冷媒ガス流が衝突する位置を高くしたりすることができる。そのため、漏洩冷媒ガスが床面に到達するまでの距離を長くして、床面へと下降する際の拡散効果をより大きくできるという効果が得られる。
なお、室内機200では通気孔19を配管室2に面している部分の上面板6aに形成しているが、実施の形態1で述べたと同様に、通気孔19を配管室2に面する部分の筺体5の背面上部、側面上部、前面上部のいずれかに設けてもよい。このような位置に形成された通気孔19は開口が水平に向くが、そうなると、そのような通気孔19に取り付けるガイドカバー22は、放出口22aが上方を向くようにするのが、流出した漏洩冷媒ガスの床面への下降開始位置を高くすることに効果的である。ただし、放出口22aが上を向いて開口していると、室内空気中の塵埃が配管室2に入り易くなるため、ガード21を併用したり、放出口22aをフィルタで覆ったりという塵埃侵入防止の対策が必要である。
また、筺体5の側面上部に、すなわち配管室2に面する側面板6cの上部に通気孔19を形成する場合には、そこに取り付けるガイドカバー22の放出口22aを背面側に向くように開口させることで、放出口22aから流出した漏洩冷媒ガス流を背面側に近接する部屋壁面へ衝突させることができ、上述したような漏洩冷媒ガスの分散による拡散効果が得られる。
ただし、通気孔19を筺体5の背面上部、側面上部、前面上部のいずれかに設ける場合では、ガイドカバー22のルーフ部22cを放出口22a端が最も高くなるように傾斜させても、通気孔19を上面板6aに開口する構成では得ることができる上述した効果は、ここでは特段得ることはない。
なお、放出口22aは2方向に跨って形成されていても良い。また3方向に跨って形成されても良いが、その場合では漏洩冷媒ガス流をガイドする作用はほとんど為さない。2方向、3方向に放出口22aを開口させる場合では、2方向や3方向に跨って形成せずに、その方向毎に互いにつながることがない放出口22aを個別に形成するようにすることで、ガイドカバー22の強度を高められる。また、1方向のみ放出口22を設ける場合であっても、その方向に複数の放出口22aを開口させる構成とすることで、ガイドカバー22の強度が高まる。
実施の形態3
続いて、この発明の実施の形態3について図面を参照しながら説明する。実施の形態3に係る空気調和機の床置き型室内機300(以降、室内機300と称する)の基本的な構成は、実施の形態2の室内機200と同じであり、同一部品には同一符号を付して、詳細な説明は省略する。図9は室内機300における通気孔19周辺の外観斜視図であり、実施の形態2の図7と対比させている。この室内機300は、通気孔19を覆うガイドカバー23の構成が、実施の形態2の室内機200と相違している。
実施の形態2の室内機200におけるガイドカバー22では、対向する2辺の側壁部22bおよびルーフ部22cの背面端と、通気孔19の背面側縁部、すなわち放出口22a側の縁部とが室内機200の前後方向にほぼ同じ位置であった。言い換えると、放出口22aと通気孔19の背面側縁部が前後方向にほぼ同じ位置であった。それに対して、この室内機300のガイドカバー23は、その背面端が通気孔19の背面側縁部よりもさらに背面側に位置しており、対向する2辺の側壁部23bと上面のルーフ部23cが、通気孔19の背面側縁部を超えて背面側に延びている。このようにガイドカバー23は通気孔19だけでなく通気孔19の外方となる部分も覆っているため、放出口23aが通気孔19の外方となる位置、詳細には背面側縁部よりも背面側に位置している。
このように、ガイドカバー23のルーフ部23c、側壁部23bが、通気孔19を超えた位置にも存在していることにより、実施の形態2のガイドカバー22を取り付けた場合よりも、放出口23aから流出する漏洩冷媒ガス流の流れ方向が特定されることになる。実施の形態2の室内機200では、通気孔19の背面側、すなわち放出口22aに近いところを通過した漏洩冷媒ガスは、ルーフ部22cや側壁部22bにより、放出口22aへと至るまでに案内される距離が短いため、放出口22aから流出する漏洩冷媒ガス流には、背面方向だけでなく上向きの速度成分も少なからず含まれる。
しかし、ガイドカバー23を備えるこの室内機300では、ルーフ部23cや側壁部23bが放出口23aまで漏洩冷媒ガスを案内する距離が、室内機200のガイドカバー22よりも長くできるため、放出口23aから流出する漏洩冷媒ガス流の上向きの速度成分を室内機200よりも低減させることができる。そのため、放出口23aを背面側に向けて形成し、そこから流出した漏洩冷媒ガス流を室内機300の背面に位置する部屋壁面に衝突させる場合には、衝突による漏洩冷媒ガス流の分散効果を大きくすることができる。
また、ガイドカバー23が通気孔19をオーバーした長さだけ、放出口23aと通気孔19とが前後方向に離れることになるので、通気孔19から配管室2へ塵埃が侵入し難くなるという効果も得られる。
なお、室内機300では通気孔19を配管室2に面している部分の上面板6aに形成しているが、実施の形態1、2で述べたと同様に、通気孔19を配管室2に面する部分の筺体5の背面上部、側面上部、前面上部のいずれかに設けてもよく、そのような通気孔19に、ルーフ部23cや側壁部23bが通気孔19を超えた部分まで覆い、放出口23aが通気孔19の外方に位置するようなガイドカバー23を取り付けても良い。
ガイドカバー23は、樹脂成形品である筺体5のケーシング6に一体的に形成されていてもよいし、ケーシング6とは別体として、ケーシング6に爪固定のような弾性変形を利用した留め具を利用して通気孔19を覆うように取り付ける構成としたり、通気孔19に一部を嵌め込んで取り付ける構成としたりしてもよい。また、通気孔19には、実施の形態1におけるガード21を合わせて取り付けるように構成してもよい。
ここまで実施の形態1〜3で説明したとおり、本発明は、仕切板16にて筺体5の内部が熱交換器室1と配管室2とに仕切られた空気調和機の床置き型室内機において、配管室2に面する筺体5の上面もしくは上部に、配管室2と室内空間との通気を可能とする通気孔19を設けることにより、配管室2で冷媒配管の接続外れのような事態によって単位時間当たりの漏洩重量、すなわち漏洩速度が大きい急速な冷媒漏洩が発生しても、漏洩冷媒ガスが、通風抵抗が小さく室内機本体の高い位置にある通気孔19を通って配管室2から室内空間へと流出するので、漏洩冷媒ガスが床面に向かって下降する際に空気と混合しながら下降することによる拡散効果によって、室内空間における漏洩冷媒の高濃度な滞留を回避でき、室内に冷媒の可燃濃度の気相が形成されることを防止できる安全性に優れた床置き型室内機を提供することができる。