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JP6406802B2 - ペプチドおよびその利用 - Google Patents
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本発明は、ペプチドおよび当該ペプチドの利用に関する。
近年、ナノテクノロジーとバイオテクノロジーとが融合した領域にナノバイオテクノロジーと呼ばれる新しい分野が誕生し、急速に発展しつつある。
ナノバイオテクノロジーは、例えば、バイオエレクトロニクス素子、バイオセンサおよびバイオチップなどの開発および製造などを目的としており、ナノバイオテクノロジーに対する期待は極めて大きい。
ナノバイオテクノロジーの分野では、生体由来の様々な材料(例えば、核酸、糖およびタンパク質など)を用いて各種装置(例えば、バイオエレクトロニクス素子、バイオセンサおよびバイオチップなど)を製造している。それ故に、新たな機能を有する生体由来の材料の発見は、ナノバイオテクノロジーの発展に大きく寄与し得る。
例えば、検出対象であるウイルスに対する抗体をシリコンナノワイヤ上に固定化し、上記抗体に対してウイルスが1個でも結合すれば、電気的にウイルスを検出することが可能なバイオセンサの開発が進んでいる。
上述したようなバイオセンサの開発をさらに加速するためには、シリコンやガラスなどの基板上に所望のタンパク質を簡便かつ正確に配置し、固定化させる技術の開発が不可欠である。そして、近年、シリコンに結合し得るタグを介して、シリコンやガラスなどの基板上に所望のタンパク質を簡便かつ正確に配置する技術の開発が進んでいる。
例えば、特許文献1には、上述したタグとして用いることが可能な様々なタンパク質が開示されている。更に具体的には、特許文献1には、酸化ケイ素(例えば、シリカ)に結合することができる特定のタンパク質(SBP:silica material binding protein)が開示されている。特許文献1に開示されているタグと目的のタンパク質との融合タンパク質を用いることによって、タグを介して、目的のタンパク質をシリコン基板またはガラス基板上に固定化できる。
WO2007/055288(2007年5月18日公開)
しかしながら、ナノバイオテクノロジーの分野の発展に寄与し得る生体由来の材料のスクリーニングは十分とはいえず、新規な材料の発見が待ち望まれている。
例えば、特許文献1に記載のタンパク質は比較的大きなタンパク質(例えば、273個のアミノ酸からなるタンパク質)であるので、当該タンパク質と目的のタンパク質とを融合させると、融合タンパク質のサイズが大きくなる。このような大きな融合タンパク質を微生物内で強制発現しても、機能を保持した融合タンパク質を大量に入手することが困難であった。更に具体的には、このような大きな融合タンパク質を微生物内で強制発現すると、融合タンパク質の多くは不溶化してしまい、融合タンパク質を大量に入手することが困難であった。
また、特許文献1に記載のタンパク質は、原核生物を用いた強制発現システムで発現させようとすると、発現量が十分とは言い難かった。
また、特許文献1に記載のタンパク質は比較的大きなタンパク質(例えば、273個のアミノ酸からなるタンパク質)であるので、当該タンパク質と目的のタンパク質とを融合させると、目的タンパク質の機能が阻害される虞があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、優れた機能を有するペプチド、および、当該ペプチドの利用法を提供することにある。
ケイ素(Si)は、地球上で2番目に多い元素であり、種々の生物の体内に含まれている。真核生物である珪藻では、細胞壁の成分として体内へ取り込まれたケイ素が用いられていることが知られている。具体的には、ケイ素(Si)はケイ酸(Si(OH))の状態にて生体内へ取り込まれて重合され酸化ケイ素(例えば、シリカ(SiO))に変換された後に、細胞壁の成分として利用される。
本発明者らは、原核生物(例えば、Bacillus cereus)の体内にケイ酸を取り込む機構を解析する過程において、CotB1タンパク質のC末端の14アミノ酸が、酸化ケイ素に結合する能力のみならず、ケイ酸を重合させて酸化ケイ素とする能力を有していることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の酸化ケイ素結合タグは、上記課題を解決するために、以下の(a)または(b)に記載のペプチドを、少なくとも一部分として含んでいるペプチドを備えていることを特徴としている。つまり、
(a)配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、
(b)配列番号3に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、酸化ケイ素に対する結合能およびケイ酸を重合させて酸化ケイ素とする能力の少なくとも1つを有するペプチド。
本発明の酸化ケイ素結合タグは、上記(a)または(b)に記載のペプチドを少なくとも一部分として含んでいる、50個以下のアミノ酸からなることが好ましい。
本発明の酸化ケイ素結合タグでは、上記(b)に記載のペプチドが、配列番号3に記載のアミノ酸配列において5個以下のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。
本発明の酸化ケイ素結合タグでは、上記(b)に記載のペプチドが、配列番号4〜11の何れかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドであることが好ましい。
本発明の目的物質の酸化ケイ素への固定化法は、本発明の酸化ケイ素結合タグおよび目的物質の連結体と、酸化ケイ素と、を結合させる工程を含むことを特徴としている。
本発明のケイ酸を重合させるための組成物は、上記課題を解決するために、本発明の酸化ケイ素結合タグを含むことを特徴としている。
本発明のケイ酸を重合させる方法は、上記課題を解決するために、本発明の組成物とケイ酸との混合溶液を作製する工程を含むことを特徴としている。
本発明は、酸化ケイ素に対する結合能を有するペプチドを用いるので、目的物質を容易に酸化ケイ素へ結合させることができる。
本発明は、ケイ酸を重合させて酸化ケイ素とする能力を有するペプチドを用いるので、酸化ケイ素を容易に作製することができる。
本発明は、常温の中性の水溶液中にて、酸化ケイ素を作製することができる。
本発明は、任意の対象(例えば、タンパク質および微生物など)を、酸化ケイ素にて被覆または包埋することができる。
本発明は、任意の対象(例えば、タンパク質および微生物など)を、酸化ケイ素によって安定化させることができる。
本発明は、原核生物のタンパク質に由来のペプチドを用いるので、原核生物を宿主として用いる強制発現システムを用いて、機能を保持したペプチドを安定かつ大量に作製することができる。
本発明は、比較的小さなペプチドを用いるので、当該ペプチドと他のペプチドとの融合タンパク質を作製したとしても、融合タンパク質のサイズは小さい。このようなサイズの小さい融合タンパク質であれば、微生物を宿主として用いる強制発現システムを用いて、機能を保持した融合タンパク質を安定にかつ大量に作製することができる。
本発明は、比較的小さなペプチドを用いるので、当該ペプチドと他のペプチドとの融合タンパク質を作製したとしても、融合タンパク質における本発明のペプチドの占める割合(例えば、大きさの割合)を小さくすることができる。その結果、融合タンパク質内において、本発明のペプチドが他のペプチドの機能を阻害することを防ぐことができる。
本発明の実施例において、融合タンパク質の精製純度を確認したSDS−PAGEの結果を示す写真である。 本発明の実施例において、ペプチドが有する、ケイ酸を重合させて酸化ケイ素とする能力を示すグラフである。
本発明は、以下に説示する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本明細書において、「A〜B」は「A以上B以下」を意図するものとする。
また、本明細書において、「タンパク質」は、「ポリペプチド」または「ペプチド」と交換可能に使用される。
〔1.ペプチド〕
まず、本発明に用いるペプチドについて説明する。
本発明に用いるペプチドは、以下の(a)または(b)に記載のペプチドを、少なくとも一部分として含んでいるペプチドである。つまり、
(a)配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、
(b)配列番号3に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、酸化ケイ素に対する結合能およびケイ酸を重合させて酸化ケイ素とする能力の少なくとも1つを有するペプチド。
本発明に用いるペプチドは、CotB1タンパク質の部分ペプチドであって、以下の(a)または(b)に記載のペプチドを、少なくとも一部分として含んでいるペプチドであってもよい。つまり、
(a)配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、
(b)配列番号3に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、酸化ケイ素に対する結合能およびケイ酸を重合させて酸化ケイ素とする能力の少なくとも1つを有するペプチド。
「酸化ケイ素に対する結合能」は、過剰量の酸化ケイ素(例えば、ペプチドの1000倍の質量の酸化ケイ素)とペプチドとを室温にて30分間接触させて、当該酸化ケイ素に結合するペプチドの量を測定することによって測定することができる。例えば、全ペプチドの好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上が酸化ケイ素に結合することができれば、当該ペプチドは、酸化ケイ素に対する結合能を有すると判定することができる。なお、全ペプチドの何%が酸化ケイ素に結合したかは、電気泳動上のバンドの濃さを比較すること等によって算出することができる。
ケイ酸が重合されて形成されている「酸化ケイ素」とは、個々のケイ酸が脱水縮合で連結されて、固体の酸化ケイ素になっている状態を意図する。
「ケイ酸を重合させて酸化ケイ素とする能力」は、遠心分離によって沈殿する、酸化ケイ素の存在を確認することによって測定することができる。遠心分離の条件は、例えば、4,500×gにて30秒間であり得る。例えば、ペプチド(例えば、100μg)とケイ酸(500μg)とを混合した溶液を10分間室温にて放置し、その後、当該溶液を4,500×gにて30秒間遠心分離して、沈殿物中に酸化ケイ素が50μg以上含まれていれば、当該ペプチドは、ケイ酸を重合させて酸化ケイ素とする能力を有していると判定することができる。
上述したCotB1タンパク質は、原核生物であるBacillus cereus(例えば、Bacillus cereus ATCC 14579)に由来するタンパク質であって、当該タンパク質の全長のアミノ酸配列を配列番号1にて示し、当該タンパク質の全長をコードする遺伝子の塩基配列を配列番号2にて示す。また、配列番号3に記載のアミノ酸配列とは、CotB1タンパク質のC末端の14個のアミノ酸に相当するアミノ酸配列である。
後述する実施例にて示しているように、CotB1タンパク質のC末端の14個のアミノ酸は、酸化ケイ素(例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、石英、クリストバライト、シリカゲルなど)に対する結合能を有しているのみならず、ケイ酸を重合させて酸化ケイ素とする能力をも有している。それ故に、当該14個のアミノ酸に対応するペプチドを少なくともその一部分として含むペプチドは、酸化ケイ素に結合するタグとして用いることができるのみならず、ケイ酸を重合させるための組成物に用いることができる。
上記(b)に記載のペプチドにおいて、「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された」とは、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異ペプチド作製法により欠失、置換もしくは付加できる程度の数(好ましくは6個以下、より好ましくは5個以下、より好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、より好ましくは2個以下、最も好ましくは1個以下)のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されることを意味する。
また、上記(b)に記載のペプチドは、配列番号3に記載のアミノ酸配列と、好ましくは57%以上、より好ましくは64%以上、より好ましくは71%以上、より好ましくは79%以上、より好ましくは86%以上、最も好ましくは93%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、酸化ケイ素に対する結合能およびケイ酸を重合させて酸化ケイ素とする能力の少なくとも1つを有するペプチドであってもよい。
なお、アミノ酸配列の相同性は、公知の方法で求めることができる。具体的には、GENETYX−WIN(株式会社ゼネティックス社製)を、GENETYX−WINのマニュアルに従って使用し、例えば配列番号1に示すアミノ酸配列と比較対象のアミノ酸配列とのホモロジーサーチ(homology search)を行い、一致するアミノ酸配列の割合(%)として相同性を算出することができる。
このような変異ペプチドは、公知の方法によって人為的に導入された変異を有するペプチドに限定されるものではなく、天然に存在するペプチドを単離精製したものであってもよい。
ペプチドのアミノ酸配列中のいくつかのアミノ酸が、このペプチドの構造または機能に有意に影響することなく容易に改変され得ることは、当該分野において周知である。さらに、人為的に改変させるだけでなく、天然のペプチドにおいて、当該ペプチドの構造または機能を有意に変化させない変異体が存在することもまた周知である。
好ましい変異としては、アミノ酸の置換、欠失、または添加を挙げることができる。上述した変異の中では、アミノ酸の置換が更に好ましいと言える。
アミノ酸の置換としては特に限定されないが、例えば、任意のアミノ酸が、グリシンまたはアラニンへ置換されるような置換を挙げることができる。
更に具体的に、アミノ酸の置換として、グルタミン、セリン、グリシン、アルギニンまたはアラニンが、グリシンまたはアラニンへ置換されるような置換を挙げることもできる。
更に具体的に、アミノ酸の置換として、i)グルタミン、セリン、グリシンおよびアルギニンがアラニンへ置換される置換、および、ii)アラニンがグリシンへ置換される置換を挙げることができる。
更に具体的には、上記(b)に記載のペプチドが、配列番号4〜11の何れかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。
勿論、本発明は、上述した具体的な変異に限定されない。
本発明に用いるペプチドは、上述した(a)または(b)に記載のペプチドのみからなるペプチドであってもよいし、上述した(a)または(b)に記載のペプチド以外の部分を含むペプチドであってもよい。
上述した(a)または(b)に記載のペプチド以外の部分のペプチドのアミノ酸配列および長さは特に限定されず、適宜、所望のアミノ酸配列および長さであり得る。例えば、上述した(a)または(b)に記載のペプチド以外の部分のペプチドは、CotB1タンパク質に由来するペプチドであってもよいし、CotB1タンパク質に由来しないペプチドであってもよい。
例えば、上述した(a)または(b)に記載のペプチド以外の部分のペプチドのアミノ酸配列は、CotB1タンパク質の部分ペプチドのアミノ酸配列に対して、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下または10%以下の相同性を有するものであってもよい。
本発明に用いるペプチドを構成するアミノ酸の総数は特に限定されず、例えば、100個以下であってもよく、90個以下であってもよく、80個以下であってもよく、70個以下であってもよく、60個以下であってもよく、50個以下であってもよく、40個以下であってもよく、30個以下であってもよく、20個以下であってもよく、14個以下であってもよい。
所望の効果をより高めるという観点からは、本発明に用いるペプチドを構成するアミノ酸の総数は少ないほど好ましいといえる。例えば、50個以下であることが好ましく、40個以下であることがより好ましく、30個以下であることがより好ましく、20個以下であることがより好ましく、14個以下であることが最も好ましい。
本発明に用いるペプチドは、当該分野において公知の任意の手法に従って容易に作製され得、例えば、化学合成されても、組換え発現されてもよい。化学合成法としては、固相法または液相法を挙げることができる。固相法において、例えば、市販の各種ペプチド合成装置(Model MultiPep RS(Intavis AG)など)を利用することができる。
組換え発現を行う場合、原核生物(例えば、大腸菌など)を用いた強制発現システムを用いることが一般的であるといえる。この場合、真核生物由来のペプチドを、原核生物を用いた強制発現システムによって発現させようとしても、効率よく発現しない場合が多い。また、発現させるタンパク質のサイズが大きくなると、発現されたタンパク質が不溶性となり、活性を保持した形態にて回収できなくなる場合が多い。
本発明に用いるペプチドは、原核生物であるBacillus cereusに由来するタンパク質であるとともに、サイズも小さい。それ故に、当該ペプチドであれば、原核生物を用いた強制発現システムを用いて、活性を保持した形態にて安定かつ大量に作製することができる。
〔2.酸化ケイ素結合タグ〕
本発明の酸化ケイ素結合タグは、上述したペプチドを備えているものである。
上述したように、本発明に用いるペプチドは、酸化ケイ素に対する結合能を有している。それ故に、本発明の酸化ケイ素結合タグは、ペプチドが有する能力によって、酸化ケイ素に結合することができる。
本発明に用いるペプチドの詳細については既に説明したので、ここでは、その説明を省略する。
本発明の酸化ケイ素結合タグは、上述したペプチドのみからなるものであってもよいし、上述したペプチド以外の構成を備えているものであってもよい。
上述したペプチド以外の構成としては特に限定されず、例えば、ペプチド、核酸、糖、低分子化合物、および、高分子化合物などを挙げることができる。そして、本発明の酸化ケイ素結合タグは、これらペプチド、核酸、糖、低分子化合物、および、高分子化合物などが、上述したペプチドに対して連結されたものであってもよい。
上述したペプチド以外の構成がペプチドである場合には、当該ペプチドは、様々な機能を有する機能性ペプチドであることが好ましい。
機能性ペプチドとしては特に限定されないが、例えば、プロテアーゼの切断配列を含むペプチドであってもよいし、マーカーペプチド(例えば、蛍光タンパク質)であってもよいし、タグ(例えば、エピトープ標識ペプチド(例えば、HAタグ、Hisタグ、Mycタグ、Flagタグ)、GSTタンパク質)であってもよい。
機能性ペプチドがプロテアーゼの切断配列を含むペプチドであれば、本発明の酸化ケイ素結合タグと目的物質との連結体を酸化ケイ素に結合させた後で、当該連結体をプロテアーゼによって処理することによって、目的物質を精製することができる。
なお、本明細書において「連結体」とは、物質A(例えば、酸化ケイ素結合タグ)と物質B(例えば、目的物質)とが所望の化学結合によって結合しているものを意図しており、上記化学結合の具体的な種類は限定されない。
機能性ペプチドがマーカーペプチドであれば、本発明の酸化ケイ素結合タグの存在を容易に検知することができる。更に具体的には、酸化ケイ素に結合している本発明の酸化ケイ素結合タグを容易に検知することができる。
機能性ペプチドがタグであれば、本発明の酸化ケイ素結合タグを製造したときなどに、当該酸化ケイ素結合タグを容易に精製することができる。
ペプチド、核酸、糖、低分子化合物、および、高分子化合物などと、本発明に用いるペプチドとを連結させる方法は特に限定されず、適宜、周知の方法を用いることが可能である。
例えば、両者を周知の架橋剤によって連結させてもよい。また、両者がペプチドである場合には、両者を1つの融合タンパク質として作製してもよい。なお、本明細書において「融合タンパク質」とは、複数のペプチドがペプチド結合(−CO−NH−)を介して結合されて、1つのタンパク質となっているものを意図する。
〔3.目的物質の酸化ケイ素への固定化法〕
本発明の目的物質の酸化ケイ素への固定化法は、本発明の酸化ケイ素結合タグおよび目的物質の連結体と、酸化ケイ素と、を結合させる工程を含む方法である。
本発明の酸化ケイ素結合タグの詳細については既に説明したので、ここでは、その説明を省略する。
上記連結体は、本発明の酸化ケイ素結合タグと目的物質とが連結されたものである。上述したように、本発明の酸化ケイ素結合タグは本発明に用いるペプチドを備えているものである。そして、本発明に用いるペプチドは、酸化ケイ素に対する結合能を有している。それ故に、上記連結体は、ペプチドが有する能力によって、酸化ケイ素に結合することができる。つまり、本発明の目的物質の酸化ケイ素への固定化法では、本発明の酸化ケイ素結合タグを介して、目的物質が酸化ケイ素に結合することになる。
上記目的物質としては特に限定されず、ペプチド、核酸、糖、低分子化合物、および、高分子化合物などを挙げることができる。
上記目的物質と、本発明の酸化ケイ素結合タグとを連結させる方法は特に限定されず、適宜、周知の方法を用いることができる。例えば、上記目的物質と、本発明の酸化ケイ素結合タグとを、周知の架橋剤によって連結させてもよい。あるいは、目的物質がペプチドである場合には、上記目的物質と本発明の酸化ケイ素結合タグとを、1つの融合タンパク質として作製してもよい。
本発明の酸化ケイ素結合タグおよび目的物質の連結体と、酸化ケイ素と、を結合させる工程は、所望の溶媒に連結体を可溶化させた上で、当該溶媒と酸化ケイ素とを接触させることによって行うことができる。
上記溶媒の具体的な構成としては特に限定されないが、例えば、150mM NaClを含む25mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)を用いることができる。NaClの濃度は、150mMに限定されず、200mM以上1.0M以下であってもよいし、500mM以上1.0M以下であってもよい。NaClの濃度が高いほど、不要な物質が酸化ケイ素へ吸着することを防止することができる。
また、上記溶媒へは、界面活性剤(例えば、Triton X−100(登録商標)、NP−40(登録商標)など)を加えてもよい。溶媒中の界面活性剤の濃度は特に限定されないが、例えば、0.01重量%〜1.00重量%であり得、0.1重量%〜1.00重量%であり得、0.5重量%〜1.00重量%であり得る。界面活性剤の濃度が高いほど、不要な物質が酸化ケイ素へ吸着することを防止することができる。
〔4.ケイ酸を重合させるための組成物〕
本発明のケイ酸を重合させるための組成物は、本発明の酸化ケイ素結合タグを含むものである。
上述したように、本発明の酸化ケイ素結合タグは、ケイ酸を重合させる能力を有している。それ故に、本発明の組成物は、ペプチドが有する能力によって、ケイ酸を重合させることができる。本発明の組成物は、従来法とは異なり、常温にて中性の水溶液中でケイ酸を重合させることができる点においても、優れたものであるといえる。
本発明の酸化ケイ素結合タグの詳細については既に説明したので、ここでは、その説明を省略する。
本明細書中で使用される場合、用語「組成物」はその含有成分を単一組成物中に含有する態様と、単一キット中に別個に備えている態様であってもよい。すなわち、本発明の組成物は、重合されるべきケイ酸をさらに含んでいてもよいが、本発明の酸化ケイ素結合タグを含有している組成物と、重合されるべきケイ酸とを別々に備えているキットの形態であってもよい。
用いられるケイ酸の種類は特に限定されず、例えば、オルトケイ酸、メタケイ酸、テトラエチルオルソケイ酸、テトラメチルオルソケイ酸を用いることが可能である。これらの中では、テトラメチルオルソケイ酸が好ましいといえる。
本発明の組成物中におけるペプチドの濃度は特に限定されないが、例えば、1mg/mL〜100mg/mLであってもよいし、1mg/mL〜50mg/mLであってもよいし、1mg/mL〜20mg/mLであってもよい。
〔5.ケイ酸を重合させる方法〕
本発明のケイ酸を重合させる方法は、本発明の組成物とケイ酸との混合溶液を作製する工程を含む方法である。
本発明の組成物の詳細については既に説明したので、ここでは、その説明を省略する。
本発明の組成物とケイ酸とを混合する際に用いられる溶液は特に限定されず、適宜、所望の溶液を用いることができる。例えば、トリス緩衝液(組成:0.1M tris(hydroxymethyl)aminomethane(pH8.0))、または、Sバッファー(0.1M KHP0(pH8.0)、0.1M NaOH)などを用いることができる。
上記混合溶液におけるペプチドの濃度は特に限定されないが、例えば、0.1μmol/mL〜2.0μmol/mLであることが好ましく、0.1μmol/mL〜0.6μmol/mLであることが更に好ましい。上記濃度であれば、効率よくケイ酸を重合させて酸化ケイ素とすることができる。
上記混合溶液の温度は特に限定されないが、高すぎない方が好ましいといえる。例えば、25℃〜30℃であり得るが、これに限定されない。当該温度範囲であれば、ペプチドの機能が損なわれることを防ぐことができる。
上記混合溶液のpHは特に限定されないが、弱アルカリ性であるpH7.0〜9.0であることが好ましく、pH7.5〜8.5であることが更に好ましく、pH8.0であることが更に好ましいといえる。上記濃度であれば、効率よくケイ酸を重合させて酸化ケイ素とすることができる。
<1.CotB1ペプチドを利用したタンパク質の精製>
CotB1タンパク質の全長に相当するペプチド(配列番号1)のC末端側、または、CotB1タンパク質のC末端の14アミノ酸残基に相当するペプチド(配列番号3)のC末端側に、プロテアーゼ(SUMO protease)によって特異的に認識および切断されるsmall ubiquitin−like modifier(SUMO;Saccharomyces cerevisiae S288c Smt3p;Accession No.NP_010798)が付加されている融合タンパク質をコードするDNAを合成した。なお、CotB1遺伝子の配列を配列番号2に示す。
これらの遺伝子の下流に、クローニング用の2つのBsaI認識配列を付加した上で、更に、5’末端にはNdeI認識配列を、3’末端にはBamHI認識配列を付加した。
合成したDNAを制限酵素NdeIおよび制限酵素BamHIで消化した後、当該消化物と、同様に制限酵素NdeIおよび制限酵素BamHIで消化したpET−24bプラスミド(Novagen社)とを、Ligation High(TOYOBO社)を用いて16℃にて2時間の間、ライゲーションさせた。その後、ライゲーション産物を用いて、クローニング用大腸菌宿主JM109を形質転換し、所望のプラスミドを保持しているクローニング用大腸菌宿主JM109を選抜した。
市販のキットを用いて、選抜されたクローニング用大腸菌宿主JM109から、所望のプラスミドを精製した。所望のプラスミドのうち、「全長CotB1タンパク質−SUMO」融合タンパク質をコードする遺伝子を含むプラスミドを、pET−CotB1−SUMOとし、「CotB1タンパク質のC末端側の14ペプチド−SUMO」融合タンパク質をコードする遺伝子を含むプラスミドをpET−CotB1p−SUMOとした。
蛍光タンパク質であるmCherryをコードする遺伝子をPCRにより増幅した。遺伝子の増幅には、鋳型としてpmCherry(Clontech社)、プライマーとしてmChe−For(5‘−AAAGGTCTCAAGGTATGGTGAGCAAGGGCGAGGA−3’:配列番号12)およびmChe−Rev(5‘−AAAGGTCTCTCTAGACTACTTGTACAGCTCGTCCA−3’:配列番号13)をそれぞれ用いた。
得られたPCR産物を制限酵素BsaIで消化した。同様に、pET−CotB1−SUMOおよびpET−CotB1p−SUMOを制限酵素BsaIで消化した。PCR産物の消化物とプラスミドの消化物とを、Ligation High(TOYOBO社)を用いて16℃にて2時間の間、ライゲーションさせた。その後、ライゲーション産物を用いて、クローニング用大腸菌宿主JM109を形質転換し、所望のプラスミドを保持しているクローニング用大腸菌宿主JM109を選抜した。
市販のキットを用いて、選抜されたクローニング用大腸菌宿主JM109から、所望のプラスミドを精製した。所望のプラスミドのうち、「全長CotB1タンパク質−SUMO−mCherry」融合タンパク質をコードする遺伝子を含むプラスミドを、pET−CotB1−SUMO−mCherryとし、「CotB1タンパク質のC末端側の14ペプチド−SUMO−mCherry」融合タンパク質をコードする遺伝子を含むプラスミドをpET−CotB1p−SUMO−mCherryとした。
pET−CotB1−SUMO−mCherry、および、pET−CotB1p−SUMO−mCherryの各々を用いて、大腸菌Rosetta2(DE3) pLysS (Novagen社)を形質転換して、形質転換体を取得した。
上記形質転換体の各々を、1%グルコースを含む2×YT培地にて、37℃にて培養した。OD600が0.5になった時点にて、0.2mMの濃度になるように培地に対してIPTG(isopropyl−1−thio−β−D−galactoside)を添加し、37℃にて更に4時間の培養を行った。当該4時間の培養によって、所望の融合タンパク質を大量発現した菌体を得た。
融合タンパク質を大量発現した菌体の各々を、25mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に懸濁し、超音波処理によって菌体を破砕した。当該懸濁液を遠心分離処理(20,000×g、30分、4℃)し、その上清を菌体抽出画分として回収した。
菌体抽出画分の各々に10mgの酸化ケイ素粒子(Silicon dioxide fine powder ca. 0.8μm、添川理化学)を添加し、室温で30分間混合した。その後、遠心分離(5,000×g、2分、25℃)により酸化ケイ素粒子を沈殿させ、上清を除いて、沈殿した酸化ケイ素粒子(酸化ケイ素結合画分)を回収した。
沈殿した酸化ケイ素粒子を150mM NaClを含む25mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)で3回洗浄した後、当該酸化ケイ素粒子をInvitrogen社より販売されているSUMO proteaseに付属の「SUMO Protease Buffer + Salt」に懸濁し、当該懸濁液にSUMO proteaseを加えて、室温で3時間反応させた。反応後の懸濁液を遠心分離処理(20,000×g、30分、4℃)して、上清(精製画分)と沈殿物(プロテアーゼ処理後の酸化ケイ素結合画分)とに分けた。
上述した「菌体抽出画分」、「酸化ケイ素結合画分」、「プロテアーゼ処理後の酸化ケイ素結合画分」および「精製画分」をSDS−PAGEにかけ、融合タンパク質の精製純度を確認した。SDS−PAGEの結果を図1に示す。なお、「酸化ケイ素結合画分」および「プロテアーゼ処理後の酸化ケイ素結合画分」については、沈殿物にSDS−PAGEサンプルバッファーを加えて95℃にて5分間加熱することによって得られる上清を、SDS−PAGEにかけた。
図1において、レーン1、2、3および4の各々は、「菌体抽出画分」、「酸化ケイ素結合画分」、「プロテアーゼ処理後の酸化ケイ素結合画分」および「精製画分」の結果を示している。また、図1において、左側には「全長CotB1タンパク質−SUMO−mCherry」融合タンパク質の試験結果を示し、右側には「CotB1タンパク質のC末端側の14ペプチド−SUMO−mCherry」融合タンパク質の試験結果を示している。
レーン1およびレーン2の結果から、融合タンパク質が酸化ケイ素粒子に結合することが明らかになった。
また、レーン2、3および4の結果から、酸化ケイ素粒子に結合した融合タンパク質が、SUMO proteaseによって切断されて酸化ケイ素粒子から遊離することが明らかになった。
以上の説明から明らかなように、酸化ケイ素粒子をSUMO proteaseによって処理した後の上清を回収することによって、目的とするタンパク質(本実施例ではmCherryだが、本発明は当該タンパク質に限定されない)を高純度で回収できることが明らかになった。
「全長CotB1タンパク質−SUMO−mCherry」融合タンパク質を用いた場合、回収されたタンパク質(mCherry)の純度は約90%であり、「CotB1タンパク質のC末端側の14ペプチド−SUMO−mCherry」融合タンパク質を用いた場合、回収されたタンパク質(mCherry)の純度は約90%であり、何れの融合タンパク質を用いた場合も、回収されたタンパク質の純度は高かった。
<2.CotB1ペプチドの改変体を利用したタンパク質の精製>
CotB1タンパク質のC末端の14アミノ酸残基に相当するペプチドに変異を導入し、当該変異がペプチドの酸化ケイ素への結合能に対して如何なる影響を与えるか確認した。具体的には、CotB1タンパク質のC末端の14アミノ酸残基に相当するペプチド内の様々なアミノ酸をアラニンまたはグリシンに置換し、当該置換後のペプチドについて、酸化ケイ素への結合能を確認した。以下に、試験方法および試験結果について、以下に説明する。
pET−CotB1p−SUMO−mCherry内のCotB1タンパク質のC末端の14アミノ酸残基に相当するDNAに対して、周知のインバースPCR法によって変異を導入した。これによって、8種類の変異型の「CotB1タンパク質のC末端側の14ペプチド−SUMO−mCherry」融合タンパク質を発現する発現用プラスミドを作製した。
当該変異型の融合タンパク質の変異箇所のアミノ酸配列を表1に示す。また、変異体#1〜変異体H8の各々を含む融合タンパク質を発現するための発現用プラスミドを、各々「pET−CotB1p−SUMO−mCherry #1」〜「pET−CotB1p−SUMO−mCherry #8」と呼ぶ。
インバースPCR法による「pET−CotB1p−SUMO−mCherry #1」〜「pET−CotB1p−SUMO−mCherry #7」の作製には、鋳型としてpET−CotB1p−SUMO−mCherryを用い、プライマーとして各々「#1_Forと#1_Revとの組み合わせ」〜「#7_Forと#7_Revとの組み合わせ」を用いた。
インバースPCRによって得られた増幅DNA断片の末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Takara Bio社)によってリン酸化した後、当該増幅DNA断片を、Ligation high(TOYOBO社)によって環状化した。環状化された増幅DNA断片を用いて、クローニング用大腸菌宿主JM109を形質転換し、所望のプラスミドを保持しているクローニング用大腸菌宿主JM109を選抜した。
一方、インバースPCR法による「pET−CotB1p−SUMO−mCherry #8」の作製には、鋳型としてpET−CotB1p−SUMO−mCherry #5を用い、プライマーとして「#8_Forと#8_Revとの組み合わせ」を用いた。
そして、インバースPCRによって得られた増幅DNA断片の末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Takara Bio社)によってリン酸化した後、当該増幅DNA断片を、Ligation high(TOYOBO社)によって環状化した。環状化された増幅DNA断片を用いて、クローニング用大腸菌宿主JM109を形質転換し、所望のプラスミドを保持しているクローニング用大腸菌宿主JM109を選抜した。
「pET−CotB1p−SUMO−mCherry #1」〜「pET−CotB1p−SUMO−mCherry #8」の各々を用いて、大腸菌Rosetta2(DE3) pLysS (Novagen社)を形質転換して、形質転換体を取得した。
上記形質転換体の各々を、1%グルコースを含む2×YT培地にて、37℃にて培養した。OD600が0.5になった時点にて、0.2mMの濃度になるように培地に対してIPTG(isopropyl−1−thio−β−D−galactoside)を添加し、37℃にて更に4時間の培養を行った。当該4時間の培養によって、所望の融合タンパク質を大量発現した菌体を得た。
融合タンパク質を大量発現した菌体の各々を、反応バッファー(25mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、0.5%Tween20(登録商標))に懸濁し、超音波処理によって菌体を破砕した。当該懸濁液を遠心分離処理(20,000×g、30分、4℃)し、その上清を菌体抽出画分として回収した。
菌体抽出画分の各々に10mgの酸化ケイ素粒子(Silicon dioxide fine powder ca. 0.8μm、添川理化学)を添加し、室温で30分間混合した。その後、遠心分離(5,000×g、2分、25℃)により酸化ケイ素粒子を沈殿させ、上清を、酸化ケイ素粒子に対する未結合画分として回収した。
菌体抽出画分の蛍光値から未結合画分の蛍光値を差し引いた値を、酸化ケイ素粒子に結合した融合タンパク質の蛍光値とした。
菌体抽出画分中の融合タンパク質のうちの、酸化ケイ素粒子に結合した融合タンパク質の割合(酸化ケイ素に結合した融合タンパク質の蛍光値/菌体抽出画分の蛍光値)を指標として、各変異融合タンパク質の結合力を比較した。
ポジティブコントロールとして、pET−CotB1p−SUMO−mCherryを用いて同様の試験を行い、ネガティブコントロールとして、pET−CotB1p−SUMO−mCherryから「CotB1p」に対応する領域を欠失させたpET−SUMO−mCherryを用いて同様の試験を行った。
ポジティブコントロールの酸化ケイ素に対する結合力を100としたときの、各変異融合タンパク質の相対的な酸化ケイ素に対する結合力を表3に示す。表3から明らかなように、3〜5個のアミノ酸に変異を施したとしても、変異融合タンパク質の酸化ケイ素に対する結合力は十分に維持された。なお、ポジティブコントロールの酸化ケイ素に対する結合力を100としたときの、変異融合タンパク質の酸化ケイ素に対する結合力は、約50%〜85%であった。
<3.ケイ素の重合試験>
本実施例では、周知の化学合成法によって合成した配列番号3に示すアミノ酸配列からなるペプチド(14アミノ酸)が、ケイ酸を重合させて酸化ケイ素(具体的には、シリカ)とする能力を有するか否かを検討した。なお、本実施例におけるネガティブコントロールとしては、BSA(Bovine Serum Albumin)を用いた。
配列番号3に示すアミノ酸配列からなるペプチド、および、BSAの各々を超純水に溶解して、1〜20mg/mlの濃度のペプチド溶液を調製した。
各ペプチド溶液5μL、1mM HCl溶液で15分間水和させた1M TMOS(テトラメチルオルソケイ酸)溶液5μL、およびSバッファー(0.1M KHPO[pH8.0]、0.1M NaOH)40μLを混合した後、室温で10分間静置した。
混合溶液を10,000rpmにて30秒間遠心分離した後、上清を除去し、沈殿物を0.1mLの超純水で2回洗浄した。上清を完全に除いた後、アスピレーターにて沈殿物を30分間乾燥させた。当該乾燥物をシリカ粒子(シリカ重合体)として以後の試験に用いた。
上述したシリカ粒子に対して50μLの1N NaOHを添加し、95℃にて30分間加熱した。
この溶液を超純水にて適度に希釈した後、当該溶液のケイ酸の濃度を測定した。ケイ酸の濃度は、周知のケイ酸−モリブデン法に基づいて、市販のキットであるSilicate test(メルク社製、Cat.♯1.14794.0001)を用いて行った。
具体的には、超純水780μLに測定試料20μLを加え、Solution I(キット中の試薬)を15μL添加して攪拌した後、3分間室温で静置した。
その後、Solution II(キット中の試薬)を15μL添加して攪拌した後、更に、Solution III(キット中の試薬)を80μL加えた。
攪拌して10分間室温で静置した後、810nmにおける吸光度を測定した。ケイ酸の濃度の検量線は、1,000μg/mLのケイ素標準液(メルク社製、Cat.♯1.70236.0500)を0〜50μg/mLの範囲の様々な濃度になるように超純水にて希釈し、それぞれの溶液の吸光度とケイ酸の濃度との関係に基づいて作製した。当該検量線を用いて、シリカ粒子の原料であるケイ酸の量を算出し、当該ケイ酸の量から、上述したシリカ粒子中に含まれるシリカの量(換言すれば、算出された量のケイ酸から形成され得る、シリカの量)を算出した。
図2に、各ペプチド濃度にて形成されたシリカの量を示した。なお、図2において、黒塗りの四角形は、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるペプチドの試験結果を示し、白抜きの四角形は、BSAの試験結果を示す。
図2に示すように、BSAには、ケイ酸を重合させて酸化ケイ素とする能力が検出されなかったのに対し、配列番号3に示すアミノ酸配列からなるペプチドには、ケイ酸を重合させて酸化ケイ素とする能力が検出された。
本発明は、プロテインチップ、ナノバイオデバイス、ハイブリッド素材、電子素材、光学材料、センサー、半導体基板などの分野に利用することができる。

Claims (5)

  1. 以下の(a)又は(b)の何れか一方に記載のペプチドのみからなることを特徴とする酸化ケイ素結合タグ。
    (a)配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、
    (b)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、アミノ末端から数えて12番目のアミノ酸以外の1〜5個のアミノ酸が、アラニン又はグリシンに置換されたアミノ酸配列からなり、かつ、酸化ケイ素に対する結合能を有するペプチド。
  2. 上記(b)に記載のペプチドが、配列番号4〜11の何れかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドであることを特徴とする、請求項1に記載の酸化ケイ素結合タグ。
  3. 請求項1または2に記載の酸化ケイ素結合タグおよび目的物質の連結体と、酸化ケイ素と、を結合させる工程を含むことを特徴とする、目的物質の酸化ケイ素への固定化法。
  4. 配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを含むことを特徴とする、ケイ酸を重合させるための組成物。
  5. 請求項4に記載の組成物とケイ酸との混合溶液を作製する工程を含むことを特徴とする、ケイ酸を重合させる方法。
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