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JP6412865B2 - ビフィドバクテリウム・ブレーベ株特異的遺伝子 - Google Patents
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JP6412865B2 - ビフィドバクテリウム・ブレーベ株特異的遺伝子 - Google Patents

ビフィドバクテリウム・ブレーベ株特異的遺伝子 Download PDF

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Description

本発明は、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT12272株に特異的な遺伝子及びその利用法に関する。
ビフィドバクテリウム属細菌は、ヒトの腸内細菌叢における主要細菌であり、便秘や下痢の改善等の整腸作用、血清コレステロール上昇抑制作用、免疫賦活作用等、ヒトの健康に対して有益な作用を有することが知られている。このため、各種発酵飲食品や生菌製剤等の形態で多数の市販品が販売されており、特に発酵乳飲食品は、優れた嗜好性を有していることから、ビフィドバクテリウム属細菌の継続的な摂取に適している。
ビフィドバクテリウム属細菌は偏性嫌気性菌であり、酸素や低pH、高酸度に弱く、発酵飲食品においては製造時の増殖や保存時の生残性等、取り扱いに困難な点が多い。ビフィドバクテリウム属細菌の生理効果を得るには、できるだけ多くの菌が生きたまま腸に到達する必要があると考えられており、特に飲食品中での菌の生残性、すなわち飲食後の腸への到達率を高めることが重要なファクターとされている。
斯かる問題を解決するために、好気的条件や低pH、高酸度の条件下でも高い生残性を有するビフィドバクテリウム属細菌の作出が行われている。このような菌株の例として、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 10001株(FERM BP−8205)(特許文献1)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ SBR 3212株(FERM P−11915)(特許文献2)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム YIT 4002株(FERM BP−1038)(特許文献3)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株(FERM BP−11320)(特許文献4)等が挙げられ、中でもビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株は高い生残性を有し、人工胃液耐性、人工胆汁・腸液耐性ともに強化されており、様々な飲食品に適用可能な汎用性の高い菌株である。ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株は、他のビフィドバクテリウム属細菌やビフィドバクテリウム・ブレーベと比較しても非常に優れた特性を有することから、他のビフィドバクテリウム属細菌やビフィドバクテリウム・ブレーベに存在しない当該菌株に特異的な遺伝子を探索し、その機能を明らかにすることは極めて重要である。
ビフィドバクテリウム属細菌やビフィドバクテリウム・ブレーベに存在する有用遺伝子としては、宿主細胞接着に関連すると考えられているBL0674遺伝子(非特許文献1)や、β−ガラクトシダーゼの産生に関するβ−ガラクトシダーゼ遺伝子(非特許文献2)などが報告されているが、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株に特異的な遺伝子は報告されていない。また、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株に特異的なプライマーおよびこれらプライマーを使用することを特徴とする当該菌株の特異的検出方法は、既に報告されている(特許文献4)が、このプライマーは当該菌株の菌体からDNAを抽出し、PCRを行うことでRAPD法を行い、当該菌株に特異的な塩基配列を検索し、その配列を基に設計したプライマーであり、当該菌株の遺伝子をターゲットにしているものではなかった。このため、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株に特異的な遺伝子はいまだに明らかにされていない。
国際公開第2003/040350号 特許第2922013号公報 特公昭61−19220号公報 国際公開第2011/105335号 Schell et al., Proc Natl Acad Sci USA, 99(22):14422-14427,2002 Mφller,P.L. et al., Appl&Environ.Microbial.,(2001),62,(5),2276-2283
本発明は、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株に特異的な遺伝子及びその利用法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み検討したところ、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の全遺伝子1966より、当該菌株に特異的な145の遺伝子を特定し、その機能を推定した。また、当該遺伝子を標的とすることにより、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株を特異的に検出・定量できることを見出した。
本発明は、以下の1)〜9)に係るものである。
1)配列番号1〜145に示される塩基配列からなるDNA又は該配列に相補的な塩基配列からなるDNAである、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株を特異的に検出するための遺伝子。
2)配列番号1〜36に示される塩基配列からなるDNA又は該配列に相補的な塩基配列からなるDNAである1)記載の遺伝子。
3)配列番号37〜55に示される塩基配列からなるDNA又は該配列に相補的な塩基配列からなるDNAである1)記載の遺伝子。
4)1)記載の遺伝子のいずれか1つ以上を標的とすることを特徴とするビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の特異的検出方法。
5)1)記載の遺伝子のいずれか1つ以上を標的とすることを特徴とするビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の定量方法。
6)1)記載の遺伝子又はその発現産物のいずれか1つ以上の存在及び/又は発現量を指標とすることを特徴とする当該遺伝子を有する微生物のスクリーニング方法。
7)6)記載のスクリーニング方法により選択された微生物。
8)1)記載の遺伝子のいずれか1つ以上を導入すること、及び/又は1)記載の遺伝子のいずれか1つ以上を標的として微生物の遺伝子を改変することを特徴とする遺伝子改変微生物の作出方法。
9)8)記載の作出方法により得られた遺伝子改変微生物。
本発明の遺伝子は、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株に特異的な遺伝子であることから、当該遺伝子を標的とすることにより、検体中よりビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株のみを遺伝子レベルで検出・定量することができる。また、本発明の遺伝子を用いることで、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の持つ優れた特性を遺伝子レベルで解明することができる。さらに、本発明の遺伝子又はその発現産物の存在及び/又は発現量を指標として、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株が有する固有の性質と同一の性質を保持する微生物をスクリーニングすることができる。また、他の微生物へ本発明の遺伝子を導入したり、他の微生物が本発明遺伝子に相当する遺伝子を有する場合に当該遺伝子の改変を行うことで、有用な機能を持った遺伝子改変微生物を作出することができる。
本発明の配列番号1〜145に示される塩基配列からなるDNAは、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株に特異的な遺伝子であり、後記実施例1に記載の手法によって特定されたものである。
すなわち、先ずビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株(FERM BP−11320)(前記特許文献4参照)のゲノム配列情報から取得した当該菌株の全アミノ酸配列と、ゲノム情報が公開されているビフィドバクテリウム・ブレーベに属する細菌4菌株の全遺伝子のアミノ酸配列を比較し、e−value(偶然に誤った検索結果が含まれる期待値)が0.01未満且つカバー率が60%を上回る相同配列が、対照とした4菌株全てに認められなかった161の遺伝子を、当該菌株に特異的な遺伝子の候補として選択した。次いで、当該161遺伝子の塩基配列を、公共データベース上でゲノム全長の塩基配列が公開されているビフィドバクテリウム・ブレーベに属する細菌株のゲノム配列と比較し、e−valueが0.01未満且つカバー率が100%且つギャップ数が0となる相同配列が、対照とした菌株に認められなかった遺伝子145個を、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株特異的遺伝子として選択した(〔表1〕)。
ここで「カバー率」とは、検索にかけたビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株のアミノ酸配列の全長に対して、他菌株との間に配列類似性が認められる領域が占める割合のことをいう。具体的には、相同性検索の結果から得られるアライメント長およびギャップ数の値を用いて以下のように算出する。「カバー率」=(「アライメント長」−「ギャップ数」)/「ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の検索アミノ酸配列長」×100
例えば、100アミノ酸からなるビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の配列aにおいて、相同性検索により菌株Bの105アミノ酸からなる配列bがアライメント長90、ギャップ数10でヒットした場合、そのカバー率は、(90−10)/100×100=80%となる。
また、各遺伝子について、米国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information、NCBI)で公開されている全アミノ酸配列データベースに対する相同性検索(e−value<0.01)を行い、NCBIのデータベースにより、その機能を推定した。
Figure 0006412865
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上記表1の145の遺伝子のうち、配列番号1〜36に示す36のDNAはNCBIで公開されている全アミノ酸配列データベースを用いてe−valueが0.01未満で検索した際に、該当する相同配列が存在せず、全微生物に対して新規のアミノ酸配列をコードする遺伝子である。また、表1の配列番号37〜55に示す19のDNAは、e−valueが0.01未満且つカバー率が60%を超える条件で検索した際には該当する相同配列が存在しない遺伝子である。
したがって、これらの55遺伝子は、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株について特に特異性が高く、当該菌株の特異的検出や当該菌株が有する固有の性質と同一の性質を保持する微生物のスクリーニング等に、より有用である。
本発明のビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の特異的検出方法は、配列番号1〜145で示される塩基配列からなるDNA又は該配列に相補的な塩基配列からなるDNAである遺伝子のいずれか1つ以上を標的とするものである。
当該検出方法は、具体的には、これらDNAに特異的に結合するオリゴヌクレオチドプローブを用いて検出するDNAプローブ法やこれらのDNAを増幅可能なプライマーを用いて増幅させる核酸増幅法が例示される。
核酸増幅法の一例として、配列番号1〜145で示される塩基配列からなるDNA又は該配列に相補的な塩基配列からなるDNAを基に作製されるプライマーを用いて検体から抽出したDNAに対してPCR反応等を行い、増幅されたDNA断片を検出する方法が挙げられる。
ここで用いられるプライマーは、各DNAの5’末端及び3’末端部の塩基配列を基に、遺伝子全長を増幅するプライマーとして作製することができる。また、PCR法においては、通常2種類のプライマーを1組として用いることが好ましく、両者がリーディング鎖とラギング鎖との組み合わせになるようにする必要がある。
斯かるプライマーは、例えば自動DNA合成機によって容易に合成することができる。また、これらのプライマーはプローブとしても使用することができる。
PCR反応の条件は、通常のPCRの条件で行うことができる。例えば、二本鎖DNAを一本鎖にする熱変性反応を90〜98℃、プライマーを鋳型cDNAにハイブリダイズさせるアニーリング反応を37〜72℃、DNAポリメラーゼを作用させる伸長反応を50〜75℃という温度条件で、これを1サイクルとしたものを1〜数十サイクル行うことにより、行うことができる。なお、好ましい反応条件の一例としては、熱変性98℃10秒、アニーリング60℃30秒、伸長反応72℃120秒×30サイクルが挙げられる。
前記プライマーは、後記実施例2に示すように、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株のDNAのみを増幅し、他のビフィドバクテリウム・ブレーベ株のDNAを増幅しないことから、電気泳動により増幅産物の有無を観察することにより、検体中、好ましくは検体中のビフィドバクテリウム・ブレーベの中からビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の存在の有無を把握することができる。
斯様に、本発明の145遺伝子を利用することにより、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株を遺伝子レベルで特異的に検出することができる。
尚、検体中のDNAを抽出する方法としては、熱抽出法、アルカリ熱抽出法、フェノール・クロロホルム抽出法等を利用すればよい。抽出前の検体の培養に使用する培地は、検体を培養することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ビフィズス菌増殖用培地として知られるGAM培地を挙げることができる。また、培地には、グルコースやアガーを添加することができる。培養時間は、検体により異なるが、例えば、48〜144時間、好ましくは72時間で行うことができ、培養温度は、ビフィドバクテリウム・ブレーベが好適に増殖できる条件であれば特に限定されないが、例えば34〜40℃、好ましくは37℃で行うことができる。
上記検体としては、微生物を含有する可能性があるものであれば特に限定されないが、例えば、結膜ぬぐい液、歯石、歯垢、喀痰、咽頭ぬぐい液、唾液、鼻汁、肺胞洗浄液、胸水、胃液、胃洗浄液、尿、子宮頸管粘液、膣分泌物、皮膚病巣、糞便、血液、腹水、組織、髄液、関節液、患部ぬぐい液などの生態由来試料、食品、医薬品、化粧品、食品・医薬品・化粧品の中間処理物、微生物培養液、植物、土壌、活性汚泥、排水のような微生物を含有する可能性のある対象が挙げられる。
出現したコロニーの懸濁に使用するバッファーとしては、特に限定されるものではなく、例えばTEバッファーが挙げられる。DNAの熱抽出法の一例として、加熱処理は、バッファー懸濁液を72〜100℃で1〜10分間、好ましくは98℃で2分間の処理を行う。遠心分離の条件は、4〜30℃、6,000〜15,000rpmで1〜10分間、好ましくは、4℃、15,000rpm、5分間で行う。このようにして準備した上清液を鋳型DNA溶液としてPCR反応に供試すればよい。
また、前記プライマーを使用した定量的PCRを用いることで、検体中のビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株を定量することができる。定量的PCRの方法の一例として、International Journal of Food Microbiology(2008)Vol.126,p210−215に記載の方法を挙げることができる。
また、本発明の遺伝子又はその発現産物の存在及び/又は発現量を指標とすることで、当該遺伝子を有し、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の固有の性質と同一の性質を保持する微生物をスクリーニングすることができる。すなわち、本発明の遺伝子又はその発現産物の存在及び/又は発現量を測定することにより、当該菌株が有する優れた特性を持った有用微生物をスクリーニングすることができる。これら遺伝子の発現産物としては、mRNAやポリペプチド等が挙げられる。ここで、遺伝子又はその発現産物の存在及び/又は発現量の測定は、当該遺伝子又はその発現産物を検出し得るプローブやプライマーを用いて、微生物における標的とする遺伝子の有無、コピー数や発現量をサザーンハイブリダイゼーション法やノーザンハイブリダイゼーション法やDNAマイクロアレイやRT−PCR法により行うことができる。そして、当該遺伝子又はその発現産物の存在及び/又は発現量に基づき、目的の微生物を選択すればよい。
さらに、本発明の遺伝子を元来有しない他の微生物に、当該遺伝子を単独あるいは組み合わせて導入することで、当該菌株と同様か、或いはその機能が増強された遺伝子改変微生物を作出することができる。これら遺伝子の他の微生物への導入方法としては、DNAの取り込み能を利用したコンピテンス法、プロトプラストを利用したプロトプラストPEG法及び高電圧パルスを利用したエレクトロポレーション法等を利用すればよい。また、遺伝子を微生物染色体に組み込む場合には、相同組換えを利用した方法、部位特異的に組み込む方法を用いることができる。
また、他の微生物が本発明の遺伝子に相当する遺伝子を有する場合には、当該遺伝子を改変することで、当該遺伝子の機能が増強又は抑制された遺伝子改変微生物を作出することもできる。遺伝子の改変には、これら遺伝子の発現阻害若しくは発現抑制、又は発現増強が挙げられる。
遺伝子の発現を阻害するには、これら遺伝子を破壊、欠損すればよく、この方法としては、全く別のDNA断片を遺伝子の内部に挿入する挿入失活法や段階的な相同組換えによって標的遺伝子の一部又は全部を欠失する段階的二重交叉法を用いればよく、特に段階的二重交叉法が好ましい。具体的には、標的遺伝子の一部又は全部を欠失する場合には、欠失領域をはさむ両側の領域を染色体DNAから分離するか、あるいはPCR法によって増幅して分離し、例えばpYSSE3のような大腸菌では増殖するが対象とする微生物中では複製が出来ないプラスミドベクターにそれら両DNA断片を本来の向きと同じ向きに並んだ状態でクローニングする。次に、得られる組換えプラスミドDNAを、欠失を起こさせようとする微生物にエレクトロポレーション法等を用いて導入し、生じる抗生物質耐性のクローンから、PCR法等によって目的の欠失領域の上流又は下流のクローニングした領域との相同領域で組換えを起こしてプラスミドが染色体上に挿入したクローンを選択する。こうして得たクローンを、抗生物質を含まない培地で継代培養を繰り返すことによって、プラスミドが再び近接して存在する相同領域間の組換えによって染色体から離脱し、菌の増殖に伴って消失することによって、抗生物質耐性をなくしたクローンを選択する。こうして得たクローンからPCR法等によって標的遺伝子領域を欠失したクローンを分離することができる。
遺伝子の発現を抑制するには、標的遺伝子のmRNAの5’末端領域と相補的な短いRNAを合成することによる、いわゆるRNA干渉による方法や、これら遺伝子の発現を制御する領域又は制御遺伝子を破壊若しくは欠損等して改変する方法を用いることができ、特にこれら遺伝子の発現を制御する領域の改変が好ましい。具体的には、遺伝子の転写を制御するプロモーターの配列を改変することによって、これら遺伝子のmRNAへの転写量を少なくすることができる。
遺伝子の発現を増強するには、これら遺伝子を運ぶ組換えプラスミドを対象とする微生物に導入すること、これら遺伝子を染色体の別の場所に部位特異的組換えによって組み込むことによって微生物内でのこれら遺伝子のコピー数を増加させること、これら遺伝子の発現を制御する制御領域を改変したり、制御遺伝子を改変し、mRNAへの転写量を多くすることによって発現を増加させる方法等によって行えばよいが、特にこれら遺伝子のコピー数を増加させる方法が好ましい。具体的には、1個の微生物細胞あたり複数個のコピー数を持つプラスミドに、対象とする遺伝子をその遺伝子の本来のプロモーター配列とリボソーム結合部位を含めてクローニングするか、別の遺伝子から分離した、あるいは化学合成によって作成したプロモーターとリボソーム結合部位の下流に該遺伝子のポリペプチドをコードする領域だけをつなげてクローニングした組換えプラスミドを作成し、微生物細胞内にエレクトロポレーション法などによって導入することによって、微生物細胞内での該遺伝子のコピー数を上げることができる。
ここで、遺伝子導入又は改変の対象となる微生物は、特に限定されるものではなく、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、酵母等を用いることができる。
上記スクリーニング方法により選択された微生物および上記遺伝子導入又は改変により得られた遺伝子改変微生物は、飲食品や医薬品として使用できる。この場合、菌体は、生菌又は加熱菌体(死菌体)のいずれでもよく、又は凍結乾燥したものであってもよく、あるいはこれら微生物を含む培養物を用いることでもよい。また、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の持つ優れた特性が保存されている限りは、菌体処理物を利用することも可能である。
斯かる医薬品は、当該微生物を固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬品製剤の形態で投与することができる。このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、凍結乾燥製剤等が挙げられる。これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水等が挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤、賦形剤等の慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
また、当該微生物は、上記のような製剤とするだけでなく、飲食品に配合して使用することもできる。飲食品に配合する場合は、当該微生物をそのまま、または種々の栄養成分と共に含有せしめればよい。この飲食品は、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の持つ優れた特性に応じ、種々の薬理作用を発揮する保健用食品又は食品素材として利用できる。斯かる飲食品は、飲食品として使用可能な添加剤を適宜使用し、慣用の手段を用いて食用に適した形態、すなわち、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペースト等に成形してもよく、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージ等の食肉加工食品、かまぼこ、ちくわ等の水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳に添加して使用したり、水、果汁、牛乳、清涼飲料、茶飲料等の飲料に添加して使用してもよい。なお、飲食品には、動物の飼料も含まれる。
さらに飲食品としては、当該微生物を利用した発酵乳、乳酸菌飲料、発酵豆乳、発酵果汁、発酵植物液等の発酵飲食品の例が挙げられる。これら発酵飲食品の製造は常法に従えばよい。例えば発酵乳を製造する場合は、まず、殺菌した乳培地に当該微生物を単独又は他の微生物と同時に接種培養し、これを均質化処理して発酵乳ベースを得る。次いで、別途調製したシロップ溶液を添加混合し、ホモゲナイザー等で均質化し、更にフレーバーを添加して最終製品に仕上げればよい。このようにして得られる発酵乳は、プレーンタイプ、ソフトタイプ、フルーツフレーバータイプ、固形状、液状等のいずれの形態の製品とすることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1 ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株に特異的な遺伝子の特定
以下の1)〜3)に示す手順により、ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株ゲノム配列より、当該菌株に特異的な145遺伝子を特定した。
1)遺伝子予測プログラムGeneHackerPlus(Yada,T. et al. 2001, DNA Research, 8, 97-106.)を用いて決定したビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株ゲノム配列上の全遺伝子領域について、各々の塩基配列を配列変換プログラムEMBOSS−Transeq(version 6.4.0.0)によりアミノ酸配列へと変換し、当該菌株の全アミノ酸配列を取得した。
2)これらのアミノ酸配列について、公共データベース上(Genbank、version 192.0)でゲノム情報が公開されているビフィドバクテリウム・ブレーベに属する細菌4菌株(ビフィドバクテリウム・ブレーベ DSM 20213T株、ビフィドバクテリウム・ブレーベ ACS−071−V−Sch8b株、ビフィドバクテリウム・ブレーベ UCC2003株、ビフィドバクテリウム・ブレーベ CECT 7263株)の全遺伝子のアミノ酸配列に対し、検索プログラムNCBI−blastp(version 2.2.25+)による相同性検索を行った。ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の全1966個の遺伝子のうち、e−value(偶然に誤った検索結果が含まれる期待値)が0.01未満且つカバー率が60%を上回る相同配列が、対照とした4菌株全てに認められなかった161の遺伝子を、当該菌株に特異的な遺伝子の候補とした。
尚、「カバー率」は、検索にかけたビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株のアミノ酸配列の全長に対して、他菌株との間に配列類似性が認められる領域が占める割合を意味し、以下のように算出される。「カバー率」=(「アライメント長」−「ギャップ数」)/「ビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の検索アミノ酸配列長」×100
3)次に、上記の161の遺伝子の塩基配列について、公共データベース上(Genbank、version 192.0)でゲノム全長の塩基配列が公開されているビフィドバクテリウム・ブレーベに属する細菌2菌株(ビフィドバクテリウム・ブレーベ ACS−071−V−Sch8b株、ビフィドバクテリウム・ブレーベ UCC2003株)のゲノム配列に対し、検索プログラムNCBI−blastn(version 2.2.25+)による相同性検索を行った。このうち、e−valueが0.01未満且つカバー率が100%且つギャップ数が0となる相同配列が、対照とした2菌株いずれにも認められなかった145の遺伝子(前記〔表1〕)を、ビフィドバクテリウム・ブレーベに属する細菌の中でYIT 12272株を特異的に検出するための遺伝子として抽出した。
上記表1の145の遺伝子のうち、配列番号1〜36に示す36の遺伝子は、米国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information、NCBI)で公開されている全アミノ酸配列データベースを用いてe−valueが0.01未満で検索した際に、該当する相同配列が存在せず、全微生物に対して新規のアミノ酸配列をコードする遺伝子である。
また、表1の配列番号37〜55に示す19の遺伝子は、e−valueが0.01未満且つカバー率が60%を超える条件で検索した際には該当する相同配列が存在しない遺伝子である。
実施例2 特異的遺伝子の配列に基づいた特異的プライマーの作製
(1)プライマーの作製
配列番号1〜145の本発明の遺伝子からランダムに選出した表2に示す18遺伝子を対象として、各遺伝子の5’末端及び3’末端部の塩基配列を基に、遺伝子全長を増幅するプライマーをDNA合成機を用いて作製した(表2、配列番号146〜181)。
また陽性対照として、16SrRNA遺伝子の共通配列領域、及びビフィドバクテリウム・ブレーベの菌種内での配列共通性が極めて高いdnaA遺伝子を用い、これらの領域を増幅するプライマーを同様に作製した(表2、配列番号182〜185)。
Figure 0006412865
(2)鋳型DNAの抽出
表3に示した由来の異なるビフィドバクテリウム・ブレーベに属する13菌株を、GAM培地(日水製薬社製)に1%グルコース及び1.5%アガーを添加した平板培地にて嫌気的に37℃で72時間培養した。出現したコロニーの1つを50μLのTEバッファー(10mM Tris、1mM EDTA、pH8.0)に懸濁し、98℃で2分間処理してDNAを抽出した。加熱処理後は直ちに氷冷し、4℃、15,000rpmで5分間遠心した上清を鋳型DNA溶液として下記のPCR反応に供試した。
Figure 0006412865
(3)PCR反応
7.5μLのEmeraldAmp PCR Master Mix(タカラ社製)、0.2μM プライマー、0.5μLの鋳型DNA溶液を水で総量を15μLとした反応液を、iCycler(バイオ・ラッド社製)により、98℃10秒、60℃30秒、72℃120秒で30サイクルのPCR反応を行った。
(4)YIT 12272株の特異的検出
上記PCR反応による増幅産物の有無から各プライマーと各菌株DNAとの結合能を観察することにより、表2に示した18遺伝子がビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株に特異的な遺伝子であるか、及びこれら遺伝子が当該菌株を特異的に検出することに利用できるかを検証した。PCR反応後の反応液に対して、Mupid−exU(アドバンス社製)を用いて、1%アガロースゲルによる100V、25分の電気泳動を行い、0.5mg/mlのエチジウムブロマイドにて染色後、UV照射下で増幅産物を観察した。各プライマーを用いた時の増幅産物の有無は表4に示す通りとなった。これより、表2に示した18遺伝子がビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株に特異的であること及びこれら遺伝子を当該菌株を特異的に検出することに利用できることが明らかとなった。
Figure 0006412865

Claims (3)

  1. 配列番号56、60、64、6、12、74、18、23、78、39、86、26、47、33、111、115、122及び128からなる18遺伝子のいずれか1つ以上を標的とすることを特徴とするビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の特異的検出方法。
  2. 配列番号56、60、64、6、12、74、18、23、78、39、86、26、47、33、111、115、122及び128からなる18遺伝子のいずれか1つ以上を標的とすることを特徴とするビフィドバクテリウム・ブレーベ YIT 12272株の定量方法。
  3. 配列番号56、60、64、6、12、74、18、23、78、39、86、26、47、33、111、115、122及び128からなる18遺伝子又はその発現産物のいずれか1つ以上の存在及び/又は発現量を指標とすることを特徴とする当該遺伝子を有する微生物のスクリーニング方法。
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