JP6414172B2 - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、L方向:280mm×C方向:30mm幅の鋼を試料として、電子線マイクロアナライザー(EPMA)解析によって測定した表面の酸素カウント値と、鋼中のS量と、焼鈍後の粗大結晶粒の存在の有無との関係を示す。焼鈍条件は、均熱温度1200℃、均熱時間60分、0.05Paの低圧雰囲気とした。圧延方向に20mm以上の粒径を有する結晶粒を粗大結晶粒とし、その存在の有無については、有の場合は×、無の場合は○で示した。
EPMA解析は、EPMA-1600シリーズ(島津製作所製)の装置によって、電子線の加速電圧は15kV、スポットサイズは20μm、1点のサンプリング時間は70msecの条件下で行った。ここで、酸素カウント値とは、O-Kα線カウント値であり、サンプリング時間を70msecとしたときの波長分散型検出器による総カウント数を意味する。
本発明はかかる知見に基づきなされたもので、以下のような構成を有する。
C:0.0050%以下、
Si:1.00%以上5.00%以下、
P:0.1000%以下、
Mn:2.00%以下
S:0.0009%以下および
Ca:0.0005%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
鋼板の表層における(100)面の傾きが圧延面に対して3°以内である結晶粒の総面積率が70%以上であって、圧延方向、圧延方向に対して直角の方向、および圧延方向に対して45°の方向における磁束密度B50の最大値と最小値との差が0.10T未満であり、かつ該結晶粒の前記鋼板の圧延方向における平均粒径が10mm以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
質量%で、
SbおよびSnのいずれか1種または2種を合計で0.030%以下、含有することを特徴とする、上記1に記載の無方向性電磁鋼板。
前記冷間圧延は、計N回(N=2,3)行い、各冷間圧延の間には中間焼鈍を行い、
N−1回目の冷間圧延における圧延率は80%以下であり、かつ最終の冷間圧延率は40%以上80%未満であり、
前記最終焼鈍は、1.0Pa以下かつ1100℃以上の雰囲気で行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
該熱間圧延後の鋼板を冷間圧延して最終板厚とし、
該最終板厚を有する鋼板を、1.0Pa以下の低圧雰囲気で、1100℃以上の温度で焼鈍し、
前記鋼素材は、PとSとの含有量(ppm)の積が400未満であり、
前記焼鈍に供される鋼板は、その表層の酸素量が、サンプリング時間を70msec、加速電圧を15kV、スポットサイズを20μmとしたときの波長分散型検出器によるO-Kα線カウント値の総数で250カウント値以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
Cが高いと、磁気時効し、磁気特性を劣化させることから、0.0050%以下とする。より高温環境下での鋼板の使用に伴う磁気時効の抑制する観点や、過度にC含有量を低くすることによる製造コストの増大の観点から、さらに好ましい範囲は、0.0003%以上0.0030%以下である。また、鋼中にSiO2が存在する場合には、低圧雰囲気での焼鈍中に、
SiO2+2C → Si+2CO
と推定される反応によって脱炭が進むことから、Cが0.0030%から0.0050%の範囲であっても、最終的には磁気時効に悪影響を与えない0.0030%以下程度にすることができる。
Siは、比抵抗を増大する元素であり、渦電流損を改善させることが可能であるため、1.00%以上の添加は必須である。一方で、過度に添加すると、磁束密度を減少させるため、5.00%以下とする。より好ましい範囲は、1.50%以上4.00%以下である。
Mnは、比抵抗を増大する元素であるが、過度に添加するとコストが増大するため2.00%以下にする。MnS生成によるフェライト粒の微細化を抑制するため、特に好ましくは、0.12%以下である。下限については製鋼段階での過度な脱Mnコストが生じないよう0.001%とするのが好ましい。これによって、MnSの体積分率が減少し、インヒビタとしての粒成長抑制力が弱まり、低圧雰囲気での焼鈍中に(100)の面方位を有する結晶粒の異常粒成長が抑制され、安定的に<001>軸が圧延面内にランダムに分布した結晶粒群((100)[0vw]ともいう)を優先成長させることが可能である。
Pは、鋼板を高強度化し、打ち抜き性を改善させる効果があるが、一方で、鋼板を脆化させるため、上限を0.1000%とする。また、最終冷間圧延前に非酸化性雰囲気にて高温焼鈍してSを純化させない場合には、Pの含有量は、S(ppm)×P(ppm)<400を満たすようにする。
Sは、MnSを形成し、粒成長性を損なうだけでなく、表面酸化物の形成を促進するため、特に低減する必要がある。そのためには、0.0009%以下とする。より好ましくは、0.0007%以下とする。また、最終冷間圧延前に非酸化性雰囲気にて高温焼鈍してSを純化させない場合には、Sの含有量は、S(ppm)×P(ppm)<400を満たすようにする。
Caは、脱酸や固溶Sを析出するために添加され、これらの析出物が十分粗大に析出すれば、固溶S低減によって、粒成長抑制効果を減じる効果が認められるものの、析出物が不可避的に微細に鋼中に分散すると、正常粒成長ならびに異常粒成長を抑制するため、添加しないことが好ましい。よって、0.0005%以下とする。より好ましくは、0.0002%以下である。
SbおよびSnは、表面に偏析して、焼鈍中鋼板内部への窒素侵入を抑制し、磁気特性劣化の原因となる窒化物の形成を抑制することから、必要に応じて添加してもよい。
ただし、過度に添加された場合には、コストを増大するため、SbおよびSnの少なくともいずれかを合計で0.030%以下とする。より好ましくは、0.010%以下である。
Alは、AlNを形成し、粒成長性を著しく損なうため、0.0050%以下とする。より好ましくは、0.0040%以下である。
Nは、Al、Siと窒化物を形成し、磁気特性を劣化させるため、0.0030%以下とする。より好ましくは、0.0020%以下である。
本発明の無方向性電磁鋼板は、(100)の面方位を有する結晶粒が優先的に存在していることとする。
結晶方位は、リガク社製のX線単結晶方位測定装置を使用し、ラウエ回折スポットの解析により測定した。
結晶粒径は、研磨・エッチングした試料表面から光学顕微鏡で測定し、1結晶粒iのL方向粒径をdi、面積率をSiとしたとき、平均結晶粒径はΣdi×Siにて定義した。特に1mm以上の結晶粒においては、光学顕微鏡では、粒界の観察が困難であったので、結晶方位測定によって、隣接する結晶粒の方位差(α角、β角)が0.5°以内であれば、結晶粒界は無いものとし、その境界に隣接する2つの結晶は同一の結晶粒に含まれると判断した。
上記成分組成の数値範囲となるように調整したスラブについて、1200℃以下で再加熱を行う。熱延最終圧延スタンドの出側における板温は800℃以上が好ましい。フェライト組織が粗大化し、冷延焼鈍後の(111)面方位の生成を抑制することができるためである。より好ましくは850℃以上である。スラブの再加熱温度が1200℃より高くなると、粒成長抑制の原因となるMnSやAlNの微細分散が生じる。より好ましくは、再加熱温度は1150℃以下である。
実施例を以下に示す。はじめに表2に示す成分を有する鋼を、ラボでの低圧雰囲気溶解試験にて溶解、鋳造、切削加工して作製したスラブを1150℃に再加熱し、板厚1.8mmあるいは1.3mmまで熱間圧延した。板厚を1.3mmまで熱間圧延した条件は、表3のNo.20からNo.24のみである。仕上げ温度は840℃、巻き取り温度は550℃とした。その後の工程を表3に、得られた特性を表4(熱延板焼鈍温度:950℃)および表5(熱延板焼鈍温度:1020℃)に示す。ここで、表面調整条件とは、熱間圧延後、最終焼鈍前までにおいて行う表面酸化物除去の工程の有無を示したものである。本工程が「有り」の場合は、鋼板をフッ化水素酸と過酸化水素酸の混合液に5sec〜2minの間、浸漬させた。また、磁気特性は、280mm×30mmのサイズの試料を切出し、歪取り焼鈍を行い、エプスタイン試験で評価した。ここで、280mmの方向が、圧延方向のものと、圧延直交方向のもの、さらに圧延方向から-45°および45°面内に傾いた方向のものの4セットを測定し、それぞれの平均値を求めた。また、ΔB50の評価は、280mm×30mmの板1枚1枚をSSTにより評価してB50を求め、L方向、C方向、D方向(−45°傾いたものと45°傾いたものの平均値)のB50のうち、最大値から最小値を引いた値として求めた。表4、5中には、ΔB50が0.10T以上のものには×、0.10T未満には〇と評価した。
また、結晶粒径は、500μm×500μmの領域の光学顕微鏡観察の結果および上述の結晶方位測定の結果をもとに導出した。
表6に示す成分を有する鋼を、ラボでの低圧雰囲気溶解試験にて溶解、鋳造、切削加工して作製したスラブを1200℃に再加熱し、板厚3.0mmまで熱間圧延した。仕上げ温度は880℃、巻き取り温度は580℃とした。その後の工程を、表7に示す条件で行った。熱延板焼鈍は省略し、最終仕上げ厚は0.1mmとした。表面調整はしていない。得られた特性を表8に示す。
Claims (5)
- 質量%で、
C:0.0050%以下、
Si:1.00%以上5.00%以下、
P:0.1000%以下、
Mn:2.00%以下
S:0.0009%以下および
Ca:0.0005%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
鋼板の表層における(100)面の傾きが圧延面に対して3°以内である結晶粒の総面積率が70%以上であって、圧延方向、圧延方向に対して直角の方向、および圧延方向に対して45°の方向における磁束密度B50の最大値と最小値との差が0.10T未満であり、かつ該結晶粒の前記鋼板の圧延方向における平均粒径が10mm以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。 - 前記成分組成は、さらに、
質量%で、
SbおよびSnのいずれか1種または2種を合計で0.030%以下、含有することを特徴とする、請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。 - 請求項1または2に記載の成分組成を有する鋼素材を熱間圧延し、冷間圧延し、最終焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法であって、
前記冷間圧延は、計N回(N=2,3)行い、各冷間圧延の間には中間焼鈍を行い、
N−1回目の冷間圧延における圧延率は80%以下であり、かつ最終の冷間圧延率は40%以上80%未満であり、
前記最終焼鈍は、1.0Pa以下かつ1100℃以上の雰囲気で行うことを特徴とする請求項1または2に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。 - 前記いずれかの冷間圧延前に、1050℃以上の非酸化性雰囲気で焼鈍を行うことを特徴とする、請求項3に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
- 請求項1または2に記載の成分組成を有する鋼素材を熱間圧延し、
該熱間圧延後の鋼板を冷間圧延して最終板厚とし、
該最終板厚を有する鋼板を、1.0Pa以下の低圧雰囲気で、1100℃以上の温度で焼鈍し、
前記鋼は、PとSとの含有量(ppm)の積が400未満であり、
前記焼鈍に供される鋼板は、その表層の酸素量が、サンプリング時間を70msec、加速電圧を15kV、スポットサイズを20μmとしたときの波長分散型検出器によるO-Kα線カウント値の総数で250カウント値以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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