JP6417465B2 - 物質の遺伝毒性の評価方法 - Google Patents
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Description
(1)試験物質に曝露した細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4)該(3)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5)取得した各変異を、塩基対の変異パターンに従って分類すること;
(6)該(5)で得られた変異パターンの各々の変異頻度を決定すること、
を含む、方法を提供する。
(1’)試験物質に曝露した細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2’)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3’)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4’)該(3’)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5’)取得した変異の各々について、該参照配列に基づいて、変異前の塩基と、該変異前の塩基の上流及び下流に隣接する塩基とを含むコンテクスト配列を決定すること;
(6’)該(4’)で取得した各変異を、該(5’)で決定したコンテクスト配列及び変異後の塩基の種類に従ってタイプ分けすること;
(7’)該(6’)で得られた変異タイプの各々の変異頻度を決定すること、
を含む、方法を提供する。
(1”)試験物質に曝露した細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2”)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3”)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列における該参照配列に対して塩基が挿入もしくは欠失した部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4”)該(3”)で検出した部位を、挿入もしくは欠失変異を有する変異部位として取得すること;
(5”)取得した変異の各々について、挿入もしくは欠失の塩基長、及び/又は挿入された塩基の種類を決定すること;
(6”)該(5”)で決定された挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入された塩基の種類ごとの変異頻度を決定すること、
を含む、方法を提供する。
(1)がん細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4)該(3)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5)取得した各変異を、塩基対の変異パターンに従って分類すること;
(6)該(5)で得られた変異パターンの各々の変異頻度を決定すること、
を含む、方法を提供する。
(1)培養細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4)該(3)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5)取得した各変異を、塩基対の変異パターンに従って分類すること;
(6)該(5)で得られた変異パターンの各々の変異頻度を決定すること、
を含む、方法を提供する。
本明細書において、「変異(又は突然変異)」(mutation)とは、DNAに生じる突然変異をいい、例えば、DNAにおける塩基又は配列の欠失、挿入、置換、付加、逆位、及び転座が挙げられる。本明細書における変異は、1塩基の欠失、挿入、置換、付加、ならびに2以上の塩基からなる配列の欠失、挿入、置換、付加、逆位、及び転座を包含する。また本明細書における変異には、コード領域及び非コード領域における変異が含まれ、また発現するアミノ酸の変化を伴う変異及び伴わない変異(サイレント変異)が含まれる。
高スループットシーケンシングを用いた遺伝毒性評価方法により、変異原により引き起こされた変異の量や質を直接的に評価できると期待される。また、このような方法は、ゲノム配列が利用可能であれば、基本的には全ての生物種に適用可能と考えられる。一方で、非特許文献4のような従来の高スループットシーケンシングを用いた遺伝毒性評価方法では、一部位での塩基の変異の検出のために、その部位を含む多数のリード配列を全て整列させて比較するという方法をとるため、大量の配列情報が必要となり、配列情報の取得及び変異部位の検出に多大な時間、労力及びコストを要する。また、物質曝露による変異は、一般的には非常に低頻度であり集団内の個々の細胞に均等に発生するわけではないため、非特許文献4のような単一細胞の解析では、細胞集団内での変異頻度や、変異原が細胞集団に及ぼす影響を正確に評価することは難しいと考えられる。非特許文献5記載の方法でも、解析に供したサンプルの遺伝情報は依然として均質であったことから、その結果は細胞集団の情報を反映していたとは言い難い。遺伝毒性の評価では、個々の細胞に入った低頻度な変異を如何に検出するか、及びそれに基づいて、集団に対する遺伝毒性をどのように評価するかが重要なポイントである。
(A)細胞集団由来のDNAを取得する;
(B)該DNAのフラグメント(すなわちオリジナルフラグメント)をシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得る;
(C)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出する;
(D)該1つ以上のリード配列について検出した部位を、変異部位として取得する;
(E)該変異部位における変異の情報を取得し、該情報に基づいて変異の傾向を解析する。
本発明の方法の好ましい実施形態として、PCRを行う次世代シーケンサーを用いたDNAフラグメントのシーケンシング、及び参照配列との比較による解析対象DNAにおける変異の解析の手順を以下に詳述する。
さらに、取得された変異情報のデータベースに基づいて、細胞集団における変異の傾向を調べることができる。好ましくは、本発明により解析される変異としては、DNAの塩基対を別の塩基対に変化させる塩基対置換型変異、及びDNAの配列中に短い塩基配列の挿入や欠失を引き起こす短い挿入・欠失変異が挙げられる。塩基対置換型変異としては、1塩基対置換型変異、及び2塩基対又は3塩基対以上が置換した多塩基対置換型変異が挙げられる。このうち本発明では、好ましくは1塩基対置換型変異が解析される。本発明により、これらの変異の変異パターン及び変異頻度を決定することができる。以下、その解析手順を詳述する。
一実施形態においては、1塩基対置換型変異が解析される。本実施形態においては、上述したように各オリジナルフラグメントからの1以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較し、各リード配列における該参照配列と塩基がマッチしない部位を検出する。これらの部位は、参照配列に対して塩基対置換型変異を有する変異部位として取得される。次いで、検出した変異部位の塩基の種類と変異前の塩基に基づいて、各変異を塩基の変異パターンに従って分類する。次いで、該塩基の変異パターンの各々について、出現頻度を決定する。これらの手順は、上述したPython等のプログラミング言語を用いて作成したプログラム等を用いて行うことができる。
(i) 参照配列上の塩基がAである位置に存在する塩基
(ii) 参照配列上の塩基がTである位置に存在する塩基
(iii)参照配列上の塩基がGである位置に存在する塩基
(iv) 参照配列上の塩基がCである位置に存在する塩基
上記(i)及び(ii)は、参照配列の塩基対がATであった部位に存在する塩基であり、上記(iii)及び(iv)は、参照配列の塩基対がGCであった部位に存在する塩基である。これらの塩基の中から、参照配列と塩基がマッチしない(すなわち塩基対置換変異している)ものを検出する。次いで、検出された変異した塩基の各々について、上記(i)〜(iv)の分類に基づいて、参照配列の塩基情報から該変異部位に存在していた変異前の塩基対を求め、また各リード配列の塩基情報に基づいて変異後の塩基対を求める。これらのデータから、各変異を、変異前の塩基対がATであった場合について[AT→TA、AT→CG、及びAT→GC]の3パターン、変異前の塩基対がGCであった場合について[GC→TA、GC→CG、及びGC→AT]の3パターンの、全部で6つの塩基対の変異パターンに分類することができる。さらに、各変異パターンに属する変異の総数、及び解析した塩基の総数に基づいて、各変異パターンの出現頻度を決定することができる。例えば、AT、GC塩基対それぞれについての解析した塩基の総数に基づいて、各々の塩基対ごとに3種類の変異パターンの出現頻度を算出することができる。
近年、がん細胞のゲノム上に蓄積された変異情報から、変異原が引き起こした変異の要素(変異シグニチャー)を数学的手法で抽出するアプローチが提案されている。ヒトの様々ながんゲノムに蓄積された変異情報から、様々な変異シグニチャーが同定されている(Cell Rep, 2013, 3:246-259)。変異シグニチャーの理論においては、塩基対置換型変異の変異パターンを該塩基対が位置する前後のシーケンスコンテクストに基づいて分類する。シーケンスコンテクスト解析を行うことにより、塩基対置換型変異のより詳細な解析が可能になる。
さらに別の一実施形態においては、短い挿入・欠失変異が解析される。本実施形態においては、上述したようにリード配列をそれぞれ参照配列と比較することによって、各リード配列における該参照配列に対して塩基が挿入又は欠失されている部位を検出する。これらの部位は、参照配列に対して挿入又は欠失変異を有する変異部位として取得される。さらに、取得された各変異について、変異のタイプ(挿入変異か又は欠失変異か)、該挿入もしくは欠失部位の塩基長、及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類を決定する。本実施形態で検出される挿入もしくは欠失部位としては、好ましくは挿入もしくは欠失した塩基の長さが10bp以下、より好ましくは1〜5bpである部位がよいが、これに限定されない。特定の塩基長の挿入もしくは欠失部位を検出する手順は、上述したPython等のプログラミング言語を用いて作成したプログラムを用いて行うことができる。さらに、各リード配列と参照配列との比較によって、挿入もしくは欠失した塩基の種類を同定することができる。これらにより、各リード配列における挿入もしくは欠失部位の塩基長、及び/又は挿入もしくは欠失部位の塩基の種類を決定することができる。次いで、挿入もしくは欠失の頻度を、塩基長及び/又は塩基の種類ごとに決定する。例えば、各リード配列について取得した挿入もしくは欠失変異を塩基長ごとに分類し、それぞれの頻度を決定することができる。また例えば、挿入もしくは欠失した塩基をその種類(A、T、G、及びC)ごとに分類し、それぞれの頻度を決定することができる。さらに、該塩基長及び塩基の種類による分類を組み合わせたより細かい変異の分類を行い、それぞれの頻度を決定することができる。
上述の手順に従ってリード配列と参照配列との比較により検出された変異は、シーケンシングにおける塩基読み取りエラーを含み得る。より高精度な変異解析のためには、このエラー成分を除去することが好ましい。エラー成分の除去は、解析対象の細胞集団の変異頻度から、対照の細胞集団の変異頻度を差し引くことによって行うことができる。さらに、解析対象の細胞集団が特定の条件に曝された細胞集団である場合、解析対象と対照との変異頻度の差を求めることによって、当該特定の条件が変異頻度に及ぼす影響の解析が可能になる。例えば、解析対象とする細胞集団が、特定の条件に曝された細胞集団、例えば、変異原に曝された細胞集団、薬物を投与された細胞集団などである場合、これらの条件に曝されていない同じ細胞集団を対照の細胞集団とする。この対照の細胞集団について、上記と同様の手順で塩基対置換型変異の解析、シーケンスコンテクスト解析、又は挿入・欠失変異の解析を行い、変異頻度を決定する。得られた対照の細胞集団の変異頻度を、解析対象の細胞集団の変異頻度から差し引く。これにより、解析対象の細胞集団の変異頻度からシーケンシングエラーの成分を除去するとともに、当該特定の条件による変異頻度の増加の有無、又は当該特定の条件下での対照に対する変異頻度増加量を調べることができる。さらに、変異頻度の解析を、上述したオリジナル塩基に従った分類に基づいて行うと、塩基の修飾に起因するシーケンシングエラーを検出することができるため好ましい。
上述した本発明による変異解析方法により、細胞集団に生じた変異を定量的かつ定性的に解析することができる。本発明の解析方法は、変異に関連する様々な解析又は評価に応用することができる。代表的な応用例としては、物質の遺伝毒性の評価、腫瘍発生に伴う変異の評価方法(例えば、がん細胞における変異の評価、及びcfDNAにおける変異の評価方法)、ならびに培養細胞の品質管理(例えば変異の有無又は変異タイプの評価等の遺伝情報の評価)である。
(3−1−1.塩基対置換型変異の解析に基づく評価)
本発明による試験物質の遺伝毒性の評価方法の一実施形態は、上述した塩基対置換型変異の解析に基づく。当該方法は、
(1)試験物質に曝露した細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4)該(3)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5)取得した各変異を、塩基対の変異パターンに従って分類すること;
(6)該(5)で得られた変異パターンの各々の変異頻度を決定すること、
を含む。
(7)該試験物質に曝露していない該細胞集団を対照群とし、該(1)〜(6)と同様の手順で、該対照群における各塩基対の変異パターンの変異頻度を決定すること;
(8)該(6)で得られた試験群における各変異パターンの変異頻度から、該(7)で得られた対照群における各変異パターンの変異頻度を引き算すること。
これにより、シーケンシングエラーの影響を除去した試験群における変異頻度増加量を求めることができる。
本発明による試験物質の遺伝毒性の評価方法のさらなる一実施形態は、上述したシーケンスコンテクスト解析に基づく。当該方法は、
(1’)試験物質に曝露した細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2’)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3’)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4’)該(3’)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5’)取得した変異の各々について、該参照配列に基づいて、変異前の塩基と、該変異前の塩基の上流及び下流に隣接する塩基とを含むコンテクスト配列を決定すること;
(6’)該(4’)で取得した各変異を、該(5’)で決定したコンテクスト配列及び変異後の塩基の種類に従ってタイプ分けすること;
(7’)該(6’)で得られた変異タイプの各々の変異頻度を決定すること、
を含む。
(8’)該試験物質に曝露していない該細胞集団を対照群とし、該(1’)〜(7’)と同じ手順で、対照群における各変異タイプの変異頻度を決定すること;
(9’)該(7’)で得られた試験群における各変異タイプの変異頻度から、該(8’)で得られた対照群における各変異タイプの変異頻度を引き算すること。
これにより、シーケンシングエラーの影響を除去した試験群における変異頻度増加量を求めることができる。
本発明による試験物質の遺伝毒性の評価方法のさらなる一実施形態は、上述した短い挿入もしくは欠失変異の解析に基づく。当該方法は、
(1”)試験物質に曝露した細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2”)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3”)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列における該参照配列に対して塩基が挿入もしくは欠失した部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4”)該(3”)で検出した部位を、挿入もしくは欠失変異を有する変異部位として取得すること;
(5”)取得した変異の各々について、挿入もしくは欠失の塩基長、及び/又は挿入された塩基の種類を決定すること;
(6”)該(5”)で決定された挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入された塩基の種類ごとの変異頻度を決定すること、
を含む。
(7”)該試験物質に曝露していない該細胞集団を対照群とし、該(1”)〜(6”)と同様の手順で、対照群における挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類ごとの変異頻度を決定すること;
(8”)前記(6”)で得られた試験群における挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類ごとの変異頻度から、該(7”)で得られた対照群における変異頻度を引き算すること。
これにより、シーケンシングエラーの影響を除去した試験群における変異頻度増加量を求めることができる。
(3−2−1.がん細胞における変異の評価方法)
本発明の別の好ましい実施形態として、がん細胞における変異の評価方法が提供される。該方法の具体的手順は、基本的には上述した試験物質の遺伝毒性の評価方法と同じである。ただし試験群としては、がん細胞の集団を使用する。あるいは、がん細胞集団の代わりに、がんが疑われる細胞や、がん化リスクを評価したい細胞の集団を試験群として用いてもよい。対照群としては、非がん細胞(例えば正常細胞)の集団やがん化リスクの低い細胞の集団を使用する。当該方法は、がん種に特有の変異の傾向を特定したり、がん化リスクを評価したり、がんの進行度や悪性度を確認するために有用である。がん細胞における変異の評価に関しては、(2−2−2.)に示したようなシーケンスコンテクスト解析により、より詳細な解析が可能になる。これまでにも、ヒトのがんゲノム解析において、変異を、3塩基のコンテクストに基づいて96通り(4×6×4)、あるいは5塩基のコンテクストに基づいて1536通り(4×4×6×4×4)に分類したことが報告されている(Cell Rep, 2013, 3:246-259)。
本発明の別の好ましい実施形態として、血中セルフリーDNA(cfDNA)の解析が提供される。cfDNAは、ヒトの腫瘍形成の低侵襲な診断方法として着目されている。cfDNAは血漿や血清、尿などのリキッドバイオプシーから得られる。該方法のcfDNA解析への適用に関する具体的手順は、基本的には上述した試験物質の遺伝毒性の評価方法と同じである。ただし試験群のDNAとしては、がん細胞集団から取得したDNAの代わりに、がん患者のヒト等から採取したリキッドバイオプシー中のcfDNAを使用する。対照群としては、例えば健常なヒト由来のcfDNAや、予め採取しておいたがんを患う前の時点における同一のヒトのcfDNAを用いる。当該方法は、がん患者に特有のcfDNA中の変異の傾向を特定したり、がんの進行度や悪性度を確認したりするのに有用である。
本発明の別の好ましい実施形態として、培養細胞の遺伝情報の評価方法が提供される。該方法の具体的手順は、基本的には上述した試験物質の遺伝毒性の評価方法と同じである。ただし試験群としては、変異の有無を調べたい培養細胞の集団を使用する。例えば、試験群としては、ある一定期間継代した細胞であって、その変異の傾向を確認したいものなどが挙げられる。対照群としては、同じ種類の培養細胞であって、遺伝情報既知の(例えば変異の有無及びその変異タイプが確認されている)細胞の集団を使用する。例えば、対照群としては、継代に供する前の細胞などが挙げられる。当該方法によって、培養細胞の変異の有無又はその変異タイプを評価することができる。当該方法は、培養細胞の品質管理のために有用である。
上記実施形態のいずれにおいても、参照配列としては、試験群の細胞集団のDNA中の既知配列を使用することができる。該参照配列は、公共のデータベース等に登録されている配列を使用することが好ましいが、上記本発明の方法に先立って予めシーケンサー等で配列決定した該細胞集団のゲノムDNA中の配列であってもよい。
(1)試験物質に曝露した細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4)該(3)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5)取得した各変異を、塩基対の変異パターンに従って分類すること;
(6)該(5)で得られた変異パターンの各々の変異頻度を決定すること、
を含む、方法。
前記(3)において、該抽出されたリード配列上の塩基を参照配列の塩基と比較する、
〔1〕記載の方法。
前記リード配列に含まれる塩基を下記(i)〜(iv)に分けること、
(i) 参照配列上の塩基がAである位置に存在する塩基
(ii) 参照配列上の塩基がTである位置に存在する塩基
(iii)参照配列上の塩基がGである位置に存在する塩基
(iv) 参照配列上の塩基がCである位置に存在する塩基
該リード配列に含まれる塩基の中から、参照配列と塩基がマッチしないものを検出し、当該塩基の存在する部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること、
検出されたマッチしない塩基の各々について、該変異部位における変異前及び変異後の塩基対を取得すること、及び
該変異部位の塩基対置換型変異を、変異前の塩基対と変異後の塩基対の種類に従って、AT→TA、AT→CG、AT→GC、GC→TA、GC→CG、及びGC→ATの6つの塩基対の変異パターンに分類すること、
を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載の方法。
(7)前記試験物質に曝露していない前記細胞集団を対照群とし、前記(1)〜(6)と同様の手順で、該対照群における各塩基対の変異パターンの変異頻度を決定すること;
(8)前記(6)で得られた試験群における各変異パターンの変異頻度から、該(7)で得られた対照群における各変異パターンの変異頻度を引き算すること、
を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項記載の方法。
(1’)試験物質に曝露した細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2’)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3’)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4’)該(3’)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5’)取得した変異の各々について、該参照配列に基づいて、変異前の塩基と、該変異前の塩基の上流及び下流に隣接する塩基とを含むコンテクスト配列を決定すること;
(6’)該(4’)で取得した各変異を、該(5’)で決定したコンテクスト配列及び変異後の塩基の種類に従ってタイプ分けすること;
(7’)該(6’)で得られた変異タイプの各々の変異頻度を決定すること、
を含む、方法。
前記(3’)において、該抽出されたリード配列上の塩基を参照配列の塩基と比較する、
〔7〕記載の方法。
前記リード配列に含まれる塩基を下記(i)〜(iv)に分けること、
(i) 参照配列上の塩基がAである位置に存在する塩基
(ii) 参照配列上の塩基がTである位置に存在する塩基
(iii)参照配列上の塩基がGである位置に存在する塩基
(iv) 参照配列上の塩基がCである位置に存在する塩基
該リード配列に含まれる塩基の中から、参照配列と塩基がマッチしないものを検出し、当該塩基の存在する部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること、
検出されたマッチしない塩基の各々について、該変異部位における変異前及び変異後の塩基対を取得すること、
該変異部位の塩基対置換型変異を、変異前の塩基対と変異後の塩基対の種類に従って、AT→TA、AT→CG、AT→GC、GC→TA、GC→CG、及びGC→ATの6つの塩基対の変異パターンに分類すること、
該変異部位における変異前の塩基と、該変異前の塩基の上流に隣接する1以上の塩基と、該変異前の塩基の下流に隣接する1以上の塩基とからなるコンテクスト配列を決定すること、及び
該6つの塩基対の変異パターンと該コンテクスト配列に従って、該塩基対置換型変異をタイプ分けすること、
を含む、〔7〕〜〔9〕のいずれか1項記載の方法。
(8’)前記試験物質に曝露していない前記細胞集団を対照群とし、前記(1’)〜(7’)と同じ手順で、対照群における各変異タイプの変異頻度を決定すること;
(9’)前記(7’)で得られた試験群における各変異タイプの変異頻度から、該(8’)で得られた対照群における各変異タイプの変異頻度を引き算すること、
を含む、〔7〕〜〔11〕のいずれか1項記載の方法。
(1”)試験物質に曝露した細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2”)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3”)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列における該参照配列に対して塩基が挿入もしくは欠失した部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4”)該(3”)で検出した部位を、挿入もしくは欠失変異を有する変異部位として取得すること;
(5”)取得した変異の各々について、挿入もしくは欠失の塩基長、及び/又は挿入された塩基の種類を決定すること;
(6”)該(5”)で決定された挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入された塩基の種類ごとの変異頻度を決定すること、
を含む、方法。
前記(3”)において、該抽出されたリード配列上の塩基を参照配列の塩基と比較する、
〔13〕記載の方法。
(7”)前記試験物質に曝露していない前記細胞集団を対照群とし、前記(1”)〜(6”)と同様の手順で、対照群における挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入された塩基の種類ごとの変異頻度を決定すること;
(8”)前記(6”)で得られた試験群における挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入された塩基の種類ごとの変異頻度から、該(7”)で得られた対照群における該変異頻度を引き算すること、
を含む、〔13〕〜〔16〕のいずれか1項記載の方法。
(1)がん細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4)該(3)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5)取得した各変異を、塩基対の変異パターンに従って分類すること;
(6)該(5)で得られた変異パターンの各々の変異頻度を決定すること、
を含む、方法。
(1)培養細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4)該(3)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5)取得した各変異を、塩基対の変異パターンに従って分類すること;
(6)該(5)で得られた変異パターンの各々の変異頻度を決定すること、
を含む、方法。
前記(4)において、該抽出されたリード配列上の塩基を参照配列の塩基と比較する、
〔21〕又は〔22〕記載の方法。
前記リード配列に含まれる塩基を下記(i)〜(iv)に分けること、
(i) 参照配列上の塩基がAである位置に存在する塩基
(ii) 参照配列上の塩基がTである位置に存在する塩基
(iii)参照配列上の塩基がGである位置に存在する塩基
(iv) 参照配列上の塩基がCである位置に存在する塩基
該リード配列に含まれる塩基の中から、参照配列と塩基がマッチしないものを検出し、当該塩基の存在する部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること、
検出されたマッチしない塩基の各々について、該変異部位における変異前及び変異後の塩基対を取得すること、及び
該変異部位の塩基対置換型変異を、変異前の塩基対と変異後の塩基対の種類に従って、AT→TA、AT→CG、AT→GC、GC→TA、GC→CG、及びGC→ATの6つの塩基対の変異パターンに分類すること、
を含む、〔21〕〜〔24〕のいずれか1項記載の方法。
(7)前記(1)〜(6)と同様の手順で、対照群における各塩基対の変異パターンの変異頻度を決定すること;
(8)前記(6)で得られた試験群における各変異パターンの変異頻度から、該(7)で得られた対照群における各変異パターンの変異頻度を引き算すること、
を含む、〔21〕〜〔26〕のいずれか1項記載の方法。
前記方法が、がん細胞における変異の評価方法であり、前記対照群が、非がん細胞集団であるか、又は、
前記試験群が、がんが疑われる細胞又はがん化リスクを評価したい細胞の集団であり、前記対照群が、非がん細胞集団又はがん化リスクの低い細胞の集団であり、かつ前記方法によって細胞のがん化リスクが評価される、
〔27〕記載の方法。
(1’)がん細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2’)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3’)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4’)該(3’)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5’)取得した変異の各々について、該参照配列に基づいて、変異前の塩基と、該変異前の塩基の上流及び下流に隣接する塩基とを含むコンテクスト配列を決定すること;
(6’)該(4’)で取得した各変異を、該(5’)で決定したコンテクスト配列及び変異後の塩基の種類に従ってタイプ分けすること;
(7’)該(6’)で得られた変異タイプの各々の変異頻度を決定すること、
を含む、方法。
(1’)培養細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2’)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3’)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4’)該(3’)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5’)取得した変異の各々について、該参照配列に基づいて、変異前の塩基と、該変異前の塩基の上流及び下流に隣接する塩基とを含むコンテクスト配列を決定すること;
(6’)該(4’)で取得した各変異を、該(5’)で決定したコンテクスト配列及び変異後の塩基の種類に従ってタイプ分けすること;
(7’)該(6’)で得られた変異タイプの各々の変異頻度を決定すること、
を含む、方法。
前記(3’)において、該抽出されたリード配列上の塩基を参照配列の塩基と比較する、
〔30〕又は〔31〕記載の方法。
前記リード配列に含まれる塩基を下記(i)〜(iv)に分けること、
(i) 参照配列上の塩基がAである位置に存在する塩基
(ii) 参照配列上の塩基がTである位置に存在する塩基
(iii)参照配列上の塩基がGである位置に存在する塩基
(iv) 参照配列上の塩基がCである位置に存在する塩基
該リード配列に含まれる塩基の中から、参照配列と塩基がマッチしないものを検出し、当該塩基の存在する部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること、
検出されたマッチしない塩基の各々について、該変異部位における変異前及び変異後の塩基対を取得すること、
該変異部位の塩基対置換型変異を、変異前の塩基対と変異後の塩基対の種類に従って、AT→TA、AT→CG、AT→GC、GC→TA、GC→CG、及びGC→ATの6つの塩基対の変異パターンに分類すること、
該変異部位における変異前の塩基と、該変異前の塩基の上流に隣接する1以上の塩基と、該変異前の塩基の下流に隣接する1以上の塩基とからなるコンテクスト配列を決定すること、及び
該6つの塩基対の変異パターンと該コンテクスト配列に従って、該塩基対置換型変異をタイプ分けすること、
を含む、〔30〕〜〔33〕のいずれか1項記載の方法。
(8’)前記(1’)〜(7’)と同じ手順で、対照群における各変異タイプの変異頻度を決定すること;
(9’)前記(7’)で得られた試験群における各変異タイプの変異頻度から、該(8’)で得られた対照群における各変異タイプの変異頻度を引き算すること、
を含む、〔30〕〜〔35〕のいずれか1項記載の方法。
前記方法が、がん細胞における変異の評価方法であり、前記対照群が、非がん細胞集団であるか、又は、
前記試験群が、がんが疑われる細胞又はがん化リスクを評価したい細胞の集団であり、前記対照群が、非がん細胞集団又はがん化リスクの低い細胞の集団であり、かつ前記方法によって細胞のがん化リスクが評価される、
〔36〕記載の方法。
(1”)がん細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2”)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3”)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列における該参照配列に対して塩基が挿入もしくは欠失した部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4”)該(3”)で検出した部位を、挿入もしくは欠失変異を有する変異部位として取得すること;
(5”)取得した変異の各々について、挿入もしくは欠失の塩基長、及び/又は挿入された塩基の種類を決定すること;
(6”)該(5”)で決定された挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入された塩基の種類ごとの変異頻度を決定すること、
を含む、方法。
(1”)培養細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2”)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3”)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列における該参照配列に対して塩基が挿入もしくは欠失した部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4”)該(3”)で検出した部位を、挿入もしくは欠失変異を有する変異部位として取得すること;
(5”)取得した変異の各々について、挿入もしくは欠失の塩基長、及び/又は挿入された塩基の種類を決定すること;
(6”)該(5”)で決定された挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入された塩基の種類ごとの変異頻度を決定すること、
を含む、方法。
前記(3”)において、該抽出されたリード配列上の塩基を参照配列の塩基と比較する、
〔39〕又は〔40〕記載の方法。
(7”)前記(1”)〜(6”)と同様の手順で、対照群における挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入された塩基の種類ごとの変異頻度を決定すること;
(8”)前記(6”)で得られた試験群における挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入された塩基の種類ごとの変異頻度から、該(7”)で得られた対照群における該変異頻度を引き算すること、
を含む、〔39〕〜〔43〕のいずれか1項記載の方法。
前記方法が、がん細胞における変異の評価方法であり、前記対照群が、非がん細胞集団であるか、又は、
前記試験群が、がんが疑われる細胞又はがん化リスクを評価したい細胞の集団であり、前記対照群が、非がん細胞集団又はがん化リスクの低い細胞の集団であり、かつ前記方法によって細胞のがん化リスクが評価される、
〔44〕記載の方法。
本実施例では、変異頻度既知の合成DNAサンプルを本発明の試験方法で解析して変異を定性及び定量評価することによって、本発明の解析方法の有効性を検証した。
様々な変異パターンを既知の量で含む合成DNAサンプルを調製した。模式図1に、DNAサンプル調製手順の概念図を示す。1000bpのランダムな配列を有する合成DNA配列(配列番号1;以下、ランダムDNA配列と称する)を合成した。このランダムDNA配列には、GC、AT塩基対が約50%ずつ存在した。このランダムDNA配列をベースに、変異(塩基対置換型変異又は短い挿入・欠失変異)を導入したDNA配列(以下、変異DNA配列とする)を調製した。以下に詳細を説明する。
1.で調製した各変異サンプル及び対照サンプルについて、次世代シーケンサーHiSeq2500(イルミナ社製、以下、HiSeqとも称する)を用いて標準プロトコールに従って、塩基配列を解読した。その際、DNAは超音波処理により平均約150bpの長さにフラグメント化し、各フラグメント両端にアダプターを付加して、2×125bpのリード長でシーケンシングした。サンプルあたり、平均で1.9Gbpの塩基配列情報を得た。
シーケンシングによって得られたリード配列の編集及び解析フローの概念図を模式図2に示す。まず、Cutadaptソフトウェア(Martin,2011)を用い、各リード末端のアダプター配列の除去及び、クオリティの低い塩基の除去を行った。
i)HiSeqでは、シーケンシングに供されたDNAフラグメント(オリジナルフラグメント)一つにつき、片側からリード1配列を読み取った後、反対側からそのペアとなるリード2配列を取得する。そこで、Cutadaptの選定をパスした各ペアのリード配列について、PEARソフトウェアを用い、両リードの配列が対を形成する部分を重ね合わせ、一本の合成リード(Conjugated Read)を構築した。合成リードの配列の塩基は、全てリード1にあわせた。合成リードにおける各塩基のクオリティ値は、リード1とリード2の塩基が相補的である場合には両塩基のクオリティ値の和、両リードの塩基が相補的でない場合にはクオリティ値の大きい方の値から小さい方のクオリティ値を引いた値を採用した。これにより、クオリティ値の違いにしたがって、合成リードにおける各塩基のうち、リード1と2の塩基が対形成していたものを選別することができる。
ii)作製した各オリジナルフラグメントについての合成リードを、Bowtie2ソフトウェアを用いて、参照配列(ランダムDNA配列を挿入したpTAKN−2ベクターの配列)にマッピングし、Samフォーマットのファイルを作成した。
iii)得られたSamファイルを、Samtoolsソフトウェアを用いてpileupフォーマットに変換した。この際、塩基のクオリティ値をもとに、解析対象の塩基情報を、ペアのリードの重なり領域において両リードの塩基が相補的に対形成していた範囲に限定した。
iv)得られたpileupフォーマットを、プログラミング言語Pythonを用いて作成したプログラムを用いた変異解析に供した。
1)塩基対置換型変異の検出
1塩基対置換型変異についての変異解析アルゴリズムの概念図を模式図3に示す。解析に供したpileupフォーマットから、プログラミング言語Pythonを用いて作成したプログラムを用いて、リード配列中の全解析対象塩基を、対応する参照配列の塩基がAである群、Tである群、Gである群、及びCである群の4群に分類した。次いで、各群に振り分けられた塩基の総数、及び変異した塩基を検出した。得られたデータから、変異前のAT塩基対106bpあたりに占めるAT塩基対の各変異パターン(AT→TA、AT→CG、AT→GC)の変異コール割合、及び変異前のGC塩基対106bpあたりに占めるGC塩基対の各変異パターン(GC→TA、GC→CG、GC→AT)の変異コール割合を算出した。
次に、変異サンプルの変異コール割合から、対照サンプルの変異コール割合を差し引くことによって、シーケンスエラーを含む背景エラーを除外し、対照サンプルに対する変異サンプルでの変異頻度の増加量(以下、変異頻度増加量という)を算出した。算出した変異頻度増加量を図2に示す。いずれの変異パターンにおいても、変異頻度増加量と、導入した変異頻度は概ね一致しており、本方法により約105bpに一つの頻度の塩基対置換型変異を検出できたことが示された。
短い挿入・欠失変異については、プログラミング言語Pythonを用いて作成したプログラムを用いて、ランダムDNA配列に対して10bp以下の長さで挿入又は欠失した塩基を全て検出し、その挿入又は欠失長さ(bp)、及び挿入又は欠失塩基の種類ごとに出現頻度を計数した。さらに、前述した塩基対置換型変異の解析と同様に、対照サンプルの変異頻度を差し引いて背景エラーを除外し、変異頻度増加量を算出した。挿入変異の変異頻度増加量の結果を図3に示す。図3Aは挿入された塩基の長さ(bp)、図3Bは挿入された塩基の種類について、変異頻度増加量を示している。本方法により、約105bpに一つの頻度の短い挿入変異を検出することができた。また、挿入変異と同様の方法により一塩基欠失についても検討し、約105bpに一つの頻度の短い欠失変異を検出することができた(データは示さない)。
本実施例では、様々な変異情報を含むDNAにおける塩基対置換型変異、及び短い挿入・欠失変異について、量(頻度)及び質(変異パターン)を含む総合的な変異情報を高感度に取得することができた。これらの結果から、本発明の解析方法によりDNA中に存在する低頻度の変異を定性的かつ定量的に解析できることが示された。
本実施例では、本発明の解析方法による、変異原への曝露によって生物のゲノムに生じた変異パターンの定性及び定量解析により、該変異原の遺伝毒性を解析した。変異原としてEthylnitrosourea(ENU、CAS No.759−73−9)を用いた。変異原に曝露する生物として、塩基対置換型の変異を検出可能な、Ames試験に汎用されるサルモネラ菌TA100株を使用した。実験は、独立した3回の操作を行い、サンプルを調製した(n=3)。
変異原への曝露は、Ames試験のプレインキュベーション法(K. Mortelmans et al., Mutat. Res. - Fundam. Mol. Mech. Mutagen., 2000, 455, 29-60)に準拠して実施した。TA100株を2mLのニュートリエントブイヨン No.2(Oxoid社製)に植菌し、37℃、180rpmで4時間振とう培養し、O.D.660値が1.0以上の前培養液を得た。ENU(54%;シグマアルドリッチ社製)は、ジメチルスルホキシド(DMSO;和光純薬工業製)で希釈した。試験管内に、適切な濃度に希釈したENU溶液100μL、0.1Mリン酸バッファー500μL、及び前培養液100μLを添加し(ENU濃度:67.5、135、270、405、540、810、及び1080μg/tube、37℃のウォーターバス中で20分間、100rpmで振とう培養した。対照群としては、ENU溶液の代わりに溶媒(DMSO)100μLを添加した。20分間振とう培養後、培養液を含む試験管をウォーターバスから取り出し、予め分注しておいた2mLのNutrient Broth溶液に培養液50μLを添加し、37℃、180rpmで14時間追培養した後、菌懸濁液を1mL回収し、7500rpmで5分間遠心し、上清を除去し、菌体を回収した。
1.で得られた菌体から、DNeasy Blood & Tissue Kit(キアゲン社製)を用い、推奨プロトコールに従って、Total DNAを回収した。
2.で回収した対照群及びENU処理群からのTotal DNA液を用いて、次世代シーケンサーHiSeq2500(イルミナ社製)により、標準プロトコールに従って塩基配列を解読した。その際、DNAは超音波処理により平均約150bpの長さにフラグメント化し、各フラグメント両端にアダプターを付加して、2×125bpのリード長でシーケンシングした。サンプルあたり、平均で5.0Gbpの塩基配列情報を得た。
シーケンシングによって得られたリード配列の編集及び変異解析は、実施例1と同様に、模式図2に示す解析フローの概念図に従って、Cutadaptソフトウェア、PEARソフトウェア、Bowtie2ソフトウェア、Samtoolsソフトウェア、及びプログラミング言語Pythonを用いて作成したプログラムを用いて行った。本実施例においては、Bowtie2ソフトウェアでのマッピング後、Picard tools(broadinstitute.github.io/picard/)を用いて、PCR duplicatesの除去を行った。
実施例1と同様の手順で、プログラミング言語Pythonを用いたプログラムを用いて、参照配列に対してマッピングされた全リード配列中の全解析対象塩基を、対応する参照配列の塩基によって4群に振り分け、次いで各群の塩基の総数、及び参照配列に対して変異した塩基を検出した。変異した塩基を参照配列の塩基と比較することで、ENU処理群及び対照群それぞれについて、解析対象塩基中におけるAT塩基対、GC塩基対の各106bpにおける各変異パターン(AT→TA、AT→CG、AT→GC、及びGC→TA、GC→CG、GC→AT)、及び各変異パターンの変異コール割合を算出した。対照群とENU処理群間における各変異パターンの頻度についての統計学的検定は、変異パターンごとにDunnettの多重比較検定にて行った。
本検討では、シーケンスコンテクストに基づいて変異コール割合を解析した。すなわち、5.で得られた変異コール情報及び参照配列の情報をもとに、各々の変異コール箇所の塩基対の変異タイプを検出した。さらに参照配列の情報をもとに、各変異コール箇所及びその両隣の塩基を含む3塩基の情報を収集した。各変異コール箇所の変異を、6通りの塩基対変異タイプに、その両隣の塩基情報(4×4=16通り)をかけ合わせた96通りのタイプに分類した。このシーケンスコンテクストに基づく96通りの変異タイプについて、各々の変異コール割合(/106bp)を算出した。各変異タイプについて、ENU処理群における変異コール割合から対照群の変異コール割合を差し引くことにより、ENU曝露による変異頻度増加量を算出した。
1)Ames試験の復帰突然変異体数
表3にENU曝露後の復帰突然変異コロニー数を示す。データは3枚のプレートの測定値の平均及び標準偏差を示す。ENU曝露により、復帰変異突然変異体数の増加が認められたことから、ENU曝露によりTA100株のゲノム中に変異が導入されたことが示された。
ENU処理群(ENU濃度135、270、405及び540μg/tube)について、5.で算出した変異頻度増加量を図4に示す。ENU曝露によって、複数の塩基対の変異パターンの頻度に増加が認められた。GC塩基対においては、GC>AT変異の頻度の増加が認められた(図4A)。一方、AT塩基対においては、主にAT>TA、及びAT>GC変異の頻度の増加が認められた(図4B)。
HiSeqにおいては、リード1の配列がシーケンシング反応に供された元のDNA断片(オリジナルフラグメント)に対応している。したがって、リード1配列の塩基が参照配列のA、T、G及びCのいずれの塩基にマップされたかを調べることにより、オリジナルフラグメントの変異箇所における変異前の塩基(すなわち、オリジナル塩基)を確認できる。
背景エラー頻度はオリジナル塩基によって異なり得るため、変異パターンをオリジナル塩基に従ってさらに分類し、各分類の変異頻度増加量を求めた。すなわち、上記5.で求めた対照サンプル及び変異サンプルにおける6つの塩基対変異パターンのそれぞれを、オリジナル塩基の種類によってさらに2つずつに分類し、各分類の変異頻度を求めた。次いで、変異サンプルの変異頻度から対応する対照サンプルの変異頻度を差し引いて、変異頻度増加量を算出した。
次に、ENU540μg/tube群で増加の認められた各変異パターンの変異頻度増加量をもとに、変異スペクトルの解析を行った。具体的には、各変異パターンの106bpにおける変異頻度増加量を合計し、各変異パターンの全体に占める割合を算出した。結果を図6及び表4に示す。最も多く頻度増加の認められた変異パターンはGC>AT変異であり、次に割合の高かった変異パターンはAT>GC変異であった。これは非特許文献5において、Ames試験菌株の一つであるYG7108株において認められたENUの変異パターンと同様の結果であったことから、本方法により、ENUによる変異パターンを正確に検出できたことが示唆された。
シーケンスコンテクスト解析で算出された変異頻度増加量を図7及び8に示す。図中の変異パターンの表記は、変異した塩基対のうちのピリミジン塩基の変異パターン(C>A、C>G、C>T、T>A、T>C及びT>G)と、該ピリミジン塩基とその両隣の塩基を含む3塩基配列(例えば、C>Tにおいて該C塩基がAとTに挟まれていた場合は、ACTと表記される)で表されている。本解析において最も変異頻度増加量の大きかったC>T変異においては、Cの3’塩基側にピリミジン塩基(C又はT)の位置するコンテクストにおいて、変異頻度増加量が高くなる傾向が認められた。これは、アルキル化剤による変異シグニチャーの示したパターン(図7〜8中のSigniture 11、Nature, 2013, 500(7463):415-421参照)と類似しており、ENUがアルキル化剤であることと矛盾しない結果となった。この結果から、シーケンスコンテクスト解析は、変異原の遺伝毒性メカニズムの推定や、ヒトの発がんにおける役割を簡便に推定することができる有用な方法であると考えられた。
Claims (28)
- 試験物質の遺伝毒性の評価方法であって、
(1)試験物質に曝露した細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4)該(3)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5)取得した各変異を、塩基対の変異パターンに従って分類すること;
(6)該(5)で得られた変異パターンの各々の変異頻度を決定すること;
(7)該試験物質に曝露していない該細胞集団を対照群とし、該(1)〜(6)と同様の手順で、該対照群における各塩基対の変異パターンの変異頻度を決定すること;
(8)該(6)で得られた試験群における各変異パターンの変異頻度から、該(7)で得られた対照群における各変異パターンの変異頻度を引き算すること、
を含む、方法。 - 前記(2)で得られたリード配列の塩基から、シーケンシングによる読み取りの信頼度の高い塩基を抽出することをさらに含み、かつ
前記(3)において、該抽出されたリード配列上の塩基を参照配列の塩基と比較する、
請求項1記載の方法。 - 前記(3)〜(5)が、
前記リード配列に含まれる塩基を下記(i)〜(iv)に分けること、
(i) 参照配列上の塩基がAである位置に存在する塩基
(ii) 参照配列上の塩基がTである位置に存在する塩基
(iii)参照配列上の塩基がGである位置に存在する塩基
(iv) 参照配列上の塩基がCである位置に存在する塩基
該リード配列に含まれる塩基の中から、参照配列と塩基がマッチしないものを検出し、当該塩基の存在する部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること、
検出されたマッチしない塩基の各々について、該変異部位における変異前及び変異後の塩基対を取得すること、及び
該変異部位の塩基対置換型変異を、変異前の塩基対と変異後の塩基対の種類に従って、AT→TA、AT→CG、AT→GC、GC→TA、GC→CG、及びGC→ATの6つの塩基対の変異パターンに分類すること、
を含む、請求項1又は2記載の方法。 - 試験物質の遺伝毒性の評価方法であって、
(1')試験物質に曝露した細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2')該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3')該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4')該(3')で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5')取得した変異の各々について、該参照配列に基づいて、変異前の塩基と、該変異前の塩基の上流及び下流に隣接する塩基とを含むコンテクスト配列を決定すること;
(6')該(4')で取得した各変異を、該(5')で決定したコンテクスト配列及び変異後の塩基の種類に従ってタイプ分けすること;
(7')該(6')で得られた変異タイプの各々の変異頻度を決定すること;
(8')該試験物質に曝露していない該細胞集団を対照群とし、該(1')〜(7')と同じ手順で、対照群における各変異タイプの変異頻度を決定すること;
(9')該(7')で得られた試験群における各変異タイプの変異頻度から、該(8')で得られた対照群における各変異タイプの変異頻度を引き算すること、
を含む、方法。 - 前記(2')で得られたリード配列の塩基から、シーケンシングによる読み取りの信頼度の高い塩基を抽出することをさらに含み、かつ
前記(3')において、該抽出されたリード配列上の塩基を参照配列の塩基と比較する、
請求項4記載の方法。 - 前記(3')〜(6')が、
前記リード配列に含まれる塩基を下記(i)〜(iv)に分けること、
(i) 参照配列上の塩基がAである位置に存在する塩基
(ii) 参照配列上の塩基がTである位置に存在する塩基
(iii)参照配列上の塩基がGである位置に存在する塩基
(iv) 参照配列上の塩基がCである位置に存在する塩基
該リード配列に含まれる塩基の中から、参照配列と塩基がマッチしないものを検出し、当該塩基の存在する部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること、
検出されたマッチしない塩基の各々について、該変異部位における変異前及び変異後の塩基対を取得すること、
該変異部位の塩基対置換型変異を、変異前の塩基対と変異後の塩基対の種類に従って、AT→TA、AT→CG、AT→GC、GC→TA、GC→CG、及びGC→ATの6つの塩基対の変異パターンに分類すること、
該変異部位における変異前の塩基と、該変異前の塩基の上流に隣接する1以上の塩基と、該変異前の塩基の下流に隣接する1以上の塩基とからなるコンテクスト配列を決定すること、及び
該6つの塩基対の変異パターンと該コンテクスト配列に従って、該塩基対置換型変異をタイプ分けすること、
を含む、請求項4又は5記載の方法。 - 試験物質の遺伝毒性の評価方法であって、
(1")試験物質に曝露した細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2")該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3")該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列における該参照配列に対して塩基が挿入もしくは欠失した部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4")該(3")で検出した部位を、挿入もしくは欠失変異を有する変異部位として取得すること;
(5")取得した変異の各々について、挿入もしくは欠失の塩基長、及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類を決定すること;
(6")該(5")で決定された挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類ごとの変異頻度を決定すること;
(7")該試験物質に曝露していない該細胞集団を対照群とし、該(1")〜(6")と同様の手順で、対照群における挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類ごとの変異頻度を決定すること;
(8")該(6")で得られた試験群における挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類ごとの変異頻度から、該(7")で得られた対照群における該変異頻度を引き算すること、
を含む、方法。 - 前記(2")で得られたリード配列の塩基から、シーケンシングによる読み取りの信頼度の高い塩基を抽出することをさらに含み、かつ
前記(3")において、該抽出されたリード配列上の塩基を参照配列の塩基と比較する、
請求項7記載の方法。 - 前記参照配列とマッチしない塩基を検出したリード配列上の部位を、該部位における該塩基のリード配列間での出現頻度に基づいて該部位を変異部位として決定する工程を行うことなく、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得する、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
- 前記参照配列に対して塩基が挿入もしくは欠失したリード配列上の部位を、該挿入もしくは欠失部位のリード配列間での出現頻度に基づいて該部位を変異部位として決定する工程を行うことなく、挿入もしくは欠失変異を有する変異部位として取得する、請求項7又は8記載の方法。
- 前記塩基対置換型変異が、1塩基対置換型変異、2塩基対置換型変異、又は3塩基対置換型変異である、請求項1〜6及び9のいずれか1項記載の方法。
- 前記細胞集団が、サルモネラ菌細胞集団および大腸菌細胞集団からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
- 前記サルモネラ菌がS.Typhimurium LT−2株、TA100株、TA98株、TA1535株、TA1538株又はTA1537株である、請求項12記載の方法。
- がん細胞における変異の評価方法であって、
(1)がん細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4)該(3)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5)取得した各変異を、塩基対の変異パターンに従って分類すること;
(6)該(5)で得られた変異パターンの各々の変異頻度を決定すること;
(7)該(1)〜(6)と同様の手順で、対照群における各塩基対の変異パターンの変異頻度を決定すること;
(8)該(6)で得られた試験群における各変異パターンの変異頻度から、該(7)で得られた対照群における各変異パターンの変異頻度を引き算すること、
を含む、方法。 - 培養細胞の遺伝情報の評価方法であって、
(1)培養細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2)該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3)該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4)該(3)で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5)取得した各変異を、塩基対の変異パターンに従って分類すること;
(6)該(5)で得られた変異パターンの各々の変異頻度を決定すること;
(7)該(1)〜(6)と同様の手順で、対照群における各塩基対の変異パターンの変異頻度を決定すること;
(8)該(6)で得られた試験群における各変異パターンの変異頻度から、該(7)で得られた対照群における各変異パターンの変異頻度を引き算すること、
を含む、方法。 - 前記(2)で得られたリード配列の塩基から、シーケンシングによる読み取りの信頼度の高い塩基を抽出することをさらに含み、かつ
前記(3)において、該抽出されたリード配列上の塩基を参照配列の塩基と比較する、請求項14又は15記載の方法。 - 前記(3)〜(5)が、
前記リード配列に含まれる塩基を下記(i)〜(iv)に分けること、
(i) 参照配列上の塩基がAである位置に存在する塩基
(ii) 参照配列上の塩基がTである位置に存在する塩基
(iii)参照配列上の塩基がGである位置に存在する塩基
(iv) 参照配列上の塩基がCである位置に存在する塩基
該リード配列に含まれる塩基の中から、参照配列と塩基がマッチしないものを検出し、当該塩基の存在する部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること、
検出されたマッチしない塩基の各々について、該変異部位における変異前及び変異後の塩基対を取得すること、及び
該変異部位の塩基対置換型変異を、変異前の塩基対と変異後の塩基対の種類に従って、AT→TA、AT→CG、AT→GC、GC→TA、GC→CG、及びGC→ATの6つの塩基対の変異パターンに分類すること、
を含む、請求項14〜16のいずれか1項記載の方法。 - がん細胞における変異の評価方法であって、
(1')がん細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2')該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3')該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4')該(3')で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5')取得した変異の各々について、該参照配列に基づいて、変異前の塩基と、該変異前の塩基の上流及び下流に隣接する塩基とを含むコンテクスト配列を決定すること;
(6')該(4')で取得した各変異を、該(5')で決定したコンテクスト配列及び変異後の塩基の種類に従ってタイプ分けすること;
(7')該(6')で得られた変異タイプの各々の変異頻度を決定すること;
(8')該(1')〜(7')と同じ手順で、対照群における各変異タイプの変異頻度を決定すること;
(9')該(7')で得られた試験群における各変異タイプの変異頻度から、該(8')で得られた対照群における各変異タイプの変異頻度を引き算すること、
を含む、方法。 - 培養細胞の遺伝情報の評価方法であって、
(1')培養細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2')該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3')該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列と該参照配列とで塩基がマッチしない部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4')該(3')で検出した部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること;
(5')取得した変異の各々について、該参照配列に基づいて、変異前の塩基と、該変異前の塩基の上流及び下流に隣接する塩基とを含むコンテクスト配列を決定すること;
(6')該(4')で取得した各変異を、該(5')で決定したコンテクスト配列及び変異後の塩基の種類に従ってタイプ分けすること;
(7')該(6')で得られた変異タイプの各々の変異頻度を決定すること;
(8')該(1')〜(7')と同じ手順で、対照群における各変異タイプの変異頻度を決定すること;
(9')該(7')で得られた試験群における各変異タイプの変異頻度から、該(8')で得られた対照群における各変異タイプの変異頻度を引き算すること、
を含む、方法。 - 前記(2')で得られたリード配列の塩基から、シーケンシングによる読み取りの信頼度の高い塩基を抽出することをさらに含み、かつ
前記(3')において、該抽出されたリード配列上の塩基を参照配列の塩基と比較する、
請求項18又は19記載の方法。 - 前記(3')〜(6')が、
前記リード配列に含まれる塩基を下記(i)〜(iv)に分けること、
(i) 参照配列上の塩基がAである位置に存在する塩基
(ii) 参照配列上の塩基がTである位置に存在する塩基
(iii)参照配列上の塩基がGである位置に存在する塩基
(iv) 参照配列上の塩基がCである位置に存在する塩基
該リード配列に含まれる塩基の中から、参照配列と塩基がマッチしないものを検出し、当該塩基の存在する部位を、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得すること、
検出されたマッチしない塩基の各々について、該変異部位における変異前及び変異後の塩基対を取得すること、
該変異部位の塩基対置換型変異を、変異前の塩基対と変異後の塩基対の種類に従って、AT→TA、AT→CG、AT→GC、GC→TA、GC→CG、及びGC→ATの6つの塩基対の変異パターンに分類すること、
該変異部位における変異前の塩基と、該変異前の塩基の上流に隣接する1以上の塩基と、該変異前の塩基の下流に隣接する1以上の塩基とからなるコンテクスト配列を決定すること、及び
該6つの塩基対の変異パターンと該コンテクスト配列に従って、該塩基対置換型変異をタイプ分けすること、
を含む、請求項18〜20のいずれか1項記載の方法。 - がん細胞における変異の評価方法であって、
(1")がん細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2")該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3")該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列における該参照配列に対して塩基が挿入もしくは欠失した部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4")該(3")で検出した部位を、挿入もしくは欠失変異を有する変異部位として取得すること;
(5")取得した変異の各々について、挿入もしくは欠失の塩基長、及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類を決定すること;
(6")該(5")で決定された挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類ごとの変異頻度を決定すること;
(7")該(1")〜(6")と同様の手順で、対照群における挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類ごとの変異頻度を決定すること;
(8")該(6")で得られた試験群における挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類ごとの変異頻度から、該(7")で得られた対照群における該変異頻度を引き算すること、
を含む、方法。 - 培養細胞の遺伝情報の評価方法であって、
(1")培養細胞集団を試験群とし、そのDNAを取得すること;
(2")該DNAのフラグメントをシーケンシングし、各フラグメントにつき1つ以上のリード配列を得ること;
(3")該1つ以上のリード配列をそれぞれ参照配列と比較して、該リード配列における該参照配列に対して塩基が挿入もしくは欠失した部位を検出すること、ここで該参照配列は、該DNA中の既知配列である;
(4")該(3")で検出した部位を、挿入もしくは欠失変異を有する変異部位として取得すること;
(5")取得した変異の各々について、挿入もしくは欠失の塩基長、及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類を決定すること;
(6")該(5")で決定された挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類ごとの変異頻度を決定すること;
(7")該(1")〜(6")と同様の手順で、対照群における挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類ごとの変異頻度を決定すること;
(8")該(6")で得られた試験群における挿入もしくは欠失部位の塩基長及び/又は挿入もしくは欠失した塩基の種類ごとの変異頻度から、該(7")で得られた対照群における該変異頻度を引き算すること、
を含む、方法。 - 前記(2")で得られたリード配列の塩基から、シーケンシングによる読み取りの信頼度の高い塩基を抽出することをさらに含み、かつ
前記(3")において、該抽出されたリード配列上の塩基を参照配列の塩基と比較する、
請求項22又は23記載の方法。 - 前記参照配列とマッチしない塩基を検出したリード配列上の部位を、該部位における該塩基のリード配列間での出現頻度に基づいて該部位を変異部位として決定する工程を行うことなく、塩基対置換型変異を有する変異部位として取得する、請求項14〜21のいずれか1項記載の方法。
- 前記参照配列に対して塩基が挿入もしくは欠失したリード配列上の部位を、該挿入もしくは欠失部位のリード配列間での出現頻度に基づいて該部位を変異部位として決定する工程を行うことなく、挿入もしくは欠失変異を有する変異部位として取得する、請求項22〜24のいずれか1項記載の方法。
- 前記塩基対置換変異が、1塩基対置換型変異、2塩基対置換型変異、又は3塩基対置換型変異である、請求項14〜21及び25のいずれか1項記載の方法。
- 前記検出に用いるリード配列の総量が、1×1010bp以下である、請求項1〜27のいずれか1項記載の方法。
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