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JP6420062B2 - 粘着剤および接着剤の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、粘着剤および接着剤の製造方法に関する。
シアノアクリレート系の瞬間接着剤やエポキシ系接着剤等が一般的な接着剤として広く知られている。
これらの接着剤は主に化石燃料由来の原料から合成されたものであり、資源の枯渇が近年の課題となっている。このため、自然界に豊富なバイオマスを利用したポリマー組成物の検討が進められている。
本発明者らも、生分解性、高耐熱性および高接着性を併せもつバイオプラスチック接着剤の検討を種々進めている。
この中で、ヒドロカフェ酸またはその誘導体を構成するモノマーとエステル結合可能なカルボキシル基および水酸基を有するモノマーを、エステル化触媒下で無溶媒エステル交換反応して得られる共重合体は、ホットメルトタイプで使用するときの接着強度が、ガラス・炭素・鉄を用いたずり剥離試験において、工業用最強の接着剤と言われるエポキシ樹脂を凌駕する値を示すものである(特許文献1参照)。
一方、粘着剤は、粘着テープ、保護フィルム、半導体プロセス等、幅広い分野で利用され、ベース樹脂にはゴム、アクリル樹脂等が用いられる。
粘着剤についても、接着剤の場合と同様に、自然界に豊富なバイオマスを利用したポリマー組成物の検討が進められている。
例えば、植物由来のエポキシ化大豆油を主原料とする粘着剤が検討されている(特許文献2参照)。
国際公開番号W02012/102174公報 特開2014−58629公報
カスタムメイド骨接合材料の開発ガイドライン2010、平成22年11月、経済産業省
本発明は、重合条件によって接着剤と粘着剤を単一組成の原料を用いて容易に作り分けることができる粘着剤および接着剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る粘着剤および接着剤の製造方法は、下記式(1)からなるモノマーと下記式(4)からなるモノマーを10:90〜90:10の配合比率で配合された重合原料を、100〜300℃の温度で、加熱時間を変えて、エステル共重合化することによって、ポリマーの分子量が7,000〜8,500g/molの粘着剤と、ポリマーの分子量が30,000〜60,000g/molの接着剤を作り分けることを特徴とする。
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本発明に係る粘着剤および接着剤の製造方法は、所定の2つのモノマーを重合原料とするため、重合時間などの条件を調整することにより、単一組成の原料を用いて接着剤と粘着剤を容易に作り分けることができる。
図1は3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と3,4−ジヒドロキシフェニルアラニンを共重合化する反応スキームの例を示す図である。 図2は3,4−ジヒドロキシ桂皮酸と4−ヒドロキフェニルアラニンを共重合化する反応スキームの例を示す図である。 図3は3,4−ジヒドロキシ桂皮酸と3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸を重合したときの重合体の分子量の重合時間依存性示す図である。 図4は本実施の形態例に係る接着剤原料用モノマーを用いて製造する接着剤が、分子量により、接着剤か粘着剤かとして振る舞うことを示す相図である。 図5は本実施の形態例に係る接着剤原料用モノマーを用いて製造する接着剤のずり強度の分子量依存性を示す図である。 図6は接着剤および粘着剤の粘着性の経時変化を示す図である。 図7は共重合体ポリマーのアセチル残基に長鎖アルキル基を反応させたポリマーの反応スキームの一例を示す図である。 図8は接着剤について、周波数を変えながら、弾性(G’)と粘性(G”)を同時に測った結果を示す図である。
本発明の実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、以下に説明する。
本実施の形態例に係る接着剤(この場合、接着剤と粘着剤の双方を含む広義の接着剤をいう。)原料用モノマーは、下記式(1)〜式(3)からなる群から選ばれるいずれか1種または2種以上のモノマーと下記式(4)〜式(6)からなる群から選ばれるいずれか1種または2種以上のモノマーを重合原料とする。
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式(1)〜式(3)のモノマーは、接着性官能基である、カテコール基(o−ジヒドロキシフェニル基)を有する。
式(1)で示されるモノマーは、3,4−ジヒドロキシヒドロ桂皮酸(3,4-Dihydroxyhydrocinnamic acid:略称DHHCA)である。DHHCAは、シナモンから抽出可能である。本実施の形態例において、原料モノマーとしてのDHHCAは市販試薬として入手することができる。
式(2)で示されるモノマーは、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸(3,4-Dihydroxycinnamic acid:略称DHCA)である。DHCAは、コーヒー豆から抽出可能である。本実施の形態例において、原料モノマーとしてのDHCAは市販試薬として入手することができる。
式(3)で示されるモノマーは、3−(3’,4’−ジヒドロキシフェニル)アラニン(3-(3’,4’-Dihydroxyphenyl)-L-alanine:略称DOPA)である。DOPAは、ムール貝などに含まれる接着性アミノ酸であり、抽出可能である。本実施の形態例において、原料モノマーとしてのDOPAは市販試薬として入手することができる。
式(4)〜式(6)のモノマーは、リニア鎖部分を有し、式(4)のモノマーは分子鎖に柔軟性を与え、式(5)のモノマーは剛直性を与え、式(6)のモノマーは極性を与えることができる。
式(4)で示されるモノマーは、3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(3-(3-Hydroxyphenyl)propionic acid:略称3HPPA)である。3HPPAはベリー類に豊富に含まれ、抽出可能である。本実施の形態例において、原料モノマーとしての3HPPAは市販試薬として入手することができる。
式(5)で示されるモノマーは、3−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロペン酸(3-(4-Hydroxyphenyl)-2-propene acid:略称4HCA)である。4HCAはサツマイモの茎などに豊富に含まれ、抽出可能である。本実施の形態例において、原料モノマーとしての3HCAは市販試薬として入手することができる。
式(6)で示されるモノマーは、タイロジン(Tyrosine:4-Hydroxyphenil alanine)である。Tyrosine(チロシンともいう。)は、じゃがいもから抽出可能である。本実施の形態例において、原料モノマーとしてのTyrosineは市販試薬として入手することができる。
式(1)〜式(6)のモノマーのなかで、DOPAおよびTyrosineを用いると、コレラノのモノマーがアミノ基により極性物質となるため、有機溶媒のなかで最も毒性の低いエタノールに可溶である。また、重合時間により分子量を制御し、モノマーのエタノールの溶解性を制御することができる。
本実施の形態例に係る接着剤原料用モノマーを用いた接着剤の製造方法は、好ましくは、リン酸塩系の触媒、好ましくは様々なアパタイトを触媒として、無水酢酸でアセチル化し、上記の2つの群のモノマーをエステル共重合化する。
共重合方法は、任意の方法を採用することができるが、塊状重合法または溶液重合法が好ましく、このうち塊状重合法がより好ましい。
例えば、塊状重合法の場合、原料モノマーを必要に応じてアセチル化した後、エステル化反応する。
反応温度は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは150〜200℃である。反応時間は、好ましくは3〜30時間、より好ましくは12〜24時間である。
3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と3,4−ジヒドロキシフェニルアラニンを共重合化する反応スキームの例を図1に、および3,4−ジヒドロキシ桂皮酸と4−ヒドロキフェニルアラニンを共重合化する反応スキームの例を図2に、それぞれ例示する。
接着剤製造時の式(1)〜(3)の群から選ばれるモノマーと式(4)〜(6)の群から選ばれるモノマーの配合比率は、10:90〜90:10である。
エステル化触媒として用いる無水酢酸およびアパタイトの量は、原料モノマーの総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜1質量部である。アパタイトとしてヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)を用いることは、好適な実施態様である。
図3に、3,4−ジヒドロキシヒドロ桂皮酸30mol%と3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸70mol%と無水酢酸10mLおよびアパタイト1mol%を150℃でアセチル化し、未反応の無水酢酸および副生成物の酢酸を減圧留去し、190℃,50〜100Paの条件で接着剤(以下、重合体ということがある。)を採取し、得られた重合体をDMFで溶解して1質量%溶液にし、0.25mL/min、40℃の条件で重合体の分子量を測った。重合時間依存性を示す。
重合時間2時間でいわゆる高分子領域である分子量104g/molに達し、その後分子量が増大するが、6時間以上では分子量の更なる増加は見られない。
図4に、3,4−ジヒドロキシヒドロ桂皮酸30mol%と3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸70mol%を共重合した重合体のDSC測定による融点(溶融温度)の分子量依存性を示す。図中、●プロットおよびこれを結ぶ実線は、分子量と融点の関係を示す。図中、■プロットおよびこれを結ぶ点線は、分子量とガラス転移温度(Tg)の関係を示す。重合体は融点以下では狭義の接着剤として利用でき、融点以上では粘着剤として利用でき、この特性により使用環境温度によって、使用わけできる。また、図より、例えば使用環境が45℃以下では,分子量が104g/molを大きく下回るものは粘着剤として利用でき、104g/molを大きく上回るものは室温で接着剤として利用できることがわかる。
図5に、重合体の接着強度の分子量依存性を示す。重合体は分子量が104g/molを大きく下回ると室温で粘性体となり、粘着力は1MPa以下となり粘着剤として使用でき、分子量が104g/molを大きく上回ると室温で弾性体となり接着力が1MPa以上となり接着剤として利用できる。
図6に、分子量の異なる重合体から接着剤および粘着剤について、粘着性の経時変化を測定した結果の一例を示す。
接着剤サンプルとして、Poly(DHHCA-co-3HPPA)(配合比率30mol% : 70mol%、分子量約5万2000)を用い、粘着剤サンプルとして、Poly(DHHCA-co-3HPPA)(配合比率30mol% : 70mol%、分子量約4800)を用い、それぞれガラスーガラス間での粘着力/接着力の経時変化を測定した。
2週間測定したが,あまり変化は見られなかった。通常の粘着剤は高分子鎖と基板間の相互作用(ファンデルワールス力)で粘着するため、経時変化は高分子と基板の相互作用の機会を増加させ,て粘着力が強くなっていくものと考えられるのに対して、本実施の形態例の粘着剤は,ファンデルワールス力ではなくカテコール基と基板の相互作用を起源としているためと考えられる。
以上の知見より、本実施の形態例に係る接着剤原料用モノマーを用いた接着剤の製造方法は、好ましくはポリマーの分子量が104g/molを大きく下回るように、より好ましくはポリマーの分子量を7,000〜8,500g/molの範囲になるように重合することで、粘着剤を得ることができ、一方、好ましくはポリマーの分子量が104g/molを大きく上回るように、より好ましくはポリマーの分子量を30,000〜60,000g/molの範囲になるように重合することで、接着剤を得ることができる。
分子量の調製方法は適宜の方法を採用することができ、例えば、重合時間を1時間以下として粘着剤を得ることができ、一方、重合時間を2時間以上として接着剤を得ることができる。また、重合時間に代えてあるいは重合時間とともに、接着剤原料用モノマーの組み合わせや配合条件を変えて得られるモノマーの分子量を調整することで、粘着剤と接着剤を作り分けることもできる。
以上説明したように、本実施の形態例に係る接着剤原料用モノマーは、式(1)〜式(3)で示されるいずれかのモノマーと式(4)〜式(6)で示されるいずれかのモノマーを重合することで接着剤を得るための原料である。接着剤原料用モノマーの重合条件を調整することで、同一原料モノマーを用いて粘着剤と接着剤(この場合、粘着剤を含まない狭義の接着剤をいう。)を作り分けることができる。
また、本実施の形態例に係る接着剤原料用モノマーは、天然物由来成分であるモノマーであるため、好ましい。
また、本実施の形態例に係る接着剤原料用モノマーを原料として得られる接着剤は、主鎖に天然物由来の芳香族環を含むため、化学的および物理的に比較的安定である。
なお、接着剤の製造において、本実施の形態例に係る接着剤原料用モノマーである式(1)〜式(6)以外のモノマーを必要に応じて適量使用することを排除するものではない。
また、本実施の形態例に係る接着剤原料用モノマーを原料とする接着剤の製造方法において、長鎖アルキル基を導入することは好適な実施態様である。
長鎖アルキル基原料としては、デカン酸、ラウリル酸、ステアリン酸等の天然の長鎖カルボン酸を好適に用いることができる。
共重合体ポリマーのアセチル残基に長鎖アルキル基を反応させたポリマーの反応スキームの一例を図7に示す。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明はこの実施例に限定されるものではない。
<Poly(DHHCA-co-3HPPA)重合接着剤および粘着剤の製造>
(原料)
3、4−ジヒドロキハイドロシンナモン酸(DHHCA)(シグマアルドリッチ社製、商品コード:STBB8922V)3.6gと3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(AK Scientific社製、商品コード:MFCD00002598)6.5gの混合物を重合原料に用いた。
(接着剤製造例)
上記の重合原料に無水酢酸10mLおよびヒドロキシアパタイト(純正化学株式会社製、商品コード:59272-1606)0.6gを加え、常圧、150℃の温度で2時間加熱し、DHHCAおよび3HPPAをアセチル化した。ついで、200Pa以下の真空引き条件下で190℃の温度で6時間加熱してエステル共重合化した。得られた重合体の分子量は56、064g/molであった。
(粘着剤製造例)
接着剤製造例と同じ原料を用い、同じ条件でDHHCAおよび3HPPAをアセチル化した。ついで、200Pa以下の真空引き条件下で190℃の温度で2時間加熱してエステル共重合化した。得られた重合体の分子量は7,372g/molであった。
(参考製造例)
接着剤製造例と同じ原料を用い、同じ条件でDHHCAおよび3HPPAをアセチル化した。ついで、200Pa以下の真空引き条件下で190℃の温度で4時間加熱してエステル共重合化した。得られた重合体の分子量は25,476g/molであった。
<粘着剤か接着剤かの判定>
レオメーター(HAAKE社製 型式MARSII)を用いて動的粘弾性測定を行い、粘着剤か接着剤かの判定の指標とした。
例えば、鉄はゆっくりさわっても早く触っても固く感じる(理想弾性体)。一方、水や蜂蜜はゆっくり触る(ゆっくり刺激を与える)と柔らかく、早く触ると固く感じる(粘弾性体)。また,液体ヘリウムや液体窒素は早く触ってもサラサラに感じる(理想粘性体)。触る速度を徐々に変えて、すなわちレオメーターで印加する正弦波の周波数を変えながら、応答する遅延位相で弾性率と粘性率を同時に測る。
測定は、25℃に温度を保持したパラレルプレートと呼ばれる直径10mmの板に厚みが約100μmの試料を配置し、応力を約10〜100MPa程度加え、周波数を変えながら、弾性(G’)と粘性(G”)を同時に測った。
測定結果を図8に示す。なお、図8中、Fcは、弾性(G’)と粘性(G”)が交差する周波数(Cross Over Frequency)を示す。
図8中、(1)分子量7,372g/molの重合体は、弾性項G’が加えた周波数の広い領域(触る速度として想定される広い範囲)で粘性項G”より低い値を示し、この重合体が粘着性を有することが分かる。なお、触る速度を極端に早くした場合に対応する周波数20HzではG’とG”が交差する。
図8中、(2)分子量25,476g/molの重合体は、高周波側では弾性項G’が優勢であり、一方、低周波側では粘性項G”が優勢であり、この重合体が、触る速度によって、言い換えれば使用条件によって粘着性と接着性の双方のいずれかの特性を示すことが分かる。
図8中、(3)分子量56、064g/molの重合体は、弾性項G’が加えた周波数の全ての領域で粘性項G”より高い値であり、この重合体が接着性を有することが分かる。なお、Fcはみられない。

Claims (2)

  1. 下記式(1)からなるモノマーと下記式(4)からなるモノマーを10:90〜90:10の配合比率で配合した重合原料を、100〜300℃の温度で、加熱時間を変えて、エステル共重合化することによって、ポリマーの分子量が7,000〜8,500g/molの粘着剤と、ポリマーの分子量が30,000〜60,000g/molの接着剤を造り分けることを特徴とする粘着剤および接着剤の製造方法
    Figure 0006420062
    Figure 0006420062
  2. 請求項1記載の粘着剤および接着剤の製造方法において、前記エステル共重合化の反応の触媒として無水酢酸とアパタイトを使用することを特徴とする粘着剤および接着剤の製造方法。
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