JP6420153B2 - ビニルアルコール系重合体フィルム - Google Patents
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Description
[1]60℃で1時間処理した後にパルスNMR測定(観測核:1H)することによって得られるスピン−スピン緩和時間T2から結晶成分量(a1)、拘束非晶成分量(a2)および非晶成分量(a3)を求めた際に、結晶成分量(a1)、拘束非晶成分量(a2)および非晶成分量(a3)の合計に対する結晶成分量(a1)および拘束非晶成分量(a2)の合計の占める割合が10〜32%である、PVAフィルムであって、当該PVAフィルムに含まれるPVAが、下記式(1)で示される構造単位(1)、下記式(2)で示される構造単位(2)および下記式(3)で示される構造単位(3)からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造単位を含み、構造単位(1)〜(3)の含有率をそれぞれn 1 〜n 3 モル%とし、ビニルエステル単位の含有率をn 4 モル%とした際に、0.6≦n 1 +n 2 +2×n 3 +n 4 ≦1.4を満たす、PVAフィルム;
[2]結晶成分量(a1)、拘束非晶成分量(a2)および非晶成分量(a3)の合計に対する拘束非晶成分量(a2)の占める割合が5%以上である、上記[1]のPVAフィルム;
[4]PVAフィルムに含まれるPVAが、下記式(3)で示される構造単位(3)を含まない、上記[1]〜[3]のいずれか1つのPVAフィルム;
[6]PVAフィルムに含まれるPVAの分子量分布が2.0〜4.0である、上記[1]〜[5]のいずれか1つのPVAフィルム;
[7]膨潤度が160〜240%である、上記[1]〜[6]のいずれか1つのPVAフィルム;
[8]光学フィルム製造用原反フィルムである、上記[1]〜[7]のいずれか1つのPVAフィルム;
[9]偏光フィルム製造用原反フィルムである、上記[8]のPVAフィルム;
[10]上記[8]または[9]のPVAフィルムを用いる光学フィルムの製造方法であって一軸延伸する工程を有する製造方法;
に関する。
一軸延伸における延伸温度は、30〜90℃の範囲内であることが好ましく、40〜80℃の範囲内であることがより好ましく、50〜70℃の範囲内であることが特に好ましい。
また、一軸延伸における延伸倍率は、得られる偏光フィルムの偏光性能の点から6.6倍以上であることが好ましく、6.8倍以上であることがより好ましく、7.0倍以上であることが特に好ましい。延伸倍率の上限は特に制限されないが、延伸倍率は8倍以下であることが好ましい。
以下の実施例及び比較例で使用したPVAの一次構造は、400MHz 1H−NMRを用いて分析した。1H−NMR測定時の溶媒は重水素化DMSOを用いた。
以下の実施例または比較例で得られたPVAフィルムを1.5gとなるようにカットし、30℃の蒸留水中に30分間浸漬した。30分間浸漬後に当該フィルムを取り出し、ろ紙で表面の水を取り、質量「N」を求めた。続いてそのフィルムを105℃の乾燥機で16時間乾燥した後、質量「M」を求めた。得られた質量「N」及び「M」から、下記式(8)によりPVAフィルムの膨潤度を算出した。
膨潤度(%) = 100 × N/M (8)
以下の実施例または比較例で得られたPVAフィルムから得たサンプル(100mg)を5mm×5mm程度の大きさに細断した後に重水1mLと共にNMRチューブに投入した。このNMRチューブを60℃の恒温槽中に1時間浸漬した。その後、20℃で24時間保管し、測定試料とした。この測定試料を、パルスNMR(ブルカー・バイオスピン株式会社製「minispec mq20 WVT」)を用いて1Hのスピン−スピン緩和時間T2を測定した。測定条件は以下の通りである。
・パルス系列:Solid−Echo法(90x−τ−90y)
・RFパルス幅(Pw1):2.1μs
・パルス間隔(Pi1):1μs
・パルス繰り返し時間:1s
・測定温度:30℃
上記測定で得られた自由誘導減衰(FID)信号を線形最小二乗法によって上記式(4)にフィッティングし、いずれも正の値である結晶成分量(a1)、拘束非晶成分量(a2)および非晶成分量(a3)を求め、これら3成分の量の合計に対する各成分の割合を算出した。
以下の実施例または比較例で得られたPVAフィルムの幅方向中央部から、幅5cm×長さ5cmの範囲が一軸延伸できるように幅5cm×長さ8cmのサンプルをカットした。このサンプルを30℃の純水に浸漬しつつ1.5倍に長さ方向に一軸延伸した。続いてヨウ素を0.03質量%及びヨウ化カリウムを3.0質量%の割合で含有する水溶液(染色浴)(温度30℃)に60秒間浸漬しつつ1.6倍(全体で2.4倍)に長さ方向に一軸延伸してヨウ素を吸着させた。次いで、ホウ酸を3質量%及びヨウ化カリウムを3質量%の割合で含有する水溶液(架橋浴)(温度30℃)に浸漬しつつ1.1倍(全体で2.6倍)に長さ方向に一軸延伸した。さらにホウ酸を4質量%及びヨウ化カリウムを6質量%の割合で含有する水溶液(延伸浴)に浸漬しつつ、切断するまで長さ方向に一軸延伸し、延伸前のPVAフィルムの長さに対する切断時の長さの倍率を限界延伸倍率とした。ただし、延伸浴の温度については、適当な温度から1℃ずつ変更して限界延伸倍率を測定し、限界延伸倍率が最も高くなる温度を選択した。
(1)透過率Tsの測定
以下の実施例または比較例で得られた偏光フィルムの中央部から、偏光フィルムの長さ方向に2cmのサンプルを2枚採取し、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製「V7100」)を用いて、JIS Z 8722(物体色の測定方法)に準拠し、C光源、2°視野の可視光領域の視感度補正を行い、1枚のサンプルについて、長さ方向に対して+45°傾けた場合の光の透過率と−45°傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの平均値Ts1(%)を求めた。もう1枚のサンプルについても同様にして、+45°傾けた場合の光の透過率と−45°傾けた場合の光の透過率を測定して、それらの平均値Ts2(%)を求めた。下記式(9)によりTs1とTs2を平均し、偏光フィルムの透過率Ts(%)とした。
Ts = (Ts1+Ts2)/2 (9)
上記透過率Tsの測定で採取した2枚のサンプルを、その長さ方向が平行になるように重ねた場合の光の透過率T‖(%)、長さ方向が直交するように重ねた場合の光の透過率T⊥(%)を、上記「(1)透過率Tsの測定」の場合と同様にして測定し、下記式(10)により偏光度V(%)を求めた。
V = {(T‖−T⊥)/(T‖+T⊥)}1/2×100 (10)
以下の各実施例及び比較例において、染色浴におけるヨウ素の濃度を0.02〜0.04質量%及びヨウ化カリウムの濃度を2.0〜4.0質量%の各範囲内で4回変更(ただし、ヨウ素の濃度:ヨウ化カリウムの濃度=1:100とする)して同様の操作を行い、各実施例または比較例で製造した偏光フィルムとは二色性色素の吸着量の異なる4枚の偏光フィルムを製造した。これら4枚の偏光フィルムのそれぞれについて上記した方法で透過率Ts(%)及び偏光度V(%)を求め、各実施例及び比較例毎に、透過率Ts(%)を横軸、偏光度V(%)を縦軸として、各実施例または比較例で得られた偏光フィルムの透過率Ts(%)及び偏光度V(%)に基づく1点も含めた合計5点をグラフにプロットして近似曲線を求め、当該近似曲線から、透過率Ts(%)が44%であるときの偏光度V44(%)を求めた。
得られた偏光度V44(%)から、下記式(11)により透過率44%時の二色性比を求めて、偏光性能の指標とした。なお、二色性比が高いほど偏光フィルムの光学特性は良好であり、二色性比が66以上の場合を「○」(良好)と判定し、66未満の場合を「×」(不良)と判定した。
透過率44%時の二色性比 = log(44/100−44/100×V44/100)/log(44/100+44/100×V44/100) (11)
上記の「偏光フィルムの光学特性(二色性比)」において、二色性色素の吸着量の異なる4枚の偏光フィルムの偏光度Vを求める際に、透過率T‖(%)及び透過率T⊥(%)測定時にLab色空間を測定し、透過率T‖(%)の測定時のb値を平行b値とし、透過率T⊥(%)の測定時のb値を直交b値とした。各実施例及び比較例毎に、平行b値を横軸、直交b値を縦軸として、各実施例または比較例で得られた偏光フィルムの平行b値及び直交b値に基づく1点も含めた合計5点をグラフにプロットして近似曲線を求め、当該近似曲線から、直交b値が−4であるときの平行b値を求めた。なお、平行b値が0に近いほど偏光フィルムの色相は良好であり、平行b値が2.2未満の場合を「○」(良好)と判定し、2.2以上の場合を「×」(不良)と判定した。
各実施例または比較例毎に、上記の「偏光フィルムの光学特性(二色性比)」において製造した二色性色素の吸着量の異なる4枚の偏光フィルム及び各実施例または比較例で得られた偏光フィルムの合計5枚の偏光フィルムの中から、透過率が44〜45%の範囲にあり、且つ、透過率T⊥(%)測定時に求めた波長610nmでの吸光度(直交吸光度)が2.95〜3.05である偏光フィルムを1枚選定した。
その偏光フィルムを60℃、90%RHの環境下で4時間暴露し、初期の波長610nmでの直交吸光度をA0h及び4時間暴露後の波長610nmでの直交吸光度をA4hとして、下記式(12)により求めた直交吸光度の残存率(吸光度残存率)D(%)を偏光フィルムの耐久性として評価した。なお、吸光度残存率が高いほど偏光フィルムの耐久性は良好であり、吸光度残存率が20%以上の場合を「○」(良好)と判定し、20%未満の場合を「×」(不良)と判定した。
D(%)=100 × A4h/A0h (12)
(1)酢酸ビニルと、酢酸2−メチル−2−プロペニル、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、7−アセトキシ−1−ヘプテンまたは1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパンとの共重合体(比較例1では酢酸ビニルの単独重合体)をけん化することにより得られた表1に示すPVA100質量部、可塑剤としてグリセリン10質量部、及び界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.1質量部を含み、PVAの含有率が10質量%である水溶液を製膜原液として用いて、これを80℃の金属ロール上で乾燥し、得られたフィルムを熱風乾燥機中で所定の温度で1分間熱処理をすることにより膨潤度を200%に調整して、厚みが30μmのPVAフィルムを製造した。
得られたPVAフィルムを用いて、上記した方法により結晶成分量(a1)と拘束非晶成分量(a2)の割合を求めるとともに延伸性を評価した。結果を表1に示した。
得られた偏光フィルムを用いて、上記した方法により偏光フィルムの光学特性(二色性比)、色相(平行b値)および耐久性を評価した。結果を表1に示した。
Claims (10)
- 60℃で1時間処理した後にパルスNMR測定(観測核:1H)することによって得られるスピン−スピン緩和時間T2から結晶成分量(a1)、拘束非晶成分量(a2)および非晶成分量(a3)を求めた際に、結晶成分量(a1)、拘束非晶成分量(a2)および非晶成分量(a3)の合計に対する結晶成分量(a1)および拘束非晶成分量(a2)の合計の占める割合が10〜32%である、ビニルアルコール系重合体フィルムであって、当該ビニルアルコール系重合体フィルムに含まれるビニルアルコール系重合体が、下記式(1)で示される構造単位(1)、下記式(2)で示される構造単位(2)および下記式(3)で示される構造単位(3)からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造単位を含み、構造単位(1)〜(3)の含有率をそれぞれn 1 〜n 3 モル%とし、ビニルエステル単位の含有率をn 4 モル%とした際に、0.6≦n 1 +n 2 +2×n 3 +n 4 ≦1.4を満たす、ビニルアルコール系重合体フィルム。
[式中、R 1 は、水素原子、メチル基またはエチル基を示す。]
[式中、R 2 は、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、X 2 は、1個以上の水酸基を有する炭素数2以上のヒドロキシアルキル基を示す。]
[式中、X 3 およびX 4 は、それぞれ独立して、1個以上の水酸基を有する炭素数1以上のヒドロキシアルキル基を示す。] - 結晶成分量(a1)、拘束非晶成分量(a2)および非晶成分量(a3)の合計に対する拘束非晶成分量(a2)の占める割合が5%以上である、請求項1に記載のビニルアルコール系重合体フィルム。
- ビニルアルコール系重合体フィルムに含まれるビニルアルコール系重合体が、構造単位(1)および構造単位(2)からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造単位を含む、請求項1に記載のビニルアルコール系重合体フィルム。
- ビニルアルコール系重合体フィルムに含まれるビニルアルコール系重合体が、下記式(3)で示される構造単位(3)を含まない、請求項1〜3のいずれか1項に記載のビニルアルコール系重合体フィルム。
[式中、X3およびX4は、それぞれ独立して、1個以上の水酸基を有する炭素数1以上のヒドロキシアルキル基を示す。] - ビニルアルコール系重合体フィルムに含まれるビニルアルコール系重合体の重合度が3,000以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のビニルアルコール系重合体フィルム。
- ビニルアルコール系重合体フィルムに含まれるビニルアルコール系重合体の分子量分布が2.0〜4.0である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のビニルアルコール系重合体フィルム。
- 膨潤度が160〜240%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のビニルアルコール系重合体フィルム。
- 光学フィルム製造用原反フィルムである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のビニルアルコール系重合体フィルム。
- 偏光フィルム製造用原反フィルムである、請求項8に記載のビニルアルコール系重合体フィルム。
- 請求項8または9に記載のビニルアルコール系重合体フィルムを用いる光学フィルムの製造方法であって一軸延伸する工程を有する製造方法。
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