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JP6423766B2 - 高流動コンクリート、及び、それを用いた覆工コンクリートの打設方法 - Google Patents
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JP6423766B2 - 高流動コンクリート、及び、それを用いた覆工コンクリートの打設方法 - Google Patents

高流動コンクリート、及び、それを用いた覆工コンクリートの打設方法 Download PDF

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本発明は、例えば、トンネル覆工用型枠を用いた覆工コンクリートの打設工事等、狭小な空間へのコンクリートの充填を伴う工事に用いることができる高流動コンクリート、及び、それを用いた覆工コンクリートの打設方法に関する。
上記のような覆工コンクリートの打設に用いることができるコンクリートとして、高性能AE減水剤と増粘剤とを添加することによって、高い流動性を付与し、尚且つ、材料分離抵抗性を担保した自己充填性を有する高流動コンクリートが実用化されている(特許文献1参照)。
このような高流動コンクリートは、練り混ぜ時の初期の流動性が、経時的に減衰していくので、打設時において尚十分な流動性が保持されていることが求められる。そこで、この経時的な流動性の減衰(スランプフローロス)を防ぐための様々な工夫が提案されている。例えば、混和剤を、上記の練り混ぜ時には必要全量を添加せずに、打設直前に、残りの一部を添加するという製造プロセスにかかる工夫(特許文献2参照)や、特定の化合物を添加することによる組成にかかる工夫(特許文献3参照)等である。
より具体的な例として、セントルと称されるトンネル覆工用型枠に、吹き上げ方式によってコンクリートを充填していく最新の工法(特許文献4参照)においても、従来は、スランプフローロスの小さい上記のような性状を有する高流動コンクリートが用いられてきた。
特開2001−19518号公報 特開2005−280113号公報 特開2006−117466号公報 特開2015−94167号公報
ここで、例えば、図1に示すようなトンネル覆工用型枠(セントル)1を用いた覆工コンクリートの施工において、セントル1内にセントルの側壁肩部1bの打設孔13や天端部1aの打設孔12から、従来タイプのスランプフローロスの小さい高流動コンクリートを充填した場合、コンクリートが凝結するまでの時間において、セントル1の内壁に高い側圧がかかり続ける。又、コンクリートの流動性が高いほど、型枠の内壁に作用する側圧は大きくなる。一般にトンネルの覆工コンクリートにおいて、覆工厚さに対して覆工高さが高いので、打設後も型枠の内壁に作用する過剰な負荷が大きくなる。これらの負荷に対応するためには、セントルにも相当に高い水準の強度が求められることになり、セントルの補強に係る作業やコストの負担が問題となっていた。又、スランプフローロスを極力小さくする方向で調整した従来の高流動コンクリートは、打設時には高い流動性が有利な効果として作用するものの、打設後においては、凝結までの時間が遅延することによる工事の進捗速度の低下が問題となっていた。
しかしながら、従来、高い流動性を有し、又、その高い流動性の経時的な減衰、即ち、スランプフローロスを防ぐための改良を施した高流動コンクリートは存在したものの、打設後の流動性の低減を早める、即ち、初期の流動性を保持したまま、スランプフローロスを大きくする方向で調整された高流動コンクリートは存在しなかった。
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、初期の流動性を保持したまま、スランプフローロスを大きくする方向で調整された高流動コンクリート、及び、それを用いたトンネルの覆工コンクリートの打設方法を提供することにある。
本発明者らは、高流動コンクリートに添加する混和剤の種類と配合を、従来とは異なる範囲に最適化することによって、上記のような性状を備える新しいタイプの高流動コンクリートを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 結合材と骨材と水とを含んでなるベースコンクリートに、減水剤と、増粘剤と、が混合されてなる高流動コンクリートであって、前記減水剤は、ナフタレン系の高性能減水剤であって、該減水剤は、前記高流動コンクリート中に、固形分換算の質量対比で0.3%以上1.0%含有されていて、前記増粘剤は、水質量対比で0.01%以上0.11%以下含有されていて、初期スランプフローが540mm以上であり、60分経過時の経時スランプフローが500mm以下であって、尚且つ、下記の定義による60分経過時の経時スランプフローロスが、50mm/h以上200mm/h以下である高流動コンクリート。経時スランプフローロス(mm/h)とは、ベースコンクリートに、減水材及び増粘剤を含む混和剤を添加混合した直後の高流動コンクリートの初期スランプフロー(mm)と、当該高流動コンクリートの20±3℃の湿度60%以上の環境下における所定時間経過時の経時スランプフロー(mm)との差のことを言うものとする。
(1)の発明によれば、打設時には高い流動性を発揮し、打設後には速やかに流動性が低減する高流動コンクリートを得ることができる。これにより、例えば、トンネルの覆工コンクリートの施工現場においてコンクリートのセントル内への打設後コンクリートが凝結するまでの間、セントルの内壁に作用し続ける側圧を、従来の高流動コンクリートと比べて大幅に低減することでき、セントルの補強等の負担を軽減させることもできる。更には、覆工コンクリートの凝結の遅延が低減され、施工サイクルの確保が容易になる。
(2) 前記ベースコンクリートの、単位結合材量が300kg以上400kg以下であり、水結合材比が40%以上55%以下であり、細骨材の骨材容積対比が45%以上60%以下であり、スランプが8.0cm以上21.0cm以下である、(1)に記載の高流動コンクリート。
(2)の発明によれば、スランプ8〜21cm程度の一般的なコンクリートをベースコンクリートとして、(1)の高流動コンクリートを得ることができる。これにより、(1)の発明の奏する効果を、実施容易なプロセスにより、極めて高い精度で享受することができる。又、従来の中流動コンクリートと同程度の単位セメント量で材料分離抵抗性を確保できるため、温度ひび割れの懸念がなくなる。又、単位セメント量の抑制、ナフタリン系高性能減水剤の使用により、低コストで覆工用高流動コンクリートを得ることができる。
(3) (1)又は(2)に記載の高流動コンクリートの製造方法であって、結合材と、骨材と、水と、を混合して、前記ベースコンクリートを調合するベースコンクリート調合工程と、前記高流動コンクリートの初期スランプフローが540mm以上、60分経過時の経時スランプフローが500mm以下、尚且つ、前記経時スランプフローロスが、50mm/h以上200mm/h以下となるように、前記ベースコンクリートへの前記減水剤及び前記増粘剤の添加量の組合せを決定する混和剤添加量調整工程と、前記混和剤添加量調整工程で決定された添加量の組合せに基づいて、前記ベースコンクリート調合工程で得た前記ベースコンクリートに、前記減水材と前記増粘剤とを添加する混和剤添加工程を行う高流動コンクリートの製造方法。
(3)の発明によれば、スランプ8〜21cm程度の一般的なコンクリートをベースコンクリートとして、(1)の高流動コンクリートを得ることができる。これにより、(1)の発明の奏する効果を、実施容易なプロセスにより、極めて高い精度で享受することができる。又、従来の中流動コンクリートと同程度の単位セメント量で材料分離抵抗性を確保できるため、温度ひび割れの懸念がなくなる。又、単位セメント量の抑制、ナフタリン系高性能減水剤の使用により、低コストで覆工用高流動コンクリートを得ることができる。
(4) トンネル工事における覆工コンクリートの打設方法であって、(1)又は(2)に記載の高流動コンクリートを、覆工コンクリートとして覆工用型枠の内部に導入する工程を含んでなる覆工コンクリートの打設方法。
(4)の発明によれば、トンネル工事における覆工コンクリートの打設の際、作業困難性の高い覆工用型枠内の狭小空間へコンクリートを良好な態様で充填することができ、尚且つ、充填後の速やかなコンクリートの凝結により、型枠への負担軽減と工事の進捗速度の増大を実現することができる。
(5) 前記覆工用型枠が、天端部に打設孔を有する型枠であって、前記高流動コンクリートを、前記該天端部の打設孔から前記覆工用型枠の内部に導入することを特徴とする(4)に記載の覆工コンクリートの打設方法。
(5)の発明によれば、トンネルの覆工用型枠(セントル)の内壁への負荷が特に問題となり易い天端部の打設孔からの高流動コンクリートの導入を伴う工程において、覆工用型枠(セントル)への負荷を十分に軽減できる点において、(4)の発明の効果を特に顕著な効果として享受することができる。又、この工法によれば、狭小空間での締固めの作業を低減することが可能であり、作業員による品質のばらつきや機器の管理手間をなくして、更に、トンネル工事の省力化を促進することができる。
本発明によれば、打設時には高い流動性を発揮し、打設後には速やかに流動性が低減する高流動コンクリートを提供することができる。これにより、壁厚が薄く打設高さの高いコンクリート打設、例えば、トンネル工事における覆工コンクリートの打設を、上述の通り、従来よりも好ましい態様で行うことができる。
本発明の高流動コンクリートを用いて行う覆工コンクリートの打設方法の作業対象の一例となるトンネル及び覆工用型枠の説明に供するそれらの断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<高流動コンクリート>
本発明の高流動コンクリートは、汎用品であり調達或いは調合容易な一般的な流動性範囲(スランプ)にあるベースコンクリートに、所定の混和剤を適量比で混合することにより高流動性(初期スランプフロー)と、打設後には速やかに凝結する特性(スランプフローロス)を兼ね備えさせることにより得ることができるコンクリートであり、コンクリート硬化体の材料となるフレッシュコンクリートのことを言う。尚、スランプとはJIS A 1101によるスランプ値(cm)のことを言う。又、スランプフローとは、JIS A 1150によるスランプフロー値(mm)のことを言う。又、本明細書においては、高流動コンクリートにおける上述の混和剤の添加混合直後におけるスランプフローを初期スランプフローとし、当該高流動コンクリートの所定時間経過時のスランプフローを経時スランプフローと言うものとし、初期スランプフローと所定時間経過時の経時スランプフローとの差、即ち、(初期スランプフロー)−(経時スランプフロー)の値をスランプフローロスと言うものとする。
本発明の高流動コンクリートを得るために、結合材と骨材と水とを含んでなるベースコンクリートに添加混合する混和剤としては、高性能減水剤及び増粘剤を用いる。高性能減水剤としては、近年、減水剤として主流となっているポリカルボン酸系に分類される混和剤は用いずに、ナフタリン系の混和剤のみを選択的に用いる。又、上述の特許文献1〜3に記載されている従来の高流動コンクリートとは異なり、AE剤若しくはAE剤を含む混和剤の含有についてはこれを排除する。本発明の高流動コンクリートは、AE剤を積極的に排除した組成である点において従来の高流動コンクリートとは基本的な組成が異なる。
従来の高流動コンクリートは、高い流動性を如何にして長時間保持するかという観点に基づき調合されるものであった。しかし、本発明の高流動コンクリートは、打設時には、製造直後の優れた初期流動性を発揮する一方で、打設後には、従来の高流動コンクリートよりも、より短時間で流動性が低減するように特段の調合を行ったものである。このような調合に基づく特異な性状を有するものであることにより、本発明の高流動コンクリートは、上述の通り作業困難性の高い狭小空間へのコンクリートの充填と、充填後の凝結の速やかな促進が求められるトンネルの覆工コンクリートの打設に、極めて好ましく用いることができるものとなっている。
本発明の高流動コンクリートのスランプフローは、具体的には、初期スランプフローが540mm以上であり、60分経過時の経時スランプフローが500mm以下であって、尚且つ、経時スランプフローロスが、50mm/h以上200mm/h以下となるように調合されたものである。初期スランプフローが540mm以上であることにより、打設時の十分な高流動性、自己充填性が担保される。又、60分経過時の経時スランプフローが500mm以下であること、及び、経時スランプフローロスが、50mm/h以上200mm/h以下であることにより、充填後の十分に速やかな凝結が担保される。
[高性能減水剤]
本発明の高流動コンクリートに含有される高性能減水剤とはJIS A 6202に定義されている通り、「コンシステンシーに影響することなく単位水量を大幅に減少させるか、又は単位水量に影響することなくスランプを大幅に増加させる化学混和剤」のことを言う。尚、本発明の高流動コンクリートは、上述の通り、AE剤を含有しないものであるため、上記の高性能減水剤には、AE減水剤や高性能AE減水剤等は含まれない。元来、高性能減水剤と高性能AE減水剤とは、JIS規定においても異なる種類の混和剤として定義されて取り扱われているものではあるが、特に本発明に係る高性能減水剤とは、AE減水剤、高性能AE減水剤等、AE剤を含有するものを含まない概念として明確にそれらの混和剤とは区別される。高性能減水剤は、使用量を増加することにより減水性が向上するが、使用量を増加しても過剰な空気連行性や異常な凝結の遅延性が少ないため、単位水量を大幅に減少することができる。
又、一般的な高性能減水剤として、近年、ポリカルボン酸系に分類される混和剤が広く用いられているが、本発明の高流動コンクリートにおいてはこれを用いない。本発明の高流動コンクリートは、高性能減水剤として、ナフタリン系の高性能減水剤を選択し、その他の系のものは使用しない。AE剤を含有しない、ナフタリン系の高性能減水剤として、例えば、マイティ150やマイティ100(いずれも「花王株式会社製」)等を用いることができる。
本発明の高流動コンクリートにおいては、以上説明した高性能減水剤が、高流動コンクリート中における、固形分換算の質量対比で0.3%以上1.0%以下、好ましくは0.4%以上0.65%以下、含有されることとなるようにベースコンクリートと混和剤との配合比を調整する。本発明の高流動コンクリートは、汎用品と同様の組成範囲にはるベースコンクリートと、独自の組合せに最適化調整した混和剤とを混合することにより得ることができるものである。ベースコンクリートと、混和剤との混合割合は、使用目的や打設現場の環境条件に応じて適宜微調整される。
[増粘剤]
本発明の高流動コンクリートに含有される増粘剤としては、特段の限定なく従来公知の各種の増粘剤を用いることができるが、バイオポリマーとしてのウェランガムを特に好ましく用いることができる。増粘剤の添加量は、高流動コンクリート中における水質量対比で0.01%以上0.11%以下、好ましくは0.03%以上0.10%以下含有されることとなるようにベースコンクリートと混和剤との配合比を調整する。これにより、高流動性と凝結の進行速度のバランスを保ちながら、必要な材料分離抵抗性を担保することができる。
[ベースコンクリート]
ベースコンクリートとしては、結合材と骨材と水とを含んでなり、水結合材比が40%以上55%以下、好ましくは45%以上52%以下であり、スランプ値が8.0cm以上21.0cm以下、好ましくは8.0cm以上18.0cm以下のものを用いることができる。
(結合材)
結合材としては、ポルトランド系セメントとして、普通、早強、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメントを適宜使い分けることができる。これらのポルトランドセメントの中でも、汎用性の観点から、特に普通ポルトランドセメントを好ましく用いることができる。その他、結合材として、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフューム等の混合材が混合したセメントを用いることができる。
又、ベースコンクリート中における上記の結合材の含有量は、高流動コンクリート1m当たり300kg以上400kg以下の範囲であることが好ましく、330kg以上380kg以上の範囲であることがより好ましい。高流動コンクリートとした場合、300kg未満では、短・長期強度の発現不良やブリーディング過多の場合があり、400kgを超えると、コンクリートの粘度が高く、圧送性に問題が生じ、経済的で無い場合がある。
(骨材)
骨材としては、従来公知の一般的な骨材を適宜使い分けることができる。骨材の含有量は、細骨材及び粗骨材が、いずれも、コンクリート1m3当たり1600kg以上2200kg以下程度含有されていることが好ましい。又、粗骨材と細骨材の比率(S/A)は、45%〜60%程度であることが好ましく、50%〜55%程度であることがより好ましい。
[高流動コンクリートの製造方法]
(ベースコンクリート調合工程)
本発明の高流動コンクリートの製造においては、先ず上述のベースコンクリート、即ち、結合材としての主材セメントと、骨材と、水と、を混合して、水結合材比(水セメント比)が40%以上55%以下、好ましくは45%以上52%以下、であって、スランプ値が8.0cm以上21.0cm以下、好ましくは8.0cm以上18.0cm以下であるベースコンクリートを調合する。尚、この工程においては結合材と骨材と水が混合したベースコンクリートとして、市中のレディーミクストコンクリートをそのまま用いることもできる。又、一般的には、この工程は生コン工場等で行われ、打設現場までアジテータ車にて運搬されることが想定される。
(混和剤添加量調整工程)
使用するベースコンクリートの性状が確定した後、当該ベースコンクリートに添加する、減水剤及び増粘剤の添加量の組合せを決定する。この決定は逐次スランプフロー測定試験を行ってもよいし、参照すべき調合データを蓄積しておいてそれに従うことによって決定してもよい。高流動コンクリートの初期スランプフローが540mm以上、60分経過時の経時スランプフローが500mm以下、尚且つ、60分経過時の経時スランプフローロスが、50mm/h以上200mm/h以下となるように、減水剤及び前記増粘剤の添加量の組合せを調整し、最適値を決定する。この工程については、初回製造時に組成を決定した後に行う同組成の高流動コンクリートの2サイクル目以降のプロセスにおいては省略することができる。又、実施可能性のあるベースコンクリートの性状と混和剤の添加量の組合せのデータを予め蓄積しておきこれを参照して添加量を決定することで、実際の上記試験に替えることもできる。
(混和剤添加工程)
最後の工程として、上記の混和剤添加量調整工程で決定された添加量の組合せに基づいて、上記のベースコンクリート調合工程で得たベースコンクリートに、減水材と増粘剤とを添加する。高流動コンクリートを得るためのベースコンクリートへの混和剤の添加混合は、高流動コンクリートを打設対象域へ導入する直前に行うことが好ましい。よって、この工程は打設現場にて行うことが好ましい。例えば、高性能減水剤と増粘剤とを、上記のベースコンクリートを打設現場まで運搬してきたアジテータ車のドラム内に添加して、アジテータを高速撹拌して本発明の高流動コンクリートを得る実施態様を好ましい実施態様例として挙げることができる。
<トンネル工事における覆工コンクリートの打設方法>
本発明の高流動コンクリートは、トンネル工事において覆工用型枠(移動式セントル)の内部に導入する覆工コンクリートとして、特に好ましく用いることができる。トンネルの覆工コンクリートは、例えば、コンクリート壁厚が50cm以下、コンクリート高さが8m以上となる。
本発明の高流動コンクリートを覆工コンクリートとして用いる覆工コンクリートの打設方法の具体的な実施態様の一例について説明する。図1に示されるように、トンネル4の壁面41に覆工コンクリートを打設する際には、型枠として、セントル(トンネル覆工用型枠)1が用いられる。壁面41は、予め形成された吹付けコンクリートからなる一次覆工部の表面である。セントル1は、壁面41に沿って湾曲した外側面11(地山側面)を備えており、セントル1はガントリー2に支持されている。トンネル4内にはレール3が敷設されており、セントル1及びガントリー2は、レール3上をトンネル4の軸方向(長手方向)に移動することができる。
トンネル長手方向におけるセントル1の長さは、例えば10.5mである。壁面41と外側面11との間の間隙が、コンクリートが打設される打設空間Rとなる。セントル1の天端部1aには、打設空間Rにコンクリートを導入するための打設孔12が、打設孔12は、外側面11の一番高い位置の母線上で、トンネル長手方向に等間隔で配列されている。又、セントル1の側壁肩部1bには打設孔13が、設けられている。各の打設孔12、13は、公知のシャッター機構(図示省略)によって開閉することができる。高流動コンクリートは、これらの打設孔12、13から打設空間Rに下部側の空間から順次導入される。高流動コンクリートは、例えば、特許文献4に記載されている態様で、コンクリートを導入する打設孔12、13を、規則的な順序で循環させるように切り替えながら打設することによって、高さ方向に平均的に打設していくことが好ましい。尚、一般的にコンクリートの打設速度はコンクリートポンプ等の打設装置の能力に因るが、打ち上がり速度1.0m〜2.0m/hで、ポンプにより圧送打設する態様が好ましい。
打設空間R全体に高流動コンクリートはが充填された後、所定の養生期間を経てセントル1を脱型することで、セントル1の長さに相当する長さの覆工コンクリート部分が完成する。そして、この覆工コンクリート部分の施工をトンネル4の長さ全体に亘って繰り返すことで、トンネル4の覆工コンクリートが完成する。
室内試験にて、本発明の高流動コンクリートの性状確認試験を実施した。実施例の高流動コンクリートには以下の材料を使用した。配合比は表1及び表2の通りとした。
[使用材料]
(結合材)
普通ポルトランドセメント:市販品、ブレーン値2,500cm/g、密度3.16g/cm
(細骨材)
砕砂(八王子産、表乾密度:2.64g/cm)、山砂(君津産、表乾密度:2.61g/cm
(粗骨材)
砕石2005(青梅産、表乾密度:2.65g/cm
(混和材A)
コンクリート用砕石粉(炭酸カルシウム、密度2.71g/cm
(混和材B)
コンクリート用膨張材、セメントに添加して水と練混ぜた場合、水和反応によりエトリンガイト又は、水酸化カルシウムの結晶を生成しコンクリートの容積を膨張させる作用を有する混和材(密度3.10g/cm
(混和剤1)
リグニスルホン酸化合物とポリオールの複合体(BASFジャパン社製「マスターポゾリスNo.70」)
(混和剤2)
変性ロジン酸化合物系陰イオン界面活性剤(BASFジャパン社製「マイクロエア202」)
(高性能減水剤1:ナフタレン系)
実施例及び比較例1の高流動コンクリートについては、減水材として、ナフタレン系の高性能減水剤「マイティ100」(花王株式会社製)を、下記表1の割合で、上記材料からなるベースコンクリートに後添加した。
(高性能減水剤2:ポリカルボン酸系)
比較例4の高流動コンクリートについては、減水材として、ポリカルボン酸系の高性能減水剤「マスターグレニウム8000P」(BASF社製)を、下記表1の割合で、上記材料からなるベースコンクリートに後添加した。
(高性能AE減水剤1)
比較例2の高流動コンクリートについては、ポリカルボン酸系の高性能AE減水剤「SP8SV ポゾリス」(BASF社製)を、下記表1の割合で、上記材料からなるベースコンクリートに後添加した。
(高性能AE減水剤2)
比較例3の高流動コンクリートについては、主としてメタクリル酸系ポリマーからなる高性能AE減水剤「マイティ3000S」(花王株式会社製)を、下記表1の割合で、上記材料からなるベースコンクリートに後添加した。
(増粘剤)
実施例及び比較例の高流動コンクリートに、ウェランガムを下記表1の割合で、上記材料からなるベースコンクリートに後添加した。
Figure 0006423766
Figure 0006423766
[スランプフロー試験]
表1及び表2の各高流動コンクリートのスランプフロー試験を混合直後(初期)と60分経過時にそれぞれ行った。結果は表2に示す通りであった。これらの結果から算出されるスランプフローロスの値についても同表に併記した。
実施例、比較例の各高流動コンクリートについて、自己充填性、材料不分離性、硬化速度をそれぞれ評価した。
[自己充填性の評価]
コンクリート標準示方書に示されている充てん装置を用いた間げき通過性試験(JSCE‐F511)により、評価した。評価基準は以下の通りとした。尚、コンクリートの変形性を評価するものが、スランプフローであるのに対して、鉄筋の間を通過する間隙通過のしやすさ等の自己充填性を評価するものが、間げき通過性試験である。
(評価基準)
○:充填高さ300mm以上
×:充填高さ300mm未満
[材料不分離抵抗性の評価]
スランプフロー試験後にフロー板に打撃を行い目視により、評価した。評価基準は以下の通りとした。
(評価基準)
○:水分とコンクリートの分離なし、且つ、粗骨材の流動性あり
×:水分とコンクリートの分離あり、且つ、粗骨材の流動性なし
[硬化速度の評価]
スランプフロー試験をコンクリートの練り上がり直後と60分経過時に実施することにより評価した。評価基準は以下の通りとした。
(評価基準)
○:経時スランプフローロスが50mm以上
×:経時スランプフローロスが50mm未満
表1、2の比較例に記載した、従来公知の高流動コンクリートを用いて、標準的なトンネル覆工コンクリート(コンクリート壁厚40cm、コンクリート高さ10m)の一部を試験的に打設したところ、打設後も長時間にわたって側圧が減少しにくいので、覆工セントルの型枠と妻側の妻枠の接続部から、コンクリートが漏れ出す等不具合が発生した。しかし、表1、2の実施例1〜3に示す高流動コンクリートを用いて同様の試験的な施工を行った場合においては、初期の流動性、変形性(スランプフロー)、自己充填性が高いので、振動締固め作業を行わなくても、材料分離を生じることがなく、コンクリートを打設空間の隅々まで充填することができた。
一方で、表1、2の実施例1〜3に示す高流動コンクリートは、経時スランプフローロスで評価される硬化速度が大きいので、通常の高流動コンクリートでは打設後に型枠に作用する側圧を、液圧として設計しなければならないところ、例えば、コンクリートの打ち上がり速度1.0m〜2.0m/hに抑制することで、型枠に作用する側圧を低減して設計することができる。その結果、覆工セントルの型枠と妻側の妻枠の接続部からコンクリートが漏れ出す等の不具合は発生しない。
表1及び2本願発明による高流動コンクリートは、従来公知の高流動コンクリートは、特定の高性能減水剤及び増粘剤の配合の組合せにより、初期の流動性と速やかな硬化速度を発揮する性状とを兼ね備えるものであり、トンネル工事における覆工コンクリートの打設等に極めて好適に用いることができる物であることが分かる。
1 セントル(トンネル覆工用型枠)
1a セントルの天端部
1b セントルの側壁肩部
11 セントルの外側面
12、13 打設孔
2 ガントリー
3 レール
4 トンネル
41 トンネルの壁面
R 打設空間

Claims (5)

  1. 結合材と骨材と水とを含んでなるベースコンクリートに、
    減水剤と、
    増粘剤と、が混合されてなる高流動コンクリートであって、
    前記減水剤は、ナフタレン系の高性能減水剤であって、該減水剤は、前記高流動コンクリート中に、固形分換算の質量対比で0.3%以上1.0%含有されていて、
    前記増粘剤は、水質量対比で0.01%以上0.11%以下含有されていて、初期スランプフローが540mm以上であり、60分経過時の経時スランプフローが500mm以下であって、尚且つ、下記の定義による60分経過時の経時スランプフローロスが、50mm/h以上200mm/h以下である高流動コンクリート。
    経時スランプフローロス(mm/h)とは、ベースコンクリートに、減水材及び増粘剤を含む混和剤を添加混合した直後の高流動コンクリートの初期スランプフロー(mm)と、当該高流動コンクリートの20±3℃の湿度60%以上の環境下における所定時間経過時の経時スランプフロー(mm)との差のことを言うものとする。
  2. 前記ベースコンクリートの、
    単位結合材量が300kg以上400kg以下であり、
    水結合材比が40%以上55%以下であり、
    細骨材の骨材容積対比が45%以上60%以下であり、
    スランプが8.0cm以上21.0cm以下である、請求項1に記載の高流動コンクリート。
  3. 請求項1又は2に記載の高流動コンクリートの製造方法であって、
    結合材と、骨材と、水と、を混合して、前記ベースコンクリートを調合するベースコンクリート調合工程と、
    前記高流動コンクリートの初期スランプフローが540mm以上、60分経過時の経時スランプフローが500mm以下、尚且つ、前記経時スランプフローロスが、50mm/h以上200mm/h以下となるように、前記ベースコンクリートへの前記減水剤及び前記増粘剤の添加量の組合せを決定する混和剤添加量調整工程と、
    前記混和剤添加量調整工程で決定された添加量の組合せに基づいて、前記ベースコンクリート調合工程で得た前記ベースコンクリートに、前記減水材と前記増粘剤とを添加する混和剤添加工程を行う高流動コンクリートの製造方法。
  4. トンネル工事における覆工コンクリートの打設方法であって、
    請求項1又は2に記載の高流動コンクリートを、覆工コンクリートとして覆工用型枠の内部に導入する工程を含んでなる、覆工コンクリートの打設方法。
  5. 前記覆工用型枠が、天端部に打設孔を有する型枠であって、
    前記高流動コンクリートを、前記該天端部の打設孔から前記覆工用型枠の内部に導入することを特徴とする請求項4に記載の覆工コンクリートの打設方法。
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