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JP6430136B2 - バルーンカテーテル、及び、バルーンカテーテルの製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、折り畳み状態及び拡張状態で遷移可能なバルーンを有するバルーンカテーテル、及び、その製造方法に関する。
バルーンカテーテルは、血管などの脈管に狭窄が生じた場合に、血管の狭窄部位を拡張して血管末梢側の血流を改善するための医療器具として広く用いられている。バルーンによる狭窄部位の拡張は、狭窄部位にバルーンが直接当接するようにバルーンを拡張させる場合と、ステントの内側からバルーンを拡張させる場合(ステントを狭窄部位に留置させる場合)と、がある。バルーンカテーテルを用いて施術を行う場合、先ず、バルーンカテーテルを血管内に挿入してバルーンを狭窄部位に一致させる。次いで、バルーンに加圧流体を注入してバルーンを拡張させることで、狭窄部位を拡張治療する。拡張治療を行った後は、バルーンを減圧収縮させ、バルーンカテーテルを血管内から抜去する。
ここで、バルーン部分は折り畳まれ小径化された状態で狭い脈管内を経由した後に、目的の狭窄部位やステント内で拡張される。拡張後のバルーンは、脈管内からの抜去、あるいは、脈管内における次の治療部位への移動のために、収縮される。
このため、バルーンは、拡張後に、元の折り畳み形状に戻る性能が要求される。このような性能を実現する一つの方法として、特許文献1では、金型を用いてバルーンに高温で形状付けする技術が開示されている。また、特許文献2では、バルーン自体を特殊な形状に成形する技術が開示されている。
特開2003−62080号公報 特許第2671961号公報
ところで、従来のバルーンカテーテルのバルーンは、拡張後の形状復元性能が不十分であり、一度バルーンを加圧して拡張させると、減圧して収縮させても元の折り畳み形状に戻りにくかった。このため、バルーンを一度拡張させると、減圧して収縮させたとしても、拡張前の輪郭よりも大きくなってしまうので、脈管内からの抜去時、あるいは、脈管内における次の治療部位への移動時に、脈管内壁を傷つけてしまう可能性がある。また、輪郭が大きくなったバルーンは、狭窄部位で引っ掛かり易い状態となってしまうので、バルーンを次の治療部位(狭窄部位)まで到達させるためには、バルーンによって狭窄部位の血管を傷つけないように注意しながらバルーンカテーテルを狭窄部位まで押し込む必要がある。また、収縮後のバルーンの輪郭が大き過ぎて次の治療部位(狭窄部位)に位置させることが困難な場合には、一度も拡張されていないバルーンが取り付けられている新たなバルーンカテーテルに交換する必要がある。これらの結果、治療時間が長くなり、患者の体に負担となるおそれもある。
また、特許文献1のように、バルーンに高温で形状付けを行うと、形状復元性能は向上したとしても、加熱によってバルーンの柔軟性が低下し、さらに加熱温度によってはバルーンの強度も低下するおそれもあり、バルーンカテーテル自体に要求される性能が損なわれる可能性がある。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、治療を行うのに十分な柔軟性及び強度を有し、かつ、形状復元性能の良いバルーンカテーテルを提供する。また、本発明は、そのようなバルーンカテーテルの製造方法を提供する。
本発明のバルーンカテーテルの一つの態様は、
チューブ状のシャフトと、
前記シャフトの遠位部に設けられ、前記シャフトの内腔を通じて流体が流出入されることにより、折り畳み状態及び拡張状態で遷移可能なバルーンと、
を有するバルーンカテーテルであって、
前記バルーンは、ガラス転移温度が体温以下である形状記憶層と、前記形状記憶層よりも強度の高い基材層と、をし、
前記形状記憶層は、前記基材層の内側及び外側の両方に形成されている
本発明のバルーンカテーテルの製造方法の一つの態様は、
ラス転移温度が体温以下である形状記憶層及び前記形状記憶層よりも強度の高い基材層を有するバルーンを作成する工程であり、前記形状記憶層を前記基材層の内側及び外側の両方に形成する工程と、
前記バルーンに流体を流出入させるための内腔が形成されたチューブ状のシャフトに、前記バルーンを取り付ける工程と、
前記バルーンを、前記形状記憶層のガラス転移温度よりも高い温度で折り畳み、この折り畳んだ状態で前記ガラス転移温度以下とすることにより、前記バルーンに折り畳み形状を記憶させる工程と、
を含む。
本発明によれば、治療を行うのに十分な柔軟性及び強度を有し、かつ、形状復元性能の良いバルーンカテーテルを実現できる。
実施の形態に係るバルーンカテーテルの全体構成を示す概略図 実施の形態によるバルーンの断面図 他の実施の形態によるバルーンの断面図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<全体構成>
図1は、本発明の実施の形態に係るバルーンカテーテルの構成例を示す図である。バルーンカテーテル100は、ハブ110、バルーン120、プロキシマルシャフト130、ディスタルシャフト140、及びガイドワイヤルーメンチューブ150を有する。
ハブ110は、血管形成術においてバルーンカテーテル100を操作する医師の手元に配置される。ハブ110は、高圧流体を供給するインフレータ等のような圧力印加装置(図示せず)と接続可能に構成されている。プロキシマルシャフト130は、ハブ110と流体連通可能に接合され、遠位側に延在し、さらにその遠位側には、ディスタルシャフト140が流体連通可能に接合されている。ディスタルシャフト140の遠位側にはバルーン120が接合されている。プロキシマルシャフト130及びディスタルシャフト140は、チューブ状となっており、高圧流体をバルーン120内部に供給するための流路が形成されている。バルーン120の遠位端は、ガイドワイヤルーメンチューブ150の外周面を囲繞してその外周面に接合される。
ガイドワイヤルーメンチューブ150は、その内腔(ガイドワイヤルーメン)が上記流路と連通することなくディスタルシャフト140とコアキシャル型又はバイアキシャル型の二重管構造を成すようディスタルシャフト140を貫通し、さらにバルーン120を貫通して設けられている。ガイドワイヤルーメンチューブ150の近位側の開口部は、プロキシマルシャフト130とディスタルシャフト140との接合部近傍に配設され、ガイドワイヤルーメンチューブ150の遠位側の開口部は、バルーン120の先端部よりもさらに遠位側に配設されている。近位側の開口部は、ガイドワイヤ160の挿出口であるガイドワイヤポート170として設けられている。
この構成により、バルーン120に供給される高圧流体がバルーン120内部に滞留し、バルーン120が拡張する。バルーン120は、高圧流体が内部に供給される前には、ディスタルシャフト140の外径とほぼ同じ寸法に折り畳まれ、ガイドワイヤルーメンチューブ150の遠位側の外周面に密着するように設けられている。バルーン120は、高圧流体が内部に供給されると、折り目が展開することで拡張する。なお、図1は、バルーン120が拡張した状態を示している。
<バルーン120の構成>
図2は、本実施の形態のバルーン120の部分を、シャフト140の長手方向に対して垂直な方向に切った断面図である。なお、図2は、バルーン120が拡張した状態、あるいは、形状付け前の状態を示している。
バルーン120は、形状記憶層121と、基材層122と、を有する。形状記憶層121は、基材層122の内面に固着されている。
形状記憶層121は、ガラス転移温度が体温以下である材料からなる。体温はおおよそ33℃〜42℃となり得、平均体温はおおよそ37℃である。バルーンカテーテル120を用いた治療を行う人間の体温が、33℃以下であることは想定し難いことを考慮して、形状記憶層121としては、ガラス転移温度が33℃以下の材料が選定されている。このように、形状記憶層121としては、治療中に想定される最低の体温以下のガラス転移温度の材料を用いることが好ましい。
さらに、形状を記憶させるとき(形状付け)の環境温度の実現のし易さや、ガラス転移温度を超えたときの復元力のことなどを考慮すると、形状記憶層121のガラス転移温度はあまり低すぎない方がよい。実際上、形状記憶層121のガラス転移温度Tgは、0℃≦Tg≦33℃の範囲であることが好ましい。本実施の形態の場合には、形状記憶層121として、ガラス転移温度が30℃のポリウレタンが用いられている。
基材層122は、形状記憶層121よりも強度が高い材料により形成されている。実際には、ここでの強度とは引っ張り強度のことである。これにより、バルーン120内に流体が注入されバルーン120内の圧力が高くなった場合でも、バルーン120が破裂したり、バルーン120に穴があいて内部から外部に流体が漏れ出すことを防止できる。
基材層122の材料としては、上述したように形状記憶層121よりも強度が高いことに加えて、柔軟性の高い材料を用いることが好ましく、このような材料として例えばポリアミドやポリアミドエラストマーなどを用いることができる。
なお、バルーン120は、図2に限らず、図3に示すように構成してもよい。つまり、図3Aに示すように形状記憶層121を基材層122の外周面側に配置してもよく、図3Bに示すように形状記憶層121の外周面側及び内周面側に基材層122を形成してもよく、図3Cに示すように基材層122の外周面側及び内周面側に形状記憶層121を形成してもよい。さらに、形状記憶層121は、必ずしもバルーン120の全周に亘って形成される必要はなく、基材層122の周方向に部分的に固着されていてもよい。要は、バルーン120は、ガラス転移温度が体温以下である形状記憶層と、形状記憶層よりも強度の高い基材層と、を有する構成であればよい。
<バルーンカテーテルの製造方法>
次に、本実施の形態によるバルーンカテーテルの製造方法について説明する。
先ず、押し出し成形機によって、形状記憶層と基材層とを有するチューブを作成する。なお、チューブは、押し出し成形機によって形成する以外にも、基材層に形状記憶層をコーティングするようにして形成してもよい。本発明は、形状記憶層及び基材層の形成の仕方に限定されるものではない。
次に、このチューブは、近位側の端部がディスタルシャフト140の外周面に接合されると共に、遠位側の端部がガイドワイヤルーメンチューブ150の外周面に接合されることにより、ディスタルシャフト140の内腔を通してチューブ内に流体が導入されて膨張され得る状態で、ディスタルシャフト140の先端付近に取り付けられる。
このようにチューブをディスタルシャフト140及びガイドワイヤルーメンチューブ150の外周面に取り付けた後に、チューブを円筒形状の外枠(ダイ)の内部空間に配置した状態でチューブを膨張させることにより、チューブを外枠の内面に圧接させる。この状態で、チューブの温度を、形状記憶層のガラス転移温度よりも高くした後に、形状記憶層のガラス転移温度以下にする。これにより、図2あるいは図3に示すようなバルーン120が形成される。
次に、バルーン120に対して折り畳み形状を付ける(つまり、折り畳み形状を記憶させる)。この形状付けは、例えば、バルーン120を覆う外枠(ダイ)をバルーン120を回転させながら縮径することで行うようにすればよい。これにより、バルーン120に対して傘のような折り目を付けることができる。この形状付けの際には、バルーン120の温度を、形状記憶層121のガラス転移温度よりも高くした後に、形状記憶層121のガラス転移温度以下にする。本実施の形態では、形状記憶層121としてガラス転移温度が30℃のポリウレタンを用いているので、外枠(ダイ)によってバルーン120に外周方向から折り畳み圧力をかけた状態で、バルーン120を30℃よりも高い温度にした後に、30℃以下の温度にすることで形状付けを行う。
<実施の形態の動作及び効果>
上述した製造方法にて形状付けされ折り畳まれたバルーン120は、血管などの脈管内に挿入される。このとき、脈管内の温度はガラス転移温度よりも高いので、バルーン120は折り畳まれた形状を保ったまま治療部位までスムーズに移動され得る。
治療部位でバルーン120内を加圧することで、バルーン120を拡張させる。このとき、バルーン120は基材層122を有するので、従来と同等の圧力(例えば20気圧程度)を加えても、破裂や漏れが生じることなく拡張される。
次に、バルーン120を脈管内から抜去するため、あるいは、脈管内における次の治療部位に移動させるために、バルーン120内を減圧して、バルーン120を収縮させる。このとき、バルーン120は、形状記憶層121を有し、そのガラス転移温度が体温以下とされているので、折り畳まれた状態に戻る。この結果、バルーン120は、この一度拡張された後に収縮されたときの折り畳み状態での輪郭が従来のバルーンと比較して小さくなるので、脈管内をスムーズに移動できるようになる。特に、次の狭窄部位(治療部位)で引っ掛かりにくくなるので、収縮後のバルーンを次の治療部位(狭窄部位)にスムーズに位置させることができるようになる。この結果、治療時間が短くなり、患者への負担も少なくなる。
本実施の形態のバルーン120は、ガラス転移温度が体温以下の形状記憶層121を有することにより、高温での形状付けが必要ないので基材層122の柔軟性を低下させずに済む上に、形状記憶層121の効果により、ガラス転移温度以上の温度である脈管(血管)内で元の折り畳み形状に戻る力が大きい。因みに、本実施の形態のバルーン120は、体内ではガラス転移温度以下となることはないので、拡張された状態が記憶されてしまうことはなく、折り畳まれた状態が記憶されたままとなる。加えて、ガラス転移温度が低い材料は、一般に強度が低いが、本実施の形態では、基材層122を設けることで強度を補っている。
以上説明したように、本実施の形態によれば、バルーンカテーテル100のバルーン120を、ガラス転移温度が体温以下である形状記憶層121と、形状記憶層121よりも強度の高い基材層122と、を有する構成としたことにより、治療を行うのに十分な柔軟性及び強度を有し、かつ、形状復元性能の良いバルーンカテーテルを実現できる。
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明は、折り畳み状態及び拡張状態で遷移可能なバルーンを有するバルーンカテーテルに適用し得る。
100 バルーンカテーテル
110 ハブ
120 バルーン
121 形状記憶層
122 基材層
130 プロキシマルシャフト
140 ディスタルシャフト
150 ガイドワイヤルーメンチューブ
160 ガイドワイヤ
170 ガイドワイヤポート

Claims (5)

  1. チューブ状のシャフトと、
    前記シャフトの遠位部に設けられ、前記シャフトの内腔を通じて流体が流出入されることにより、折り畳み状態及び拡張状態で遷移可能なバルーンと、
    を有するバルーンカテーテルであって、
    前記バルーンは、ガラス転移温度が体温以下である形状記憶層と、前記形状記憶層よりも強度の高い基材層と、をし、
    前記形状記憶層は、前記基材層の内側及び外側の両方に形成されている、
    バルーンカテーテル。
  2. 前記形状記憶層のガラス転移温度は、33°C以下である、
    請求項1に記載のバルーンカテーテル。
  3. 前記形状記憶層は、ポリウレタンを含む、
    請求項1又は請求項2に記載のバルーンカテーテル。
  4. バルーンカテーテルの製造方法であって、
    ラス転移温度が体温以下である形状記憶層及び前記形状記憶層よりも強度の高い基材層を有するバルーンを作成する工程であり、前記形状記憶層を前記基材層の内側及び外側の両方に形成する工程と、
    前記バルーンに流体を流出入させるための内腔が形成されたチューブ状のシャフトに、前記バルーンを取り付ける工程と、
    前記バルーンを、前記形状記憶層のガラス転移温度よりも高い温度で折り畳み、この折り畳んだ状態で前記ガラス転移温度以下とすることにより、前記バルーンに折り畳み形状を記憶させる工程と、
    を含むバルーンカテーテルの製造方法。
  5. 前記形状記憶層のガラス転移温度は、33°C以下である、
    請求項4に記載のバルーンカテーテルの製造方法。
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