以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面は模式的に示したものである。
<<第1の実施形態>>
<太陽電池素子>
まず、本実施形態の太陽電池素子の基本構成について説明する。図4(a)〜(f)に示すように、太陽電池素子10は第1主面1aおよび第1主面1aの反対側に位置する第2主面1bを有する半導体基板1を有している。また、半導体基板1は、p型半導体領域の第1半導体領域2およびn型半導体領域の第2半導体領域3が、第1半導体領域2が最も第1主面1a側に位置するとともに、第2半導体領域3が最も第2主面1b側に位置するように積み重ねられている。また、半導体基板1の最も第1主面1a側に位置する第1半導体領域2の上に、酸化アルミニウムを含む第1パッシベーション層5と、この上に配置された、窒素を含む酸化シリコンからなる保護層11と、を備えている。
次に、太陽電池素子10の具体的構成について説明する。図1〜図3に示すように、太陽電池素子10は、第1主面10a、第2主面10bを有している。第2主面10bは、主に入射光を受光する面(受光面)である。また、第1主面10aは太陽電池素子10の第2主面10bの反対側に位置する面(例えば非受光面)である。
また、太陽電池素子10は、半導体基板1、第1パッシベーション層5、第2パッシベーション層6、反射防止層7、第1電極8、第2電極9を備えている。さらに、太陽電池素子10は、第1パッシベーション層5の上に少なくとも保護層11を有している。
第1パッシベーション層5および第2パッシベーション層6のパッシベーション効果には、内蔵電界による電界パッシベーション効果(パッシベーション層の存在によって界面付近に電界が形成されること)と、界面のダングリングボンドを終端することによるパッシベーション効果(ケミカルパッシベーション)とがある。ここで、電界パッシベーション効果とは、パッシベーション層の固定電荷密度が大きいほど効果を奏することを意味する。例えば、p型シリコンに対しては、パッシベーション層は負の固定電荷密度が大きいほどよい。また、ケミカルパッシベーションとは、界面準位密度が小さいほど効果を奏することを意味する。
第1パッシベーション層5および第2パッシベーション層6は、ALD(Atomic Layer
Deposition:原子層蒸着)法を用いて形成する。ALD法では、アルミニウム供給用と
してトリメチルアルミニウム(TMA)またはトリエチルアルミニウム(TEA)などアルミニウムを含んだ有機金属ガスと、アルミニウムを酸化させるためのオゾンまたは水など酸素を含んだガスとを原料とする。
半導体基板1は、第1半導体領域2と第2半導体領域3とでpn接合を形成している。なお、半導体基板1は、pn接合領域以外に、例えば第1半導体領域2と第2半導体領域3との間に、i型半導体領域等の他の半導体領域が介在して、半導体接合領域を備えていてもよい。
第1半導体領域2の半導体としては、例えば、単結晶シリコンおよび多結晶シリコン等といった結晶シリコン、または非晶質シリコンが採用される。p型のドーパントとしてボロン(B)およびガリウム(Ga)の内の少なくとも一方を用いることで、第1半導体領域2がp型の導電型を有する。
第1半導体領域2の厚さは、例えば250μm以下であり、さらには150μm以下であってもよい。第1半導体領域2の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、平面視した状態で四角形状であれば、第1半導体領域2の製作が容易である。
第2半導体領域3は、p型の結晶シリコン基板の第2主面1b側の領域に、n型ドーパントとなる元素が拡散されることで、この結晶シリコン基板の第2主面1b側の表層内に形成される。このとき、結晶シリコン基板における第2半導体領域3以外の部分が第1半導体領域2となり得る。なお、n型ドーパントは、例えばリン(P)等であればよい。
また、図3(a)、(b)に示すように、半導体基板1の第2主面1bにおいて、凹凸部12が配されている。ここで、凹凸部12における凸部の高さは、例えば、0.1〜10μm程度であればよく、凸部の幅は、例えば、1〜20μm程度であればよい。また、凹凸部12の凹部の面形状は、例えば略球面状であればよい。なお、上記の「凸部の高さ」は、凹部の底面を通り且つ第1主面1aに平行な面(基準面)を基準とし、この基準面の法線方向における、この基準面からの凸部の頂面までの距離を意味する。また、上記の「凸部の幅」は、上記基準面に平行な方向における、隣接する凹部の底面の距離を意味する。
第1パッシベーション層5は、半導体基板1の第1主面1a側に配されている。つまり、第1パッシベーション層5は、第1半導体領域2の第1主面1a側に配されている。第1パッシベーション層5の材料としては、例えば酸化アルミニウムを用いればよい。この第1パッシベーション層5が存在している場合、いわゆるパッシベーション効果によって、半導体基板1の第1主面1aにおける少数キャリアの再結合が低減される。これにより、太陽電池素子10の開放電圧および短絡電流が高まるため、太陽電池素子10の出力特性が向上する。なお、第1パッシベーション層5の厚さの平均値は、例えば、3〜100nm程度であればよい。
この第1パッシベーション層5では、酸化アルミニウムが負の固定電荷密度を有していれば、第1半導体領域2の内の第1パッシベーション層5との界面近傍において、少数キャリアである電子が減少する方向にエネルギーバンドが曲がる。具体的には、第1半導体領域2においては、第1パッシベーション層2との界面に近づけば近づく程、電子電位が増大するように、エネルギーバンドが曲がる。これにより、いわゆる内蔵電界によるパッシベーション効果が増大する。さらに、この第1パッシベーション層5については、組成等が適宜調整されることで、内蔵電界によるパッシベーション効果およびダングリングボンドの終端によるパッシベーション効果が増大する。
第2パッシベーション層6は、半導体基板1の第2主面1b側に配されている。つまり、第2パッシベーション層6は、第2半導体領域3の第2主面1bに配されている。この第2パッシベーション層6が存在している場合、いわゆるダングリングボンドの終端によるパッシベーション効果によって、半導体基板1の第2主面1b側における少数キャリアの再結合が低減される。これにより、太陽電池素子10の開放電圧および短絡電流が高まるため、太陽電池素子10の出力特性が向上する。なお、第2パッシベーション層6の厚さの平均値は、例えば、3〜100nm程度であればよい。
ここで、第2パッシベーション層6の材料として、酸化アルミニウムが採用される場合は、例えば、第2パッシベーション層6の上に、正の界面固定電荷密度、または酸化アルミニウムよりも小さな負の界面固定電荷密度を有する反射防止層7が配されればよい。このような構成によれば、第2半導体領域3の内の第2パッシベーション層6との界面近傍において、第2パッシベーション層6が負の界面固定電荷密度を有する。これにより、少数キャリアである正孔が増加する方向にエネルギーバンドが曲がる不具合が低減される。その結果、半導体基板1の第2主面1b側における少数キャリアの再結合の増大による特性劣化が抑制される。
なお、第1パッシベーション層5および第2パッシベーション層6は、ALD法を用いることによって容易に形成できる。ALD法では、例えば、アルミ供給用としてのトリメチルアルミニウム(TMA)またはトリエチルアルミニウム(TEA)などアルミニウム(Al)を含んだ有機金属ガスと、アルミニウムを酸化させるためのオゾン(O3)または水(H2O)など酸素(O)を含んだガスとを原料とする。
反射防止層7は、太陽電池素子10における光の吸収の効率を向上させるための膜である。反射防止層7は、第2パッシベーション層6の第2主面10b側に配されている。反射防止層7の材料は、例えば、窒化シリコンまたは酸化シリコン等であればよい。反射防止層7の厚さは、半導体基板1および反射防止層7の材料に応じて適宜設定されればよい。これにより、太陽電池素子10において、特定波長領域の光に対して反射し難い条件が実現される。上記の「特定波長領域の光」とは、太陽光の照射強度のピーク波長の前後における波長領域を指すものとする。なお、半導体基板1が結晶シリコン基板である場合には、反射防止層7の屈折率は、例えば、1.8〜2.3程度であればよく、反射防止層7の厚さの平均値は、例えば、20〜120nm程度であればよい。
なお、反射防止層7は半導体基板1の側面1c側に設けられてもよい。この場合、反射防止層7は、これを特にALD法で形成すると緻密になる。これにより、半導体基板1の側面1cにおいても、ピンホール等の微小な開口部が形成されることが大幅に低減されて、リーク電流の発生による特性劣化を避けることができる。
第3半導体領域4は、半導体基板1の内の第1主面1a側に配されている。第3半導体領域4は、第1半導体領域2と同一のp型の導電型である。そして、第3半導体領域4のドーパントの濃度は、第1半導体領域2のドーパントの濃度よりも高い。すなわち、第3半導体領域4は第1半導体領域2を形成するために、半導体基板1にドープされるp型のドーパントよりも高い濃度で、p型のドーパントが半導体基板1にドープされることで形成される。
第3半導体領域4は、半導体基板1の第1主面1a側に内蔵電界を生じさせて、半導体基板1の第1主面1a側に少数キャリアの再結合を低減する役割を有している。このため、第3半導体領域4の存在によって、太陽電池素子10の変換効率をより高めることができる。なお、第3半導体領域4は、例えば、半導体基板1の第1主面1a側にボロンまたはアルミニウム等のドーパントとなる元素をドーピングすることで、形成される。
第1電極8は、半導体基板の第1主面1a側に配されている。図2に示すように、第1電極8には、例えば、複数の第1出力取出電極8aと、多数の線状の第1集電電極8bとが含まれている。複数の第1出力取出電極8aの内の少なくとも一部は、複数の線状の第1集電電極8bと交差することで、これら複数の第1集電電極8bと電気的に接続されている。
第1集電電極8bの短手方向における幅は、例えば、50〜300μm程度であればよい。第1出力取出電極8aの短手方向における幅は、例えば、1.3〜3mm程度であればよい。つまり、第1集電電極8bの短手方向の幅は、第1出力取出電極8aの短手方向の幅よりも小さければよい。また、複数の第1集電電極8bの内の隣り合う第1集電電極8b同士の間隔は、1〜3mm程度であればよい。さらに、第1電極8の厚さは、例えば、10〜40μm程度であればよい。なお、第1電極8は、例えば、銀を主成分として含有する導電性ペースト(銀ペースト)が、スクリーン印刷等によって半導体基板1の第1主面1a上に所望のパターンで塗布された後に焼成されることで、形成される。また、第1集電電極8bの材料に主にアルミニウムが使用され、第1出力取出電極8aの材料に主に銀が使用されてもよい。
第2電極9は、半導体基板1の第2主面1b側に配されている。図1に示すように、第2電極9には、例えば、複数の第2出力取出電極9aと、多数の線状の第2集電電極9bとが含まれている。ここで、第2出力取出電極9aの内の少なくとも一部は、複数の線状の第2集電電極9bと交差することで、これら複数の第2集電電極9bと電気的に接続されている。
第2集電電極9bの短手方向における幅は、例えば、50〜200μm程度であればよい。第2出力取出電極9aの短手方向における幅は、例えば、1.3〜2.5mm程度であればよい。つまり、第2集電電極9bの短手方向の幅は、第2出力取出電極9aの短手方向の幅よりも小さければよい。また、複数の第2集電電極9bの内の隣り合う第2集電電極9b同士の間隔は、1〜3mm程度であればよい。さらに、第2電極9の厚さは、例えば、10〜40μm程度であればよい。なお、第2電極9は、例えば、銀ペーストがス
クリーン印刷等によって半導体基板1の第2主面1b上に所望のパターンで塗布された後に焼成されることで、形成される。
図3(a)に示すように、第1パッシベーション層5の上には、窒素を含む酸化シリコンからなる保護層11が配置されている。太陽電池素子10に保護層11が存在することによって、外部からの透湿を抑制してパッシベーション効果を損なわないようにすることができて、太陽電池素子10の電気的特性を損なわずに、信頼性を向上させることができる。保護層11は、例えば、スプレー法またはスピンコート法等によって形成されて配置されている。また、保護層11の厚みを200〜1000nmとすることによって、電気的特性を損なわずに信頼性を向上させることができる。なお。酸化シリコン中の窒素の有無は、フーリエ変換赤外分光(FT−IR)装置を用いてSi−N結合を確認すればよい。
膜厚が200nm未満の場合には十分な信頼性が得られず、膜厚が1000nmを超える場合には塗膜の形成および焼成時間が長くなるため、太陽電池素子10の生産性が悪化する。また、塗膜の焼成後に塗膜の内部応力によって膜の剥離が生じ、信頼性の低下が生じる。
保護層11は、酸化シリコン中に窒素を含むことから、透湿の低減の点で優れている。これは、酸化シリコンよりも窒化シリコンの方が緻密な膜が形成されるため、窒素を含む方が透湿の低減の効果がより得られると推測される。このとき、保護層11は、酸素100に対して窒素の原子数比が0.5〜30含んでいればよく、より好ましくは3〜30であればよい。酸素および窒素の濃度は、例えばX線光電子分光(X-ray Photoelectron Spectroscopy)法等で測定が可能である。
酸素100に対する窒素の原子数比が0.5未満の場合は、保護層11の緻密性の低下によって、信頼性が十分に得られないと推測される。また、酸素100に対する窒素の原子数比が30を超える場合は、保護層11の内部応力の影響によって、膜の剥離が生じ、信頼性が十分に得られないと推測される。
また、保護層11は、図3(a)に示すように第1パッシベーション層5上のみに形成されていてもよく、図3(b)に示すように第1パッシベーション層5上および第1集電電極8b上に形成されてもよい。第1集電電極8b上にも保護層11を形成されることによって、第1パッシベーション層5だけでなく第1集電電極8bも保護されるため、第1集電電極8bの劣化が低減され、太陽電池素子10の長期信頼性が向上する。
<太陽電池素子の製造方法>
次に、太陽電池素子10の製造方法の一例について図4を用いて詳述する。
まず、第1半導体領域(p型半導体領域)2を有する半導体基板1の基板準備工程について説明する。半導体基板1は、例えば既存の鋳造法等によって形成される。なお、以下では、半導体基板1として、p型を呈する多結晶シリコン基板を用いた例について説明するが、半導体基板1はn型であってもよいし、単結晶シリコン基板を用いもよい。
最初に、例えば鋳造法によって多結晶シリコンインゴットを作製する。次いで、図4(a)に示すように、そのインゴットを、例えば、250μm以下の厚みにスライスする。その後、半導体基板1の切断面の機械的なダメージ層および汚染層を洗浄するために、半導体基板1の表面をNaOH、KOH、フッ酸またはフッ硝酸などの溶液でごく微量エッチングしてもよい。
次に、図4(b)に示すように、半導体基板1の第2主面1bに凹凸部12を形成する。凹凸部12の形成方法としては、NaOH等のアルカリ溶液またはフッ硝酸等の酸溶液を使用したウエットエッチング方法またはRIE(Reactive Ion Etching)等を使用したドライエッチング方法を用いて凹凸部12を形成することができる。なお、このとき、ウエットエッチング法を用いて、半導体基板1の少なくとも第1主面1a側に第1凹凸部を形成した後、ドライエッチング方法を用いて第2主面1b側に第2凹凸部を形成することによって、半導体基板1の第1主面1aの第1凹凸部の凸部間の距離を第2主面1b側の凸部間の距離よりも大きくすることができる。
次に、図4(c)に示すように、上記工程によって形成された凹凸部12を有する半導体基板1の第2主面1bに対して、第2半導体領域3を形成する工程を行う。具体的には、凹凸部12を有する半導体基板1における第2主面1b側の表層内にn型の第2半導体領域3を形成する。
この第2半導体領域3は、ペースト状態にしたP2O5を半導体基板1の表面に塗布して熱拡散させる塗布熱拡散法、または、ガス状態にしたオキシ塩化リン(POCl3)を拡散源とした気相熱拡散法等によって形成される。この第2半導体領域3は0.2〜2μm程度の深さ、40〜200Ω/□程度のシート抵抗を有するように形成される。例えば、気相熱拡散法では、POCl3等からなる拡散ガスを有する雰囲気の中で600〜800℃程度の温度で、半導体基板1を15〜30分程度熱処理して燐ガラスを半導体基板1の表面に形成する。その後、アルゴンまたは窒素等の不活性ガス雰囲気中で800〜900℃程度の高い温度において、半導体基板1を10〜40分程度熱処理することによって、燐ガラスから半導体基板1にリンが拡散して、半導体基板1の表面に第2半導体領域3が形成される。
次に、上記第2半導体領域3の形成工程において、第1主面1a側にも第2半導体領域3が形成された場合には、第1主面1a側に形成された第2半導体領域3のみをエッチングして除去する。これにより、第1主面1a側にp型の導電型領域を露出させる。例えば、フッ硝酸溶液に半導体基板1の第1主面1a側のみを浸して第1主面1a側に形成された第2半導体領域3を除去する。その後に、第2半導体領域3を形成する際に半導体基板1の表面(第2主面1b側)に付着した燐ガラスをエッチングして除去する。
このように、第2主面1b側に燐ガラスを残存させて第1主面1a側に形成された第2半導体領域3を除去することによって、燐ガラスによって第2半導体領域3が除去されたり、ダメージを受けたりするのを低減することができる。
また、第2半導体領域3の形成工程において、予め第1主面1a側に拡散マスクを形成しておき、気相熱拡散法等によって第2半導体領域3を形成して、続いて拡散マスクを除去してもよい。このようなプロセスによっても、同様の構造を形成することが可能であり、この場合には、上記した第1主面1a側に第2半導体領域3は形成されないため、第1主面1a側の第2半導体領域3を除去する工程が不要である。
なお、第2半導体領域3の形成方法は、上記方法に限定されるものでもなく、例えば薄膜技術を用いて、n型の水素化アモルファスシリコン膜または微結晶シリコン膜を含む結晶質シリコン膜等を形成してもよい。
以上により、第2主面1b側にn型半導体領域である第2半導体領域3が配置され、且つ、表面に凹凸部12が形成された、p型半導体領域である第1半導体領域2を含む半導体基板1を準備することができる。
次に、半導体基板1の第1主面1a側に第1パッシベーション層5を形成するとともに、第2半導体領域3が形成された第2主面1b側に第2パッシベーション層6を形成する。第1パッシベーション層5および第2パッシベーション層6の形成方法としては、例えば、ALD法が用いられる。これにより、半導体基板1の全周囲に同時に、第1パッシベーション層5および第2パッシベーション層6が形成される。つまり、半導体基板1の側面1cにもパッシベーション層が形成される。
ALD法が採用された場合には、成膜装置のチャンバー内に第2半導体領域3が形成された半導体基板1が載置され、この半導体基板1が100〜250℃の温度域で加熱された状態で、以下の工程Aから工程Dが繰り返される。これにより、所望の厚さを有する第1パッシベーション層5および第2パッシベーション層6が形成される。
[工程A]TMA等のAl原料を、ArガスまたはN2ガス等のキャリアガスとともに半導体基板1上に供給することで、半導体基板1の全周囲にAl原料が吸着する。ここで、半導体基板1の表面におけるダングリングボンドはOH基の形で終端されていることが望ましい。この構造は、Si基板を希フッ酸で処理する工程での純水リンス条件、その後の硝酸等の酸化性溶液による処理、またはオゾン処理等によって形成することができる。なお、TMAが供給される時間は、例えば、15m秒〜3秒程度であればよい。工程Aでは下記の反応が生じる。
Si−O−H + Al(CH3)3 → Si−O−Al(CH3)2 + CH4↑
この反応によって半導体基板1の全周囲にAl原料が吸着する。
[工程B]N2ガスによって成膜装置チャンバー内の浄化を行うことで、このチャンバー内のAl原料を除去すると共に、半導体基板1に物理吸着および化学吸着したAl原料の内、原子層レベルで化学吸着した成分以外のAl原料を除去する。なお、N2ガスによってチャンバー内が浄化される時間は、例えば、1〜数十秒程度であればよい。
[工程C]水またはO3ガス等の酸化剤を、成膜装置のチャンバー内に供給することで、TMAに含まれるアルキル基としてのメチル基を除去してOH基で置換する。つまり、下記の反応が生じる。
Si−O−Al−CH3 + HOH → Si−O−Al−OH +CH4↑
ここで、左辺の「Si−O−Al−CH3」は、正確には「Si−O−Al−(CH3)2」と表現されるべきところであるが、表記が煩雑となるので、1つのCH3についての反応のみを上記反応式に示した。
これにより、半導体基板1の上に酸化アルミニウムの原子層が形成される。なお、酸化剤がチャンバー内に供給される時間は、好適には750m秒〜1.1秒程度であればよい。また、例えば、チャンバー内に酸化剤とともにHが供給されることで、酸化アルミニウムにHが含有されやすくなる。
[工程D]N2ガスによって成膜装置のチャンバー内の浄化を行うことで、このチャンバー内の酸化剤を除去する。このとき、例えば、半導体基板1上における原子層レベルの酸化アルミニウムの形成時において反応に寄与しなかった酸化剤が除去される。なお、N2ガスによってチャンバー内が浄化される時間は、例えば、1秒程度あればよい。
ここで再び工程Aに戻ると、次の反応が生じる。
Si−O−Al−OH + Al(CH3)3 →
Si−O−Al−O−Al(CH3)2 + CH4↑
以後、工程B→工程C→工程D→工程A→・・・のように、工程A〜Dの一連の工程を複数回繰り返すことで、所望の膜厚の酸化アルミニウム層が形成される。
このようにして、第1パッシベーション層5と第2パッシベーション層6をALD法によって形成することで、半導体基板1の表面に微小な凹凸があってもその凹凸に沿って酸化アルミニウム層が均一に形成される。これにより、半導体基板1の表面におけるパッシベーション効果が高まる。
次に、半導体基板1の第2主面1b上に形成された第2パッシベーション層6の上に反射防止層7を形成する。反射防止層7の形成方法としては、例えば、PECVD(Plasma
Enhanced Chemical Vapor Deposition)法、ALD法、蒸着法またはスパッタリング法
等が採用される。例えば、PECVD法が採用される場合には、成膜装置において、SiH4ガスとNH3ガスとの混合ガスが、N2ガスで希釈され、チャンバー内におけるグロー放電分解によってプラズマ化されて、第2パッシベーション層6上に窒化シリコンが堆積される。これにより、窒化シリコンを含む反射防止層7が形成される。なお、窒化シリコンの堆積時におけるチャンバー内の温度は、例えば、500℃程度であればよい。そして、反射防止層7がALD法以外のPECVD法、蒸着法またはスパッタリング法等によって形成されることで、所望の厚さの反射防止層7が短時間で形成される。これにより、太陽電池素子10の生産性が向上する。
次に、図4(e)に示すように、第3半導体領域4、第1電極8および第2電極9を形成する。
ここで、第3半導体領域4および第1電極8の形成方法について説明する。まず、ガラスフリットおよびアルミニウムの粉末を含有しているアルミニウムペーストが、第1パッシベーション層5上の所定領域に塗布される。次に、最高温度が600〜800℃の高温域における熱処理が行われるファイヤースルー法によって、アルミニウムペーストの成分が、第1パッシベーション層5を透過して、半導体基板1の第1主面1a側に第3半導体領域4が形成される。このとき、第3半導体領域4の第1主面1a上にアルミニウムの層が形成される。なお、このアルミニウムの層は、第1電極8の一部としての第1集電電極8bとして使用される。ここで、第3半導体領域4が形成される領域は、図4(e)に示すように、例えば、半導体基板1の第1主面1aにおいて、第1集電電極8bが形成される位置に沿った領域であればよい。
そして、第1出力取出電極8aは、例えば、主として銀(Ag)等を含む金属粉末、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する銀ペーストを用いて作製する。具体的には、銀ペーストを、第1パッシベーション層5上に塗布する。その後、銀ペーストを焼成することで、第1出力取出電極8が形成される。ここで、焼成における最高温度は、例えば、600〜800℃程度であればよい。また、焼成の際、例えば、ピーク温度に向けて昇温させて、ピーク温度付近で一定時間(数秒以内)保持した後に降温させる。銀ペーストを塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷法等を採用すればよい。この銀ペーストの塗布を行った後、所定の温度で銀ペーストを乾燥することで、この銀ペースト内の溶剤を蒸散させてもよい。ここでは、第1出力取出電極8がアルミニウムの層と接触することで第1集電電極8bと電気的に接続される。
なお、第1出力取出電極8aを形成した後に、第1集電電極8bを形成してもよい。また、第1出力取出電極8aは、半導体基板1と直接接触しなくてもよく、第1出力取出電極8aと半導体基板1との間に第1パッシベーション層5が存在していてもよい。また、第3半導体領域4の上に形成されたアルミニウムの層は除去してもよい。また、同一の銀ペーストを用いて、第1出力取出電極8aと第1集電電極8bとを形成してもよい。
次に、第2電極9の形成方法について説明する。第2電極9は、例えば、主としてAg
等を含む金属粉末、有機ビヒクルおよびガラスフリットを含有する銀ペーストを用いて作製する。具体的には、銀ペーストを、半導体基板1の反射防止層7上に塗布する。その後、銀ペーストを焼成することで、第2電極9を形成する。ここで、焼成における最高温度は、例えば、600〜800℃程度であればよい。また、焼成を行う時間は、例えば、焼成ピーク温度において数秒以内程度で保持されればよい。銀ペーストを塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷法等を採用すればよい。この銀ペーストの塗布を行った後、所定の温度で銀ペーストを乾燥することで、銀ペースト内の溶剤を蒸散させてもよい。なお、第2電極9には、第2出力取出電極9aおよび第2集電電極9bが含まれるが、スクリーン印刷法が採用されることで、第2出力取出電極9aおよび第2集電電極9bは、1つの工程で同時に形成される。
ところで、第1電極8および第2電極9については、各々のペーストを塗布した後に、同時に焼成を行うことで、同時に焼成してもよい。なお、上記の例では、印刷および焼成によって第1電極8および第2電極9を形成する形態を例示したが、これに限られない。例えば、第1電極8および第2電極9は、蒸着法またはスパッタリング法といったその他の薄膜形成方法、あるいはメッキ法で形成してもよい。
また、第1パッシベーション層5および第2パッシベーション層6を形成した後に、各工程における熱処理の最高温度を800℃以下とすることで、第1パッシベーション層5および第2パッシベーション層6によるパッシベーション効果が増大する。例えば、第1パッシベーション層5および第2パッシベーション層6を形成した後の各工程において、300〜500℃の温度域における熱処理を行う時間が、例えば、3〜30分程度であればよい。
次に、保護層11の形成方法について説明する。保護層11は、図4(f)に示すように、第1パッシベーション層5上に形成される。保護層11は次のようにして形成する。まず、例えば、ポリシラザン等からなるSi−N結合を有する液体または固体とアミン系等の触媒をトルエン、キシレンまたはターベン等の溶媒に溶かして第1溶液を作製する。そして、第1溶液を第1パッシベーション層5の上に塗布して塗膜を配置する。塗布する方法としては、スプレー法またはスピンコート法等が採用される。このとき、第1パッシベーション層5および第1電極8上に保護層を設ける場合は、半導体基板1の第1主面1aの全面に塗膜を配置すればよい。ただし、第1パッシベーション層5上のみに保護層11を形成する場合は、第1電極8上に予めマスクを設けておけばよい。加えて、第1集電電極8b上にも保護層11を形成する場合は、第1出力取出電極8a上に予めマスクを設けておけばよい。次に、配置した塗膜を、必要に応じて常温で乾燥させた後、焼成して保護層11を形成する。焼成の最高温度は、例えば、200℃以下であればよく、より好ましくは100〜150℃であればよい。また、焼成時間は、例えば、180分以下であればよく、より好ましくは10〜60分である。なお、作製された保護層11の結合状態は、FT−IR装置を用いて測定することができる。
塗膜の焼成温度が200℃以下または焼成時間が180分以下であれば、塗膜の焼成工程において半導体基板1に熱負荷がかかりにくいので、太陽電池素子10においてキャリアの再結合が発生しにくく、太陽電池素子10の特性が維持される。また、この場合、塗膜の反応が促進されにくいので、窒素含有率が低下しにくくなり、保護層11の緻密性が維持されて、信頼性が維持されるものと推測される。なお、保護層11は、後に詳述する太陽電池モジュール20の製造工程にて形成されてもよい。
塗膜は、窒素を含む酸化雰囲気にて焼成されることによって、保護層11である窒素を含有する酸化シリコンが形成される。また、塗膜の焼成時は、窒素(N2)ガス、アンモニア(NH3)ガス等の窒素を含むガス流量を調整することによって窒素含有量を制御し
てもよい。上記条件で保護膜11を作製することによって、保護層11は、酸素に対して窒素を0.5〜30原子%で含むことができる。
<<第2の実施形態>>
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
<太陽電池素子>
図5および図6に示すように、太陽電池素子10は、保護層11の上に第1集電電極8bが配置されている。さらに、第1パッシベーション層5と保護層11が形成されていない領域の半導体基板1の第1主面1aとのそれぞれの上にも第1集電電極8bが配置されている。このように、第1集電電極8bは半導体基板1の第1主面1aの略全面を覆うように配置されている。本実施形態では、保護層11の上に第1集電電極8bが設けられていても、外部からの透湿を抑制してパッシベーション効果を損なわないようにすることができる。これにより、太陽電池素子10の電気的特性を損なわずに、信頼性を向上させることができる。また、半導体基板1の第1主面1aの略全面を覆うように、第1集電電極8bを配置することによって、集電されたキャリアが第1出力取出電極8aに効率よく移動できる。このため、太陽電池素子10の出力を高めることができる。
<太陽電池素子の製造方法>
第1の実施形態と同様な方法によって、第2半導体領域3を備えた半導体基板1の第1主面1a上に第1パッシベーション層5を形成し、その上に保護層11を形成する。
次に、半導体基板1と第1集電電極8bとの電気的接続を得るために、第1パッシベーション層5の一部と保護層11の一部とを除去し、コンタクトホールが設けられる。コンタクトホールは、例えば、レーザービーム照射で形成してもよいし、パターン化されたエッチングマスクを形成した後のエッチング等で形成する。
次に、ガラスフリットおよびアルミニウムの粉末を含有しているアルミニウムペーストが、コンタクトホールおよび保護層11上の所定領域に塗布される。そして、最高温度が600〜850℃の条件で数十秒〜数十分間程度焼成することによって、第1集電電極8bが形成される。このとき、アルミニウムペーストの焼成の際に、第1パッシベーション層5および保護層11がファイヤースルーしないようにすることが好ましい。このため、例えば、焼成温度を低くする、焼成時間を短くする、またはガラスフリットの組成において非鉛系のガラスを使用するとよい。なお、電極の形成における熱処理によって、保護層11の塗膜の反応が促進され、窒素含有率が低下する可能性がある。しかしながら、電極の形成における熱処理の時間を数十秒〜数十分間程度とすることによって、窒素含有率の低下を低減することができる。また、保護層11を形成した際の窒素含有率を高くすることよって、電極形成後における保護層11の窒素含有率を最適値に調整することができる。
また、保護層11の厚みを200nm以上とすることによって、太陽電池素子10の電気的特性を損なわずに信頼性を向上させることができる。また、アルミニウムペーストが第1パッシベーション層5をファイヤースルーさせないように、保護層11によって第1パッシベーション層5を保護することができ、太陽電池素子10の特性の低下を低減することができる。
<太陽電池モジュール>
一実施形態に係る太陽電池モジュール20は、保護層11を有する1つ以上の太陽電池素子10を備えている。例えば、太陽電池モジュール20は、電気的に接続されている複
数の太陽電池素子を備えていればよい。このような太陽電池モジュール20は、単独の太陽電池素子10の電気出力が小さな場合に、複数の太陽電池素子10が例えば直列または並列に接続されることで形成される。そして、例えば、複数の太陽電池モジュール20が組み合わされることで、実用的な電気出力が取り出される。以下では、太陽電池モジュール20が、複数の太陽電池素子10を備えている一例を挙げて説明する。
図10に示すように、太陽電池モジュール20は、例えば、透明部材23、表側充填材24、複数の太陽電池素子10、配線導体21、裏側充填材25および裏面保護材26が積層された積層体を備えている。ここで、透明部材23は、太陽電池モジュール20において太陽光を受光する受光面を保護するための部材である。この透明部材23は、例えば、透明な平板状の部材であればよい。透明部材23の材料としては、例えばガラス等が採用される。表側充填材24および裏側充填材25は、例えば透明な充填材であればよい。表側充填材24および裏側充填材25の材料としては、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)等が採用される。裏面保護材26は、太陽電池モジュール20を裏面から保護するための部材である。裏面保護材26の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリフッ化ビニル樹脂(PVF)等が採用される。なお、裏面保護材26は、単層構造を有していても積層構造を有していてもよい。
配線導体21は、複数の太陽電池素子10を電気的に接続する部材(接続部材)である。太陽電池モジュール20に含まれる複数の太陽電池素子10の内の一方向に隣り合う太陽電池素子10同士は、一方の太陽電池素子10の第1電極8と他方の太陽電池素子10の第2電極9とが配線導体21によって接続されている。つまり、図3(a)に示す太陽電池素子10を用いた場合、図7、図8および図11(a)に示すように、太陽電池素子10の第1出力取出電極8aと第2出力取出電極9aに配線導体21が接続されている。ここで、配線導体21の厚さは、例えば、0.1〜0.2mmであればよい。配線導体21の幅は、例えば、約2mm程度であればよい。そして、配線導体21としては、例えば、銅箔の全面に半田が被覆された部材等が用いられる。
また、電気的に直列に接続されている複数の太陽電池素子10の内、最初の太陽電池素子10の電極の一端と最後の太陽電池素子10の電極の一端は、出力取出配線22によって、それぞれ出力取出部としての端子ボックス28に電気的に接続されている。また、図10では図示を省略しているが、図9に示すように、太陽電池モジュール20は、上記積層体を周囲から保持する枠体27を備えていてもよい。枠体27の材質としては、例えば、耐食性と強度を併せ持つアルミニウム等が採用される。
このように第1パッシベーション層5の上に保護層11を配置した太陽電池素子10を備えた太陽電池モジュール20を形成することによって、太陽電池モジュール20内に透過してきた水による第1パッシベーション層5の劣化を低減することができ、太陽電池モジュール20の信頼性を向上させることができる。
なお、裏側充填材25の材料としてEVAが採用される場合には、EVAは、酢酸ビニルを含むため、高温時における湿気または水等の透過によって、経時的に加水分解を生じて酢酸を発生させる場合がある。これに対して、本実施形態では、第1パッシベーション層5の上に保護層11が設けられることで、酢酸によって太陽電池素子10に与えられるダメージが低減される。その結果、太陽電池モジュール20の信頼性が長時間にわたって確保される。
また、表側充填材24および裏側充填材25の少なくとも一方の材料として、EVAが採用される場合には、このEVAに水酸化マグネシウムまたは水酸化カルシウム等を含む受酸剤が添加されていてもよい。これにより、EVAからの酢酸の発生が低減されるため
、太陽電池モジュール20の耐久性が向上し、酢酸によって第1パッシベーション層5または第2パッシベーション層6に与えられるダメージがさらに低減される。その結果、太陽電池モジュール20の信頼性が長時間にわたって確保される。
また、図3(b)に示す太陽電池素子10を用いた場合、図11(b)に示すように、第1集電電極8b上にも保護層11が形成された太陽電池素子10の第1出力取出電極8aと第2出力取出電極9aに配線導体21が接続されている。このため、太陽電池モジュール20内に透過してきた水およびEVAから発生した酢酸等による、第1集電電極8bの劣化を低減することができ、太陽電池モジュール20の長期信頼性が長時間にわたって確保される。
また、太陽電池素子10に配線導体21を接続した後、図11(c)に示すように、第1集電電極8b上および配線導体21上に保護層11を形成してもよい。保護層11によって第1集電電極8b、配線導体21および配線導体21と第1出力取出電極8aの接続部が保護されるため、水および酢酸等によるダメージが低減されて太陽電池モジュール20の長期信頼性が長時間にわたって確保される。
<太陽電池モジュールの製造方法>
次に、太陽電池モジュール20の製造方法について説明する。
まず、太陽電池モジュール20の基本的な製造方法について説明する。ここで、太陽電池モジュール20は、例えば、上述した太陽電池素子10を複数備えている。また、太陽電池モジュール20は、半導体基板1の第1主面1aに、第1パッシベーション層5、および第1パッシベーション層5と並置されている第1導体が配置されている第1発電ユニットと、第1発電ユニットと同様な構成である、第2導体を有する第2発電ユニットとを備えている。そして、太陽電池モジュール20は、第1発電ユニットと第2発電ユニットとが配線導体21を介して電気的に接続されている。このような太陽電池モジュール20の製造工程は、前記第1発電ユニットの前記第1導体と、前記第2発電ユニットの前記第2導体との上に配線導体21を配置する配線導体21配置工程と、第1パッシベーション層5の上に、Si−N結合を有する液体または固体が有機溶剤に溶けている塗膜を配置する塗膜配置工程と、前記塗膜を焼成して第1パッシベーション層5の上に保護層11を形成する保護層形成工程と、を含む。
次に、図10を用いて具体的な太陽電池モジュール20の製造方法について詳述する。まず、複数の太陽電池素子10を直並列に配置して、配線導体21によって隣り合った太陽電池素子10同士を電気的に接続する。配線導体21の接続方法としては、半田ごて、ホットエアー、レーザーまたはパルスヒート等の方法を用いることができる。このような方法によって、配線導体21は、第1出力取出電極8aおよび第2出力取出電極9bに半田付けされる。
次に、透明部材23上に表側充填材24を配置して、その上に、配線導体21および出力取出配線22を接続した複数の太陽電池素子10を配置する。さらにその上に、裏側充填材25および裏面保護材26を順次積層する。そして、その後、出力取出配線22を裏面側の各部材に設けられたスリットから裏面保護材26の外部に導出する。このような積層体を、ラミネーターにセットし、減圧下にて加圧しながら80〜200℃で、例えば15〜60分間加熱する。これにより、積層体が一体化してなる太陽電池モジュール20を得ることができる。
次に、端子ボックス28を取り付ける。具体的には、出力取出配線22の導出された裏面保護材26上に、端子ボックス28をシリコン系等の接着剤を用いて取り付ける。そし
て、プラス側、マイナス側の出力取出配線22を端子ボックス28のターミナル(不図示)にはんだ付け等で固定する。その後、端子ボックス28に蓋を取り付ける。
最後に、枠体27を取り付けて、太陽電池モジュール20を完成させる。具体的には、太陽電池モジュール20の外周部にアルミニウム等で作製された枠体27を取り付ける。枠体27は、例えば、その角部をビスなどで固定することによって、取り付けることができる。このようにして、太陽電池モジュール20が完成する。
また、第1パッシベーション層5の保護層11は、上述したように太陽電池モジュール20の製造工程にて形成してもよい。この場合について、以下、詳細に説明する。
まず、複数の太陽電池素子10を直並列に配置して、配線導体21を第1出力取出電極8aおよび第2出力取出電極9bの上に配置する。
次に、太陽電池素子10の第1主面10aの全面に第1溶液を塗布し、第1パッシベーション層5、第1集電電極8bおよび配線導体21の上にSi−N結合を有する液体または固体が有機溶剤に溶けている塗膜を配置する。なお、配置した塗膜を、必要に応じて乾燥させてもよい。例えば、配線導体21を電極に接続する熱処理と同時に塗膜を乾燥させてよいし、配線導体21を電極に接続した後、塗膜を配置して別工程で塗膜を乾燥させてもよい。
塗膜を乾燥させた後、透明部材23、表側充填材24、配線導体21と出力取出配線22とを接続した複数の太陽電池素子10、裏側充填材25および裏面保護材26を積層した積層体を、ラミネーターにて減圧下で加圧しながら加熱する。これにより、ラミネートと同時に塗膜が焼成されて保護層11が形成される。または、配線導体21を電極に接続する熱処理と同時に塗膜を焼成して保護層11を形成してもよい。配線導体21の接続工程、あるいは、ラミネーターによって塗膜の焼成を行う。これにより、保護層11の焼成工程を新たに設けることなく、太陽電池モジュール20の製造を行えるため、太陽電池モジュール20の製造コストが低減し、生産性を向上させることができる。
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、改良等が可能である。
例えば、第1パッシベーション層5を形成する前に第3半導体領域4を形成してもよい。この場合、第1パッシベーション層5の形成工程の前に、第1主面1aにおける所定領域にボロンまたはアルミニウムを拡散すればよい。ボロンは、三臭化ボロン(BBr3)を拡散源とした熱拡散法を用いて、半導体基板1を温度800〜1100℃で加熱されることによって拡散される。
また、反射防止層7および第2パッシベーション層6を形成する順序は、上記の説明した順序と逆であっても構わない。
以下に、本発明の実施形態をさらに具体化した実施例について説明する。
<実施例1>
まず、太陽電池基板としてp型の導電性を有する第1半導体領域2を有した半導体基板1を用いて、平面視して正方形の一辺が約156mm、厚さが約200μmの多結晶シリコン基板を用意した。これらの半導体基板1をNaOH水溶液でエッチングして、その後、洗浄を行った。このようにして用意した半導体基板1に対して、以下の処理を行った。
まず、半導体基板1の第2主面1b側にRIE法を用いて凹凸部12(テクスチャ)を形成した。
次に、半導体基板1に、オキシ塩化リン(POCl3)を拡散源とした気相熱拡散法によって、リンを拡散させて、シート抵抗が90Ω/□程度となるn型の第2半導体領域3を形成した。なお、半導体基板1の側面1cおよび第1主面1a側に形成された第2半導体領域3をフッ硝酸溶液で除去して、その後、残留したガラスをフッ酸溶液で除去した。
次に、半導体基板1の全面にALD法を用いて酸化アルミニウム層からなる第1パッシベーション層5および第2パッシベーション層6を形成した。
ここでは、成膜装置のチャンバー内に半導体基板1を載置して、半導体基板1の表面温度が100〜200℃程度になるように維持した。そして、アルミニウム源材料としてTMAを用い、酸化剤としてO3ガスを用いて、上述した工程Aから工程Dを繰り返した。これにより、約30nmの厚さの第1パッシベーション層5および第2パッシベーション層6を形成した。
その後、第2パッシベーション層6の上にプラズマCVD法によって窒化シリコン膜からなる反射防止層7を形成した。そして、第2主面1b側には銀ペーストを第2電極のパターンに塗布し、第1主面1a側には銀ペーストを第1出力取出電極8aのパターンに塗布した。その後、アルミニウムペーストを第1集電電極8bのパターンに塗布した。その後、これらのペーストのパターンを焼成することによって、第3半導体領域4、第1電極8および第2電極9を形成した。
そして、試料1においては、第1パッシベーション層5上に窒素を含む酸化シリコンからなる保護層11を配置し、試料2においては、図12に示すように、第1パッシベーション層5上に保護層11を配置しなかった。なお、保護層11は、ポリシラザンを含有する有機溶剤をスプレー法によって第1主面1a側に第1パッシベーション層5上に塗布して、塗膜を形成した。そして、塗膜は大気雰囲気中にて180℃で30分間加熱することで乾燥させた。この時、保護層11の膜厚は500nmであった。また、X線光電子分光法によって、保護層11の酸素100に対する窒素の原子数比が20であることを確認した。さらに、FT−IR装置を用いて、保護層11においてSi−N結合およびSi−O結合を確認した。
そして、太陽電池素子10を作製した後に、図9および図10に示すような太陽電池モジュール20を作製し、試料1および試料2について下記の信頼性試験を行った。
信頼性試験は、太陽電池出力である最大出力Pmを測定した。さらに、試料1および試料2について、温度125℃、湿度95%の恒温恒湿試験機に投入した。そして、150時間後、350時間後、450時間後、550時間後、700時間後のそれぞれの場合において、初期Pmからの変化率を測定した。なお、これらの特性の測定はJIS C 8913に基づいてAM(Air Mass)1.5および100mW/cm2の条件下にて測定した。
図13に示すように、試料2の保護層11を備えていない太陽電池素子10からなる太陽電池モジュール20では、150時間経過で約8%、350時間経過で約10%出力が低下した。一方、試料1の保護層11を備えている太陽電池素子10からなる太陽電池モジュール20では、700時間経過しても約4%しか低下せず、初期特性をより長時間維持できることを確認した。
<実施例2>
次に、太陽電池モジュール20の初期特性について、さらに詳細に調べた。太陽電池モジュール20の作製まで実施例1と同様にして行い、第1パッシベーション層5上に塗布した塗膜の熱処理条件を変えて、保護層11の酸素に対する窒素の原子数比を変えた試料3〜7を作製した。
保護層11として、酸素100に対する窒素の原子数比が0.1(試料3)、0.5(試料4)、3(試料5)、30(試料6)および35(試料7)のそれぞれを有する太陽電池モジュール20を作製した。
そして、これらの太陽電池モジュール20について、実施例1と同様にして初期特性を評価し、信頼性試験を行った。
その結果、試料7の太陽電池モジュール20では、熱ダメージの影響によるものと思われる初期特性の低下がみられた。また、試料3および試料7の太陽電池モジュール20は、700時間経過で約8%出力が低下した。一方、酸素に対する窒素の原子数比が0.5〜30の試料4〜6の太陽電池モジュール20は、700時間経過しても5%未満しか低下せず、初期特性をより長時間維持することを確認した。