JP6431124B2 - マイクロ波を利用した酸化チタンの還元方法 - Google Patents
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Description
クロール法は、まず、チタン鉱石中のTiO2を、約900℃の温度、Cの共存下でClと反応させて、TiO2 +2Cl2 +2C(又はC)=TiC4 +2CO(又はCO2)の反応式によって、TiCl4を
製造し、次に、このTiCl4を精錬して金属Mgと反応させ、金属熱還元法により、スポンジ
状の金属Tiを製造する方法である。
しかし、このクロール法による金属チタンの製造方法は、製造に長時間を要すると共に、製造コストが高いという問題がある。
ここで提案されている還元方法は、反応容器内のモリブデン製プレートに原料であるTiO2粉末を載せ、該反応容器の底部に粉状カルシウム金属を置き、この状態で反応容器を高温に加熱することによって、カルシウム蒸気を発生させ、このカルシウム蒸気を酸化チタンに反応させるというものである。
これらの問題から、例えば、金属を加熱することによって、その金属を連続的に蒸発させて金属蒸気を発生させようとする場合に、その加熱源として、マイクロ波を利用することができないという問題があった。
1.金属材料とセラミックス体との混合体に、マイクロ波を照射して加熱し、前記金属材料を蒸発させることによって、金属蒸気を発生させ、
前記金属蒸気を酸化チタンに反応させる構成であり、
前記金属材料は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム又はカリウムであり、
前記セラミックス体は、ジルコニア、石英、アルミナ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムである、ことを特徴とする酸化チタンの還元方法。
金属材料であるが、金属材料とセラミックス体との混同体にマイクロ波を照射すれば、マイクロ波は混合体の一部となった金属にも吸収され、加熱することができる。この加熱により、金属材料の温度が沸点近くに達すれば、金属材料は蒸発(又は昇華)し、金属蒸気を発生させることができる。
従来、金属を加熱・蒸発させるためにマイクロ波を使用する場合には、アプリケータ(「加熱室」、特に「マイクロ波照射室」をいう。以下同じ。)内を、マイクロ波加熱としては一般的でない誘導加熱のモードにしなければならなかった。
この金属蒸気の発生方法を用いることによって、少ないエネルギー、短時間かつローコストで、酸化チタンを還元することができる。
更に、真空下で金属蒸気を発生させて酸化チタンを還元することで、反応前は、金属材料の酸化を防止又は抑制することができ、反応後は、還元されたチタン金属が再び酸化することを防止又は抑制することができる。
なお、本発明において「真空」とは、大気圧よりも圧力が低い状態をいい、気圧による限定はない。
TiO2(s)+2Ca(g) → Ti(s)+2CaO(s)
TiO2(s)+2Mg(g) → Ti(s)+2MgO(s)
(上記反応式において、各物質の状態が、(s)は固体、(g)は気体であることを示している。以下、同じ。)
尚、カルシウム又はマグネシウムを含有する金属とは、カルシウム又はマグネシウムの純金属、カルシウム又はマグネシウムを含む化合物である合金、その他不純物を含むカルシウム又はマグネシウムの金属等をいう。
属材料は効率よく加熱され、金属蒸気を発生させることができる。
上述したセラミックスの波長は、λ0/√ε1(λ0:真空中の電磁波の波長、ε1:セラミックスの誘電率)から導出される。
この構成とすることで、セラミックス体と混合し易くなり、また混合具合を均一又は不均一等任意に調整しやすくなり、混合体の製作を容易化することができる。更に、これらの形状を採用することにより、上記5に示す発明と同様、共振により金属材料へマイクロ波が吸収されやすい条件となり、加熱効率を高めることができる。
なお、粒状の形状として、球状や歪な球状体の形状を含むものとする(以下、同じ)。
即ち、これらのセラミックス体は、耐熱性が高く、電磁波を透過し易い(電磁波に対する損失が少ない)ので、マイクロ波を照射することよるセラミックス体の崩壊・変形等を抑制できるので、加熱効率を安定させることができる。
更に、これらのセラミックスは、マイクロ波が照射されても、マイクロ波の出力や波長などに影響を与えず、金属材料の加熱のため最適に設定された条件を維持することができ、加熱効率を安定させることができる。
上述のとおり、金属材料を加熱して金属蒸気を発生させるために、従来は電気炉等を用いて加熱室ごと加熱することで金属材料を加熱していた。しかし、この加熱手段では、加熱が必要ではない他の部分まで加熱する必要があり、更に、加熱源として使用する電気炉は多くのエネルギーを消費するため、加熱効率が悪いという問題があった。
マイクロ波加熱とは、照射されたマイクロ波が、誘電損失により物質に吸収され、そのエネルギーが熱になることによる加熱手段である。外部熱源による加熱と異なり、熱伝導や対流の影響がほとんど無視できること、特定の物質のみを選択的かつ急速・均一に加熱できること、などの特徴がある。
よって、アプリケータ種類を問わず、マイクロ波の照射により金属を加熱できるので、高効率かつ少ないエネルギーで金属蒸気を発生させることができる。
図1に示すとおり、混合体1は、金属材料11と、セラミックス体12とを混合した集合体である。
例えば、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム又はカリウムなどを含有した金属を挙げることができる。尚、上述したカルシウム等を含有する金属とは、カルシウム等の純金属、カルシウム等を含む化合物である合金、その他不純物を含むカルシウム等の金属等をいう。
特に、酸化チタンの還元を目的とする本発明においては、還元剤の役割を果たすカルシウム又はマグネシウムを金属材料11とすることが好ましい。
金属材料11の大きさについても限定はない。ただし、セラミックス体12との混合のし易さを考慮して、大きさの揃った粉末状、粒状、球状、直方体状などの金属材料11を使用することが好ましい。
なおまた、セラミックスの波長は、λ0/√ε1(λ0:真空中の電磁波の波長、ε1:セラミックスの誘電率)から導出される。
また、セラミックス体12の大きさについても限定はない。ただし、金属材料11との混合のし易さを考慮して、大きさの揃った粉末状、粒状、球状、立方体状などのセラミックス体12を使用することが好ましい。
いずれの混合方法による加熱効率が良いかは、金属材料11とセラミックス12の具体的な性質や、マイクロ波のセッティング等によって適宜判断すべきである。
なお、混合体の大きさについて、上記1/4の整数倍の条件から外れたとしても、マイクロ波による加熱は可能である。上記1/4の整数倍の条件が、混合体を最も効率的に加熱できる条件であり、この条件から外れるほど、加熱効率が下がるといえる。
採用することができるが、例えば、金属材料11と、酸化チタンとを同空間に設置し、金属材料11から発生した金属蒸気11’が、酸化チタンに到達するように、両者を同空間内に配置すればよい。また、金属材料11から金属蒸気11’を発生させる空間と、酸化チタンが設置された空間が異なる場合でも、金属蒸気11’が、酸化チタンが設置された空間に到達することができ、これらが接触する構成としても良い。
・金属材料としてカルシウムを用いた場合
TiO2(s)+2Ca(g) → Ti(s)+2CaO(s)
(s):固体,(g):気体
・金属材料としてマグネシウムを用いた場合
TiO2(s)+2Mg(g) → Ti(s)+2MgO(s)
(s):固体,(g):気体
なお、本発明は、金属蒸気を上述した方法で発生させ、これにより発生した金属蒸気11’と、酸化チタンとを反応させることによって、酸化チタンを還元する手段の提案を本質としており、本発明の内容は、以下に説明する装置3の構成や、この装置3を用いた還元方法に限定されるものでない。
装置3は、少なくとも加熱室4、第一容器2、第二容器6及びマイクロ波源7から構成される。
また、図3では第一容器2及び第二容器6を縦に直列的に配置し、マイクロ波源7を加熱室4に配置したが、加熱室4における第一容器2、第二容器6及びマイクロ波源7の位置に限定はなく、例えば、第一容器2と第二容器6を並列に配置してもよい。
使用する金属材料11は、カルシウム又はマグネシウムであることが好ましい。
第一容器2の形状に限定はないが、例えば、図3に示されるように、上方が開放されたボウル型の容器や、公知公用の形状をした石英管や坩堝を挙げることができる。
第二容器6に収容する原料5は、酸化チタンである。
第二容器6の形状に限定はないが、例えば、図3に示されるように、上方が開放されたボウル型の容器や、公知公用の形状をした坩堝を挙げることができる。
マイクロ波源7は、図3に示されるように、マイクロ波発振器71により発振したマイクロ波を、導波管72を介して、マイクロ波導入口73から加熱室4にマイクロ波を照射する構成である。
マイクロ波源7については、公知公用の構成を採用することができ、例えば、マグネトロンを採用することができる。
断熱材8は、第一容器2及び第二容器6の周囲に設置することが好ましい。これにより、マイクロ波の照射によって発熱した混合体1の熱を、加熱室2内の空間に逃さず、混合体1の温度上昇を早め、金属蒸気の発生を早めることができる。
ただし、断熱材8を、第一容器2の上部に設置することは好ましくない。上部に設置すると、第一容器2から発生した金属蒸気11’が、第二容器6に到達するのを妨げるおそれがあるためである。
真空ポンプVによって加熱室4内又は第一容器2及び第二容器6内を減圧することで、沸点よりも低い温度で金属材料11を蒸発させることができ、加熱室4内又は第一容器2及び第二容器6内の不純物等を除去することもできる。
更に、反応前は、金属材料の酸化を防止又は抑制することができ、反応後は、還元されたチタン金属が再び酸化することを防止又は抑制することができる。
なお、本発明において「真空」とは、大気圧よりも圧力が低い状態をいい、気圧による限定はない。
上記した手段では、図3における加熱室4という共通した空間に、第一容器2に収容された混合体1と、第二容器6に収容された原料5が設置され、この空間に照射された同じマイクロ波源から照射されたマイクロ波によって、両者が加熱される構成である。
蒸気通路41の直径を、マイクロ波源7a・7bから発振されるマイクロ波の波長の1/8以下とすることにより、蒸気通路41をマイクロ波が通過しないものとすることができ、その直径は好ましくは1/64以上であって、長さは、同じくマイクロ波源7a・7bから発振されるマイクロ波の波長の1/4以上であり、好ましくは1波長以下に形成されている。かかる大きさに蒸気通路41を形成することで、チョーク構造となり、蒸気通路41からマイクロ波が漏洩しない。
・金属材料としてカルシウムを用いた場合
TiO2(s)+2Ca(g) → Ti(s)+2CaO(s)
(s):固体,(g):気体
・金属材料としてマグネシウムを用いた場合
TiO2(s)+2Mg(g) → Ti(s)+2MgO(s)
(s):固体,(g):気体
合が多く、条件によっては、白色よりの淡色として得られることもある。
「カルシウム蒸気を用いた酸化チタンの還元方法」
本発明に係る酸化チタンの還元方法について、検証実験を実施した。
検証実験に使用した装置3の概略構成図を、図5に示す。
図5に示すとおり、検証実験では、市販されているマイクロ波加熱炉を用いた。この加熱炉には、マイクロ波源7と真空ポンプVが接続されている。
断熱材8の中には、金属材料11とセラミックス体12からなる混合体1が収容された第一容器2が設置され、この第一容器2の中であって、混合体1の上部に、原料5(酸化チタン)が収容された第二容器6が設置されている。
混合体は1、金属材料11とセラミックス体12を、共に第一容器2に収容し、この中で混合することによって作製した。
ここでは、金属材料11として、カルシウム(Ca)を、セラミックス体として、ジルコニア(ZrO2)をそれぞれ用いた。
使用したカルシウムは、球形の粒状体であり、これを複数個用いた。使用したジルコニアは、セラミックボールとも呼称される球形の粒状体であり、これを複数個用いた。このジルコニアの直径は、数百μm〜1mm程度であり、カルシウムの直径は、ジルコニアよりも小さい。
カルシウム及びジルコニアは、共に球状の粒状体であるため、これらを同じ坩堝(第一容器2)内に収容して混ぜ合わせ、混合体1を作製した。
使用した酸化チタンは、直径45μm以下の粉体である。
使用したマイクロ波の周波数は2.45GHzであり、出力は800W〜1600Wの範囲で
第二容器6の温度が1050度前後となるように制御され、60分間にわたってマイクロ波を照射した。
マイクロ波を照射している間、第二容器6内の温度経過を測定した(図6参照)。
図6に示されるように、マイクロ波照射を開始してから2〜3分ほど経過して、第二容器6内の温度が急激に上昇し、5分ほど経過した時点で約1050度に達した。その後は、マイクロ波の照射を終了するまで、同じ温度を維持した。
なお、カルシウムの沸点は1484度であるが、減圧下での蒸気圧は1000℃程度と考えられる。
マイクロ波を照射後、第一容器2の内部が薄紫色(薄赤色よりもやや薄色)になったことを確認した。この薄紫色は、カルシウムのプラズマ状態における発色として知られており、これにより、金属材料であるカルシウムがプラズマとなったことが確認できた。
なお、上述したとおり、本発明において金属蒸気とは、気体状態になった原子の他、マイクロ波により励起された原子プラズマやラジカルに励起された原子を含むものである。よって、本発明に係る方法の使用により、カルシウムの金属蒸気を発生させることが確認できた。
X線解析の結果を、図7に示す。
図7に示されるように、CaOを示すピークの近傍に、チタン(Ti)を示すピークが現れ
た。この結果により、酸化チタンの還元に成功したことがわかった。
TiO2(s)+2Ca(g) → Ti(s)+2CaO(s)
(s):固体,(g):気体
「マグネシウム蒸気を用いた酸化チタンの還元方法」
本発明に係る酸化チタンの還元方法について、検証実験2を実施した。
使用したマイクロ波の周波数は2.45GHzであり、出力は800W〜1000Wの範囲で
第二容器6の温度が1100度前後となるように制御され、60分間にわたってマイクロ波を照射した。
マイクロ波を照射している間、第二容器6内の温度経過を測定した(図8参照)。
図8に示されるように、マイクロ波照射を開始してから7〜8分経過したところで、第二容器6内の温度が急激に上昇し、1000度に達した。その後は、マイクロ波の照射を
終了するまで、1100度前後を維持した。
マイクロ波を照射後、第一容器2の内部が緑色になったことを確認した。この緑色は、マグネシウムのプラズマ状態における発色として知られており、これにより、金属材料であるマグネシウムがプラズマとなったことが確認できた。
なお、上述したとおり、本発明において金属蒸気とは、気体状態になった原子の他、マイクロ波により励起された原子プラズマやラジカルに励起された原子を含むものである。よって、本発明に係る方法の使用により、マグネシウムの金属蒸気を発生させることが確認できた。
X線解析の結果を、図9に示す。
図9に示されるように、MgOを示すピークの近傍に、チタン(Ti)を示すピークが現れ
た。この結果により、酸化チタンの還元に成功したことがわかった。
TiO2(s)+2Mg(g) → Ti(s)+2MgO(s)
(s):固体,(g):気体
これらの実験によって得られた結果物である還元されたチタンは、従来の方法によって還元されたチタンとは、形態的特徴が異なることが分かった。
溶融物となった理由として、従来の方法では、電気炉等を用いて加熱室全体を高温で加熱する手段を用いているため、金属材料であるカルシウム等のみならず、原料である酸化チタンも高温に加熱され、これらが溶融に至ったものと考えられる。
図10は、反応後、第二容器6(検証実験では、アルミナ製の坩堝を使用。)に付着していた生成物を取り出し、これを撮影した写真である。なお、この生成物に、還元された
チタンが含まれていたことは、上記X線解析により確認されている(図7参照)。
図10によれば、還元されたチタンを含む生成物は、第二容器6の壁面に付着していたため、その形状に模られた固形物のようにも観察される。しかし、これを接近して観察すると、細かい粉末状の形態(粉体)が集合して、この固形物を形成していることがわかった。
なお、この生成物には、還元されたチタンの他、酸化カルシウム(CaO)が含まれている(図7に示されるXRD結果参照)。
11 金属材料
12 セラミックス体
2 第一容器
3 装置
4 加熱室
5 原料
6 第二容器
7 マイクロ波源
71 マイクロ波発振器
72 導波管
73 マイクロ波導入口
8 断熱材
9 載置台
V 真空ポンプ
Claims (8)
- 金属材料とセラミックス体との混合体に、マイクロ波を照射して加熱し、前記金属材料を蒸発させることによって、金属蒸気を発生させ、
前記金属蒸気を酸化チタンに反応させる構成であり、
前記金属材料は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム又はカリウムであり、
前記セラミックス体は、ジルコニア、石英、アルミナ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムである、ことを特徴とする酸化チタンの還元方法。 - 請求項1に記載の方法が、真空下で行われることを特徴とする酸化チタンの還元方法。
- 前記酸化チタンにマイクロ波を照射して、これを加熱することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化チタンの還元方法。
- 前記金属材料の形状が、粉末状、粒状及び/又は薄膜であることを特徴とする請求項1〜3に記載の酸化チタンの還元方法。
- 前記金属材料の最長部分の長さが、照射するマイクロ波のセラミックス中における波長の1/4以下であることを特徴とする請求項4に記載の酸化チタンの還元方法。
- 前記混合体の最長部分の長さが、照射するマイクロ波のセラミックス中における波長の1/4の整数倍であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の酸化チタンの還元方法。
- 前記混合体の周囲に断熱材を配置することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の酸化チタンの還元方法。
- 前記金属材料と前記セラミックス体とを混合して、前記混合体を作製することを更に含
む、請求項1〜7のいずれかに記載の酸化チタンの還元方法。
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