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JP6432082B2 - 機能に優れたポリオレフィンの製造方法 - Google Patents
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JP6432082B2 - 機能に優れたポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

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Description

ポリオレフィンは、安価、軽量、高融点、易成形加工性、幅広い力学的特性、良好なリサイクル性を併せ持つ非常に優れた汎用プラスチック材料である。またポリオレフィンは燃焼時に有害ガスを発生しないため環境保護上の利点を有する。中でもポリプロピレンは高融点で強度が高く、様々な手法によって、さらに性能が向上している。このため、近年は、無機材料やエンジニアプラスチックを、ポリプロピレンをはじめとするポリオレフィンで代替する動きが盛んである。これらの代替方法の中で、無機材料(いわゆるフィラー)とポリオレフィンとのコンポジット化は、ポリオレフィンの力学的補強ならびに機能化のために常用される手段である。
フィラーとポリオレフィンとのコンポジット化は、通常、コンポジット製造メーカーが、樹脂メーカーから供給されたポリオレフィンペレットとフィラーとを溶融混練することで行われる。しかし、極性に乏しいポリオレフィンにフィラーを分散させることは容易ではない。これまで、分散性向上のために相溶化剤の添加やフィラー表面の化学修飾などの様々な工夫が凝らされている。
特に、難燃剤としての水酸化マグネシウムは、ポリオレフィンに対して比較的多量に、通常ポリオレフィンの60重量%程度、配合することによって実用に耐える難燃性を達成している。この場合、水酸化マグネシウムがポリオレフィン中で良好に分散しないという問題は深刻である。このため、水酸化マグネシウム粒子のポリオレフィンに対する分散性向上方法として、様々なものが提案されている。
特開2008− 75052号公報 特開2010−174120号公報 特表2009−522205号公報 特許文献1には、予めペンタエリスリトールとステアリン酸亜鉛で表面処理した水酸化マグネシウムをポリオレフィンに配合することが記載されている。特許文献2には、アルコキシシランと水酸化マグネシウムを含む粒子から得られる多孔質体を難燃剤として用いることが記載されている。特許文献3には、水酸化マグネシウムナノ粒子の表面を有機分散剤で表面処理したものをポリマー中に分散することが記載されている。
しかしながら、特許文献1,2,3に記載されたような従来の方法では、水酸化マグネシウムの分散性向上剤として機能する、表面処理剤、アルコキシシラン、有機分散剤が必要であって、これら分散性向上剤が最終的に得られるポリプロピレン組成物に与える影響は避けられない。通常、工業製品用のポリプロピレンには、難燃剤の他に劣化防止剤や着色材といった他の添加剤を同時に多種添加することから、これら分散性向上剤と他の添加剤との相互作用によって、他の添加剤による改質効果が損なわれる恐れがある。また、材料の成形後にこれら分散性向上剤が成形体表面に析出する現象、いわゆるブリード現象も懸念される。
以上のような、ポリプロピレンの難燃化に関する問題点は、ポリエチレンなど他のポリオレフィンの難燃化においても、同様である。水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を、余分な成分である分散性向上剤の介在なしに、ポリオレフィンに均一に分散させ、工業製品用途に十分な難燃性を有するポリオレフィン組成物を得る手法は、未だ提案されていない。
したがって、現状の無機フィラーのポリオレフィンへの分散方法では、コストの増加や劣化の促進、ブリードアウトなどの不利な副作用を招くことが多い。このような分散における問題は、「ポリオレフィンと無機フィラーという、熱力学的に混ざりにくい2つのバルク体を、高い粘度に逆らって混ぜようとすること」に発しており、技術的に避けることができないと考えられてきた。
しかしながら、ポリオレフィンの付加価値を高めるために無機フィラーの添加は必須である。上のような無機フィラー分散時の問題を解決することは、従来困難と考えられてきたとはいえ、ポリオレフィン材料の改良において当業者が諦めることのできない目標である。従来技術に伴う不利な副作用を避けつつポリオレフィンに対する無機フィラーの分散性を向上することは、ポリオレフィン材料とその応用分野における革新的な改良技術として待ち望まれている。
そこで発明者は、ポリオレフィンへの無機フィラーの良好分散を達成するため、従来の手法にとらわれない全く新しいアプローチを探索し、上のような問題を解決することを試みた。
その結果、発明者は、ゾル−ゲル反応を利用した方法が有効であることを見出した。発明者は、まず、無機フィラーの前駆体としての金属アルコキシドの溶液をポリオレフィンに含浸させた後に、金属アルコキシドを金属酸化物や金属水酸化物などの無機フィラーに変換するという画期的手法を見出した。この手法により、相溶化剤や表面化学修飾を用いずに、ナノサイズの無機フィラーがポリオレフィンマトリックスに高度に分散したナノコンポジットを製造することができる。
すなわち本発明は以下のものである。
(発明1)以下の工程を有する、無機フィラーがポリオレフィンに分散した高機能ナノコンポジットの製造方法。
(工程1)重合器でオレフィン類を重合する工程。
(工程2)工程1で得られたポリオレフィンのリアクターパウダーに、無機フィラーの前駆体である金属アルコキシドの溶液を混合して、ポリオレフィン粉末に金属アルコキシドを含浸する工程。
(工程3)工程2で得られたポリオレフィン粉末を乾燥して溶媒を除去する工程。
(工程4)工程3で得られたポリオレフィン粉末を湿潤雰囲気に移す工程。
(工程5)工程4と同時にあるいは工程4に続いてポリオレフィン粉末を溶融混練することによってゾル−ゲル反応を完了し、高機能ナノコンポジットを得る工程。
(発明2)無機フィラーが金属酸化物または金属水酸化物である、発明1の高機能ナノコンポジットの製造方法。
(発明3)無機フィラーがTiO2、SiO、ZnO、MgO、Mg(OH)2、Al2O3、Al(OH)3 から選ばれる1種以上である、発明1または2の高機能ナノコンポジットの製造方法。
(発明4)高機能ナノコンポジットがマスターバッチ用である、発明1〜3の高機能ナノコンポジットの製造方法。
(発明5)発明4の製造方法により得られた、高機能ナノコンポジットからなる高機能マスターバッチ。
本発明の各工程について、以下に詳しく説明する。図1は、本発明の製造方法の1例を模式的に表示している。
(工程1)
重合器でオレフィン類を重合してポリオレフィンを製造する工程である。オレフィン重合方法に制限は無い。代表的なオレフィン類は、エチレンと炭素数3〜10のα―オレフィンである。モノマーの選択としては、エチレン単独、エチレンとプロピレン、プロピレン単独、プロピレンと炭素数4〜10のαーオレフィンが一般的である。少量の分岐オレフィンや芳香族オレフィン、ジエン類を使用することができる。エチレンを主なモノマーとしてポリエチレンを製造する工程、プロピレンを主なモノマーとしてポリプロピレンを製造する工程が好ましい。ポリエチレンの製造方法としては、高圧重合法、Ziegler-Natta 法、Phillips 法、Metallocene 法が一般的である。ポリプロピレンの製造方法としては、Ziegler-Natta 法、Metallocene 法が一般的である。これらの重合法に使用するラジカル開始剤、Ziegler-Natta 触媒、Phillips 触媒、Metallocene 触媒としては、制限が無い。工程1で製造されたポリオレフィン粉末は、重合反応器(リアクター)から取り出された後、直接、工程2に搬送される。
(工程2)
工程1で得られたポリオレフィンのリアクターパウダーに、無機フィラーの前駆体である金属アルコキシドの溶液を混合して、金属アルコキシドをリアクターパウダーに含浸させる工程である。この工程で用いる無機フィラーは、ポリオレフィンに対して改質効果を有する金属酸化物または金属水酸化物であれば、制限されない。金属酸化物または金属水酸化物として、TiO2、SiO2、ZnO、MgO、Mg(OH)2、Al2O3、Al(OH)を使用できるこのような金属酸化物又は金属水酸化物の前駆体として、Ti、Si、Zn、Mg、Al のアルコキシドを使用する。そのような金属アルコキシドのうち、式M(OR)n(Mは金属原子。R は炭素数2〜6のアルキル基である。n は金属原子の価数に応じた整数。)が好ましい。
金属アルコキシドが常温で固体の場合には、金属アルコキシド溶液として、金属アルコキシドをポリオレフィンに対して親和性の高い溶媒に溶解したものを使用する。そのような溶媒としては、例えば、メタノールやエタノールなどのアルコール類、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族類、アセトン、ジエチルケトンなどのケトン類、ジクロロメタンなどの塩素系溶剤から選ばれる1種以上を用いることができる。金属アルコキシドが常温で液体である場合は、金属アルコキシド溶液として、金属アルコキシド自体、あるいは、金属アルコキシドと上記溶媒からなる溶液を使用することができる。例えばTiO2 の前駆体である、Ti(OEt)4、Ti(OnPr)4、Ti(OiPr)4、Ti(OnBu)4、Ti(OiBu)4などのチタンアルコキシドは、そのまま用いるか、あるいは、上記溶媒で適度な濃度に希釈して用いる。
金属アルコキシド溶液に含まれる金属アルコキシドの濃度は、その溶媒における金属アルコキシドの飽和濃度に従い適宜設定できる。リアクターパウダーに対する金属アルコキシドの量は、最終的にポリオレフィンに分散させる無機フィラーの濃度に応じて適宜設定できる。得られる高機能ナノコンポジットをマスターバッチとして用いる場合には、比較的高濃度の金属アルコキシドを含浸させるために、比較的高濃度の金属アルコキシド溶液をリアクターパウダーと混合する。
リアクターパウダーと金属アルコキシド溶液の混合方法は、リアクターパウダーと金属アルコキシド溶液が均一に混合する方法であれば、制限が無い。混合装置として各種ミキサーが使用できる。混合はポリオレフィンの軟化点よりも低い温度で行う。
工程2では、工程5におけるポリオレフィンの熱劣化を防ぐために酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤としては、ポリオレフィン用酸化防止剤として公知のものを使用できる。例えば、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、4,4',4''-(1-メチルプロパニル-3-イリジエン)トリス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、6,6'-ジ-t-ブチル-4,4'-ブチリデンジ-m-クレゾール、オクタデシル3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-di-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9-ビス{2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒロドキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-t トリス(3,5-di-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼンなどのフェノール系酸化防止剤を使用することができる。
工程2では、必要に応じてゾル−ゲル反応の促進剤を金属アルコキシド溶液と併用することができる。このような促進剤として、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル) ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4--ピペリジル)セバケート、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カルボキシレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレートなどの塩基性化合物、クエン酸、マレイン酸変性ポリオレフィンといった酸性化合物を使用することができる。このうち、ポリオレフィンと相溶性の高い、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、クエン酸、マレイン酸が好ましい。
(工程3)
工程2で得られたポリオレフィン粉末を乾燥して溶媒を除去する工程である。乾燥方法に制限は無い。例えば、真空乾燥、凍結乾燥、気流乾燥を用いることができる。溶媒が除去された結果、ポリオレフィンに金属アルコキシド分子が含浸された粉末が得られる。
(工程4)
工程3で得られたポリオレフィン粉末を湿潤雰囲気に移す工程である。工程4と後述の工程5とを同時に行うか、もしくは工程4に続いて後述の工程を行う。ポリオレフィンに含浸した金属アルコキシドが、後述の工程5の溶融混練の条件で金属水酸化物に変換されてゾル-ゲル反応が完了する場合、例えばマグネシウムアルコキシドが水酸化マグネシウムに変換されてゾル-ゲル反応が完了する場合には、工程4で金属アルコキシドに対して十分な水を供給する。そのような場合、工程4で、十分な時間をかけた大気暴露や、水蒸気噴霧などによって、金属アルコキシド分子を水和させる必要がある。このような水和処理方法として、処理時間が短い水蒸気噴霧が好ましい。ポリオレフィンに含浸した金属アルコキシドが、後述の工程5の溶融混練の条件で金属酸化物に変換されてゾル-ゲル反応が完了する場合、例えばアルミニウムアルコキシドが酸化アルミニウムに変換されてゾル-ゲル反応が完了する場合や、チタンアルコキシドが酸化チタンに変換されてゾル-ゲル反応が完了する場合などには、湿潤雰囲気への移行は、工程3の後に大気雰囲気下でポリオレフィン粉末を工程5を行う設備に搬送する操作で足りる。
(工程5)
工程4で得られたポリオレフィン粉末を溶融混練する工程である。工程5の溶融混練の条件で、ゾル−ゲル反応が進行し、ポリオレフィンマトリックスに含浸した金属アルコキシドはナノサイズの金属水酸化物または金属酸化物に変換する。ゾル−ゲル反応が完了した結果、ポリオレフィンにナノサイズの無機フィラーが分散した高機能ナノコンポジットが得られる。溶融混練の温度は、ポリオレフィンの溶融温度以上で、ポリオレフィンの熱劣化を最小限にとどめる温度以下とする。ポリエチレンを使用する場合には、120〜150℃が一般的である。ポリプロピレンを使用する場合には、160〜200℃が一般的である。溶融混練に用いる装置に制限は無い。各種ミキサー、押出機を使用することができる。こうして、オレフィン類の重合から、ポリオレフィンと無機フィラーを含む高機能コンポジットの製造までを、一貫プロセスで行うことができる。
金属アルコキシドが完全に金属酸化物または金属水酸化物に変換されたことは、高機能ナノコンポジットの赤外線(IR)吸収スペクトルを測定することによって確認することができる。上述の工程1〜工程5を含む一貫プロセスにより製造された高機能ナノコンポジットのIR吸収スペクトルでは、金属アルコキシドのM−O−C(M:金属原子)に由来する吸収ピークは検出されず、金属酸化物あるいは金属水酸化物に由来する吸収ピークが検出される。
ナノサイズの無機フィラーがポリオレフィンに均一に分散していることは、高機能ナノコンポジットの透過型電子顕微鏡(TEM)像で確認することができる。本発明の製造方法で得られた高機能ナノコンポジットにおいて、無機フィラーは凝集せず、それぞれがナノサイズの一次粒子として、均一にポリオレフィン中に分散している様子が観察される。
工程5では、さらに、異なる無機フィラーを含有する高機能ナノコンポジットや、無機フィラー、着色剤、酸化防止剤、加工性改良剤などの添加剤を混合することもできる。追加する無機フィラーは、それまでに用いた金属アルコキシドに対応しない別の金属酸化物あるいは金属水酸化物であってよい。その結果、多種多様な高機能ナノコンポジットを製造することができる。また、工程5で溶融混練に続いて高機能ナノコンポジットをペレット化することもできる。得られたペレットは、成形材料として、あるいはマスターバッチとして、保管、輸送できる。また、工程5に続いて高機能ナノコンポジットを押出成形、射出成型することもできる。
無機フィラーがTiO2の場合、ナノサイズのTiO2が均一に分散した高機能ナノコンポジットは、高い紫外線遮蔽機能と高い可視光透過性を兼ね備える。このような高機能ナノコンポジットは建材や電器機器の紫外線カットフィルム材料として有効である。
無機フィラーがZnO の場合、ナノサイズのZnO が均一に分散した高機能ナノコンポジットは、従来の無機フィラー含有ポリオレフィンに見られるような機械的強度の低下が抑えられており、導電性に優れる。このような高機能ナノコンポジットは導電性が求められる部品の現行の材料を代替する、安価な材料として期待される。
無機フィラーがMg(OH)2 の場合、ナノサイズのMg(OH)2 が均一に分散することによって、従来よりも少量のMg(OH)2含有量でより高い難燃性向上効果が得られる。得られる高機能ナノコンポジットでは、従来問題であった機械的強度の低下が抑えられている。このような高機能ナノコンポジットは従来の難燃性ポリオレフィンの改良品としての価値が高い。無機フィラーがAl(OH)3の場合も同様である。
無機フィラーがAl2O3 の場合、ナノサイズのAl2O3 が均一に分散した高機能ナノコンポジットは、顕著に高い熱伝導性を示す。このような高機能ナノコンポジットは従来の熱伝導性樹脂材料の代替品として期待できる。
本発明で得られた高機能ナノコンポジットは、高濃度の無機フィラーを含むマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチ用の高機能ナノコンポジットを単独で、あるいは複数の組合せで他の樹脂材料で希釈することにより、マスターバッチが備える機能を複合化した種々の新規材料が得られる。このようなマスターバッチは現行の無機フィラー含有ポリオレフィンの用途の拡大に貢献できると期待される。
本発明では、一旦ポリオレフィンン中に均一に含浸された前駆体(金属アルコキシド)分子の凝集成長を、ポリオレフィンの高い粘度によって妨げることにより、ナノサイズの無機フィラーの分散を達成している。驚くべきことに、本発明では、従来の無機フィラーの直接溶融混合では不可避の問題の原因であった高粘度での混合を有利に利用している。本発明は、従来技術に対する逆転の発想から生まれた画期的技術である。
本発明によって、従来は重合プラントと樹脂コンパウンド製造プラントで分けて行っていたポリオレフィン材料の製造が一連のプロセスで行えるようになる。その結果、多品種の高機能ポリオレフィンコンポジットを適正なスケールで、しかも低コストで製造することが可能となる。また、高機能ポリオレフィンコンポジットをマスターバッチとして使用すれば、より多様な高機能ポリオレフィン材料の製造が可能となる。
本発明の高機能ナノコンポジットの製造工程を模式的に表した図。 実施例5(Mg(OH)2 含有量:20 重量%)、比較例5(Mg(OH)2 含有量:20 重量%)のナノコンポジットのIR吸収スペクトル。 実施例5(Mg(OH)2 含有量:20 重量%)で得られた高機能ナノコンポジットのTEM写真。 比較例5(Mg(OH)2 含有量:20 重量%)で得られた比較用ナノコンポジットのTEM写真。 実施例8(Al2O3 含有量:2.7 重量%)、比較例8(Al2O3 含有量:3.0 重量%)で得られたナノコンポジットのIR吸収スペクトル。 実施例8(Al2O3 含有量:2.7 重量%)で得られた高機能ナノコンポジットのTEM写真。 比較例8(Al2O3 含有量:3.0 重量%)で得られた比較用ナノコンポジットのTEM写真。 実施例7〜14、比較例7〜11の熱伝導率を示すグラフ。 実施例12(Al2O3 含有量:5 重量%)の高機能ナノコンポジットのTEM写真。 比較例9(Al2O3 含有量:5 重量%)で得られた比較用ナノコンポジットのTEM写真。 実施例15、参考例2、比較例12のフィルムの紫外可視光吸収スペクトル。 実施例15(TiO2 含有量:3 重量%)で得られた高機能ナノコンポジットのTEM写真。 比較例12(TiO2 含有量:3 重量%)で得られた比較用ナノコンポジットのTEM写真。 実施例1〜6、参考例1、比較例1〜6で得られたコンポジットのLOIを示すグラフ。
[水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を含む高機能ナノコンポジットの製造と、参考例・比較例]
(実施例1)
図1に示す工程で本発明の高機能ナノコンポジットを製造した。
(工程1)重合器6において、Ziegler-Natta 触媒(TiCl/MgCl2/フタル酸ジブチル型)を用いてプロピレンを重合した。得られたプロピレン単独重合体7の密度は0.9g/cm3、メルトフローレート(MFR)は5.0g/10min(JIS K 7210,1999)であった。
(工程2)重合器6からポリプロピレンのリアクターパウダーを排出するラインから、リアクターパウダー4kg に1.0 重量%濃度に相当する老化防止剤(ADEKA社製アデカスタブAO-50)を混合した(図示せず)。混合物をミキサー8に導入した。別途、混合槽9で、水酸化マグネシウム(Mg(OH))換算で1 重量%に相当するマグネシウムエトキシド(Mg(OEt)2)を、メタノールとトルエンとからなる混合溶液(メタノール:トルエン=5:1(体積比))に50℃で溶解させ、Mg(OEt)2 溶液6Lを調製した。次に、混合槽9のMg(OEt)2 溶液をミキサー8に導入し、リアクターパウダー混合物を窒素雰囲気下、50℃で12 時間撹拌した。
(工程3)工程2を終了したポリプロピレン粉末を乾燥区域10で真空乾燥し、溶媒を除去した。
(工程4)乾燥を終了したプロピレン粉末を湿潤雰囲気区画13にて室温で75 時間大気に暴露した。
(工程5)工程4を終了したポリプロピレン粉末を、ミキサー14で180℃、100rpm の条件で20 分溶融混練した。こうして高機能ナノコンポジットが得られた。得られた高機能ナノコンポジットを造粒機15でペレット化した。
(実施例2)
工程2で、Mg(OH)換算で3 重量%に相当するMg(OEt)を用い、Mg(OEt)溶液6Lを調製した点以外は実施例1と同じ条件で高機能ナノコンポジットを製造し、ペレット化、保管した。
(実施例3)
工程2で、Mg(OH)2換算で5 重量%に相当するMg(OEt)2を用い、Mg(OEt)2溶液8Lを調製した点以外は実施例2と同じ条件で高機能ナノコンポジットを製造し、ペレット化、保管した。
(実施例4)
工程2で、Mg(OH)2換算で10 重量%に相当するMg(OEt)2を用い、Mg(OEt)2溶液10Lを調製した点以外は実施例2と同じ条件で高機能ナノコンポジットを製造し、ペレット化、保管した。
(実施例5)
工程2で、Mg(OH)2換算で20 重量%に相当するMg(OEt)2を用い、Mg(OEt)2溶液12Lを調製した点以外は実施例3と同じ条件で高機能ナノコンポジットを製造し、ペレット化、保管した。
(実施例6)
工程2で、Mg(OH)2換算で30 重量%に相当するMg(OEt)2を用い、Mg(OEt)2溶液15Lを調製した点以外は実施例4と同じ条件で高機能ナノコンポジットを製造し、ペレット化、保管した。
(IR吸収スペクトル)
実施例1〜6で得た高機能ナノコンポジットのペレットをホットプレスして厚さ100μm のフィルムに成形した。フィルムのIRスペクトルを日本分光社製フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR-6100により得た。いずれでも、Mg(OH)2 に起因する450〜550、3690cm-1のピークが検出された。(図2参照)Mg-O-C結合に起因する727、1080cm-1のピークは検出されなかった。このことから、実施例1〜6の製造工程で、前駆体であるMg(OEt)2からMg(OH)2への変換が完了していることが確認された。
(参考例1)
実施例1の工程1で得られたポリプロピレンのリアクターパウダーに、1.0 重量%に相当するADEKA社製商品「アデカスタブAO-50」を混練し、ホットプレスによって厚さ100μm の比較用フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1の工程1で得られたポリプロピレンのリアクターパウダー4kg に、1.0 重量%に相当するADEKA 社製商品「アデカスタブAO-50」を混合した。このポリプロピレン粉末と、1重量%に相当するシグマーアルドリッチ社製Mg(OH)2ナノ粒子粉末(平均粒子径100nm)を、ミキサーを用いて180℃、100rpmの条件で20 分溶融混練した。引き続き、溶融ポリプロピレンをホットプレスによって厚さ100μm のフィルムに成形した。こうして比較用のフィルムを得た。
(比較例2)
3 重量%に相当するシグマーアルドリッチ社製Mg(OH)2ナノ粒子とポリプロピレン粉末を溶融混練した点以外は比較例2と同じ条件で比較用のフィルムを得た。
(比較例3)
5重量%に相当するシグマーアルドリッチ社製Mg(OH)2ナノ粒子とポリプロピレン粉末を溶融混練した点以外は比較例2と同じ条件で比較用のフィルムを得た。
(比較例4)
10重量%に相当するシグマーアルドリッチ社製Mg(OH)2 ナノ粒子とポリプロピレン粉末を溶融混練した点以外は比較例2と同じ条件で比較用のフィルムを得た。
(比較例5)
20重量%に相当するシグマーアルドリッチ社製Mg(OH)2 ナノ粒子とポリプロピレン粉末を溶融混練した点以外は比較例2と同じ条件で比較用のフィルムを得た。
(比較例6)
30重量%に相当するシグマーアルドリッチ社製Mg(OH)2 ナノ粒子とポリプロピレン粉末を溶融混練した点以外は比較例2と同じ条件で比較用のフィルムを得た。
実施例1〜6と参考例1、比較例1〜6について以下の評価を行った。表1、表2に結果を示す。
(難燃性)
ISO 4589−2 に準拠して酸素指数(Limited Oxygen Index:LOI)を測定した。実測定機器にはスガ試験機株式会社製燃焼試験器ON2Mを使用した。測定結果を表1、表2に示す。測定結果をグラフ化したものを図14に示す。比較例1〜6ではポリプロピレンの難燃性向上がほとんど認められない。これに対して実施例1〜6では難燃性が向上しており、特に実施例3〜6では難燃性向上が著しい。実施例6ではLOIの値が26.5 に達しており、難燃性が求められる工業製品に適した難燃性が達成されている。この結果から、本発明の製造方法で、難燃剤としての水酸化マグネシウムの含有量が従来量の半分以下で十分な難燃性を示す高機能ナノコンポジットが得られることが分かる。
(ヤング率)
実施例と比較例のフィルムから厚さ100μm のダンベル状試験片を作成し、室温、クロスヘッド速度1mm/min にて引張試験(Abe Dat-100)を行った。測定結果を表1、表2に示す。実施例は比較例に比べて常に高いヤング率を示す。この結果から、本発明の製造方法で、難燃剤としての水酸化マグネシウムによる剛性低下が抑えられた高機能ナノコンポジットが得られることが分かる。
(引張強度)
実施例と比較例のフィルムから厚さ100μm のダンベル状試験片を作成し、室温、クロスヘッド速度1mm/min にて引張試験(Abe Dat-100)を行った。測定結果を表1、表2に示す。実施例では水酸化マグネシウム含有量の増加に伴う引張強度の低下の程度が比較例よりも小さい。この結果から、本発明の製造方法で、難燃剤としての水酸化マグネシウムによる強度低下が抑えられた高機能ナノコンポジットが得られることが分かる。
Figure 0006432082
Figure 0006432082
(水酸化マグネシウム粒子の形態観察)
20重量%の水酸化マグネシウムを含有する実施例5を、TEMにより観察した(図3)。20重量%の水酸化マグネシウムを含有する比較例5のフィルムを、TEMにより観察した(図4)。100nm 厚の超薄切片は、ウルトラミクロトーム(Leica 社製ULTRACUTS FCS)により作成した。比較例5と異なり、実施例5ではポリプロピレン中に水酸化マグネシウムがナノサイズの粒子として良好に分散していることが分かる。
[酸化アルミニウム(Al2O3)を含む高機能ナノコンポジットの製造と比較例]
(実施例7)
(工程1)実施例1と同様にプロピレンを重合した。
(工程2)混合槽9で、酸化アルミニウム(AlO3)換算で1重量%に相当するアルミニウムイソプロポキシド(Al(OiPr)3)と、触媒量のビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート
(ADEKA 社製ヒンダードアミン系光安定剤「アデカスタブLA-77」)とを、ヘプタンに50℃で溶解させて、Al(OiPr)3 溶液4Lを調製した点以外は、実施例1 と同様に行った。
(工程3)実施例1 と同様に行った。
(工程4)乾燥を終了したポリプロピレン粉末を大気雰囲気下で工程5のミキサーに搬送した。
(工程5)実施例1 と同様に行った。
(実施例8)
工程2で、AlO3 換算で2.7 重量%に相当するAl(OiPr)3 を用いた点以外は実施例7と同じ条件で高機能ナノコンポジットを製造した。“
(実施例9)
工程2で、AlO3換算で4.8重量%に相当するAl(OiPr)3を用いた点以外は実施例7と同じ条件で高機能ナノコンポジットを製造した。
(実施例10)
工程2で、AlO3 換算で9.8 重量%に相当するAl(OiPr)3を用いた点以外は実施例7と同じ条件で高機能ナノコンポジットを製造した。
(実施例11)
工程2で、AlO3換算で15重量%に相当するAl(OiPr)3を用いた点以外は実施例7と同じ条件で高機能ナノコンポジットを製造した。
(IR吸収スペクトル)
実施例7〜11で得た高機能ナノコンポジットのペレットを溶融押出して厚さ100μmのフィルムに成形し、IR測定に用いた。フィルムのIRスペクトルを日本分光社製フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR-6100により得た。いずれでも、Al2O3に起因する600cm-1近傍のブロードなピークが検出された。Al-O-C 結合に起因する1040 cm-1 のピークは検出されなかった。このことから、実施例7〜11の製造工程で、前駆体であるAl(OiPr)3から酸化アルミニウムへの変換が完了していることが確認された。実施例8と、後述の比較例8のIRスペクトルを図5に示す。
実施例7〜11で得られた高機能ナノコンポジットについて、ホットディスク法(TPS2500S、3W、10s)により熱伝導率を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006432082
(比較例7)
実施例1の工程1で得られたポリプロピレンのリアクターパウダー4kg に、酸化防止剤(ADEKA 社製商品「アデカスタブAO-50」)を1.0重量%に相当する濃度で混合し、ポリプロピレン粉末を調製した。このポリプロピレン粉末と、1 重量%のAl2O3 ナノ粒子(AEROSIL社製商品「AEROXIDE Alu C」平均粒径15 nm)とを、ミキサーを用いて180℃、100rpmの条件で20 分溶融混練した。引き続き、溶融ポリプロピレンをホットプレスによって厚さ100μm のフィルムに成形した。こうして比較用のフィルムを得た。
(比較例8)
3 重量%のAl2O3ナノ粒子粉末を用いた点以外は比較例7と同じ条件で比較用のフィルムを得た。
(比較例9)
5 重量%のAl2O3ナノ粒子粉末を用いた点以外は比較例7と同じ条件で比較用のフィルムを得た。
(比較例10)
10 重量%のAl2O3 ナノ粒子粉末を用いた点以外は比較例7と同じ条件で比較用のフィルムを得た。
(比較例11)
20 重量%のAl2O3 ナノ粒子粉末を用いた点以外は比較例7と同じ条件で比較用のフィルムを得た。
比較例7〜11で得られた比較用のフィルムについて、ホットディスク法(TPS2500S、3W、10s)により熱伝導率を測定した結果を、表4に示す。
Figure 0006432082
(Al2O3 粒子の形態観察)
2.7 重量%のAl2O3を含有する実施例8のフィルムをTEMにより観察した(図6)。3.0 重量%のAl2O3を含有する比較例8のフィルムをTEMにより観察した(図7)。100nm 厚の超薄切片は、ウルトラミクロトーム(Leica 社製ULTRACUTS FCS)により作成した。比較例8と異なり、実施例8ではポリプロピレン中にAlOがナノサイズの粒子として良好に分散していることが分かる。
(実施例12)
工程5で、ポリプロピレン粉末に比較例7で用いたAlOナノ粒子粉末を2.7 重量%の濃度で追加し、ミキサーで溶融混練した点以外は、実施例1と同じ操作を行った。
(実施例13)
工程5でAl2O3ナノ粒子粉末を7.3 重量%の濃度で追加した点以外は実施例12と同じ条件で試験用フィルムを作成した。
(実施例14)
工程5でAlOナノ粒子粉末を17.3重量%の濃度で追加した点以外は実施例12と同じ条件で試験用フィルムを作成した。
実施例12〜14で得られた高機能ナノコンポジットについて、ホットディスク法(TPS2500S、3W、10s)により熱伝導率を測定した。結果を表5に示す。
Figure 0006432082
実施例7〜14と比較例7〜11で測定した熱伝導率の値をグラフ化したものを図8に示す。驚くべきことに、実施例12、13、14で製造した高機能ナノコンポジットは、実施例7〜11で製造した高機能ナノコンポジットよりもさらに熱伝導性が向上している。このことから、本発明の製造方法で得られたAlO3 含有高機能ナノコンポジットに、従来のAl2O3 含有ポリオレフィンコンポジットを混合することによって、従来品の熱伝導率を顕著に上昇させることができると推測できる。このことは、本発明の高機能ナノコンポジットが、あたかも、マスターバッチのように機能することを示す。このようなマスターバッチ効果が得られる理由は定かではないが、溶融混練時に、本発明の製造方法で得られた高機能ナノコンポジットが何らかの作用によって、通常の無機フィラーの分散性を高める効果を有すると推測される。
(Al2O3 粒子の形態観察)
5 重量%のAl2O3 を含有する実施例12のフィルムをTEMにより観察した(図9)。5 重量%のAlOを含有する比較例9のフィルムをTEMにより観察した(図10)。100nm 厚の超薄切片は、ウルトラミクロトーム(Leica 社製ULTRACUTS FCS)により作成した。比較例9と比べて、実施例12ではポリプロピレン中のAlOナノ粒子の分散が大きく改善していることが分かる。
[酸化チタン(TiO)を含む高機能ナノコンポジットの製造と参考例・比較例]
(実施例15)
(工程1)実施例1と同様にプロピレンを重合した。
(工程2)混合槽9で、酸化チタン(TiO)換算で3 重量%に相当するチタンイソプロポキシド(Ti(OiPr)4)を、触媒量のビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(ADEKA社製ヒンダードアミン系光安定剤「アデカスタブLA-77」)と共に、ヘプタンに50℃で溶解させ、Ti(OiPr)溶液4Lを調整した点以外は、実施例1と同様に行った。
(工程3)実施例1と同様に行った。
(工程4)乾燥を終了したポリプロピレン粉末を大気雰囲気下で工程5のミキサーに搬送した。
(工程5)実施例1 と同様に行った。
(比較例12)
実施例1の工程1で得られたポリプロピレンのリアクターパウダー4kg に、酸化防止剤(ADEKA社製商品「アデカスタブAO-50」)を1 重量%に相当する濃度で混合し、ポリプロピレン粉末を調製した。このポリプロピレン粉末と、5 重量%のTiO2ナノ粒子(Tayka 社製商品「NT-500B」平均粒径35nm)を、ミキサーを用いて180℃、100rpm の条件で20 分溶融混練した。引き続き、溶融ポリプロピレンをホットプレスによって厚さ100μm のフィルムに成形した。こうして比較用のフィルムを得た。
(参考例2)
実施例1の工程1で得られたポリプロピレンをホットプレスによって厚さ100μm のフィルムに成形した。こうして比較用のフィルムを得た。
(紫外線遮断性・可視光透過性)
実施例15、参考例2、比較例12で得られたフィルムの紫外可視光吸スペクトルを図11に示す。図11から、本発明の酸化チタン含有高機能ナノコンポジットから成るフィルムは、紫外線カット性に優れ、しかも透明性が高いことが分かる。
(TiO粒子の形態観察)
実施例15で得られたフィルムをTEMにより観察した(図12)。比較例12で得られたフィルムをTEMにより観察した(図13)。100nm 厚の超薄切片は、ウルトラミクロトーム(Leica社製ULTRACUTS FCS)により作成した。比較例12と異なり、実施例15ではポリプロピレン中にTiO2がナノサイズの粒子として良好に分散していることが分かる。
本発明により、ポリオレフィンに、これと親和性の低い金属酸化物あるいは金属水酸化物を、相溶化剤や表面化学修飾なしで、ナノレベルで均一に分散した高機能ナノコンポジットを、オレフィンの重合から造粒に至る一貫プロセスで大規模に効率よく製造できる。本発明によって、自動車材料、建築材料、電機電子製品、樹脂改質剤として用いられている現行の機能性ポリオレフィン材料、マスターバッチ、無機材料、金属材料の優れた代替品あるいは改良品を提供できると期待される。
2:工程2
3:工程3
4:工程4
5:工程5
6:重合器
7:ポリプロピレン単独重合体
8:ミキサー
9:混合槽
10:乾燥区域
11:溶媒回収・分離装置
12:ヒーター
13:湿潤雰囲気区域
14:ミキサー
15:造粒機

Claims (5)

  1. 以下の工程を有する、無機フィラーがポリオレフィンに分散した高機能ナノコンポジットの製造方法。
    (工程1)重合器でオレフィン類を重合する工程。
    (工程2)工程1で得られたポリオレフィンのリアクターパウダーに、無機フィラーの前駆体である金属アルコキシドの溶液を混合して、ポリオレフィン粉末に金属アルコキシドを含浸する工程。
    (工程3)工程2で得られたポリオレフィン粉末を乾燥して溶媒を除去する工程。
    (工程4)工程3で得られたポリオレフィン粉末を湿潤雰囲気に移す工程。
    (工程5)工程4と同時にあるいは工程4に続いてポリオレフィン粉末を溶融混練することによってゾル−ゲル反応を完了し、高機能ナノコンポジットを得る工程。
  2. 無機フィラーが金属酸化物または金属水酸化物である、請求項1に記載の高機能ナノコンポジットの製造方法。
  3. 無機フィラーがTiO、SiO、ZnO、MgO、Mg(OH)、AlO3、Al(OH)3 から選ばれる1種以上である、請求項1または2に記載の高機能ナノコンポジットの製造方法。
  4. 高機能ナノコンポジットがマスターバッチ用である、請求項1〜3のいずれかに記載の高機能ナノコンポジットの製造方法。
  5. 請求項4に記載の製造方法により得られた、高機能ナノコンポジットからなる高機能マスターバッチ。
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