JP6433737B2 - 限外ろ過膜の調製方法 - Google Patents
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超純水製造装置において用いられている限外ろ過膜の分画分子量は数千〜数万の範囲にある。
一方、超純水中に含まれる微粒子の分布について、非特許文献1には、粒子サイズ(例えば直径)と個数の関係について、粒子の個数が「1/(粒子サイズ)3」との関係で指数関数的に分布する等、粒子サイズが小さくなるにしたがって粒子の個数が増加するとの報告があることが記載され、更に、小さい粒子の個数濃度を測定しなくても、例えば0.1μmよりも大きい粒子の個数濃度を測定することによって、それよりも小さい粒子の個数濃度を推定することが提案されている。
超純水中の微粒子を除去するポリスルホン製の限外ろ過膜に、微粒子を含む調製用水を通水して該限外ろ過膜に該微粒子を付加する処理を行い、
前記調製用水に含まれる微粒子のサイズが、5nmから500nmの範囲から選択され、
前記調製用水に含まれる微粒子の前記限外ろ過膜への付加量が、前記限外ろ過の膜面積に対して10%以下である
ことを特徴とする。
限外ろ過膜の分離性能の指標として一般的に分画分子量が使われる。分画分子量は、既知の分子量を有する標準物質を透過させて阻止率90%に相当する分子量から定める。即ち、分画分子量5000の限外ろ過膜であれば、分子量5000の物質の90%を捕捉できる。限外ろ過膜の孔径は完全な均一ではなく、通常は分画分子量を規定するメインの孔径を含むバラツキを有している。このメインの孔径を有する孔が孔径分布において最も大きな割合を占めるが、このメインの孔径よりも大きな孔があると、除去対象のサイズの微粒子がそこを通過して除去できない場合が生じる。即ち、規定された分画分子量よりも大きい分子量の物質が捕捉されない可能性がある。そこで、このような大きな孔を微粒子で塞ぐことで限外ろ過膜の完全性を高め、除粒子性能を向上させるとともに、限外ろ過膜の信頼性を高めることができる。更に、限外ろ過膜に通水をすると、水はより大きな孔を通る確率が高くなる、すなわち、ミクロ的な限外ろ過膜の通水のし易さには膜面において分布があり、より大きな孔の周辺への水の流れが形成され易いと考えられる。このため、孔閉鎖用の微粒子を含む調製用水を限外ろ過膜に通水すると、孔閉鎖用の微粒子が、大きな孔に供給される確率が高くなり、大きな孔を効率よく塞ぐことが可能であると考えられる。
孔閉鎖用微粒子の種類は特に限定されるものではなく、対象となる限外ろ過膜やその使用目的に応じて適宜選択することができる。特に、超純水システムの末端又はその近傍に設置する限外ろ過膜装置に対して適用する場合は、低溶出が要求される。したがって、できるだけ少量の微粒子の添加によって狙い通りの効果を発揮するために、溶出量が少ない球状の合成粒子を使用することが好ましい。また、単分散であること又は単分散に近い(実質的に単分散)ことが、孔閉鎖用微粒子の膜への付加率等の調製条件を管理する上で好ましい。
孔閉鎖用微粒子としては、例えば、金粒子(金コロイド)、PSL(ポリスチレンラテックス)粒子、シリカ粒子等があげられる。
また、この孔閉鎖用微粒子は、孔閉鎖用微粒子の限外ろ過膜への付加前後における、被処理水中の除去対象微粒子の除粒子率(排除率)を、実験によって確認することで決定することもできる。具体的には、先ず、限外ろ過膜の分画分子量を目安として、目的とする除粒子性能(被処理水から除去すべき微粒子の除去率)を得ることができる限外ろ過膜を選択し、被処理水を通水して選択された限外ろ過膜の除去すべき微粒子の除粒子率(R1)を求める。次に、限外ろ過膜に孔閉鎖用微粒子を付加した後、被処理水を通水して孔閉鎖用微粒子の付加後における限外ろ過膜の除粒子率(R2)を求める。このようにR1、R2を孔閉鎖用微粒子の種類やサイズで振り分けて実験を行い、R2>R1となる孔閉鎖用微粒子を選定する。
限外ろ過膜への孔閉鎖用の微粒子の付加率は、膜面積に対して10%(面積比)以下に設定することが、除粒子性能を向上させつつ、ケーキろ過状態を形成せずに、通水における顕著な差圧上昇を抑制するために好ましい。孔閉鎖用の微粒子の付加率は、0.01%以上、好ましくは0.1%以上、更に好ましくは0.5%を超えた値に設定することができる。孔閉鎖用微粒子の膜面積に対する付加率は、微粒子がそのサイズを直径とする単一球形であり、単層で膜面に付着すると仮定したときの微粒子投影面積の総和の膜面積に対する割合である。
微粒子付加率=[微粒子付加量(個数)から得られる膜面上での微粒子の占有面積]/[限外ろ過膜の膜面の面積]×100%・・・・式(1)
微粒子付加量(個数)は、調製用水の微粒子濃度×調製用水の積算通水量(単位時間当たりの通水量×時間)から求めることができ、また、膜面での微粒子の占有面積は以下の式(2)により求めることができる。
微粒子付加量(個数)×各微粒子の膜面上への投影面積・・・式(2)
なお、各球形微粒子の投影面積Sは、S=π(L/2)2(L=球状微粒子の直径)である。
孔閉鎖用微粒子を含む調製用水の限外ろ過膜への孔閉鎖効果を得るための積算通水量は、目的とする孔閉鎖効果を得ることができるように設定すればよく、上述した付加率が達成できるように、孔閉鎖用微粒子の調製用水中の濃度、通水時間、流速等に基づいて設定することが好ましい。
図示した例では、限外ろ過膜モジュール1と供給系2−2とは栓1−1を介して、排出系3とは栓1−2を介して脱着可能に接続されており、調製用水での処理終了後に、栓1−1及び1−2を閉じて充填液を満たした状態で密閉した限外ろ過膜モジュール1を処理部4から取り出し可能となっている。
図1に示す装置における調製用水での処理は、全ろ過処理であるが、限外ろ過膜モジュールを濃縮水取り出し可能な構成とし、限外ろ過膜に対してクロスフローで調製用水を供給して、濃縮水を取り出すろ過条件を採用してもよい。調製用水の濃縮水は、循環系を用いて貯留槽に戻して再利用することもできる。この点は、後述する図2で示す限外ろ過膜装置内での処理においても同様である。
を含む。
上記の調製工程は、限外ろ過膜に微粒子を含む調製用水を通水させる第1の装置に限外ろ過膜を装着して、第1の装置に装着した限外ろ過膜に前記調製用水を通水させる工程とすることができる。この第1の装置としては、図1に示す調製装置を用いることができる。
上記の限外ろ過膜に被処理水を通水する工程は、調製工程により第1の装置に装着された限外ろ過膜に調製用水を通水させた後、第1の装置に装着された限外ろ過膜を前記第1の装置から取り外し、第1の装置から取り外した限外ろ過膜を、被処理水から超純水を製造するための第2の装置に装着して、第2の装置に装着された前記限外ろ過膜に被処理水を通水する工程とすることができる。
なお、調製用水の供給系から被処理水供給系への切り替え時後の所定時間を洗浄処理に利用して、限外ろ過膜モジュール1の二次側に小さな微粒子が透過して存在する場合は、これを洗浄処理によって除去し、別途設けた排出系(不図示)により廃棄してもよい。あるいは、洗浄用の水、例えば超純水を限外ろ過膜モジュール1の一次側に供給するための洗浄水供給系(不図示)を別途設置し、調製用水の供給系から被処理水供給系への切り替え時に、洗浄を行ってから被処理水供給系への切り替えを行ってもよい。
図2における限外ろ過膜装置での本運転において、濃縮水を取り出す場合には濃縮水取り出し系3Bが利用され、全ろ過運転を行う場合には濃縮水取り出し系3Bを閉じればよい。
本発明にかかる調製方法により微粒子が付加された限外ろ過膜を用いた限外ろ過膜は、例えば、特許文献1に開示されるような超純水製造装置のサブシステムの末端又はその近傍に設けられた限外ろ過膜装置に好適に用いることができる。
二次純水システム42は、一次純水を貯留する純水貯槽43の下流側に、紫外線酸化装置44(図中UVで示す)、強酸性陽イオン交換樹脂と強塩基性陰イオン交換樹脂との混床による1塔式の非再生型イオン交換装置45(図中CPで示す)、膜脱気装置46(図中MDで示す)、限外ろ過膜装置47(図中UFで示す)を、この順序に通水するように設置したものである。限外ろ過膜装置47として、本発明の限外ろ過膜装置が組み込まれている。限外ろ過膜装置47からの超純水は、ユースポイント48に供給される。二次純水システム42では連続循環運転を行っており、得られた超純水の一部をユースポイント48に送るとともに、残部を純水貯槽43に循環している。なお、紫外線酸化装置44とその後段の非再生型イオン交換装置45との間、非再生型イオン交換装置45とその後段の膜脱気装置46との間、膜脱気装置46とその後段の限外ろ過膜装置47との間には、必要に応じ、他の装置を設置してもよい。
本発明にかかる調製方法によって得られる限外ろ過膜における除粒子性能の確認は、微粒子のサイズによって、パーティクルカウンターや、特許文献2及び3に開示の直接測定方法等によって行うことができる。
本発明に調製方法によれば、従来のろ過実績のある限外ろ過膜を用いた場合でも、高性能化及び高信頼化を達成することができる。また、市販の限外ろ過に簡便な方法で調製処理を行うことができるので、限外ろ過膜の設置及び交換にかかるコストを低く抑えることができる。
なお、微粒子を含む超純水を被処理水とする限外ろ過処理において、被処理水の限外ろ過膜への通水開始からある程度の時間経過後に被処理水中に孔閉鎖作用を有する微粒子が含まれている場合には、本発明に係る除粒子性能の向上効果が期待できる。しかし、大きな孔が塞がるまでの時間内ではろ過性能は向上しておらず、しかも、超純水中の微粒子の種類、並びにそのサイズ及び個数に関する分布は超純水の種類やその製造方法等によって変動し、また、限外ろ過膜の種類もろ過目的に応じて設定されるため、大きな孔を塞ぐことによる効果が得られるまの通水時間は通水処理毎に異なる。しかも、工業的に利用される限外ろ過膜の膜面積は非常に大きく、かかる除粒子性能が向上していない状態での通水時間も長くなる。
これに対して、本発明では、予め設定された条件での孔閉鎖用微粒子の限外ろ過膜への付加を確実に行うことで、除粒子性能の向上を再現性よく得ており、通常の微粒子を含む超純水の限外ろ過処理と大きく異なるものである。
分画分子量6000のポリスルホン製中空糸型限外ろ過膜モジュールの中空糸膜をセットした小型モジュールを作製し、中空糸膜の一次側(外側)から超純水中に粒径10nmと規定された金粒子(金コロイド)試薬(平均粒径10nm、粒径幅(CV)10%未満)を添加、分散させた調製用水を通水し、金粒子の付加率に対する被処理水の微粒子除去率を測定した。調製用水に含まれる金濃度は約1ppbとした。なお、通水はデッドエンド式の全ろ過条件で行った。各時点での積算通水量によって膜面積に対する金粒子の付加率を先に示した式(1)及び(2)により算出した。
限外ろ過膜からの透過液(中空糸膜の内側に透過してくる水)を採取して、透過液中の金濃度をICP-MS分析法により測定した。限外ろ過膜の入口と出口の金濃度から、限外ろ過膜の金粒子の除粒子率(排除率)を求めた(特許文献4参照)。
表1に、金粒子の粒子付加率と、金粒子の除粒子率との関係を示す。金粒子を限外ろ過膜に付加する(粒子付加率が大きくなる)につれて、除粒子率が大きくなった。分画分子量6000の限外ろ過膜は、10nmの粒子を十分に排除することができる(排除率90%以上)。すなわちメインの孔径は10nmよりも小さい。しかし、僅かに金粒子が限外ろ過の二次側にリークするということは、限外ろ過膜には孔径分布があり10nm粒子が通ることができる細孔が少なくとも存在していることを示す(不完全性)。本実施例によって、10nm粒子(金粒子)を限外ろ過膜に付加することで、10nm粒子が通ることができる細孔が閉塞され(粒子付加率が大きくなれば、閉塞される細孔が多くなる)、除粒子率が大きくなることが確認された。金粒子(金コロイド)試薬には粒度分布があり、10nmと規定されていても、10nmよりも大きな粒子が存在する。この大きな粒子は、限外ろ過膜にある10nm粒子が通ることができる細孔を閉塞することができる。また、10nm粒子でも10nm粒子が通ることができる細孔内で捕捉されることもあり、10nm粒子が通ることができる細孔を閉塞することができる。これにより限外ろ過膜に粒子を付加することで、限外ろ過膜の除粒子性能(微粒子の除粒子率)が向上することが確認された。なお、このとき明らかなフラックスの低下は認められなかった。
1−1、1−2 栓
2−1 調製用水の貯留槽
2−2 調製用水の供給系
2−3 充填液の貯留槽
2−4 充填液の供給系
3 排出系
4 処理部
Claims (2)
- 超純水中の微粒子を除去するポリスルホン製の限外ろ過膜に、微粒子を含む調製用水を通水して該限外ろ過膜に該微粒子を付加する処理を行う限外ろ過膜の調製方法であって、
前記調製用水に含まれる微粒子のサイズが、5nmから500nmの範囲から選択され、
前記調製用水に含まれる微粒子の前記限外ろ過膜への付加量が、前記限外ろ過の膜面積に対して10%以下である
ことを特徴とする限外ろ過膜の調製方法。 - 前記調製用水に含まれる微粒子が金粒子、ポリスチレンラテックス粒子、シリカ粒子の少なくともいずれかである請求項1に記載の限外ろ過膜の調製方法。
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