JP6434692B2 - 光学異方性を有する光学素子の製造方法及び光学異方性を有する光学素子 - Google Patents
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また屈折楕円体の3つの主屈折率の大きさがnx>ny>nz(Nz係数=1以上)の関係を有する(2軸性の光学異方性を有する)位相差フィルムはVAモード、IPSモードなどの多くの種類の液晶表示装置に利用されている。更に、屈折率楕円体が傾斜した光学特性を有する位相差フィルムは光学補償フィルムとしてTNモード、ECBモードなどの液晶表示装置等の視野角拡大に役立つ可能性がある。
従来より用いられている位相差フィルムの製造方法として、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネートなどの高分子材料を延伸し、高分子鎖を配向させ、延伸方向の屈折率と、延伸方向に対し直交方向の屈折率に差異を生じさせる方法が挙げられる。
このような延伸工程により製造される位相差フィルムでは、ネガティブCプレートの特性を有する位相差フィルムや、2軸性の光学特性を有する位相差フィルムを製造することができる。しかし、この製造方法は、高分子材料を延伸する工程によるために、フィルムを薄膜化することが難しい。そのため、携帯電話の液晶表示装置などに要求される薄型化を達成することが困難である。
更に、フィルムの製造が高分子材料の延伸工程によるため、分子はフィルム面と平行な延伸方向に配向し、屈折率楕円体がフィルム面に対して傾斜した光学特性を得ることは、実質的に不可能である。さらに、特定の光学特性を広いフィルム面積で精度良く均一に得るためには特殊な技術、大掛かりな設備、煩雑な工程が必要とされる。
また特許文献5(再表2011/007669号公報)には、螺旋構造を示すコレステリック液晶の配向を架橋又は重合によって固定化し、ネガティブCプレートの特性を有する光学異方性層を製造する方法が提案されている。
化学式(1)で示される構成単位を含む液晶性高分子材料を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜中の前記液晶性高分子材料に所定の配向性を付与する配向制御工程と
を含み、
前記液晶性高分子材料を非プロトン性の極性溶媒を含む溶媒を用いて塗布することを特徴とする光学素子の製造方法である。
本発明の光学素子の他の態様は、上記の製造方法によって製造された、2軸性屈折率楕円体が表面に対して傾斜した光学的異方性を有する位相差フィルムである。
[光学素子の製造方法]
本発明の一実施形態に係る光学素子の製造方法は、化学式1で示される構成単位を含む液晶性高分子材料を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜中の液書性高分子材料に所定の配向性を付与する配向制御工程を含み、
前記光反応性高分子材料を非プロトン性の極性溶媒を含む溶媒を用いて塗布することを特徴とする光学素子の製造方法である。
また、この製造方法は、必要に応じて、配向制御工程後、さらに、塗膜に光照射を行う光照射工程を含んでいてもよい。
上記化学式1または化学式2で示される構成単位は、側鎖型の液晶性高分子材料の側鎖の構成単位である。従って、本発明の液晶性高分子は、側鎖末端にカルボキシル基を有する液晶性高分子である。この液晶性高分子は、側鎖末端のカルボキシル基の水素結合による2量化により、メソゲン基を構造に含まなくとも液晶相を発現する材料である。
次いで、配向制御工程において、塗膜中の液晶性高分子材料の配向性、特に側鎖の配向性を制御することにより、特定の光学的異方性を有するフィルムを形成する。
配向制御工程には、塗膜を乾燥する過程が含まれていてもよい。また配向制御工程においては、必要に応じ、塗膜に法線方向または、法線から傾斜した方向から光を照射する。また配向制御工程においては、塗膜を熱処理することが好ましい。
以下、ネガティブCプレートの特性を有する光学素子、2軸性の光学異方性を有する光学素子、傾斜した2軸性屈折率楕円体で示される光学異方性を有する光学素子を形成する実施形態について説明する。
本実施形態においては、まず塗膜が乾燥する過程で溶媒が除去されてもよい。塗膜は、製膜時には面内異方性は無いものの、溶媒の乾燥する過程において側鎖部は僅かに面内に配向する傾向がある。本発明者が鋭意研究の結果、非プロトン性極性溶媒を添加した溶媒を用いて製膜を行うことにより、側鎖が面内に配向する傾向が強化されることが見出された。
通常、塗膜の形成後、溶媒は比較的速やかに揮発するため、乾燥のために特段の工程を設ける必要はないが、必要に応じ、配向制御工程において乾燥工程を設けてもよい。乾燥工程においては、例えば、乾燥工程は、常温から60℃の温度範囲で、塗膜を3分以上放置する工程としてもよい。
また、上記化学式1または化学式2で示される構成単位を有する液晶高分子材料は、光反応性液晶高分子材料としての特性も有している。本発明者は鋭意研究の結果、この液晶性高分子材料の製膜時に、非プロトン性極性溶媒を添加した溶媒を用いて製膜した後、所定の方向から、所定波長の偏光、好ましくは直線偏光を照射することにより、容易に2軸性の光学特性が発現することを見出した。なお、光照射は、塗膜の乾燥後に行われるのが好ましい。
この実施形態では、塗膜形成工程で形成された塗膜に直線偏光を照射してもよい。
特に、上記の2軸性光学異方素子の形成で説明した光照射工程において、塗膜の表面に対し傾斜した方向(換言すれば、塗膜の法線に対し傾斜した方向)から偏光および/または非偏光を照射することにより、塗膜の表面に対し、傾斜した屈折率楕円体で示される光学素子を形成することができる。
p−クマル酸と6−クロロ−1−ヘキサノールを、アルカリ条件下で加熱することにより、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)桂皮酸を合成した。この生成物にp−トルエンスルホン酸の存在下でメタクリル酸を大過剰加えてエステル化反応させ、化学式3で示される単量体1を合成した。
p−ヒドロキシ安息酸と6−クロロ−1−ヘキサノールを、アルカリ条件下で加熱することにより、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息酸を合成した。この生成物にp−トルエンスルホン酸の存在下でメタクリル酸を大過剰加えてエステル化反応させ、化学式4で示される単量体2を合成した。
[実施例1]
重合体1をTHF(テトラヒドロフラン)に溶解し重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。乾燥後の塗膜は、僅かにネガティブCプレートの特性を有していた。次いで、塗膜の形成された基板をホットプレートに載置して塗膜を加熱し、温度が135℃に達した時点で基板を取り出すことにより冷却し、試料を作製した。作製した試料は、ネガティブCプレートの特性が増強されており、Re≒0nm、Rth=77.2nmを有していた。基材上のフィルムの膜厚は2.3μmであった。
重合体1をTHF/ジエチルカルボネート混合液(配合重量比67/8)に溶解し、重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に製膜した。製膜後の塗布膜は、僅かにネガティブCプレートの特性を有していた。次いで、塗膜を乾燥後、実施例1と同様にして、塗膜を135℃まで加熱後、冷却して試料を作製した。作製した試料は、ネガティブCプレートの特性が増強されており、Re≒0nm、Rth=105.8nmの特性を有していた。この値は、実施例1より複屈折が増強されていることが確認された。基材上のフィルムの膜厚は2.3μmであった。
重合体2をTHF/ジエチルカルボネート混合液(配合重量比67/8)に溶解し重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。乾燥後の塗布膜は、僅かにネガティブCプレートの特性を有していた。次いで実施例1と同様の手段を用い塗膜を加熱し、加熱温度が135℃に到達した後、冷却して試料を作製した。作製した試料は、ネガティブCプレートの特性が増強されており、Re≒0nm、Rth=127.1nmの特性を有していた。基材上のフィルムの膜厚は2.3μmであった。この膜に高圧水銀灯からの紫外光を、法線方向から300mJ/cm2照射した。照射前後で耐溶媒性の変化を確認したところ、照射後では耐溶剤性が向上していることが確認された。
重合体1をTHF/ジエチルカルボネート混合溶液(重量配合比67/8)に溶解し重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。この膜に、法線方向から高圧水銀灯からの紫外光をグランテラープリズムを用いて偏光変換して照射した(照射量:25mJ/cm2)。照射後、実施例1と同様の手段を用い塗膜を加熱し、温度が135℃に到達した後、冷却して試料を作製した。作製した試料は、Nz係数=1.6とNz係数が1以上であり、面内位相差値は60nmであった。基材上のフィルムの膜厚は2.3μmであった。
重合体1をTHF/プロピルカルボネート混合溶液(配合重量比67/8)に溶解し、重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。この膜に、法線方向から高圧水銀灯からの紫外光をグランテラープリズムを用いて偏光変換して照射した(照射量:30mJ/cm2)。照射後、実施例1と同様の手段を用い、塗膜を加熱して温度が135℃に到達した時点で冷却し、試料を作製した。作製した試料は、Nz係数=1.7とNz係数が1以上であり、面内位相差値は50nmであった。基材上のフィルムの膜厚は2.3μmであった。
重合体2をTHF/ジエチルカルボネート混合溶液(配合重量比67/8)に溶解し重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。この膜に、法線方向から高圧水銀灯からの紫外光をグランテラープリズムを用いて偏光変換して照射した(照射量:35mJ/cm2)。照射後、実施例1と同様の手段を用い、塗膜を加熱して120℃に到達した時点で冷却して試料を作製した。作製した試料は、Nz係数=1.46とNz係数が1以上であり、面内位相差値は80nmであった。基材上のフィルムの膜厚は2.5μmであった。
重合体1をTHF/DMSO混合溶液(配合重量比70/5)に溶解し重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した(照射量:50mJ/cm2)。この膜に、法線方向から高圧水銀灯からの紫外光をグランテラープリズムを用いて偏光変換して照射した(照射量:50mJ/cm2)。照射後、実施例1と同様の手段を用い、塗膜を加熱し、温度が135℃に到達した時点で冷却して試料を作製した。作製した試料は、Nz係数1以上の特性を有していた。基材上のフィルムの膜厚は3μmであった。
重合体1をTHF/DMF混合溶液(配合重量比70/5)に溶解し、重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。この膜に、法線方向から高圧水銀灯からの紫外光をグランテラープリズムを用いて偏光変換して照射した(照射量:50mJ/cm2)。照射後、実施例1と同様の手段を用い、塗膜を加熱し、加熱温度が135℃に達した時点で冷却して試料を作製した。作製した試料は、Nz係数1以上の特性を有していた。基材上のフィルムの膜厚は3μmであった。
重合体1をTHF/プロピルカルボネート混合溶液(配合重量比67/8)に溶解し、重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。この膜に、高圧水銀灯からの紫外光をグランテラープリズムを用いて偏光変換して、塗布面に対して45°の入射角度で照射した(照射量:50mJ/cm2)。照射後、実施例1と同様の手段を用い、塗膜を加熱して加熱温度が135℃に到達した時点で、冷却して試料を作製した。作製した試料の光学特性は、2軸性屈折率楕円体(nx=1.615、ny=1.579、nz=1.547)が傾斜(進相軸傾斜、傾斜角17°)した特性を有しており、面内位相差値は116.7nmであった。基材上のフィルムの膜厚は3μmであった。
重合体1をTHF/プロピルカルボネート混合溶液(配合重量比67/8)に溶解し、重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。この膜に、高圧水銀灯からの紫外光を偏光変換せず非偏光のまま、塗布面に対して45°の入射角度で照射した(照射量:50mJ/cm2)。照射後、実施例1と同様の手段を用い、塗膜を加熱して、加熱温度が135℃に到達した時点で冷却し、試料を作製した。作製した試料の光学特性は、2軸性屈折率楕円体(nx=1.545、ny=1.570、nz=1.626)が傾斜(進相軸傾斜、傾斜角62°)した特性を有しており、面内位相差値は109.5nmであった。基材上のフィルムの膜厚は3μmであった。
重合体1をTHF/プロピルカルボネート混合溶液(配合重量比67/8)に溶解し、重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。この膜に、高圧水銀灯からの紫外光をグランテラープリズムを用いて偏光変換して、塗布面に対して法線方向から入射するとともに、高圧水銀灯からの紫外光を偏光変換せず非偏光のまま、塗布面に対して60°の入射角度で照射した。非偏光と偏光の強度比は1:1とし、照射量は50mJ/cm2とした。照射後、実施例1と同様の手段を用い、塗膜を加熱して、加熱温度が135℃に到達した時点で冷却し、試料を作製した。作製した試料の光学特性は、2軸性屈折率楕円体(nx=1.551、ny=1.541、nz=1.588)が傾斜(進相軸傾斜、傾斜角22.8°)した特性を有しており、面内位相差値は6.5nmであった。基材上のフィルムの膜厚は3μmであった。
1a:感光性の高い配置の側鎖
1b:感光性の乏しい配置の側鎖
1c:面外方向の配置の側鎖
2a:偏光露光後の感光性の高い配置の側鎖
2b:偏光露光後の感光性の乏しい配置の側鎖
2c:偏光露光後の、露光前面外方向に配置していた側鎖
Claims (4)
- 化学式(1)で示される構成単位を含む液晶性高分子材料を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜中での前記液晶性高分子材料を配向させる配向制御工程とを含み、
前記液晶性高分子材料は非プロトン性の極性溶媒を含む溶媒を用いて塗布され、前記非プロトン性極性溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルカルボネート、プロピルカルボネート、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記配向制御工程が、前記塗膜を加熱する熱処理工程を含む(但し、前記熱処理工程時またはその前に偏光の照射を行う場合を除く)ことを特徴とする、ネガティブCプレートの光学特性を有する位相差フィルムの製造方法。
(式中、tは0〜3の整数を表し、Rは水素、アルキル基、アルキルオキシ基、及びハロゲンから選択される一種または二種以上を示す。) - 請求項1または2に記載の位相差フィルムの製造方法であって、前記液晶性高分子材料は、光架橋性が付与されたものであることを特徴とする、位相差フィルムの製造方法。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の位相差フィルムの製造方法であって、配向制御工程後、さらに、塗膜に非偏光の照射を行う光照射工程を含むことを特徴とする、位相差フィルムの製造方法。
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