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JP6434692B2 - 光学異方性を有する光学素子の製造方法及び光学異方性を有する光学素子 - Google Patents
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JP6434692B2 - 光学異方性を有する光学素子の製造方法及び光学異方性を有する光学素子 - Google Patents

光学異方性を有する光学素子の製造方法及び光学異方性を有する光学素子 Download PDF

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本発明は、光学異方性を有する光学素子の製造方法および該方法によって製造される光学素子に関し、特に非極性溶媒を含む溶媒を用いた感光性高分子材料の塗布を含む、光学素子の製造方法、および該方法を用いて製造される光学素子、特にネガティブCプレートの特性を有する位相差フィルム、二軸性の光学異方性を有する位相差フィルム、また傾斜した2軸性屈折率楕円体で示される光学異方性を有する位相差フィルムに関するものである。
液晶表示装置(LCD)は、携帯電話、コンピュータ用モニター、テレビなどの情報表示用として広く利用されている。LCDは、その駆動方式により、Twisted Nematic型LCD(TN型LCD)、Vertical Alignment型LCD(VA型LDC)、In Plane Switching型LCD(IPS型LCD)など、種々の方式が挙げられる。これらLCDの多くは正面から見た場合には、高いコントラストの画像を得ることができる。しかしながら、LCDによっては、斜めから見た場合に、配置された偏光板の軸角度が90°からずれてしまうことやLCDセル中の液晶分子の光学的異方性により光漏れが生じ、コントラストの低下や色調変化が生じてしまう。
これを解消するために、LCDには様々な位相差フィルムが利用されてきている。位相差フィルムは、互いに垂直な主軸方向に振動する直線偏光成分を通過させ、この二成分間に必要な位相差を与える複屈折を有する光学異方素子である。位相差フィルムは、上記のように液晶表示装置の視野角を改善するなどの目的から液晶表示分野にも活用されており、液晶セルの特性に合わせて様々な特性を有する位相差フィルムが利用される。
例えば、特許文献1(特開2001−109009号公報)には、垂直配向モードの液晶表示装置において、上下の偏光板と液晶セルの間に、それぞれAプレートとネガティブCプレートを配置することが記載されている。ここでAプレートは、光学軸がフィルム表面に平行となる1軸性の光学異方性を有するフィルム、Cプレートは、光学軸がフィルム表面に垂直となる1軸性の光学異方性を有するフィルムである。特に、屈折率楕円体の主屈折率の大きさがnx=ny>nzの関係を有する位相差フィルムは、ネガティブCプレートと呼ばれている。
また屈折楕円体の3つの主屈折率の大きさがnx>ny>nz(Nz係数=1以上)の関係を有する(2軸性の光学異方性を有する)位相差フィルムはVAモード、IPSモードなどの多くの種類の液晶表示装置に利用されている。更に、屈折率楕円体が傾斜した光学特性を有する位相差フィルムは光学補償フィルムとしてTNモード、ECBモードなどの液晶表示装置等の視野角拡大に役立つ可能性がある。
位相差フィルムにおいて、所望の光学特性を得るために、該フィルムの屈折楕円体の3つの主屈折率の大きさを任意に制御することが望まれている。
従来より用いられている位相差フィルムの製造方法として、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネートなどの高分子材料を延伸し、高分子鎖を配向させ、延伸方向の屈折率と、延伸方向に対し直交方向の屈折率に差異を生じさせる方法が挙げられる。
このような延伸工程により製造される位相差フィルムでは、ネガティブCプレートの特性を有する位相差フィルムや、2軸性の光学特性を有する位相差フィルムを製造することができる。しかし、この製造方法は、高分子材料を延伸する工程によるために、フィルムを薄膜化することが難しい。そのため、携帯電話の液晶表示装置などに要求される薄型化を達成することが困難である。
更に、フィルムの製造が高分子材料の延伸工程によるため、分子はフィルム面と平行な延伸方向に配向し、屈折率楕円体がフィルム面に対して傾斜した光学特性を得ることは、実質的に不可能である。さらに、特定の光学特性を広いフィルム面積で精度良く均一に得るためには特殊な技術、大掛かりな設備、煩雑な工程が必要とされる。
薄型の位相差フィルムを製造する方法として、例えば、特許文献2(特表平11−513019号公報)、特許文献3(特表平11−513360号公報)などに、液晶化合物を配向させこの配向を固定する方法が提案されている。このような手段により、所望の光学特性を有する薄型フィルムを得る方法が提案されており、例えば、特許文献4(特開2007−291060号公報)には、疎水化した基材の表面において、リオトロピック液晶( L L C )の配向を固定し、ネガティブCプレートの特性を有する位相差膜を製造する方法が記載されている。
また特許文献5(再表2011/007669号公報)には、螺旋構造を示すコレステリック液晶の配向を架橋又は重合によって固定化し、ネガティブCプレートの特性を有する光学異方性層を製造する方法が提案されている。
光学軸がフィルム表面に対して傾いた複屈折フィルムの製造法としては、延伸フィルムやラビングや光照射により配向処理した基材上で棒状液晶性化合物やディスコティック液晶化合物を配列させる方法がある。例えば、特許文献6(特開平7−287119号公報)、特許文献7(特開平7−287120号公報)では、ラビング配向膜、SiO斜方蒸着配向膜上にディスコティック液晶を配列させる方法が記載されている。また、同様な方法として、特許文献8(特開平10−278123号公報)では光配向膜上に光重合開始剤を含有したディスコティック液晶を配向させ光照射によりこの配向を固定する方法が記載されている。
特開2001−109009号公報 特表平11−513019号公報 特表平11−513360号公報 特開2007−291060号公報 再表2011/007669号公報 特開平7−287119号公報 特開平7−287120号公報 特開平10−278123号公報
特許文献4、5に記載された方法では、比較的薄型のネガティブCプレートの特性を有する位相差フィルムを製造することができる。しかし、特許文献4記載の方法では、予め基材表面を疎水性に処理しておく必要があり、製造工程が煩雑となる。特許文献5記載の方法では、螺旋構造による光の干渉を防ぐために螺旋ピッチを十分に小さくする必要がある(例えば、螺旋ピッチ200nm以下。)。また、このような螺旋構造を誘起させるためには光学活性化合物の添加が必要であり、光学活性化合物を重合性液晶組成物と均一に混合し、ヘイズ発生などの光学特性へ影響を及ぼさないことが不可欠である。このため、光学活性化合物の適切な選定と添加量制御が必要となる。
特許文献6、7、8などに記載された配向膜上で液晶化合物を配向させる方法では、延伸工程と比較して薄膜化することが可能であり、また光学軸がフィルム表面に対し、傾斜した位相差フィルムを得ることができる。しかし、得られる位相差フィルムの屈折率楕円体の特性は配向させる液晶化合物の光学特性に依存することになる。ここで、棒状液晶化合物やディスコティック液晶化合物は光学的に1軸性の特性を有しており、得られる位相差フィルムの光学特性は1軸性となり、光学的2軸性の特性を発現させることが難しい。液晶性化合物を傾斜配向させた場合でも、フィルムの光学特性は、1軸性屈折率楕円体が傾斜配向またはハイブリッド配向したものに限られる。そのため、特許文献6、7、8に記載された方法では、2軸性屈折率楕円体が傾斜した光学特性を発現させることは困難である。更には、配向膜の配向処理、液晶材料の配向など工程が煩雑になるなどの課題がある。
本発明は、延伸法により製造される従来の位相差フィルムと比較して薄型の位相差フィルムを、簡便な方法で提供し得る位相差フィルムの製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、このような方法によって製造された光学素子、特に、従来の延伸法による位相差フィルムと比較して薄型で所望の光学特性を有する位相差フィルム、特にネガティブCプレートの光学特性を有する位相差フィルム、2軸性屈折率楕円体の光学特性を有する位相差フィルム、更には、2軸性屈折率楕円体が傾斜した光学特性を有する位相差フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記の問題を解決するために鋭意研究した結果、特定の化学式で示される構成単位を含む液晶性高分子材料を塗布して塗膜を形成し、塗膜中の液晶性高分子の配向処理を行うことにより、光学的異方性を有する薄型のフィルムが得られることを見出した。さらに、前記フィルムの光学異方性を制御する方法について研究を重ねた結果、非プロトン性極性溶媒を含む溶媒を用いて前記液晶性高分子材料の塗布を行うことにより、液晶性高分子材料の配向制御が非常に容易となり、塗膜の乾燥や熱処理と、必要に応じて光照射を適切に組み合わせて配向処理を行うことにより、ネガティブCプレートの光学特性、2軸性の光学異方性、フィルムに対して傾斜した2軸性屈折率楕円体で示される光学異方性など、所望の光学異方性を確実にフィルムに付与し得ることを見出し、本発明を完成した。
本発明に係る光学素子の製造方法は、
化学式(1)で示される構成単位を含む液晶性高分子材料を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜中の前記液晶性高分子材料に所定の配向性を付与する配向制御工程と
を含み、
前記液晶性高分子材料を非プロトン性の極性溶媒を含む溶媒を用いて塗布することを特徴とする光学素子の製造方法である。
Figure 0006434692
ここで、tは0〜3の整数を表し、Rは水素、アルキル基、アルキルオキシ基、及びハロゲンからなる群から選択される少なくとも一種を示す。
上記光学素子の製造方法において、前記構成単位の化学式(1)において、tが1、Rが水素であってもよい。すなわち、前記構成単位の化学式は、下記の化学式(2)で示されるものであってもよい。
Figure 0006434692
上記光学素子の製造方法において、前記非プロトン性極性溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルカーボネート、プロピルカーボネート、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択される少なくとも一種であってもよい。
上記光学素子の製造方法において、前記液晶性高分子材料は、光架橋性が付与されたものであってもよい。
上記光学素子の製造方法において、前記配向制御工程は、塗膜を加熱する熱処理工程を含むことが好ましい。
上記光学素子の製造方法において、前記配向制御工程は、配向制御工程後、さらに、塗膜に光照射を行う光照射工程を含んでもよい。
光照射工程において、塗膜に対し、所定の方向から偏光を照射してもよい。例えば、光照射工程において、塗膜に対し、法線方向から偏光を照射してもよい。また塗膜に照射される光は、直線偏光の紫外光でもよい。
一方で、光照射工程において、塗膜に対し、傾斜方向から、偏光および/または非偏光を照射してもよい。その場合、例えば、塗膜に対し、偏光を法線方向から照射し、さらに塗膜に対し傾斜した方向から非偏光を照射してもよい。具体的には、例えば、直線偏光の紫外光を塗膜の表面に対し、傾斜した方向から照射してもよい。あるいは、非偏光紫外光を塗膜に対し傾斜した方向から照射してもよい。あるいは、直線偏光紫外光と非偏光紫外光の混合光を照射してもよい。その場合、例えば、直線偏光の紫外光を塗膜に対し法線方向から照射しながら、非偏光紫外光を塗膜の表面に対し傾斜した方向から照射してもよい。
上記光学素子の製造方法において、前記配向制御工程は、熱処理前に塗膜を乾燥する乾燥工程を含んでいてもよい。乾燥工程は、前記光照射工程の前に行ってもよい。
上記光学素子の製造方法において、前記配向制御工程における熱処理後に、さらに塗膜に非偏光紫外光を照射してもよい。
本発明の光学素子は、上記の製造方法によって製造された光学素子である。上記光学素子は、光学フィルムであってもよい。
本発明の光学素子の一態様は、上記の製造方法によって製造された、ネガティブCプレートの光学異方性を有する位相差フィルムである。
本発明の光学素子の他の態様は、上記の製造方法によって製造された、2軸性の光学的異方性を有する位相差フィルムである。
本発明の光学素子の他の態様は、上記の製造方法によって製造された、2軸性屈折率楕円体が表面に対して傾斜した光学的異方性を有する位相差フィルムである。
本発明によれば、ネガティブCプレートの光学異方性、2軸性の光学異方性、傾斜した2軸性屈折率楕円体で示される光学異方性など、所望の光学特性を有する薄膜型の光学素子(例えば位相差フィルム)を簡便な方法で提供することができる。
本発明の一実施形態において、製膜後の塗膜における、重合体の側鎖の配置を示す模式図である。 図1に示す塗膜に偏光を照射し、加熱処理した後の重合体の側鎖の配置を示す模式図である。
以下、本発明に関し、実施形態に基づいてさらに説明する。
[光学素子の製造方法]
本発明の一実施形態に係る光学素子の製造方法は、化学式1で示される構成単位を含む液晶性高分子材料を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜中の液書性高分子材料に所定の配向性を付与する配向制御工程を含み、
前記光反応性高分子材料を非プロトン性の極性溶媒を含む溶媒を用いて塗布することを特徴とする光学素子の製造方法である。
また、この製造方法は、必要に応じて、配向制御工程後、さらに、塗膜に光照射を行う光照射工程を含んでいてもよい。
Figure 0006434692
ここで、tは0〜3の整数を表し、Rは水素、アルキル基(例えばC1−6アルキル基、好ましくはC1−4アルキル基)、アルキルオキシ基(例えばC1−6アルキルオキシ基、好ましくはC1−4アルキルオキシ基)、及びハロゲン(例えばフッ素原子、塩素原子など)からなる群から選択される少なくとも一種を示す。
前記構成単位の化学式において、tが1、Rが水素であってもよい。すなわち、前記構成単位の化学式は、下記の化学式(2)で示されるものであってもよい。
Figure 0006434692
[塗膜の形成工程]
上記化学式1または化学式2で示される構成単位は、側鎖型の液晶性高分子材料の側鎖の構成単位である。従って、本発明の液晶性高分子は、側鎖末端にカルボキシル基を有する液晶性高分子である。この液晶性高分子は、側鎖末端のカルボキシル基の水素結合による2量化により、メソゲン基を構造に含まなくとも液晶相を発現する材料である。
上記の側鎖型液晶性高分子材料は、上記構成単位を含む側鎖が接合される主鎖を有する。主鎖を構成する材料としては、炭化水素、アクリレート、メタクリレート、シロキサン、マレインイミド、N−フェニルマレインイミドなどが挙げられる。
このような液晶性高分子材料は、同一の繰り返し単位からなる単一重合体または構造の異なる側鎖を有する単位の共重合体でもよい。また、液晶性を損なわない程度に耐熱性や耐溶媒性を向上させるための架橋剤を添加してもよい。耐熱性を向上させるために添加される架橋剤としては、イソシアネート材料、エポキシ材料などの架橋剤を挙げることができる。また、液晶性高分子自体に感光性の側鎖を導入してもよい。
本発明においては、上記の液晶性高分子材料を非プロトン性極性溶媒を含む溶媒に溶解し、溶液を形成する。ここで非プロトン性極性溶媒としては、液晶性高分子材料の溶解が可能である範囲で、適当な溶媒を選択でき、例えばテトラヒドロフラン(THF)、メチルtert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(diglyme)、エチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピルカルボネート、プロピレンカルボネート、エチレンカルボネート等の炭酸エステル系溶媒;N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルリン酸アミド(HMPA)などのアミド系溶媒;スルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル等から選択される一種または二種以上の混合物を用いることができる。これらのうちでも、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルカーボネート、プロピルカーボネート、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを好適に用いることができる。これらの溶媒は、単独で、または二種以上組み合わせて使用してもよい。
塗布液における液晶性高分子材料の濃度は、塗膜の形成に用い得るかぎり特に限定されないが、例えば、5〜50重量%であってもよく、8〜40重量%であってもよく、10〜25重量%としてもよい。
ついで、液晶性高分子材料を溶解した溶液を基材に塗布し、塗膜を形成する。製膜に用いる基材は、ガラス基板でもよく、透明な低複屈折(好ましくは光学的等方体)の光学特性を有するフィルムでもよい。あるいは、後述する配向制御工程において基材の光学特性が損なわれない限りにおいて、偏光フィルム、位相差フィルムなどの光学フィルム、または複数の光学フィルムの積層体を基材として用いてもよい。好ましい基材は、例えば、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルムなどであってもよい。
この液晶性高分子の溶液の基材への塗布は、例えば、スピンコート、キャストなどの方法で行うことができる。
[配向制御工程]
次いで、配向制御工程において、塗膜中の液晶性高分子材料の配向性、特に側鎖の配向性を制御することにより、特定の光学的異方性を有するフィルムを形成する。
配向制御工程には、塗膜を乾燥する過程が含まれていてもよい。また配向制御工程においては、必要に応じ、塗膜に法線方向または、法線から傾斜した方向から光を照射する。また配向制御工程においては、塗膜を熱処理することが好ましい。
以下、ネガティブCプレートの特性を有する光学素子、2軸性の光学異方性を有する光学素子、傾斜した2軸性屈折率楕円体で示される光学異方性を有する光学素子を形成する実施形態について説明する。
[ネガティブCプレートの形成]
本実施形態においては、まず塗膜が乾燥する過程で溶媒が除去されてもよい。塗膜は、製膜時には面内異方性は無いものの、溶媒の乾燥する過程において側鎖部は僅かに面内に配向する傾向がある。本発明者が鋭意研究の結果、非プロトン性極性溶媒を添加した溶媒を用いて製膜を行うことにより、側鎖が面内に配向する傾向が強化されることが見出された。
通常、塗膜の形成後、溶媒は比較的速やかに揮発するため、乾燥のために特段の工程を設ける必要はないが、必要に応じ、配向制御工程において乾燥工程を設けてもよい。乾燥工程においては、例えば、乾燥工程は、常温から60℃の温度範囲で、塗膜を3分以上放置する工程としてもよい。
次いで、乾燥後の分子運動により、面内に配向しなかった側鎖や面外方向に配置していた側鎖は、乾燥過程で生じた面内配向した側鎖の影響を受け面内に配向する。その結果、膜全体においてネガティブCプレートの光学特性が誘起される。
この乾燥後の分子運動による配向は、塗膜を加熱することにより促進される(熱処理工程)。塗膜の加熱温度は、側鎖部分の軟化点より高いことが望ましく、液晶性高分子の等方相転移温度より低いことが好ましい。液晶性高分子の液晶性が乱れる等方相転移温度まで加熱すると配向が乱れ所望の光学特性が得られない。その他の条件(加熱時間等)は、液晶性高分子の配向性が得られるかぎり、特に限定されない。例えば所定温度(例えば120〜135℃)に到達させた後、そのまま降温させてもよく、例えば、所定温度(例えば120〜135℃)に到達後、所定時間維持した後、降温させてもよい。
[2軸性光学異方性素子の形成]
また、上記化学式1または化学式2で示される構成単位を有する液晶高分子材料は、光反応性液晶高分子材料としての特性も有している。本発明者は鋭意研究の結果、この液晶性高分子材料の製膜時に、非プロトン性極性溶媒を添加した溶媒を用いて製膜した後、所定の方向から、所定波長の偏光、好ましくは直線偏光を照射することにより、容易に2軸性の光学特性が発現することを見出した。なお、光照射は、塗膜の乾燥後に行われるのが好ましい。
光反応による配向制御を進めるには、感光性基が反応し得る波長の光の照射を要する。この波長は、一般に200−500nmであり、中でも250−400nmの有効性が高い場合が多い。従って、照射する光は200−500nmの波長範囲において強度の極大値を有することが好ましく、紫外光とすることがより好ましい。紫外光としては、200−400nmの範囲の波長、好ましくは250−400nmの範囲の波長において、強度の極大値を有する紫外光を用いることが好ましい。光源としては、例えば高圧水銀灯を用いてもよい。照射量は、例えば20mJ/cm〜300mJ/cm程度としてもよい。
この実施形態では、塗膜形成工程で形成された塗膜に直線偏光を照射してもよい。
以下、塗膜に対し、法線方向から、直線偏光の紫外光を照射することにより2軸性の光学異方性が発現する過程を図面を参照して説明する。
図1は、製膜後、偏光照射を行う前の塗膜の状態を示す模式図である。一般に製膜された膜は、製膜時には面内異方性は無く、感光性液晶性高分子の側鎖部は面内において特定方向を向いていないが、本発明においては、非プロトン性極性溶媒を添加した溶媒で製膜しているため、側鎖は面内に配向する傾向が強い。図1において、側鎖は円筒で示されている。側鎖1aは、照射される直線偏光の振動方向かつ照射方向に垂直の向きに位置する側鎖であり、感光性が高い。側鎖1bは、感光性の乏しい配置の側鎖、側鎖1cは、面外方向(塗膜の法線に近い方向)に配向した側鎖である。
塗膜に偏光を照射すると、感光性の高い側鎖1aの光反応が優先的に進行する。この光反応を進めるには、感光性基が反応し得る波長の直線偏光の照射を要する。上記のように、200−400nmの波長範囲に強度の極大値を有する紫外光を直線偏光に変換して照射することが好ましい。
図2は、偏光照射後の塗膜の状態を示す模式図である。偏光露光後の分子運動により、光反応を起こさなかった側鎖2bの一部および、光照射前に面外方向に配置していた側鎖2cが、光反応した側鎖2aと同じ方向に配向する。他方、偏光の照射強度にもよるが、光反応した側鎖2aと同じ方向に配向した一部の側鎖を除き、塗布後に面内に平行に配置して光反応を起こさなかった側鎖の配置は変わらない。その結果、塗膜に2軸性屈折率楕円体(nx>ny>nz)で示される光学特性が誘起される。その際、2軸性屈折率楕円体の形状は、材料側鎖の配置の比率によって変化する。
また、必要に応じて、光照射後に、さらに加熱処理を行ってもよい。すなわち、この場合、光学素子の製造方法は、配向制御工程、光照射工程および加熱工程を備えていてもよい。偏光露光後の分子運動による配向は、塗膜を加熱することにより促進される。塗膜の加熱条件としては、ネガティブCプレートの形成において説明したものと同様の条件を用いてもよい。
[傾斜した2軸性屈折率楕円体で示される光学素子の形成]
特に、上記の2軸性光学異方素子の形成で説明した光照射工程において、塗膜の表面に対し傾斜した方向(換言すれば、塗膜の法線に対し傾斜した方向)から偏光および/または非偏光を照射することにより、塗膜の表面に対し、傾斜した屈折率楕円体で示される光学素子を形成することができる。
照射する光は、直線偏光、特に紫外光の直線偏光であることが好ましい。ただし、傾斜した方向から光照射を行う場合、非偏光紫外光または、非偏光紫外光と偏光紫外光との混合光を照射した場合にも、傾斜した2軸性屈折率楕円体で示される光学特性を発現させることができる。例えば、塗膜の法線方向から直線偏光の紫外光を照射しながら、傾斜方向から非偏光紫外光を照射しても傾斜した2軸性屈折率楕円体で示される光学特性を発現させることができる。
塗膜の表面に対し、傾斜した方向から光照射を行う場合、表面に対する角度は、0°を超え90°未満の幅広い範囲から選択可能であるが、好ましくは0°より大で75°以下であってもよい。
光照射後、あるいは光照射後の第2の乾燥工程後に、上記の工程と同様に塗膜を加熱することにより、表面に対して傾斜した2軸性屈折率楕円体で示される光学特性を有する光学素子を製造することができる。
なお、ネガティブCプレートの特性を有する光学素子、2軸性の光学異方性を有する光学素子、傾斜した2軸性屈折率楕円体で示される光学異方性を有する光学素子を形成する実施形態のいずれにおいても、必要に応じて、耐溶剤性を向上させるため、得られた塗膜に対し、所定の波長の光(例えば、非偏光紫外光の照射)を照射してもよい。
上記の方法により基材上に形成されるフィルムの膜厚は、20μm以下、好ましくは0.1〜15μm、より好ましくは0.5μm〜10μmとすることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。但し、本発明のその要旨に変更がない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(単量体1)
p−クマル酸と6−クロロ−1−ヘキサノールを、アルカリ条件下で加熱することにより、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)桂皮酸を合成した。この生成物にp−トルエンスルホン酸の存在下でメタクリル酸を大過剰加えてエステル化反応させ、化学式3で示される単量体1を合成した。
Figure 0006434692
(単量体2)
p−ヒドロキシ安息酸と6−クロロ−1−ヘキサノールを、アルカリ条件下で加熱することにより、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息酸を合成した。この生成物にp−トルエンスルホン酸の存在下でメタクリル酸を大過剰加えてエステル化反応させ、化学式4で示される単量体2を合成した。
Figure 0006434692
単量体1をジオキサン中に溶解し、反応開始剤としてAIBNを添加して、70℃で24時間重合することにより重合体1を得た。この重合体1は液晶性を呈した。
単量体1と単量体2をジオキサン中に溶解(モル比単量体1:単量体2=7:3)し、反応開始剤としてAIBNを添加して、70℃で24時間重合することにより感光性の重合体2を得た。この重合体2は液晶性を呈した。
実施例1からは、本発明により位相差フィルムを作製した実施例であり、実施例4から11は参考例である。なお、以下の実施例において、基材としてはガラス基板を用いた。なお以下の実施例で、フィルムの光学特性は複屈折測定装置(AXOMETRICS社製/AxoScan)を用い、膜厚は膜厚計(FILMETRICS社製/F20)を用いて測定した。
[実施例1]
重合体1をTHF(テトラヒドロフラン)に溶解し重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。乾燥後の塗膜は、僅かにネガティブCプレートの特性を有していた。次いで、塗膜の形成された基板をホットプレートに載置して塗膜を加熱し、温度が135℃に達した時点で基板を取り出すことにより冷却し、試料を作製した。作製した試料は、ネガティブCプレートの特性が増強されており、Re≒0nm、Rth=77.2nmを有していた。基材上のフィルムの膜厚は2.3μmであった。
[実施例2]
重合体1をTHF/ジエチルカルボネート混合液(配合重量比67/8)に溶解し、重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に製膜した。製膜後の塗布膜は、僅かにネガティブCプレートの特性を有していた。次いで、塗膜を乾燥後、実施例1と同様にして、塗膜を135℃まで加熱後、冷却して試料を作製した。作製した試料は、ネガティブCプレートの特性が増強されており、Re≒0nm、Rth=105.8nmの特性を有していた。この値は、実施例1より複屈折が増強されていることが確認された。基材上のフィルムの膜厚は2.3μmであった。
[実施例3]
重合体2をTHF/ジエチルカルボネート混合液(配合重量比67/8)に溶解し重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。乾燥後の塗布膜は、僅かにネガティブCプレートの特性を有していた。次いで実施例1と同様の手段を用い塗膜を加熱し、加熱温度が135℃に到達した後、冷却して試料を作製した。作製した試料は、ネガティブCプレートの特性が増強されており、Re≒0nm、Rth=127.1nmの特性を有していた。基材上のフィルムの膜厚は2.3μmであった。この膜に高圧水銀灯からの紫外光を、法線方向から300mJ/cm2照射した。照射前後で耐溶媒性の変化を確認したところ、照射後では耐溶剤性が向上していることが確認された。
[実施例4]
重合体1をTHF/ジエチルカルボネート混合溶液(重量配合比67/8)に溶解し重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。この膜に、法線方向から高圧水銀灯からの紫外光をグランテラープリズムを用いて偏光変換して照射した(照射量:25mJ/cm)。照射後、実施例1と同様の手段を用い塗膜を加熱し、温度が135℃に到達した後、冷却して試料を作製した。作製した試料は、Nz係数=1.6とNz係数が1以上であり、面内位相差値は60nmであった。基材上のフィルムの膜厚は2.3μmであった。
[実施例5]
重合体1をTHF/プロピルカルボネート混合溶液(配合重量比67/8)に溶解し、重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。この膜に、法線方向から高圧水銀灯からの紫外光をグランテラープリズムを用いて偏光変換して照射した(照射量:30mJ/cm)。照射後、実施例1と同様の手段を用い、塗膜を加熱して温度が135℃に到達した時点で冷却し、試料を作製した。作製した試料は、Nz係数=1.7とNz係数が1以上であり、面内位相差値は50nmであった。基材上のフィルムの膜厚は2.3μmであった。
[実施例6]
重合体2をTHF/ジエチルカルボネート混合溶液(配合重量比67/8)に溶解し重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。この膜に、法線方向から高圧水銀灯からの紫外光をグランテラープリズムを用いて偏光変換して照射した(照射量:35mJ/cm)。照射後、実施例1と同様の手段を用い、塗膜を加熱して120℃に到達した時点で冷却して試料を作製した。作製した試料は、Nz係数=1.46とNz係数が1以上であり、面内位相差値は80nmであった。基材上のフィルムの膜厚は2.5μmであった。
[実施例7]
重合体1をTHF/DMSO混合溶液(配合重量比70/5)に溶解し重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した(照射量:50mJ/cm)。この膜に、法線方向から高圧水銀灯からの紫外光をグランテラープリズムを用いて偏光変換して照射した(照射量:50mJ/cm)。照射後、実施例1と同様の手段を用い、塗膜を加熱し、温度が135℃に到達した時点で冷却して試料を作製した。作製した試料は、Nz係数1以上の特性を有していた。基材上のフィルムの膜厚は3μmであった。
[実施例8]
重合体1をTHF/DMF混合溶液(配合重量比70/5)に溶解し、重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。この膜に、法線方向から高圧水銀灯からの紫外光をグランテラープリズムを用いて偏光変換して照射した(照射量:50mJ/cm)。照射後、実施例1と同様の手段を用い、塗膜を加熱し、加熱温度が135℃に達した時点で冷却して試料を作製した。作製した試料は、Nz係数1以上の特性を有していた。基材上のフィルムの膜厚は3μmであった。
[実施例9]
重合体1をTHF/プロピルカルボネート混合溶液(配合重量比67/8)に溶解し、重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。この膜に、高圧水銀灯からの紫外光をグランテラープリズムを用いて偏光変換して、塗布面に対して45°の入射角度で照射した(照射量:50mJ/cm)。照射後、実施例1と同様の手段を用い、塗膜を加熱して加熱温度が135℃に到達した時点で、冷却して試料を作製した。作製した試料の光学特性は、2軸性屈折率楕円体(nx=1.615、ny=1.579、nz=1.547)が傾斜(進相軸傾斜、傾斜角17°)した特性を有しており、面内位相差値は116.7nmであった。基材上のフィルムの膜厚は3μmであった。
[実施例10]
重合体1をTHF/プロピルカルボネート混合溶液(配合重量比67/8)に溶解し、重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。この膜に、高圧水銀灯からの紫外光を偏光変換せず非偏光のまま、塗布面に対して45°の入射角度で照射した(照射量:50mJ/cm)。照射後、実施例1と同様の手段を用い、塗膜を加熱して、加熱温度が135℃に到達した時点で冷却し、試料を作製した。作製した試料の光学特性は、2軸性屈折率楕円体(nx=1.545、ny=1.570、nz=1.626)が傾斜(進相軸傾斜、傾斜角62°)した特性を有しており、面内位相差値は109.5nmであった。基材上のフィルムの膜厚は3μmであった。
[実施例11]
重合体1をTHF/プロピルカルボネート混合溶液(配合重量比67/8)に溶解し、重合体濃度25重量%の溶液を作製した。この溶液を用い、スピンコーターで基材上に塗膜を製膜した。この膜に、高圧水銀灯からの紫外光をグランテラープリズムを用いて偏光変換して、塗布面に対して法線方向から入射するとともに、高圧水銀灯からの紫外光を偏光変換せず非偏光のまま、塗布面に対して60°の入射角度で照射した。非偏光と偏光の強度比は1:1とし、照射量は50mJ/cmとした。照射後、実施例1と同様の手段を用い、塗膜を加熱して、加熱温度が135℃に到達した時点で冷却し、試料を作製した。作製した試料の光学特性は、2軸性屈折率楕円体(nx=1.551、ny=1.541、nz=1.588)が傾斜(進相軸傾斜、傾斜角22.8°)した特性を有しており、面内位相差値は6.5nmであった。基材上のフィルムの膜厚は3μmであった。
本発明によれば、ネガティブCプレートの光学特性、2軸性の光学特性、不表面に対し傾斜した2軸性屈折率楕円体で示される光学特性など、所望の光学特性を有する薄型の光学素子を、簡便な方法で提供することができる。このような光学素子は、液晶表示装置の偏光解消フィルムなどの用途で用いることができる。
以上の通り、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲に含まれる。
L:偏光紫外線
1a:感光性の高い配置の側鎖
1b:感光性の乏しい配置の側鎖
1c:面外方向の配置の側鎖
2a:偏光露光後の感光性の高い配置の側鎖
2b:偏光露光後の感光性の乏しい配置の側鎖
2c:偏光露光後の、露光前面外方向に配置していた側鎖

Claims (4)

  1. 化学式(1)で示される構成単位を含む液晶性高分子材料を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜中での前記液晶性高分子材料を配向させる配向制御工程とを含み、
    前記液晶性高分子材料非プロトン性の極性溶媒を含む溶媒を用いて塗布され、前記非プロトン性極性溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルカルボネート、プロピルカルボネート、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択される少なくとも一種であり、
    前記配向制御工程が、前記塗膜を加熱する熱処理工程を含む(但し、前記熱処理工程時またはその前に偏光の照射を行う場合を除く)ことを特徴とする、ネガティブCプレートの光学特性を有する位相差フィルムの製造方法。
    Figure 0006434692
    (式中、tは0〜3の整数を表し、Rは水素、アルキル基、アルキルオキシ基、及びハロゲンから選択される一種または二種以上を示す。)
  2. 請求項1に記載の位相差フィルムの製造方法であって、前記構成単位が化学式(2)で示されることを特徴とする、位相差フィルムの製造方法
    Figure 0006434692
  3. 請求項1または2に記載の位相差フィルムの製造方法であって、前記液晶性高分子材料は、光架橋性が付与されたものであることを特徴とする、位相差フィルムの製造方法
  4. 請求項1からのいずれか一項に記載の位相差フィルムの製造方法であって、配向制御工程後、さらに、塗膜に非偏照射を行う光照射工程を含むことを特徴とする、位相差フィルムの製造方法
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