以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図4に、本発明の第1の実施形態にかかる光波長可変フィルタの構成を示す。図4に示した光波長可変フィルタは、入力導波路101に、複数のレーストラック形状の環状のマイクロリング導波路102−1、102−2、…102−24が光学的に接続され、各々のマイクロリング導波路に、出力導波路103−1、103−2、…103−24がそれぞれ光学的に接続されている。各々のマイクロリング導波路102上には、ヒータ104a、104bが形成されている。入力導波路101の一方の端部(図の左側)より光を入力したとき、入力導波路101の他方の端部(図の右側)から出力する経路をスルー、出力導波路103−1、103−2、…103−24の一方の端部(図の左側)より出力する経路をドロップと称する。
シリコンで構成された各導波路101、102、103の幅は0.5μm、厚さは0.22μm、シリコン導波路の周囲は石英のクラッドで囲われている。入力導波路101とマイクロリング導波路102との間の結合部のギャップは0.2μm、長さは4μmで結合率κ1=0.06、マイクロリング導波路102と出力導波路103との間の結合部のギャップは0.2μm、長さは4μmで結合率κ2=0.06である。また、レーストラック形状の環状のマイクロリング導波路102の曲線部分の曲げ半径は、マイクロリング導波路102-1においてR=14.738μm、マイクロリング導波路102-24においてR=14.769μmであり、Rが0.001μmずつ増加するように設計されている。
図5に、第1の実施形態の光波長可変フィルタの構成要素であるマイクロリング共振器の共振波長を示す。非特許文献3に記載された手法により計算した結果を示している。それぞれのマイクロリング共振器は、共振波長を複数有するが、これは互いに異なる次数の共振波長である。図5においては、波長1545nm付近の異なる次数の5つの共振ピーク(*のプロットから◆のプロットまで)を示している。また隣接する次数の共振波長どうしの間隔が自由スペクトル領域(Free Spectral Range:FSR)と定義され、本実施形態においては、約800GHz(約6.4nm)である。同じ次数では、各マイクロリング共振器の共振波長間隔は、約16.7GHz(約0.13nm)である。
図6に、第1の実施形態の光波長可変フィルタの構成要素であるマイクロリング共振器の透過スペクトルを示す。マイクロリング導波路102-12により構成されるマイクロリング共振器を単独の共振回路とみなした場合の、スルーの透過スペクトルである。図5と同様に、非特許文献3に記載された手法により計算した結果を示している。スルーのスペクトル特性は、共振波長近辺の波長だけが阻止され、他の波長は透過する特性になっている。本実施形態のマイクロリング共振器の阻止域の3dB帯域幅は、約25GHzである。また、共振波長近辺以外の波長は共振に寄与しないため、波長分散はほぼゼロである。
図7に、第1の実施形態の光波長可変フィルタの透過スペクトルを示す。図7(a)は、波長1530nmから1560nmの範囲のスペクトル、図7(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。非特許文献3の手法により、24個のマイクロリング共振器のそれぞれのスルーの特性を計算し、これらを重ね合せた結果である。このとき、各マイクロリング導波路に形成されたヒータ104は、全て駆動していない(電力を印加していない)状態である。
入力導波路101の一方の端部(図の左側)から入力した光は、各マイクロリング共振器において、共振波長付近の光が出力導波路103へ分岐される。図5に示したように、各マイクロリング共振器の共振波長は、少しずつ異なるように設計されているので、入力導波路101の他方の端部(図の右側)から出力した結果は、図7(a)に示すように、ある波長範囲で光が阻止されるスペクトルとなる。本実施形態では、各マイクロリング共振器の共振波長間隔が約16.7GHzで24個並んでいるので、約400GHzの阻止域が実現され、その阻止域がマイクロリング共振器のFSR(約800GHz)の周期で現れる。
各マイクロリング共振器の共振波長は、隣接するマイクロリング共振器との間隔が共振波長付近における阻止域の3dB帯域幅より狭くしておけば、光波長可変フィルタは、FSRの周期で現れる1つの阻止域の全ての波長範囲が阻止域となる。本実施形態ではこれら複数の阻止域の何れかを、光波長可変フィルタの動作波長範囲とすることができる。
図8に、第1の実施形態の光波長可変フィルタの動作状態を示す。非特許文献3の手法により計算した結果であり、マイクロリング導波路102-5からマイクロリング導波路102-10のヒータ104を駆動し、それぞれの共振波長を1nmシフトさせている。本実施形態の光波長可変フィルタの動作は、1つまたは複数の特定のマイクロリング共振器におけるヒータに電力を印加し、マイクロリング導波路(の一部)を加熱することによって行う。導波路の加熱により、導波路の屈折率を増加させ、マイクロリング共振器の共振波長を、長波方向にシフトさせる。
図8(a)は、各マイクロリング共振器の共振波長を示している。図8(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。図7(b)と比較すると、ヒータを駆動していない時に、マイクロリング導波路102-5からマイクロリング導波路102-10の6個のマイクロリング共振器の共振波長だった波長域には、共振波長が全く存在せず、透過域が形成されていることがわかる。この透過域の3dB帯域幅は、およそ0.5nm(63GHz)である。
この例からわかるように、本実施形態の光波長可変フィルタは、透過域とさせたい光波長に共振波長を有するマイクロリング共振器のヒータを選択的に駆動し、共振波長をシフトさせることにより動作する。波長の可変性は、ヒータを駆動する共振器を変えることにより可能であり、さらに選択する共振器の数を変えることにより、透過帯域幅も自由に変えることができる。
図9に、第1の実施形態の光波長可変フィルタの動作状態の他の例を示す。図8と同様に計算した結果であり、選択するマイクロリング共振器の数を変えることにより、透過帯域幅を変える例を示す。ここでは、マイクロリング導波路102-8からマイクロリング導波路102-10の3個のヒータ104を駆動し、それぞれの共振波長を1nmシフトさせている。
図9(a)は、各マイクロリング共振器の共振波長を示している。図9(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。ヒータを駆動していない時に、3個のマイクロリング共振器の共振波長だった波長域に、透過域が形成されている。この透過域の3dB帯域幅はおよそ0.2nm(25GHz)である。図8(b)の結果と比較すると、選択するマイクロリング共振器の数を半分にすることにより、ほぼ同じ波長域で、フィルタの透過帯域幅を狭めることができる。
図10に、第1の実施形態の光波長可変フィルタの動作状態の他の例を示す。図8と同様に計算した結果であり、選択するマイクロリング共振器を変えるが、選択する数は変えないことにより、透過波長域を変える例を示す。ここでは、マイクロリング導波路102-14からマイクロリング導波路102-19の6個のヒータ104を駆動し、それぞれの共振波長を1nmシフトさせている。
図10(a)は、各マイクロリング共振器の共振波長を示している。図10(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。ヒータを駆動していない時に、6個のマイクロリング共振器の共振波長だった波長域に、透過域が形成されている。この透過域の3dB帯域幅はおよそ0.5nm(63GHz)である。図8(b)の結果と比較すると、選択するマイクロリング共振器を変えるが、選択する数を同じにすることにより、フィルタの透過帯域幅をほぼ同じに保ちながら、透過波長を変えることができる。
本実施形態の光波長可変フィルタの動作では、選択するマイクロリング共振器を変えることにより、自由に透過帯域幅を変えられる点が特徴である。特定のマイクロリング共振器の共振波長をシフトさせる際には、精密に波長を制御する必要がなく、ある波長以上のシフト量を与えればよい。これにより波長可変制御が簡単になり、また低コストの駆動回路系を使えるという利点もある。さらに、光波長可変フィルタの出力は、スルーを透過することに実現されるので、透過波長域における位相特性が大きく歪むことはなく、波長分散も低く抑制される利点を有する。
第1の実施形態により、透過波長と同時に透過帯域幅についても可変であり、波長の制御が簡便であり、また透過波長における波長分散の小さい、光波長可変フィルタを実現することができる。本実施形態においては、図6に示したように、各マイクロリング共振器の阻止域における3dB帯域幅は約25GHzである。これに対して、マイクロリング共振器の共振波長を配列する間隔を約16.7GHzとした。本来、この間隔は、阻止域の3dB帯域幅程度であれば、ヒータを駆動しない時に動作波長域全域で十分な阻止域が得られる。しかしながら、各マイクロリング共振器の共振波長は、通常、製造時の加工誤差等によって設計から誤差を有する。そこで、ある程度の誤差が生じても、動作波長域全域で十分な阻止特性が得られるように、1.5倍のマイクロリング共振器数を1/1.5の波長間隔で配列する。このような冗長構成により、製造誤差の影響を受けにくく、製造時の回路の歩留りを向上することができる。
[第2の実施形態]
図11に、本発明の第2の実施形態にかかる光波長可変フィルタの構成を示す。図11に示した光波長可変フィルタは、入力導波路201に、複数のレーストラック形状の環状のマイクロリング導波路202−1、202−2、…202−32が光学的に接続され、各々のマイクロリング導波路に、出力導波路203−1、203−2、…203−32がそれぞれ光学的に接続されている。各々のマイクロリング導波路202上には、ヒータ204a、204bが形成されている。入力導波路201の一方の端部(図の左側)より光を入力したとき、入力導波路201の他方の端部(図の右側)から出力する経路をスルー、出力導波路203−1、203−2、…203−32の一方の端部(図の左側)より出力する経路をドロップと称する。
第2の実施形態の回路構成は、第1の実施形態と同じであるが、各マイクロリング共振器の設計は下記のように異なっている。シリコンで構成された各導波路201、202、203の幅は0.5μm、厚さは0.22μm、シリコン導波路の周囲は石英のクラッドで囲われている。入力導波路201とマイクロリング導波路202との間の結合部のギャップは0.2μm、長さは5μmで結合率κ1=0.08、マイクロリング導波路202と出力導波路203との間の結合部のギャップは0.2μm、長さは4μmで結合率κ2=0.08である。また、レーストラック形状の環状のマイクロリング導波路202の曲線部分の曲げ半径は、マイクロリング導波路202-1においてR=20.189μm、マイクロリング導波路102-32においてR=20.252μmであり、Rが0.002μmずつ増加するように設計されている。
図12に、第2の実施形態の光波長可変フィルタの構成要素であるマイクロリング共振器の共振波長を示す。非特許文献3に記載された手法により計算した結果を示している。それぞれのマイクロリング共振器は、共振波長を複数有するが、これは互いに異なる次数の共振波長である。図12においては、波長1545nm付近の異なる次数の7つの共振ピーク(+のプロットから◆のプロットまで)を示している。また隣接する次数の共振波長どうしの間隔がFSRであるが、本実施形態においては、約600GHz(約4.8nm)である。同じ次数では、各マイクロリング共振器の共振波長間隔は、約19.4GHz(約0.15nm)である。
図13に、第2の実施形態の光波長可変フィルタの構成要素であるマイクロリング共振器の透過スペクトルを示す。マイクロリング導波路102-16により構成されるマイクロリング共振器を単独の共振回路とみなした場合の、スルーの透過スペクトルである。図12と同様に、非特許文献3に記載された手法により計算した結果を示している。スルーのスペクトル特性は、共振波長近辺の波長だけが阻止され、他の波長は透過する特性になっている。本実施形態のマイクロリング共振器の阻止域の3dB帯域幅は、約25GHzである。また、共振波長近辺以外の波長は共振に寄与しないため、波長分散はほぼゼロである。
図14に、第2の実施形態の光波長可変フィルタの透過スペクトルを示す。図14(a)は、波長1530nmから1560nmの範囲のスペクトル、図14(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。非特許文献3の手法により、32個のマイクロリング共振器のそれぞれのスルーの特性を計算し、これらを重ね合せた結果である。このとき、各マイクロリング導波路に形成されたヒータ204は、全て駆動していない(電力を印加していない)状態である。
入力導波路201の一方の端部(図の左側)から入力した光は、各マイクロリング共振器において、共振波長付近の光が出力導波路203へ分岐される。図12に示したように、各マイクロリング共振器の共振波長は、少しずつ異なるように設計されているので、入力導波路201の他方の端部(図の右側)から出力した結果は、図14(a)に示すように、ある波長範囲で光が阻止されるスペクトルとなる。本実施形態では、各マイクロリング共振器の共振波長間隔が約19.4GHzで32個並んでいるので、約600GHzの阻止域が実現され、その阻止域がマイクロリング共振器のFSR(約600GHz)の周期で現れるので、全ての波長範囲で阻止域になっている。
すなわち、マイクロリング共振器の数と各マイクロリング共振器の共振波長間隔との積が、マイクロリング共振器のFSRと等しいか、または大きいことが望ましい。本実施形態ではこれら複数の阻止域の何れかを、光波長可変フィルタの動作波長範囲とすることができるので、第1の実施形態と比較して、動作波長域の設定の自由度が高い。
図15に、第2の実施形態の光波長可変フィルタの動作状態を示す。非特許文献3の手法により計算した結果であり、マイクロリング導波路202-5からマイクロリング導波路202-12のヒータ204を駆動し、それぞれの共振波長を2nmシフトさせている。本実施形態の光波長可変フィルタの動作は、1つまたは複数の特定のマイクロリング共振器におけるヒータに電力を印加し、マイクロリング導波路(の一部)を加熱することによって行う。導波路の加熱により、導波路の屈折率を増加させ、マイクロリング共振器の共振波長を、長波方向にシフトさせる。
図15(a)は、各マイクロリング共振器の共振波長を示している。図15(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。図14(b)と比較すると、ヒータを駆動していない時に、マイクロリング導波路202-5からマイクロリング導波路202-12の8個のマイクロリング共振器の共振波長だった波長域には、共振波長が全く存在せず、透過域が形成されていることがわかる。この透過域の3dB帯域幅は、およそ0.9nm(113GHz)である。
第1の実施形態と同様に、本実施形態の光波長可変フィルタは、透過域とさせたい光波長に共振波長を有するマイクロリング共振器のヒータを選択的に駆動し、共振波長をシフトさせることにより動作する。波長の可変性は、ヒータを駆動する共振器を変えることにより可能であり、さらに選択する共振器の数を変えることにより、透過帯域幅も自由に変えることができる。
図16に、第2の実施形態の光波長可変フィルタの動作状態を他の例を示す。図15と同様に計算した結果であり、選択するマイクロリング共振器の数を変えることにより、透過帯域幅を変える例を示す。ここでは、マイクロリング導波路202-7からマイクロリング導波路202-10の4個のヒータ204を駆動し、それぞれの共振波長を2nmシフトさせている。
図16(a)は、各マイクロリング共振器の共振波長を示している。図16(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。ヒータを駆動していない時に、4個のマイクロリング共振器の共振波長だった波長域に、透過域が形成されている。この透過域の3dB帯域幅はおよそ0.4nm(50GHz)である。図15(b)の結果と比較すると、選択するマイクロリング共振器の数を半分にすることにより、ほぼ同じ波長域で、フィルタの透過帯域幅を狭めることができる。
図17に、第2の実施形態の光波長可変フィルタの動作状態の他の例を示す。図15と同様に計算した結果であり、選択するマイクロリング共振器を変えるが、選択する数は変えないことにより、透過波長域を変える例を示す。ここでは、マイクロリング導波路202-18からマイクロリング導波路202-25の8個のヒータ204を駆動し、それぞれの共振波長を2nmシフトさせている。
図17(a)は、各マイクロリング共振器の共振波長を示している。図17(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。ヒータを駆動していない時に、8個のマイクロリング共振器の共振波長だった波長域に、透過域が形成されている。この透過域の3dB帯域幅はおよそ0.9nm(113GHz)である。図15(b)の結果と比較すると、選択するマイクロリング共振器を変えるが、選択する数を同じにすることにより、フィルタの透過帯域幅をほぼ同じに保ちながら、透過波長を変えることができる。
第1の実施形態と同様に、本実施形態の光波長可変フィルタの動作では、選択するマイクロリング共振器を変えることにより、自由に透過帯域幅を変えられる点が特徴である。特定のマイクロリング共振器の共振波長をシフトさせる際には、精密に波長を制御する必要がなく、ある波長以上のシフト量を与えればよい。これにより波長可変制御が簡単になり、また低コストの駆動回路系を使えるという利点もある。さらに、光波長可変フィルタの出力は、スルーを透過することに実現されるので、透過波長域における位相特性が大きく歪むことはなく、波長分散も低く抑制される利点を有する。
第2の実施形態により、透過波長と同時に透過帯域幅についても可変であり、波長の制御が簡便であり、また透過波長における波長分散の小さい、光波長可変フィルタを実現することができる。本実施形態においては、図13に示したように、各マイクロリング共振器の阻止域における3dB帯域幅は約25GHzである。これに対して、マイクロリング共振器の共振波長を配列する間隔を約19.3GHzとした。本来、この間隔は、阻止域の3dB帯域幅程度であれば、ヒータを駆動しない時に動作波長域全域で十分な阻止域が得られる。しかしながら、各マイクロリング共振器の共振波長は、通常、製造時の加工誤差等によって設計から誤差を有する。そこで、ある程度の誤差が生じても、動作波長域全域で十分な阻止特性が得られるように、4/3倍のマイクロリング共振器数を3/4の波長間隔で配列する。このような冗長構成により、製造誤差の影響を受けにくく、製造時の回路の歩留りを向上することができる。
[第3の実施形態]
図18に、本発明の第3の実施形態にかかる光波長可変フィルタの構成を示す。図18に示した光波長可変フィルタは、入力導波路301に、複数のレーストラック形状の環状の第1のマイクロリング導波路302−1、302−2、…302−24が光学的に接続され、各々の第1のマイクロリング導波路に、レーストラック形状の環状の第2のマイクロリング導波路303−1、303−2、…303−24が光学的に接続され、各々の第2のマイクロリング導波路に、出力導波路304−1、304−2、…304−24がそれぞれ光学的に接続されている。各々の第1のマイクロリング導波路302上には、ヒータ305a、305bが形成され、各々の第26のマイクロリング導波路303上には、ヒータ306a、306bが形成されている。入力導波路301の一方の端部(図の左側)より光を入力したとき、入力導波路301の他方の端部(図の右側)から出力する経路をスルー、出力導波路304−1、303−2、…303−24の一方の端部(図の左側)より出力する経路をドロップと称する。
第3の実施形態の回路構成において、第1および第2の実施形態との相違点は、各マイクロリング共振器に2つマイクロリング導波路が縦続接続されていることにある。
各マイクロリング共振器の設計は下記のように異なっている。シリコンで構成された各導波路301、302、303、304の幅は0.5μm、厚さは0.22μm、シリコン導波路の周囲は石英のクラッドで囲われている。入力導波路301と第1のマイクロリング導波路302との間の結合部のギャップは0.2μm、長さは10μmで結合率κ1=0.2、第1のマイクロリング導波路302と第2のマイクロリング導波路303との間の結合部のギャップは0.35μm、長さは10μmで結合率κ1=0.02、第2のマイクロリング導波路303と出力導波路304との間の結合部のギャップは0.2μm、長さは10μmで結合率κ2=0.2である。また、レーストラック形状の環状の第1および第2のマイクロリング導波路302、303の曲線部分の曲げ半径は、マイクロリング導波路302-1、303-1においてR=20.189μm、マイクロリング導波路302-24、303-24においてR=20.252μmであり、Rが0.0027μmずつ増加するように設計されている。
第1および第2の実施形態では、単一のマイクロリング導波路によるマイクロリング共振器を用いた。第3の実施形態では2つのマイクロリング導波路による2重マイクロリング共振器を用いた。この構成は、光波長可変フィルタの透過域の損失を低減する効果があるからである。第1および第2の実施形態における光波長可変フィルタの透過スペクトルをみると分かるように、透過ピークにおいても過剰損失が発生している。図6、図13に示した各マイクロリング共振器のスルーの透過特性において、共振波長から少し離れた波長においても僅かな損失(共振ピークの裾の波形に相当)が生じている。このため、複数のマイクロリング共振器の損失の影響が積み重なって、透過ピークにおいても損失が発生している。これは、共振ピークの矩形度(傾きの鋭さ)に依存しており、本実施形態のように2重マイクロリング共振器を用いることによって、共振ピークの矩形度が高くなり(傾きが鋭くなり矩形に近づく)、光波長可変フィルタの透過域の過剰損失の低減を図ることができる。
図19に、第3の実施形態の光波長可変フィルタの構成要素であるマイクロリング共振器の共振波長を示す。非特許文献3に記載された手法により計算した結果を示している。それぞれのマイクロリング共振器は、共振波長を複数有するが、これは互いに異なる次数の共振波長である。図19においては、波長1545nm付近の異なる次数の7つの共振ピーク(+のプロットから◆のプロットまで)を示している。また隣接する次数の共振波長どうしの間隔がFSRであるが、本実施形態においては、約600GHz(約4.8nm)である。同じ次数では、各マイクロリング共振器の共振波長間隔は、約25GHz(約0.2nm)である。
図20に、第3の実施形態の光波長可変フィルタの構成要素であるマイクロリング共振器の透過スペクトルを示す。マイクロリング導波路302-12、303-12により構成されるマイクロリング共振器を単独の共振回路とみなした場合の、スルーの透過スペクトルである。図19と同様に、非特許文献3に記載された手法により計算した結果を示している。スルーのスペクトル特性は、共振波長近辺の波長だけが阻止され、他の波長は透過する特性になっている。本実施形態では2重マイクロリング共振器を用いることにより、第1および第2の実施形態と比較して、共振ピークの矩形度が高く、ピークの裾における損失が小さい。本実施形態のマイクロリング共振器の阻止域の3dB帯域幅は、約40GHzである。また、共振波長近辺以外の波長は共振に寄与しないため、波長分散はほぼゼロである。
図21に、第3の実施形態の光波長可変フィルタの透過スペクトルを示す。図21(a)は、波長1530nmから1560nmの範囲のスペクトル、図21(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。非特許文献3の手法により、24個のマイクロリング共振器のそれぞれのスルーの特性を計算し、これらを重ね合せた結果である。このとき、各マイクロリング導波路に形成されたヒータ305、306は、全て駆動していない(電力を印加していない)状態である。
入力導波路301の一方の端部(図の左側)から入力した光は、各マイクロリング共振器において、共振波長付近の光が出力導波路304へ分岐される。図19に示したように、各マイクロリング共振器の共振波長は、少しずつ異なるように設計されているので、入力導波路301の他方の端部(図の右側)から出力した結果は、図21(a)に示すように、ある波長範囲で光が阻止されるスペクトルとなる。本実施形態では、各マイクロリング共振器の共振波長間隔が約25GHzで24個並んでいるので、約600GHzの阻止域が実現され、その阻止域がマイクロリング共振器のFSR(約600GHz)の周期で現れる。本実施形態ではこれら複数の阻止域の何れかを、光波長可変フィルタの動作波長範囲とすることができる。
図22に、第3の実施形態の光波長可変フィルタの動作状態を示す。非特許文献3の手法により計算した結果であり、マイクロリング導波路302-5、303-5からマイクロリング導波路302-10、303-10のヒータ305、306を駆動し、それぞれの共振波長を2nmシフトさせている。本実施形態の光波長可変フィルタの動作は、1つまたは複数の特定のマイクロリング共振器におけるヒータに電力を印加し、マイクロリング導波路(の一部)を加熱することによって行う。導波路の加熱により、導波路の屈折率を増加させ、マイクロリング共振器の共振波長を、長波方向にシフトさせる。
図22(a)は、各マイクロリング共振器の共振波長を示している。図22(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。図21(b)と比較すると、ヒータを駆動していない時に、マイクロリング導波路302-5、303-5からマイクロリング導波路302-10、303-10の6個のマイクロリング共振器の共振波長だった波長域には、共振波長が全く存在せず、透過域が形成されていることがわかる。第1および第2の実施形態と比較して、透過帯域がフラットな波形が実現されており、透過ピークの過剰損失も小さいことがわかる。この透過域の3dB帯域幅は、およそ1.1nm(135GHz)である。
第1および第2の実施形態と同様に、本実施形態の光波長可変フィルタは、透過域とさせたい光波長に共振波長を有するマイクロリング共振器のヒータを選択的に駆動し、共振波長をシフトさせることにより動作する。波長の可変性は、ヒータを駆動する共振器を変えることにより可能であり、さらに選択する共振器の数を変えることにより、透過帯域幅も自由に変えることができる。
図23に、第3の実施形態の光波長可変フィルタの動作状態の他の例を示す。図22と同様に計算した結果であり、選択するマイクロリング共振器の数を変えることにより、透過帯域幅を変える例を示す。ここでは、マイクロリング導波路302-7、303-7からマイクロリング導波路302-9、303-9の3個のヒータ305、306を駆動し、それぞれの共振波長を2nmシフトさせている。
図23(a)は、各マイクロリング共振器の共振波長を示している。図23(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。ヒータを駆動していない時に、4個のマイクロリング共振器の共振波長だった波長域に、透過域が形成されている。第1および第2の実施形態と比較して、透過帯域がフラットな波形が実現されており、透過ピークの過剰損失も小さいことがわかる。この透過域の3dB帯域幅はおよそ0.5nm(63GHz)である。図22(b)の結果と比較すると、選択するマイクロリング共振器の数を半分にすることにより、ほぼ同じ波長域で、フィルタの透過帯域幅を狭めることができる。
図24に、第3の実施形態の光波長可変フィルタの動作状態の他の例を示す。図22と同様に計算した結果であり、選択するマイクロリング共振器を変えるが、選択する数は変えないことにより、透過波長域を変える例を示す。ここでは、マイクロリング導波路302-17、303-17からマイクロリング導波路302-22、303-22の6個のヒータ305、306を駆動し、それぞれの共振波長を2nmシフトさせている。
図24(a)は、各マイクロリング共振器の共振波長を示している。図24(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。ヒータを駆動していない時に、6個のマイクロリング共振器の共振波長だった波長域に、透過域が形成されている。この透過域の3dB帯域幅はおよそ1.1nm(135GHz)である。図22(b)の結果と比較すると、選択するマイクロリング共振器を変えるが、選択する数を同じにすることにより、フィルタの透過帯域幅をほぼ同じに保ちながら、透過波長を変えることができる。
第1および第2の実施形態と同様に、本実施形態の光波長可変フィルタの動作では、選択するマイクロリング共振器を変えることにより、自由に透過帯域幅を変えられる点が特徴である。特定のマイクロリング共振器の共振波長をシフトさせる際には、精密に波長を制御する必要がなく、ある波長以上のシフト量を与えればよい。これにより波長可変制御が簡単になり、また低コストの駆動回路系を使えるという利点もある。さらに、光波長可変フィルタの出力は、スルーを透過することに実現されるので、透過波長域における位相特性が大きく歪むことはなく、波長分散も低く抑制される利点を有する。
さらに、第3の実施形態では、各マイクロリング共振器に2重のマイクロリング導波路構造を採用することにより、透過帯域の波形がフラットで、透過ピークの過剰損失の小さい、光波長可変フィルタを実現することができる。
第3の実施形態により、透過波長と同時に透過帯域幅についても可変であり、波長の制御が簡便であり、また透過波長における波長分散の小さい、光波長可変フィルタを実現することができる。本実施形態においては、図20に示したように、各マイクロリング共振器の阻止域における3dB帯域幅は約40GHzである。これに対して、マイクロリング共振器の共振波長を配列する間隔を約25GHzとした。本来、この間隔は、阻止域の3dB帯域幅程度であれば、ヒータを駆動しない時に動作波長域全域で十分な阻止域が得られる。しかしながら、各マイクロリング共振器の共振波長は、通常、製造時の加工誤差等によって設計から誤差を有する。そこで、ある程度の誤差が生じても、動作波長域全域で十分な阻止特性が得られるように、1.6倍のマイクロリング共振器数を1/1.6の波長間隔で配列する。このような冗長構成により、製造誤差の影響を受けにくく、製造時の回路の歩留りを向上することができる。
[第4の実施形態]
図25に、本発明の第4の実施形態にかかる光波長可変フィルタの構成を示す。図25に示した光波長可変フィルタは、マッハ・ツェンダ干渉回路(Mach-Zehnder Interferometer:MZI)401、402、403、404のそれぞれのクロスポートが直列に接続された前段の光波長可変フィルタと、第3の実施形態に示した光波長可変フィルタ405からなる後段の光波長可変フィルタとを含む。光波長可変フィルタ405の構成は、図18に示した構成であり、説明を省略する。第4の実施形態は、第3の実施形態の光波長可変フィルタの前段に、複数のMZIで構成された別の光波長可変フィルタを接続することにより、より広い動作波長域を実現する。
図26に、第4の実施形態のMZIで構成された光波長可変フィルタの構成を示す。MZI401、402、403、404のそれぞれは、入力導波路421、422に接続された第1の光カプラ423と、出力導波路429、430に接続された第2の光カプラ428と、第1の光カプラ423および第2の光カプラ428の間を接続する第1のアーム導波路424および第2のアーム導波路425とを備えている。第1のアーム導波路424は、第2のアーム導波路425よりも長く、第1のアーム導波路424および第2のアーム導波路425の上部には、それぞれヒータ426、427が形成されている。
シリコンで構成された各導波路421、422、424、425、429、430の幅は0.5μm、厚さは0.22μm、シリコン導波路の周囲は石英のクラッドで囲われている。各光カプラ423、428は、シリコン導波路によるマルチモード干渉回路であり、コア幅は1.8μm、コア長は11μm、厚さは0.22μmである。
第2のアーム導波路425に対する第1のアーム導波路424の経路長差は、MZI401、402、403、404のそれぞれで異なり、MZI401が25.0μm、MZI402が50.0μm、MZI403が99.9μm、MZI404が199.9μmである。FSRは、MZI401が4800GHz、MZI402が2400GHz、MZI403が1200GHz、MZI404が600GHzとなる。
図27に、第4の実施形態のMZIの透過スペクトルを示す。MZI401、402、403、404のそれぞれのクロスポート、すなわち入力導波路421より光を入力したとき、出力導波路430から出力する経路の透過スペクトルの計算結果を示す。第4の実施形態のMZIの構成は、既に開示された従来技術であり、MZIの特性の計算方法については、非特許文献4に詳しい。ここでは各MZIの透過ピークが1544.53nmになるように、各MZIに具備されたヒータ426、427を駆動する。
図28に、第4の実施形態の前段の光波長可変フィルタの透過スペクトルを示す。MZI401、402、403、404を縦続に接続した前段の光波長可変フィルタ回路の透過スペクトルを、図27と同様に計算した結果を示している。異なるFSRのMZIを通過することによって、全てのMZIで一致した透過ピーク(波長1544.53nm)にのみフィルタの透過域が現れ、他の波長域では阻止されていることがわかる。ここでフィルタの透過帯域は、最もFSRの短いMZI404の透過波形におおよそ一致しており、3dB透過帯域幅は約2.1nm(約265GHz)である。図には見られないが、MZIを直列接続した回路としての透過ピーク波長の周期は、最もFSRの長いMZI401に一致しており、4800GHz(約38.4nm)である。
図29に、第4の実施形態の後段の光波長可変フィルタの透過スペクトルの第1の例を示す。非特許文献3の手法により計算した結果であり、図18に示したマイクロリング導波路302-9、303-9からマイクロリング導波路302-15、303-15のヒータ305、306を駆動し、それぞれの共振波長を2nmシフトさせている。図29(a)は、各マイクロリング共振器の共振波長を示している。図29においては、波長1545nm付近の異なる次数の7つの共振ピーク(+のプロットから◆のプロットまで)を示している。図29(b)は、波長1530nmから1560nmの範囲のスペクトルを示した図である。ヒータを駆動していない時に、マイクロリング導波路302-9、303-9からマイクロリング導波路302-15、303-15の7個のマイクロリング共振器の共振波長だった波長域には、共振波長が全く存在せず、透過域が形成されていることがわかる。この透過域の3dB帯域幅は、およそ1.2nm(150GHz)である。
図30に、第4の実施形態の光波長可変フィルタの透過スペクトルの第1の例を示す。前段の光波長可変フィルタは非特許文献4の手法、後段の光波長可変フィルタは非特許文献3の手法によって計算している。図30(a)は、波長1530nmから1560nmの範囲のスペクトル、図30(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。
第4の実施形態では、後段の光波長可変フィルタの特性を反映した透過波形が実現されるが、前段の光波長可変フィルタと接続することにより、周期的に現れる透過帯域の中で、所望の1帯域のみを選択できる。第1の例では、波長1530nmから1560nmの範囲で、設定した波長1544.53nmの透過帯域のみが実現されている。
第1から第3の実施形態では、光波長可変フィルタの透過帯域は、各マイクロリング共振器のFSRに応じた周期性を有しているために、その動作波長域は最大でもFSR程度に制限されていた。本実施形態では、マイクロリング共振器のFSRと同等または狭い透過帯域を有する前段の光波長可変フィルタと接続することにより、所望のピークだけを透過させることができるので、動作波長域を広げることができる。本実施形態での動作波長域は、最大で前段の光波長可変フィルタの透過周期(4800GHz)程度まで拡大するとこができる。
後段の光波長可変フィルタは、第1から第3の実施形態と同様に、透過域とさせたい光波長に共振波長を有するマイクロリング共振器のヒータ選択的に駆動し、共振波長をシフトさせることにより動作する。波長の可変性は、ヒータを駆動する共振器を変えることにより可能であり、さらに選択する共振器の数を変えることにより、透過帯域幅も自由に変えることができる。また、前段の光波長可変フィルタは、各MZI401、402、403、404の透過ピークを所望の波長に調整することで、透過波長を自由に設定することができる。
図31に、第4の実施形態の後段の光波長可変フィルタの透過スペクトルの第2の例を示す。前段の光波長可変フィルタの動作は、第1の例と同じであり、その透過スペクトルは図28に同じである。非特許文献3の手法により計算した結果であり、図18に示したマイクロリング導波路302-11、303-11からマイクロリング導波路302-13、303-13のヒータ305、306を駆動し、それぞれの共振波長を2nmシフトさせている。図31(a)は、各マイクロリング共振器の共振波長を示している。図31(b)は、波長1530nmから1560nmの範囲のスペクトルを示した図である。ヒータを駆動していない時に、マイクロリング導波路302-11、303-11からマイクロリング導波路302-13、303-13の3個のマイクロリング共振器の共振波長だった波長域には、共振波長が全く存在せず、透過域が形成されていることがわかる。この透過域の3dB帯域幅は、およそ0.5nm(63GHz)である。
図32に、第4の実施形態の光波長可変フィルタの透過スペクトルの第2の例を示す。前段の光波長可変フィルタは非特許文献4の手法、後段の光波長可変フィルタは非特許文献3の手法によって計算している。図32(a)は、波長1530nmから1560nmの範囲のスペクトル、図32(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。
後段の光波長可変フィルタの特性を反映した透過波形が実現されるが、前段の光波長可変フィルタと接続することにより、周期的に現れる透過帯域の中で、所望の1帯域のみを選択できる。第2の例では、波長1530nmから1560nmの範囲で、設定した波長1544.53nmの透過帯域のみが実現されている。図30に示した第1の例と比較すると、選択するリング共振器の数を半分にすることにより、ほぼ同じ波長で、フィルタの透過帯域幅を狭めることができる。
図33に、第4の実施形態の前段の光波長可変フィルタの透過スペクトルの第3の例を示す。第3の例において、前段の光波長可変フィルタは、各MZI401、402、403、404の透過ピークが1556.56nmになるように、図26に示したヒータ426、427を駆動する。異なるFSRのMZIを通過することによって、全てのMZIで一致した透過ピーク(波長1556.56nm)にのみフィルタの透過域が現れ、他の波長域では阻止されていることがわかる。ここでフィルタの透過帯域は、最もFSRの短いMZI404の透過波形におおよそ一致しており、3dB透過帯域幅は約2.1nm(約265GHz)である。MZIを直列接続した回路としての透過ピーク波長の周期は、最もFSRの長いMZI401に一致しており、4800GHz(約38.4nm)である。
図34に、第4の実施形態の後段の光波長可変フィルタの透過スペクトルの第3の例を示す。非特許文献3の手法により計算した結果であり、図18に示したマイクロリング導波路302-1、303-1からマイクロリング導波路302-3、303-3、およびマイクロリング導波路302-21、303-21からマイクロリング導波路302-24、303-24のヒータ305、306を駆動し、それぞれの共振波長を2nmシフトさせている。図34(a)は、各マイクロリング共振器の共振波長を示している。図34(b)は、波長1530nmから1560nmの範囲のスペクトルを示した図である。ヒータを駆動していない時に、マイクロリング導波路302-1、303-1からマイクロリング導波路302-3、303-3、およびマイクロリング導波路302-21、303-21からマイクロリング導波路302-24、303-24の7個のマイクロリング共振器の共振波長だった波長域には、共振波長が全く存在せず、透過域が形成されていることがわかる。この透過域の3dB帯域幅は、およそ1.2nm(150GHz)である。
図35に、第4の実施形態の光波長可変フィルタの透過スペクトルの第3の例を示す。前段の光波長可変フィルタは非特許文献4の手法、後段の光波長可変フィルタは非特許文献3の手法によって計算している。図35(a)は、波長1530nmから1560nmの範囲のスペクトル、図35(b)は、波長1545nm付近のスペクトルを拡大した図である。
第4の実施形態では、後段の光波長可変フィルタの特性を反映した透過波形が実現されるが、前段の光波長可変フィルタと接続することにより、周期的に現れる透過帯域の中で、所望の1帯域のみを選択できる。第3の例では、波長1530nmから1560nmの範囲で、設定した波長1556.56nmの透過帯域のみが実現されている。図30に示した第1の例と比較すると、選択するリング共振器の数を保ちながら、選択するリング共振器を変えることにより、フィルタの透過帯域幅をほぼ同じに保ちながら、透過波長を変えることができることがわかる。
第1、第2および第3の実施形態と同様に、本実施形態の光波長可変フィルタの動作では、選択するマイクロリング共振器を変えることにより、自由に透過帯域幅を変えられる点が特徴である。特定のマイクロリング共振器の共振波長をシフトさせる際には、精密に波長を制御する必要がなく、ある波長以上のシフト量を与えればよい。MZIの波長調整に関しても、後段の光波長可変フィルタの複数の透過域から1つを選択する機能であり、比較的低い波長精度の調整で十分である。これにより波長可変制御が簡単になり、また低コストの駆動回路系を使えるという利点もある。さらに、光波長可変フィルタの出力は、スルーを透過することに実現されるので、透過波長域における位相特性が大きく歪むことはなく、波長分散も低く抑制される利点を有する。
さらに、第4の実施形態では、各マイクロリング共振器に2重のマイクロリング導波路構造を採用することにより、透過帯域の波形がフラットで、透過ピークの過剰損失の小さい、光波長可変フィルタを実現することができる。本実施形態では、前段にMZIを多段に接続した光波長可変フィルタを接続することにより、第1、第2および第3の実施形態の複数のマイクロリング共振器による光波長可変フィルタのみの構成よりも、動作波長域を広く設定できるという利点も有する。
第4の実施形態により、透過波長と同時に透過帯域幅についても可変であり、波長の制御が簡便であり、また透過波長における波長分散の小さい、光波長可変フィルタを実現することができる。
[まとめ]
以上4つの実施の形態から、透過波長と同時に透過帯域幅についても可変で、波長の制御が簡便であり、また透過波長における波長分散の小さい、光波長可変フィルタを実現でき、さらに優れた特性を得られる好適な構成について示した。
マイクロリング共振器のFSR、透過帯域幅、接続するマイクロリング導波路の数を特定の値に設定したが、本発明の光波長可変フィルタの構成は、その値に限らず、自由に設計をすることが可能である。ただし、第4の実施形態のように、前段の光波長可変フィルタと接続して広い動作波長域を達成するには、少なくとも(FSR/透過帯域幅)の値よりも大きいマイクロリング導波路の数を設定することが必要である。
マイクロリング共振器のマイクロリング導波路をレーストラック型としたが、本発明の光波長可変フィルタの構成は、レーストラック型に限らず、あらゆる形状のマイクロリング共振器の構成を採用することができる。
各マイクロリング共振器の出力導波路の構造に関しては特に述べていないが、好ましくは、シリコンチップ上で反射を抑えて終端されていることが望ましい。測定用のモニタ導波路としてチップの端部まで導波路を接続したり、測定用または不要な光を捨てる役割としてグレーティングカプラで終端した構成でもよい。
第3および第4の実施形態では、マイクロリング共振器の構造を2重リング構造としたが、本発明の光波長可変フィルタのリング共振器はその構造に限定されるものではなく、3重、4重などさらなる多重構造で合っても良い。
第4の実施形態では、前段の光波長可変フィルタのMZIの段数、および各MZIのFSRの組合せを特定の値に設定したが、本発明の光波長可変フィルタの構成は、特定のMZIの組合せに限定されるものでなく、後段の光波長可変フィルタの透過帯域に大きな影響を与えることなく、1つのピークを選択できるような波形が実現できれば、どのような組合せも可能である。