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JP6436735B2 - 試料調製方法、分析方法、および品質管理方法 - Google Patents
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JP6436735B2 - 試料調製方法、分析方法、および品質管理方法 - Google Patents

試料調製方法、分析方法、および品質管理方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭素試料に含まれている金属元素を分析するための分析用試料を調製する方法、炭素試料に含まれている金属元素の分析方法、および炭素試料の品質管理方法に関する。
半導体関連分野等で用いられる黒鉛は、高純度のものが望まれており、黒鉛中に含まれている金属不純物の厳密な管理が要求されている。黒鉛に含まれている金属不純物の分析方法としては、黒鉛を灰化処理することにより、黒鉛に含まれている金属不純物を分析する方法が用いられている。
例えば、特許文献1には、黒鉛を石英容器にはかり取った後、マッフル炉内で酸素を流しながら800℃で黒鉛を灰化させ、得られた灰分をふっ化水素酸で溶解させてテフロン(登録商標)製容器に回収し、硝酸を加えて試料溶液を蒸発乾固させた後で、残留物を硝酸でさらに溶解させることによって前処理した試料を、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)で分析することによって、黒鉛に含まれている金属不純物を分析する方法が開示されている。
特許文献2には、黒鉛試料に、硫酸と硝酸および/または過酸化水素からなる混酸を加え、石英製のビーカー中でマイクロウェーブを照射して黒鉛試料を分解させ、得られた溶液をフレームレス原子吸光分析法で分析することによって、黒鉛に含まれている金属不純物を分析する方法が開示されている。
非特許文献1には、黒鉛を白金皿にはかり取った後、本山製石英管状炉内で酸素を流しながら880℃で黒鉛を灰化させ、得られた灰分をふっ化水素酸と過塩素酸とを加えて発煙処理することによって溶解させ、残留物を硝酸でさらに溶解させることによって前処理した試料を、ICP−MSまたはメタル炉原子吸光法(MF−AAS)で分析することによって、黒鉛に含まれている金属不純物を分析する方法が開示されている。
また、非特許文献1には、ナトリウム、カリウム、チタン、クロム、銅および亜鉛については、ICP−MSまたはMF−AAS分析用試料の前処理方法として、黒鉛を石英皿にはかり取った後、プラズマアッシャーに入れ、酸素を流しながら400℃以下で黒鉛を灰化させ、得られた灰分に硝酸を加えてテフロン(登録商標)製密閉容器内に移し入れて加熱溶解させ、その後、試料溶液を蒸発乾固し、残留物を硝酸でさらに溶解させる方法が開示されている。
特開2007−51903号公報(2007年 3月 1日公開) 特開平5−149847号公報(1993年 6月15日公開)
鈴木 均、宮谷 俊行、吉本 修,分析化学 Vol. 42 (1993) No. 8,p. 485-489
しかしながら、特許文献1に記載の方法によれば、石英容器内の灰分をふっ化水素酸によって回収するため、石英容器の石英中に含まれているナトリウム、カリウム、鉄、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム等の金属不純物がふっ化水素酸によって溶け出して分析用試料液に混入することによって、分析用試料液のコンタミネーションが発生する。同様に、非特許文献1に記載の白金皿を用いて黒鉛を高温灰化する方法においても、白金皿の白金中に含まれている金属不純物が分析用試料液に混入することによって、分析用試料液のコンタミネーションが発生する。分析用試料を調製する際のコンタミネーションはブランク値を上昇させるため、黒鉛中に含まれる微量の金属不純物を分析することが困難となる。
一方、黒鉛等炭素試料中にはけい素が高濃度に含まれているものもあり、けい素は酸に不溶であるため、ICP−MS等の分析装置の目詰まりを生じさせる原因となる。その結果、黒鉛中に含まれる微量の金属不純物を分析することが困難となる。
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、黒鉛等炭素試料中に含まれる微量の金属不純物を分析することが可能な、試料調製方法、分析方法、および炭素試料の品質管理方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係る試料調製方法は、炭素試料に含まれている金属元素を分析するための分析用試料を調製する方法であって、無機ガラス製容器内で、上記炭素試料に酸素プラズマを接触させて、当該炭素試料を灰化する灰化工程と、上記灰化工程後の炭素試料に酸を添加して、灰分を溶解する酸溶解工程と、上記酸溶解工程後の炭素試料を耐ふっ化水素酸性容器に移し、ふっ化水素酸を添加して炭素試料を溶解するふっ化水素酸溶解工程と、を包含し、上記酸は、上記無機ガラス製容器を溶解しない酸であることを特徴としている。
本発明に係る試料調製方法では、上記無機ガラス製容器を溶解しない酸は、無機酸であり得る。
本発明に係る試料調製方法では、上記無機酸は、塩酸、硝酸、硫酸、過酸化水素水および過塩素酸からなる群より選択される1種以上であり得る。
本発明に係る試料調製方法では、上記ふっ化水素酸溶解工程後の炭素試料に酸性水溶液を添加して、当該炭素試料を溶解する工程をさらに含んでいてもよい。
本発明に係る試料調製方法では、上記分析用試料は、噴霧器を用いて分析用試料を噴霧する工程を含む分析方法によって分析されるためのものであってもよい。
本発明に係る分析方法は、炭素試料に含まれている金属元素を分析する方法であって、上述した本発明に係る試料調製方法によって取得した分析用試料中の金属元素を検出する検出工程を包含していることを特徴としている。
本発明に係る分析方法では、上記検出工程では、噴霧器を用いて上記分析用試料を噴霧する工程を含む分析方法によって、上記分析用試料中の金属元素を検出してもよい。
本発明に係る分析方法では、上記噴霧器を用いて上記分析用試料を噴霧する工程を含む分析方法は、誘導結合プラズマ原子発光分析法または誘導結合プラズマ質量分析法であり得る。
本発明に係る炭素試料の品質管理方法は、上述した本発明に係る分析方法によって検出された炭素試料中の金属元素の量が、予め設定された基準量以下であるか否かを判定する判定工程を包含することを特徴としている。
本発明に係る試料調製方法によれば、無機ガラス製容器内で低温灰化させた炭素試料を、無機ガラス製容器を溶解しない酸によって溶解するので、分析用試料に容器由来の金属不純物が混入することを防ぐことが可能である。また、酸溶解工程後の炭素試料を耐ふっ化水素酸性容器に移した後にふっ化水素酸を添加して炭素試料をさらに溶解するので、炭素試料中にけい素が高濃度に含まれている場合であっても、けい素を溶解することができ、分析装置の目詰まりの発生を防ぐことが可能である。その結果、炭素試料中に含まれる微量の金属不純物を分析することができるという効果を奏する。また、測定対象金属元素によって試料調製方法を変更する必要がないため、本発明に係る試料調製方法によれば、多元素の同時定量が可能となる。
また、本発明に係る分析方法によれば、上述した本発明に係る試料調製方法によって取得した分析用試料中の金属元素を検出する工程を包含しているので、炭素試料中に含まれる微量の金属不純物を分析することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る炭素試料の品質管理方法によれば、上述した本発明に係る分析方法によって検出された炭素試料中の金属元素の量が、予め設定された基準量以下であるか否かを判定する判定工程を包含しているので、微量の金属不純物を含む炭素試料の品質を管理することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態において用いられる噴霧器の要部を示す概略の断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変形を加えた態様で実施できるものである。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
〔1.試料調製方法〕
本発明に係る試料調製方法は、炭素試料に含まれている金属元素を分析するための分析用試料を調製する方法であって、無機ガラス製容器内で、上記炭素試料に酸素プラズマを接触させて、当該炭素試料を灰化する灰化工程と、上記灰化工程後の炭素試料に上記無機ガラス製容器を溶解しない酸を添加して、灰分を溶解する酸溶解工程と、上記酸溶解工程後の炭素試料を耐フッ化水素酸性容器に移し、フッ化水素酸を添加して炭素試料を溶解するフッ化水素酸溶解工程と、を包含している。
ここで、本明細書において、上記「炭素試料」とは、炭素を主成分とする物質を含む試料をいう。上記「炭素を主成分とする物質」とは、例えば、黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、ガラス状炭素、炭素繊維、カーボンブラック、活性炭等の炭素のみからなる物質;生体試料のような重量比で炭素が最大の物質等が挙げられる。炭素試料は、炭素を主成分とする物質を含んでいればよく、炭素を主成分とする物質とそれ以外の物質との複合体(例えば、黒鉛複合材)であってもよい。また、炭素試料は、炭素を主成分とする物質を1種類のみ含んでいてもよく、2種類以上含んでいてもよい。また、炭素試料は、天然物に由来するものであってもよく、人工物であってもよい。天然物に由来する炭素試料には、例えば、生体試料;米などの穀物等が含まれる。また、人工物に由来する炭素試料には、例えば、重量比で炭素を主成分とする樹脂等が含まれる。
本発明に係る試料調製方法によって調製された分析用試料は、噴霧器を用いて分析用試料を噴霧する工程を含む分析方法によって分析するための試料として好適に用いることができる。上記「噴霧器を用いて分析用試料を噴霧する工程を含む分析方法」としては、例えば、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)、誘導結合プラズマ原子発光分析法(ICP−AES)等を挙げることができる。これらの分析方法は、高感度元素分析方法として知られている。これの方法においては、噴霧器(以下、「ネブライザー」ともいう。)を用いて分析用試料を噴霧することによって、試料液を霧化することができ、その結果、プラズマによって分解可能な大きさの液滴を効率よく発生させることができる。
ここで、噴霧器の構成の一例を、図1を基に説明する。図1は、本発明の一実施形態において用いられる噴霧器の要部を示す概略の断面図である。噴霧器10において、試料液導入部2から導入された試料液は、噴霧ノズル4内部のキャピラリー1を通って、噴霧ガス導入部3から導入されたアルゴンガス等の噴霧ガスによって霧状にされて噴霧される。キャピラリー1の内径は、通常、0.1〜0.2mmである。このため、試料液に不溶解残渣が混入していると、噴霧器が目詰まりを起こして試料を適切に噴霧することができなくなり、試料液を分析することが困難となる。
しかし、本発明に係る試料調製方法によれば、酸溶解工程後の炭素試料を耐フッ化水素酸性容器に移した後にフッ化水素酸を添加して炭素試料をさらに溶解するので、炭素試料中にケイ素が高濃度に含まれている場合であっても、ケイ素を溶解することができるため、分析装置の目詰まりの発生を防ぐことが可能である。その結果、炭素試料中に含まれる微量の金属不純物の分析に適した試料を調製することが可能となる。
以下に、本発明に係る試料調製方法の各工程について詳細に説明する。
(1−1)灰化工程
灰化工程は、無機ガラス製容器内で、炭素試料に酸素プラズマを接触させて、当該炭素試料を灰化する工程である。灰化工程では、反応性の高いプラズマ化した酸素(酸素プラズマ)を炭素試料と接触させて炭素試料を灰化するので、炭素試料を低温で灰化することができ(低温灰化)、炭素のみを二酸化炭素として除去することができる。より具体的には、酸素プラズマを炭素試料と接触させて炭素試料を灰化することによって、炭素試料を200℃以下で灰化することができる(水野謹吾等、「高炭素物質の低温プラズマ灰化」,分析化学Vol. 23 (1974) No. 9,p. 1010-1015を参照)。これにより、炭素試料中の金属元素の強固な酸化物の形成および当該酸化物の無機ガラス製容器への固着を防ぐことができる。その結果、後段の酸溶解工程において、酸による灰分の溶解を容易に行うことができる。さらには、炭素試料を低温で灰化するので、高温で揮発しやすい元素(具体的には、ナトリウムおよびカリウム等)が灰化によって揮発する虞が無い。よって、本発明に係る試料調製方法は、炭素試料中に含まれているナトリウムおよびカリウム等の分析をするための分析用試料を調製する方法として好適に用いることができる。
酸素プラズマによる炭素試料の灰化は、公知の酸素プラズマ装置(プラズマリアクター、プラズマアッシャー等)を用いて実施することができる。灰化工程における酸素プラズマの処理条件としては、炭素試料を灰化できる条件であればよい。公知の低温灰化法に従って炭素試料の灰化を行うことができる。炭素試料の灰化が完了したことは、目視観察によって確認することができる。
ブロック状の炭素試料を用いる場合は、灰化を効率よく行う観点から、灰化工程の前に、予め、炭素試料を粉砕しておくことがより好ましい。
ここで、上記「無機ガラス製容器」は、無機ガラスからなる容器と言い換えることができる。上記「無機ガラス」とは、けい酸塩の−Si−O−結合を骨格としたガラス状態となる物質、またはけい素の単結晶を含むガラス状態となる物質をいう。換言すれば、上記「無機ガラス」とは、けい酸塩またはけい素の単結晶を主成分として含有しているガラス状態となる物質をいう。なお、上記「主成分として含有している」とは、無機ガラス中にけい酸塩またはけい素の単結晶が、70%以上含まれていればよい。このような無機ガラスとしては、特に限定されないが、例えば、石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、ほうけい酸ガラス等を挙げることができる。この中でも、特に金属不純物の少ない高純度のものを入手できること、および安価であるという点で、石英ガラスが好適に用いられる。
無機ガラス製容器は、測定対象金属元素のそれぞれの含有量が1μg/g未満程度である無機ガラスからなる容器であることが好ましい。これにより、容器由来の金属不純物が分析用試料に混入することを抑制することができる。
また、無機ガラス製容器は、炭素試料を収容する前に、後段の酸溶解工程において使用する酸(すなわち、無機ガラス製容器を溶解しない酸)を用いて洗浄されていることが好ましい。当該酸は、一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。これにより、無機ガラス製容器の内壁に付着している金属を予め取り除くことができるので、容器由来の金属不純物が分析用試料に混入することを防ぐことができる。
無機ガラス製容器の形状は、炭素試料を収容することができ且つ炭素試料に酸素プラズマを十分に接触させることができる形状であれば特に限定されない。
(1−2)酸溶解工程
酸溶解工程は、灰化工程後の炭素試料に無機ガラス製容器を溶解しない酸を添加して、灰分を溶解する工程である。これにより、分析用試料に容器由来の金属不純物を混入させることなく、灰分を溶解させることができる。
上記「無機ガラス製容器を溶解しない酸」としては、無機ガラス製容器を溶解しない酸であれば特に限定されない。このような酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、過酸化水素水、過塩素酸等の無機酸またはこれらの無機酸の二種類以上を混合した混酸を好適に用いることができる。また、酸は、酸水溶液であってもよい。
使用する酸の種類は、測定対象とする金属元素の種類に応じて適宜選択すればよい。すなわち、測定対象とする金属元素を溶解可能な酸を適宜選択すればよい。
酸溶解工程における処理条件(酸の濃度、灰分に対する酸の添加量、溶解温度、溶解時間等)は、灰分を溶解させることができれば特に限定されず、適宜設定することができる。酸による灰分の溶解が完了したことは、目視観察によって確認することができる。具体的には、例えば、目視によって残渣、沈殿等がない、遠心分離後に沈殿が生じないことで確認することができる。
(1−3)ふっ化水素酸溶解工程
ふっ化水素酸溶解工程は、酸溶解工程後の炭素試料を耐ふっ化水素酸性容器に移し、ふっ化水素酸を添加して炭素試料を溶解する工程である。これにより、炭素試料中にけい素が高濃度に含まれている場合であっても、けい素を溶解することができる。また、けい素を四ふっ化けい素(SiF)として揮発させて分析用試料から除去することも可能である。これにより、分析装置の目詰まりの発生を防ぐことができる。つまり、ふっ化水素酸による処理によって、誘導結合プラズマ原子発光分析装置、誘導結合プラズマ質量分析装置等の分析装置に導入可能な分析用試料を調製することができる。
また、ふっ化水素酸による炭素試料の溶解は、耐ふっ化水素酸性容器内で行うので、ふっ化水素酸によって容器が溶解される虞が無い。よって、分析用試料に容器由来の金属不純物を混入させることなく、炭素試料を十分に溶解させることができる。
ここで、上記「耐ふっ化水素酸性容器」とは、ふっ化水素酸によって溶解されない容器であれば特に限定されない。このような容器としては、例えば、ふっ素樹脂によって内面が被覆された容器を挙げることができる。
耐ふっ化水素酸性容器は、炭素試料を収容する前に、本発明に係る方法で使用される無機酸を用いて洗浄されていることが好ましい。当該酸は、一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。これにより、耐ふっ化水素酸性容器の内壁に付着している金属を予め取り除くことができるので、容器由来の金属不純物が分析用試料に混入することを防ぐことができる。
ふっ化水素酸溶解工程における処理条件(ふっ化水素酸の濃度、酸溶解工程後の炭素試料に対するふっ化水素酸の添加量、溶解温度、溶解時間等)は、酸溶解工程後の残渣を溶解させることができれば特に限定されず、適宜設定することができる。ふっ化水素酸による酸溶解工程後の残渣の溶解が完了したことは、目視観察によって確認することができる。具体的には、例えば、目視によって残渣、沈殿等がない、遠心分離後に沈殿が生じないことで確認することができる。
なお、非特許文献1(鈴木 均、宮谷 俊行、吉本 修,分析化学 Vol. 42 (1993) No. 8,p. 485-489)に記載の方法では、灰分を硝酸によって溶解するため、灰分を完全に溶解するためには、100℃で8時間に亘って加熱・溶解する必要がある。これに対して、本発明に係る試料調製方法では、酸溶解工程の後でふっ化水素酸溶解工程をさらに行うので、より短時間で灰分を完全に溶解することができる。
ふっ化水素酸溶解工程では、ふっ化水素酸溶解液を濃縮してもよい。分析装置の導入経路にふっ化水素酸に侵される材質のものを使用している場合、ふっ化水素酸を濃縮し、最終的な分析用試料中のふっ化水素酸の濃度を低減することで、ふっ化水素酸による分析装置のダメージを低減させることができる。
(1−4)その他の工程
本発明に係る試料調製方法では、ふっ化水素酸溶解工程後の炭素試料に酸性水溶液を添加して、当該炭素試料を溶解する酸性水溶液溶解工程をさらに含んでいてもよい。これにより、ICP−MS等の分析装置に導入するために最適な液性とすることができる。
上記「酸性水溶液」としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸、過塩素酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸と水との酸水溶液を用いることができる。中でも、硝酸と水との酸水溶液を用いることが好ましい。
ふっ化水素酸溶解工程後の酸性水溶液による処理条件(液酸性水溶液の濃度、ふっ化水素酸溶解工程後の炭素試料に対する酸性水溶液の添加量、溶解温度、溶解時間等)は、特に限定されず、適宜設定することができる。
酸性水溶液溶解工程後の分析用試料を、酸性水溶液溶解工程において用いたものと同じ酸性水溶液を用いて、所望の容量になるように定容してもよい。本発明に係る試料調製方法では、上述したように、分析用試料を調製する際に容器由来の金属不純物がコンタミネーションすることを防ぐことができるので、後述する実施例に示したとおり、従来の方法と比較して、定容量を少なくしてもブランク値を大幅に低下させることができる。すなわち、従来の方法よりも濃縮された分析用試料を調製することができる。これにより、炭素試料に含まれている金属元素を、より高感度に定量することが可能となる。
〔2.分析方法〕
本発明に係る分析方法は、炭素試料に含まれている金属元素を分析する方法であって、上述した本発明に係る試料調製方法によって取得した分析用試料中の金属元素を検出する検出工程を包含していることを特徴としている。なお、上記「金属元素を分析する」とは、金属元素を検出してその種類を特定すること、および金属元素を定量することが意図される。
検出工程においては、本発明に係る試料調製方法によって取得した分析用試料を、従来公知の分析方法により元素分析する。分析用試料を元素分析する方法としては特に限定されないが、例えば、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)、誘導結合プラズマ原子発光分析法(ICP−AES)、原子吸光分析法(AAS)等が挙げられる。元素分析法は、公知の分析装置(誘導結合プラズマ質量分析装置、誘導結合プラズマ原子発光分析装置、原子吸光分析装置等)を用いて実施することができる。
本発明に係る試料調製方法によれば、炭素試料中にけい素が高濃度に含まれている場合であっても、けい素を溶解することができるため、分析装置の目詰まりの発生を防ぐことができる。よって、本発明に係る分析方法では、検出工程において、噴霧器を用いて分析用試料を噴霧する工程を含む分析方法によって、分析用試料中の金属元素を検出することができる。上記「噴霧器を用いて分析用試料を噴霧する工程を含む分析方法」としては、上記「1.試料調製方法」の項で説明したとおり、例えば、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)、誘導結合プラズマ原子発光分析法(ICP−AES)等を挙げることができる。これらの分析方法は、高感度元素分析方法として知られている。このため、これらの方法を用いて分析用試料中の金属元素を検出することによって、炭素試料中に含まれる微量の金属不純物をより高感度に分析することができる。
検出工程では、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタノイド、アクチノイド、遷移金属、ほう素族、炭素族、ニクトゲンまたはカルコゲンに属する少なくとも一つの元素を検出することができる。
このように、検出工程において使用する分析方法は、測定対象とする金属元素の種類に応じて適宜選択すればよい。
本発明に係る分析方法によれば、本発明に係る試料調製方法によって得られた分析用試料を分析することによって、炭素試料中に含まれる微量の金属不純物をより高感度に分析することができる。
〔3.品質管理方法〕
本発明に係る炭素試料の品質管理方法は、上述した本発明に係る分析方法によって検出された炭素試料中の金属元素の量が、予め設定された基準量以下であるか否かを判定する判定工程を包含することを特徴としている。換言すれば、本発明に係る炭素試料の品質管理方法は、上述した本発明に係る試料調製方法によって取得した分析用試料中の金属元素を検出する検出工程と、上記検出工程において検出された金属不純物の量が、予め設定された基準量以下であるか否かを判定する判定工程とを包含するものである。
判定工程においては、上述した本発明に係る分析方法によって検出された炭素試料中の金属元素の量が、予め設定された基準量以下であるか否かを判定する。そして、この判定結果に基づいて、炭素試料中の金属元素の量が予め設定された基準量以下であるものを合格品として判定し、炭素試料中の金属元素の量が予め設定された基準量より多いものを不合格品として判定することができる。また、判定工程では、上述した本発明に係る分析方法によって検出された炭素試料中の金属元素の種類に基づいて、炭素試料を選別してもよい。
炭素試料は種々の用途に使用され、用途によって要求される品質が異なる。このため、上記「基準量」は、炭素試料が用いられる用途に応じて適宜設定することができる。
上述したように、本発明に係る分析方法によれば、炭素試料中に含まれる微量の金属不純物を分析することができる。このため、本発明に係る品質管理方法によれば、本発明に係る分析方法によって得られた分析結果に基づいて炭素試料を選別することにより、炭素試料の品質をより厳密に管理することができる。したがって、本発明に係る品質管理方法は、より厳密な品質管理が求められる、半導体関連部材の製造に用いられる炭素試料の品質管理に適している。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実験例1〕
黒鉛試料を、石英容器(測定対象元素の含有量が1μg/g未満)に2g採取し、プラズマリアクター(ヤマト科学株式会社製、PR−500)を用いて、出力400W、流量100mL/分の酸素気流中で試料を低温灰化した。
灰化した試料を放冷後、石英容器に、69%硝酸(超微量分析用)、36%塩酸(超微量分析用)および超純水(比抵抗値18MΩ/cm以上)の混合液を添加し、ホットプレート上で加温することによって灰分を溶解した。
得られた試料溶液を、テフロン(登録商標)製ビーカーに移し入れた。次いで、50%ふっ化水素酸(超微量分析用)をテフロン(登録商標)製ビーカーに添加し、灰分を溶解した。溶解後、超純水を用いて3%に調整した硝酸を添加してホットプレート上で加温溶解した後に、超純水を用いて5mLに定容した。
このようにして得られた試料溶液を、誘導結合プラズマ質量分析装置(inductively-coupled plasma mass spectrometer:ICP−MS)にて分析して試料溶液中の金属元素の量を調べた(表1には「黒鉛試料」と示す。)。
また、操作上の汚染を確認するため、黒鉛試料を加えていない空容器を用いて同様の操作を同時に実施した。得られた測定値は、試料量2gとして換算し、ブランク試験値とした。結果を表1に示す。なお、表1に示した計算値は、黒鉛試料の測定値からブランク試験の測定値を減じた値である。
Figure 0006436735
表1に示したように、実験例1で用いた黒鉛試料中には、アルミニウム元素、カルシウム元素、バナジウム元素、鉄元素、ニッケル元素が含まれていることが分かった。これに対して、ナトリウム元素、マグネシウム元素、カリウム元素、チタン元素、クロム元素、マンガン元素および銅元素は、いずれも定量下限値(10ng)未満であった。なお、定量下限値は、ブランク試験の繰り返しデータからバラつきσを算出し、その十倍(10σ)の値から決定した。
〔比較実験例1〕
特開2007−51903号公報(特許文献1)に記載の方法に準じて、ブランク値の測定を行った。ブランク値の比較を行うため、実験例1と同じ試験設備において実施した。
具体的には、黒鉛試料を加えていない空の石英容器(実験例1で用いたものと容器純度がほぼ同じのもの)を、石英管状炉に入れ、酸素ガスを流しながら800℃で高温灰化した。
放冷後、石英容器に、超純水を用いて10%に調整したふっ化水素酸(和光純薬工業製:超微量分析用)を20mL添加し、室温で10分間静置して灰分を溶解した。
得られた試料溶液を、テフロン(登録商標)製ビーカーに移し入れた。次いで、2mLの69%硝酸(和光純薬工業製:超微量分析用)をテフロン(登録商標)製ビーカーに添加し、ホットプレート上で加温しながら試料液を蒸発乾固した。乾固後の容器に超純水を用いて3%に調整した硝酸を5mL添加してホットプレート上で残渣を加温溶解した後に、超純水を用いて5mLに定容した。
このようにして得られた試料溶液を、ICP−MSにて分析してブランク値の測定を行った。実験例1によって得られたブランク値を1とした場合の、比較実験例1において得られたブランク値の比率を算出した。結果を表2に示す。
〔比較実験例2〕
鈴木 均、宮谷 俊行、吉本 修,分析化学 Vol. 42 (1993) No. 8,p. 485-489(非特許文献1)に記載の方法に準じて、ブランク値の測定を行った。ブランク値の比較を行うため、実験例1と同じ試験設備において実施した。
具体的には、黒鉛試料を加えていない空の石英容器(実験例1で用いたものと容器純度がほぼ同じのもの)を、プラズマリアクター(ヤマト科学株式会社製、PR−500)を用いて、出力400W、流量100mL/分の酸素気流中で低温灰化した。
放冷後、石英容器に、69%硝酸(和光純薬工業製:超微量分析用)を3mL添加し、試料溶液をテフロン(登録商標)製ビーカーに移し入れ、その後、100℃で8時間に亘って灰分を加熱・溶解した。その後、試料溶液を1mL程度まで濃縮し、超純水を用いて5mLに定容した。
このようにして得られた試料溶液を、ICP−MSにて分析してブランク値の測定を行った。実験例1によって得られたブランク値を1とした場合の、比較実験例2において得られたブランク値の比率を算出した。結果を表2に示す。
Figure 0006436735
表2に示したように、本発明に係る試料調製方法(実験例1)によれば、従来の方法(比較実験例1および比較実験例2)と比較して、ブランク値を大幅に低減させることができることが確認できた。
〔実験例2〕
炭素試料として、黒鉛試料の代わりに白米試料(認証標準物質)を用いて分析用試料を調製した以外は、実験例1と同じ方法により、試料溶液中の金属元素の量を調べた。
また、操作上の汚染を確認するため、白米試料を加えていない空容器を用いて同様の操作を同時に実施した。結果を表3示す。また、表中に示した認証値は、独立行政法人産業技術総合研究所によって付与された値である。
Figure 0006436735
〔実施例3〕
炭素試料として、黒鉛試料の代わりにポリエチレン試料(認証標準物質)を用いて分析用試料を調製した以外は、実験例1と同じ方法により、試料溶液中の金属元素の量を調べた。
また、操作上の汚染を確認するため、ポリエチレン試料を加えていない空容器を用いて同様の操作を同時に実施した。結果を表4に示す。なお、表中に示した認証値は、IRMM(Institute for Reference Materials and Measurements:標準物質計測研究所)によって付与された値である。表4に示されるように、試料溶液中の金属元素の量として、認証値と略同程度の値が得られていることがわかる。
Figure 0006436735
本発明は、種々の分野に用いられる炭素試料の金属不純物分析に利用することができる。
1 キャピラリー
2 試料液導入部
3 噴霧ガス導入部
4 ノズル
10 噴霧器

Claims (9)

  1. 炭素試料に含まれている金属元素を分析するための分析用試料を調製する方法であって、
    無機ガラス製容器内で、上記炭素試料に酸素プラズマを接触させて、当該炭素試料を灰化する灰化工程と、
    上記灰化工程後の炭素試料に酸を添加して、灰分を溶解する酸溶解工程と、
    上記酸溶解工程後の炭素試料を耐ふっ化水素酸性容器に移し、ふっ化水素酸を添加して炭素試料を溶解するふっ化水素酸溶解工程と、
    を包含し、
    上記酸は、上記無機ガラス製容器を溶解しない酸であることを特徴とする試料調製方法。
  2. 上記無機ガラス製容器を溶解しない酸は、無機酸であることを特徴とする請求項1に記載の試料調製方法。
  3. 上記無機酸は、塩酸、硝酸、硫酸、過酸化水素水および過塩素酸からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする請求項2に記載の試料調製方法。
  4. 上記ふっ化水素酸溶解工程後の炭素試料に酸性水溶液を添加して、当該炭素試料を溶解する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の試料調製方法。
  5. 上記分析用試料は、噴霧器を用いて分析用試料を噴霧する工程を含む分析方法によって分析されるためのものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の試料調製方法。
  6. 炭素試料に含まれている金属元素を分析する方法であって、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の試料調製方法によって取得した分析用試料中の金属元素を検出する検出工程を包含していることを特徴とする分析方法。
  7. 上記検出工程では、噴霧器を用いて上記分析用試料を噴霧する工程を含む分析方法によって、上記分析用試料中の金属元素を検出することを特徴とする請求項6に記載の分析方法。
  8. 上記噴霧器を用いて上記分析用試料を噴霧する工程を含む分析方法は、誘導結合プラズマ原子発光分析法または誘導結合プラズマ質量分析法であることを特徴とする請求項7に記載の分析方法。
  9. 請求項6から8のいずれか1項に記載の分析方法よって検出された炭素試料中の金属元素の量が、予め設定された基準量以下であるか否かを判定する判定工程を包含することを特徴とする炭素試料の品質管理方法。
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