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JP6438436B2 - 車両用サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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JP6438436B2 - 車両用サイドエアバッグ装置 - Google Patents

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本発明は、サイドエアバッグ一般を対象として、サイドエアバッグの基部周りの回転が想定される事態に対して、サイドエアバッグの膨張姿勢を適切に制御することが可能で、乗員保護性能を向上することができる車両用サイドエアバッグ装置に関する。
サイドエアバッグの外形形態が凹みを有する文献として、特許文献1が知られている。特許文献1の「車両用乗員保護装置」は、ファーサイドエアバッグの乗員拘束性能向上に寄与することを課題とし、車両用乗員保護装置では、ファーサイドエアバッグは、膨張展開状態でトンネル側サイド部の車両前方側へ突出する前バッグ部と、前バッグ部の車両後方側に位置して前バッグ部よりも内圧が高くなる後バッグ部とに夫々が仕切られている。そして、側面衝突の衝撃によって左右の車両用シートが相対的に接近すると、ファーサイドエアバッグの各後バッグ部が左右のシートバック間で車幅方向に圧縮される。それにより、衝撃が吸収されると共に、各ファーサイドエアバッグが互いに相手方の反力面となり、各ファーサイドエアバッグの内圧が上昇するようになっている。
特開2015−131586号公報
シートに内蔵されているサイドエアバッグは、シート側に基部が固定されている。サイドエアバッグ内部にインフレータガスが導入されると、サイドエアバッグは、シートから車両前後方向前方へ向かって展開膨張され、シートに着席している乗員を保護する。
基部がシート側に固定されるのに対し、展開膨張で車両前後方向前方へ突出されるサイドエアバッグの先端部は、車幅方向左右に振れ動く自由状態にある。すなわち、展開膨張を完了したサイドエアバッグは、一端である基部を中心に、他端である先端部が水平方向左右に回転しやすい。
ドア等の車体部材に面するニアサイドエアバッグは、当該車体部材が壁となって、回転作用が規制されやすいの対し、一方で、車室の車幅方向中央で展開膨張されるファーサイドエアバッグは、この回転作用を抑制しにくい。
具体的には、左右横並びで二名の乗員がシートに着席している場合には、これら二名の乗員を保護する二つの隣接するファーサイドエアバッグの一方が、他方の回転を規制するように、当該他方のファーサイドエアバッグを壁となるように受け止めて、これにより各ファーサイドエアバッグそれぞれによって各乗員が保護される。
しかし、乗員が一名であると、二つのファーサイドエアバッグが展開膨張しても、これらファーサイドエアバッグが二つとも、回転規制を受けることなく回転してしまう。
この回転によって、ファーサイドエアバッグは、乗員の車幅方向への移動に対し、乗員を避けるように振れ動いてしまって、乗員を十分かつ適切に保護することが難しいという課題があった。より詳細には、乗員の頭部を的確に受け止める部位を確保できず、頭部障害値が増加してしまうおそれがあった。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、サイドエアバッグ一般を対象として、サイドエアバッグの基部周りの回転が想定される事態に対して、サイドエアバッグの膨張姿勢を適切に制御することが可能で、乗員保護性能を向上することができる車両用サイドエアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明にかかる車両用サイドエアバッグ装置は、シートに着席している乗員を保護するために、該シート側に基部が固定され、当該シートから車両前後方向前方へ向かって展開膨張されるサイドエアバッグを有する車両用サイドエアバッグ装置であって、展開膨張した上記サイドエアバッグに、車幅方向左右から見て、括れ部分が現れるように、該サイドエアバッグの外周縁から内方側へ互いに向かい合う配置の一対の内向き縁部及びこれら内向き縁部をつなぐ屈曲縁部を有して、該サイドエアバッグの外周縁から内方側へ向けて凹状に形成され、該屈曲縁部を介して該内向き縁部同士が近接・離間自在な溝部分と、該溝部分を跨ぐ方向に向けて設けられ、長さ方向の一端部が一方の上記内向き縁部側で上記サイドエアバッグに接合され、長さ方向の他端部が、他方の上記内向き縁部側に延出される係留部材と、該係留部材の他端部を、他方の上記内向き縁部側で解除可能に係留する係留制御機構とを備え、上記サイドエアバッグの展開膨張時に、上記係留制御機構は、上記係留部材の他端部の係留を非解除状態として、該サイドエアバッグの該内向き縁部同士が広がらない第1膨張姿勢と、該係留部材の他端部の係留を解除して、該サイドエアバッグの該内向き縁部同士が離間して該溝部分が広がる第2膨張姿勢のいずれかとすることを特徴とする。
前記係留制御機構は、前記係留部材の他端部を、他方の前記内向き縁部側で前記サイドエアバッグに接合する係留部と、上記係留部材を切断するカッターとから構成されることが望ましい。前記係留制御機構は、前記シートに固設され、前記係留部材の他端部を離脱可能に係止する係止手段であることが好ましい。
前記サイドエアバッグは、その上下高さ方向において、前記溝部分よりも上方の上部バッグ領域と、該溝部分よりも下方であって、前記基部を含む下部バッグ領域とを備え、上記係留部材の係留解除時、上記上部バッグ領域が、上記下部バッグ領域に対し、上記溝部分の広がりに従って、上記サイドエアバッグの外周縁に沿う方向へ迫り出すことが望ましい。
前記溝部分は、前記基部に寄せて、前記サイドエアバッグの車両前後方向後方側に設けられることが好ましい。前記溝部分は、前記サイドエアバッグの上下高さ方向中央よりも下方に設けられることが望ましい。
前記サイドエアバッグは、ファーサイドエアバッグであることが好ましい。
前記係留制御機構は、乗員を検出する着席検知手段を備え、前記サイドエアバッグを展開膨張させるインフレータの起動時に、上記着席検知手段が、前記ファーサイドエアバッグの両側に位置する2つの前記シート双方で乗員を検出したとき、前記係留部材を係留状態に保持することが望ましい。前記係留制御機構は、前記着席検知手段が、2つの前記シートのいずれかで乗員を検出したとき、前記係留部材の係留を解除することが好ましい。
前記係留制御機構は、斜突検知手段を備え、該斜突検知手段が、前記サイドエアバッグを展開膨張させるインフレータが起動される斜突を検知したとき、斜突に近い側の前記シートと遠い側の前記シートのうち、近い側の該シートの上記ファーサイドエアバッグの前記係留部材の係留を解除することが望ましい。
前記サイドエアバッグは、ニアサイドエアバッグであることが好ましい。前記係留制御機構は、斜突検知手段を備え、該斜突検知手段が、前記サイドエアバッグを展開膨張させるインフレータが起動される斜突を検知したとき、前記ニアサイドエアバッグの前記係留部材の係留を解除することが望ましい。
前記サイドエアバッグは、前記シートの両側で、当該シートの側方へ向けて展開膨張されることが好ましい。
本発明にかかる車両用サイドエアバッグ装置にあっては、サイドエアバッグ一般を対象として、サイドエアバッグの基部周りの回転が想定される事態に対して、サイドエアバッグの膨張姿勢を適切に制御することができ、乗員保護性能を向上することができる。
本発明に係る車両用サイドエアバッグ装置の好適な一実施形態であって、ファーサイドエアバッグ及びニアサイドエアバッグが展開膨張した様子を示す車両の平面図である。 図1に示したファーサイドエアバッグ及びニアサイドエアバッグとして適用されるサイドエアバッグが展開膨張したときの第1膨張姿勢を示す、サイドエアバッグを車幅方向から見た正面図である。 図2に示したサイドエアバッグが展開膨張したときの第2膨張姿勢を示す、サイドエアバッグを車幅方向から見た正面図である。 図2に示した第1膨張姿勢のサイドエアバッグとシートとの位置関係を説明する説明図である。 図3に示した第2膨張姿勢のサイドエアバッグとシートとの位置関係を説明する説明図である。 本発明に係る車両用サイドエアバッグ装置の他の実施形態であって、単座車両において、ファーサイドエアバッグ及びニアサイドエアバッグが展開膨張した様子を示す車両の平面図である。
以下に、本発明にかかる車両用サイドエアバッグ装置の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置に備えたファーサイドエアバッグ及びニアサイドエアバッグが展開膨張した様子を示す車両の平面図、図2は、図1に示したファーサイドエアバッグ及びニアサイドエアバッグとして適用されるサイドエアバッグが展開膨張したときの第1膨張姿勢を示す、サイドエアバッグを車幅方向から見た正面図、図3は、図2に示したサイドエアバッグが展開膨張したときの第2膨張姿勢を示す、サイドエアバッグを車幅方向から見た正面図、図4は、図2に示した第1膨張姿勢のサイドエアバッグとシートとの位置関係を説明する説明図、図5は、図3に示した第2膨張姿勢のサイドエアバッグとシートとの位置関係を説明する説明図である。
図1は、前席に2名の乗員が乗車する一般的な車両の車室内部の平面図である。従って、前席には、二つのシート1が車幅方向左右に隣接配置されている。これら各シート1それぞれに、ドア2側に対してニアサイドエアバッグ3が、シャフトトンネル(図示せず)側に対してファーサイドエアバッグ4が設けられる。
図1に示すように、これらニアサイドエアバッグ3及びファーサイドエアバッグ4は従来よく知られているように、例えばシートバックなど、シート1のいずれかの部位に内蔵して設けられる。ニアサイドエアバッグ3及びファーサイドエアバッグ4はいずれも、図4及び図5に示すように、シートバックのシートフレーム1aに基部4aが固定される(図示は、ファーサイドエアバッグ4の場合)。
ニアサイドエアバッグ3及びファーサイドエアバッグ4それぞれには、それらの基部4a付近に内蔵してインフレータ5が個別に設けられる。インフレータ5は、シート1側、例えばシートフレーム1aに取付固定される。
インフレータ5から噴出されるインフレータガスがニアサイドエアバッグ3及びファーサイドエアバッグ4内部に導入されると、基部4aが支持点となって、ニアサイドエアバッグ3はドア2に沿って、ファーサイドエアバッグ4はシャフトトンネルに沿って、シートバックから車両前後方向前方へ向かって展開膨張され、シート1に着席している乗員を保護する。
本発明に係る車両用サイドエアバッグ装置は、ファーサイドエアバッグ4及びニアサイドエアバッグ3双方に適用しても良いことはもちろんのこと、ファーサイド4もしくはニアサイド3のいずれか一方のみに適用しても良い。以下では、説明の便宜上、ファーサイドエアバッグ4に適用した場合を取り上げて述べるが、ニアサイドエアバッグ3への適用は、ファーサイドエアバッグ4をニアサイドエアバッグ3と読み替えることで理解される。
図2及び図3は、展開膨張したファーサイドエアバッグ4を車幅方向左右から見た様子が示されていて、当該方向から見たファーサイドエアバッグ4の外形輪郭には、溝部分6が設定される。ファーサイドエアバッグ4はよく知られているように、柔軟な素材で形成された表裏二枚の基布を重ね合わせたり、一枚の基布を折り畳んで重ね合わせ、袋形態に縫製等接合することで形成される。
溝部分6は、袋形態のファーサイドエアバッグ4を形成する基布に対し、ファーサイドエアバッグ4の外周縁4bからその内方側(ファーサイドエアバッグ4を平らに畳んだときに真ん中となる側)へ向けて切り込みを入れ、その上で、基布を袋形態に接合することで形成される。
溝部分6は詳細には、ファーサイドエアバッグ4の外周縁4bからその内方側へ向かい、互いに向かい合う配置の一対の内向き縁部6a,6bと、これら内向き縁部6a,6bを内方側でつなぐ屈曲縁部6cを有する。これにより、溝部分6は、ファーサイドエアバッグ4の外周縁4bからその内方側へ向けて凹状に形成される。
本実施形態では、溝部分6は図3に示すように、基部4aに寄せて、ファーサイドエアバッグ4の車両前後方向後方側に、おおよそ車両前後方向後方から前方に向けて凹状の形態をなすように、屈曲縁部6cが車両前後方向前方となり、一方の下側の内向き縁部6bが、当該屈曲縁部6cから車両前後方向後方へ向かうように、他方の上側の内向き縁部6aが、当該屈曲縁部6cから斜め上向きに車両前後方向後方へ向かうように設けられる。
基布が柔軟な素材で形成されるので、溝部分6は、屈曲縁部6cを介して、内向き縁部6a,6bの間隔を広げるように離間させたり、内向き縁部6a,6b同士の間隔を狭めたり、あるいは接触して溝部分6が塞がるように近接させたりと、内向き縁部6a,6b同士が近接・離間自在に構成される。
そしてこのような溝部分6を備えることにより、当該溝部分6の内向き縁部6a,6b同士を近接させて溝部分6を狭めた(塞いだ)状態にすると、ファーサイドエアバッグ4には、これが展開膨張したとき、車幅方向左右から見て、括れ部分7が現れる。他方、溝部分6を広げた状態にすると、括れ部分7が消える。
本実施形態では、図4及び図5から理解されるように、ファーサイドエアバッグ4は、その上下高さ方向(車両上下高さ方向)において、溝部分6よりも上方の上部バッグ領域Xと、溝部分6よりも下方であって、基部4aを含む下部バッグ領域Yとを備える。
図2及び図3を対比することで理解されるように、溝部分6が狭められた状態から広げられると、上部バッグ領域Xが、下部バッグ領域Yに対し、ファーサイドエアバッグ4の外周縁4bに沿う方向へ迫り出すようになっている。図示例では、溝部分6は、ファーサイドエアバッグ4の上下高さ方向中央よりも下方に設けられている。
ファーサイドエアバッグ4には、溝部分6に対して、係留部材8が設けられる。係留部材8は、柔軟な素材で、適宜長さの帯状もしくは紐状に形成される。係留部材8は、溝部分6を跨ぐ方向に向けて配置される。係留部材8は、溝部分6を狭めた状態に保持して広がらないようにしたり、広げたりする制御のために備えられる。従って、係留部材8は、溝部分6を横切るように跨ぐように配置してもよいし、溝部分6を横切るように跨ぐことなく、溝部分6を避けた位置で、溝部分6を跨ぐ方向に配置されてもよい。
係留部材8は、少なくとも溝部分6を横切る長さ寸法で形成される。係留部材8は、長さ方向の一端部8aが一方の内向き縁部側、本実施形態では車両上下高さ方向上側の内向き縁部6a側において、ファーサイドエアバッグ4の基布に接合される。係留部材8の長さ方向の他端部8bは、他方の内向き縁部側、本実施形態では車両上下高さ方向下側の内向き縁部6b側に延出される。
本実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置には図2〜図5に示すように、係留部材8を制御するために、係留部材8の他端部8bを下側の内向き縁部6b側において解除可能に係留する係留制御機構9が備えられる。
この係留制御機構9によって、ファーサイドエアバッグ4の展開膨張時に、係留部材8の他端部8bの、下側の内向き縁部6b側に対する係留を非解除状態にして、ファーサイドエアバッグ4の内向き縁部6a,6b同士が近接して溝部分6が狭めた状態に保持される、すなわち内向き縁部6a,6b同士が広がらない第1膨張姿勢と、係留部材8の他端部8bの係留を解除して、ファーサイドエアバッグ4の内向き縁部6a,6b同士が離間して溝部分6が広がる第2膨張姿勢のいずれかとする作用が得られる。
本実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置では、係留制御機構9は、係留部材8の他端部8bを、下側の内向き縁部6b側において、ファーサイドエアバッグ4に接合する係留部9aと、係留部材8を切断するカッター9bとから構成される。係留部9aは図2に示すように、溝部分6が広がらない第1膨張姿勢の状態で、ファーサイドエアバッグ4の基布に接合される。
従って、係留部材8の長さ方向両端部分8a,8bがファーサイドエアバッグ4に接合されていると、溝部分6は広がらない。溝部分6が広がらないと、ファーサイドエアバッグ4の上部バッグ領域Xが下部バッグ領域Yのほぼ直上に立ち上げられた第1膨張姿勢が得られる。
カッター9bは、シート1のシートフレーム1a等に固定して設けられる。カッター9bは、常時はそのケースに収納されていて、後述する検知信号に基づく制御に従って、ファーサイドエアバッグ4の展開膨張時に、係留部材8を切断するために、ケースから係留部材8に向かって進出される。
カッター9bが係留部材8を切断し、これにより係留が解除されると、ファーサイドエアバッグ4の展開膨張作用と相俟って、溝部分6及びその周辺に張りが発生し、溝部分6が広げられる。溝部分6が広げられると、上部バッグ領域Xが、下部バッグ領域Yに対し、溝部分6の広がりに従いファーサイドエアバッグ4の外周縁4bに沿って、当該ファーサイドエアバッグ4の展開膨張範囲が拡張するように車両前後方向前方へ迫り出す第2膨張姿勢が得られる。
係留制御機構9は図示しないけれども、上記構成に代えて、シート1のシートフレーム1aに固定して設けられ、係留部材8の他端部8bを離脱可能に係止する係止手段であってもよい。
すなわち、係止手段として、係留部材8の他端部8bを掛け止めして係止するフックなどを備え、係留部材8をカッター9bで切断することに代えて、フックの係留部材8からの離脱動作で、掛け止めしている係留部材8の他端部8bの係留を解除する構成を採用してもよい。
係留部材8を係留(係留の非解除状態)もしくは係留解除することによってファーサイドエアバッグ4を第1膨張姿勢または第2膨張姿勢とする係留制御機構9にはさらに、車両への乗員の乗車状態に対応させてこれら膨張姿勢を設定するために、図1に示すように、乗員を検出する着席検知手段10が備えられる。着席検知手段10は、各シート1それぞれに設けられ、当該シート1に乗員が着席しているか否かを検知する。
着席検知手段10とカッター9bもしくは係止手段との間には、コントローラ11が設けられる。着席検知手段10の検知信号はコントローラ11に入力され、コントローラ11は、カッター9bもしくは係止手段に制御信号を出力する。
着席検知手段10が、ファーサイドエアバッグ4を展開膨張させるインフレータ5の起動時、すなわち、車両への衝撃発生時点においてファーサイドエアバッグ4の両側に位置する2つのシート1双方で乗員を検知すると、これらの検知信号により、コントローラ11は、係留部材8を係留(非解除)状態に保持するために、カッター9bもしくは係止手段に非作動の制御信号を出力する。
他方、着席検知手段10が、ファーサイドエアバッグ4を展開膨張させるインフレータ5の起動時、すなわち、車両への衝撃発生時点においてファーサイドエアバッグ4の両側に位置する2つのシート1のいずれか一方で乗員を検知し、他方で乗員が検知しないと、コントローラ11は、乗員が着席しているシート1に関し、係留部材8の係留を解除するために、カッター9bもしくは係止手段に、係留部材8を切断するなどの制御信号を出力する。
カッター9bもしくは係止手段に非作動の制御信号が入力されると、ファーサイドエアバッグ4は、第1膨張姿勢で展開膨張される。カッター9bもしくは係止手段に係留部材8を切断するなどの制御信号が入力されると、ファーサイドエアバッグ4は、第1膨張姿勢よりも展開膨張範囲が拡張される、第2膨張姿勢で展開膨張される。
次に、本実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置の作用について、図4及び図5を参照して説明する。本実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置は基本的に、係留制御機構9によって、ファーサイドエアバッグ4の展開膨張時に、係留部材8の他端部8bの、下側の内向き縁部6b側に対する係留を非解除状態として、ファーサイドエアバッグ4の内向き縁部6a,6b同士が広がらない第1膨張姿勢と、係留部材8の他端部8bの係留を解除して、ファーサイドエアバッグ4の内向き縁部6a,6b同士が離間して溝部分6が広がる第2膨張姿勢のいずれかとすることができるので、図4に示すように、係留部材8の係留の非解除状態によってシート1側方で第1膨張姿勢により乗員を保護できることに加え、図5に示すように、係留解除によってシート1の前方へ展開膨張範囲が広がる第2膨張姿勢で乗員を保護することができる。
このため、ファーサイドエアバッグ4の回転作用が規制される場合には、第1膨張姿勢で展開させ、回転作用の規制が難しい場合には、たとえ回転しても、乗員を受け止めることができる第2膨張姿勢で展開させて、このように衝突時の乗員姿勢を考慮して、2通りの態様でファーサイドエアバッグ4を展開膨張させて乗員、特にその頭部を保護することができる。
係留制御機構9を、係留部材8の他端部8bを、下側の内向き縁部6b側でファーサイドエアバッグ4に接合する係留部9aと、係留部材8を切断するカッター9bとから構成したので、簡単な構成で確実に作動させることができる。
あるいは、係留制御機構9を、シート1に固設され、係留部材8の他端部8bを離脱可能に係止する係止手段で構成したので、簡単な構成で確実に作動させることができる。
ファーサイドエアバッグ4は、その上下高さ方向において、溝部分6よりも上方の上部バッグ領域Xと、溝部分6よりも下方であって、基部4aを含む下部バッグ領域Yとを備え、係留部材8の係留解除時、上部バッグ領域Xが、下部バッグ領域Yに対し、溝部分6の広がりに従って、ファーサイドエアバッグ4の外周縁4bに沿う方向へ迫り出すので、これにより確実にファーサイドエアバッグ4の展開膨張範囲を拡張することができる。
溝部分6は、基部4aに寄せて、ファーサイドエアバッグ4の車両前後方向後方側に設けられるので、第2膨張姿勢における展開膨張範囲を確実に車両前方へ向けて方向づけすることができ、乗員保護性能を向上することができる。
溝部分6は、ファーサイドエアバッグ4の上下高さ方向中央よりも下方に設けられるので、第2膨張姿勢で得られる展開膨張範囲の拡張がファーサイドエアバッグ4の上部バッグ領域Xで大きくなり、乗員を効率よく保護することができる。
ドア2に面するニアサイドエアバッグ3よりも回転作用が生じやすいファーサイドエアバッグ4に上記構成を適用していて、乗員保護性能を向上することができる。
係留制御機構9は、乗員を検出する着席検知手段10を備え、ファーサイドエアバッグ4を展開膨張させるインフレータ5の起動時に、着席検知手段10が、ファーサイドエアバッグ4の両側に位置する2つのシート1双方で乗員を検出したとき、係留部材8を係留の非解除状態に保持し、着席検知手段10が、2つのシート1のいずれかで乗員を検出したとき、係留部材8の係留を解除するので、ファーサイドエアバッグ4の回転作用を規制できる態様、具体的には、左右横並びで二名の乗員がシート1に着席していて、隣接して展開膨張するファーサイドエアバッグ4同士が相互に回転を抑制できるような場合には、溝部分6の内向き縁部6a,6b同士を近接させて溝部分6が広がらないように係留部材8を係留の非解除状態とし、これによりファーサイドエアバッグ4を第1膨張姿勢で膨張させて、従来と遜色のない乗員保護機能、特に、乗員頭部の保護機能を確保することができる。
他方、ファーサイドエアバッグ4の回転作用を規制することが難しい態様、すなわち左右横並びの2つのシート1のいずれか一方のみに乗員が着席していて、隣接するファーサイドエアバッグ4が一緒に展開膨張しても、壁となるように受け止めることができずにファーサイドエアバッグ4が回転してしまうような場合には、溝部分6の内向き縁部6a,6b同士が離間して溝部分6が広がるように係留部材8の係留を解除し、これによりファーサイドエアバッグ4を、展開膨張範囲が広がる第2膨張姿勢で膨張させて、たとえファーサイドエアバッグ4に回転作用が生じても、ファーサイドエアバッグ4の展開膨張範囲の広がりによって、乗員頭部の保護機能を確保することができる。
図1に示すように、係留制御機構9としては、斜突の態様に対応させてファーサイドエアバッグ4の膨張姿勢を設定するために、斜突検知手段12,13を備えるようにしてもよい。斜突検知手段12,13は、車幅方向左右に、左右一対で設けられる。右側の斜突検知手段12は、車両右方からの斜突を検知し、左側の斜突検知手段13は、車両左方からの斜突を検知する。
これら斜突検知手段12,13は、着席検知手段10と同様に、コントローラ11に接続される。各斜突検知手段12,13の検知信号は、コントローラ11に入力され、コントローラ11は、カッター9bもしくは係止手段に制御信号を出力する。
例えば、右側の斜突検知手段12が、ファーサイドエアバッグ4を展開膨張させるインフレータ5の起動時、すなわち、車両への衝撃発生時点において右方からの斜突を検知すると、当該検知信号により、コントローラ11は、斜突に近い右側のシート1と遠い側の左側のシート1のうち、左側のシート1のファーサイドエアバッグ4の係留部材8を係留の非解除状態に保持し、かつ右側のシート1のファーサイドエアバッグ4の係留部材8の係留を解除するために、左側のシート1のカッター9bもしくは係止手段に非作動の制御信号を出力し、右側のシート1のカッター9bもしくは係止手段に、係留部材8を切断するなどの制御信号を出力する。
従って、右方からの斜突の場合、左側のシート1のファーサイドエアバッグは、第1膨張姿勢で、右側のシートのファーサイドエアバッグは、第2膨張姿勢で展開膨張される。左方からの斜突の場合には、右側のシート1のファーサイドエアバッグ4は、第1膨張姿勢で、左側のシート1のファーサイドエアバッグ4は、第2膨張姿勢で展開膨張される。
このような斜突検知手段12,13を備えてファーサイドエアバッグ4の第1及び第2膨張姿勢を選択することにより、斜突に対する乗員保護性能を向上することができる。その他の構成及び作用効果は上記実施形態と同様である。
上記実施形態では、ファーサイドエアバッグ4を対象として説明したが、サイドエアバッグはニアサイドエアバッグ3として、これを第1及び第2膨張姿勢に選択的に展開膨張させるようにしてもよい。すなわち、ニアサイドエアバッグ3であっても、ファーサイドエアバッグ4と同様に構成することができる。係留制御機構9については、上記斜突検知手段12,13が採用される。
具体的には、ニアサイドエアバッグ3を展開膨張させるインフレータ5の起動時、すなわち、車両への衝撃発生時点において、右側の斜突検知手段12が右方からの斜突を検知すると、当該検知信号により、コントローラ11は、斜突に近い右側のシート1と遠い側の左側のシート1のうち、左側のシート1のニアサイドエアバッグ3の係留部材8を係留の非解除状態に保持し、かつ右側のシート1のニアサイドエアバッグ3の係留部材8の係留を解除するために、左側のシート1のカッター9bもしくは係止手段に非作動の制御信号を出力し、右側のシート1のカッター9bもしくは係止手段に、係留部材8を切断するなどの制御信号を出力する。
従って、右方からの斜突の場合、左側のシート1のニアサイドエアバッグ3は、第1膨張姿勢で、右側のシート1のニアサイドエアバッグ3は、第2膨張姿勢で展開膨張される。左方からの斜突の場合には、右側のシート1のニアサイドエアバッグ3は、第1膨張姿勢で、左側のシート1のニアサイドエアバッグ3は、第2膨張姿勢で展開膨張される。
このような斜突検知手段12,13を備えてニアサイドエアバッグ3の第1及び第2膨張姿勢を選択することにより、斜突に対する乗員保護性能を向上することができる。その他の構成及び作用効果は上記実施形態と同様である。
図6には、単座車両の場合が示されている。図6は、単座車両において、ファーサイドエアバッグ及びニアサイドエアバッグが展開膨張した様子を示す車両の平面図である。単座車両の場合、ドア2とシート1(乗員)との間隔が広く設定されることが多い。このため、一人の乗員の両側で展開膨張されるサイドエアバッグは、上記ファーサイドエアバッグ4である。
単座車両の場合には、上述したファーサイドエアバッグ4相当のサイドエアバッグが、シート1の両側で、当該シート1の側方へ向けて展開膨張されることにより、その第1及び第2膨張姿勢によって、頭部を含めて、乗員を適切に保護することができる。
以上に述べた車両用サイドエアバッグ装置は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施形態例も、各種の方法で実施または遂行できる。特に、本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさおよび構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
1 シート
3 ニアサイドエアバッグ
4 ファーサイドエアバッグ
4a ファーサイドエアバッグの基部
4b ファーサイドエアバッグの外周縁
5 インフレータ
6 溝部分
6a 上側の内向き縁部
6b 下側の内向き縁部
6c 屈曲縁部
7 括れ部分
8 係留部材
8a 係留部材の長さ方向の一端部
8b 係留部材の長さ方向の他端部
9 係留制御機構
9a 係留部
9b カッター
10 着席検知手段
12,13 斜突検知手段
X 上部バッグ領域
Y 下部バッグ領域

Claims (13)

  1. シートに着席している乗員を保護するために、該シート側に基部が固定され、当該シートから車両前後方向前方へ向かって展開膨張されるサイドエアバッグを有する車両用サイドエアバッグ装置であって、
    展開膨張した上記サイドエアバッグに、車幅方向左右から見て、括れ部分が現れるように、該サイドエアバッグの外周縁から内方側へ互いに向かい合う配置の一対の内向き縁部及びこれら内向き縁部をつなぐ屈曲縁部を有して、該サイドエアバッグの外周縁から内方側へ向けて凹状に形成され、該屈曲縁部を介して該内向き縁部同士が近接・離間自在な溝部分と、
    該溝部分を跨ぐ方向に向けて設けられ、長さ方向の一端部が一方の上記内向き縁部側で上記サイドエアバッグに接合され、長さ方向の他端部が、他方の上記内向き縁部側に延出される係留部材と、
    該係留部材の他端部を、他方の上記内向き縁部側で解除可能に係留する係留制御機構とを備え、
    上記サイドエアバッグの展開膨張時に、上記係留制御機構は、上記係留部材の他端部の係留を非解除状態として、該サイドエアバッグの該内向き縁部同士が広がらない第1膨張姿勢と、該係留部材の他端部の係留を解除して、該サイドエアバッグの該内向き縁部同士が離間して該溝部分が広がる第2膨張姿勢のいずれかとすることを特徴とする車両用サイドエアバッグ装置。
  2. 前記係留制御機構は、前記係留部材の他端部を、他方の前記内向き縁部側で前記サイドエアバッグに接合する係留部と、上記係留部材を切断するカッターとから構成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
  3. 前記係留制御機構は、前記シートに固設され、前記係留部材の他端部を離脱可能に係止する係止手段であることを特徴とする請求項1に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
  4. 前記サイドエアバッグは、その上下高さ方向において、前記溝部分よりも上方の上部バッグ領域と、該溝部分よりも下方であって、前記基部を含む下部バッグ領域とを備え、上記係留部材の係留解除時、上記上部バッグ領域が、上記下部バッグ領域に対し、上記溝部分の広がりに従って、上記サイドエアバッグの外周縁に沿う方向へ迫り出すことを特徴とする請求項1〜3いずれかの項に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
  5. 前記溝部分は、前記基部に寄せて、前記サイドエアバッグの車両前後方向後方側に設けられることを特徴とする請求項1〜4いずれかの項に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
  6. 前記溝部分は、前記サイドエアバッグの上下高さ方向中央よりも下方に設けられることを特徴とする請求項1〜5いずれかの項に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
  7. 前記サイドエアバッグは、ファーサイドエアバッグであることを特徴とする請求項1〜6いずれかの項に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
  8. 前記係留制御機構は、乗員を検出する着席検知手段を備え、前記サイドエアバッグを展開膨張させるインフレータの起動時に、上記着席検知手段が、前記ファーサイドエアバッグの両側に位置する2つの前記シート双方で乗員を検出したとき、前記係留部材を係留状態に保持することを特徴とする請求項7に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
  9. 前記係留制御機構は、前記着席検知手段が、2つの前記シートのいずれかで乗員を検出したとき、前記係留部材の係留を解除することを特徴とする請求項8に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
  10. 前記係留制御機構は、斜突検知手段を備え、該斜突検知手段が、前記サイドエアバッグを展開膨張させるインフレータが起動される斜突を検知したとき、斜突に近い側の前記シートと遠い側の前記シートのうち、近い側の該シートの上記ファーサイドエアバッグの前記係留部材の係留を解除することを特徴とする請求項7に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
  11. 前記サイドエアバッグは、ニアサイドエアバッグであることを特徴とする請求項1〜6いずれかの項に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
  12. 前記係留制御機構は、斜突検知手段を備え、該斜突検知手段が、前記サイドエアバッグを展開膨張させるインフレータが起動される斜突を検知したとき、前記ニアサイドエアバッグの前記係留部材の係留を解除することを特徴とする請求項11に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
  13. 前記サイドエアバッグは、前記シートの両側で、当該シートの側方へ向けて展開膨張されることを特徴とする請求項1〜12いずれかの項に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
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