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JP6438716B2 - 変位測定装置 - Google Patents
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本発明は、変位測定装置に関する。
建造物の施工において、鉛直方向の変位を正確に測定することは重要である。また、近年においては、既存の建築物の免震補強(免震レトロフィット)の需要が高まっている。免震レトロフィットは、既存の建造物の基礎や中間階に免震装置を設置し、外観や内装などを損なうことなく建造物を免震建物に生まれ変わらせるものであるが、例えば、建造物の基礎に免震装置を設置する場合には、建造物の下にある地盤を掘削する必要がある。その為、地盤掘削の時点から建造物の内部に鉛直方向の変位が発生していないかを観測する必要がある。
従来、鉛直方向における変位を測定するものとして、レーザー光線を利用した遠隔測定装置が知られている(特許文献1参照)。この遠隔測定装置は、レーザー光線を発光する発光装置(照射装置)と、レーザー光線を反射する反射鏡(反射器)と、反射光を認識するセンサー(受光装置)とを備えている。
特開平6−109473号公報(段落0006〜0009、図2)
しかし、特許文献1に記載された遠隔測定装置は、受光装置を必要とすると共に、パソコン等を用いて受光装置が取得した情報をデータ処理する必要があるので、装置が高価であった。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、従来よりも構成が簡単な上に変位量の測定が容易である変位測定装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る変位測定装置は、レーザー光を照射する照射装置と、前記レーザー光を反射する反射面が形成された反射器と、前記反射面で反射したレーザー光を受光するスケールと、を備える変位測定装置であって、前記反射面は、前記スケールに対向する側の断面形状が円弧状をなす凸鏡面であり、前記スケールは、前記反射器の上方または下方に設置され、前記レーザー光に対して平行に延在され、前記反射器および前記照射装置は、前記反射面の円弧の中心から前記レーザー光の照射位置までの高さ方向の距離の割合が前記反射器の半径に対して45〜84%の範囲となるように設置されており、前記反射器および前記照射装置は、平行に相対して立設する建設中の構造躯体に設置されることを特徴とする。
本発明に係る変位測定装置においては、反射面の断面形状が円弧状をなす凸鏡面になっているので、レーザー光の変位量(Δy0)に対して反射光の変位量(Δi0)が大きくなる。したがって、観測者は、スケールに映し出された反射光の位置をスケールの目盛りを用いて観測することで、レーザー光の変位量(Δy0)を目視で容易に測定することができる。その為、レーザー光を認識するセンサーを有する受光装置がなくても正確に変位量を測定可能であり、ひいては、センサー(受光装置)が必要ないので安価であると共に設置に要する時間が短い。
また、反射面の円弧の中心からレーザー光の照射位置までの高さ方向の距離の割合が反射器の半径に対して45〜84%の範囲においては、レーザー光の照射される位置の変位に対してスケールにおける反射光の位置が直線的に変位する。そのため、変位量を容易に測定することができる。
本発明によれば、従来よりも構成が簡単な上に変位量の測定が容易である。
本発明の実施形態に係る変位測定装置の外観図斜視図である。 本発明の実施形態に係る変位測定装置の要部拡大図である。 反射器に照射されるレーザー光の位置とスケールに反射されるレーザー光(反射光)の位置との関係を示す図である。 反射器に照射されるレーザー光の高さと、スケールに映し出される反射光のX座標との関係を示す図である。 反射器に照射されるレーザー光の高さと、スケールに映し出される反射光のX座標との関係を示す図である。 反射器に照射されるレーザー光の位置とスケールに反射されるレーザー光(反射光)の位置との関係を示す図である。
以下、本発明の実施をするための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、参照する図面において、本発明を構成する部材の寸法は、説明を明確にするために誇張して表現されている場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
≪実施形態に係る変位測定装置の構成≫
図1を参照して、実施形態に係る変位測定装置の構成について説明する。
変位測定装置1は、建造物に発生した鉛直方向の変位を観測するためのものである。変位測定装置1は、例えば、免震レトロフィットを行う建造物の構造躯体2(柱や壁など)に設置され、工事従事者等の観測者3によって目視で観測される。
本実施形態では、二本の柱2b,2cに変位測定装置1を設置する場合を想定している。ここでは、右側の柱2bには鉛直方向の変位が発生せず、左側の柱2cに鉛直方向の変位が発生する場合を想定している。変位測定装置1は、柱2bに設置される照射装置10と、柱2cの照射装置10に対向する位置に設置される反射器20と、反射器20の下方に設置されるスケール30とを備えて構成されている。
<照射装置>
照射装置10は、直線状の光(例えば、レーザー光)を照射するものである。照射装置10は、レーザー光を水平に照射するように設置される。本実施形態では、不動点を照射装置10の設置位置としている。ここでの不動点とは、時間経過により鉛直方向の変位が発生しない(発生したとしても限りなく微小である)場所をいう。ここでは、柱2bの内側(柱2cに対向する側面)のはり2aに近接する位置に設置されている。
<反射器>
反射器20は、照射装置10から照射されたレーザー光をスケール30が設置されている方向に反射するものである。反射器20は、可動点に設置される。ここでの可動点とは、時間経過により鉛直方向の変位が発生する場所をいう。反射器20は、図2に示すように、一定の厚みを持った扇形をなす本体部21と、本体部21の円周面に形成される反射面22と、本体部21の下部に形成される連結部23とからなる。本体部21の円周面に反射材(例えば、アルミ箔、鏡など)を貼り付けて反射面22を形成してもよいし、本体部21自体を鏡面加工して反射面22を形成してもよい。なお、反射面22は、断面形状が円弧状をなす凸鏡面であれば円筒面以外の他の形状(球面の一部など)でもよい。
反射器20は、断面形状が円弧状をなす凸鏡面の反射面22を有することにより、水平方向に対する反射面22の角度が位置によって異なる。したがって、水平方向からレーザー光が照射された場合に、レーザー光の当たる位置の変化に伴い入射角αおよび反射角βが変化する。例えば、図2に示すように、初期状態(変動前)におけるレーザー光の入射角αbおよび反射角βbと、左側の柱2cの沈下に伴って変位量(Δy0)分だけ照射位置が上方にずれた変動後におけるレーザー光の入射角αaおよび反射角βaとでは、共に値が小さくなっている。
反射器20が反射したレーザー光(反射光)は、本体部21の下部に形成される連結部23を介して連結されるスケール30に照射される。ここでの連結部23は、反射器20とスケール30との距離を一定に保つものを想定しているが、反射器20とスケール30との距離を調整することができる構成であってもよい。その場合、連結部23は、例えば、それ自体が伸縮自在な構成であってもよいし、スケール30を固定する固定部を上下方向に並べて配置する構成であってもよい。
<スケール>
スケール30は、図2に示すように、反射器20に対向する側の表面に目盛り31が記載されており、反射器20で反射されたレーザー光(反射光)が映し出されるものである。スケール30は、横幅を反射器20の厚みと同じにする縦長の平板状をなし、水平(照射装置10から照射されるレーザー光に対して平行)に配置されている。ここでは、スケール30の一端が連結部23に固定されているが、固定の手段はこれに限定されない。
スケール30は、透明または半透明の材料(例えば、合成樹脂)を用いて形成されるのがよい。このような構成にすることで、図1に示すように、観測者3の目線よりも高い位置にスケール30が設置される場合でも、観測者3は、スケール30の裏側からレーザー光が映し出された位置を観測することができる。
反射器20に照射されるレーザー光の変位量(Δy0)と、スケール30に照射される反射光の変位量(Δi0)との関係を、図3を参照して説明する。図3では、説明を容易にするために、図1,2で説明した変位測定装置1の上下方向を逆にしてある。すなわち、図3におけるX軸方向は図1における右方向を示し、図3におけるY軸方向は図1における下方向を示している。そして、原点Oに反射面22の円弧の中心を持ってきており、反射面22の半径を「a」とし、原点Oからスケール30までの距離を「H」で表している。
照射装置10から照射された直径φのレーザー光の中心と反射面22との交点P0の座標を(x0,y0)とした場合に、円の方程式を用いて以下の式(1)が成立する。そして、式(1)より、交点P0のX座標x0は、以下の式(2)となる。
Figure 0006438716
Figure 0006438716
ここで、X座標x0が正の数(x0>0)であることを考慮すると、交点P0の座標(x0,y0)は、((a2-y0 2)1/2,y0)となる。そして、原点Oと交点P0を通る直線方程式は、以下の式(3)となる。
Figure 0006438716
式(3)の直線方程式は、反射面22の交点P0の接線における法線となるので、X軸(レーザー光)と式(3)の直線方程式とがなす角度α0は、交点P0における入射角となる。したがって、レーザー光の入射角α0は、式(3)の直線方程式の傾き「y0/(a2-y0 2)1/2」となる。
そして、レーザー光が反射面22の交点P0に入射角α0で照射されると、入射角α0と同じ角度(反射角β0)で反射する。その時のレーザー光は、図3に示す直線0のようになり、反射面22の交点P0における法線である式(3)の直線方程式を反時計回りに角度β0で回転させたものと考えられる。その為、直線0の傾きα0'は、1次変換によって、以下の式(4)となる。
Figure 0006438716
そして、β0=tan-1(y0/x0)、傾きがα0'=α00で交点P0を通る直線0の直線方程式は、以下の式(5)となる。
Figure 0006438716
式(5)の直線方程式とX軸平行で原点Oから距離Hの直線(y=H)との交点i0のX座標は、以下の式(6)のようにして求めることができる。したがって、交点i0の座標は、(x0+(H- y0)/α0',H)となる。
Figure 0006438716
レーザー光の高さy0と、スケール30と反射光との交点i0におけるX座標との関係を図4に示す。図4に示すグラフでは、反射面22の半径aを「100mm」とし、中心Oからスケール30までの距離Hを「200mm」としている。
この条件においては、図4に示すように、レーザー光の高さy0が「85mm」以上(符号K1で示す領域)では、交点i0におけるX座標がマイナスの値となる。その為、変動前後のレーザー光の高さy0の上限が「85mm」未満となるように照射装置10および反射器20の位置を調整するのがよい。
一方、変動前後のレーザー光の高さy0の下限については特に制限がない。しかしながら、計測が出来ないという点以外で以下に示す注意が必要になる。つまり、スケール30の長さは、交点i0におけるX座標の予想される範囲に合わせる必要があるので、あまりにもX座標の値が大きいとスケール30の製造および設置が困難になる。図4では、レーザー光の高さy0が「20mm」を下回ると交点i0におけるX座標が急激に増加する。例えば、レーザー光の高さy0が「20mm」では交点i0におけるX座標が約「520mm」であったのが、レーザー光の高さy0が「10mm」では交点i0におけるX座標が約「1000mm」となり、レーザー光の高さy0が「5mm」では交点i0におけるX座標が約「2042mm」となる。その為、計測が出来ないという問題はないものの、変動前後のレーザー光の高さy0の下限が「20mm」以上(符号K2で示す領域)となるように照射装置10および反射器20の位置を調整するのがよい。
また、図4に示すように、レーザー光の高さy0が「45mm」〜「84mm」の間(符号K3で示す領域)では、交点i0におけるX座標がより直線的に変位する。領域K3におけるレーザー光の高さy0と、スケール30と反射光との交点i0におけるX座標との関係を図5に示す。この領域K3では、レーザー光の高さy0が「1mm」変化するのに伴い、交点i0におけるX座標が概ね「5mm」変化する。つまり、レーザー光の変位量(Δy0)に対して反射光の変位量(Δi0)が5倍となってスケール30に表示される。
≪実施形態に係る変位測定装置の使用方法≫
図1に示す実施形態に係る変位測定装置1の使用方法について説明する。
まず、右側の柱2bに照射装置10を設置する。続いて、照射装置10の照射するレーザー光が届く位置に存在する構造躯体(図1では、左側の柱2c)に反射器20を設置する。その際に、レーザー光の高さy0が「65mm(図4に示す領域K3の中央)」の位置になるように、すなわち、スケール30に映し出される反射光のX座標(交点i0におけるX座標)を「100mm」の位置になるように調整するのがよい。
続いて、地盤掘削等の作業の後に、スケール30に映し出される反射光のX座標を観測し、図4および図5に示す対応関係を用いてX座標からレーザー光の高さy0を算出する。その場合に、X座標の値を「5」で除算したしたものを簡易的にレーザー光の高さy0としてもよい。そして、地盤掘削等の作業前後でのレーザー光の高さy0を比較して鉛直方向の変位量を算出する。
また、変位測定装置1の初期設定を次のようにしてもよい。反射器20の「65mm(図4に示す領域K3の中央)」の位置にレーザー光が初期値として当たるように設定しておき、スケール30に投影されるレーザー光の初期状態の位置を「0(ゼロ)」としてスケール30に印を付けておく。そして、この印を境にして「+(プラス)方向」および「−(マイナス)方向」に目盛り31を記入しておくようにしてもよい。
以上のように、本実施形態に係る変位測定装置1は、レーザー光の変位量(Δy0)に対して反射光の変位量(Δi0)が数倍(実施形態では5倍)となってスケール30に表示される。したがって、スケール30の目盛りを用いて反射光の変位量(Δi0)を目視で容易に測定することができる。その為、レーザー光を認識するセンサーがなくても正確に鉛直方向の変位量を測定可能であり、ひいては、センサーが必要ないので安価であると共に設置に要する時間が短い。
また、実施形態に係る変位測定装置1のスケール30は、透明または半透明の材料(例えば、合成樹脂)を用いられている。したがって、反射光がスケール30の裏側に透過して映し出されるので、スケール30の裏側からも変位量を確認することができる。その為、観測者3の目線よりも高い位置にスケール30が設置される場合でも、観測者3は、スケール30の裏側からレーザー光が映し出された位置を観測することができる。
また、実施形態に係る変位測定装置1のレーザー光の変位量(Δy0)に対する反射光の変位量(Δi0)の倍率は、スケール30が反射器20から離れる程(Hが大きくなる程)増大する。その為、より細かく上下方向の変位量を測定したい場合には、スケール30を床付近または床に設置するなどしてHを大きくすることにより、変位測定装置1の分解能を高めるとよい。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。実施形態の変形例を以下に示す。
実施形態では、図3に示すように、レーザー光の中心を基準として、スケール30に映し出される鉛直方向の変位量を観測していた。しかしながら、レーザー光については、直径の大きさが異なる種々のレーザー光があるため、レーザー光の中心を特定することが難しい場合も想定される。その場合には、レーザー光の上端部または下端部を基準として鉛直方向の変位量を観測するのがよい。
例えば、図6に示すように、レーザー光の直径を「φ」(半径を「φ/2」)とすると、レーザー光の上端のY軸上の座標は(0, y0+φ/2)となり、レーザー光の上端と反射面22との交点PU(xU,yU)は、式(2)を用いてPU((a2-(y0+φ/2)2)1/2, y0+φ/2)となる。交点PUでレーザー光を反射した時のスケール30(y=H)との交点iUの座標は、式(6)を用いて(xU+(H- yU)/αU',H)となる。
一方、レーザー光の下端のY軸上の座標は(0, y0-φ/2)となり、レーザー光の下端と反射面22との交点PL(xL,yL)は、上端の場合と同様に式(2)を用いてPL((a2-(y0-φ/2)2)1/2, y0-φ/2)となる。交点PLでレーザー光を反射した時のスケール30(y=H)との交点iLの座標は、式(6)を用いて(xL+(H- yL)/αL',H)となる。
このようにして、交点iUの座標(xU+(H- yU)/αU',H)または交点iLの座標(xL+(H- yL)/αL',H)を用いて、スケール30に映し出される鉛直方向の変位量を測定してもよい。この場合、レーザー光の中心を特定することが難しい場合でも、正確に鉛直方向の変位量を観測することができる。
また、実施形態では、図1に示すように、観測者3がスケール30に照射されるレーザー光を目視により確認することを想定していたが、デジタルカメラ等で撮影するようにしてもよい。その場合、レーザー光の照射位置をエビデンス(evidence)として記録することができる。
また、実施形態では、照射装置10が直線状のレーザー光を照射していたが、これに限らずに、例えば、水平方向に扇状に拡散されるものを用いてもよい。
なお、実施形態では、図2に示すように、反射器20の反射面22が下を向くように配置し、反射器20の下方にスケール30を設置していた。しかしながら、反射器20の反射面22が上を向くように配置し、反射器20の上方にスケール30を設置してもよい。この場合でも、鉛直方向の変位量を測定することができる。
さらに、反射器20の反射面22が左右の何れかを向くように配置し、反射器20の反射面22が存在する側方(左方または右方)にスケール30を設置してもよい。この場合には、水平方向の変位量を測定することができる。
1 変位測定装置
2a はり(構造躯体)
2b,2c 柱(構造躯体)
3 観測者
10 照射装置
20 反射器
21 本体部
22 反射面
23 連結部
30 スケール
31 目盛り

Claims (1)

  1. レーザー光を水平に照射する照射装置と、
    前記レーザー光を反射する反射面が形成された反射器と、
    前記反射面で反射したレーザー光を受光するスケールと、を備える変位測定装置であって、
    前記反射面は、前記スケールに対向する側の断面形状が円弧状をなす凸鏡面であり、
    前記スケールは、前記反射器の上方または下方に設置され、前記レーザー光に対して平行に延在され
    前記反射器および前記照射装置は、前記反射面の円弧の中心から前記レーザー光の照射位置までの高さ方向の距離の割合が前記反射器の半径に対して45〜84%の範囲となるように設置されており、
    前記反射器および前記照射装置は、平行に相対して立設する建設中の構造躯体に設置されることを特徴とする変位測定装置。
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