JP6439579B2 - オーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法およびそれを用いて得られる溶接継手 - Google Patents
オーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法およびそれを用いて得られる溶接継手 Download PDFInfo
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Description
C:0.04〜0.12%、
Si:1.0%以下、
Mn:2.0%以下、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
Ni:42.0〜48.0%、
Cr:20.0〜26.0%、
W:4.0〜10.0%、
Ti:0.05〜0.15%、
Nb:0.1〜0.4%、
Al:0.3%以下、
B:0.0001〜0.01%、
N:0.02%以下、
O:0.01%以下、
Ca:0〜0.05%、
Mg:0〜0.05%、
REM:0〜0.1%、
Co:0〜1.0%、
Cu:0〜4.0%、
Mo:0〜1.0%、
V:0〜0.5%、
残部:Feおよび不純物である化学成分を有する合金母材を、
質量%で、
C:0.06〜0.18%、
Si:1.0%以下、
Mn:2.0%以下、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
Ni:40.0〜60.0%、
Cr:20.0〜26.0%、
MoおよびWの一方または両方の合計:6.0〜13.0%、
Ti:0.05〜0.6%、
Al:1.5%以下、
N:0.18%以下、
O:0.01%以下、
Co:0〜15.0%、
Nb:0〜0.5%、
B:0〜0.005%、
残部:Feおよび不純物である化学成分を有する溶接材料を用いて溶接した後、
下記(i)〜(iii)式を満足する条件で溶接後熱処理を施す、オーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法。
800≦T≦1250 ・・・(i)
−0.2×T+270≦t≦−0.6×T+810 ・・・(ii)
RC≧0.05×T−10 ・・・(iii)
ただし、上式中の各記号の意味は下記の通りである。
T:溶接後熱処理温度(℃)
t:溶接後熱処理時間(min)
RC:Tから500℃までの平均降温速度(℃/h)
Ca:0.0001〜0.05%、
Mg:0.0001〜0.05%、
REM:0.0005〜0.1%、
Co:0.01〜1.0%、
Cu:0.01〜4.0%、
Mo:0.01〜1.0%、
V:0.01〜0.5%、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)に記載のオーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法。
Co:0.01〜15.0%、
Nb:0.01〜0.5%、
B:0.0001〜0.005%、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)または(2)に記載のオーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法。
RH≧40 ・・・(iv)
ただし、上式中の記号の意味は下記の通りである。
RH:500℃からTまでの平均昇温速度(℃/h)
本発明に係るオーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造に使用する合金母材に含有される各元素の限定理由は下記のとおりである。
Cは、オーステナイトを安定化させる作用を有するとともに、微細な炭化物を形成し、高温使用中のクリープ強度を向上させる効果を有する元素である。この効果を十分に得るためには、0.04%以上のC含有量が必要である。しかしながら、C含有量が過剰であると、炭化物が粗大となり、かつ多量に析出するため、却ってクリープ強度を低下させる。特に、多量のCを含有する溶接継手に対して溶接後熱処理を施すと、炭化物の成長が促進され、クリープ強度が著しく低下する。したがって、C含有量は0.12%以下とする。C含有量は0.05%以上であるのが好ましく、0.06%以上であるのがより好ましい。また、C含有量は0.11%以下であるのが望ましく、0.08%以下であるのがより望ましい。
Siは、脱酸作用を有するとともに、高温での耐食性および耐酸化性の向上に有効な元素である。しかしながら、Siが過剰に含有された場合にはオーステナイトの安定性が低下して、靱性およびクリープ強度の低下を招く。そのため、Siの含有量に上限を設けて1.0%以下とする。Si含有量は0.8%以下であるのが望ましく、0.6%以下であるのがより望ましい。
Mnは、Siと同様、脱酸作用を有する元素である。また、Mnは、オーステナイトの安定化にも寄与する。しかしながら、Mnの含有量が過剰になると脆化を招き、さらに、靱性およびクリープ延性の低下も生じる。そのため、Mnの含有量に上限を設けて2.0%以下とする。Mnの含有量は1.8%以下であるのが望ましく、1.5%以下であるのがより望ましい。
Pは、不純物として合金中に含まれ、多量に含まれる場合には、熱間加工性および溶接性が著しく低下し、さらに、高温で長時間使用した後のクリープ延性も低下する。そのため、Pの含有量に上限を設けて0.03%以下とする。Pの含有量は、0.025%以下であるのが望ましく、0.02%以下であるのがより望ましい。
Sは、Pと同様に不純物として合金中に含まれ、多量に含まれる場合には、熱間加工性および溶接性が著しく低下し、さらに、高温で長時間使用した後のクリープ延性も低下する。そのため、Sの含有量に上限を設けて0.01%以下とする。Sの含有量は、0.008%以下であるのが望ましく、0.005%以下であるのがより望ましい。
Niは、オーステナイトを得るために有効な元素であり、高温での長時間使用時における組織安定性を確保するために必須の元素である。本発明のCr含有量の範囲で十分な効果を得るためには、42.0%以上のNi含有量が必要である。しかしながら、Niは高価な元素であり、多量に含有させるとコストの増大を招く。そのため、上限を設けて、Niの含有量を42.0〜48.0%とする。Ni含有量は42.5%以上であるのが望ましく、43.0%以上であるのがより望ましい。また、Ni含有量は47.5%以下であるのが望ましく、47.0%以下であるのがより望ましい。
Crは、高温での耐酸化性および耐食性の確保のために必須の元素である。また、Crは、微細な炭化物を形成してクリープ強度の確保にも寄与する。本発明のNi含有量の範囲で、上記の効果を得るためには、20.0%以上のCr含有量が必要である。しかしながら、Crの含有量が26.0%を超えると、高温でのオーステナイトの安定性が劣化してクリープ強度の低下を招く。特に、溶接継手に対して溶接後熱処理を施す本発明においては、炭化物の成長が促進されるため、クリープ強度が著しく低下する。したがって、Crの含有量を20.0〜26.0%とする。Cr含有量は20.5%以上であるのが望ましく、21.0%以上であるのがより望ましい。また、Cr含有量は25.5%以下であるのが望ましく、25.0%以下であるのがより望ましい。
Wは、マトリックスに固溶し、または、微細な金属間化合物相を形成して、高温でのクリープ強度および引張強さの向上に大きく寄与する元素である。この効果を十分に得るためには、4.0%以上のW含有量が必要である。しかしながら、Wを過剰に含有させても効果は飽和し、却ってクリープ強度を低下させる。さらに、Wは高価な元素であるため、過剰に含有させるとコストの増大を招く。そのため上限を設けて、Wの含有量を4.0〜10.0%とする。W含有量は4.5%以上であるのが望ましく、5.0%以上であるのがより望ましい。また、W含有量は9.5%以下であるのが望ましく、9.0%以下であるのがより望ましい。
Tiは、微細な炭窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度および引張強さの向上に寄与する。その効果を十分に得るためには0.05%以上のTi含有量が必要である。しかしながら、Tiの含有量が過剰になると炭窒化物が多量に析出し、クリープ延性および靱性の低下を招く。そのため、上限を設けて、Tiの含有量を0.05〜0.15%とする。Ti含有量は0.06%以上であるのが望ましく、0.07%以上であるのがより望ましい。また、Ti含有量は0.14%以下であるのが望ましく、0.13%以下であるのがより望ましい。
Nbは、CまたはNと結合して微細な炭化物または炭窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度向上に寄与する。その効果を十分に得るためには0.1%以上のNb含有量が必要である。しかしながら、Nbの含有量が過剰になると炭化物および炭窒化物として多量に析出し、クリープ延性および靱性の低下を招く。そのため、上限を設けて、Nbの含有量を0.1〜0.4%とする。Nb含有量は0.12%以上であるのが望ましく、0.15%以上であるのがより望ましい。また、Nb含有量は0.38%以下であるのが望ましく、0.35%以下であるのがより望ましい。
Alは、脱酸作用を有する元素である。しかしながら、Alの含有量が過剰になると合金の清浄性が著しく劣化して、熱間加工性および延性が低下する。そのため、上限を設けて、Alの含有量を0.3%以下とする。Al含有量は0.2%以下であるのが望ましく、0.1%以下であるのがより望ましい。
Bは、粒界炭化物を微細分散させることにより、クリープ強度を向上させるとともに、粒界に偏析して粒界を強化するのに有効な元素である。この効果を得るためには、B含有量を0.0001%以上とする必要がある。しかしながら、Bの含有量が過剰になると、溶接中の溶接熱サイクルにより溶融境界近傍の熱影響部にBが多量に偏析して粒界の融点が低下し、液化割れ感受性が高まる。そのため、上限を設けて、Bの含有量を0.0001〜0.01%とする。B含有量は0.0005%以上であるのが望ましく、0.001%以上であるのがより望ましい。また、B含有量は0.008%以下であるのが望ましく、0.006%以下であるのがより望ましい。
Nは、オーステナイトを安定にするのに有効な元素であるものの、過剰に含有されると、高温での使用中に多量の微細窒化物が粒内に析出してクリープ延性および靱性の低下を招く。そのため、Nの含有量に上限を設けて0.02%以下とする。Nの含有量は0.018%以下であるのが望ましく、0.015%以下であるのがより望ましい。
O(酸素)は、不純物として合金中に含まれ、その含有量が過剰になると熱間加工性が低下し、さらに靱性および延性の劣化を招く。このため、Oの含有量に上限を設けて0.01%以下とする。Oの含有量は0.008%以下であるのが望ましく、0.005%以下であるのがより望ましい。
Caは、熱間加工性を改善する作用を有する。このため、Caを含有させても良い。しかしながら、Caの含有量が過剰になるとOと結合して、清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。したがって、Caを含有させる場合には、その含有量を0.05%以下とする。Ca含有量は0.03%以下であるのが望ましい。
Mgは、Caと同様、熱間加工性を改善する作用を有する。このため、Mgを含有させても良い。しかしながら、Mgの含有量が過剰になるとOと結合して、清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。したがって、Mgを含有させる場合には、その含有量を0.05%以下とする。Mg含有量は0.03%以下であるのが望ましい。
REMは、Sとの親和力が強く、熱間加工性を改善する作用を有するとともに、高温での使用中のクリープ延性の向上に有効な元素である。このため、REMを含有させても良い。しかしながら、REMの含有量が過剰になるとOと結合して、清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。したがって、REMを含有させる場合には、その含有量を0.1%以下とする。REM含有量は0.06%以下であるのが望ましい。
Coは、Niと同様オーステナイト生成元素であり、相安定性を高めてクリープ強度の向上に寄与する。このため、Coを含有させても良い。しかしながら、Coは極めて高価な元素であるため、Coの過剰の含有は大幅なコスト増を招く。したがって、Coを含有させる場合には、その含有量を1.0%以下とする。Co含有量は0.8%以下であるのが望ましい。
Cuは、クリープ強度を向上させる作用を有する。すなわち、Cuは、NiおよびCoと同様オーステナイト生成元素であり、相安定性を高めてクリープ強度の向上に寄与する。このため、Cuを含有させても良い。しかしながら、Cuが過剰に含有された場合には熱間加工性の低下を招く。したがって、Cuを含有させる場合には、その含有量を4.0%以下とする。Cu含有量は3.0%以下であるのが望ましい。
Moは、クリープ強度を向上させる作用を有する。すなわち、Moは、マトリックスに固溶して高温でのクリープ強度を向上させる作用を有する。このため、Moを含有させても良い。しかしながら、Moが過剰に含有された場合、オーステナイトの安定性が低下して、却ってクリープ強度の低下を招く。したがって、Moを含有させる場合には、その含有量を1.0%以下とする。Mo含有量は0.8%以下であるのが望ましい。
Vは、クリープ強度を向上させる作用を有する。すなわち、Vは、CまたはNと結合して微細な炭化物または炭窒化物を形成し、クリープ強度を向上させる作用を有する。このため、Vを含有させても良い。しかしながら、Vが過剰に含有された場合、炭化物または炭窒化物として多量に析出し、クリープ延性の低下を招く。したがって、Vを含有させる場合には、その含有量を0.5%以下とする。V含有量は0.4%以下であるのが望ましい。
本発明に係るオーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造に使用する溶接材料に含有される各元素の限定理由は下記のとおりである。
Cは、溶接後の溶接金属中のオーステナイトを安定化させる作用を有するとともに、微細な炭化物を形成し、高温使用中のクリープ強度を向上させる効果を有する元素である。さらには、溶接凝固中にCrと共晶炭化物を形成することで、凝固割れ感受性の低減にも寄与する。この効果を十分に得るためには、0.06%以上のC含有量が必要である。しかしながら、C含有量が過剰であると、炭化物が多量に析出するため、却ってクリープ強度および延性を低下させる。したがって、C含有量は0.18%以下とする。C含有量は0.07%以上であるのが好ましく、0.08%以上であるのがより好ましい。また、C含有量は0.16%以下であるのが望ましく、0.14%以下であるのがより望ましい。
Siは、溶接材料の製造時において脱酸に有効であるとともに、溶接後の溶接金属の高温での耐食性および耐酸化性の向上に有効な元素である。しかしながら、Siが過剰に含有された場合にはオーステナイトの安定性が低下して、靱性およびクリープ強度の低下を招く。そのため、Siの含有量に上限を設けて1.0%以下とする。Si含有量は0.8%以下であるのが望ましく、0.6%以下であるのがより望ましい。
Mnは、Siと同様、溶接材料の製造時において脱酸に有効な元素である。また、Mnは、溶接後の溶接金属中のオーステナイトの安定化にも寄与する。しかしながら、Mnの含有量が過剰になると脆化を招き、さらに、靱性およびクリープ延性の低下も生じる。そのため、Mnの含有量に上限を設けて2.0%以下とする。Mnの含有量は1.8%以下であるのが望ましく、1.5%以下であるのがより望ましい。
Pは、不純物として溶接材料中に含まれ、溶接中に凝固割れ感受性を高める元素である。さらに、高温で長時間使用した後の溶接金属のクリープ延性を低下させる。そのため、Pの含有量に上限を設けて0.03%以下とする。Pの含有量は、0.025%以下であるのが望ましく、0.02%以下であるのがより望ましい。
Sは、Pと同様に不純物として溶接材料中に含まれ、多量に含まれる場合には、熱間加工性および溶接性を著しく低下させ、さらにSは、高温で長時間使用する際に、溶接金属において柱状晶粒界に偏析して脆化を招き、応力緩和割れ感受性を高める。そのため、Sの含有量に上限を設けて0.01%以下とする。Sの含有量は、0.008%以下であるのが望ましく、0.005%以下であるのがより望ましい。
Niは、溶接後の溶接金属中のオーステナイトを安定化させるのに有効な元素であり、高温での長時間使用時における組織安定性を確保するために必須の元素である。その効果を得るためには、溶接材料のNi含有量を40.0%以上とする必要がある。しかしながら、Niは高価な元素であり、小規模製造の溶接材料においても、多量に含有させるとコストの増大を招く。そのため、上限を設けて、Niの含有量を40.0〜60.0%とする。Ni含有量は40.5%以上であるのが望ましく、41.0%以上であるのがより望ましい。また、Ni含有量は59.5%以下であるのが望ましく、59.0%以下であるのがより望ましい。
Crは、溶接後の溶接金属の高温での耐酸化性および耐食性の確保のために有効な元素である。また、Crは、微細な炭化物を形成してクリープ強度の確保にも寄与する。さらに、溶接凝固中にCと共晶炭化物を形成することで、凝固割れ感受性の低減にも寄与する。これらの効果を得るためには、20.0%以上のCr含有量が必要である。しかしながら、Crの含有量が26.0%を超えると、高温でのオーステナイトの安定性が劣化してクリープ強度の低下を招く。したがって、溶接材料のCrの含有量を20.0〜26.0%とする。Cr含有量は20.5%以上であるのが望ましく、21.0%以上であるのがより望ましい。また、Cr含有量は25.5%以下であるのが望ましく、25.0%以下であるのがより望ましい。
MoおよびWは、溶接金属においてマトリックスに固溶し、または、微細な金属間化合物相を形成して、高温でのクリープ強度および引張強さの向上に大きく寄与する元素である。この効果を十分に得るためには、MoおよびWの一方または両方を合計で6.0%以上含有させる必要である。しかしながら、これらの元素を過剰に含有させても効果は飽和し、却ってクリープ強度を低下させる。さらに、MoおよびWは高価な元素であるため、過剰に含有させるとコストの増大を招く。そのため上限を設けて、MoおよびWの一方または両方の合計含有量を6.0〜13.0%とする。合計含有量は6.5%以上であるのが望ましく、7.0%以上であるのがより望ましい。また、合計含有量は12.5%以下であるのが望ましく、12.0%以下であるのがより望ましい。
Tiは、溶接金属中に微細な炭窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度および引張強さの向上に寄与する。その効果を十分に得るためには、Ti含有量を0.05%以上とする必要がある。しかしながら、Tiの含有量が過剰になると炭窒化物が多量に析出し、クリープ延性および靱性の低下を招く。そのため、上限を設けて、溶接材料のTiの含有量を0.05〜0.6%とする。Ti含有量は0.06%以上であるのが望ましく、0.07%以上であるのがより望ましい。また、Ti含有量は0.58%以下であるのが望ましく、0.55%以下であるのがより望ましい。
Alは、溶接材料の製造時において脱酸に有効な元素である。また、溶接金属において微細な金属間化合物相を形成して、クリープ強度の向上に寄与する。しかしながら、Alの含有量が過剰になると合金の清浄性が著しく劣化して、溶接材料の熱間加工性および延性が低下するため、製造性が悪化する。加えて、溶接金属中で多量の金属間化合物相を形成し、高温で長時間使用した際の応力緩和割れ感受性を著しく高める。そのため、上限を設けて、溶接材料のAlの含有量を1.5%以下とする。Al含有量は1.4%以下であるのが望ましく、1.3%以下であるのがより望ましい。
Nは、溶接金属中のオーステナイトを安定化させ、クリープ強度を向上させるとともに、固溶して引張強さの確保に寄与する元素である。しかしながら、過剰に含有されると、高温での使用中に多量の微細窒化物が粒内に析出してクリープ延性および靱性の低下を招く。そのため、溶接材料のN含有量に上限を設けて0.18%以下とする。N含有量は0.16%以下であるのが望ましく、0.14%以下であるのがより望ましい。
O(酸素)は、不純物として溶接材料中に含まれ、その含有量が過剰になると熱間加工性が低下し、製造性の劣化を招く。このため、Oの含有量に上限を設けて0.01%以下とする。Oの含有量は0.008%以下であるのが望ましく、0.005%以下であるのがより望ましい。
Coは、Niと同様に溶接金属のオーステナイト組織を安定にし、クリープ強度の向上に寄与するため、必要に応じて含有させても良い。しかしながら、Coは極めて高価な元素であるため、溶接材料といえども過剰の含有は大幅なコスト増を招く。したがって、Coを含有させる場合には、その含有量を15.0%以下とする。Co含有量は14.0%以下であるのが望ましく、13.0%以下であるのがさらに望ましい。なお、上記の効果を得たい場合はCo含有量を0.01%以上とするのが望ましく、0.03%以上とするのがより望ましい。
Nbは、CまたはNと結合して微細な炭化物または炭窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度向上に寄与するため、必要に応じて含有させても良い。しかしながら、Nbの含有量が過剰になると炭化物および炭窒化物として多量に析出し、クリープ延性および靱性の低下を招く。したがって、Nbを含有させる場合には、その含有量を0.5%以下とする。Nb含有量は0.48%以下であるのが望ましく、0.45%以下であるのがより望ましい。なお、上記の効果を得たい場合は、Nb含有量を0.01%以上とするのが望ましく、0.03%以上とするのがより望ましい。
Bは、溶接金属のクリープ強度の向上に有効であるとともに、粒界に偏析して粒界を強化するのに有効な元素であるため、必要に応じて含有させても良い。しかしながら、Bの含有量が過剰になると、溶接中の凝固割れ感受性が著しく高くなる。したがって、Bを含有させる場合には、その含有量を0.005%以下とする。B含有量は0.004%以下であるのが望ましく、0.003%以下であるのがより望ましい。なお、上記の効果を得たい場合は、B含有量を0.0001%以上とするのが望ましく、0.0005%以上とするのがより望ましい。
本発明のオーステナイト系耐熱合金溶接継手は、前記合金母材を前記溶接材料を用いて溶接した後、溶接後熱処理を施すことで製造することができる。前述のように、クリープ強度と耐応力緩和割れ性とを両立させるためには、下記(i)〜(iii)式を満足する条件で、溶接後熱処理を行う必要がある。
前述のように、溶接後熱処理して得られた溶接継手を高温環境で長時間使用した際に、クリープ強度が低下することを軽減するためには、溶接後熱処理過程での粗大なM23C6炭化物の生成を抑制すること、および、M23C6炭化物中のCr含有量を高めることが有効である。これらを達成するためには、溶接後熱処理温度を低く設定する必要がある。したがって、溶接後熱処理温度に上限を設け、1250℃以下とする。
溶接後熱処理過程での粗大なM23C6炭化物の生成を抑制するためには、溶接後熱処理温度を規定するだけでは十分でなく、上記温度との関係で、溶接後熱処理時間を管理する必要がある。クリープ強度が低下することを軽減するためには、溶接後熱処理時間を短く設定する必要があり、[−0.6×T+810](min)以下とする。一方、溶接後熱処理時間が短すぎると、溶接残留応力を十分に緩和させることができず、応力緩和割れ感受性の増大を招く。そのため、溶接後熱処理時間は[−0.2×T+270](min)以上とする。
上記の溶接後熱処理温度および溶接後熱処理時間の管理だけでは、溶接後熱処理過程での粗大なM23C6炭化物の生成を完全に抑制することはできない。溶接後熱処理後の降温時においてもM23C6炭化物が生成するため、溶接後熱処理温度に応じて、その温度から500℃までの平均降温速度の下限を管理する必要がある。そのため、溶接後熱処理温度から500℃までの平均降温速度に下限を設け、[0.05×T−10](℃/h)以上とする。
溶接後熱処理の昇温過程において、500℃から溶接後熱処理温度T(℃)までの平均昇温速度RHが40℃/hを下回ると、昇温過程で、粒内に微細な炭化物、炭窒化物および金属間化合物が析出し、複雑な溶接部形状等の場合、溶接後熱処理の過程で応力緩和割れが発生する場合がある。そのため、500℃から溶接後熱処理温度までの平均昇温速度に下限を設け、40(℃/h)以上とすることが望ましい。
本発明に係るオーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造に使用する合金母材および溶接材料の形状または寸法について、特に制限は設けない。ただし、本発明に係る製造方法は、特に厚さが30mmを超える合金母材を用いた場合に効果を発揮する。したがって、合金母材の厚さは、30mmを超えるのが望ましい。
Claims (6)
- 質量%で、
C:0.04〜0.12%、
Si:1.0%以下、
Mn:2.0%以下、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
Ni:42.0〜48.0%、
Cr:20.0〜26.0%、
W:4.0〜10.0%、
Ti:0.05〜0.15%、
Nb:0.1〜0.4%、
Al:0.3%以下、
B:0.0001〜0.01%、
N:0.02%以下、
O:0.01%以下、
Ca:0〜0.05%、
Mg:0〜0.05%、
REM:0〜0.1%、
Co:0〜1.0%、
Cu:0〜4.0%、
Mo:0〜1.0%、
V:0〜0.5%、
残部:Feおよび不純物である化学成分を有する合金母材を、
質量%で、
C:0.06〜0.18%、
Si:1.0%以下、
Mn:2.0%以下、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
Ni:40.0〜60.0%、
Cr:20.0〜26.0%、
MoおよびWの一方または両方の合計:6.0〜13.0%、
Ti:0.05〜0.6%、
Al:1.5%以下、
N:0.18%以下、
O:0.01%以下、
Co:0〜15.0%、
Nb:0〜0.5%、
B:0〜0.005%、
残部:Feおよび不純物である化学成分を有する溶接材料を用いて溶接した後、
下記(i)〜(iii)式を満足する条件で溶接後熱処理を施す、オーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法。
800≦T≦1250 ・・・(i)
−0.2×T+270≦t≦−0.6×T+810 ・・・(ii)
RC≧0.05×T−10 ・・・(iii)
ただし、上式中の各記号の意味は下記の通りである。
T:溶接後熱処理温度(℃)
t:溶接後熱処理時間(min)
RC:Tから500℃までの平均降温速度(℃/h) - 前記合金母材の化学組成が、質量%で、
Ca:0.0001〜0.05%、
Mg:0.0001〜0.05%、
REM:0.0005〜0.1%、
Co:0.01〜1.0%、
Cu:0.01〜4.0%、
Mo:0.01〜1.0%、
V:0.01〜0.5%、
から選択される1種以上を含有する、請求項1に記載のオーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法。 - 前記溶接材料の化学組成が、質量%で、
Co:0.01〜15.0%、
Nb:0.01〜0.5%、
B:0.0001〜0.005%、
から選択される1種以上を含有する、請求項1または請求項2に記載のオーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法。 - 前記溶接後熱処理の条件が、さらに下記(iv)式を満足する、請求項1から請求項3までのいずれかに記載のオーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法。
RH≧40 ・・・(iv)
ただし、上式中の記号の意味は下記の通りである。
RH:500℃からTまでの平均昇温速度(℃/h) - 前記合金母材の厚さが30mmを超える、請求項1から請求項4までのいずれかに記載のオーステナイト系耐熱合金溶接継手の製造方法。
- 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の製造方法を用いて得られる、オーステナイト系耐熱合金溶接継手。
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