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JP6444133B2 - 抗炎症性ポリペプチド及びこれを含む抗炎症性組成物 - Google Patents
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Description

本発明は、抗炎症性ポリペプチド及び当該ポリペプチドを含む抗炎症性組成物に関する。
天然資源の少ない日本において、未利用天然資源の有効利用が課題であることは謳われて久しい。特に海洋に囲まれた国土を有する我が国では、有用な海洋資源の探索及びその利用は重要な意義を持つ。
海洋資源のうち、生育が早くかつ近海で回収が容易な海藻類は、バイオエタノールの原料として、又はフコキサンチンその他の様々な生理活性成分の原料として、多方面において有効利用が図られている。
日本の沿岸及び近海に生息する海藻類の例として、紅藻類(red algae)が挙げられる。紅藻類は、光合成色素としてクロロフィル、フィコシアニン又はフィコエリスリンなどの光合成に関与する色素を含む、全体として紫色から赤色を呈する海藻類であり、およそ五、六千種存在すると報告されている。
紅藻類は、古くから食素材として利用されている。例えば、トコロテンや寒天の原料としてテングサ目(マクサなど)、オゴノリ目(オゴノリなど)又はイギス目(エゴノリなど)に属する紅藻類が、カラギーナンの原料としてスギノリ目(ツノマタなど)に属する紅藻類がそれぞれ利用されている。
紅藻類はまた、様々な生理活性物質として又はその供給源としても利用されている。特に、紅藻類ダルス目ダルス科の藻類の一種であるダルス(英語名Dulse、学名Palmaria palmata)の水抽出物については、免疫抑制作用(特許文献1)、抗腫瘍作用(特許文献2)、抗ラジカル作用(特許文献3)、細胞賦活作用(特許文献4)、メラニン生成抑制作用(特許文献5)などの生理活性を示すことが知られている。
本発明者らは、ダルス由来のフィコビリタンパク質をペプシンとトリプシンで連続的に消化して得られる加水分解物が、カラゲニン誘発浮腫を有意に抑制するなどの抗炎症作用を有することを見いだしている(非特許文献1)。
李大英ら、第67回日本栄養・食糧学会講演要旨集、講演番号3L−03a、公益社団法人日本栄養・食糧学会、平成25年4月30日、第217ページ
特開平6−298661号公報 特開平1−66126号公報 特表平5−504583号公報 特開平8−259443号公報 特開平10−330219号公報
本発明は、海洋資源である紅藻類に含まれるフィコビリタンパク質に由来する、新たな抗炎症性ポリペプチドとこれを含む抗炎症性組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、フィコビリタンパク質に由来する加水分解物の抗炎症作用を研究する過程において、特定のアミノ酸配列からなるオリゴペプチドが抗炎症作用を有していることを見出し、下記の各発明を完成させた。
(1)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は配列番号1に示されるアミノ酸配列の1〜3つのアミノ酸残基が置換され若しくは欠失したアミノ酸配列若しくは配列番号1に示されるアミノ酸配列に1〜3つのアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなり、かつ抗炎症活性を有するポリペプチド。
(2)(1)に記載のポリペプチドの少なくとも一つを有効成分とする抗炎症剤。
(3)(1)に記載のポリペプチドの少なくとも一つを含有する、抗炎症性組成物。
(4)組成物がフィコエリスリンを含む藻類のサーモリシン分解物である、(3)に記載の組成物。
(5)藻類が紅藻類である、(4)に記載の組成物。
(6)紅藻類がダルスである、(5)に記載の組成物。
本発明のポリペプチド及び該ポリペプチドを含む抗炎症性組成物は、天然の海洋資源である藻類、特に食経験のある紅藻類であるダルスに由来するポリペプチド又はサーモリシンによる分解物であり、安全性に優れたポリペプチド又は抗炎症性組成物として利用可能である。
ダルス由来のフィコビリタンパク質のサーモリシン分解物のマウスカラゲニン浮腫抑制作用を示すグラフである。図中の破線はコントロール群、実線はサーモリシン分解物投与群、点線はインドメタシン投与群をそれぞれ表す。 ダルス由来のフィコビリタンパク質のサーモリシン分解物にトリフルオロ酢酸を加えて得られる沈殿物の、マウスマクロファージ様細胞(Raw264.7細胞、細菌由来リポ多糖(LPS)で刺激)からのTNF−α(パネル上)及びIL−6(パネル下)の産生抑制作用を示すグラフである。***はp<0.001で、いずれもStudent−Tテストによる無添加区(Control)との検定結果を示す。 ダルス由来のフィコビリタンパク質のサーモリシン分解物にトリフルオロ酢酸を加えて得られる沈殿物をMALDI−TOF MASSで解析したときのスペクトルである。 化学合成されたポリペプチド(DDP83−92)のTNF−α(パネル上)及びIL−6(パネル下)の産生抑制作用を示すグラフである。*はp<0.05、**はp<0.01で、いずれもStudent−Tテストによる無添加区(0)との検定結果を示す。 ダルスのフィコビリタンパク質を各種のタンパク質分解酵素で消化した分解物の、Raw264.7細胞(LPSで刺激)からのTNF−α(パネル上)及びIL−6(パネル下)の産生抑制作用を示すグラフである。
本出願で開示される発明の一態様である抗炎症性ポリペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は配列番号1に示されるアミノ酸配列の1〜3つのアミノ酸残基が置換され若しくは欠失したアミノ酸配列若しくは配列番号1に示されるアミノ酸配列に1〜3つのアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなり、かつ抗炎症活性を有するポリペプチドである。
配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、フィコビリタンパク質を構成するサブユニットであるフィコエリスリンβ鎖の83番目〜92番目までの部分アミノ酸配列からなるポリペプチドである。以下、このポリペプチドをDDP83−92と表す。
DDP83−92は、ダルスの水抽出画分に含まれるフィコビリタンパク質をタンパク質分解酵素であるサーモリシン(thermolysin、EC3.4.24.27)で消化した分解物から見いだされた、全10残基の比較的短鎖のポリペプチドである。
DDP83−92は、後の実施例にその一部が示されるように、マクロファージからの一酸化窒素(NO)若しくはTNF−αの産生抑制、又はカラギーナン誘導浮腫の抑制などの抗炎症作用を示す。このように、DDP83−92は抗炎症剤として利用可能である。本発明における抗炎症作用とは、マクロファージからの一酸化窒素(NO)、TNF−α若しくはインターロイキン6(IL−6)の産生、又はカラギーナン誘導浮腫の少なくともいずれか一つを抑制することができる作用として定義される。
また本出願は、DDP83−92の改変体、例えば配列番号1に示されるアミノ酸配列の1〜3つのアミノ酸残基が置換され若しくは欠失したアミノ酸配列若しくは配列番号1に示されるアミノ酸配列に1〜3つのアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなり、かつ抗炎症活性を有するポリペプチドも提供する。以下、かかるポリペプチドをDDP83−92改変ポリペプチドと表す。
DDP83−92改変ポリペプチドの好ましい例は、配列番号1に示されるアミノ酸残基の1〜3つがいわゆる保存的に置換されたポリペプチドである。その様なポリペプチドの例としては、配列番号1に示されるアミノ酸配列におけるグルタミン酸がアスパラギン酸に、アスパラギン酸がグルタミン酸若しくはアスパラギンに、アルギニンがリジンに、グリシンがアラニンに、ロイシンがイソロイシン若しくはバリンに、及び/又はイソロイシンがロイシン若しくはバリンにそれぞれ置換された改変ポリペプチドを挙げることができる。また、DDP83−92のN末端及び/又はC末端の各1残基程度が欠失された改変ポリペプチド、DDP83−92のN末端及び/又はC末端に1〜数個の任意のアミノ酸残基が付加されたポリペプチド、ヒスチジンタグなどの機能的アミノ酸配列又は任意のタンパク質との融合タンパク質を構成し得るアミノ酸配列が付加されたポリペプチドなども、DDP83−92改変ポリペプチドの例として挙げることができる。
本出願は、フィコエリスリンを含む藻類、特にフィコエリスリンを含む紅藻類のサーモリシン分解物を、抗炎症性組成物として提供する。
後の実施例で示すように、ダルスのサーモリシン分解物自体、DDP83−92と同様に抗炎症作用を示す。DDP83−92は、ダルスの水抽出画分に含まれるフィコビリタンパク質をサーモリシンで消化した分解物から見いだされた、フィコビリタンパク質を構成するサブユニットであるフィコエリスリンβ鎖の83番目〜92番目までの部分アミノ酸配列からなるポリペプチドである。
藍藻及び紅藻類は、光合成を行うためにフィコビリソームと称されるコアとロッドからなるタンパク質超複合体を有することが知られている。フィコビリソームは、フィコビリンと特定のアポタンパク質が共有結合したフィコビリタンパク質と呼ばれる色素タンパク質と、これを連結するリンカータンパク質を含んでいる。フィコビリソームでは、光合成における光エネルギーの伝達が、光化学的性質が異なる複数のフィコビリタンパク質であるアロフィコシアニン、フィコシアニン、フィコエリスリンなどを介して行われている。フィコエリスリンは、フィコエリスリンβ鎖を構成要素とする赤色蛍光のマルチサブユニットタンパク質であり、フィコビリソームを構成し、紅藻類の赤色の元となっている。
したがって、ダルスに限らず、フィコエリスリンを含む藻類、特にフィコエリスリンを含む紅藻類のサーモリシン分解物も、抗炎症性組成物として利用可能であることが期待される。
本発明において利用可能な藻類はフィコビリタンパク質であるフィコエリスリンを含む藻類であり、含有量が高い紅藻類であることが好ましい。そのような紅藻類の例としては、アクロカエティウム目、チノリモ目、ウシケノリ目、ウミゾウメン目、エリスロペルティス目、オオイシソウ目、カクレイト目、サンゴモ目、ダルス目、テングサ目、ロドゴルゴン目、ベニマダラ目、カギノリ目、カギケノリ目、カワモズク目、スギノリ目、オゴノリ目、マサゴシバリ目、イタニグサ目、およびイギス目に属する紅藻類を挙げることができる。好ましい紅藻類はダルス目に属する紅藻類であり、特に好ましい紅藻類はダルスである。
藻類のサーモリシン消化は、生の藻類を微細化したものに対して、又は乾燥させ微粉末化した藻類を適量の水に浸すことで得られる水抽出画分に対して行えばよく、特殊な有機溶媒や補助剤は、使用しても差し支えないが必須ではない。またサーモリシン消化は、試薬として又はバルク製品として市販されているサーモリシンを用い、推奨された反応条件の下で行えばよく、特別な処理条件は必要とはされない。サーモリシンの使用量は、藻類タンパク質の乾燥重量(グラム)に対して0.1〜1%重量の範囲で適宜使用すればよい。処理時間は概ね30分〜6時間、好ましくは1〜3時間とすればよい。
DDP83−92は、サーモリシンにとって好適な温度範囲とされる65〜85℃、さらには100℃に置かれても、その抗炎症作用を失わない。DDP83−92のこのような高温耐性は、藻類のサーモリシン消化を高温で行うことを可能にし、雑菌汚染を防止することができるという利点をもたらし得る。
DDP83−92は、上記紅藻類、特にダルスの水抽出画分に含まれるフィコビリタンパク質をサーモリシンで消化した分解物から、塩析、クロマトグラフィーその他の当業者が通常に行うことができる一般的な方法を用いて、部分的に若しくは高純度に精製し又は単離することができる。
DDP83−92はまた、t−Boc法に代表される種々の化学的方法によって製造することができる。さらに、DDP83−92のアミノ酸配列をコードする核酸を用いた遺伝子工学的方法によって製造することもできる。同様に、DDP83−92改変ポリペプチドも化学的方法及び/又は遺伝子工学的方法によって製造することができる。このようなポリペプチドの化学的方法又は遺伝子工学的方法による製造は、それぞれ当業者に公知又は周知な一般的な方法を用いて行えばよい。
本出願により提供されるポリペプチド又は抗炎症性組成物の好ましい態様において、前記抗炎症性組成物がサーモリシン分解物である場合、その有効量は、投与される個体の体重1kgあたり0.1mg〜500mg、好ましくは1mg〜300mg、より好ましくは5mg〜100mgであり、これを1回または複数回に分けて投与することができる。また、サーモリシン分解物以外の前記抗炎症性組成物の有効量、及びポリペプチドの有効量は、サーモリシン分解物に含まれるポリペプチド量を参照することにより、当業者によって適宜決定される。
本出願により提供されるポリペプチド又は抗炎症性組成物は、精製水その他の溶媒や希釈剤などで適宜希釈した液体状又は固体状の形態へと加工してもよい。更に、本出願により提供されるポリペプチド又は抗炎症性組成物は、当業者に公知の任意の薬学的に許容される賦形剤、担体その他の成分と共に医薬組成物を形成し、又は製剤化することができる。このような医薬組成物及び製剤も、本発明である抗炎症性組成物に包含される。
本出願により提供されるポリペプチド又は抗炎症性組成物と、適当な溶媒、賦形剤、担体及び/又は補助剤等とを含む医薬組成物又は製剤においては、抗炎症作用が発揮されるに十分な量の前記ポリペプチド又は抗炎症性組成物を含有させることが好ましい。かかる量は、投与方法、患者の症状、年齢等に応じて当業者が適宜決めることができる。例えば、該組成物重量当たり、0.1〜50重量%、好ましくは、1〜10重量%程度の前記サーモリシン分解物を含有させることが好ましい。
薬学的に許容される賦形剤、担体その他の成分は当業者において公知又は周知であり、当業者が通常の実施能力の範囲内で、例えば第十六改正日本薬局方その他の規格書に記載された成分から製剤の形態に応じて適宜選択して使用することができる。
賦形剤、担体又は補助剤の例としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、シクロデキストリン、でん粉、ショ糖、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軟質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ろう、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水等を挙げることができる。
本出願により提供されるポリペプチド又は抗炎症性組成物を含む医薬組成物又は製剤は、任意の剤型をとることができる。剤形の例としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒、内服液、散剤及びシロップ剤等の内服剤、坐剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、スプレー剤及びローション剤等の外用剤、液体製剤、懸濁剤、注射剤等を挙げることができる。これらの製剤は、当業者が常法に従って調製することができる。
本出願により提供されるポリペプチド又は抗炎症性組成物を含む医薬組成物又は製剤は、当業者に公知の任意の投与経路、例えば、経口投与、皮膚外用剤等の非経口投与、及び直腸内投与等で投与することができる。このような医薬組成物又は製剤の製造は、それぞれ当業者に公知又は周知な一般的な方法を用いて行えばよい。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の理解を助けるためのものであって、本発明の技術的範囲はこれらにより限定されるものではない。
<実施例1>
1)ダルスのサーモリシン分解物の調製
ダルス葉体を流水で洗浄後、凍結乾燥し、さらに微粉末化した。10g(グラム)の微粉末に100mL(リットル)の蒸留水を加え、5℃で30分間攪拌しながら水抽出を行った。遠心分離によって上澄みを回収し、70%硫安分画を3回行って沈殿を回収し、透析によって塩を取り除いて、粗フィコビリタンパク質画分を得た。
50mLの粗フィコビリタンパク質画分(10mgタンパク質/mL、pHを8.0に調節)に対して、サーモリシン(和光純薬工業製、9200PU/mg、Bacillus thermoproteolyticus Rokko由来)を1%(w/w)となるように加え、70℃で180分間インキュベーションした後、95−98℃で15分間加熱してサーモリシンを失活させた。これを20,000×gで30分間遠心分離して上清を回収し、サーモリシン分解物を得た。
2)抗炎症作用の確認
6週齢の雄ICRマウス(n=7)の右後ろ肢足蹠の容積と厚さをプレシスモメータ(MK−101P、室町機械製)で測定して、0時間の測定値とした。上記で調製したサーモリシン分解物を経口投与(300mgタンパク質/kg体重)した1時間後に、右後ろ肢足蹠皮下へ生理食塩水で溶解した1%カラゲニンを40μL注射投与し、1時間毎に5時間まで、右後ろ肢足蹠の容積と厚さを測定した。また、サーモリシン分解物に代えてインドメタシンを10mg/kg投与したICRマウスをポジコンとして用意した。
サーモリシン分解物と等容積の蒸留水のみを経口投与したコントロールを用意し、その平均値を100%としたときのサーモリシン分解物又はインドメタシンによるカラゲニン浮腫率を図1に示す。
上記の試験の結果、サーモリシン分解物はコントロールに対してカラゲニン浮腫の増悪(浮腫率の上昇)を約4割程度抑制できることが確認された。
<実施例2>
実施例1の1)で調製したサーモリシン分解物(図2でTotalと称する)10mgを、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)溶液に10mg/mLとなるように加え、室温で10分間攪拌した後、20,000×gで10分間遠心分離し、上清と沈殿を回収した。上清はそのまま凍結乾燥して上清画分とした。沈殿は、0.1%TFAを含む蒸留水1mLを加えて室温で超音波処理によって確実に溶解・静置した後、20,000×gで10分間遠心分離するまでの操作を2回繰り返し、最終的に得られた沈殿画分(図2で沈殿と称する)と上清画分(図2で上清と称する)を凍結乾燥した。
10%ウシ胎児血清を含むDMEM培地で培養したRAW264.7細胞を2.0×10個/ウェルで96ウェルプレートに播種した後、2時間インキュベートした。培地を交換した後、直ちに測定試料とLPS(終濃度2.5ng/mL)を添加して24時間培養(37℃、5%CO)した。その後、培養液中のTNF−αおよびIL−6量をELISA法で測定した。TNF−αの測定では、一次抗体と二次抗体にそれぞれ抗マウスTNF−αモノクローナル抗体とビオチン標識TNF−α抗体を用いた。また、IL−6の測定では、一次抗体と二次抗体にそれぞれ抗マウスIL−6モノクローナル抗体とビオチン標識IL−6抗体を用いた。両者の定量は、HRP標識抗ビオチン抗体とTMB溶液を用いた吸光法でおこなった。この結果を図2に示す。図中の数字は各試料の添加量(μg/mL)である。
図2に示されるように、上清画分と比較して沈殿画分においてより強い抗炎症作用が確認された。
<実施例3>DDP83−92の特定及び活性評価
1)MALDI−TOF MASS解析
実施例2で調製した沈殿画分に含まれる物質を、MALDI−TOF MS(Applied Biosystem社製、AB4700、マトリックスはα−CHCA)を用いて解析した。得られたスペクトルを図3に示す。
スペクトル上の主要なピークとしてMw=1247.7を選択し、その構造をさらにCollision induced dissociation(CID)−High energy collision法によって詳細に解析したところ、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであることが確認された。このアミノ酸配列をクエリーとしてDNA Data Bank of Japanに対して検索したところ、フィコエリスリンβ鎖の83番目〜92番目までの部分アミノ酸配列と一致することが確認された。
2)ポリペプチドの合成
ペプチドシンセサイザー(モデルMultiSynTech社、SyroII)を用いて、フィコエリスリンβ鎖の83番目〜92番目までの部分アミノ酸配列からなる純度95%以上のポリペプチド(DDP83−92)を化学合成した。化学合成されたDDP83−92のTNF−α産生抑制能及びIL−6産生抑制能を、実施例2に記載された方法により測定した。その結果を図4に示す。
図4に示されるように、合成されたDDP83−92は、TNF−α及びIL−6の産生をいずれも抑制し、抗炎症作用を有することが確認された。
<試験例>
実施例1の1)のサーモリシンに代えて下記表1に示された酵素(いずれも市販品)を用い、各酵素の至適温度及び至適pHにおいてダルスの粗フィコビリタンパク質を消化して、各酵素による分解物を調製した。酵素量は粗フィコビリタンパク質の1%に統一した。それぞれの分解物の抗炎症作用を、TNF−α産生抑制能及びIL−6産生抑制能を測定することによって確認した。その結果を図5に示す。なお、ペプシン・トリプシンはペプシンとトリプシンの連続消化による分解物を表す。
Figure 0006444133
図5に示されるように、サーモリシン分解物は他の酵素による分解物と比較して、最も強い抗炎症作用を示すことが確認された。
本発明のポリペプチド及び該ポリペプチドを含む抗炎症性組成物は、天然の海洋資源である藻類、特に食経験のある紅藻類であるダルスに由来するポリペプチド又はサーモリシンによる分解物であり、安全性に優れたポリペプチド又は抗炎症性組成物として利用可能である。

Claims (6)

  1. 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は配列番号1に示されるアミノ酸配列の1つのアミノ酸残基が置換され若しくは欠失したアミノ酸配列若しくは配列番号1に示されるアミノ酸配列に1つのアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなり、かつ抗炎症活性を有するポリペプチド。
  2. 請求項1に記載のポリペプチドの少なくとも一つを有効成分とする抗炎症剤。
  3. 請求項1に記載のポリペプチドの少なくとも一つを含有する、抗炎症用組成物。
  4. 組成物がフィコエリスリンを含む藻類のサーモリシン分解物である、請求項3に記載の組成物。
  5. 藻類が紅藻類である、請求項4に記載の組成物。
  6. 紅藻類がダルスである、請求項5に記載の組成物。
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