JP6444408B2 - プロピレングリコールメチルエーテルを製造するための方法 - Google Patents
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Description
本発明の一実施形態によれば、プロピレングリコールメチルエーテルを製造するための方法が提供される。当該方法は、
(a)固体の塩基触媒をメタノールに溶解して均一系溶液を形成し、
(b)カラム内の所定の位置に固定された不均一系塩基触媒を収容して不均一系反応ゾーンを画定した触媒蒸留カラムに前記溶液を供給し、
(c) 酸化プロピレンを前記カラムに供給し、
前記カラム内で、メタノールが均一系触媒反応および不均一系触媒反応のデュアル反応によって酸化プロピレンと反応してプロピレングリコールメチルエーテルを形成し、
(d)実質的に純粋なプロピレングリコールメチルエーテルを前記カラムから底部生成物として取り出すこと、を含む。
(a)固体の塩基触媒をメタノールに溶解して均一系溶液を形成し、
(b)器内の所定の位置に固定された不均一系塩基触媒を収容していて、断熱された状態で稼動する液相予備反応器に前記溶液を供給し、
(c)酸化プロピレンを前記予備反応器に供給し、前記予備反応器内で、メタノールが均一系触媒反応および不均一系触媒反応のデュアル反応によって酸化プロピレンと反応してプロピレングリコールメチルエーテルを形成し、
(d)前記予備反応器内の温度が約100℃に達した際に、形成された反応生成物を、カラム内の所定の位置に固定された不均一系塩基触媒を収容して不均一系反応ゾーンが画定された触媒蒸留カラムに移動させ、追加のメタノールが更なる反応に供するため触媒蒸留カラムに供給されてもよく、且つ、
(e)実質的に純粋なプロピレングリコールメチルエーテルを前記蒸留カラムから底部生成物として取り出すこと、を含む。
<触媒の比較>
数種の塩基触媒に対して、PGMEの製造のための活性に関する試験を行った。
不均一系塩基触媒としてCaO(フィッシャー(Fisher)社、ACS認定)およびMgO(アルファエイサー(Alfa Aesar)社、純度96%以上、325メッシュ)を粉末形態(入荷時のまま)で使用した。NaOH/γ‐アルミナは粉砕γ‐アルミナ(<20メッシュ)から調製した。即ち、50mlの2N‐NaOHに15gのγ‐アルミナを添加し一晩放置した後に、この溶液を200℃の乾燥オーブンで14時間加熱してから、室温に冷却し、これにより得られた粉体ケーキを粉砕してから少量のメタノールでメタノールがリトマス紙で中性と出るまで洗浄した。不均一系アニオン交換樹脂(遊離塩基形態)は、ダウケミカル社(Amberlyst(登録商標)A21、乾燥形態)および三菱化学社(Diaion(登録商標)WA30、WA20、湿潤形態)から入手した。
試験を行った均一系塩基触媒は、アクロスおよびアルドリッチケミカルズ社(Acros and Aldrich chemicals)から入手したナトリウムメトキシドCH3ONa(97%、無水形態) およびカリウムメトキシドCH3OKである。水酸化ナトリウム (NaOH)と水酸化カリウム(KOH)は、溶液に溶解すると本発明に係る方法において望ましくない副生成物とされるグリコールの生成を促してしまうため適さない。
本件(WA21およびWA30)において用いられる不均一系塩基性アニオン交換触媒は、第三級アミン官能基(R‐N(CH3)2)を有する、高度マクロ多孔性の、架橋されたスチレンジビニルベンゼン(S‐DVB)ポリマー構造を基礎とする弱塩基性樹脂である。これら樹脂は、広い孔サイズ分布を有し、機械的強度、浸透力、化学安定性に優れ、熱安定性も100℃に達するとされる。第三級アミンS‐DVBアニオン交換樹脂の典型的な構造式を以下に示す。
図3から見て取れるように、従来の方法は、反応器100とそれに続く蒸留カラム110で構成される。反応器(EQMREACT)は、温度100℃、圧力3atmで稼動する平衡反応器としてモデル化されている。これは、全ての液相が反応器内に存在するようにするためである。反応器を所望の温度設定値で維持するために冷却コイル120が用いられる。下記のケースでのシミュレーションは全て、メタノール1900kg/h、酸化プロピレン1000kg/hの供給比に基づいている。平衡転化を進行させる反応のための充分な反応時間が確保できるものであればいかなる塩基触媒でも用いることができる。なお、当該シミュレーションにおいては、反応器のサイズではなく、冷却水の需要量のみ算出した。
図5に示されている触媒蒸留カラム130は、2つの反応器(均一系および不均一系)を含んでモデル化されている。反応速度式は、関心を引く温度範囲で行われたバッチ試験で得られた関連する実験速度データから作成されたもので、これら速度式をアスペンプラス(登録商標)シミュレーションのために用いた。不均一系塩基性アニオン交換樹脂触媒と反応は、それが配置されたステージにおいてのみカラム内で発生する。均一系触媒であるCH3ONaはメタノールに溶解され、カラム内での反応は、原料がカラムに供給された箇所の上か下のステージにおいて発生する。均一系触媒は揮発性ではないため、供給箇所の下のステージで蒸発して濃縮されることがない。均一系触媒/メタノール溶液はストリーム111によってカラムの上端付近に供給され、一方、より揮発性のある成分である酸化プロピレンはストリーム112でカラムの下端付近に供給される。未反応のメタノールはストリーム113で回収され、生成物であるPGMEはストリーム114から取り出される。コンデンサー115およびリボイラー116はそれぞれ冷却および加熱のために備えられる。
本実施例において不均一系触媒(アニオン交換樹脂)は触媒蒸留カラムのステージ4から9に充填される。
本実施例においては不均一系触媒と均一系触媒の両方が用いられ、反応パラメーターは表4に示されている。不均一系触媒は触媒蒸留カラムのステージ4から9に充填され、メタノールに溶解した均一系触媒はストリーム111として供給され触媒蒸留カラムのステージ2に投入される。均一系反応がステージ2から20で発生する一方、不均一系反応はステージ4から9のみで起こる。酸化プロピレンはカラムのステージ9に供給される。
触媒蒸留カラムは供給モル比=1.5、D/F=0.2、P=2atm、RR=5で稼動され、その他の条件は全て実施例2の2(表4)の通りである。不均一系反応ゾーンの温度は83〜95℃に維持される。図7を参照されたい。
触媒蒸留カラムは供給モル比=5、D/F=0.67、P=3atm、RR=3.2で稼動され、その他の条件は全て実施例2の2(表4)の通りである。反応ゾーンの温度は95〜100℃に維持される。図8を参照されたい。
本実施例において触媒蒸留カラムはリボイラーとコンデンサーを伴って全還流で稼動する。酸化プロピレンの供給はステージ12と15との間に均等に分流され、不均一系反応ゾーンはステージ2〜13の間とステージ15に形成される。その他の条件は、メタノール供給がステージ1に導入されることを除いて、全て実施例2の1(表4)の通りである。不均一系反応ゾーンの温度は82〜100℃である。図9を参照されたい。
ケース1(従来技術)においては、等温反応器が≦100℃での稼動を求められる場合にエネルギーの損失が起きることが示された。触媒の熱分解を防ぐために反応器を100℃以下に制限すべく反応器の冷却が必要になり、これがプロセスからのエネルギーの損失となる。本発明に係るケース3においては、触媒蒸留カラムに予備反応器140を合わせたモデル(図10)を構成した。予備反応器は、メタノールと酸化プロピレンを混合した供給ストリーム121が供給される栓流反応器(PFR)としてモデル化した。この栓流反応器は、断熱された状態(冷却なし)で100℃までで稼動可能であり、この100℃という温度点では、出口ストリーム122が、付加反応および生成物の分離が生じるように触媒蒸留カラム150に供給される。触媒蒸留カラムには追加のメタノールがストリーム123を通して供給されてもよい。未反応のメタノールは留分ストリーム124に回収され、生成物であるPGMEは底部ストリーム125から取り出される。この構成の利点は、原料濃度が最高点にある時に起こる反応速度の増大を利用できる点にある。しかしながらこの方式は、栓流反応器の最初の部分において低い反応温度での余分な接触時間を必要とし得る。
本実施例において不均一系触媒は栓流反応器140および触媒蒸留カラム150のステージ2〜6に充填される。なお触媒蒸留カラム150は10個のステージを含むものである。
本実施例においては不均一系触媒と均一系触媒とが栓流反応器140および触媒蒸留カラム150のステージ2〜6に充填される。なお触媒蒸留カラム150は10個のステージを含むものである。均一系触媒はメタノールと酸化プロピレンが混合された供給ストリーム121に溶解して栓流反応器に投入され、これにより均一系と不均一系の両方の触媒反応が栓流反応器140と触媒蒸留カラム150との両方で発生する。均一系反応は、ストリーム122が投入されるところである触媒蒸留カラム150のステージ6で発生する。
〔エネルギー消費の比較〕
表10は、PGMEの製造に用いられた3種の方法における各エネルギー消費をまとめたものである。ケース1において、液相反応器の従来の方法では反応器の温度を100℃に維持するため冷却負荷が求められる。この熱は触媒蒸留カラム内に集積されるので、新規方法(ケース2)では全体の加熱および冷却要求が比較的低い。表10から見て取れるように、従来の方法(ケース1)を触媒蒸留方法(ケース2およびケース3)に変更することにより、冷却水と蒸気の節減が30%を上回っている。また、予備反応器が触媒蒸留カラムの前に用いられるケース3においても、この効果は実現される。予備反応器は断熱された状態で稼動するので、追加的な加熱や冷却が必要ない。触媒蒸留カラムの加熱負荷および冷却負荷はケース2よりも僅かに高いが、上記の節減効果は設備投資と運転コストの低さとして実現される。
当該方法において最も大きな設備、即ち反応器と分離カラムは、全体の設備投資を大きく左右する。これら設備はコストの内の最も大きな部分を占めるので、設備の構成部品数を減らすまたはカラムのサイズを抑えることによってコストの削減が見込める。ケース1とケース2を比べると、ケース1は、反応器、蒸留カラム、そして対応の熱交換器と、構成部品の数が比較的多く、更に、反応器の温度制御のために冷却システムも必要とする。一方、ケース2では全ての工程が1つのユニット、即ち触媒蒸留カラムに統合されている。ケース2においては、単一の触媒蒸留カラムのみ必要であり、所望の反応およびPGME生成物の分離が行われるよう10〜20個のステージが必要とされる(表4)。しかしながら、20個のステージ(他のパラメーターが変更された場合には10〜20個のステージを使用し得る)を使用するよう最適化した。これに比べて、予備反応器がプロセスに追加されるケース3では、触媒蒸留カラム150内のステージの数量は最適となるよう20個から10個に減らされているが(表7)、10個以下とすることも可能である。これにより触媒蒸留カラムの構築において相当な節約がもたらされる。また、この特徴は、どの触媒システムが用いられるかに関係がない。不均一系触媒(実施例2の1と実施例2の2を比較)を用いる場合でもまたは不均一系/均一系触媒デュアルシステムを用いる場合(実施例3の1と実施例3の2を比較)でも、分離のために必要なステージは同じであり、設備投資も同様である。
1.Chitwood, H. C、Freure, B. T. (1946年)『JACS』、68(4)
2.Reeve, W、Sadie, A.(1950年)『JACS』、72(3)
3.Pecorini, H. A、Banchero, J. T. (1956年)『IndEngChem』、48(8)
Claims (19)
- (a)固体の塩基触媒をメタノールに溶解して均一系溶液を形成し、
(b)カラム内の所定の位置に固定された不均一系塩基触媒を収容して不均一系反応ゾーンを画定した触媒蒸留カラムに前記溶液を供給し、
(c)酸化プロピレンを前記カラムに供給し、
前記カラム内で、メタノールが均一系触媒反応および不均一系触媒反応のデュアル反応によって酸化プロピレンと反応してプロピレングリコールメチルエーテルを形成し、
(d)実質的に純粋なプロピレングリコールメチルエーテルを前記カラムから底部生成物として取り出すこと、
を含み、
均一系塩基触媒が無水ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシドであり、
不均一系塩基触媒がアニオン交換樹脂である、
プロピレングリコールメチルエーテルを製造するための方法。 - 不均一系塩基触媒は、第三級アミン官能基を有する、高度マクロ多孔性の、 架橋されたスチレンジビニルベンゼンポリマー構造を基礎とする弱アニオン性樹脂から選ばれる遊離塩基形態のアニオン交換樹脂である、請求項1に記載の方法。
- 前記触媒蒸留カラム内の圧力が1.8〜4atmである、請求項1に記載の方法。
- 前記触媒蒸留カラム内の圧力が3atmである、請求項3に記載の方法。
- 前記触媒蒸留カラムへのメタノールの酸化プロピレンに対する供給モル比が1.5〜5である、請求項4に記載の方法。
- 前記触媒蒸留カラム内の前記不均一系反応ゾーンの温度は70〜100℃に維持され、前記不均一系反応ゾーンより上方及び下方の温度はそれぞれ50〜70℃、100〜160℃である、請求項5に記載の方法。
- 前記触媒蒸留カラムは、番号付けされて番号順に上から下に配置された複数のステージを有し、均一系触媒/メタノール溶液は前記カラムの上端付近に供給され、酸化プロピレンは前記カラムの下端付近に供給される、請求項6に記載の方法。
- 前記触媒蒸留カラムは10〜20個のステージを含む、請求項7に記載の方法。
- 前記触媒蒸留カラムは20個のステージを含む、請求項8に記載の方法。
- 前記触媒蒸留カラムは1〜20の番号を附されたステージを含み、不均一系触媒はステージ4〜7に配置され、均一系溶液は前記カラムにおけるステージ2に供給され、酸化プロピレンは、前記カラムにおいて単一供給ストリームとしてステージ9に供給されるか、または複合供給ストリームとして前記不均一系反応ゾーン内のいずれかのステージに供給される、請求項9に記載の方法。
- 前記供給モル比が3.44である、請求項10に記載の方法。
- 前記触媒蒸留カラム内の不均一系触媒の総量は酸化プロピレン供給量1000kg/h当たり150〜500kgであり、メタノールの供給量における均一系触媒の総量は使用する不均一系触媒の質量の0.001〜0.01倍の範囲内にある、請求項11に記載の方法。
- メタノール溶液中の均一系触媒および酸化プロピレンは、前記触媒蒸留カラムと流体的に連通している液相予備反応器にまず供給され、前記予備反応器は、前記予備反応器内の所定の位置に固定されて反応に供する不均一系塩基触媒と、均一系触媒反応と不均一系触媒反応のデュアル反応によって酸化プロピレンと反応してプロピレングリコールメチルエーテルを形成するメタノールとを収容しており、前記予備反応器内の温度が100℃に達した際に、形成された反応生成物を更なる反応に供するため前記触媒蒸留カラムに移動させる、請求項1に記載の方法。
- 前記触媒蒸留カラムは上から下に1〜10の番号が附された10個のステージを含み、不均一系触媒はステージ2〜6に配置され、前記予備反応器からの反応生成物が前記触媒蒸留カラムに供給されるところであるステージ6において均一系反応が発生する、請求項13に記載の方法。
- 前記触媒蒸留カラム内の圧力は2.5atmであり、前記予備反応器内の圧力は前記触媒蒸留カラム内の圧力よりも0.2〜0.5atm高い、請求項14に記載の方法。
- (a)固体の塩基触媒をメタノールに溶解して均一系溶液を形成し、
(b)器内の所定の位置に固定された不均一系塩基触媒を収容していて、断熱された状態で稼動する液相予備反応器に前記溶液を供給し、
(c)酸化プロピレンを前記予備反応器に供給し、
前記予備反応器内で、メタノールが均一系触媒反応および不均一系触媒反応のデュアル反応によって酸化プロピレンと反応してプロピレングリコールメチルエーテルを形成し、前記予備反応器内の温度が100℃に達した際に、形成された反応生成物を、カラム内の所定の位置に固定された不均一系塩基触媒を収容して不均一系反応ゾーンが画定された触媒蒸留カラムに移動させ、触媒蒸留カラムには追加のメタノールが更なる反応に供するため供給されてもよく、且つ、
(d)実質的に純粋なプロピレングリコールメチルエーテルを前記カラムから底部生成物として取り出すこと、
を含み、
均一系塩基触媒が無水ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシドであり、
不均一系塩基触媒がアニオン交換樹脂である、
プロピレングリコールメチルエーテルを製造するための方法。 - 不均一系塩基触媒は、第三級アミン官能基を有する、高度マクロ多孔性の、 架橋されたスチレンジビニルベンゼンポリマー構造を基礎とする弱アニオン性樹脂から選ばれる遊離塩基形態のアニオン交換樹脂である、請求項16に記載の方法。
- 前記触媒蒸留カラム内の圧力が1.8〜4atmであり、前記触媒蒸留カラムへのメタノールの酸化プロピレンに対する供給モル比が1.5〜5である、請求項17に記載の方法。
- 前記触媒蒸留カラムは上から下に1〜10の番号が附された10個のステージを含み、不均一系触媒はステージ2〜6に配置され、前記予備反応器からの反応生成物が前記触媒蒸留カラムに供給されるところであるステージ6において均一系反応が発生し、前記触媒蒸留カラム内の圧力は2.5atmであり、前記予備反応器内の圧力は前記触媒蒸留カラム内の圧力よりも0.2〜0.5atm高い、請求項18に記載の方法。
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