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JP6444408B2 - プロピレングリコールメチルエーテルを製造するための方法 - Google Patents
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JP6444408B2 - プロピレングリコールメチルエーテルを製造するための方法 - Google Patents

プロピレングリコールメチルエーテルを製造するための方法 Download PDF

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Description

本発明は、均一系/不均一系のデュアル触媒システムを用いた触媒蒸留によって酸化プロピレンとメタノールからプロピレングリコールメチルエーテル(PGME)を製造する新規の方法に関する。
グリコールエーテルは、アルコールとエーテルの両方の官能性を有する汎用クラスの有機溶媒であり、塗料、コーティング剤、洗浄剤、樹脂、インキにおいて高性能の工業用溶媒として、また、製造における化学中間物では、ジェット燃料における凍結防止剤、油圧システムに用いる流体、可塑剤に用いる化学中間物として利用されている。グリコールエーテルは、淡い芳香を有し且つ毒性が低い無色透明の液体であり、水溶性であると共に多くの有機溶媒と混和する。グリコールエーテルは、アルキレンオキシドの異なる鎖長のアルコールとの触媒反応によって調製される。プロピレングリコールエーテルの場合は、酸性と塩基の両方の触媒を用いて調製することもできる。しかし、酸性触媒は、選択性が比較的低く、異性体生成物の混合物を生成する。塩基触媒反応は、β-異性体(第1級アルコール構造)に対してよりも、α-異性体(第2級アルコール構造を有するとも言う)に対して比較的高い選択性がある。
塩基触媒は均一系とも不均一系とも分類することができ、固体触媒が液体反応混合物に溶解し単一の液相である場合には均一系触媒と呼ばれ、固体触媒が液体反応混合物に溶解しない場合には不均一系触媒と呼ばれる。
現在の工業生産における製法では、均一系触媒をプロピレングリコールエーテルのα-異性体の生成に用いることもあり、アルカリ金属水酸化物(シェルケミカルズ社で使用)やアミン(ダイセル化学工業社で使用)といった均一系塩基触媒が用いられている。
液相反応器において不均一系塩基触媒を用いるグリコールエーテルの製造方法を示す特許が複数存在する。例えばスミス氏らによる米国特許第6291720号は、結晶性金属ケイ酸塩を含む塩基触媒を示している。また、アトキンズ氏らは、米国特許第5110992号にて、マグネシウムとアルミニウムを含有するアニオン複水酸化粘土の焼成を基にしてなる触媒について報告している他に、米国特許第6124506号では、無機金属アニオン、オキソメタレートまたはポリオキソメタレートアニオンである層間アニオンを有する層状複水酸化粘土を含む触媒を報告している。更に、ナガタ氏らによる米国特許第5945568号(1999年)は、鎖長が3以上の連結基を有する第四級アンモニウム基を含む不均一系アニオン交換樹脂の使用を記載している。また、米国特許第4360398号においてセドン氏は、不均一系ポリマー樹脂触媒(例えばS‐DVB、Nafion(登録商標)、Dowex(登録商標)、MSC‐1)の二価金属対イオン(例えば鉄やマグネシウム)との使用を記載している。リー氏らによるPCT特許出願WO2009/091379およびWO2009/091380は、アルカリまたはアルカリ土類金属アルコキシド触媒を用いた上でカルボニル不純物を分離する蒸留を行うプロピレングリコールモノアルキルエーテルの製造方法を記載している。欧州特許第0189247号において、オールダーソン氏とグリーン氏は、1つ以上のアミノ基を含むアニオン交換樹脂を用いるグリコールエーテルの製造方法を記載している。固体塩基触媒には活性が低い問題があるものもあり、アニオン交換樹脂は熱安定性が低い難点もある。また、液相反応器を用いる従来の方法では生成混合物を分離するための手段として蒸留を依然利用している。アニオン交換樹脂を用いる反応器では触媒の熱安定性が問題となり、酸化プロピレンとメタノールの反応は高い発熱を伴うので、反応器の冷却が必要となる。
また、Chemical Engineering and Processing誌第46巻(2007)774‐780頁でのG. Jan Harmsenによる反応蒸留に関する評論記事には、個々の塩基触媒を用いたエーテル化を含む各種の均一系および不均一系触媒反応を記載しているが、両方を行うものではない。
それ自体は周知である触媒蒸留(CD)は、蒸留カラム内で触媒反応と分離を同時に進行する方法を提供する。触媒蒸留は反応を発生させる触媒の種類によって均一系とも不均一系とも分類される。均一系触媒は原料と共にカラム内に導入することができる一方、不均一系触媒は蒸留カラム内に固定される。触媒蒸留カラム内では反応と蒸留の両方が同じ空間で起きる。触媒蒸留は、反応に続いて分離を行う従来の2段階プロセスに多くの利点をもたらす。これら利点として例えば作業(エネルギー)やメンテナンスコストの軽減、設備投資の削減、高い転化率と選択性、共沸混合物が反応器内で形成される場合には分離が改善される点などが挙げられる。触媒蒸留は、カラム中の反応物からの生成物の同時分離が反応を促進して順方向に進行することから、特に平衡制限反応に適している。触媒蒸留はまた、蒸留カラムのリボイラーへの入熱に反応熱が寄与する発熱反応に有利である。また、従来の反応器と同様に、熱を除去する必要が無いので、必要な冷却水の量も減る。更に、稼動条件と反応速度によって、触媒蒸留は、製造に伴う副生成物の量を抑制または最小にするために、またはいずれかの成分を反応させることによる共沸分離の達成のために有利に使用することができる。
発明の要旨
本発明の一実施形態によれば、プロピレングリコールメチルエーテルを製造するための方法が提供される。当該方法は、
(a)固体の塩基触媒をメタノールに溶解して均一系溶液を形成し、
(b)カラム内の所定の位置に固定された不均一系塩基触媒を収容して不均一系反応ゾーンを画定した触媒蒸留カラムに前記溶液を供給し、
(c) 酸化プロピレンを前記カラムに供給し、
前記カラム内で、メタノールが均一系触媒反応および不均一系触媒反応のデュアル反応によって酸化プロピレンと反応してプロピレングリコールメチルエーテルを形成し、
(d)実質的に純粋なプロピレングリコールメチルエーテルを前記カラムから底部生成物として取り出すこと、を含む。
前記触媒蒸留カラムは、番号付けされて番号順に上から下に配置された複数のステージを有し、均一系触媒/メタノール溶液は前記カラムの上端付近に供給され、酸化プロピレンは前記カラムの下端付近に供給されることが好ましい。不均一系塩基触媒は、第三級アミン官能基(R‐N(CH))を有する、高度マクロ多孔性の、架橋されたスチレンジビニルベンゼンポリマー構造を基礎とする弱アニオン性樹脂といった、アニオン交換樹脂(遊離塩基形態)であることが好ましい。このような樹脂は、ダウケミカル社からはAmberlyst(登録商標)A21として乾燥形態で、また三菱化学社からはDiaion(登録商標)WA30として販売されている。
均一系塩基触媒としては、無水ナトリウムメトキシド(97%無水形態)またはカリウムメトキシドが適当である。
前記触媒蒸留カラム内の圧力は1.8〜4atmであることが好ましく、約3atmであることが好ましい。
前記蒸留カラム内の前記不均一系反応ゾーンの温度は約70〜100℃に維持される。前記不均一系反応ゾーンより上方及び下方の温度はそれぞれ50〜70℃、100〜160℃である。
前記触媒蒸留カラムへのメタノールの酸化プロピレンに対する供給モル比は1.5〜5の間であり、好ましくは約3.44である。
前記蒸留カラム内の不均一系触媒の総量は酸化プロピレン供給量1000kg/h当たり150〜500kgである。メタノールの供給量における均一系触媒の総量は使用する不均一系触媒の質量の0.001〜0.01倍の範囲内にある。
前記触媒蒸留カラムは10〜20個のステージを含み、好ましくは20個である。
前記触媒蒸留カラムは1〜20の番号を附されたステージを含み、不均一系触媒はステージ4〜7に配置され、メタノール溶液中の均一系触媒は前記カラムにおけるステージ2に供給され、酸化プロピレンは前記カラムにおけるステージ9に供給される。
この方法の他の実施形態において、当該方法は、器内の所定の位置に固定された不均一系塩基触媒を収容していると共に、前記触媒蒸留カラムと流体的に連通している液相予備反応器に関する。メタノール溶液中の均一系触媒および酸化プロピレンは、前記液相予備反応器にまず供給され、前記液相予備反応器では、均一系触媒反応と不均一系触媒反応のデュアル反応によってメタノールが酸化プロピレンと反応してプロピレングリコールメチルエーテルを形成し、前記予備反応器内の温度が約100℃に達した際に、反応生成物を、更なる反応に供するため、カラム内の所定の位置に固定された不均一系塩基触媒を収容していて不均一系反応ゾーンを画成した前記触媒蒸留カラムに移動させる。
本発明の他の実施形態によれば、当該方法は、
(a)固体の塩基触媒をメタノールに溶解して均一系溶液を形成し、
(b)器内の所定の位置に固定された不均一系塩基触媒を収容していて、断熱された状態で稼動する液相予備反応器に前記溶液を供給し、
(c)酸化プロピレンを前記予備反応器に供給し、前記予備反応器内で、メタノールが均一系触媒反応および不均一系触媒反応のデュアル反応によって酸化プロピレンと反応してプロピレングリコールメチルエーテルを形成し、
(d)前記予備反応器内の温度が約100℃に達した際に、形成された反応生成物を、カラム内の所定の位置に固定された不均一系塩基触媒を収容して不均一系反応ゾーンが画定された触媒蒸留カラムに移動させ、追加のメタノールが更なる反応に供するため触媒蒸留カラムに供給されてもよく、且つ、
(e)実質的に純粋なプロピレングリコールメチルエーテルを前記蒸留カラムから底部生成物として取り出すこと、を含む。
前記触媒蒸留(CD)カラムは、1〜10の番号が附された10個のステージを含むものであることが好ましく、不均一系触媒はステージ2〜6に配置され、前記予備反応器からの反応生成物が前記触媒蒸留カラムに供給されるところであるステージ6において均一系反応が発生し、前記触媒蒸留カラム内の圧力は約2.5atmであり、前記予備反応器内の圧力は前記触媒蒸留カラム内の圧力よりも約0.2〜0.5atm高い。
例えば無水ナトリウムメトキシド等の均一系塩基触媒がメタノールに溶解した形態としてのアルカリ溶液を混合原料に添加すると、不均一系触媒樹脂の失活を防止することができる。アルカリ溶液はまた、PGMEを形成する反応に対して触媒活性を示す。この均一系(溶解したナトリウムメトキシド)と不均一系(不溶性の固体のアニオン交換樹脂)のデュアルシステムでは、連続して樹脂触媒を再生できると同時に、ナトリウムメトキシドの存在により増強された活性を得ることができる。
酸化プロピレンとメタノールとの反応からPGMEを製造するための各種塩基触媒の活性を示すグラフである。 PGMEを製造するための各種触媒の以下の反応条件での活性を示すグラフである。反応条件:T=90℃、P=88psig、供給量=75g、MeOH/POの質量比=2:1。 (従来技術)PGMEを製造するための従来の複数カラム工程を行うための装置の概略図である。 蒸留カラムの長さ方向に沿った液体組成と温度のプロファイルを示すグラフである。 PGMEの合成に用いる本発明に係る触媒蒸留装置の概略図である。 図5の触媒蒸留カラム内の液体組成と温度のプロファイルを示すグラフである。 蒸留カラムの長さ方向に沿った液体組成と温度のプロファイルを示すグラフである(実施例2の3)。 蒸留カラムの長さ方向に沿った液体組成と温度のプロファイルを示すグラフである(実施例2の4)。 蒸留カラムの長さ方向に沿った液体組成と温度のプロファイルを示すグラフである(実施例2の5)。 PGMEの合成に用いる本発明に係る予備反応器を含む触媒蒸留装置の概略図である。 図10の触媒蒸留カラムの長さ方向に沿った液体組成と温度のプロファイルを示すグラフである。
発明の詳細な説明
<触媒の比較>
数種の塩基触媒に対して、PGMEの製造のための活性に関する試験を行った。
触媒活性実験は、均一系と、不均一系と、均一系/不均一系塩基デュアル触媒とを用いて行われた。バッチ実験は、オートクレーブ反応器内で温度90℃、圧力88psigにて触媒1gと原料75gを用いて行った。メタノールの酸化プロピレンに対する供給質量比は2:1である。これら実験の結果を図1に示した。
〔不均一系触媒〕
不均一系塩基触媒としてCaO(フィッシャー(Fisher)社、ACS認定)およびMgO(アルファエイサー(Alfa Aesar)社、純度96%以上、325メッシュ)を粉末形態(入荷時のまま)で使用した。NaOH/γ‐アルミナは粉砕γ‐アルミナ(<20メッシュ)から調製した。即ち、50mlの2N‐NaOHに15gのγ‐アルミナを添加し一晩放置した後に、この溶液を200℃の乾燥オーブンで14時間加熱してから、室温に冷却し、これにより得られた粉体ケーキを粉砕してから少量のメタノールでメタノールがリトマス紙で中性と出るまで洗浄した。不均一系アニオン交換樹脂(遊離塩基形態)は、ダウケミカル社(Amberlyst(登録商標)A21、乾燥形態)および三菱化学社(Diaion(登録商標)WA30、WA20、湿潤形態)から入手した。
〔均一系触媒〕
試験を行った均一系塩基触媒は、アクロスおよびアルドリッチケミカルズ社(Acros and Aldrich chemicals)から入手したナトリウムメトキシドCHONa(97%、無水形態) およびカリウムメトキシドCHOKである。水酸化ナトリウム (NaOH)と水酸化カリウム(KOH)は、溶液に溶解すると本発明に係る方法において望ましくない副生成物とされるグリコールの生成を促してしまうため適さない。
図1から見て取れるように、不均一系触媒は、アニオン交換樹脂が最も高い活性を呈している。これら触媒の内のいくつかでは微量の副生成物(ジプロピレングリコールメチルエーテル、DPGME)が生成されたが、有意な量ではないので、この微量のDPGMEは、アスペンプラス(Aspen Plus)(登録商標)シミュレーションプログラムを使用したプロセス設計のために開発された反応速度モデルには含めなかった。
図2は、均一系および不均一系塩基触媒並びに均一系/不均一系塩基デュアル触媒の活性を比較したグラフである。A21とWA30が同様の活性を呈しているのに対し、WA20の活性は大幅に低い。なお、WA20は、「強」塩基性アニオン樹脂であり、WA30とは異なるクラスのアニオン交換樹脂に分類され(即ち官能性が異なる)、触媒としての能力に劣るだけでなく、温度安定性も遥かに低い。同様に、均一系触媒は、ナトリウムメトキシドがPGMEの製造に資する活性を呈している。アニオン交換樹脂に少量の均一系触媒を混在させると、純粋な添加剤ベースではないが、全体的な活性が増大する。他の試験では、モル基準において均一系触媒のナトリウムメトキシドとカリウムメトキシドとは同様の活性を有する。
<各種アニオン交換樹脂の特性>
本件(WA21およびWA30)において用いられる不均一系塩基性アニオン交換触媒は、第三級アミン官能基(R‐N(CH)を有する、高度マクロ多孔性の、架橋されたスチレンジビニルベンゼン(S‐DVB)ポリマー構造を基礎とする弱塩基性樹脂である。これら樹脂は、広い孔サイズ分布を有し、機械的強度、浸透力、化学安定性に優れ、熱安定性も100℃に達するとされる。第三級アミンS‐DVBアニオン交換樹脂の典型的な構造式を以下に示す。
イオン交換樹脂の触媒活性の損失は、官能基の中和、反応混合物への官能基の溶解、および生成物/副生成物による活性部位の汚染/阻害に起因する。弱塩基性アニオン交換樹脂は、アルカリ溶液を使用して再生することができる。なお、本発明によれば、不均一系樹脂触媒の失活は、アルカリ溶液を形成するために原料中のメタノールに溶解した均一系触媒の存在により防止される。
<ケース1:従来型の液相反応器(従来技術)>
図3から見て取れるように、従来の方法は、反応器100とそれに続く蒸留カラム110で構成される。反応器(EQMREACT)は、温度100℃、圧力3atmで稼動する平衡反応器としてモデル化されている。これは、全ての液相が反応器内に存在するようにするためである。反応器を所望の温度設定値で維持するために冷却コイル120が用いられる。下記のケースでのシミュレーションは全て、メタノール1900kg/h、酸化プロピレン1000kg/hの供給比に基づいている。平衡転化を進行させる反応のための充分な反応時間が確保できるものであればいかなる塩基触媒でも用いることができる。なお、当該シミュレーションにおいては、反応器のサイズではなく、冷却水の需要量のみ算出した。
反応器への供給(ストリーム101)において、メタノールの酸化プロピレンに対する供給モル比は3.44である。ストリーム101は25℃で反応器に投入される。反応器100で反応が起こり、液体生成物が反応器からストリーム103として排出されて蒸留カラムDへ分離を行うため供給される。この反応は液相で行われるので、留分ストリーム(102)の量はゼロである。未反応のメタノールは留分ストリーム104で回収され、生成物であるPGMEが底部ストリーム105から取り出される。コンデンサー106とリボイラー107はそれぞれ冷却および加熱のために用意される。蒸留カラムの稼動パラメーターは表1に示される。
図4は、PGMEの製造のための最適化された従来のプロセスにおける蒸留カラム内の組成と温度のプロファイルを示す。表2はこの蒸留カラムのストリームの組成を示し、表3はこの蒸留カラムのステージのプロファイルを示す。反応器(EQMREACT)の冷却負荷は−784836kJ/hである。表3から見て取れるように、コンデンサー106(ステージ1)の冷却負荷およびリボイラー107(ステージ10)の加熱負荷はそれぞれ−4433808kJおよび4327372kJである。
<ケース2:本発明に係る触媒蒸留カラム>
図5に示されている触媒蒸留カラム130は、2つの反応器(均一系および不均一系)を含んでモデル化されている。反応速度式は、関心を引く温度範囲で行われたバッチ試験で得られた関連する実験速度データから作成されたもので、これら速度式をアスペンプラス(登録商標)シミュレーションのために用いた。不均一系塩基性アニオン交換樹脂触媒と反応は、それが配置されたステージにおいてのみカラム内で発生する。均一系触媒であるCHONaはメタノールに溶解され、カラム内での反応は、原料がカラムに供給された箇所の上か下のステージにおいて発生する。均一系触媒は揮発性ではないため、供給箇所の下のステージで蒸発して濃縮されることがない。均一系触媒/メタノール溶液はストリーム111によってカラムの上端付近に供給され、一方、より揮発性のある成分である酸化プロピレンはストリーム112でカラムの下端付近に供給される。未反応のメタノールはストリーム113で回収され、生成物であるPGMEはストリーム114から取り出される。コンデンサー115およびリボイラー116はそれぞれ冷却および加熱のために備えられる。
ケース2として2つの実施例、即ち、不均一系触媒のみ使用した例である実施例2の1と、均一系触媒および不均一系触媒を共に使用した例である実施例2の2とを提示する。
図4は、基本実施例における触媒蒸留カラムの稼動パラメーターを示している。これらパラメーターは、POの転換が99%を越え、底部生成物におけるPGMEの最低純度が99%となり、且つ、触媒蒸留カラムの不均一系反応ゾーンでの作業温度が≦100℃となるように最適化されたものである。
〔実施例2の1‐不均一系触媒(基本実施例)〕
本実施例において不均一系触媒(アニオン交換樹脂)は触媒蒸留カラムのステージ4から9に充填される。
〔実施例2の2‐不均一系触媒および均一系触媒〕
本実施例においては不均一系触媒と均一系触媒の両方が用いられ、反応パラメーターは表4に示されている。不均一系触媒は触媒蒸留カラムのステージ4から9に充填され、メタノールに溶解した均一系触媒はストリーム111として供給され触媒蒸留カラムのステージ2に投入される。均一系反応がステージ2から20で発生する一方、不均一系反応はステージ4から9のみで起こる。酸化プロピレンはカラムのステージ9に供給される。
実施例2の2では以下のような結果が得られた。図6は触媒蒸留カラム内の組成と温度のプロファイルを示す。表5はこの触媒蒸留カラムのストリームの組成を示し、表6はこの触媒蒸留カラムのステージのプロファイルを示す。表6によると、触媒蒸留カラムのコンデンサー(ステージ1)のための冷却負荷およびリボイラー(ステージ20)のための加熱負荷はそれぞれ−3464913kJおよび2878928kJである。実施例2の1と実施例2の2での冷却負荷は表10に示されている。
各プロセスパラメーターがもたらす影響を調べた結果を以下に示す。
パラメータによっては相関関係にあるものもあり、プロセスパラメーターの一部は触媒蒸留カラムの稼動を最適化するのに従って変更されるべきである。
メタノールの酸化プロピレンに対する供給モル比は好ましくは1.5〜5であり、この比率は供給量に対する留分の比が好ましくは0.2〜0.67であることに対応する。そしてより好ましい上記供給モル比は約3.44であり、これは供給量に対する留分の比が0.55であることに対応する。
不均一系反応ゾーンの好ましい温度範囲は70〜100℃である。また、不均一系反応ゾーンの好ましい位置は供給ストリーム111と112の間、即ち、ステージ2と9の間である。
酸化プロピレン供給ストリーム112は、単一供給ストリームとして不均一系反応ゾーンの下端におけるステージ9の近辺に供給されてもよく、あるいは、複合供給ストリームとして触媒蒸留カラムの不均一系反応ゾーン内のステージ4から9のいずれかに供給されてもよい。
触媒蒸留カラムの稼動圧力は好ましくは1.8〜4atmであり、より好ましくは約3atmである。
〔実施例2の3‐供給モル比=1.5〕
触媒蒸留カラムは供給モル比=1.5、D/F=0.2、P=2atm、RR=5で稼動され、その他の条件は全て実施例2の2(表4)の通りである。不均一系反応ゾーンの温度は83〜95℃に維持される。図7を参照されたい。
〔実施例2の4‐供給モル比=5〕
触媒蒸留カラムは供給モル比=5、D/F=0.67、P=3atm、RR=3.2で稼動され、その他の条件は全て実施例2の2(表4)の通りである。反応ゾーンの温度は95〜100℃に維持される。図8を参照されたい。
〔実施例2の5‐全還流〕
本実施例において触媒蒸留カラムはリボイラーとコンデンサーを伴って全還流で稼動する。酸化プロピレンの供給はステージ12と15との間に均等に分流され、不均一系反応ゾーンはステージ2〜13の間とステージ15に形成される。その他の条件は、メタノール供給がステージ1に導入されることを除いて、全て実施例2の1(表4)の通りである。不均一系反応ゾーンの温度は82〜100℃である。図9を参照されたい。
実施例2の5によれば、酸化プロピレンの供給を複数のステージに分流することによって、反応ゾーンの温度分布がより均等になり、稼動温度を100℃以内に保つことがより容易となる。
実施例2の3〜2の5によれば、最適設計を達成するためには、供給モル比を変化させることによって他の稼動パラメーターも適宜調整する必要があることが示される。
<ケース3:触媒蒸留カラムと予備反応器>
ケース1(従来技術)においては、等温反応器が≦100℃での稼動を求められる場合にエネルギーの損失が起きることが示された。触媒の熱分解を防ぐために反応器を100℃以下に制限すべく反応器の冷却が必要になり、これがプロセスからのエネルギーの損失となる。本発明に係るケース3においては、触媒蒸留カラムに予備反応器140を合わせたモデル(図10)を構成した。予備反応器は、メタノールと酸化プロピレンを混合した供給ストリーム121が供給される栓流反応器(PFR)としてモデル化した。この栓流反応器は、断熱された状態(冷却なし)で100℃までで稼動可能であり、この100℃という温度点では、出口ストリーム122が、付加反応および生成物の分離が生じるように触媒蒸留カラム150に供給される。触媒蒸留カラムには追加のメタノールがストリーム123を通して供給されてもよい。未反応のメタノールは留分ストリーム124に回収され、生成物であるPGMEは底部ストリーム125から取り出される。この構成の利点は、原料濃度が最高点にある時に起こる反応速度の増大を利用できる点にある。しかしながらこの方式は、栓流反応器の最初の部分において低い反応温度での余分な接触時間を必要とし得る。
ケース3として2つの実施例、即ち、栓流反応器140と触媒蒸留カラム150の両方とも不均一系触媒のみ使用した例である実施例3の1と、栓流反応器140と触媒蒸留カラム150の両方とも不均一系触媒および均一系触媒を共に使用した例である実施例3の2とを提示する。栓流反応器と触媒蒸留カラムの稼動パラメーターは表7に示される。
〔実施例3の1‐不均一系触媒〕
本実施例において不均一系触媒は栓流反応器140および触媒蒸留カラム150のステージ2〜6に充填される。なお触媒蒸留カラム150は10個のステージを含むものである。
〔実施例3の2‐不均一系触媒および均一系触媒〕
本実施例においては不均一系触媒と均一系触媒とが栓流反応器140および触媒蒸留カラム150のステージ2〜6に充填される。なお触媒蒸留カラム150は10個のステージを含むものである。均一系触媒はメタノールと酸化プロピレンが混合された供給ストリーム121に溶解して栓流反応器に投入され、これにより均一系と不均一系の両方の触媒反応が栓流反応器140と触媒蒸留カラム150との両方で発生する。均一系反応は、ストリーム122が投入されるところである触媒蒸留カラム150のステージ6で発生する。
図11は触媒蒸留カラム150の長さ方向に沿った組成と温度のプロファイルを示す。触媒蒸留カラム150のカラム圧力を2.5atmと若干低めにすることによって反応ゾーンの温度が100℃以内に保たれる。表8は触媒蒸留カラム150のストリームの組成を示し、表9は触媒蒸留カラム150のステージのプロファイルを示す。表9から見て取れるように、触媒蒸留カラム150におけるコンデンサー126(ステージ1)の冷却負荷およびリボイラー127(ステージ10)の加熱負荷はそれぞれ−3511269kJおよび2918085kJである。実施例3の1および実施例3の2の各冷却負荷は表10に示される。
<触媒蒸留プロセスによる比較的低い設備投資とエネルギー消費>
〔エネルギー消費の比較〕
表10は、PGMEの製造に用いられた3種の方法における各エネルギー消費をまとめたものである。ケース1において、液相反応器の従来の方法では反応器の温度を100℃に維持するため冷却負荷が求められる。この熱は触媒蒸留カラム内に集積されるので、新規方法(ケース2)では全体の加熱および冷却要求が比較的低い。表10から見て取れるように、従来の方法(ケース1)を触媒蒸留方法(ケース2およびケース3)に変更することにより、冷却水と蒸気の節減が30%を上回っている。また、予備反応器が触媒蒸留カラムの前に用いられるケース3においても、この効果は実現される。予備反応器は断熱された状態で稼動するので、追加的な加熱や冷却が必要ない。触媒蒸留カラムの加熱負荷および冷却負荷はケース2よりも僅かに高いが、上記の節減効果は設備投資と運転コストの低さとして実現される。
〔設備投資の比較〕
当該方法において最も大きな設備、即ち反応器と分離カラムは、全体の設備投資を大きく左右する。これら設備はコストの内の最も大きな部分を占めるので、設備の構成部品数を減らすまたはカラムのサイズを抑えることによってコストの削減が見込める。ケース1とケース2を比べると、ケース1は、反応器、蒸留カラム、そして対応の熱交換器と、構成部品の数が比較的多く、更に、反応器の温度制御のために冷却システムも必要とする。一方、ケース2では全ての工程が1つのユニット、即ち触媒蒸留カラムに統合されている。ケース2においては、単一の触媒蒸留カラムのみ必要であり、所望の反応およびPGME生成物の分離が行われるよう10〜20個のステージが必要とされる(表4)。しかしながら、20個のステージ(他のパラメーターが変更された場合には10〜20個のステージを使用し得る)を使用するよう最適化した。これに比べて、予備反応器がプロセスに追加されるケース3では、触媒蒸留カラム150内のステージの数量は最適となるよう20個から10個に減らされているが(表7)、10個以下とすることも可能である。これにより触媒蒸留カラムの構築において相当な節約がもたらされる。また、この特徴は、どの触媒システムが用いられるかに関係がない。不均一系触媒(実施例2の1と実施例2の2を比較)を用いる場合でもまたは不均一系/均一系触媒デュアルシステムを用いる場合(実施例3の1と実施例3の2を比較)でも、分離のために必要なステージは同じであり、設備投資も同様である。
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Claims (19)

  1. (a)固体の塩基触媒をメタノールに溶解して均一系溶液を形成し、
    (b)カラム内の所定の位置に固定された不均一系塩基触媒を収容して不均一系反応ゾーンを画定した触媒蒸留カラムに前記溶液を供給し、
    (c)酸化プロピレンを前記カラムに供給し、
    前記カラム内で、メタノールが均一系触媒反応および不均一系触媒反応のデュアル反応によって酸化プロピレンと反応してプロピレングリコールメチルエーテルを形成し、
    (d)実質的に純粋なプロピレングリコールメチルエーテルを前記カラムから底部生成物として取り出すこと、
    を含
    均一系塩基触媒が無水ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシドであり、
    不均一系塩基触媒がアニオン交換樹脂である、
    プロピレングリコールメチルエーテルを製造するための方法。
  2. 不均一系塩基触媒は、第三級アミン官能基を有する、高度マクロ多孔性の、 架橋されたスチレンジビニルベンゼンポリマー構造を基礎とする弱アニオン性樹脂から選ばれる遊離塩基形態のアニオン交換樹脂である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記触媒蒸留カラム内の圧力が1.8〜4atmである、請求項に記載の方法。
  4. 前記触媒蒸留カラム内の圧力3atmである、請求項に記載の方法。
  5. 前記触媒蒸留カラムへのメタノールの酸化プロピレンに対する供給モル比が1.5〜5である、請求項に記載の方法。
  6. 前記触媒蒸留カラム内の前記不均一系反応ゾーンの温度70〜100℃に維持され、前記不均一系反応ゾーンより上方及び下方の温度はそれぞれ50〜70℃、100〜160℃である、請求項に記載の方法。
  7. 前記触媒蒸留カラムは、番号付けされて番号順に上から下に配置された複数のステージを有し、均一系触媒/メタノール溶液は前記カラムの上端付近に供給され、酸化プロピレンは前記カラムの下端付近に供給される、請求項に記載の方法。
  8. 前記触媒蒸留カラムは10〜20個のステージを含む、請求項に記載の方法。
  9. 前記触媒蒸留カラムは20個のステージを含む、請求項に記載の方法。
  10. 前記触媒蒸留カラムは1〜20の番号を附されたステージを含み、不均一系触媒はステージ4〜7に配置され、均一系溶液は前記カラムにおけるステージ2に供給され、酸化プロピレンは、前記カラムにおいて単一供給ストリームとしてステージ9に供給されるか、または複合供給ストリームとして前記不均一系反応ゾーン内のいずれかのステージに供給される、請求項に記載の方法。
  11. 前記供給モル比3.44である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記触媒蒸留カラム内の不均一系触媒の総量は酸化プロピレン供給量1000kg/h当たり150〜500kgであり、メタノールの供給量における均一系触媒の総量は使用する不均一系触媒の質量の0.001〜0.01倍の範囲内にある、請求項11に記載の方法。
  13. メタノール溶液中の均一系触媒および酸化プロピレンは、前記触媒蒸留カラムと流体的に連通している液相予備反応器にまず供給され、前記予備反応器は、前記予備反応器内の所定の位置に固定されて反応に供する不均一系塩基触媒と、均一系触媒反応と不均一系触媒反応のデュアル反応によって酸化プロピレンと反応してプロピレングリコールメチルエーテルを形成するメタノールとを収容しており、前記予備反応器内の温度100℃に達した際に、形成された反応生成物を更なる反応に供するため前記触媒蒸留カラムに移動させる、請求項に記載の方法。
  14. 前記触媒蒸留カラムは上から下に1〜10の番号が附された10個のステージを含み、不均一系触媒はステージ2〜6に配置され、前記予備反応器からの反応生成物が前記触媒蒸留カラムに供給されるところであるステージ6において均一系反応が発生する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記触媒蒸留カラム内の圧力2.5atmであり、前記予備反応器内の圧力は前記触媒蒸留カラム内の圧力より0.2〜0.5atm高い、請求項14に記載の方法。
  16. (a)固体の塩基触媒をメタノールに溶解して均一系溶液を形成し、
    (b)器内の所定の位置に固定された不均一系塩基触媒を収容していて、断熱された状態で稼動する液相予備反応器に前記溶液を供給し、
    (c)酸化プロピレンを前記予備反応器に供給し、
    前記予備反応器内で、メタノールが均一系触媒反応および不均一系触媒反応のデュアル反応によって酸化プロピレンと反応してプロピレングリコールメチルエーテルを形成し、前記予備反応器内の温度100℃に達した際に、形成された反応生成物を、カラム内の所定の位置に固定された不均一系塩基触媒を収容して不均一系反応ゾーンが画定された触媒蒸留カラムに移動させ、触媒蒸留カラムには追加のメタノールが更なる反応に供するため供給されてもよく、且つ、
    (d)実質的に純粋なプロピレングリコールメチルエーテルを前記カラムから底部生成物として取り出すこと、
    を含
    均一系塩基触媒が無水ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシドであり、
    不均一系塩基触媒がアニオン交換樹脂である、
    プロピレングリコールメチルエーテルを製造するための方法。
  17. 不均一系塩基触媒は、第三級アミン官能基を有する、高度マクロ多孔性の、 架橋されたスチレンジビニルベンゼンポリマー構造を基礎とする弱アニオン性樹脂から選ばれる遊離塩基形態のアニオン交換樹脂であ、請求項16に記載の方法。
  18. 前記触媒蒸留カラム内の圧力が1.8〜4atmであり、前記触媒蒸留カラムへのメタノールの酸化プロピレンに対する供給モル比が1.5〜5である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記触媒蒸留カラムは上から下に1〜10の番号が附された10個のステージを含み、不均一系触媒はステージ2〜6に配置され、前記予備反応器からの反応生成物が前記触媒蒸留カラムに供給されるところであるステージ6において均一系反応が発生し、前記触媒蒸留カラム内の圧力2.5atmであり、前記予備反応器内の圧力は前記触媒蒸留カラム内の圧力より0.2〜0.5atm高い、請求項18に記載の方法。
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