本発明者らは、非−ヒト霊長類への多能性細胞調製物の全身投与の結果、例えば、霊長類における循環オステオカルシンおよび/またはアルカリホスファターゼの増大したレベルによって示される、線維芽細胞活性の劇的な増大がもたらされることを見出した。例えば、発明者らは、霊長類へ多能性細胞調製物を全身投与した結果、投与後2週間以内に血漿中オステオカルシンレベルの約20倍の増大がもたらされたことを見出した。発明者らは、また、霊長類へ多能性細胞調製物を全身投与した結果、投与後6週間以内に血漿中アルカリホスファターゼレベルの大よその検出可能な増加、例えば、5%または10%の増加がもたらされたことを見出した。これは、多能性細胞調製物の全身投与は、代謝性骨障害および男性における低い妊性のような、骨芽細胞活性および/または全身オステオカルシンおよび/またはアルカリホスファターゼの低いレベルに関連する、または低いレベルによって引き起こされる病気の治療に有用であろうことを示す。
従って、本開示は対象における骨芽細胞機能を増加させる方法を提供し、該方法は、幹細胞の集団および/またはその子孫および/またはそれに由来する可溶性因子を対象に全身投与することを含む。
1つの例において、対象は、低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する、および/または低いオステオカルシンのレベルまたは活性に関連する障害を患っている。
該障害は代謝性骨障害または男性不妊であってよい。
該代謝性骨障害は骨軟化症、骨粗鬆症、骨化石病、パジェット病およびX染色体性低リン酸塩血症性くる病、腎不全−関連骨形成異常症、大理石骨病、嚢胞性線維性骨炎およびグルココルチコイド−誘導骨喪失よりなる群から選択されてよい。
1つの例において、対象は骨粗鬆症を患っている。1つの例において、該方法は骨粗鬆症を患っている対象における骨折の危険性を予防し、または低下させる。
1つの例において、対象は骨折を患っている。1つの例において、該方法は骨折の治癒を加速し、および/または遷延治癒骨折を予防し、および/または骨折の癒着不能を予防する。この点に関して、対象は代謝性骨障害または男性不妊を患っている可能性がある。あるいは、対象は正常な対象であり得る、すなわち、代謝性骨障害または男性不妊を患っていない可能性がある。かくして、対象は骨折を患っているいずれの対象でもあり得る。
1つの例において、幹細胞の集団および/またはその子孫および/またはそれに由来する可溶性因子の投与の結果、対象における血漿中オステオカルシンレベルの増加をもたらす。
1つの例において、幹細胞の投与は、対象における骨芽細胞によりオステオカルシンの生産を刺激する。
1つの例において、幹細胞の集団および/またはその子孫および/またはそれに由来する可溶性因子の投与の結果、投与後2週間(または4週間または6週間)以内に血漿中オステオカルシンレベルの少なくとも5倍、または少なくとも10倍または少なくとも20倍の増加をもたらす。
1つの例において、幹細胞の集団および/またはその子孫および/またはそれに由来する可溶性因子の投与の結果、対象における血漿中アルカリホスファターゼレベルの増大をもたらす。
1つの例において、幹細胞の投与は、対象における骨芽細胞によるアルカリホスファターゼの生産を刺激する。
1つの例において、幹細胞の集団および/またはその子孫および/またはそれに由来する可溶性因子の投与の結果、投与前の血漿中アルカリホスファターゼのレベルと比較して、投与後6週間以内に、血漿中アルカリホスファターゼのレベルの少なくとも5、または10、または20、または30、または40、または50、または60パーセントの増加をもたらす。
1つの例において、幹細胞は多能性細胞である。もう1つの例において、多能性細胞はSTRO−1+細胞である。なおもう1つの例において、多能性細胞はSTRO−1ブライト細胞である。なおもう1つの例において、STRO−1+細胞はTNAPマーカーを共発現する。
1つの例において、本明細書中で記載された方法は、STRO−1ブライト細胞および/またはその子孫および/またはそれに由来する可溶性因子が豊富化された細胞の集団を投与することを含む。
1つの例において、本明細書中で記載された方法は、STRO−1+および組織非特異的アルカリホスファターゼ+(TNAP)+細胞および/またはその子孫および/またはそれに由来する可溶性因子が豊富化された細胞の集団を投与することを含む。
1つの例において、幹細胞の集団および/または子孫および/または可溶性因子は静脈内投与される。
1つの例において、幹細胞の集団および/または子孫および/または可溶性因子は複数回投与される。
例えば、幹細胞の集団および/または子孫および/または可溶性因子は、4週間毎に1回、またはそれ以上の週間毎に1回投与される。
例えば、幹細胞の集団および/または子孫および/または可溶性因子は8週間またはそれ以上毎に1回投与される。
例えば、幹細胞の集団および/または子孫および/または可溶性因子は、12週間毎に1回、またはそれ以上の週間毎に1回投与される。
1つの例において、いずれの例による本明細書中で記載された方法も、kg当たり、0.1×106〜5×106の間のSTRO−1+細胞および/またはその子孫を投与することを含む。
1つの例においていずれの例による本明細書中で記載された方法も、kg当たり、0.3×106〜2×106の間のSTRO−1+細胞および/またはその子孫を投与することを含む。例えば、該方法は、kg当たり、約1×106または2×106のSTRO−1+細胞および/またはその子孫を投与することを含む。
1つの例において、いずれの例による本明細書中に記載された方法も、低い用量のSTRO−1+細胞および/またはその子孫を投与することを含む。例えば、低用量のSTRO−1+細胞および/またはその子孫は、kg当たり、0.1×105および0.5×106の間のSTRO−1+細胞および/またはその子孫を含む。例えば、低用量のSTRO−1+細胞および/またはその子孫は、kg当たり、約0.3×106のSTRO−1+細胞および/またはその子孫を含む。
1つの例において、いずれの例による本明細書中に記載された方法も、高用量のSTRO−1+細胞および/またはその子孫を投与することを含む。
1つの例において、幹細胞の集団および/または子孫細胞は自己または同種異系であり、および/または可溶性因子は自己または同種異系細胞に由来し得る。1つの例において、該集団および/または子孫は同種異系であり、および/または可溶性因子は同種異系細胞からのものである。
前記例によると、該方法は、加えて、幹細胞の集団および/または子孫細胞および/または可溶性因子を得ることを含むことができ、あるいは、加えて、幹細胞の集団および/または子孫細胞および/または可溶性因子を単離することを含むことができる。1つの例において、幹細胞の集団および/または子孫細胞の単離は、STRO−1および/またはTNAPの発現に基づく。
1つの例において、幹細胞の集団および/または子孫細胞および/または可溶性因子は治療すべき対象から得られる。もう1つの例において、幹細胞の集団および/または子孫細胞および/または可溶性因子は同一種の異なる対象から得られる。
1つの例において、幹細胞および/または子孫細胞は、投与に先立って、および/または可溶性因子を得るに先立って、培養拡大されている。
前記例によると、いずれの例による本明細書中に記載された方法も、加えて、幹細胞の集団および/または子孫細胞を培養することを含む。
1つの例において、幹細胞および/またはその子孫細胞および/またはそれに由来する可溶性因子は、該幹細胞および/またはその子孫細胞および/またはそれに由来する可溶性因子および担体および/または賦形剤を含む組成物の形態で投与される。
前記例によると、いずれの例による本明細書中に記載された方法も、加えて、該集団および/または子孫および/または可溶性因子を組成物に処方することを含むことができる。
本開示は、いずれかの例による本明細書中に記載された方法での使用説明書を包装した、幹細胞の集団および/またはその子孫および/またはそれに由来する可溶性因子を含むキットも提供する。
例えば、本開示は、いずれかの例による本明細書中に記載された方法における組成物の使用を示す製品の情報を包装した、該集団および/または子孫および/または可溶性因子を含む組成物を含むキットを提供する。
本開示は、対象において、低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害を治療または予防する方法も提供し、該方法は幹細胞の集団および/またはその子孫および/またはそれに由来する可溶性因子を対象に投与することを含む。
1つの例において、対象は骨粗鬆症を患っている。1つの例において、該方法は、骨粗鬆症を患っている対象における骨折の危険性を予防し、または低下させる。
1つの例において、対象は骨折を患っている。1つの例において。該方法は、骨折の治癒を加速し、および/または骨折の遷延治癒骨折を予防し、および/または骨折の癒着不能を予防する。
本開示は、それを必要とする対象におけるオステオカルシンレベル(例えば、血漿中オステオカルシンレベル)を増加させる方法も提供し、該方法は、本明細書中に記載された幹細胞の集団および/または本明細書中に記載されたその子孫および/または本明細書中に記載されたそれに由来する可溶性因子を対象に投与(例えば、全身投与)することを含む。
1つの例において、該細胞または因子は、対象におけるオステオカルシンレベル(例えば、血漿中オステオカルシンレベル)を増加させるのに十分な量で投与される。
1つの例において、必要とする対象は、例えば、正常なおよび/または健康な集団におけるレベルと比較して、オステオカルシン、例えば、血漿中オステオカルシンの低下したレベルを有する。
本開示は、それを必要とする対象において、アルカリホスファターゼレベル(例えば、血漿中アルカリホスファターゼレベル)を増加させる方法も提供し、該方法は、本明細書中に記載された幹細胞の集団および/または本明細書中に記載されたその子孫および/または本明細書中に記載されたそれに由来する可溶性因子を対象に投与(例えば、全身投与)することを含む。
1つの例において、該細胞または因子は、対象におけるアルカリホスファターゼレベル(例えば、血漿中アルカリホスファターゼレベル)を増加させるのに十分な量で投与される。
1つの例において、必要とする対象は、例えば、正常なおよび/または健康な集団におけるレベルと比較して、アルカリホスファターゼ、例えば、血漿中アルカリホスファターゼの低下したレベルを有する。
本開示は、男性不妊または代謝性骨障害の治療または予防で用いられる幹細胞の集団および/またはその子孫および/またはそれに由来する可溶性因子も提供する。
本開示は、対象における男性不妊または代謝性骨障害を治療または予防するための医薬の製造における、幹細胞の集団および/またはその子孫および/またはそれに由来する可溶性因子の使用も提供する。
一般的な技術および選択された定義
本明細書を通じて、具体的にそうでないことが述べられているのでなければ、または文脈がそうでないことを要求しているのでなければ、単一の工程、組成物、工程の群または組成物の群への言及は、1および複数の(すなわち、1以上の)それらの工程、組成物、工程の群または組成物の群を含むと把握されるべきである。
本明細書中に記載された各具体例または例は、そうでないことが具体的に述べられているのでなければ、各およびあらゆる他の実施態様に対して上記に準じて適用されるべきである。
当業者であれば、本明細書中に記載された開示は、具体的に記載されたもの以外の変形および修飾が可能であることを認識するであろう。開示は全てのそのような変形および修飾を含むと理解される。開示は、本明細書中で言及されたまたは示された工程、特徴、組成物および化合物の全てを個々にまたは集合的に、およびいずれかおよび全ての組合せ、または該工程または特徴のいずれかの2以上も含む。
本開示は、例示の目的のみを意図する、本明細書中に記載された具体的な実施態様によってその範囲が限定されるものではない。機能的に同等な生成物、組成物および方法は、明らかに、本明細書中に記載された開示の範囲内にある。
本開示は、そうでないことが示されているのでなければ、分子生物学、微生物学、ウイルス学、組換えDNA技術、溶液中でのペプチド合成、固相ペプチド合成、および免疫学の慣用的な技術を用いて過度な実験無くして行われる。そのような手法は、例えば、Sambrook,Fritsch & Maniatis,Molecular Cloning:A Labratory Manuual,Cold Spring Harbor Labratories,New York,第二版(1989)、I、II、およびIII巻の全て;DNA Cloning:A Practical Approach,IおよびII巻(D.N.Glover編,1985)、IRL Press,Oxford,テキストの全て;Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach(M.J.Gait編,1984)IRL Press,Oxford,テキストの全て、および特に、Gaitによるその中の論文,ppl−22;Atkinson et al,pp35−81;Sproat et al,pp 83−115;およびWu et al,pp 135−151;4.Nucleic Acid Hybridization:A Practical Approach(B.D.Hames & S.J.Higgins編,1985)IRL Press,Oxford,テキストの全て;Immobilized Cells and Enzymes:A Practical Approach(1986)IRL Press,Oxford,テキストの全て;Perbal,B.,A Practical Guide to Molecular Cloaning(1984);Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan編,Academic Press,Inc.),シリーズの全て;J.F.Ramalho Ortigao,“The Chemistry of Peptide Synthesis”In:Knowledge database of Access to Virtual Labratoryウエブサイト(Interactiva,ドイツ国);Sakakibara,D.,Teichman,J.,Lien,E.Land Fenichel,R.L.(1976)Biochem.Biophys.Res.Commun.73 336−342;Merrifield,R.B.(1963)J.Am.Chem.Soc.85,2149−2154;Barany,G.およびMerrifield,R.B.(1979)in The Peptides(Gross,E.およびMeienhofer,J.編),vol.2,pp.1−284,Academic Press,New York.12.Wunsch,E.編(1974)Synthese von Peptiden in Houben−Weyls Metoden der Organischen Chemic(Muler,E.編),vol.15,4th edn.,Part 1および2,Thieme,Stuttgart;Bodanszky,M.(1984)Principles of Peptide Synthesis,Springer−Verlag,Heidelberg;Bodanszky,M.& Bodanszky,A.(1984)The Practice of Peptide Synthesis,Springer−Verlag,Heidelberg;Bodanszky,M.(1985)Int.J.Peptide Protein Res.25,449−474;Handbook of Experimental Immunology Vols.I−IV(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編,1986,Blackwell Scientific Publications);およびAnimal Cell Culture:Practical Approach,第三版(John R.W.Masters編,2000),ISBN 0199637970,テキストの全てに記載されている
本明細書を通じて、文脈がそうでないことを要求するのでなければ、単語「含む」または「(主語が単数の場合の)含む」または「含んでいる」のような変形は、述べられた工程またはエレメントまたは整数あるいは工程またはエレメントまたは整数の群の包含を意味するが、いずれかの他の工程またはエレメントまたは整数あるいはエレメントまたは整数の群の排除を意味しないと理解されるであろう。
本明細書中で用いるように、用語「に由来する」は、特定の整数が、その源から必ずしも直接的にではないにせよ、特定の源から得られてよいことを示すと把握されるべきである。幹細胞および/またはその子孫細胞に由来する可溶性因子の文脈において、この用語は、幹細胞および/またはその子孫細胞のイン・ビトロ培養の間に生産された1以上の因子、例えば、タンパク質、ペプチド、炭水化物等を意味すると把握されるべきである。
本明細書中で用いるように、用語「骨芽細胞機能」は、細胞外マトリックス、例えば、類骨を生産しおよび/または分泌する骨芽細胞の能力を含むと理解されるであろう。類骨は、1型コラーゲン、コンドロイチン硫酸およびオステオカルシンを含む未石灰化骨マトリックスである。用語「骨芽細胞機能」は、加えて、または別法として、細胞外マトリックス、例えば、類骨を石灰化する細胞の能力を意味する。1つの例において、用語「骨芽細胞機能」は、対象における増加する骨形成を含むと理解されるであろう。
対象における増大する「骨芽細胞機能」は、細胞外マトリックスを生産し、および/または分泌し、および/または細胞外マトリックスを石灰化する骨化細胞の能力を増加させることによって、および/または骨前駆細胞の増殖および/または骨前駆細胞の骨芽細胞への分化を増加させることによって達成することができる。例えば、対象における増加する骨芽細胞機能は、対象における、またはその骨における骨芽細胞の数を増加させることによって達成することができる。
本明細書中で用いるように、用語「有効量」は、骨芽細胞機能および/または骨芽細胞のレベルまたは活性および/または全身オステオカルシンレベルおよび/またはアルカリホスファターゼレベルの対象における有意な増加を達成する幹細胞および/またはその子孫細胞および/またはそれに由来する可溶性因子の十分な量を意味すると把握されるべきである。骨芽細胞機能および/または骨芽細胞のレベルまたは活性および/または全身オステオカルシンレベルおよび/またはアルカリホスファターゼレベルの有意な増加は、例えば、少なくとも2倍の増加、または少なくとも5倍の増加、または少なくとも10倍の増加、少なくとも20倍の増加、または少なくとも25倍の増加であってよい。
本明細書中で用いるように、用語「治療上有効量」は、低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害を治療する幹細胞および/またはその子孫細胞および/またはそれに由来する可溶性因子の十分な量を意味すると把握されるべきである。
本明細書中で用いるように、用語「予防上有効量」は、低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害の開始を予防し、または阻害し、または遅延させる幹細胞および/またはその子孫細胞および/または可溶性因子の十分な量を意味すると把握されるべきである。
本明細書中で用いるように、用語「低用量」は、1×106未満の幹細胞および/またはその子孫の量を意味する、本明細書中で定義される「有効量」および/または本明細書中で定義される「治療上有効量」および/または「予防上有効量」であるのがなおさらに十分であると理解されるべきである。例えば、低用量は0.5×106またはより少数の細胞または0.4×106またはより少数の細胞、または0.3×106またはより少数の細胞、または0.1×106またはより少数の細胞を含む。
本明細書中で用いるように、用語「高用量」は、1.5×106を超える細胞/kgと理解されるべきである。例えば、用量は約1.5×106および約4×106の間の細胞/kgを含む。例えば、高用量は約1.5×106または約2×106/kgを含む。
本明細書中で用いるように、用語「治療する」または「治療」または「治療している」は、治療上有効量の可溶性因子および/または細胞を投与すること、および対象がもはや障害を持つと臨床的に診断されないように、低い骨芽細胞のレベルおよび活性に関連する障害の兆候を低下させ、または阻害することを意味すると理解されるべきである。
本明細書中で用いるように、用語「予防する」または「予防している」または「予防」は、予防上有効量の可溶性因子および/または細胞を投与すること、または低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害の発生または進行を停止させ、または妨げ、または遅延させることを意味すると把握されるべきである。
本明細書中で用いるように、用語「可溶性因子」は、水溶性である、幹細胞および/またはその子孫によって生産されたいずれかの分子、例えば、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、糖ペプチド、リポタンパク質、リポペプチド、炭水化物等を意味すると把握されるべきである。そのような可溶性因子は細胞内のものであるか、および/または細胞によって分泌されてよい。そのような可溶性因子は複合混合物(例えば、上清)および/またはその画分であってよく、および/または精製された因子であってよい。本開示の1つの例において、可溶性因子は上清であるか、または上清内に含有される。従って、1以上の可溶性因子の投与に向けられた本明細書中のいずれの例も、上記に準じて、上清の投与に適用されると把握されるべきである。
本明細書中で用いるように、用語「上清」とは、適当な培地、例えば、液体培地中での幹細胞および/またはその子孫のイン・ビトロ培養に続いて生産された非細胞物質をいう。典型的には、上清は、適当な条件および時間下で培地中にて細胞を培養し、続いて、遠心のようなプロセスによって細胞物質を除去することによって生産される。上清は、投与前にさらなる精製工程に付されたものであってよく、または付されていないものであってもよい。1つの例において、上清は105未満の、例えば、103未満のような104未満の生きた細胞を含み、例えば、生きた細胞を含まない。
本明細書中で用いるように、用語「正常なまたは健康な個体」は、当該分野で公知の、および/または本明細書中で記載されたいずれかの方法によって評価して、低い骨芽細胞活性を有しない対象を意味すると把握されるべきである。1つの例において、「正常なまたは健康な個体」は、低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害の兆候のいずれも患っておらず、および/または低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害を患っていない。
幹細胞または子孫細胞、および上清またはそれに由来する1以上の可溶性因子
本明細書中で用いるように、用語「幹細胞」とは、表現型的におよび遺伝子型的に同一な娘ならびに少なくとも1つの他の最終細胞型(例えば、最後に分化した細胞)を生起させることができる自己−再生性細胞をいう。用語「幹細胞」は、分化全能性、分化多能性および多能性細胞、ならびにその分化から由来する先祖細胞および/または前駆細胞を含む。幹細胞は成体または胚性幹細胞であってよく、または誘導多能性幹(iPS)であってよい。
本明細書中で用いるように、用語「全能性細胞」または「分化全能性細胞」とは、完全な胚(例えば、胚盤胞)を形成することができる細胞をいう。
本明細書中で用いるように、用語「多能性細胞」または「分化多能性細胞」(pluripotent cellまたはpluripotential cell)とは、完全な分化多能、すなわち、哺乳動物の身体のほぼ260の細胞型のいずれかに成長する能力を有する細胞をいう。多能性(pluripotent)細胞は自己−再生性であり得、かつ組織内で休眠状態であるか、または休止状態であり得る。
「多能性細胞」または「多分化能細胞」(multipotential cellまたはmultipotent cell)とは、我々は、数個の成熟した細胞型のいずれかを生起させることができる細胞を意味する。本明細書中で用いるように、このフレーズは成体または胚性幹細胞、および間葉前駆細胞(MPC)およびこれらの細胞の多能子孫のような先祖細胞を含む。多能性(pluripotent)細胞とは異なり、多分化能(multipotent)細胞は細胞型全てを形成する能力を有しない。
本明細書中で用いるように、用語「先祖細胞」とは、特異的な型の細胞への分化が委ねられた、または特異的な型の組織を形成する細胞をいう。
本明細書中で用いるように、フレーズ「STRO−1+多能性細胞」(STRO-1 + multipotential cell)は、多能性(multipotential)細胞コロニーを形成することができるSTRO−1+および/またはTNAP+先祖細胞を意味すると把握されるべきである。
STRO−1+多能性細胞は骨髄、血液、歯肉細胞、脂肪組織、皮膚、脾臓、膵臓、脳、腎臓、肝臓、心臓、網膜、脳、毛嚢、腸、肺、リンパ節、胸腺、骨、靭帯、腱、骨格筋、真皮および骨膜中に見出される細胞であり;中胚葉および/または内胚葉および/または外胚葉のような生殖細胞系に分化することができる。かくして、STRO−1+多能性細胞は、限定されるものではないが、脂肪、骨性、軟骨性、弾性、筋肉、および線維性結合組織を含む非常に多数の細胞型に分化することができる。これらの細胞が入る特異的分化系列決定および分化経路は、機械的な影響および/または成長因子、サイトカインのような内因性生活性因子、および/または宿主組織によって確立された局所的なミクロ環境条件からの種々の影響に依存する。1つの実施態様において、STRO−1+多能性細胞は、分裂して、幹細胞または前駆細胞いずれかである娘細胞を生じ、該幹細胞または前駆細胞が、今度は、不可逆的に分化して、表現型細胞を生じる非−造血前先祖胞である。
1つの例において、STRO−1+細胞は、対象、例えば、(同一の種または異なる種を問わず)治療すべき対象、または関連する対象または関連しない対象から得られた試料から豊富化される。用語「豊富化された」、「豊富化」またはその変形は、1つの特定の細胞型の割合、または多数の特定の細胞型の割合が、細胞(例えば、それらの天然環境にある細胞)の未処理集団と比較した場合に増加した細胞の割合を記載するために本明細書中で用いられる。1つの例においてSTRO−1+細胞について豊富化された集団は、少なくとも約0.1%または0.5%または1%または2%または5%または10%または15%または20%または25%または30%または50%または75%STRO−1+細胞を含む。この点に関し、用語「STRO−1+細胞について豊富化された細胞の集団」は、用語「X%のSTRO1+細胞を含む細胞の集団」についての明示的な裏付けを提供すると把握され、ここに、X%は本明細書中で記載されるようにパーセンテージである。STRO−1+細胞は、いくつかの例においてクローン原性コロニーを形成でき、例えば、CFU−F(線維芽細胞)またはそのサブセット(例えば、50%または60%または70%または70%または90%または95%)はこの活性を有することができる。
1つの例において、細胞の集団は、選択可能な形態のSTRO−1+細胞を含む細胞調製物から豊富化される。この点に関して、用語「選択可能な形態」は、細胞がSTRO−1+細胞の選択を可能とするマーカー(例えば、細胞表面マーカー)を発現することを意味すると理解されるであろう。マーカーはSTRO−1であり得るが、それである必要はない。例えば、本明細書中に記載されおよび/または例示されるように、STRO−2および/またはSTRO−3(TNAP)および/またはSTRO−4および/またはVCAM−1および/またはCD146および/または3G5を発現する細胞(例えば、MPC)はSTRO−1も発現し(STRO−1ブライトであり得る)。従って、細胞がSTRO−1+である表示は、細胞がSTRO−1発現によって選択されることを意味しない。1つの例において、細胞は少なくともSTRO−3発現に基づいて選択され、例えば、それらはSTRO−3+(TNAP+)である。
細胞またはその集団の選択への言及は、特異的な組織源からの選択を必要としない。本明細書中に記載されるように、STRO−1+細胞は、非常に種々の源から選択でき、または単離でき、または豊富化できる。しかしながら、いくつかの例において、これらの用語はSTRO−1+細胞(例えば、MPC)を含むいずれかの組織、または血管新生化組織、または血管周囲細胞(例えば、STRO−1+血管周囲細胞)を含む組織、または本明細書中に記載された組織のいずれか1以上からの選択についての裏付けを提供する。
1つの例において、本開示で用いる細胞は、TNAP+、VCAM−1+、THY−1+、STRO−2+、STRO−4+(HSP−90β)、CD45+、CD146+、3G5+またはそのいずれかの組合せよりなる群から個々にまたは集合的に選択された1以上のマーカーを発現する。
「個々に」とは、開示が記載されたマーカーまたはマーカーの群を別々に含み、かつその個々のマーカーまたはマーカーの群が別々に本明細書中にリストされているとは限らないにも拘わらず、添付の請求の範囲がそのようなマーカーまたはマーカーの群を相互に別々にかつ分割可能に定義してよいことを意味する。
「集合的に」とは、開示が記載されたマーカーまたはペプチドの群のいずれかの数または組合せを含み、マーカーまたはマーカーの群のそのような数または組合せが本明細書中において具体的にリストされているとは限らないにも拘わらず、添付の請求の範囲がマーカーまたはマーカーの群のいずれかの他の組合せとは別々に、かつ分割可能にそのような組合せまたはサブ組合せを定義してもよいことを意味する。
例えば、STRO−1+細胞はSTRO−1ブライト(同義語STRO−1bri)である。1つの例において、STRO−1bri細胞はSTRO−1dimまたはSTRO−1インターメディエイト細胞に対して優先的に豊富化される。
例えば、STRO−1ブライト細胞は、加えて、TNAP+、VCAM−1+、THY−1+、STRO−2+、STRO−4+(HSP−90β)および/またはCD146+のうちの1以上である。例えば、細胞は、前記マーカーの1以上につき選択され、および/または前記マーカーの1以上を発現することが示される。この点に関して、マーカーを発現することが示された細胞は、具体的にテストされる必要はなく、むしろ従前に豊富化されまたは単離された細胞をテストし、引き続いて用いることができ、単離されたまたは豊富化された細胞は、合理的には、同一のマーカーをやはり発現すると推測することができる。
1つの例において、間葉前駆細胞は、WO 2004/85630において定義された血管周囲間葉前駆細胞である。例えば、間葉前駆細胞は血管周囲細胞のマーカーを発現し、例えば、細胞はSTRO−1+またはSTRO−1ブライトおよび/または3G5+である。1つの例において、細胞は、血管新生化組織または器官またはその一部から単離された細胞であり、または以前に単離された細胞であり、または該細胞の子孫である。
所与のマーカーにつき「陽性」であるとされる細胞は、マーカーが細胞表面に存在する程度に依存して、低い(低(lo)または暗(dim))または高い(ブライト、ブライ(bri))レベルいずれかのそのマーカーを発現でき、ここに、該用語は蛍光、または細胞のソーティングプロセスで用いられる他のマーカーの強度に関する。低(またはdimまたはdull)およびbriの区別は、ソーティングすべき特定の細胞集団で用いられるマーカーの文脈において理解されるであろう。所与のマーカーにつき「陰性」であるとされる細胞は、その細胞に必ずしも完全に不在ではない。この用語は、マーカーがその細胞によって比較的非常に低いレベルで発現され、およびそれがバックグラウンドレベル、例えば、アイソタイプ対照抗体を用いて検出されたレベルを超えて検出可能に標識され、または検出できない場合にそれが非常に低いシグナルを生じさせることを意味する。
用語「ブライト(bright)」とは、本明細書中で用いる場合、検出可能に標識されると、比較的高いシグナルを生じさせる細胞表面上のマーカーをいう。理論に拘束されるつもりはないが、「ブライト」細胞は、試料中の他の細胞以外の標的マーカータンパク質(例えば、STRO−1によって認識される抗原)のより多くを発現すると提案されている。例えば、STRO−1bri細胞は、非−ブライト細胞(STRO−1dull/dim)よりも、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)分析によって決定して、FITCがコンジュゲートしたSTRO−1抗体で標識した場合により大きな蛍光シグナルを生じさせる。1つの例において、「ブライト」細胞は、出発試料に含有された最も明るく標識された骨髄単核細胞の少なくとも約0.1%を構成する。他の例において、「ブライト」細胞は、出発試料に含有された最も明るく標識された骨髄単核細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、または少なくとも約2%を構成する。ある例において、STRO−1ブライト細胞は、「バックグラウンド」、すなわち、STRO−1−である細胞に対してSTRO−1表面発現の2logの大きさだけより高い発現を有する。比較によって、STRO−1dimおよび/またはSTRO−1インターメディエイト細胞は、STRO−1表面発現の2log未満の大きさだけより高い発現、典型的には、約1 logまたは「バックグラウンド」未満を有する。
本明細書中で用いるように、用語「TNAP」は、組織非特異的アルカリホスファターゼの全てのイソ形態を含むことが意図される。例えば、該用語は、肝臓イソ形態(LAP)、骨イソ形態(BAP)および腎臓イソ形態(KAP)を含む。1つの例において、TNAPはBAPである。1つの例において、本明細書中で用いるTNAPとは、受託番号PTA−7282下で、ブダペスト条約の規定に従って2005年12月19日にATCCに寄託されたハイブリドーマ細胞系によって生産されたSTRO−3抗体に結合することができる分子をいう。
さらに、1つの例において、STRP−1+細胞はクローン原性CFU−Fを生起させることができる。
1つの例において、有意な割合のSTRO−1+多能性細胞は、少なくとも2つの異なる生殖細胞系に分化することができる。多能性細胞を委ねることができる系統の非限定的例は骨前駆細胞;胆管上皮細胞および肝細胞につき多分化能である肝細胞先祖;稀突起神経膠細胞および神経膠星状細胞まで進行するグリア細胞前駆細胞を生じさせることができる神経制限細胞;ニューロンまで進行するニューロン前駆細胞;心筋および心筋細胞、グルコース−応答性インスリン分泌膵臓ベータ細胞系についての前駆細胞を含む。他の系統は、限定されるものではないが、象牙芽細胞、デンチン生産細胞および軟骨細胞、および以下の:網膜色素上皮細胞、線維芽細胞、角質細胞のような皮膚細胞、樹状細胞、毛嚢細胞、腎管上皮細胞、平滑および骨格筋細胞、精巣先祖細胞、血管内皮細胞、腱、靭帯、軟骨、脂肪細胞、線維芽細胞、骨髄間質、心筋、平滑筋、骨格筋、血管周囲細胞、血管、上皮、グリア、ニューロン、神経膠星状細胞および稀突起神経膠細胞の前駆細胞を含む。
もう1つの例において、STRO−1+細胞は、培養に際して、造血系細胞を生起させることができる。
1つの例において、細胞は治療すべき対象から採取し、標準的な技術を用いてイン・ビトロで培養し、それを用いて、自己または同種異系組成物としての、対象への投与用の、上清または可溶性因子または拡大培養された細胞を得る。別の例において、1以上の樹立されたヒト細胞系の細胞が用いられる。開示のもう1つの有用な例において、非−ヒト動物の細胞(もし患者がヒトでなければ、もう1つの種からのもの)が用いられる。
本開示では、イン・ビトロ培養物から生産されたSTRO−1+細胞および/またはその子孫細胞(後者は拡大培養された細胞ともいう)から得られた、またはそれに由来する上清または可溶性因子の使用も考えられる。開示の拡大培養された細胞は、(培養基中の刺激因子の数および/またはタイプを含む)培養条件、継代の数等に依存して、広く種々の表現型を有してよい。ある例において、子孫細胞は親集団から約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10継代後に得られる。しかしながら、子孫細胞は親集団からいずれかの数の継代後に得てよい。
子孫細胞は、いずれかの適当な培地中で培養することによって得ることができる。細胞培養への言及で用いられる用語「培地」は、細胞を囲む環境の成分を含む。培地は固体状、液状、気体状、または相および材料の混合物であってよい。培地は、液状成長培地、ならびに細胞の成長を持続しない液状培地を含む。培地は、寒天、アガロース、ゼラチンおよびコラーゲンマトリックスのようなゲル状培地も含む。例示的な気体状培地は、ペトリ皿または他の固体状または半固体状支持体上で成長する培地が暴露される気相を含む。用語「培地」とは、たとえそれが未だ細胞と接触していなくても、細胞培養で用いることが意図された材料もいう。換言すれば、細菌培養のために調製された栄養豊富な液体が培地である。水または他の液体と混合すると、細胞培養に適したものとなる粉末混合物は「粉末化培地」ということもできる。
ある例において、開示の方法で有用な子孫細胞は、STRO−3抗体で標識された磁性ビーズを用いて骨髄からTNAP+ STRO−1+細胞を単離し、次いで、単離された細胞を培養拡大することによって得られる(適当な培養条件の例については、Gronthos et al. Blood 85:929−940,1995参照)。
1つの例において、(例えば、少なくとも5継代後の)そのような拡大培養された細胞(子孫)はTNAP−、CC9+、HLAクラスI+、HLAクラスII−、CD14−、CD19−、CD3−、CD11a−c−、CD31−、CD86−、CD34−および/またはCD80−であり得る。しかしながら、本明細書中に記載されたのと異なる培養条件下で、異なるマーカーの発現を変化させてよい可能性がある。また、これらの表現型の細胞は拡大培養された細胞集団において支配的であるかもしれないが、それは、細胞の小さい割合はこの表現型(類)を有しないことを意味しない(例えば、拡大培養された細胞の小さなパーセンテージはCC9−であってよい)。1つの例において、拡大培養された細胞は、依然として、異なる細胞型に分化する能力を有する。
1つの例において、上清または可溶性因子、または細胞を得るために用いる拡大培養された細胞集団は、それ自体、細胞を含み、ここに、少なくとも25%、例えば、少なくとも50%の細胞はCC9+である。
もう1つの例において、上清または可溶性因子、または細胞を得るのに用いられる拡大培養された細胞集団は、それ自体、細胞を含み、ここに、少なくとも40%、例えば、少なくとも45%の細胞はSTRO−1+である。
さらなる例において、拡大培養された細胞は、LFA−3、THY−1、VCAM−1、ICAM−1、PECAM−1、P−セレクチン、L−セレクチン、3G5、CD49a/CD49b/CD29、CD49c/CD29、CD49d/CD29、CD90、CD29、CD18、CD61、インテグリンベータ6−19、トロンボモジュリン、CD10、CD13、SCF、PDGF−R、EGF−R、IGF1−R、NGF−R、FGF−R、レプチン−R(STRO−2=レプチン−R)、RANKL、STRO−4(HSP−90β)、STRO−1ブライトおよびCD146よりなる群から集合的にまたは個々に選択された1以上のマーカー、またはこれらのマーカーのいずれかの組合せを発現することができる
1つの例において、子孫細胞は、WO 2006/032092に定義されたおよび/または記載された多能拡大培養STRO−1+多能性細胞子孫(MEMP)である。子孫が由来し得るSTRO−1+多能性細胞の豊富化された集団を調製するための方法は、WO 01/04268およびWO 2004/085630に記載されている。イン・ビトロの関係では、STRO−1+多能性細胞は、絶対的に純粋な調製物として稀にしか存在せず、一般には、組織特異的委任細胞(TSCC)である他の細胞と共に存在するであろう。WO 01/04268は、約0.1%〜90%の純度レベルにてそのような細胞を骨髄から収穫することに言及している。子孫が由来するMPCを含む集団は、組織源から直接的に収穫してよく、あるいは別法として、それはエクス・ビボにて既に拡大培養された集団であってよい。
例えば、子孫は、それらが存在する集団の合計細胞の少なくとも約0.1、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80または95%を含む、実質的に精製されたSTRO−1+多能性細胞の収穫された拡大培養されていない集団から得ることができる。このレベルは、例えば、TNAP、STRO−4(HSP−90β)、STRO−1ブライト、3G5+、VCAM−1、THY−1、CD146およびSTRO−2よりなる群から個々にまたは集合的に選択された少なくとも1つのマーカーに対して陽性である細胞につき選択することによって達成することができる。
MEMPは、それらがマーカーSTRO−1briに対して陽性であって、マーカーアルカリホスファターゼ(ALP)に対して陰性である点において、新たに収穫されたSTRO−1+多能性細胞から区別することができる。対照的に、新たに単離されたSTRO−1+多能性細胞はSTRO−1briおよびALP双方に対して陽性である。本開示の1つの例において、投与された細胞の少なくとも15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%は表現型STRO−1bri、ALP−を有する。さらなる例において、MEMPはマーカーKi67、CD44および/またはCD49c/CD29、VLA−3、α3β1のうちの1以上に対して陽性である。なおさらなる例において、MENPはTERT活性を呈さず、および/またはマーカーCD18に対して陰性である。
STRO−1+細胞の出発集団は、WO 01/04268またはWO 2004/085630に記載されたいずれかの1以上の組織型、すなわち、骨髄、歯髄、脂肪組織および皮膚に由来するものであってよく、あるいは恐らくは、より広く、脂肪組織、歯、歯髄、皮膚、肝臓、腎臓、心臓、網膜、脳、毛嚢、腸、肺、脾臓、リンパ節、胸腺、膵臓、骨、靭帯、骨髄、腱および骨格筋から由来するものであってよい。
本開示に記載された方法を実行するにおいて、いずれかの所与の細胞表面マーカーを運ぶ細胞の分離は多数の異なる方法によって行うことができ、しかしながら、いくつかの例示的な方法は、結合剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)を当該マーカーに結合させ、続いて、高レベルの結合、低レベルの結合、または結合無しのいずれかかである結合を呈するものを分離することに依拠することは理解されるであろう。最も慣用的な結合剤は、これらの後者の剤の特異性のため、抗体または抗体−ベースの分子、例えば、モノクローナル抗体であるか、またはモノクローナル抗体(例えば、その抗原結合断片を含むタンパク質)に基づく。抗体を双方の工程で用いることができ、しかしながら、他の剤を用いてもよく、かくしてこれらのマーカーについてのリガンドを使用して、それらを運ぶ、またはそれらを欠如する細胞を豊富化してもよい。
抗体またはリガンドを固体支持体に連結させて、粗分離を可能とすることができる。いくつかの例において、分離技術は、収集すべき画分の生存能力の保持を最大化する。異なる効率の種々の技術を使用して、比較的粗い分離を得ることができる。使用される特定の技術は、分離の効率、関連する細胞傷害性、実行の容易性およびスピード、および精巧な機器および/または技術的技量に対する必要性に依存するであろう。分離のための手法は、限定されるものではないが、抗体−被覆磁性ビーズを用いる磁気分離、アフィニティークロマトグラフィー、および固体マトリックスに付着された抗体での「パニング」を含むことができる。正確な分離を提供する技術は、限定されるものではないが、FACSを含む。FACSを行うための方法は当業者に明らかであろう。
本明細書中に記載されたマーカーの各々に対する抗体は商業的に入手可能であり(例えば、STRO−1に対するモノクローナル抗体はR&D Systems,USAから商業的に入手可能である)、ATCCまたは他の寄託機関から入手可能であり、および/または当該分野で認められている技術を用いて生産することができる。
1つの例において、STRO−1+細胞を単離するための方法は、例えば、STRO−1の高レベルの発現を認識する磁気活性化細胞ソーティング(MACS)を利用する固相ソーティング工程である第一の工程を含む。次いで、第二のソーティング工程を続けて、望まれるならば、特許明細書WO 01/14268に記載されたようにより高いレベルの前駆細胞の発現をもたらすことができる。この第二のソーティング工程は、2以上のマーカーの使用を含むであろう。
STRO−1+細胞を得る方法は、公知の技術を用いる第一の豊富化工程前の、細胞の源の収穫も含むであろう。かくして、組織が外科的に取り出されるであろう。次いで、源組織を含む細胞をいわゆる単細胞懸濁液に分離する。この分離は、物理的なおよび/または酵素的な手段によって達成することができる。
一旦適当なSTRO−1+細胞集団が得られたならば、それを、いずれかの適当な手段によって培養し、または拡大培養して、MEMPを得ることができる。
1つの例において、細胞を治療すべき対象から採取し、標準的な技術を用いてイン・ビトロにて培養し、それを用いて、自己または同種異系組成物としての、対象への投与のための、上清または可溶性因子または拡大培養された細胞を得る。別の例において、1以上の樹立されたヒト細胞系の細胞を用いて、上清または可溶性因子を得る。開示のもう1つの有用な例において、非−ヒト動物の細胞(または、もし患者がヒトでないならば、もう1つの種からのもの)を用いて、上清または可溶性因子を得る。
本開示の方法および使用は、限定されるものではないが、非−ヒト霊長類細胞、有蹄類、イヌ、ネコ、ウサギ、げっ歯類、鳥類、および魚類細胞を含む、いずれかの非−ヒト動物種からの細胞を用いて実行することができる。それを用いて開示を行うことができる霊長類細胞は、限定されるものではないが、チンパンジー、ヒヒ、カニクイザル、およびいずれかの他の新世界ザル(New World monkey)または旧世界ザル(Old World monkey)の細胞を含む。それを用いて開示を実行することができる有蹄類細胞は、限定されるものではないが、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、バッファローおよびバイソンを含む。それを用いて開示を実行することができるげっ歯類細胞は、限定されるものではないが、ラット、モルモット、ハムスターおよびアレチネズミ細胞を含む。それを用いて開示を実行することができるウサギ種の例は、家畜化ウサギ、ジャックウサギ、ノウサギ、ワタオウサギ、カンジキウサギ、およびナキウサギを含む。ニワトリ(Gallus gallus)は、それを用いて開示を実行することができる鳥類種の例である。
1つの例において、細胞はヒト細胞である。
開示の方法で有用な細胞は、使用前、または上清または可溶性因子を得る前に貯蔵してもよい。真核生物細胞、および特に哺乳動物細胞を保存し、および貯蔵するための方法およびプロトコルは当該分野で公知である(例えば、ポーランド国、J.W.およびWalker,J.M.(1997)Basic Cell Culture Protocols,第2版,Humana Press,Totowa,N.J.;Freshney,R.I.(2000) Culture of Animal Cells,第4版,Wiley−Liss,Hoboken,N.J.参照)。間葉幹/先祖細胞、またはその子孫のような単離された幹細胞の生物学的活性を維持するいずれの方法も、本開示との関連で利用することができる。1つの例において、細胞は、低温保存によって維持され、貯蔵される。
遺伝子改変細胞
1つの例において、幹細胞および/またはその子孫細胞を遺伝子改変して、例えば、注目するタンパク質を発現させ、および/または分泌させる。例えば、細胞を操作して、代謝性骨障害または男性不妊の治療で有用なタンパク質を発現させる。
細胞を遺伝子改変するための方法は当業者に明らかであろう。例えば、細胞中で発現させるべき核酸は、細胞での発現を誘導するためのプロモーターに操作可能に連結させる。例えば、核酸は、例えば、ウイルスプロモーター、例えば、CMVプロモーター(例えば、CMV−IEプロモーター)またはSV−40プロモーターのような、対象の種々の細胞において操作可能なプロモーターに連結される。さらなる適当なプロモーターは当該分野で公知であって、それに準じて開示の本例に適用されるべきである。
1つの例において、核酸は発現構築物の形態で提供される。本明細書中で用いるように、用語「発現構築物」とは、細胞において、それに操作可能に連結された核酸(例えば、レポーター遺伝子および/または対立選択可能なレポーター遺伝子)に発現を付与する能力を有する核酸をいう。本開示との関係においては、発現構築物はプラスミド、バクテリオファージ、ファージミド、コスミド、ウイルスサブ−ゲノムまたはゲノム断片、または発現可能な形態の異種DNAを維持し、および/または複製することができる他の核酸を含んでよい、またはそれらであってよいことが理解されるべきである。
開示の実行のための適当な発現構築物の構築方法は当業者に明らかであって、例えば、Ausubel et al(In:Current Protocols in Molecular Biology.Wiley Interscience,ISBN 047 150338,1987)またはSambrook et al(In:Molecular Cloning:Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,New York,第三版2001)に記載されている。例えば、発現構築物の構成要素の各々は、例えば、PCRを用いて適当な鋳型核酸から増幅され、引き続いて、例えば、プラスミドまたはファージミドのような適当な発現構築物にクローン化する。
そのような発現構築物に適したベクターは当該分野で公知であり、および/または本明細書中に記載される。例えば、哺乳動物細胞における本開示の方法に適した発現ベクターは、例えば、Invitrogenによって供給されたpcDNAベクタースウィート(vector suite)のベクター、pCIベクタースウィート(vector suite)のベクター(Promega)、pCMVベクタースゥイート(vector suite)のベクター(Clontech)、pMベクター(Clontech)、pSIベクター(Promega)、VP16ベクター(Clontech)またはpcDNAベクタースウィート(vector suite)のベクター(Invitrogen)である。
当業者であれば、さらなるベクター、および例えば、Life Technologies Corporation,ClontechまたはPromegaのようなベクターの供給源を知っているであろう。
単離された核酸分子またはそれを含む遺伝子構築物を発現のために細胞に導入する手段は当業者に公知である。所与の生物で用いる技術は、公知の成功した技術に依存する。組換えDNAを細胞に導入する手段は、とりわけ、マイクロインジェクション、DEAE−デキストランによって媒介されるトランスフェクション、リポフェクタミン(Gibco,MD,USA)および/またはコルフェクチン(Gibco,MD,USA)を用いることによるなどの、リポソームによって媒介されるトランスフェクション、PEG−媒介DNA摂取、DNA−被覆タングステンまたは金粒子(Agracetus Inc.,WI,USA)を用いることによるなどの、エレクトロポレーションおよびミクロ粒子衝撃を含む。
別法として、開示の発現構築物はウイルスベクターである。適当なウイルスベクターは当該分野で公知であって、商業的に入手可能である。核酸の送達および宿主細胞ゲノムへのその核酸の組込みのための慣用的なウイルスベースのシステムは、例えば、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターまたはアデノ−関連ウイルスベクターを含む。別法として、アデノウイルスベクターは、宿主細胞に、エピソームのままである核酸を導入するのに有用である。ウイルスベクーは、標的細胞および組織への遺伝子導入の効果的かつ汎用的な方法である。加えて、高い形質導入効率が多くの異なる細胞型および標的組織で観察されている。
例えば、レトロウイルスベクターは、一般に、6〜10kbまでの外来性配列のためのパッケージング能力を備えたシス−作用性ロング・ターミナル・リピート(LTR)を含む。最小のシス−LTRはベクターの複製およびパッケージングに十分であり、それは、次いで、発現構築物を標的細胞に組み込んで、長期間の発現を供するのに用いられる。広く用いられるレトロウイルスベクターは、ネズミ白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、サル免疫不全ウイルス(SrV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびその組合せに基づいたものを含む(例えば、Buchscher et al.,J Virol.56:2731−2739(1992);Johann et al.,J.Virol.65:1635−1640(1992);Sommerfelt et al.,Virol.76:58−59(1990);Wilson et al.,J.Virol.63:274−2318(1989);Miller et al.,J.Virol.65:2220−2224(1991);PCT/US94/05700;Miller and Rosman BioTechniques 7:980−990,1989;Miller,A.D.Human Gene Therapy 7:5−14,1990;Scarpa et al. Virology 75:849−852,1991;Burns et al.Proc.Natl.Acad.Sci USA 90:8033−8037,1993参照)。
種々のアデノ−関連ウイルス(AAV)ベクターシステムもまた核酸送達のために開発されてきた。AAVベクターは当該分野で公知の技術を用いて容易に構築することができる。例えば、米国特許第5,173,414号および第5,139,941号;国際公開番号WO 92/01070およびWO 93/03769;Lebkowski et al. Molec.Cell.Biol.5:3988−3996,1988;Vincent et al.(1990)Vaccines 90(Cold Spring Harbor Laboratory Press);Carter Current Opinion in Biotechnology 5:533−539,1992;Muzyczka. Current Topics in Microbiol.and Immunol.158:97−129,1992;Kotin,Human Gene Therapy 5:793−801,1994;Shelling and Smith Gene Therapy 7:165−169,1994;およびZhou et al.J. Exp.Med.179:1867−1875,1994参照。
開示の発現構築物を送達するのに有用なさらなるウイルスベクターは、例えば、ワクシニアウイルスおよび鳥類ポックスウイルスまたはアルファウイルスまたはコンジュゲート・ウイルス・ベクターのような、ウイルスのポックス科に由来するもの(例えば、Fisher−Hoch et al.,Proc.Natl Acad.Sci.USA 56:317−321,1989に記載されたもの)を含む。
細胞および可溶性因子の治療的/予防的潜在能力の検定
低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害の開始または進行を治療し、または予防し、または遅延させる細胞または可溶性因子の能力を決定するための方法は当業者に明らかであろう。
例えば、細胞または可溶性因子を、骨芽細胞機能を増加させるそれらの能力について評価する。
1つの例において、(例えば、Cbfe1/RunX2を発現する)骨先祖細胞を細胞および/または可溶性因子と接触させ、骨芽細胞に分化するそれらの能力についてテストする。例えば、該細胞を、オステリックス(osterix)および/またはCollおよび/またはBSPおよび/またはM−CSFおよび/またはアルカリホスファターゼの発現の開発のために評価する。
1つの例において、細胞および/または可溶性因子を骨芽細胞に接触させ、1型コラーゲンおよび/またはオステオカルシンの生産に対するそれらの効果を、例えば、免疫アッセイおよび/または免疫組織化学または免疫蛍光を用いて評価する。
さらなる例において、細胞および/または可溶性因子を、細胞外マトリックス上で培養された骨芽細胞に接触させ、マトリックスの石灰化を増加させる能力を、例えば、アリザリンレッドまたはフォン・コッサ(von Kossa)染料で染色することによって評価する。
例えば、Zaheer et al.,Nat.Biotechnol.,19:1148−1154,2001に記載されているように、近赤外蛍光イメージングのようなアッセイを用いて、細胞および/または可溶性因子をイン・ビボでの骨芽細胞活性に対するそれらの効果について評価することもできる。
例えば、X−線および/またはデュアルエネルギーX−線吸光光度法(DEXA)を用い、骨形成に対するそれらの効果を検出することによって、細胞および/または可溶性因子をイン・ビボでの骨芽細胞活性に対するそれらの効果について評価することもできる。
例えば、細胞または可溶性因子(例えば、因子の混合物または単一の因子あるいは(例えば、アフィニティー精製またはクロマトグラフィーによって誘導された)因子の画分)を代謝性骨障害のモデルに投与し、1以上の兆候に対する効果を評価する。例示的な非−ヒト動物モデルは卵巣摘出げっ歯類(例えば、ラット)、固定化−誘導骨損失モデルおよび/またはTurner European Cells and Materials,1:66−91,2001にレビューされたモデルを含む。
本開示が、低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害の治療、予防または遅延のために、細胞または可溶性因子を同定または単離する方法も提供するのは前記から当業者に明らかであり、該方法は:
(i)低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害を患っている被験者に細胞または可溶性因子を投与し、該被験者において該障害の兆候を評価し;
(ii)(i)における被験者の低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害の兆候を、細胞または可溶性因子が投与されていない該障害を患っている対照被験者の低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害の兆候と比較する;
ことを含み、
ここに、対照被験者と比較した被験者における兆候の改善は、該細胞または可溶性因子が該障害を治療することを示す。
該細胞はいずれかの例による本明細書中に記載されたいずれの細胞であってもよい。
細胞組成物
本開示の1つの例において、幹細胞および/またはその子孫細胞は組成物の形態で投与される。1つの例において、そのような組成物は医薬上許容される担体および/または賦形剤を含む。
用語「担体」および「賦形剤」とは、活性な化合物の貯蔵、投与、および/または生物学的活性を促進するために当該分野で慣用的に用いられる組成物をいう(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,Mac Publishing Company(1980)参照)。担体は、活性な化合物のいずれの望ましくない副作用も低下させることができる。適当な担体は、例えば、安定であり、例えば、担体中の他の成分と反応できない。1つの例において、担体は、治療のために使用される用量および濃度において、受容者において有意な局所的または全身的有害効果を生じさせない。
本開示のための適当な担体は慣用的に用いられているものを含み、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、ラクトース、リンゲル液、緩衝化溶液、ヒアルロナンおよびグルコースは、特に(等張である場合)、溶液のための例示的な液体担体である。適当な医薬担体および賦形剤としては、澱粉、セルロース、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、故粉、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、塩化ナトリウム、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール等が挙げられる。
もう1つの例において、担体は、例えば、細胞がそこで成長し、または懸濁する培地組成物である。例えば、そのような培地組成物は、それが投与される対象においていずれの有害な効果も誘導しない。
例示的な担体および賦形剤は、細胞の生存能力および/または代謝症候群および/または肥満を低下させ、予防し、または遅延させる細胞の能力に悪影響しない。
1つの例において、担体または賦形剤は、細胞および/または可溶性因子を適当なpHに維持して、それにより、生物学的活性を発揮する緩衝活性を供し、例えば、担体または賦形剤はリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)である。PBSは魅力的な担体または賦形剤を表す。なぜならば、それは細胞および因子と最小限しか相互作用せず、細胞および因子の迅速な放出を可能とするからであり、そのような場合において、開示の組成物は、例えば、注射による、血流への、または組織、または組織を囲うまたは組織に隣接する領域への直接的な適用のための液体として生産されてよい。
幹細胞および/またはその子孫細胞は、受容者−適合性であって、受容者に対して有害でない生成物に分解する足場内に配合し、または包埋することもできる。これらの足場は、受容者対象に移植すべき細胞のための支持および保護を供する。天然および/または合成生分解性足場がそのような足場の例である。
種々の異なる足場を開示の実施で首尾よく用いることができる。足場の例としては、限定されるものではないが、生物学的分解可能な足場が挙げられる。天然生分解性足場としてはコラーゲン、フィブロネクチン、およびラミニン足場が挙げられる。細胞移植足場のための適当な合成材料は広範な細胞成長および細胞機能を支持することができるべきである。そのような足場は再吸収性であってもよい。適当な足場としては、例えば、Vacanti,et al.J.Ped.Surg.23:3−9 1988;Cima,et al.Biotechnol.Bioeng.38:145 1991;Vacanti,et al.Plast.Reconstr.Surg.88:753−9 1991によって記載されたポリグリコール酸足場;またはポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸のような合成ポリマーが挙げられる。
もう1つの例において、細胞は(Upjohn CompanyからのGelfoamのような)ゲル足場中にて投与してよい。
本明細書中に記載される方法で有用な細胞組成物は、単独で、または他の細胞との混合物として投与することができる。本開示の組成物と一緒に投与することができる細胞としては、限定されるものではないが、他の多分化能または多能性細胞または幹細胞、または骨髄細胞が挙げられる。異なる型の細胞は、投与直前に、または投与に少し先立って開示の組成物と混合とすることができるか、またはそれらは投与に先立って一定期間一緒に共培養してもよい。
1つの例において、組成物は有効量または治療上または予防上有効量の細胞を含む。例えば、組成物は、kg当たり約1×105の(STRO−1+細胞のような)幹細胞〜kg当たり約1×107の(STRO−1−細胞のような)幹細胞またはkg当たり約1×106の(STRO−1+細胞のような)幹細胞〜kg当たり約5×106の(STRO−1+細胞のような)幹細胞を含む。投与すべき細胞の正確な量は、患者の年齢、体重および性別、および低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連した障害の程度および重症度を含む種々の因子に依存する。
1つの例において、低い用量の細胞を対象に投与する。用量の例としては、kg当たり約0.1×104および0.5×106細胞の間、例えば、kg当たり約0.5×105および0.5×106細胞の間のようなkg当たり約0.1×105および0.5×106細胞の間、例えば、kg当たり約0.1×106および0.5×106細胞の間、例えば、kg当たり約0.2×106または0.3×106または0.4×106細胞が挙げられる。
いくつかの例において、細胞は、細胞を対象の循環に入らせないが、細胞によって分泌された因子を循環に入らせるチャンバー内に含有される。このようにして、可溶性因子は、細胞が因子を対象の循環に分泌するのを可能とすることによって対象に投与することができる。そのようなチャンバーは、同様に、対象における部位に移植して、可溶性因子の局所的レベルを増加させることができ、例えば、膵臓に、または膵臓近くに移植してよい。
開示のいくつかの例において、細胞組成物での療法の開始に先立って患者を免疫抑制する必要はなく、またはそれは望ましくないであろう。従って、同種異系、または異種さえの幹細胞またはその子孫の移植はいくつかの場合において許容されるであろう。
しかしながら、他の例においては、細胞療法を開始するに先立って患者を薬理学的に免疫抑制し、および/または細胞組成物に対する対象の免疫応答を低下させるのが望ましい、または適切であろう。これは、全身または局所的免疫抑制剤の使用を介して達成することができるか、またはそれは、細胞をカプセル化されたデバイス中に送達することによって達成することができる。細胞は、該細胞が依然として免疫液性因子および細胞に対して不透過性である該細胞が必要とする栄養および酸素、および治療因子に対して透過性であるカプセルに封入してよい。1つの例において、封入材料は低アレルギー性であり、標的組織に容易かつ安定に位置し、移植された構造体に対する付加された保護を提供する。移植された細胞に対する免疫応答を低下させ、またはそれを排除するためのこれらおよび他の手段は当該分野で公知である。別法として、細胞は遺伝子改変して、それらの免疫原性を低下させることができる。
可溶性因子の組成物
本開示の1つの例において、幹細胞−由来および/または子孫細胞−由来の上清または可溶性因子は、例えば、適当な担体および/または賦形剤を含む組成物の形態で投与される。1つの例において、担体または賦形剤は可溶性因子または上清の生物学的効果に悪影響しない。
1つの例において、組成物は、可溶性因子、または上清の成分、例えば、プロテアーゼ阻害剤を安定化させるための組成物を含む。1つの例において、プロテアーゼ阻害剤は、対象に対する有害な効果を有するのに十分な量では含ませない。
幹細胞−由来および/または子孫細胞−由来の上清または可溶性因子を含む組成物は、例えば、培養基中にて、または安定な担体または緩衝溶液、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水中にて、適切な液体懸濁液として調製してよい。適当な担体は本明細書中にて先に記載されている。もう1つの例において、幹細胞−由来および/または子孫細胞−由来の上清または可溶性因子を含む懸濁液は注射用の油性懸濁液である。適当な親油性溶媒またはビークルとしては、ゴマ油のような脂肪油;またはオレイン酸エチルまたはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル;またはリポソームが挙げられる。注射で用いるべき懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、またはデキストランのような、懸濁液の粘度を増加させる物質を含有してもよい。所望により、懸濁液は、適当な安定化剤、または化合物の溶解性を増加させて、高度に濃縮された溶液の調製を可能とする剤を含有してよい。
滅菌注射溶液は、上清または可溶性因子を、必要な量にて、前記した成分の1つまたは組合せと共に適切な溶媒に配合し、続いて、濾過滅菌することによって調製することができる。
一般に、分散液は、上清または可溶性因子を、基本的分散媒体および先に列挙されたものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビークルに配合することによって調製される。滅菌注射溶液の調製用の滅菌粉末の場合には、調製法の例は、有効成分と、その従前に滅菌濾過された溶液からのいずれかのさらなる所望の成分との粉末を生じさせる真空乾燥および凍結−乾燥である。開示の別の局面によると、上清または可溶性因子は、その溶解性を高める1以上のさらなる化合物と共に処方してよい。
他の例示的な担体または賦形剤は、例えば、Hardman et al.(2001)Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, McGraw−Hill,New York,N.Y.:Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott,Williams,and Wilkins,New York,N.Y.;Avis,et al.(編)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Marcel Dekker,NY;Lieberman,et al.(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Marcel Dekker,NY;Lieberman,et al.(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,Marcel Dekker,NY;Weiner and Kotkoskie(2000)Excipient Yoxicity and Safety,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.に記載されている。
治療組成物は、典型的には、滅菌されており、かつ製造および貯蔵の条件下で安定しているべきである。組成物は溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または他の秩序立った構造体として処方することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコール等)、およびその適当な混合物を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散液の場合における必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。いくつかの場合において、等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、または塩化ナトリウムが組成物中に含まれる。注射組成物の延長された吸収は、組成物に、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアレート塩およびゼラチンを含ませることによって実現することができる。さらに、可溶性因子は持続放出製剤中にて、例えば、遅延放出ポリマーを含む組成物中にて投与してよい。活性な化合物は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システムを含む、制御放出製剤のような、迅速な放出に対して化合物を保護するであろう担体と共に調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、およびポリ乳酸、ポリグリコール酸コポリマー(PLG)のような生分解性の生体適合性ポリマーを用いることができる。そのような製剤の調製のための多くの方法は特許されており、または当業者に一般的に公知である。
上清または可溶性因子を適当なマトリックスと組み合わせて投与して、例えば、可溶性因子の遅延放出を供することができる。
組成物のさらなる成分
幹細胞−由来の上清または可溶性因子、幹細胞またはその子孫は、他の有益な薬物または生物学的分子(成長因子、栄養因子)と共に投与してよい。他の剤と共に投与する場合、それらは単一の医薬組成物中にて、または別々の医薬組成物中にて、同時に、または他の剤と共に順次に(他の剤の投与の前または後いずれかに)一緒に投与してよい。共投与することができる生物活性因子としては、抗−アポトーシス剤(例えば、EPO、EPOミメティボディ、TPO、IGF−IおよびIGF−II、HGF、カスパーゼ阻害剤);抗−炎症剤(例えば、p38MAPK阻害剤、TGF−ベータ阻害剤、スタチン、IL−6およびIL−1阻害剤、ペミロラスト(PEMIROLAST)、トラニラスト(TRANILAST)、レミケード(REMICADE)、シロリムス(SIROLIMUS)、およびNSAID(非−ステロイド抗−炎症薬物;例えば、テポキサリン(TEPOXALIN)、トルメチン(TOLMETIN)、スプロフェン(SUPROFEN));免疫抑制/免疫調節剤(例えば、サイクロスポリン、タクロリムスのようなカルシニューリン阻害剤);mTOR阻害剤(例えば、シロリムス(SIROLIMUS)、エボロリムス(EVEROLIMUS));抗−増殖剤(例えば、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);コルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン);モノクローナル抗−IL−2Rアルファ受容体抗体(例えば、バシリキシマブ、ダクリズマブ)、ポリクローナル抗−T−細胞抗体(例えば、抗−胸腺細胞グロブリン(ATG)のような抗体;抗−リンパ球グロブリン(ALG);モノクローナル抗−T細胞抗体(OKT3);抗−血栓形成性剤(例えば、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、PPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)、抗−トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗−トロンビン抗体、抗−血小板受容体抗体、アスピリン、ジピリダモール、プロタミン、ヒルジン、プロスタグランジン阻害剤、および血小板阻害剤);および抗−オキシダント(例えば、プロブコール、ビタミンA、アスコルビン酸、トコフェロール、補酵素Q−10、グルタチオン、L−システイン、N−アセチルシステイン)ならびに局所麻酔剤が挙げられる。
1つの例において、いずれかの例による本明細書中に記載された組成物は、低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害の治療または予防のためのさらなる因子を含む。
別法として、または加えて、いずれかの例による本明細書中に記載された細胞、分泌された因子および/または組成物は、低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害の公知の治療と組み合わされる。
1つの例において、いずれかの例による本明細書中に記載された医薬組成物は、低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害に対して用いられる化合物を含む。別法として、いずれかの実施態様による本明細書中に記載された治療/予防の方法は、加えて、低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害を治療するのに用いられる化合物を投与することを含む。例示的な化合物は本明細書中に記載されており、準じて、本開示のこれらの例に適応されると把握されるべきである。
もう1つの例において、いずれかの例による本明細書中に記載された組成物は、加えて、先祖細胞の血管細胞への分化を誘導し、または高める因子を含む。例示的な因子としては、血管内皮成長因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF;例えば、PDGF−BB)、およびFGFが挙げられる。
もう1つの例において、いずれかの例による本明細書中に記載された組成物は、加えて、組織特異的委任細胞(TSCC)を含む。これに関して、国際特許出願番号PCT/AU2005/001445は、TSCCおよびSTRO−1+細胞の投与がTSCCの増強された増殖に導くことができるのを示している。1つの例において、TSCCは血管細胞である。そのような組成物の対象への投与は血管系の増加した生産に導くことができ、例えば、患部組織に送達される栄養の増加に導く。
医療機器
本開示は、いずれかの例による本明細書中で記載された方法で用いるための、または該方法で用いる場合の医療機器も提供する。例えば、本開示は、いずれかの例による本明細書中に記載された幹細胞および/またはその子孫細胞および/またはそれからの可溶性因子および/または組成物を含むシリンジまたはカテーテルまたは他の適当な送達デバイスを提供する。所望により、シリンジまたはカテーテルは、いずれかの例による本明細書中に記載された方法で用いるための説明書で包装してよい。
もう1つの例において、本開示は、いずれかの例による本明細書中に記載された幹細胞および/またはその子孫細胞および/またはそれからの可溶性因子および/または組成物を含むインプラントを提供する。所望により、インプラントは、いずれかの例による本明細書中に記載された方法で用いるための説明書で包装してよい。適当なインプラントは、例えば、前記にて本明細書中に記載された足場ならびに幹細胞および/またはその子孫細胞および/またはそれからの可溶性因子で形成されてよい。
投与の態様
1つの例において、幹細胞―由来の上清または可溶性因子、幹細胞またはその子孫は対象の血流に送達される。例えば、幹細胞―由来の上清または可溶性因子、幹細胞またはその子孫は非経口送達される。非経口投与の例示的な経路としては、限定されるものではないが、腹腔内、心室内、脳室内、髄腔内または静脈内が挙げられる。1つの例において、幹細胞―由来の上清または可溶性因子、幹細胞またはその子孫は動脈内、大動脈、心臓の心房または心室に、または血管に、例えば、静脈内送達される。
心臓の心房または心室への細胞送達の場合には、細胞を左心房または心室に投与して、肺への細胞の迅速な送達から生じ得る合併症を回避することができる。
1つの例において、幹細胞―由来の上清または可溶性因子、幹細胞またはその子孫は静脈内に送達される。
1つの例において、幹細胞―由来の上清または可溶性因子、幹細胞またはその子孫は、例えば、シリンジを用い、またはカテーテルまたは中心線を通って送達の部位に注射される。
治療製剤用の投与計画の選択は、構成要素の血清または組織回転速度、兆候のレベル、および構成要素の免疫原性を含む数個の因子に依存する。1つの例において、投与計画は、副作用の許容されるレベルに合致する患者に送達される治療化合物の量を最大化する。従って、送達される製剤の量は、部分的には、特定の構成要素、および治療すべき疾患の重症度に依存する。
1つの例において、幹細胞―由来の上清または可溶性因子、幹細胞またはその子孫は単一のボーラス用量として送達される。別法として、幹細胞―由来の上清または可溶性因子、幹細胞またはその子孫は連続的点滴によって、または例えば、1日、1週間の間隔、または1週間当たり1〜7回の用量によって投与される。例示的な用量プロトコルは、有意な望ましくない副作用を回避する最大用量または投与頻度を含むものである。合計週用量は、用いるべき化合物/細胞の型および活性に依存する。適切な用量の決定は、例えば、治療を行うための当該分野で公知の、または考えられる、または治療を行うために予測されるパラメータまたは因子を用い、臨床医によってなされる。一般に、用量は最適用量よりも幾分少ない量で開始し、所望のまたは最適な効果がいずれかのマイナスの副作用に対して達成されるまで、その後、少量ずつ増加させる。
本発明者らは、幹細胞および/またはその子孫および/またはそれに由来する可溶性因子によって提供される治療的利点が、対象において少なくとも4週間観察されることを示した。従って、いくつかの例において、細胞は毎週、2週間毎に、3週間毎に一回、または4週間毎に一回投与される。
低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害の進行の治療または遅延に向けられた開示の例によると、幹細胞および/またはその子孫細胞および/またはそれに由来する可溶性因子は、例えば、当該分野で公知の、および/または本明細書中に記載された標準的な方法を用い、障害の診断に続いて投与される。
低い骨芽細胞のレベルまたは活性に関連する障害の開始の予防または遅延に向けられた例では、幹細胞および/またはその子孫細胞および/またはそれに由来する可溶性因子は、障害の臨床的診断に先立って投与することができる。
本開示は以下の非限定的実施例を含む。
実施例1:STRO―3 + 細胞の選択によるMPCの免疫選択
骨髄(BM)は健康な通常の成人ボランティア(20〜35歳)から収穫する。簡単に述べれば、40mlのBMを後部腸骨稜からリチウム―ヘパリン抗凝固剤―含有試験管に吸引する。
BMMNCは、従前に記載されているように(Zannettino,A.C.et al.(1998)Blood 92:2613―2628)、LymphoprepTM(Nycomed Pharma,オスロ,ノルウェー国)を用いて密度勾配分離によって調製される。4℃における30分間の400×gでの遠心に続いて、淡黄色層を移動ピペットで取り出し、5%胎児子ウシ血清(FCS,CSL Limited,Victoria,オーストラリア国)を含有する、ハンクス平衡塩溶液(HBSS;Life Tecnologies,Gaithersburg,MD)から構成される「HHF」中で3回洗浄した。
従前に記載されているように(Gronthos et al.(2003)Journal of Cell Science 116:1827−1835;Gronthos,S.and Simmons,P.J.(1995)Blood 85:929―940)、引き続いて、磁性活性化細胞ソーティングによってSTRO−3+(またはTNAP+)細胞を単離した。簡単に述べれば、ほぼ1〜3×108のBMMNCを、氷上で、HHF中の、10%(v/v)の正常なウサギ血清よりなるブロッキング緩衝液中で20分間インキュベートする。細胞を、氷上で、ブロッキング緩衝液中の200μlのSTRO−3 mAbの10μg/ml溶液と共に1時間インキュベートする。引き続いて、400×gでの遠心によって、細胞をHHF中で2回洗浄する。HHF緩衝液中のヤギ抗−マウスγ―ビオチン(Southern Biotechnology Associates,Birmingham,UK)の1/50希釈物を加え、細胞を氷上で1時間インキュベートする。細胞を、前記したMACS緩衝液(1% BSA、5mM EDTAおよび0.01%アジ化ナトリウムを補足したCa2+−およびMn2+−フリーPBS)中で2回洗浄し、最終容量0.9mlのMACS緩衝液に再懸濁させる。
100μlのストレプトアビジンマイクロビーズ(Miltenyi Biotec;Bergisch Gladbach,ドイツ国)を細胞懸濁液に加え、氷上で15分間インキュベートする。細胞懸濁液を2回洗浄し、0.5mlのMACS緩衝液中に再懸濁させ、引き続いて、ミニMACSカラム(MS Columns,Miltenyi Biotec)に負荷し、0.5mlのMACS緩衝液で3回洗浄して、(受託番号PTA−7282下でAmerican Type Culuture Collection(ATCC)に2005年12月19日に寄託された−国際公開番号WO 2006/108229参照)STRO−3 mAbに結合しなかった細胞を回収する。さらなる1mlのMACS緩衝液の添加の後に、カラムを磁石から取り出し、TNAP+細胞を正圧によって単離する。各画分からの細胞のアリコットをストレプトアビジン−FITCで染色することができ、純度をフローサイトメトリーによって評価することができる。
実施例2:STRO−3 mAbによって選択された細胞はSTRO−1 ブライト 細胞である
実験を設計して、細胞STRO−1ブライト細胞を単離するための単一の試薬としてSTRO−3 mAbの使用の潜在能力を確認した。
STRO−3(IgG1)はSTRO−1(IgM)のそれと異なるアイソタイプであると仮定し、クローン原性CFU−Fを同定するSTRO−3の能力を、MACS手法を用いて単離されたSTRO−1−細胞とのその共発現に基づいて二色FACS分析によって評価した(図1)。ドット・プロット・ヒストグラムはリストモードのデータとして収集された5×104の事象を表す。垂直および水平線を、同一条件下で処理されたアイソタイプがマッチした対照抗体、1B5(IgG)および1A6.12(IgM)で得られた<1.0%平均蛍光の反応性レベルに対して設定した。結果は、STRO−1ブライト細胞の小さな集団がTNAPを共発現し(上方右側象限)、他方、残りのSTRO−1+細胞はSTRO−3 mAbと反応しなかったことを示す。全ての4つの象限からのFACSによって単離された細胞を、引き続いて、CFU−Fの発生率について検定した(表1)。
表1:細胞表面マーカーSTRO−1およびTNAPの共発現に基づいた二色FACS分析によるヒト骨髄細胞豊富化(図1参照)。FACSソーティングした細胞を、20%FCSを補足したアルファMEM中で標準的なクローン原性条件下で培養した。データは、平板培養した105細胞当たりの14日コロニー−形成細胞(CFU−F)の平均数±SEを表す(n=3 異なる骨髄吸引物)。これらのデータは、ヒトMPCが、STRO−1抗原を明るく共発現させるBMのTNAP陽性画分に専ら制限されることを示唆する。
実施例3:カニクイザルSTRO−3+MPCの特徴づけ
サル骨髄先祖細胞(カニクイザルからのもの;cyno−MPC)を、雌Macaca fascicularisから収集した〜15mlの骨髄吸引物から単離した。骨髄吸引物懸濁液を、Ficollグラジエントを用いて分離し、および洗浄して、無核細胞(赤血球細胞)を除去した。次いで、CA12抗体(抗−STRO−3)およびDynalbeadsを攻撃することによって、有核細胞をカウントした。抗体およびビーズを付着させた細胞を、MPC−1磁石の磁場によって陽性選択した。陽性の選択された細胞をカウントし、成長培地中において継代(p.)0にてT−フラスコに撒いた。予備的選択、陽性および陰性細胞をコロニー形成検定(CFU−F)で用いた。
cyno−MPC細胞に成長培地を与えた。全ての培養(p.0〜p.5)を、それらが所望の密集に到達するまで2〜4日毎に与えた。次いで、細胞を継代し、またはHBSS洗浄、次いで、コラゲナーゼ、続いてトリプシン/ヴェルセンを用いて収穫した。p.1細胞をカウントし、T−フラスコに撒いた。p.1 cyno−MPCが所望の密集に到達すれば、細胞を収穫し、制御された速度のフリーザーを用いて低温保存した。
継代1低温保存cyno−MPCを解凍し、T−フラスコに撒いた(p.2)。p.2細胞をp.3の細胞工場に継代した。p.3細胞を収穫し、p.4に細胞工場へと継代した。過剰のp.3細胞を低温保存した。p.4細胞をp.5の6×細胞工場に継代した。p.5 cyno−MPCが所望の密集に到達すれば、細胞を収穫し、制御された速度のフリーザーを用いて低温保存した。細胞を50%アルファMEM、42.5%Profreeze、および7.5%DMSO中で低温保存した。試料をCFU−F検定、FACS、不妊、マイコプラズマ、およびエンドトキシンについてテストした。
培養されたcyno−MPCの免疫表現型の代表的なフローサイトメトリー分析の結果を図2に示す。示されるように、これらの細胞はSTRO−1+、STRO−4+およびCD146+である。
p5のcyno MPCを解凍し、実施例4に記載された糖尿病および非−糖尿病カニクイザルの静脈内注射で用いた。
実施例4:肥満サルにおける血中オステオカルシンレベルに対するMPCの全身投与の効果
5匹のカニクイザルを、以下の基準:(i)年齢>14年、(ii)高絶食血中グルコース(>105mg/dL)、絶食血中インスリンレベル(<60mU/L)、(iii)高BMI(>46雄 >24雌)、(iv)雄については8kgを超える体重および雌については>3.5kg体重、(v)高絶食トリグリセリド;および(vi)IVGTTに基づいた鈍い相1インスリン応答に基づいて治療のために選択した。
サルを群1、2または3に割り当てた。動物に、以下の用量にて(用量は記録された最新の体重に調整した)、頭部静脈または適切な末梢静脈への(実施例2に記載されたように単離された)同種異系MPCの単一の遅い静脈内(IV)点滴を受けさせた。
各サルは以下に示されるように週0においてMPCの第一の点滴および週12において第二の点滴を受けた。
オステオカルシンのサンプリングは週:−4、−2、0、2、4、8、12、20、24に行った。
アルカリホスファターゼのサンプリングは週:−2、2、4、6、8、12、14、16、18、20、22、24に行った。
結果
血中オステオカルシン(ng/ml)についての絶食プロファイルを、個々の動物に対する同種異系MPCのIV注射に続いて6カ月間モニターした。結果を図3に示し、そこでは、矢印はMPCの単一の用量の投与の時間を示す。
全ての5匹の動物はMPC処理前のオステオカルシンの低い血漿中レベルを示し、平均ベースラインの値は1.4(+/−1.5、SEM)ng/mlであった。
データは、オステオカルシン応答が各注射後に2週間以内に起こり、効果は12週間の持続を有することを示す。また、データは、MPCの反復注射が初期注射と少なくとも同程度効果的であることを示す。オステオカルシンのピーク値は10〜30ng/mlの範囲であった。最大オステオカルシン誘導はテストされた最低の細胞用量で見られた。
図4は、オステオカルシン応答が、肥満モーリシャスカニクイザルにおいて最初のMPC注射後2週間以内に観察されることを示す。2〜8週間におけるピーク応答に続いて、値は12週間までにベースラインに戻る。興味深いことには、第二のMPC注射は、同一レベルのオステオカルシン応答を維持する第一の注射と同様の動態を示す。
図5は、週0におけるベースラインに対する、6ヵ月の期間にわたってのオステオカルシン応答のパーセンテージ変化を示す。最も強い応答は、低用量のMPC注射(300000MPC/kg)で認められた。
図6は、処理前のベースラインレベルと比較した、MPC処理後のオステオカルシンレベルの平均パーセンテージ変化を示す。ベースラインからのオステオカルシンの平均パーセンテージ増加は2週間においてピークとなり、値は1134%(+/−202)であった。第二の注射後の応答の振幅は、第一のMPC注射のそれと同様であるように見える。
図7は、(曲線下面積分析によって測定された)6ヵ月のMPC処理にわたっての血漿中アルカリホスファターゼの漸進的増加を示す。
図8は、(18〜24週間および0〜6週間の間の曲線下面積分析において%増加によって測定された)6ヵ月のMPC処理にわたる血漿の総アルカリホスファターゼの漸進的増加を示す。