本発明は、タンパク質Axlと結合することができる、新規な抗原結合タンパク質、特に、モノクローナル抗体、ならびに上記タンパク質をコードするアミノ酸配列および核酸配列に関する。一面から、本発明は、Axlと結合することができ、Axlのインターナリゼーション(interalization)を誘導することにより細胞にインターナライズ(internalized)され得る新規な抗原結合タンパク質または抗原結合フラグメントに関する。本発明はまた、毒素、放射性元素または薬物などの他の抗癌化合物と組み合わせたアドレッシング産物としての上記抗原結合タンパク質の使用、およびある種の癌の治療のためのその使用も含んでなる。
「Axl」(「Ufo」、「Ark」または「Tyro7」とも呼ばれる)は、慢性骨髄性白血病患者から、マウスNIH3T3により過剰発現された際に形質転換を誘発する癌遺伝子としてクローニングされた。Axlは、TAM(Tyro3、Axl、Mer)ファミリーと呼ばれる受容体チロシンキナーゼ(RTK)の一ファミリーに属し、Tyro3(Rse、Sky、Dtk、Etk、Brt、Tif)、Axl、およびMer(Eyk、Nyk、Tyro−12)を含む[Lemke G. et al. Nat. Rev. Immunol. (2008).8, 327-336]。
ヒトタンパク質Axlは、アミノ酸894個のタンパク質であり、その配列は配列表に配列番号29として示されている。アミノ酸1〜25はシグナルペプチドに相当し、このペプチドシグナルを含まないヒトタンパク質Axlは、配列表に配列番号30として示されている。
当初は成長停止特異的遺伝子として単離されたGas6は、TAMファミリーのメンバーに共通のリガンドである[Varnum B.C. et al. Nature (1995).373, 623-626]。Gas6は、Axlに対して最大の親和性を示し、次にTyro3、最後にMerが続く[Nagata K. et al. J. Biol. Chem. (1996).271, 30022-30027]。Gas6は、リン脂質膜との結合を仲介するγ−カルボキシグルタミン酸(Gla)リッチドメイン、4つの上皮細胞増殖因子様ドメイン、および2つのラミニンG様(LG)ドメインからなる[Manfioletti G., Brancolini,C., Avanzi,G. & Schneider,C. Mol. Cell Biol. (1993).13, 4976-4985]。多くの他のRTKと同様、リガンドの結合は、受容体の二量体形成、および様々な細胞内シグナル伝達分子のドッキング部位として働くチロシン残基(受容体Axlに対しては、チロシン残基779、821および866)の自己リン酸化をもたらす[Linger R.M., Keating,A.K., Earp,H.S. & Graham,D.K. Adv. Cancer Res. (2008).100, 35-83]。さらに、Axl受容体は、リガンド非依存性のプロセスを介しても活性化され得る。この活性化は、Axl受容体が過剰発現される場合に起こり得る。
Gas6/Axlシグナル伝達は、in vitroで多様な細胞において、細胞の増殖、接着、移動および生存を含む様々な細胞プロセスを調節することが示されている[Hafizi S. & Dahlback,B. FEBS J. (2006).273, 5231-5244]。さらに、TAM受容体は自然免疫の制御に関与し、樹状細胞(DC)およびマクロファージにおいて病原体に対する炎症性応答を阻害する。また、TAM受容体は、これらの免疫細胞によるアポトーシス細胞の貪食も駆動し、ナチュラルキラー(NK)細胞の成熟および殺傷活性に必要とされる[Lemke G. et al. Nat. Rev. Immunol. (2008).8, 327-336]。
通常の細胞では発現は弱いが、Gas6/Axl系は、主として線維芽細胞、骨髄前駆細胞、マクロファージ、神経系組織、心筋および骨格筋に見られ、そこで主要には細胞の生存を助ける。Gas6/Axl系は、血管平滑筋細胞のホメオスタシスを調節することにより血管生物学に重要な役割を果たしている[Korshunov,V.A., Mohan,A.M., Georger,M.A. & Berk,B.C. Circ. Res. (2006).98, 1446-1452; Korshunov,V.A., Daul,M., Massett,M.P. & Berk,B.C. Hypertension (2007).50, 1057-1062]。
腫瘍細胞では、Axlは、細胞の浸潤および移動の調節に重要な役割を果たしている。Axlの過剰発現は、予後の悪さに関連しているだけでなく、乳癌、結腸癌、食道癌、肝細胞癌、胃癌、神経膠腫、肺癌、黒色腫、骨肉腫、卵巣癌、前立腺癌、横紋筋肉腫、腎臓癌、甲状腺癌および子宮内膜癌で報告されているように、様々なヒト癌の浸潤性の増長にも関連している[総説としてLinger R.M., Keating, A.K., Earp, H.S. & Graham, D.K. Adv. Cancer Res. (2008).100, 35-83およびVerma A. Mol. Cancer Ther. (2011).10, 1763-1773]。乳癌では、Axlは、上皮間葉移行(EMT)の強力なエフェクターであると思われ、EMTプログラムは、その生物において癌細胞の移動および転移に積極的に寄与している[Thiery J.P. Curr. Opin. Cell Biol. (2003).15, 740-746]。
また、Axlは、血管新生を調節することも示されている。実際に、内皮細胞におけるAxlのノックダウンは、管の形成および移動に障害を来す [Holland S.J. et al. Cancer Res. (2005).65, 9294-9303] とともに、特定の血管新生シグナル伝達経路を妨げた[Li Y. et al. Oncogene (2009).28, 3442-3455]。
もっと最近では、ある範囲の細胞モデルに対して、薬剤耐性現象におけるAxl過剰発現の関与を記載している研究がいくつかある。下表1にこれらの研究をまとめる。
上記表1に挙げた完全な出典は次の通り:
Macleod K. et al. Cancer Res. (2005).65, 6789-6800
Mahadevan D. et al. Oncogene (2007).26, 3909-3919
Lay J.D. et al. Cancer Res. (2007).67, 3878-3887
Hong C.C. et al. Cancer Lett. (2008).268, 314-324
Liu L. et al. Cancer Res. (2009).69, 6871-6878
Keating A.K. et al. Mol. Cancer Ther. (2010).9, 1298-1307
Ye X. et al. Oncogene (2010).29, 5254-5264
このような文脈では、Axl RTKは、腫瘍学において興味深い標的と考えられる。いくつかのグループが、すでに、裸のモノクローナル抗体または標的化小分子を用いて、このgas6/Axl軸を標的とする抗腫瘍戦略を開発している[Verma A. Mol. Cancer Ther. (2011).10, 1763-1773]。
第1の実施態様では、本発明は、i)ヒトタンパク質Axlと結合し、かつ、ii)その上記ヒトタンパク質Axlとの結合の後にインターナライズされる、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントに関する。
より一般的には、本発明は、その上記標的Axlとの結合の後にインターナライズされ得る抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントの選択のための、タンパク質Axlの使用に関する。より詳しくは、上記標的は、Axlの細胞外ドメインである。
従って、この特定の面では、本発明は、哺乳動物細胞に目的分子を送達またはインターナライズすることができる化合物またはその結合フラグメントのスクリーニングのためのin vitro法を対象とし、上記目的分子は上記化合物に共有結合され、上記方法は、以下の工程:
a)Axlタンパク質、またはその細胞外ドメイン(ECD)、またはそのエピトープと結合することができる化合物を選択する工程;
b)場合により、上記目的分子または対照分子を、工程a)で選択された上記化合物と共有結合させて複合体を形成する工程;
c)工程a)で選択された上記化合物、または工程b)で得られた上記複合体を、その表面でAxlタンパク質またはその機能的フラグメントを発現する哺乳動物細胞、好ましくは、生細胞と接触させる工程;
d)上記化合物または上記目的分子または上記複合体が上記哺乳動物細胞に細胞内送達またはインターナライズされたかどうかを決定する工程;および
e)上記化合物を哺乳動物生細胞に目的分子を送達またはインターナライズすることができる化合物として選択する工程
を含んでなる。
好ましい実施態様では、目的分子を哺乳動物生細胞に送達またはインターナライズすることができる上記化合物は、タンパク質(本明細書ではポリペプチドまたはペプチドとも呼ばれる)またはペプチド構造、特に、少なくとも5、10、15またはそれを超えるアミノ酸残基のアミノ酸配列、を含んでなるタンパク質様化合物であり、上記アミノ酸残基はグリコシル化することができる。
目的分子を哺乳動物生細胞に送達またはインターナライズすることができる上記化合物がタンパク質またはタンパク質様化合物である場合、上記化合物は、本明細書では、「抗原結合タンパク質」とも呼ばれ、上記抗原結合タンパク質またはその結合フラグメントは、
i)タンパク質Axl、好ましくは、ヒトAxlタンパク質と結合することができ、かつ、
ii)上記Axlタンパク質が上記哺乳動物細胞の表面で発現された場合に、その上記タンパク質Axlとの結合の後に、哺乳動物細胞にインターナライズされ得る。
好ましい実施態様では、上記哺乳動物生細胞は、ヒト細胞、好ましくは、Axlタンパク質受容体を天然に発現する細胞である。
特定の実施態様では、工程c)の哺乳動物生細胞は、それらの表面で組換えAxlタンパク質を発現する哺乳動物細胞である。
これもまた好ましい実施態様において、上記目的分子は、細胞傷害性分子(本明細書では細胞傷害性または細胞増殖抑制薬剤とも呼ばれる)である。
これもまた好ましい実施態様において、上記目的分子は、リンカー、より好ましくは、ペプチドリンカー、より好ましくは、切断可能なペプチドリンカー、より好ましくは、哺乳動物細胞に、特に、上記哺乳動物細胞のサイトゾルに含まれる天然の細胞内化合物により切断され得るリンカーを用いて、Axlタンパク質と結合することができる上記化合物に共有結合される。
これもまた好ましい実施態様において、Axlタンパク質と結合することができる上記化合物は、Axlタンパク質に、またはAxl EDCドメインに局在するそのエピトープに特異的に向けられている抗体、またはその機能的結合フラグメントである。
e)の選択工程は、細胞内送達またはインターナリゼーションの評価に関して当業者に知られているいずれの方法によっても具現化することができる。Axlタンパク質と特異的に結合することができる上記化合物の、または上記化合物と上記目的分子によって形成される上記複合体の、または上記化合物と共有結合されている上記目的分子の、存在、不在、または活性を証明または評価することができるアッセイまたは試験は当業者に周知である(以下に開示されるこのような試験またはアッセイのいくつかの例を参照。ただし、これらの試験は以下の試験例に限定されない)。
より詳しくは、これらの試験またはアッセイは、FACS、免疫蛍光、フローサイトメトリー、ウエスタンブロット、細胞傷害性/細胞増殖抑制性評価などによって具現化することができる。
この面では、本発明はまた、細胞傷害性化合物を哺乳動物細胞、好ましくは、生細胞に送達することができる細胞傷害性または細胞増殖抑制性複合体の作製のためのin vitro法も対象とし、上記方法は、
細胞傷害性薬剤を、
i)Axlタンパク質、好ましくは、ヒトAxlタンパク質と結合することができ、かつ、
ii)上記Axlタンパク質が上記哺乳動物細胞の表面で発現された場合に、その上記タンパク質Axlとの結合の後に、哺乳動物細胞にインターナライズされる
化合物に共有結合させる工程を含んでなる。
好ましくは、上記化合物は、タンパク質様タンパク質、より好ましくは、Axlタンパク質に、またはAxl EDCドメインに局在するそのエピトープに向けられた抗体、または上記抗体の機能的結合フラグメントである。
好ましい実施態様では、上記細胞傷害性薬剤は、上記抗Axl抗体またはその機能的フラグメントに、リンカー、より好ましくは、ペプチドリンカー、より好ましくは、切断可能なペプチドリンカー、より好ましくは、限定されない例として天然の細胞内化合物により切断され得るリンカーを用いて共有結合される。
TAMファミリーの他のメンバーと同様に、Axl細胞外ドメイン(ECD)は細胞接着分子の細胞外ドメインに近い構成を有する。Axl ECDは、2つの免疫グロブリン様ドメインの次に2つの隣接するフィブロネクチンIII型様ドメインがくる組合せを特徴とする[O'Bryan J.P. et al. Mol. Cell Biol. (1991).11, 5016-5031]。この2つのN末端免疫グロブリン様ドメインは、Gas6リガンド結合に十分なものである[Sasaki T. et al. EMBO J. (2006).25, 80-87]。
ヒトタンパク質AxlのECDは、配列番号29の配列のアミノ酸1〜451に相当するアミノ酸451個のフラグメントであり、その配列は配列表に配列番号31として示されている。アミノ酸1〜25はシグナルペプチドに相当し、このシグナルペプチドを含まないヒトタンパク質AxlのECDは、配列番号29の配列のアミノ酸26〜451に相当し、配列番号32の配列により示される。
これまでに、種々のインターナリゼーション様式が確認されている。これらのインターナリゼーション様式は、細胞内におけるタンパク質またはタンパク質複合体のインターナリゼーションを方向付ける。エンドサイトーシス後、ほとんどの膜タンパク質または脂質は細胞表面に戻るが(リサイクリング)、一部の膜成分は後期エンドソームまたはゴルジに送達される[Maxfield F.R. & McGraw, T.E. Nat. Rev. Mol. Cell Biol. (2004).5, 121-132]。
好ましい実施態様では、本発明は、i)ヒトタンパク質Axlと結合し、かつ、ii)その上記ヒトタンパク質Axlとの結合の後に、インターナライズされる、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントに関する。
最も好ましい実施態様では、本発明は、
i)好ましくは配列番号29もしくは30の配列またはその天然変異体配列を有する、ヒトタンパク質Axlと結合し、かつ、
ii)その上記ヒトタンパク質Axlとの結合の後にインターナライズされる、
抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントに関する。
「結合タンパク質」または「抗原結合タンパク質」とは、別のタンパク質または分子(一般に抗原と呼ばれる)と特異的または全般的な親和性を有するペプチド鎖である。タンパク質を接触させると、結合が可能であれば、複合体を形成する。本発明の抗原結合タンパク質は、限定されるものではないが、好ましくは、抗体、抗体のフラグメントもしくは誘導体、タンパク質またはペプチドであり得る。
本発明によれば、抗原結合タンパク質の「抗原結合フラグメント」とは、抗原結合タンパク質の標的(一般に抗原とも呼ばれる)と特異的に結合する能力を保持し、かつ、抗原結合タンパク質のアミノ酸配列の、少なくとも5個の連続するアミノ酸残基、少なくとも10個の連続するアミノ酸残基、少なくとも15個の連続するアミノ酸残基、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基、少なくとも25個の連続するアミノ酸残基、少なくとも40個の連続するアミノ酸残基、少なくとも50個の連続するアミノ酸残基、少なくとも60個の連続するアミノ酸残基、少なくとも70個の連続するアミノ酸残基、少なくとも80個の連続するアミノ酸残基、少なくとも90個の連続するアミノ酸残基、少なくとも100個の連続するアミノ酸残基、少なくとも125個の連続するアミノ酸残基、少なくとも150個の連続するアミノ酸残基、少なくとも175個の連続するアミノ酸残基、少なくとも200個の連続するアミノ酸残基、または少なくとも250個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含んでなる、任意のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を示すものとする。
抗原結合タンパク質が抗体である好ましい実施態様では、このような「抗原結合フラグメント」は、Fv、scFv(scは一本鎖を表す)、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv−Fcフラグメントもしくはダイアボディー、またはその半減期が、ポリ(アルキレン)グリコール、例えば、ポリ(エチレン)グリコールの付加(「ペグ化」)(ペグ化フラグメントはFv−PEG、scFv−PEG、Fab−PEG、F(ab’)2−PEGまたはFab’−PEGと呼ばれる)(「PEG」はポリ(エチレン)グリコールを表す)などの化学修飾によるか、またはリポソームへの封入によって延長されたと考えられる任意のフラグメントからなる群から選択され、上記フラグメントは、本発明による抗体の特徴的なCDRのうち少なくとも1つを有する。好ましくは、上記「抗原結合フラグメント」は、それらが由来する抗体の可変重鎖または軽鎖の部分配列からなるか、またはそれを含んでなると考えられ、上記部分配列は、それが由来する抗体と同じ結合特異性と、標的に対して十分な親和性、好ましくは、それが由来する抗体の親和性の少なくとも1/100、より好ましい様式では、少なくとも1/10に相当する親和性とを保持するのに十分なものである。このような機能的フラグメントは、それが由来する抗体の配列の、最低5個のアミノ酸、好ましくは、10、15、25、50および100個の連続するアミノ酸を含むと考えられる。
用語「エピトープ」は、抗体を含む抗原結合タンパク質により結合される抗原の領域である。エピトープは、構造的または機能的と定義することができる。機能的エピトープは一般に、構造的エピトープのサブセットであり、相互作用の親和性に直接寄与する残基を持つ。エピトープはまた、コンフォメーション的でもあり得、すなわち、非直鎖アミノ酸から構成される。特定の実施態様では、エピトープは、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基、またはスルホニル基などの化学的に活性な表面分子群である決定基を含み得、特定の実施態様では、特定の三次元構造の特徴および/または特定の電荷特徴を持ち得る。
本出願では、エピトープは、ヒトタンパク質Axlの細胞外ドメインに局在する。
本発明の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、ヒトタンパク質Axl細胞外ドメインに局在し、好ましくは、配列番号31もしくは32の配列またはその天然変異体配列を有するエピトープと特異的に結合する。
「結合する(“binding”, “binds”)」などは、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントが、生理学的条件下で抗原と比較的安定な複合体を形成することを意図する。2つの分子が結合するかどうかを決定するための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などが含まれる。
この意味で、「EC50」は、50%効果濃度を意味する。より厳密には、この50%効果濃度(EC50)という用語は、ある特定の暴露時間の後にベースラインと最大値の中間の応答を誘導する薬物、抗体または毒物の濃度に相当する。これは薬物の効力の尺度として慣用されている。従って、段階的用量反応曲線(graded dose response curve)のEC50は、その最大効果の50%が見られる化合物の濃度を表す。素量的用量反応曲線(quantal dose response curve)のEC50は、特定の暴露期間の後に、その集団の50%が応答を示す化合物の濃度を表す。濃度の尺度は一般に、比較的小さい濃度変化で急速に増加するS字曲線をたどる。これはベストフィット直線の微分によって数学的に求めることができる。
好ましい実施態様として、本発明で決定されたEC50は、ヒト腫瘍細胞上に露出しているAxl ECDに対する抗体結合の抗力を特徴付けた。EC50パラメーターは、FACS分析を用いて決定される。EC50パラメーターは、ヒト腫瘍細胞上で発現されたヒトAxlに対して最大結合の50%が見られる抗体濃度を表す。各EC50値は、4パラメーター回帰曲線フィッティングプログラム(Prism Software)を用いて用量反応曲線の中央値として計算した。このパラメーターは、生理的状態/病的状態の代表例として選択されたものである。
本発明の一実施態様では、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、そのエピトープと、少なくとも10−9M、優先的には10−9〜10−12Mの間のEC50で結合する。
本発明の別の実施態様は、哺乳動物細胞、好ましくは、ヒト細胞、好ましくは、生細胞に、細胞内にインターナライズされ得る抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントを選択するためのプロセスまたは方法であり、
i)Axl、好ましくは、そのEDCドメインまたはそのエピトープと結合する抗原結合タンパク質を選択する工程、および
ii)哺乳動物細胞の表面で発現されたAxlタンパク質とのそれらの結合の後に、哺乳動物細胞にインターナライズされる、上記工程i)から得られた上記抗原結合タンパク質を選択する工程
を含んでなる。
特定の実施態様では、上記哺乳動物細胞は、それらの表面でAxlタンパク質受容体を天然に発現するか、またはそれらの表面で組換えAxlタンパク質を発現する哺乳動物細胞、好ましくは、ヒト細胞である。
このような方法またはプロセスは、i)Axlと少なくとも10−9MのEC50で結合する抗原結合タンパク質を選択する工程、およびii)それらのAxlとの結合の後にインターナライズされる、上記工程から得られた抗原結合タンパク質を選択する工程を含んでなり得る。ii)の選択工程は、インターナリゼーションの評価に関して当業者に知られているいずれの方法によっても具現化することができる。より詳しくは、試験は、FACS、免疫蛍光、フローサイトメトリー、ウエスタンブロット、細胞傷害性評価などによって具現化することができる。
本発明による抗原結合タンパク質のもう一つの特徴は、腫瘍細胞の増殖に対していずれの顕著な活性も持たないということである。より詳しくは、以下の例で示されるように、本発明による抗原結合タンパク質は、増殖SN12Cモデルに対していずれの顕著なin vitro活性も持たない。
腫瘍学において、mAbが治療効力を発揮し得る機構は複数存在するが、それらの活性は持続的利益をもたらすには十分でない場合が多い。従って、特に化学療法薬としての薬物とそれらを組み合わせることでそれらの活性を増強するためにいくつかの戦略が採られてきた。組合せプロトコールに対する有効な代替法として、免疫毒素が癌を治療するための新規な治療選択肢となる[Beck A. et al. Discov. Med. (2010).10, 329-339; Alley S.C. et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. (2009).330, 932-938]。抗体−薬物複合体(ADC)は、mAbの特異性を利用し、かつ、細胞傷害性薬剤の送達を腫瘍に標的化する能力がmAb活性と薬物活性の両方を著しく増強し得る一つのアプローチである。mAbは抗原と特異的に結合し、腫瘍細胞では実質的発現を伴うが、正常な細胞では発現が限定されることが理想的である。
本発明は、抗Axl結合タンパク質、より詳しくは、Axl結合の後にインターナライズされる高い能力を示す特異的抗Axl抗体を対象とする。このような抗原結合タンパク質は、それらが連結された細胞傷害薬を標的癌細胞に向けることから、免疫−薬物複合体成分の一つとして注目されている。ひと度インターナライズされると、細胞傷害薬は癌細胞の死を誘発する。
免疫複合体療法で成功するための重要な鍵は、標的抗原特異性と、抗原結合タンパク質複合体の癌細胞へのインターナリゼーションであると考えられる。明らかに、非インターナライズ性の抗原は、インターナライズ性の抗原よりも細胞傷害性薬剤を送達する効果が低い。インターナリゼーションプロセスは抗原間で異なり、結合タンパク質により影響を受け得る複数のパラメーターに依存する。細胞表面RTKは、このようなアプローチを検討するために注目される抗原ファミリーを構成する。
この生体分子では、細胞傷害薬は細胞傷害活性をもたらし、使用する抗原結合タンパク質は癌細胞に対するその特異性をもたらすとともに、細胞傷害薬を細胞内に入れて適切にアドレス指定するためのベクターとなる。
よって、免疫複合体分子を改良するためには、担体結合タンパク質は、標的癌細胞への高いインターナライズ能を示さなければならない。結合タンパク質がインターナリゼーションを媒介した効率は、標的エピトープによって有意に異なる。強力なインターナライズ性抗Axl結合タンパク質の選択には、Axlのダウンレギュレーションを研究するだけでなく、細胞内に入る抗Axl結合タンパク質を追跡する様々な実験データが必要である。
好ましい実施態様では、本発明による抗原結合タンパク質のインターナリゼーションが、好ましくは、免疫蛍光(本出願の下記に例示される)またはインターナリゼーション機構を専門とする当業者に知られているいずれかの方法またはプロセスによって評価することができる。
別の好ましい実施態様では、本発明によるAxl−抗原結合タンパク質複合体は、本発明の結合タンパク質が上記AxlのECDに結合した後にインターナライズされるので、細胞表面のAxl量の減少が引き起こされる。この減少は、当業者に知られているいずれかの方法(ウエスタンブロット、FACS、免疫蛍光など)によって定量することができる。
本発明の実施態様では、この減少(従ってインターナリゼーションを反映する)は、好ましくはFACSにより測定し、非処理細胞で測定された平均蛍光強度(MFI)と、本発明による抗原結合タンパク質で処理した細胞で測定されたMFIとの間の差すなわちΔとして表すことができる。
本発明の非限定例として、このΔは、i)本発明の抗原結合タンパク質との24時間のインキュベーション期間の後のヒト腎腫瘍SN12C細胞、およびii)Alexa488で標識された二次抗体を用い、非処理細胞および実施例9に記載の本発明の抗原結合タンパク質で処理した細胞で得られたMFIに基づいて決定される。このパラメーターは、下式で計算されると定義される。
Δ(MFI24h非処理細胞−MFI24h抗原結合タンパク質処理細胞)
MFIは細胞表面で発現されたAxlに比例するので、このMFI間の差はAxlのダウンレギュレーションを反映する。
より好ましく、有利な面では、本発明の抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、少なくとも200、好ましくは、少なくとも300のΔ(MFI24h非処理細胞−MFI24h処理細胞)を誘発するモノクローナル抗体、好ましくは、単離されたMabからなる。
本発明による抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、少なくとも200のMFI減少を誘導する。
より詳しくは、上述のΔは、以下のプロセス(例示的、非限定的例とみなされなければならない)に従って測定することができる:
a)目的の腫瘍細胞を本発明の抗原結合タンパク質で処理およびインキュベートし、
b)工程a)の処理細胞と、並行して非処理細胞を、本発明の抗原結合タンパク質で処理し、
c)処理および非処理細胞に関して、抗原結合タンパク質と結合することができる二次標識抗体を用いてMFI(表面に存在するAxlの量を表す)を測定し、
d)Δを、非処理細胞で得られたMFIから処理細胞で得られたMFIを差し引いた差として計算する。
用語「抗体(“antibody”, “antibodies”)」または「免疫グロブリン」は、互換的に、広義に使用され、モノクローナル抗体、好ましくは、単離されたMab(例えば、全長または完全モノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、多価抗体または多重特異性抗体(例えば、それらが所望の生物活性を示す限り、二重特異性抗体)を含む。
より詳しくは、このような分子は、ジスルフィド結合により相互接続された少なくとも2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖を含んでなる糖タンパク質からなる。各重鎖は、重鎖可変領域(またはドメイン)(本明細書ではHCVRまたはVHと略される)と重鎖定常領域を含んでなる。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2およびCH3を含んでなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略される)と軽鎖定常領域を含んでなる。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLを含んでなる。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存性の高い領域が散在した、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域にさらに細分することができる。各VHおよびVLは、3つのCDRと4つのFRから構成され、アミノ末端からカルボキシ末端方向に以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置されている。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を仲介することができる。
本発明の意味における抗体はまた、ある特定のその抗体フラグメントも含む。上記抗体フラグメントは、供給源または免疫グロブリンのタイプ(すなわち、IgG、IgE、IgM、IgAなど)にかかわらず、所望の結合特異性および親和性を示し、すなわち、抗体フラグメントは、本発明の全長抗体に匹敵する親和性でAxlタンパク質と特異的に結合することができる。
一般に、モノクローナル抗体またはそれらの機能的フラグメント、特にマウス起源のものの調製には、特に手引き書“Antibodies” (Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor NY, pp. 726, 1988)に記載されている技術またはKohler and Milstein (Nature, 256:495-497, 1975)により記載されているハイブリドーマからの作製技術を参照することができる。
用語「モノクローナル抗体」または「Mab」は、本明細書で使用する場合、特定の抗原に向けられ、かつ、B細胞の単一クローンまたはハイブリドーマによって生産され得る抗体分子を意味する。モノクローナル抗体はまた組換え型であってもよく、すなわち、タンパク質工学によって作製されてもよい。さらに、一般に様々な決定基またはエピトープに対する様々な抗体を含むポリクローナル抗体の作製とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原の単一のエピトープに対するものである。本発明は、単離された、または天然源から精製により得られた、または遺伝子組換えもしくは化学合成により得られた抗体に関する。
本発明の好ましい実施態様は、
a)配列番号1、2および3の配列、または配列番号1、2および3と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる3つの軽鎖CDRと、配列番号4、5および6の配列、または配列番号4、5および6と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる3つの重鎖CDRとを含んでなる抗体;
b)配列番号36、37および38の配列、または配列番号36、37および38と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる3つの軽鎖CDRと、配列番号39、40および41の配列、または配列番号39、40および41と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる3つの重鎖CDRとを含んでなる抗体;
c)配列番号64、65および66の配列、または配列番号64、65および66と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる3つの軽鎖CDRと、配列番号67、68および69の配列、または配列番号67、68および69と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる3つの重鎖CDRとを含んでなる抗体
からなる群から選択される抗体を含んでなる、またはからなる抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントである。
本発明のより好ましい実施態様では、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、
a)配列番号1、2および3の配列を含んでなる、IMGTナンバリングシステムに従って定義される3つの軽鎖CDRと、配列番号4、5および6の配列を含んでなる、IMGTナンバリングシステムに従って定義される3つの重鎖CDRを含んでなる抗体;
b)配列番号36、37および38の配列を含んでなる、IMGTナンバリングシステムに従って定義される3つの軽鎖CDRと、配列番号39、40および41の配列を含んでなる、IMGTナンバリングシステムに従って定義される3つの重鎖CDRとを含んでなる抗体;
c)配列番号64、65および66の配列を含んでなる、IMGTナンバリングシステムに従って定義される3つの軽鎖CDRと、配列番号67、68および69の配列を含んでなる、IMGTナンバリングシステムに従って定義される3つの重鎖CDRとを含んでなる抗体
からなる群から選択される抗体からなる。
好ましい面では、CDR領域またはCDRとは、IMGTにより定義される免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の超可変領域を示すものとする。相反する記述がなければ、CDRは、本明細書では、IMGTナンバリングシステムに従って定義される。
IMGT独自ナンバリングは、抗原受容体、鎖のタイプ、または種が何であれ可変ドメインを比較するために定義されたものである[Lefranc M.-P., Immunology Today 18, 509 (1997) / Lefranc M.-P., The Immunologist, 7, 132-136 (1999) / Lefranc, M.-P., Pommie, C., Ruiz, M., Giudicelli, V., Foulquier, E., Truong, L., Thouvenin-Contet, V. and Lefranc, Dev. Comp. Immunol., 27, 55-77 (2003)]。IMGT独自ナンバリングでは、保存されているアミノ酸は常に同じ位置を有し、例えば、システイン23(1st−CYS)、トリプトファン41(CONSERVED−TRP)、疎水性アミノ酸89、システイン104(2nd−CYS)、フェニルアラニンまたはトリプトファン118(J−PHEまたはJ−TRP)がそうである。IMGT独自ナンバリングは、フレームワーク領域の標準画定(FR1−IMGT:1〜26番、FR2−IMGT:39〜55番、FR3−IMGT:66〜104番およびFR4−IMGT:118〜128番)および相補性決定領域の標準画定:CDR1−IMGT:27〜38番、CDR2−IMGT:56〜65番およびCDR3−IMGT:105〜117番を提供する。ギャップは非占有の位置を表し、CDR−IMGT長(括弧の間にドットで区切って示される、例えば、[8.8.13])は、重要な情報となる。IMGT独自ナンバリングは、IMGT Colliers de Perlesと呼ばれる2次元グラフ[Ruiz, M. and Lefranc, M.-P., Immunogenetics, 53, 857-883 (2002) / Kaas, Q. and Lefranc, M.-P., Current Bioinformatics, 2, 21-30 (2007)]、およびIMGT/3次元構造−DBの3次元構造[Kaas, Q., Ruiz, M. and Lefranc, M.-P., T cell receptor and MHC structural data. Nucl. Acids. Res., 32, D208-D210 (2004)]で用いられる。
本明細書において相反する記述がなければ、相補性決定領域またはCDRは、IMGTナンバリングシステムに従って定義される免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の超可変領域を意味するものと理解しなければならない。
しかしながら、CDRは、Kabatナンバリングシステム(Kabat et al., Sequences of proteins of immunological interest, 5th Ed., U.S. Department of Health and Human Services, NIH, 1991および後続版)に従って定義することもできる。3つの重鎖CDRと3つの軽鎖CDRが存在する。ここで、用語「CDR(“CDR” and “CDRs”)」は、それが認識する抗原またはエピトープに対する抗体の結合親和性を担うアミノ酸残基の大部分を含有する領域の、場合に応じて1以上の、またはさらには全部を示して用いられる。
Kabatナンバリングシステムによれば、本発明は、
a)配列番号9、10および11の配列、または配列番号9、10および11と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる、Kabatナンバリングシステムに従って定義される3つの軽鎖CDRと、配列番号12、13および14の配列、または配列番号12、13および14と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる、Kabatナンバリングシステムに従って定義される3つの重鎖CDRとを含んでなる抗体;
b)配列番号44、45および46の配列、または配列番号44、45および46と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる、Kabatナンバリングシステムに従って定義される3つの軽鎖CDRと、配列番号47、48および49の配列、または配列番号47、48および49と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる、Kabatナンバリングシステムに従って定義される3つの重鎖CDRとを含んでなる抗体;
c)配列番号72、73および74の配列、または配列番号72、73および74と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる、Kabatナンバリングシステムに従って定義される3つの軽鎖CDRと、配列番号75、76および77の配列、または配列番号75、76および77と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる、Kabatナンバリングシステムに従って定義される3つの重鎖CDRとを含んでなる抗体
からなる群から選択される抗体からなる抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントに関する。
本発明の意味において、2つの核酸またはアミノ酸配列間の「同一性パーセンテージ」は、最適なアラインメントの後に得られる、比較する2つの配列間で同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基のパーセンテージを意味し、このパーセンテージは単に統計的なものであり、2つの配列間の違いはそれらの全長にわたってランダムに分布している。2つの核酸またはアミノ酸配列の比較は、それらを最適にアラインした後にこれらの配列を比較することにより慣行するが、この比較はセグメントによるか、または「アライメントウインドウ」を用いて行うことができる。比較のための配列の最適アライメントは、手作業による比較の他、Smith and Waterman (1981) [Ad. App. Math. 2:482]のローカルホモロジーアルゴリズムの手段によるか、Neddleman and Wunsch (1970) [J. Mol. Biol. 48: 443]のローカルホモロジーアルゴリズムの手段によるか、Pearson and Lipman (1988) [Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444]の類似性検索法の手段によるか、またはこれらのアルゴリズムを用いるコンピューターソフトウエア(the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIのGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA、または比較ソフトウエアBLAST NRもしくはBLAST P)の手段によって行うことができる。
2つの核酸またはアミノ酸配列間の同一性パーセンテージは、最適にアラインしたこれら2つの配列を比較することにより決定され、比較される核酸またはアミノ酸配列は、これらの2配列間の最適なアライメントのために、参照配列に対して付加または欠失を含み得る。同一性パーセンテージは、2配列間で、好ましくは2つの完全な配列間で、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基(the amino acid nucleotide or residue)が同一である位置の数を求め、この同一の位置の数をアライメントウインドウの位置の総数で割り、その商に100を掛け、これらの2配列間の同一性パーセンテージを得ることにより算出される。
例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/bl2.htmlのサイトで利用可能なBLASTプログラム「BLAST 2 sequences」(Tatusova et al., "Blast 2 sequences - a new tool for comparing protein and nucleotide sequences", FEMS Microbiol., 1999, Lett. 174:247-250)を、デフォルトパラメーター(特に、パラメーター「オープンギャップペナルティー」:5、および「エクステンションギャップペナルティー」:2;選択されるマトリックスは、例えば、このプログラムにより提案されている「BLOSUM 62」マトリックスである)とともに使用することができ、比較する2配列間の同一性パーセンテージはこのプログラムにより直接算出される。
参照アミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示すアミノ酸配列の好ましい例としては、参照配列、ある種の改変、特に、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、付加もしくは置換、末端切断または延長を含むものが挙げられる。1以上の連続的または非連続的アミノ酸の置換の場合、被置換アミノ酸が「等価な」アミノ酸に置き換えられる置換が好ましい。ここで「等価なアミノ酸」という表現は、対応する抗体の生物活性を改変せずに構造アミノ酸の1つで置換され得る任意のアミノ酸を示すものとし、これらの具体例は以下に定義される。
等価なアミノ酸は、それらに代わって置換されるアミノ酸との構造的相同性か、または生成可能な種々の抗原結合タンパク質間の生物活性の比較試験の結果のいずれかに対して決定することができる。
限定されない例として、下表2に、対応する改変抗原結合タンパク質の生物活性の著しい改変を生じさせることなく実施可能な置換の可能性をまとめる。当然のことながら、同じ条件で逆の置換も可能である。
本発明の実施態様は、配列番号1、2および3の配列、または配列番号1、2および3と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる3つの軽鎖CDRと、配列番号8の配列、または配列番号8と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインとを含んでなる、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントに関する。
本発明の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1、2および3の配列を含んでなる3つの軽鎖CDRと、配列番号8の配列、または配列番号8と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインとを含んでなる。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号8の配列、または配列番号8と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインを含んでなる。
「配列番号8と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列」とは、3つの重鎖CDR、配列番号4、5および6を示し、加えて、それらのCDRに相当する配列、すなわち、配列番号4、5および6以外の配列番号8の全配列と少なくとも80%の同一性を示す配列を称することを意図する。
本発明の別の実施態様は、配列番号7の配列、または配列番号7と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインと、配列番号4、5および6の配列、または配列番号4、5および6と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる3つの重鎖CDRとを含んでなる抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントに関する。
本発明の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号7の配列、または配列番号7と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインと、配列番号4、5および6の配列を含んでなる3つの重鎖CDRとを含んでなる。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号7の配列、または配列番号7と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインを含んでなる。
「配列番号7と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列」とはまた、3つの軽鎖CDR、配列番号1、2および3を示し、加えて、これらのCDRに相当する配列、すなわち、配列番号1、2および3以外の配列番号7の全配列と少なくとも80%の同一性を示す配列を称することを意図する。
本発明の別の実施態様は、配列番号7の配列、または配列番号7と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインと、配列番号8の配列、または配列番号8と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインとを含んでなる抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントに関する。
本発明の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号7の配列、または配列番号7と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインと、配列番号8の配列、配列番号8と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインとを含んでなる。
本発明の一実施態様は、配列番号36、37および38の配列、または配列番号36、37および38と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる3つの軽鎖CDRと、配列番号43の配列、または配列番号43と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインとを含んでなる抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントに関する。
本発明の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号36、37および38の配列を含んでなる3つの軽鎖CDRと、配列番号43の配列、または配列番号43と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインとを含んでなる。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号43の配列、または配列番号43と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインを含んでなる。
「配列番号43と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列」とは、3つの重鎖CDR配列番号39、40および41を示し、加えて、これらのCDRに相当する配列、すなわち、配列番号39、40および41以外の配列番号43の全配列と少なくとも80%の同一性を示す配列を称することを意図する。
本発明の別の実施態様は、配列番号42の配列、または配列番号42と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインと、配列番号39、40および41の配列、または配列番号39、40および41と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる3つの重鎖CDRとを含んでなる抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントに関する。
本発明の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号42の配列、または配列番号42と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインと、配列番号39、40および41の配列を含んでなる3つの重鎖CDRとを含んでなる。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号42の配列、または配列番号42と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインを含んでなる。
「配列番号42と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列」とはまた、3つの軽鎖CDR配列番号36、37および38を示し、加えて、これらのCDRに相当する配列、すなわち、配列番号36、37および38以外の配列番号42の全配列と少なくとも80%の同一性を示す配列を称することを意図する。
本発明の別の実施態様は、配列番号42の配列、または配列番号42と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインと、配列番号43の配列、または配列番号43と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインとを含んでなる抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントに関する。
本発明の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号42の配列、または配列番号42と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインと、配列番号43の配列、または配列番号43と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインとを含んでなる。
本発明の一実施態様は、配列番号64、65および66の配列、または配列番号64、65および66と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる3つの軽鎖CDRと、配列番号71の配列、または配列番号71と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインとを含んでなる抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントに関する。
本発明の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号64、65および66の配列を含んでなる3つの軽鎖CDRと、配列番号71の配列、または配列番号71と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインとを含んでなる。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号71の配列、または配列番号71と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインを含んでなる。
「配列番号71と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列」とは、3つの重鎖CDR配列番号67、68および69を示し、加えて、これらのCDRに相当する配列、すなわち、配列番号67、68および69以外の配列番号71の全配列と少なくとも80%の同一性を示す配列を称することを意図する。
本発明の別の実施態様は、配列番号70の配列、または配列番号70と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインと、配列番号67、68および69の配列、または配列番号67、68および69と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列を含んでなる3つの重鎖CDRとを含んでなる抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントに関する。
本発明の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号70の配列、または配列番号70と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインと、配列番号67、68および69の配列を含んでなる3つの重鎖CDRとを含んでなる。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号70の配列、または配列番号70と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインを含んでなる。
「配列番号70と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列」とはまた、3つの軽鎖CDR配列番号64、65および66を示し、加えて、これらのCDRに相当する配列、すなわち、配列番号64、65および66以外の配列番号70の全配列と少なくとも80%の同一性を示す配列を称することを意図する。
本発明の別の実施態様は、配列番号70の配列、または配列番号70と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインと、配列番号71の配列、または配列番号71と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインとを含んでなる抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントに関する。
本発明の好ましい実施態様によれば、抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号70の配列、または配列番号70と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の軽鎖可変ドメインと、配列番号71の配列、または配列番号71と少なくとも80%の同一性を示す任意の配列の重鎖可変ドメインとを含んでなる。
より明確にするため、下表3a〜3cに、本発明の抗原結合タンパク質に相当する種々のアミノ酸配列をまとめる。
本発明の特定の面は、マウス抗体、またはその誘導化合物もしくは抗原結合フラグメントに関し、上記抗体はまた、マウスとは異種の、特にヒトの抗体に由来する軽鎖および重鎖定常領域も含んでなることを特徴とする。
本発明の別の特定の面は、キメラ抗体、またはその誘導化合物もしくは抗原結合フラグメントに関し、上記抗体はまた、マウスとは異種の、特にヒトの抗体に由来する軽鎖および重鎖定常領域も含んでなることを特徴とする。
本発明のさらに別の特定の面は、ヒト化抗体、またはその誘導化合物もしくは抗原結合フラグメントに関し、ヒト抗体に由来する軽鎖および重鎖の定常領域がそれぞれ、λまたはκ領域、およびγ−1、γ−2またはγ−4領域であることを特徴とする。
本発明の別の面は、
a)2008年4月2日にCNCM(パスツール研究所、フランス)に寄託されたハイブリドーマI−3959に由来するモノクローナル抗体110D7、またはその抗原結合フラグメント;
b)2011年7月28日にCNCM(パスツール研究所、フランス)に寄託されたハイブリドーマI−4499に由来するモノクローナル抗体1003A2、またはその抗原結合フラグメント;
c)2011年7月28日にCNCM(パスツール研究所、フランス)に寄託されたハイブリドーマI−4501に由来するモノクローナル抗体 1024G11、またはその抗原結合フラグメント
からなる群から選択されるモノクローナル抗体からなる抗原結合タンパク質である。
別の面によれば、本発明は、本発明による抗原結合タンパク質を分泌することができるマウスハイブリドーマ、特に、French collection for microorganism cultures(CNCM、パスツール研究所、パリ、フランス)に2008年4月2日にI−3959の番号で、2011年7月28日にI−4499の番号で、または2011年7月28日にI−4501の番号で提出されたマウス起源のハイブリドーマに関する。
上記ハイブリドーマは、Balb/C免疫マウス脾細胞/リンパ球と骨髄腫Sp2/O−Ag 14細胞株の細胞との融合により得られたものである。
別の面によれば、本発明は、配列番号1、2および3の配列を含んでなる3つの軽鎖CDRと、配列番号4、5および6の配列を含んでなる3つの重鎖CDRとを含んでなる抗体を分泌することができるマウスハイブリドーマに関し、上記ハイブリドーマは、2008年4月2日にCNCM(パスツール研究所、パリ、フランス)にI−3959の番号で提出されている。
別の面によれば、本発明は、配列番号36、37および38の配列を含んでなる3つの軽鎖CDRと、配列番号39、40および41の配列を含んでなる3つの重鎖CDRとを含んでなる抗体を分泌することができるマウスハイブリドーマに関し、上記ハイブリドーマは、2011年7月28日にCNCM(パスツール研究所、パリ、フランス)にI−4499の番号で提出されている。
別の面によれば、本発明は、配列番号64、65および66の配列を含んでなる3つの軽鎖CDRと、配列番号67、68および69の配列を含んでなる3つの重鎖CDRとを含んでなる抗体を分泌することができるマウスハイブリドーマに関し、上記ハイブリドーマは、2011年7月28日にCNCM(パスツール研究所、パリ、フランス)にI−4501の番号で提出されている。
上記ハイブリドーマは、Balb/C免疫マウス脾細胞/リンパ球と骨髄腫Sp2/O−Ag 14細胞株の細胞との融合により得られたものである。
本発明の対象は、
a)2008年4月2日にCNCM(パスツール研究所、フランス)に寄託されたマウスハイブリドーマI−3959;
b)2011年7月28日にCNCM(パスツール研究所、フランス)に寄託されたマウスハイブリドーマI−4499;
c)2011年7月28日にCNCM(パスツール研究所、フランス)に寄託されたマウスハイブリドーマI−4501
から選択されるマウスハイブリドーマである。
本発明の抗原結合タンパク質はまた、キメラまたはヒト化抗体も含んでなる。
キメラ抗体は、所与の種の抗体に由来する天然可変領域(軽鎖および重鎖)を、その所与の種とは異種の抗体の軽鎖および重鎖の定常領域と組み合わせて含有するものである。
抗体、またはそのキメラフラグメントは、組換え遺伝学の技術を用いることにより作製することができる。例えば、キメラ抗体は、プロモーターと、本発明の非ヒト、特にマウス、モノクローナル抗体の可変領域をコードする配列と、ヒト抗体定常領域をコードする配列とを含有する組換えDNAをクローニングすることによって作製することができる。このような1つの組換え遺伝子によりコードされている本発明によるキメラ抗体は、例えば、マウス−ヒトキメラであり得、この抗体の特異性は、マウスDNAに由来する可変領域によって決定され、そのアイソタイプは、ヒトDNAに由来する定常領域によって決定される。キメラ抗体を作製するための方法については、Verhoeyn et al. (BioEssays, 8:74, 1988)を参照。
別の面では、本発明は、キメラ抗体からなる結合タンパク質を記載する。
特定の好ましい実施態様では、本発明のキメラ抗体、またはその抗原結合フラグメントは、
a)配列番号7のアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変ドメイン配列を含んでなり、そこに配列番号8のアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変ドメイン配列を含んでなる抗体;
b)配列番号42のアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変ドメイン配列を含んでなり、そこに配列番号43のアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変ドメイン配列を含んでなる抗体;
c)配列番号70のアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変ドメイン配列を含んでなり、そこに配列番号71のアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変ドメイン配列を含んでなる抗体
からなる群から選択される。
別の面では、本発明は、ヒト化抗体からなる結合タンパク質を記載する。
「ヒト化抗体」とは、非ヒト起源の抗体に由来するCDR領域を含有し、その抗体分子の他の部分は1つ(または数個の)ヒト抗体に由来する抗体を意味する。さらに、骨格セグメント残基(FRと呼ばれる)のいくつかは結合親和性を保存するために改変することができる(Jones et al., Nature, 321:522-525, 1986; Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536, 1988; Riechmann et al., Nature, 332:323-327, 1988)。
本発明のヒト化抗体またはそのフラグメントは、当業者に知られている技術(例えば、文献Singer et al., J. Immun., 150:2844-2857, 1992; Mountain et al., Biotechnol. Genet. Eng. Rev., 10:1-142, 1992;およびBebbington et al., Bio/Technology, 10:169-175, 1992に記載されているものなど)によって作製することができる。このようなヒト化抗体は、in vitro診断またはin vivoにおける予防的処置および/もしくは治療的処置を含む方法におけるそれらの使用のために好ましい。例えば、PDLにより欧州特許第0451261号、同第0682040号、同第0939127号、同第0566647号または米国特許第5,530,101号、同第6,180,370号、同第5,585,089号および同第5,693,761号に記載されている「CDRグラフト」技術など、他のヒト化技術も当業者に知られている。米国特許第5,639,641号または同第6,054,297号、同第5,886,152号および同第5,877,293号も引用することができる。
さらに、本発明はまた、上記のマウス抗体から生じるヒト化抗体に関する。
好ましい様式では、ヒト抗体由来の軽鎖および重鎖の定常領域はそれぞれ、λまたはκ、およびγ−1、γ−2またはγ−4領域である。
本発明の新規な面は、以下の核酸(いずれの縮重遺伝コードも含む):
a)本発明による抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸;
b)
・配列番号15〜28、50〜63および78〜91からなる群から選択される核酸配列、または
・配列番号15〜20もしくは50〜55もしくは78〜83の6つの核酸配列を含んでなる核酸配列、または
・配列番号21と22もしくは56と57もしくは78と85の2つの核酸配列を含んでなる核酸配列
を含んでなる核酸;
c)a)またはb)に定義された核酸と相補的な核酸;および
d)パートa)もしくはb)に定義された核酸配列と、またはパートa)もしくはb)に定義された核酸配列との最適なアラインメントの後に少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列と、高ストリンジェント条件下でハイブリダイズすることができる、好ましくは少なくとも18ヌクレオチドを有する、核酸
の中から選択されることを特徴とする単離された核酸に関する。
下表4a〜4cに、本発明の結合タンパク質に関する種々のヌクレオチド配列をまとめる。
用語「核酸」、「核酸配列(nucleic sequence)」、「核酸配列(nucleic acid sequence)」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド配列」は、本明細書において互換的に用いられ、改変または非改変型の、核酸のフラグメントまたは領域を定義し、非天然ヌクレオチドを含有する、または含有しない、二本鎖DNA、一本鎖DNAまたはこれらのDNAの転写産物のいずれかである、ヌクレオチドの正確な配列を意味する。
本発明の配列は単離および/または精製されたものであり、すなわち、それらは、少なくとも部分的に改変されたそれらの環境から、例えばコピーによって直接的または間接的にサンプリングされたものである。ここでまた、例えば宿主細胞の手段による組換え遺伝学によって得られた、または化学合成によって得られた単離された核酸も記載しておくべきであろう。
「最適なアライメントの後に好ましい配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性パーセンテージを示す核酸配列」とは、参照核酸配列に対して、特に、欠失、末端切断、延長、キメラ融合および/または置換、特に規則的なものなどの特定の改変を示す核酸配列を意味する。好ましくは、これらは参照配列と同じアミノ酸配列をコードする配列(これは遺伝コードの縮重に関連する)、または好ましくは高ストリンジェント条件下、特に以下に定義される条件下で、参照配列と特異的にハイブリダイズし得る相補的配列である。
高ストリンジェント条件下でのハイブリダイゼーションとは、温度およびイオン強度に関する条件が、2つの相補的DNAフラグメント間でハイブリダイゼーションを維持させるように選択されることを意味する。単に例であるが、上記のポリヌクレオチドフラグメントを定義するためのハイブリダイゼーション工程の高ストリンジェント条件は有利には以下の通りである。
DNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションは、(1)5×SSC(1×SSCは0.15M NaCl+0.015Mクエン酸ナトリウム溶液に相当する)、50%ホルムアミド、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、10×デンハート液、5%デキストラン硫酸および1%サケ精子DNAを含有するリン酸バッファー(20mM、pH7.5)中、42℃で3時間のプレハイブリダイゼーション;(2)プローブ長に応じた温度(すなわち、プローブ>100ヌクレオチド長の場合は42℃)で20時間の主要ハイブリダイゼーションの後、2×SSC+2%SDS中、20℃、20分の洗浄2回、0.1×SSC+0.1%SDS中、20℃、20分の洗浄1回、という二段階で行う。最後の洗浄は、プローブ>100ヌクレオチド長の場合は60℃で30分間、0.1×SSC+0.1%SDS中で行う。定義されたサイズのポリヌクレオチドに関する上記の高ストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、当業者ならば、Sambrook et al. (Molecular cloning: a laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory; 3rd edition, 2001)に記載の手順に従って、より長いまたは短いオリゴヌクレオチドに適合させることができる。
本発明はまた、本発明に記載される核酸を含んでなるベクターに関する。
本発明は、特に、このようなヌクレオチド配列を含むクローニングおよび/または発現ベクターを対象とする。
本発明のベクターは好ましくは、所与の宿主細胞でのヌクレオチド配列の発現および/または分泌を可能とするエレメントを含む。従って、ベクターはプロモーター、翻訳開始および終結シグナル、ならびに好適な転写調節領域を含まなければならい。ベクターは宿主細胞で安定に維持できなければならず、場合により、翻訳されたタンパク質の分泌を指定する特定のシグナルを有することができる。これらの種々のエレメントは、当業者により、用いる宿主細胞に従って選択および最適化される。この目的で、これらのヌクレオチド配列は選択された宿主内の自己複製ベクターに挿入することができるか、または選択された宿主の組込型ベクターであり得る。
このようなベクターは当業者により一般に用いられる方法によって作製され、得られたクローンは、リポフェクション、エレクトロポレーション、熱ショックまたは化学的方法などの標準的な方法によって好適な宿主に導入することができる。
これらのベクターは、例えば、プラスミドまたはウイルス起源のベクターである。それらは、本発明のヌクレオチド配列のクローニングまたは発現のために宿主細胞を形質転換するのに用いられる。
本発明はまた、本発明に記載されるベクターにより形質転換された、または本発明に記載されるベクターを含んでなる、単離された宿主細胞を含んでなる。
宿主細胞は原核生物系または真核生物系、例えば、細菌細胞、例えばまた、酵母細胞もしくは動物細胞、特に、哺乳動物細胞(ヒトを除く)、の中から選択することができる。また、昆虫細胞または植物細胞を用いることもできる。
本発明はまた、本発明に従って形質転換された細胞を含む、ヒト以外の動物に関する。
本発明の別の面は、本発明による抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントの生産方法に関し、上記方法が以下の工程:
a)本発明による宿主細胞を培地中、好適な培養条件で培養する工程;および
b)このようにして生産された抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントの1つを培養培地または上記培養細胞から回収する工程
を含んでなることを特徴とする。
本発明に従って形質転換された細胞は、本発明による組換え抗原結合タンパク質の作製方法で用いられる。本発明によるベクター、および/またはベクターによって形質転換された細胞を用いることを特徴とする、本発明による抗原結合タンパク質の組換え型での作製方法も本発明に含まれる。好ましくは、本発明によるベクターによって形質転換された細胞は、上記抗原結合タンパク質の発現および上記組換えタンパク質の回収を可能とする条件下で培養される。
すでに述べたように、宿主細胞は原核生物系または真核生物系から選択することができる。特に、このような原核生物系または真核生物系で分泌を促進する本発明のヌクレオチド配列を同定することができる。従って、このような配列を有する本発明によるベクターは、分泌させる組換えタンパク質の生産のために有利に使用することができる。実際、目的のこれらの組換えタンパク質の精製は、それらが宿主細胞の内部よりもむしろ細胞培養の上清中に存在するということにより容易となる。
また、本発明の抗原結合タンパク質は化学合成によって作製することもできる。このような作製方法の1つもまた本発明の課題である。当業者ならば、固相技術(特にSteward et al, 1984, Solid phase peptide synthesis, Pierce Chem. Company, Rockford, 111, 2nd ed., pp 71-95参照)、または部分的固相技術、溶液中でのフラグメントの縮合もしくは慣例の合成によるなどの、化学合成法を知っている。化学合成によって得られ、対応する非天然アミノ酸を含み得るポリペプチドもまた本発明に含まれる。
本発明の方法によって得ることができる抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントもまた本発明に含まれる。
特定の面によれば、本発明は、細胞傷害性薬剤を宿主標的部位に送達するためのアドレッシング産物として使用するための、上記の抗原結合タンパク質、またはその抗原結合フラグメントに関し、上記宿主標的部位は、タンパク質Axl細胞外ドメイン、好ましくは、ヒトタンパク質Axl細胞外ドメイン、より好ましくは、配列番号31もしくは32の配列、またはその天然変異体配列を有するヒトタンパク質Axl細胞外ドメインに局在するエピトープからなる。
好ましい実施態様では、上記宿主標的部位は、哺乳動物細胞、より好ましくは、ヒト細胞、より好ましくは、天然にまたは遺伝子組換えの手段によりAxlタンパク質を発現する細胞の標的部位である。
本発明は、細胞傷害性薬剤に結合された本明細書に記載の抗原結合タンパク質を含んでなる免疫複合体に関する。
本発明の意味において、「免疫複合体(“immunoconjugate” or “immune-conjugate”)」とは、一般に、1種類以上の治療薬と物理的に連結された少なくとも1種類のアドレッシング産物を含んでなる化合物を意味し、従って、標的性の高い化合物を作り出す。
好ましい実施態様では、このような治療薬は細胞傷害性薬剤からなる。
「細胞傷害性薬剤」または「細胞傷害性」とは、被験体に投与した際に、細胞機能を阻害もしくは妨害すること、および/または細胞死を引き起こすことにより、被験体の身体で細胞増殖の進展、好ましくは、癌の発生を治療または予防する薬剤を意図する。
多くの細胞傷害性薬剤が単離または合成されており、細胞増殖を阻害すること、または、限定的でなくとも、少なくとも有意に腫瘍細胞を破壊するもしくは減少させることを可能とする。しかしながら、これらの薬剤の傷害活性は腫瘍細胞に限定されず、非腫瘍細胞も影響を受け、破壊され得る。より詳しくは、造血細胞または上皮細胞、特に粘膜の上皮細胞などの急速に更新する細胞に副作用が見られる。例として、消化管の細胞はこのような細胞傷害性薬剤の使用によって大きく影響を受ける。
本発明の目的の1つはまた、腫瘍細胞に対する高い細胞傷害性を保持すると同時に正常細胞に対する副作用を制限することを可能とする細胞傷害性薬剤を提供できることである。
より詳しくは、細胞傷害性薬剤は、好ましくは、限定されるものではないが、薬物(すなわち、「抗体−薬物複合体」)、毒素(すなわち、「免疫毒素」または「抗体−毒素複合体」)、放射性同位元素(すなわち、「放射性免疫複合体」または「抗体−放射性同位元素複合体」)などからなり得る。
本発明の第1の好ましい実施態様では、免疫複合体は、少なくとも1種類の薬物または薬剤に連結された結合タンパク質からなる。このような免疫複合体は、結合タンパク質が抗体、またはその抗原結合フラグメントである場合には、抗体−薬物複合体(または「ADC」)と呼ばれる。
第1の実施態様では、このような薬物は、それらの作用様式に関して記載することができる。非限定例として、アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、スルホン酸アルキル(alkyle-sulfonates)、ニトロソ尿素、オキサゾホリン(oxazophorins)、アジリジンまたはイミン−エチレン)、抗代謝産物、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、クロマチン形成阻害剤、抗血管新生薬、抗エストロゲン作用薬、抗アンドロゲン作用薬、キレート剤、鉄吸収促進剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、DNA阻害剤、DNA合成阻害剤(DNA synthetis inhibitors)、アポトーシス促進剤(Apopstotis stimulants)、チミジル酸阻害剤、T細胞阻害剤、インターフェロン拮抗薬、リボヌクレオシド三リン酸レダクターゼ阻害剤、アロマターゼ阻害剤、エストロゲン受容体拮抗薬、チロシンキナーゼ阻害剤、細胞周期阻害剤、タキサン、チューブリン阻害剤、血管新生阻害剤、マクロファージ刺激剤、ニューロキニン受容体拮抗薬、カンナビノイド受容体拮抗薬、ドーパミン受容体作動薬(Dopamine receptor agonsists)、顆粒球刺激因子作動薬、エリスロポエチン受容体作動薬、ソマトスタチン受容体作動薬、LHRH作動薬、カルシウム増感剤、VEGF受容体拮抗薬、インターロイキン受容体拮抗薬、破骨細胞阻害剤、ラジカル形成促進剤、エンドセリン受容体拮抗薬、ビンカアルカロイド、抗ホルモンもしくは免疫調節剤、または細胞傷害薬もしくは毒素の活性基準を満たす任意の他の新規な薬物が挙げられる。
このような薬物は、例えば、VIDAL 2010の、癌腫学および血液学の段「細胞傷害薬」に付属する化合物にさかれた頁に引用されており、この文献に参照として引用されているこれらの細胞傷害性化合物が、本明細書で好ましい細胞傷害性薬剤として引用される。
より詳しくは、限定されるものではないが、本発明によれば以下の薬物が好ましい:メクロレタミン、クロラムブコル(chlorambucol)、メルファレン(melphalen)、クロリドレート(chlorydrate)、ピポブロメン(pipobromen)、プレドニムスチン、リン酸二ナトリウム(disodic-phosphates)、エストラムスチン、シクロホスファミド、アルトレタミン、トロフォスファミド、スルホフォスファミド、イフォスファミド、チオテパ、トリエチルエナミン、アルテトラミン(altetramine)、カルムスチン、ストレプトゾシン、フォテムスチン、ロムスチン、ブスルファン、トレオスルファン、インプロスルファン、ダカルバジン、シスプラチナム、オキサリプラチン、ロバプラチン、ヘプタプラチン(heptaplatin)、ミリプラチン水和物、カルボプラチン、メトトレキサート、ペメトレキセド、5−フルオルウラシル、フロクスウリジン、5−フルオロデオキシウリジン、カペシタビン、シタラビン、フルダラビン、シトシンアラビノシド、6−メルカプトプリン(6−MP)、ネララビン、6−チオグアニン(6−TG)、クロロデスオキシアデノシン(chlorodesoxyadenosine)、5−アザシチジン、ゲムシタビン、クラドリビン、デオキシコホルマイシン、テガフール、ペントスタチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、バルルビシン、ミトキサントロン、ダクチノマイシン、ミトラマイシン、プリカマイシン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、プロカルバジン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、トポテカン、イリノテカン、エトポシド、バルルビシン、塩酸アムルビシン、ピラルビシン、酢酸エリプチニウム、ゾルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびテニポシド、ラゾキシン、マリマスタット、バチマスタット、プリノマスタット、タノマスタット、イロマスタット、CGS−27023A、ハロフジノン(halofuginon)、COL−3、ネオバスタット、サリドマイド、CDC 501、DMXAA、L−651582、スクアラミン、エンドスタチン、SU5416、SU6668、インターフェロン−α、EMD121974、インターロイキン−12、IM862、アンギオスタチン、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、フルタミド、ニルタミド、スプリロノラクトン(sprironolactone)、酢酸シプロテロン、フィナステリド、シミチジン(cimetidine)、ボルテゾミド(bortezomid)、ベルケード、ビカルタミド、シプロテロン、フルタミド、フルベストラン(fulvestran)、エキセメスタン、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、レチノイド、レキシノイド、メトキサレン(methoxsalene)、レブリン酸メチルアミノ、アルデスロイキン(aldesleukine)、OCT−43、デニロイキンジフリトクス(denileukin diflitox)、インターロイキン−2、タソネルミン(tasonermine)、レンチナン、シゾフィラン、ロキニメックス、ピドチモド、ペガデマーゼ、チモペンチン(thymopentine)、ポリI:C、プロコダゾール(procodazol)、Tic BCG、コリネバクテリウム・パルブム(corynebacterium parvum)、NOV−002、ウクライン、レバミゾール、1311−chTNT、H−101、セルモロイキン、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、インターフェロンγ1a、インターロイキン−2、モベナキン、レキシン−G、テセロイキン、アクラルビシン、アクチノマイシン、アルグラビン、アスパラギナーゼ、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダウノマイシン、ロイコボリン、マソプロコール、ネオカルジノスタチン、ペプロマイシン、サルコマイシン、ソラマージン、トラベクテジン、ストレプトゾシン、テストステロン、クネカテキン、シネカテキン、アリトレチノイン、塩酸ベロテカン、カルステロン、ドロモスタノロン、酢酸エリプチニウム、エチニルエストラジオール、エトポシド、フルオキシメステロン、フォルメスタン、ホスフェトロール(fosfetrol)、酢酸ゴセレリン、アミノレブリン酸ヘキシル、ヒストレリン、ヒドロキシプロゲステロン、イキサベピロン、ロイプロリド、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲステロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、ミルテホシン、ミトブロニトール、フェニルプロピオン酸ナドドロン、酢酸ノレシンドロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、テムシロリムス(temsirrolimus)、テストラクトン、トリアムコノロン(triamcinolone)、トリプトレリン、酢酸バプレオチド、ジノスタチンスチマラマー、アムサクリン、三酸化ヒ素、塩酸ビサントレン、クロラムブシル、クロルトリアニセン(chlortrianisene)、シス−ジアミンジクロロプラチニウム(cis-diamminedichloroplatinium)、シクロホスファミド、ジエチルスチルベストロール、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシ尿素、レナリドマイド、ロニダミン、メクロレタナミン(mechlorethanamine)、ミトタン、ネダプラチン、塩酸ニムスチン、パミドロン酸塩、ピポブロマン、ポルフィマーナトリウム、ラニムスチン、ラゾキサン、セムスチン、ソブゾキサン、メシル酸塩、トリエチレンメラミン、ゾレンドロン酸、メシル酸カモスタット、ファドロゾールHCl、ナフォキシジン、アミノグルテチミド、カルモフール、クロファラビン、シトシンアラビノシド、デシタビン、ドキシフルリジン、エノシタビン、リン酸フルダラビン(fludarabne)、フルオロウラシル、フトラフール、ウラシルマスタード、アバレリクス、ベキサロテン、ラルチテルキセド(raltiterxed)、タミバロテン、テモゾロミド、ボリノスタット、メガストロール(megastrol)、クロドロネート二ナトリウム、レバミゾール、フェルモキシトール、鉄イソマルトシド、セレコキシブ、イブジラスト、ベンダムスチン、アルトレタミン、ミトラクトール、テムシロリムス、プララトレキサート、TS−1、デシタビン、ビカルタミド、フルタミド、レトロゾール、クロドロネート二ナトリウム、デガレリクス、クエン酸トレミフェン、二塩酸ヒスタミン、DW−166HC、ニトラクリン、デシタビン、塩酸イリノテカン(irinoteacn)、アムサクリン、ロミデプシン、トレチノイン、カバジタキセル、バンデタニブ、レナリドマイド、イバンドロン酸、ミルテホシン、ビテスペン、ミファムルチド、ナドロパリン、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピセトロン、アリザプリド、ラモセトロン、メシル酸ドラセトロン、ホスアプレピタントジメグルミン、ナビロン、アプレピタント、ドロナビノール、TY−10721、リスリド水素マレイン酸塩、エピセラム、デフィブロチド、ダビガトランエテキシレート、フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム、レディタクス、エポエチン、モルグラモスチム、オプレルベキン、シプロイセル−T、M−Vax、アセチルL−カルニチン、塩酸ドネペジル、5−アミノレブリン酸、アミノレブリン酸メチル、酢酸セトロレリクス、イコデキストリン、ロイプロレリン、メトビルフェニデート(metbylphenidate)、オクトレオチド、アンレキサノクス、プレリキサフォル、メナテトレノン、アネトールジチオールチオン、ドキセルカルシフェロール、塩酸シナカルセト、アレファセプト、ロミプロスチム、サイモグロブリン、チマルファシン、ウベニメクス、イミキモド、エベロリムス、シロリムス、H−101、ラソフォキシフェン、トリロスタン、インカドロン酸塩、ガングリオシド、ペガプタニブ八ナトリウム、ベルトポルフィン(vertoporfin)、ミノドロン酸、ゾレンドロン酸、硝酸ガリウム、アレンドロン酸ナトリウム、エチドロン酸二ナトリウム、パミドロン酸二ナトリウム、デュタステライド、スチボグルコン酸ナトリウム、アルモダフィニル、デクスラゾキサン、アミフォスチン、WF−10、テモポルフィン、ダルベポエチンアルファ、アンセスチム、サルグラモスチム、パリフェルミン、R−744、ネピデルミン、オプレルベキン、デニロイキンディフチトクス、クリサンタスパーゼ、ブセレリン、デスロレリン、ランレオチド、オクトレオチド、ピロカルピン、ボセンタン、カリケアマイシン、メイタンシノイドおよびシクロニカート。
より詳しくは、当業者は、“Association Francaise des Enseignants de Chimie Therapeutique”により編集された表題“traite de chimie therapeutique, vol. 6, Medicaments antitumoraux et perspectives dans le traitement des cancers, edition TEC & DOC, 2003”の手引き書を参照することができる。
本発明の第2の好ましい実施態様では、免疫複合体は、少なくとも1種類の放射性同位元素と連結された結合タンパク質からなる。このような免疫複合体は、結合タンパク質が抗体、またはその抗原結合フラグメントである場合には、抗体−放射性同位元素複合体(または「ARC」)と呼ばれる。
腫瘍の選択的破壊のためには、抗体は、放射性の高い原子を含んでなってもよい。ARCの作製には様々な放射性同位元素が利用可能であり、例えば、限定されるものではないが、At211、C13、N15、O17、Fl19、I123、I131、I125、In111、Y90、Re186、Re188、Sm153、tc99m、Bi212、P32、Pb212、Lu、ガドリニウム、マンガンまたは鉄の放射性同位元素がある。
このような放射性同位元素をARCに組み込むためには、当業者に知られているいずれの方法またはプロセスも使用することができる(例えば、“Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy”, Chatal, CRC Press 1989参照)。非限定例として、tc99mまたはI123、Re186、Re188およびIn111はシステイン残基を介して結合させることができる。Y90はリシン残基を介して結合させることができる。I123はヨードゲン法(Fraker et al (1978) Biochem. Biophys. Res. Commun. 80: 49-57)を用いて結合させることができる。
ARC分野の当業者の知識を示すために、チオ尿素リンカー−キレーターにより結合された抗CD20モノクローナル抗体とIn111またはY90放射性同位元素から構成されるARCであるゼヴァリン(商標)(Wiseman et at (2000) Eur. Jour. Nucl. Med. 27(7):766-77; Wiseman et al (2002) Blood 99(12):4336-42; Witzig et at (2002) J. Clin. Oncol. 20(10):2453-63; Witzig et al (2002) J. Clin. Oncol. 20(15):3262-69)、またはカリケアマイシンと連結された抗CD33抗体から構成されるマイロターグ(商標)(米国特許第4,970,198号;同第5,079,233号;同第5,585,089号;同第5,606,040号;同第5,693,762号;同第5,739,116号;同第5,767,285号;同第5,773,001号)など、いくつかの例を挙げることができる。もっと最近では、ホジキンリンパ腫の治療において最近FDAにより承認されたアドセトリスと呼ばれるADC(ブレンツキシマブベドチンに相当する)を挙げることもできる(Nature, vol. 476, pp380-381, 25 August 2011)。
本発明の第3の好ましい実施態様では、免疫複合体は、少なくとも1種類の毒素と連結された結合タンパク質からなる。このような免疫複合体は、結合タンパク質が抗体、またはその抗原結合フラグメントである場合には、抗体−毒素複合体(または「ATC」)と呼ばれる。
毒素は、生きている生物によって産生される有効かつ特異的な有毒物質である。毒素は通常、数百(ペプチド)から10万(タンパク質)の間で分子量が異なり得るアミノ酸鎖からなる。毒素はまた、低分子有機化合物であってもよい。毒素は多くの生物、例えば、細菌、真菌、藻類および植物により産生される。それらの多くは極めて有毒であり、神経薬よりも数桁高い毒性を持つ。
ATCに使用される毒素としては、限定されるものではないが、チューブリン結合、DNA結合、またはトポイソメラーゼ阻害を含む機構によってそれらの細胞傷害作用を発揮し得る、あらゆる種類の毒素を含み得る。
使用可能な酵素的に活性な毒素およびそのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性フラグメント、外毒素A鎖(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシンA鎖、α−サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca Americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、ニガウリ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、マイトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセン(tricothecenes)が含まれる。
ドラスタチン、オーリスタチン、トリコテセン、およびCC1065などの小分子毒素、ならびに毒素活性のあるこれらの毒素の誘導体も、本明細書において企図される。ドラスタチンおよびオーリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解、および核・細胞分裂を妨げ、抗癌活性および抗真菌活性を有することが示されている。
「リンカー」、「リンカー単位」、または「連結」とは、共有結合、または結合タンパク質を少なくとも1つの細胞傷害性薬剤に共有結合させる原子の鎖を含んでなる化学部分を意味する。
リンカーは、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミデートHCl)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス−アジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、2,6−ジイソシアン酸トルエン)、およびビス−活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)などの様々な二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製することができる。炭素−14標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、本アドレッシング系に細胞傷害性(cyctotoxic)薬剤を結合させるためのキレート剤の一例である。他の架橋試薬としては、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCC、およびスルホ−SMPB、ならびにSVSB(スクシンイミジル−(4−ビニルスルホン)ベンゾエート)が挙げられ、これらは市販されている(例えば、Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, Ill., U.S.Aから)。
リンカーは、「非切断性」であっても「切断可能」であってもよい。
好ましい実施態様では、それは細胞において細胞傷害性薬剤の放出を促進する「切断可能な」リンカーである。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカーが使用可能である。リンカーは、好ましい実施態様では、細胞内条件下で切断可能であり、その結果、リンカーの切断は細胞内環境で結合タンパク質から細胞傷害性薬剤を放出する。
例えば、いくつかの実施態様では、リンカーは、細胞内環境中(例えば、リソソームまたはエンドソームまたは小胞内)に存在する切断因子によって切断可能である。リンカーは、例えば、限定されるものではないが、リソソームプロテアーゼまたはエンドソームプロテアーゼを含む細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素によって切断されるペプチジルリンカーであり得る。一般に、ペプチジルリンカーは、少なくとも2アミノ酸長または少なくとも3アミノ酸長である。切断因子としては、カテプシンBおよびDならびにプラスミンを含むことができ、これらは総て、ジペプチド薬物誘導体を加水分解して標的細胞内で活性薬の放出をもたらすことが知られている。例えば、癌性組織で発現の高いチオール依存性プロテアーゼであるカテプシン−Bにより切断可能であるペプチジルリンカーを使用することができる(例えば、Phe−LeuまたはGly−Phe−Leu−Glyリンカー)。特定の実施態様では、細胞内プロテアーゼにより切断可能であるペプチジルリンカーは、Val−CitリンカーまたはPhe−Lysリンカーである。細胞傷害性薬剤の細胞内タンパク質分解性放出を使用する1つの利点は、薬剤は一般に結合させると減弱され、複合体の血清安定性が一般に高いということである。
他の実施態様では、切断可能なリンカーは、pH感受性であり、すなわち、特定のpH値で加水分解を受けやすい。一般に、pH感受性リンカーは、酸性条件下で加水分解され得る。例えば、リソソーム中で加水分解され得る酸不安定性リンカー(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、シス−アコニットアミド、オルトエステル、アセタール、ケタールなど)が使用可能である。このようなリンカーは、血液の場合のように、中性pH条件下で比較的安定であるが、pH5.5以下またはリソソームのおよそのpHである5.0では不安定である。特定の実施態様では、加水分解可能なリンカーは、チオエーテルリンカー(例えば、アシルヒドラゾン結合を介して治療薬と結合しているチオエーテル)である。
さらに他の実施態様では、リンカーは、還元条件下で切断可能である(例えば、ジスルフィドリンカー)。様々なジスルフィドリンカーが当技術分野で公知であり、例えば、SATA(N−スクシンイミジル−S−アセチルチオアセテート)、SPDP(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)ブチレート)およびSMPT(N−スクシンイミジル−オキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジル−ジチオ)トルエン)−、SPDBおよびSMPTを用いて形成され得るものが含まれる。
非切断性または「非還元性」リンカーの非限定例としては、トラスツズマブと、連結された化学療法薬マイタンシンとを組み合わせた免疫複合体トラスツズマブ−DM1(TDM1)が挙げられる(Cancer Research 2008; 68: (22). November 15, 2008)。
好ましい実施態様では、本発明の免疫複合体は、限定されるものではないが、i)抗原結合タンパク質の求核基と二価リンカー試薬の反応と、その後の細胞傷害性薬剤との反応、またはii)細胞傷害性薬剤の求核基と二価リンカー試薬の反応と、その後の抗原結合タンパク質の求核基との反応など、当業者に公知のいずれの方法によって作製してもよい。
抗原結合タンパク質上の求核基は、限定されるものではないが、N末端アミン基、側鎖アミン基、例えば、リシン、側鎖チオール基、および抗原結合タンパク質がグリコシル化されている場合には糖ヒドロキシルまたはアミノ基が含まれる。アミン、チオール、およびヒドロキシル基は求核性であり、かつ、限定されるものではないが、活性エステル、例えば、NHSエステル、HOBtエステル、ハロギ酸エステルおよび酸ハロゲン化物;ハロゲン化アルキルおよびベンジル、例えば、ハロアセトアミド;アルデヒド、ケトン、カルボキシル、およびマレイミド基を含むリンカー部分およびリンカー試薬上の求電子基と反応して共有結合を形成することができる。抗原結合タンパク質は、還元可能な鎖間ジスルフィド、すなわち、システイン架橋を有してもよい。抗原結合タンパク質は、DTT(ジチオトレイトール)などの還元剤で処理することにより、リンカー試薬との結合に対して反応性とすることができる。従って、各システイン架橋は、理論的には、2つの反応性チオール求核基を形成する。当業者に公知の任意の反応により、さらなる求核基を抗原結合タンパク質に導入することもできる。非限定例として、反応性チオール基は、1以上のシステイン残基を導入することにより、抗原結合タンパク質に導入することができる。
免疫複合体は、リンカー試薬または細胞傷害性薬剤上の求核置換基と反応することができる求電子部分を導入するための抗原結合タンパク質の改変によって作出してもよい。グリコシル化された抗原結合タンパク質の糖を酸化して、リンカー試薬または細胞傷害性薬剤のアミン基と反応し得るアルデヒドまたはケトン基を形成することができる。生じたイミンシッフ塩基基は安定な結合を形成し得るか、または還元されて安定なアミン結合を形成し得る。一実施態様では、グリコシル化された抗原結合タンパク質の糖質部分とガラクトースオキシダーゼかまたはメタ過ヨウ素酸ナトリウムのいずれかとの反応により、タンパク質内に、薬物上の適当な基と反応することができるカルボニル(アルデヒドおよびケトン)基を得ることができる。別の実施態様では、N末端セリンまたはトレオニン残基を含有するタンパク質をメタ過ヨウ素酸ナトリウムと反応させて、最初のアミノ酸の代わりにアルデヒドを生成することができる。
特定の好ましい実施態様では、リンカー単位は以下の一般式を有し得る:
−−Ta−−Ww−−Yy−−
式中、
−T−は、ストレッチャー単位であり;
aは、0または1であり;
−W−は、アミノ酸単位であり;
wは独立に、1〜12の範囲の整数であり;
−Y−は、スペーサー単位であり;
yは、0、1または2である。
存在する場合、ストレッチャー単位(−T−)は、抗原結合タンパク質とアミノ酸単位(−W−)を連結する。自然状態でまたは化学操作を介して抗原結合タンパク質上に存在し得る有用な官能基としては、スルフヒドリル、アミノ、ヒドロキシル、糖質のアノマーヒドロキシル基、およびカルボキシルが含まれる。好適な官能基は、スルフヒドリルおよびアミノである。スルフヒドリル基は、存在する場合、抗原結合タンパク質の分子内ジスルフィド結合の還元によって作出することができる。あるいは、スルフヒドリル基は、抗原結合タンパク質のリシン部分のアミノ基と2−イミノチオランまたは他のスルフヒドリル生成試薬を反応させることによって作出することができる。特定の実施態様では、抗原結合タンパク質は組換え抗体であり、かつ、1個以上のリシンを保持するように操作されている。より好ましくは、抗原結合タンパク質は、1個以上のシステインを保持するように操作することができる(ThioMabs参照)。
ある特定の実施態様では、ストレッチャー単位は、抗原結合タンパク質の硫黄原子と結合を形成する。この硫黄原子は、還元された抗原結合タンパク質のスルフヒドリル(−−SH)基に由来するものであり得る。
他のある特定の実施態様では、ストレッチャー単位は、抗原結合タンパク質の硫黄原子とストレッチャー単位の硫黄原子の間のジスルフィド結合を介して抗原結合タンパク質と連結される。
他の特定の実施態様では、ストレッチャーの反応性基は、抗原結合タンパク質のアミノ基に対して反応性であり得る反応性部位を含む。アミノ基は、アルギニンまたはリシンのものであり得る。好適なアミン反応性部位としては、限定されるものではないが、活性化エステル、例えば、スクシンイミドエステル、4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、無水物、酸塩化物、塩化スルホニル、イソシアネートおよびイソチオシアネートが含まれる。
さらに別の面では、ストレッチャーの反応性官能基は、抗原結合タンパク質上に存在し得る修飾された糖鎖基に対して反応性である反応性部位を含む。特定の実施態様では、抗原結合タンパク質は酵素的にグリコシル化されて糖質部分を提供する(抗原結合タンパク質が抗体である場合には、上記抗体は一般に自然状態でグリコシル化されていることに留意されたい)。糖質は過ヨウ素酸ナトリウムなどの試薬で軽度に酸化され得、酸化された糖質の、結果として生じたカルボニル単位は、ヒドラジド、オキシム、反応性アミン、ヒドラジン、チオセミカルバジド、カルボン酸ヒドラジン、またはアリールヒドラジドなどの官能基を含有するストレッチャーと縮合することができる。
アミノ酸単位(−W−)は、スペーサー単位が存在する場合には、ストレッチャー単位(−T−)をスペーサー単位(−Y−)と連結し、スペーサー単位が存在しない場合には、ストレッチャー単位を細胞傷害性薬剤と連結する。
上述のように、−Ww−は、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド、ウンデカペプチドまたはドデカペプチド単位であり得る。
いくつかの実施態様では、アミノ酸単位は、限定されるものではないが、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、アセチルまたはホルミルで保護されたリシン、アルギニン、トシルまたはニトロ基で保護されたアルギニン、ヒスチジン、オルニチン、アセチルまたはホルミルで保護されたオルニチンおよびシトルリンなどのアミノ酸残基を含んでなり得る。例示的アミノ酸リンカー成分としては、好ましくは、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドまたはペンタペプチドが含まれる。
例示的ジペプチドとしては、Val−Cit、Ala−Val、Lys−Lys、Cit−Cit、Val−Lys、Ala−Phe、Phe−Lys、Ala−Lys、Phe−Cit、Leu−Cit、Ile−Cit、Trp−Cit、Phe−Ala、Phe−N9−トシル−Arg、Phe−N9−ニトロ−Argが含まれる。
例示的トリペプチドとしては、Val−Ala−Val、Ala−Asn−Val、Val−Leu−Lys、Ala−Ala−Asn、Phe−Phe−Lys、Gly−Gly−Gly、D−Phe−Phe−Lys、Gly−Phe−Lysが含まれる。
例示的テトラペプチドとしては、Gly−Phe−Leu−Gly(配列番号33)、Ala−Leu−Ala−Leu(配列番号34)が含まれる。
例示的ペンタペプチドとしては、Pro−Val−Gly−Val−Val(配列番号35)が含まれる。
アミノ酸リンカー成分を含んでなるアミノ酸残基としては、天然アミノ酸、ならびに微量アミノ酸、およびシトルリンなどの非天然アミノ酸類似体が含まれる。アミノ酸リンカー成分は、特定の酵素、例えば、腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、CおよびD、またはプラスミンプロテアーゼによる酵素的切断に対するそれらの選択性において設計および最適化することができる。
リンカーのアミノ酸単位は、限定されるものではないが、腫瘍関連プロテアーゼを含む酵素によって酵素的に切断されて細胞傷害性薬剤を遊離することができる。
アミノ酸単位は、特定の腫瘍関連腫瘍関連プロテアーゼによる酵素的切断に対するその選択性において設計および最適化することができる。好適な単位は、その切断がプロテアーゼ、カテプシンB、CおよびD、ならびにプラスミンにより触媒されるものである。
スペーサー単位(−Y−)は、存在する場合、アミノ酸単位を細胞傷害性薬剤に連結する。スペーサー単位は、自壊的と非自壊的の2つの一般的なタイプのものである。非自壊的スペーサー単位は、免疫複合体からのアミノ酸単位の酵素的切断後も、スペーサー単位の一部または全部が細胞傷害性薬剤に結合したままとなるものである。非自壊的スペーサー単位の例としては、限定されるものではないが、(グリシン−グリシン)スペーサー単位およびグリシンスペーサー単位が含まれる。細胞傷害性薬剤を遊離させるためには、標的細胞内でグリシン−薬物単位結合を切断するための非依存的加水分解反応が起こらなければならない。
別の実施態様では、非自壊的スペーサー単位(−Y−)は、−Gly−である。
一実施態様では、免疫複合体にスペーサー単位はない(y=0)。あるいは、自壊的スペーサー単位を含有する免疫複合体は、別途の加水分解工程の必要なく、細胞傷害性薬剤を放出することができる。これらの実施態様では、−Y−は、PAB基の窒素原子を介して−Ww−に連結され、かつ、炭酸基、カルバミン酸基またはエーテル基を介して−Dに直接接続されているp−アミノベンジルアルコール(PAB)単位である。
自壊的スペーサーの他の例としては、限定されるものではないが、2−アミノイミダゾール−5−メタノール誘導体およびオルトまたはパラ−アミノベンジルアセタールなどのPAB基と電気的に等価な芳香族化合物が含まれる。置換および非置換4−アミノ酪酸アミド、適切に置換されたビシクロ[2.2.1]およびビシクロ[2.2.2]環系ならびに2−アミノフェニルプロピオン酸アミドなど、アミド結合の加水分解時に容易に環化を受けるスペーサーを使用することができる。
別の実施態様では、スペーサー単位は、分岐型のビス(ヒドロキシメチル)スチレン(BHMS)単位であり、これは細胞傷害性薬剤を追加導入するために使用することができる。
最後に、本発明は、癌の治療において使用するための、上記免疫複合体に関する。
癌は好ましくは、それらの表面でタンパク質Axlの全部または一部を発現または過剰発現する腫瘍細胞を含む、Axl関連癌から選択することができる。
より詳しくは、上記癌は、乳癌、結腸、食道癌、肝細胞癌、胃癌、神経膠腫、肺癌、黒色腫、骨肉腫、卵巣癌、前立腺癌、横紋筋肉腫、腎臓癌、甲状腺癌、子宮内膜癌および任意の薬剤耐性現象である。本発明の別の目的は、本明細書に記載の免疫複合体を含んでなる医薬組成物である。
より詳しくは、本発明は、本発明の免疫複合体を少なくとも1種類の賦形剤および/または薬学上許容されるビヒクルとともに含んでなる医薬組成物に関する。
本明細書において、「薬学上許容されるビヒクル」または「賦形剤」という表現は、二次反応を引き起こすことなく、かつ、例えば、有効化合物の投与の補助、体内におけるその寿命の延長および/またはその有効性の増強、溶液中でのその溶解度の増大、あるいはまたその保存性の改善を可能とする、医薬組成物中に含まれる化合物または化合物の組合せを示すものとする。これらの薬学上許容されるビヒクルおよび賦形剤は周知であり、当業者ならば、選択される有効化合物の性質および投与様式に対して適合させることができる。
好ましくは、これらの免疫複合体は、全身経路、特に、静脈内経路によるか、筋肉内、皮内、腹腔内もしくは皮下経路によるか、または経口経路によって投与される。より好ましい様式では、本発明による免疫複合体を含んでなる組成物は、一連の様式で数回投与される。
それらの投与様式、用量および最適な剤形は、例えば、患者の年齢または体重、患者の健康状態の重篤度、治療に対する忍容性、および報告されている副作用などの、患者に適合した治療の確立を一般に考慮した基準に従って決定することができる。
本発明の他の特徴および利点は、実施例および図面を含む本明細書の続きで明らかとなる。図面の凡例を以下に示す。
以下の実施例では、使用するアイソタイプ対照抗体は、9G4と呼ばれるマウスIgGからなる。それは、以下の実施例において、mIgG1、対照および9G4という表現が
同等であることを意味する。
実施例1:Axl受容体のインターナリゼーション
免疫複合体アプローチは、標的抗原がインターナライズ性のタンパク質である場合により有効となるので、ヒト腫瘍細胞株に対するMab−Zap細胞傷害性アッセイを用いたAxl受容体のインターナリゼーションを試験した。より厳密には、Mab−Zap試薬は、アフィニティー精製したヤギ抗マウスIgGとリボソーム不活化タンパク質サポリンの化学複合体である。免疫複合体のインターナリゼーションが起これば、サポリンは破断して標的化薬剤から離れ、リボソームを不活化し、タンパク質の阻害、最終的には細胞死をもたらす。Axl陽性細胞においてこれらの抗体とともに72時間インキュベートした後に細胞の生存率を決定すれば、Axl受容体インターナリゼーションに関する結論を下すことができる。
この実施例では、Qifikit試薬(Dako)を用いて決定されたAxl陽性の高い細胞を使用した。データを下表5に示す。
以下の実施例では、SN12C細胞を非限定例として用いた。その細胞表面で適当なレベルのAxl受容体を発現する他のいずれの細胞株も使用可能である。
一定の濃度範囲の110D7、1003A2および1024G11抗Axl抗体またはmIgG1アイソタイプ対照9G4抗体をそれぞれ、細胞培養培地中、室温で30分間、100ngのMab−Zap(Advanced targeting systems)二次抗体とともにプレインキュベートした。これらの混合物を、白色の96ウェルマイクロプレートに播種したサブコンフルエント状態のSN12C細胞に添加した。プレートを37℃、5%CO2の存在下で72時間インキュベートした。細胞の生存率は、Cell Titer Glo細胞増殖法を製造者(Promega)の説明書に従って用いて測定した。いくつかの対照実験を行う:i)二次免疫複合体を含まない条件、およびii)一次抗体を含まない条件を調製する。並行して、mIgG1アイソタイプ対照でもアッセイを行う。
得られた結果を図1A(110D7)、1B(1003A2)、1C(1024G11)に示す。
110D7抗体は、SN12C細胞に対して約49%の最大細胞傷害作用を示す。1003A2抗体は、SN12C細胞に対して約37%の最大細胞傷害作用を示す。1024G11抗体は、SN12C細胞に対して約40%の最大細胞傷害作用を示す。
この実験では、mIgG1アイソタイプ対照と考えられる9G4抗体の存在下で細胞傷害作用は見られなかった。
一次抗体のみを含有するウェルでも細胞傷害性は見られなかった(データは示されていない)。従って、Axl−110D7−MabZap、Axl−1003A2−MabZapまたはAxl−1024G11−MabZapを含んでなる免疫複合体は標的細胞の効果的な細胞傷害性を誘発することから、Axl受容体は、免疫複合体アプローチで標的とするのに都合のよい抗原であると思われる。
実施例2:rhAxl ECDタンパク質に対する抗体の作製
2.1 110D7 Axl抗体の作製
Axl受容体のヒト細胞外ドメイン(ECD)に対するマウスモノクローナル抗体(Mab)を作製するために、5個体のBALB/cマウスを、5〜15μgのrh Axl−Fcタンパク質(R and D Systems、カタログ番号154−AL)で3回、皮下免疫した。初回免疫誘導は完全フロイントアジュバント(Sigma、セントルイス、MD、USA)の存在下で行った。その後の免疫誘導には不完全フロイントアジュバント(Sigma)を加えた。
融合3日前に、免疫マウスに、IFAを用い、15μgのrhAxl−Fcタンパク質(CIPF)で腹腔内(i.p.)追加免疫を行った。
脾細胞およびリンパ球を、免疫マウス5個体のうち1個体(血清滴定後に選択)から採取したそれぞれ脾臓の潅流および近位リンパ節の細断によって調製し、SP2/0−Ag14骨髄腫細胞(ATCC、ロックヴィル、MD、USA)と融合した。この融合プロトコールは、Kohler and Milstein (Nature, 256:495-497, 1975)に記載されている。次に、融合した細胞に対してHAT選択を行った。一般に、モノクローナル抗体またはそれらの機能的フラグメントの調製では、特にマウス起源の場合には、特に手引き書“Antibodies” (Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor NY, pp. 726, 1988)に記載されている技術を参照することができる。
融合からおよそ10日後に、ハイブリッド細胞のコロニーをスクリーニングした。一次スクリーニングでは、ELISAを用い、ハイブリドーマの上清を、rhAxl−Fcタンパク質に対して生成されたMabの分泌に関して評価した。並行して、ヒトDU145前立腺腫瘍細胞(ATCC)の細胞表面に存在する細胞型のAxlに結合することができるMabを選択するためにFACS分析を行った。
できるだけ速やかに、選択されたハイブリドーマを限界希釈法によりクローニングし、その後、ヒトAxl ECDタンパク質に対するそれらの反応性に関してスクリーニングした。次に、クローニングしたMabのアイソタイプ分析を、Isotypingキット(カタログ番号5300.05、Southern Biotech、バーミンガム、AL、USA)を用いて行った。各ハイブリドーマから得られた1つのクローンを選択し、拡大培養した。
ハイブリドーマ上清をELISAによりアッセイし、ヒトAxl受容体のECDドメインまたはrh Axl−Fcタンパク質に対するそれらの結合能を決定した。上清中のIgG含量が決定された場合には、5μg/mlから始めて滴定を実施した。その後、以下の11行で1/2連続希釈を行った。そうでない場合には、上清を純粋なままで適用した。簡単に述べると、96ウェルELISAプレート(Costar 3690、Corning、NY、USA)をPBS中2μg/mlのrhAxl−Fcタンパク質(R and D Systems、カタログ番号154−AL)を50μl/ウェルで、4℃にて一晩コーティングした。次に、これらのプレートを0.5%ゼラチン(#22151、Serva Electrophoresis GmbH、ハイデルベルク、ドイツ)を含有するPBSで37℃にて2時間ブロッキングした。プレートを軽くたたいて飽和バッファーを排出したところで、50μlの純粋なハイブリドーマ細胞上清または50μlの5μg/ml溶液をELISAプレートに加え、37℃で1時間インキュベートした。3回洗浄した後、50μlのセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合ポリクローナルヤギ抗マウスIgG(#115−035−164、Jackson Immuno−Research Laboratories,Inc.、ウエストグローブ、PA、USA)を、0.1%ゼラチンおよび0.05%Tween 20(w:w)を含有するPBS中、1/5000希釈で、37℃にて1時間加えた。次に、ELISAプレートを3回洗浄し、TMB(#UP664782、Uptima、Interchim、フランス)基質を加えた。室温で10分のインキュベーション時間の後、1M硫酸を用いて反応を停止させ、450nmで光学密度を測定した。
フローサイトメトリーによる選択のため、表面にAxl受容体を発現する100000個の前立腺癌DU145細胞(ATCC)を96ウェルプレートの各ウェルの、1%BSAおよび0.01%アジ化ナトリウムを含有するPBS(FACSバッファー)中に、4℃で播種した。2000rpmで2分の遠心分離の後、バッファーを除去し、供試するハイブリドーマ上清または精製したMab(1μg/ml)を加えた。4℃で20分のインキュベーション後、細胞を2回洗浄し、FACSバッファー中に1/500°希釈されたAlexa 488結合ヤギ抗マウス抗体(#A11017、Molecular Probs Inc.、ユージーン、USA)を加え、4℃で20分間インキュベートした。FACSバッファーでの最終洗浄の後、ヨウ化プロピジウムを各試験管に終濃度40μg/mlで加えた後に細胞をFACS(Facscalibur、Becton−Dickinson)により分析した。細胞のみを含有するウェルおよびAlexa 488結合二次抗体とともにインキュベートした細胞を含有するウェルを陰性対照として含めた。アイソタイプ対照を各実験に用いた(Sigma、ref M90351MG)。少なくとも5000細胞を評価して蛍光強度(MFI)の平均値を計算した。
より厳密には、融合は、採取した300.106の脾細胞と300.106の骨髄腫細胞(1:1比)で行った。次に、200細胞の、得られた細胞懸濁液を30枚の96ウェルプレートに2.106細胞/mlで播種した。
rhAxl−Fcタンパク質に対するELISAおよびDU145腫瘍細胞株を用いたFACS分析の両方による最初のスクリーニング(融合後14日前後)で、rhAxl−Fcコーティング上で約0.5の光学密度(OD)およびDU145ヒト前立腺腫瘍細胞株で40を上回るMFIを示す5個のハイブリドーマを選択することができた。
これら5個のハイブリドーマを拡大培養し、限界希釈法によりクローニングした。各コードにつき、1枚の96ウェルプレートを調製した。播種9日後に、クローニングプレートからの上清を、まず、Axl−Fcタンパク質の細胞外ドメインに対するそれらの結合特異性に関してELISAによりスクリーニングした。次に、別のELISAアッセイを行い、固定化ラット組換えNotch−Fcタンパク質を用いて抗Fc Mabを除去した。さらに、ハイブリドーマを、DU145ヒト前立腺癌細胞株(prostate can cell line)に対する反応性に関してフローサイトメトリーにより調べた。各コードの3つのクローンを拡大培養し、アイソタイプ分析を行った。ひと度産生されれば、抗Axl抗体を細胞表面にAxlが結合した後にインターナライズされる能力に関してさらに検討した。
2.2 1003A2および1024G11 Axl抗体の作製
Axl受容体のヒト細胞外ドメイン(ECD)に対するマウスモノクローナル抗体(Mab)を作製するために、5個体のBALB/cマウスを、20μgのヒトモノマーAxlタンパク質(自家生産品)で4回皮下(s.c.)免疫した。初回の免疫誘導は、完全フロイントアジュバント(Sigma、セントルイス、MD、USA)の存在下で行った。その後の免疫誘導には、不完全フロイントアジュバント(Sigma)を加えた。
融合3日前に、免疫誘導マウスに、IFAを伴う20μgのモノマーAxlタンパク質(自家生産品)で腹腔内(i.p.)に追加免疫を行った。
ハイブリドーマ細胞を作製するために、脾細胞とリンパ球を、免疫マウス5個体のうち1個体(血清滴定後に選択)から採取したそれぞれ脾臓の潅流および近位リンパ節の細断によって調製し、SP2/0−Ag14骨髄腫細胞(ATCC、ロックヴィル、MD、USA)と融合した。この融合プロトコールは、Kohler and Milstein (Nature, 256:495-497, 1975)に記載されている。次に、融合した細胞に対してHAT選択を行った。一般に、モノクローナル抗体またはそれらの機能的フラグメントの調製では、特にマウス起源の場合には、特に手引き書“Antibodies” (Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor NY, pp. 726, 1988)に記載されている技術を参照することができる。
融合からおよそ10日後に、ハイブリッド細胞のコロニーをスクリーニングした。一次スクリーニングでは、ELISAを用い、ハイブリドーマの上清を、ヒトモノマーAxlタンパク質(CIPF)に対して生成されたMabの分泌に関して評価した。並行して、ヒトDU145前立腺腫瘍細胞(ATCC)の細胞表面に存在する細胞型のAxlに結合することができるMabを選択するためにFACS分析を行った。
できるだけ速やかに、選択されたハイブリドーマを限界希釈法によりクローニングし、その後、モノマーAxl受容体に対するそれらの反応性に関してスクリーニングした。次に、クローニングしたMabのアイソタイプ分析を、Isotypingキット(カタログ番号5300.05、Southern Biotech、バーミンガム、AL、USA)を用いて行った。各ハイブリドーマから得られた1つのクローンを選択し、拡大培養した。
ハイブリドーマ上清をELISAによりアッセイし、ヒトAxl受容体のECDドメインに対するそれらの結合能を決定した。上清中のIgG含量が決定された場合には、5μg/mlから始めて滴定を実施した。その後、以下の11行で1/2連続希釈を行った。そうでない場合には、上清を純粋なままで適用した。簡単に述べると、96ウェルELISAプレート(Costar 3690、Corning、NY、USA)をPBS中2μg/mlのECD Axl溶液(CIPF)50μl/ウェルか、またはPBS中2μg/mlのrh Axl−Fcタンパク質(R and D Systems、カタログ番号154−AL)50μl/ウェルのいずれかで4℃にて一晩コーティングした。次に、これらのプレートを0.5%ゼラチン(#22151、Serva Electrophoresis GmbH、ハイデルベルク、ドイツ)を含有するPBSで37℃にて2時間ブロッキングした。プレートを軽くたたいて飽和バッファーを排出したところで、50μlの純粋なハイブリドーマ細胞上清または50μlの5μg/ml溶液をELISAプレートに加え、37℃で1時間インキュベートした。3回洗浄した後、50μlのセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合ポリクローナルヤギ抗マウスIgG(#115−035−164、Jackson Immuno−Research Laboratories,Inc.、ウエストグローブ、PA、USA)を、0.1%ゼラチンおよび0.05%Tween 20(w:w)を含有するPBS中、1/5000希釈で、37℃にて1時間加えた。次に、ELISAプレートを3回洗浄し、TMB(#UP664782、Uptima、Interchim、フランス)基質を加えた。室温で10分のインキュベーション時間の後、1M硫酸を用いて反応を停止させ、450nmで光学密度を測定した。
フローサイトメトリーによる選択のため、表面にAxl受容体を発現する100000個の前立腺癌DU145細胞(ATCC)を96ウェルプレートの各ウェルの、1%BSAおよび0.01%アジ化ナトリウムを含有するPBS(FACSバッファー)中に、4℃で播種した。2000rpmで2分の遠心分離の後、バッファーを除去し、供試するハイブリドーマ上清または精製したMab(1μg/ml)を加えた。4℃で20分のインキュベーション後、細胞を2回洗浄し、FACSバッファー中に1/500°希釈されたAlexa 488結合ヤギ抗マウス抗体(#A11017、Molecular Probes Inc.、ユージーン、USA)を加え、4℃で20分間インキュベートした。FACSバッファーでの最終洗浄の後、ヨウ化プロピジウムを各試験管に終濃度40μg/mlで加えた後に細胞をFACS(Facscalibur、Becton−Dickinson)により分析した。細胞のみを含有するウェルおよびAlexa 488結合二次抗体とともにインキュベートした細胞を含有するウェルを陰性対照として含めた。アイソタイプ対照を各実験に用いた(Sigma、ref M90351MG)。少なくとも5000細胞を評価して蛍光強度(MFI)の平均値を計算した。
融合は、採取した280.106の脾細胞と280.106の骨髄腫細胞(1:1比)で行った。次に、得られた融合細胞懸濁液(2.106細胞/ml)を30枚の96ウェルプレートに播種した。
固定化Axl ECDタンパク質に対するELISAによる最初のスクリーニング(融合後14日前後)で、ECD Axlコーティング上で1を上回る光学密度(OD)を示す69個のハイブリドーマを選択することができた。DU145腫瘍細胞株を用いた補足的FACS分析により、選択されるハイブリドーマの数が限定される。この工程で、DU145ヒト前立腺腫瘍細胞株上で100を超えるMFIを示す17個のハイブリドーマが維持され、限界希釈法によりクローニングされた。クローニングプレートを、モノマーAxl ELISAを用いてスクリーニングし、次に、選択されたハイブリドーマを拡大培養し、さらにそれらの結合特異性およびインターナリゼーションを受ける能力に関して特性決定した。
実施例3:Axlの結合特異性
この実施例では、それぞれ110D7、1003A2、1024G11抗体のrhAxl−Fcタンパク質に対する結合を検討する。次に、TAMファミリーの他の2つのメンバーrhDtk−FcおよびrhMer−Fcにおいてその結合を検討する。
簡単に述べると、組換えヒトAxl−Fc(R and D systems、カタログ番号154AL/CF)、rhDtk(R and D Systems、カタログ番号859−DK)またはrh−Mer−Fc(R and D Systems、カタログ番号891−MR)タンパク質をImmulon II96ウェルプレートに4℃で一晩コーティングし、0.5%ゼラチン溶液で1時間のブロッキング工程の後、110D7、1003A2、1024G11精製抗体をそれぞれ、開始濃度5μg/ml(3.33 10−8M)で、37℃にてさらに1時間加えた。次に、1/2連続希釈を12列にわたって行った。プレートを洗浄し、ヤギ抗マウス(Jackson)特異的IgG−HRPを37℃で1時間加えた。反応の現像はTMB基質溶液を用いて行った。市販の抗Axl Mab 154抗体も並行して用いた(データは示されていない)。コーティング対照は、HRP標識ヤギ抗ヒトIgG Fcポリクローナル血清(Jackson、ref 109−035−098)の存在下および/またはHRP結合抗ヒスチジン抗体(R and D Systems、ref:MAB050H)の存在下で実施した。一次抗体の不在下(希釈剤(diluant))で非特異的結合は見られない。110D7結果はそれぞれ図2A、2Bおよび2Cに示す。1003A2の結果はそれぞれ図2D、2Eおよび2Fに示す。1024G11の結果はそれぞれ図2G、2Hおよび2Iに示す。
この実施例は、110D7、1003A2、1024G11抗体がrhAxl−Fcタンパク質とのみ結合し、TAMファミリーの他の2つのメンバーrhDtkまたはrhMerには結合しないことを示す。TAMメンバー間で110D7、1003A2、1024G11抗体の結合の交差特異性は見られない。
実施例4:ヒト腫瘍細胞上でのAxlの検出
Axl発現レベルの定量を可能とするために、まず、較正ビーズと並行して市販のAxl抗体(R and D Systems、ref:MAB154)を用い、ヒト腫瘍細胞上の細胞表面Axl発現レベルを確定した。次に、110D7、1003A2および1024G11を用いて、細胞表面Axlの結合を検討した。両場合とも、実験条件は以下に簡単に述べる通りとした。
細胞表面結合の検討のため、10μg/ml(6.66 10−8M)一次抗体溶液(110D7、1003A2、1024G11、MAB154 Axl市販の抗体またはmIgG1アイソタイプ対照9G4 Mab)の2倍連続希釈液を11点で作製し、4℃で20分間、2.105細胞に適用する。1%BSAおよび0.01%NaN3を添加したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で3回洗浄した後、細胞をヤギ抗マウスAlexa 488二次抗体(1/500°希釈)とともに4℃で20分間インキュベートした。1%BSAおよび0.1%NaN3を添加したPBS中でさらに3回洗浄した後、細胞をFACS(Facscalibur、Becton−Dickinson)により分析した。少なくとも5000細胞を評価して蛍光強度の平均値を計算した。
MAB154 Axl抗体を用いた定量的ABC測定のために、QIFIKIT(商標)較正ビーズを用いる。次に、QIFIKIT(商標)ビーズと並行し、細胞を飽和濃度のポリクローナルヤギ抗マウス免疫グロブリン/FITC(ヤギF(ab’)2)とともにインキュベートする。その後、試料細胞上の抗原性部位の数を、検量線(ビーズ上のMab分子の数に対する個々のビーズ集団の蛍光強度)の補間によって求める。
4.1.細胞表面Axl発現レベルの定量
ヒト腫瘍細胞表面のAxl発現レベルを、細胞表面抗原を評価するための定量的フローサイトメトリーキットである間接的免疫蛍光アッセイ(QIFIKIT(商標)法(Dako、デンマーク)を用いるフローサイトメトリーにより決定した。較正グラフによってビーズの既知の抗原レベルの平均蛍光強度(MFI)を比較すると、細胞株の抗体結合能(ABC)が決定できる。
表6は、Axl市販抗体MAB154(R and D Systems)の存在下、QIFIKIT(商標)を用いて決定した場合の、種々のヒト腫瘍細胞株(SN12C、Calu−1、A172、A431、DU145、MDA−MB435S、MDA−MB231、PC3、NCI−H226、NCI−H125、MCF7、Panc1)(ATCC、NCI)の表面で検出されたAxl発現レベルを示す。値を抗原結合複合体(ABC)として示す。
市販のAxlモノクローナル抗体(MAB154)で得られた結果は、Axl受容体は、検討するヒト腫瘍細胞によって様々なレベルで発現されることを示した。
4.2.ヒト腫瘍細胞での110D7、1003A2および1024G11 Axl抗体を用いたAxlの検出
より具体的には、Axl 110D7、1003A2または1024G11抗体を用いて、Axlの結合を調べた。Axl抗体用量反応曲線を適用した。次に、種々のヒト腫瘍細胞を用いて得られたMFIをPrismソフトウエアで分析した。データを図3A〜3C3に示す。
データは、飽和曲線プロフィールにより示されるように、これら3つのAxl抗体は膜Axl受容体と特異的に結合することを示す。しかしながら、標識強度の違いが見られ、ヒト腫瘍細胞上の細胞表面Axl受容体のレベルの変動が明らかとなった。MCF7ヒト乳房腫瘍細胞株を用いた場合には、Axl受容体の結合は見られなかった。
実施例5:110D7、1003A2、1024G11抗体の種間交差特異性
110D7、1003A2および1024G11、抗Axl抗体の種交差特異性に取り組むため、マウスとサルの2つの種を検討した。まず、組換えマウス(rm)Axl受容体に対する結合をELISAにより調べる(図4A〜C)。次に、サルCOS7細胞がそれらの表面にAxl受容体を発現することから、これらの細胞を用いてフローサイトメトリー実験を行った(図5A〜C)。COS7細胞株は、アフリカミドリザルの腎臓細胞に由来するCV−1細胞株を、ラージT抗原を産生することができるがゲノム複製に欠陥を持つSV40ゲノムの一形態で不死化することにより得られたものである。
5.1 rmAxl−Fc ELISA
簡単に述べると、組換えマウスAxl−Fc(R and D systems、カタログ番号854−AX/CF)タンパク質をImmulon II 96ウェルプレートに4℃で一晩コーティングし、0.5%ゼラチン溶液で1時間のブロッキング工程の後、110D7、1003A2、1024G11精製抗体をそれぞれ開始濃度5μg/ml(3.33 10−8M)で37℃にてさらに1時間加えた。次に、1/2連続希釈を12列にわたって行った。その後、プレートを洗浄し、ヤギ抗マウス(Jackson)特異的IgG HRPを37℃で1時間加えた。反応の現像はTMB基質溶液を用いて行った。市販のマウス抗Axl Mab 154抗体も並行して用いる。コーティング対照は、HRPと結合したヤギ抗ヒトIgG Fcポリクローナル血清(Jackson、ref 109−035−098)の存在下、およびHRP結合抗ヒスチジン抗体(R and D Systems、ref:MAB050H)の存在下で実施する。一次抗体の不在下(希釈剤(diluant))で非特異的結合は見られない。
結果は図4A(110D7)、4B(1003A2)および4C(1024G11)に示す。
図4Aは、本発明の110D7抗体は高抗体濃度(8.3 10−9Mを超える)の存在下でのみマウスAxl ECDドメインと結合できることを示す。
図4Bは、本発明の1003A2抗体はマウスAxl ECDドメインと結合しないことを示す。
図4Cは、本発明の1024G11抗体はマウスAxl ECDドメインと結合しないことを示す。
5.2 FACS COS7
110D7、1003A2および1024G11それぞれについて、細胞結合目的で、2.105細胞を、それぞれ110D7、1003A2および1024G11またはm9G4(mIgG1アイソタイプ対照Mab)の10μg/ml(6,66 10−8M)抗体溶液の1/2連続希釈(12点)によって作製した抗体濃度範囲で、4℃にて20分間インキュベートした。1%BSAおよび0.01%NaN3を添加したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で3回洗浄した後、細胞を二次抗体ヤギ抗マウスAlexa 488(1/500希釈)とともに4℃で20分間インキュベートした。1%BSAおよび0.1%NaN3を添加したPBS中でさらに3回洗浄した後、細胞をFACS(Facscalibur、Becton−Dickinson)により分析した。少なくとも5000細胞を評価し、蛍光強度の平均値を計算した。データはPrismソフトウエアを用いて分析する。
結果は図5A(110D7)、5B(1003A2)および5C(1024G11)に示す。
それぞれ110D7、1003A2および1024G11抗体およびmIgG1アイソタイプ対照を用いてCOS7細胞で確立した滴定曲線により、それぞれ110D7、1003A2および1024G11がCOS7細胞の表面で発現されたサル細胞型のAxl受容体を認識できることが確認される。
110D7抗体では、156μg/ml(10−9M)を超える濃度でプラトーに達する。1003A2抗体では、0.07μg/ml(5.2 10−10M)を超える濃度でプラトーに達する。1024G11抗体では、0.07μg/ml(5.2 10−10M)を超える濃度でプラトーに達する。
mIgG1アイソタイプ対照の存在下では、結合は見られない。
実施例6:110D7、1003A2および1024G11抗体の存在下で行ったGas6競合実験
抗Axl Mabをさらに特徴付けるために、Gas6競合アッセイを行った。このアッセイでは、遊離rhAxl−Fcタンパク質および抗Axl抗体をインキュベートして抗原−抗体複合体を形成させ、次いで、これらの複合体をアッセイプレートのGas6コーティング表面に添加する。結合していない抗体−抗原複合体を洗い流した後、rhAxl−Fcタンパク質のヒトFc部分に対する、酵素結合二次抗体を加える。次に、基質を加えた後、酵素−基質反応により誘発されたシグナル強度によって抗原濃度を決定することができる。
簡単に述べると、供試Mabの存在下または不在下で、rhAxl−Fcタンパク質を含んでなる反応混合物を、個別の飽和(1倍PBS中0.5%ゼラチン)プレートで調製する。マウスAxl抗体(110D7、1003A2および1024G11)の連続1:2希釈(80μg/mlから始めて12列)を行う。次に、ELISA希釈剤(diluant)(1倍PBS中、0.1%ゼラチン、0.05%Tween 20)のみを含有する陰性対照系を除いて、0.5μg/mlのrhAxl−Fcタンパク質(R and D Systems、ref.154AL/CF)を加える。ホモジナイゼーションの後、PBS中、6μg/mlのrhGas6溶液(R and D Systems カタログ番号885−GS−CS/CF)によるGas6コーティングプレートに競合サンプルを添加する。インキュベーションおよび数回の洗浄の後、結合したrhAxl−Fcタンパク質を、ヤギ抗ヒトIgG−HRP(Jackson、ref.109−035−098)を用いて検出する。結合したところで、これらのプレートにTMB基質を加える。H2SO4酸溶液を加えることによって反応を停止させ、得られた光学密度を、マイクロプレートリーダー装置を用いて450nmで読み取る。
この実験(それぞれ図6A、6Bおよび6C)は、110D7、1003A2および1024G11がそれらの固定化リガンド上でrhAxl−Fc結合と競合し得ることを示す。Gas6結合との競合は、2.5μg/ml(1.67 10−8M)を超える濃度の110D7抗体の存在下で起こる。Gas6結合との競合は、2.5μg/ml(1.67 10−8M)を超える濃度の1003A2抗体の存在下で起こる。10μg/ml(6.67 10−8M)を超える濃度の1003A2抗体の存在下では、固定化Gas6に対するrhAxl−Fcの結合はもはや見られない。10μg/ml(6.67 10−8M)を超える濃度の1024G11抗体の存在下では、固定化Gas6に対するrhAxl−Fcの結合はもはや見られない。
110D7、1003A2および1024G11抗体は、rhAxl−Fcに対するGas6の結合を遮断する。
実施例7:ウエスタンブロットによるエピトープ認識
110D7、1003A2および1024G11 抗Axl抗体が直鎖またはコンフォメーションエピトープを認識するかどうかを決定するため、SN12C細胞溶解液を用いてウエスタンブロット解析を行った。還元条件または非還元条件となるようにサンプルに異なる処理を施した。還元型のサンプルでバンドが見られれば、その供試抗体はECDドメインの直鎖エピトープを標的とし、そうでなれば、その抗体はAxl ECDのコンフォメーションエピトープに対して生じたものである。
SN12C細胞を、T162cm2フラスコにて、RPMI+10%熱失活FBS+2mM L−グルタミン中、5.104細胞/cm2で播種し、5%CO2雰囲気中、37℃で72時間培養した。次に、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、1.5mlの氷冷溶解バッファー[50mM Tris−HCl(pH7.5);150mM NaCl;1%Nonidet P40;0.5%デオキシコール酸塩;および完全プロテアーゼ阻害剤カクテル1錠と1%抗ホスファターゼ]で溶解させた。細胞溶解液を4℃で90分間振盪し、15000rpmで10分間、清澄化した。BCAを用いてタンパク質濃度を定量した。種々のサンプルをロードした。まず、10μgの全細胞溶解液(20μl中、10μg)を還元条件(1倍サンプルバッファー(BIORAD)+1倍還元剤(BIORAD))で調製し、96℃で2分のインキュベーション後にSDS−PAGEにロードした。次に、10μgの全細胞溶解液を別に2サンプル、非還元条件(1倍サンプルバッファー(BIORAD)単独中)で調製した。SDS−PAGEゲルにロードする前に、これら2つの上記サンプルのうち一方を96℃で2分のインキュベーションで加熱し、もう一方を氷上で維持する。泳動後、タンパク質をニトロセルロース膜に転写する。膜を室温にて1時間、TBS−tween 20 0.1%(TBST)、5%脱脂乳で飽和させ、4℃にて一晩、TBST−5%脱脂乾燥乳中で、10μg/mlのそれぞれ110D7、1003A2および1024G11抗体でプロービングした。抗体を、1%脱脂乾燥乳を含むTris緩衝生理食塩水−0.1%tween 20(v/v)(TBST)中に希釈した。次いで、膜をTBSTで洗浄し、ペルオキシダーゼ結合二次抗体(1/1000希釈)とともに室温で1時間インキュベートした。免疫反応性タンパク質をECL(Pierce #32209)で可視化した。Axlを可視化した後、膜を再びTBSTで1回洗浄し、マウス抗GAPDH抗体(1/200000希釈)とともに室温で1時間インキュベートした。次いで、膜をTBSTで洗浄し、ペルオキシダーゼ結合二次抗体とともに、TBST−5%脱脂乾燥乳中、室温で1時間インキュベートした。その後、膜をTBST中で洗浄し、ペルオキシダーゼ結合二次抗体とともに室温で1時間インキュベートした。膜を洗浄し、ECLを用いてGAPDHを可視化した。
結果は図7A(110D7)、7B(1003A2)および7C(1024G11)に示す。
特異的バンドは非還元条件でのみ見られるので、110D7、1003A2および1024G11抗Axl抗体はコンフォメーションエピトープを認識する。SN12C細胞溶解液の変性泳動条件ではバンドは見られない。
実施例8:110D7、1003A2、1024G11抗体により誘発されたAxlダウンレギュレーションの、ウエスタンブロットによる測定
以下の実施例では、Axl受容体発現に対する抗体の活性に取り組むため、ヒト腎細胞癌細胞株SN12C(ATCC)を選択した。SN12C細胞株はAxl受容体を過剰発現する。図8A〜8B(110D7)、8C〜8D(1003A2)、8E〜8F(1024G11)の全細胞抽出液に対するウエスタンブロットにより、Axlダウンレギュレーションを検討した。
SN12C細胞を、6ウェルプレートにて、RPMI+10%熱失活FBS+2mM L−グルタミン中、6.104細胞/cm2で播種し、5%CO2雰囲気中、37℃で48時間培養した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した後、細胞を、800ng/mlの組換えマウスgas6リガンド(R and D Systems、ref:986−GS/CF)または10μg/mlのmIgG1アイソタイプ対照抗体(9G4)または10μg/mlの本発明の抗Axl抗体のいずれかを含有する培地中で血清飢餓状態とし、さらに4時間または24時間インキュベートした。次に、培地を静かに除去し、細胞を冷PBSで2回洗浄した。細胞を200μlの氷冷溶解バッファー[50mM Tris−HCl(pH7.5);150mM NaCl;1%Nonidet P40;0.5%デオキシコール酸塩;および完全プロテアーゼ阻害剤カクテル1錠と1%抗ホスファターゼ]で溶解させた。細胞溶解液を4℃で90分間振盪し、15000rpmで10分間、清澄化した。BCAを用いてタンパク質濃度を定量した。全細胞溶解液(20μl中、10μg)をSDS−PAGEにより分離し、ニトロセルロース膜に転写した。膜を室温にて1時間、TBS−tween 20 0.1%(TBST)、5%脱脂乳で飽和させ、4℃にて一晩、TBST−5%脱脂乾燥乳中、市販の抗Axl抗体0.5μg/ml(AbNova H00000558−M02)でプロービングした。抗体を、1%脱脂乾燥乳を含むTris緩衝生理食塩水−0.1%tween 20(v/v)(TBST)中に希釈した。次いで、膜をTBSTで洗浄し、ペルオキシダーゼ結合二次抗体(1/1000希釈)とともに室温で1時間インキュベートした。免疫反応性タンパク質をECL(Pierce #32209)で可視化した。Axlを可視化した後、膜を再びTBSTで1回洗浄し、TBST−5%脱脂乾燥乳中、マウス抗GAPDH抗体(1/200000希釈)とともに室温で1時間インキュベートした。次いで、膜をTBST中で洗浄し、ペルオキシダーゼ結合二次抗体とともに、室温で1時間インキュベートした。膜を洗浄し、ECLを用いてGAPDHを可視化した。バンド強度を濃度計により定量した。
図8Aおよび8Bに示す結果は3回の独立した実験の代表例であり、110D7が、Axlを過剰発現するヒト腫瘍細胞株でAxlをダウンレギュレートし得ることを示す。4時間の時点で、110D7抗体は50%の、そして、110D7抗体とともに24時間インキュベートした後には最大84%の、Axlのダウンレギュレーションを誘発する。
図8Cおよび8Dに示す結果は3回の独立した実験の代表例であり、1003A2が、Axlを過剰発現するヒト腫瘍細胞株でAxlをダウンレギュレートし得ることを示す。4時間の時点で、1003A2抗体は66%の、そして、1003A2抗体とともに24時間インキュベートした後には最大89%の、Axlのダウンレギュレーションを誘発する。
図8Eおよび8Fに示す結果は3回の独立した実験の代表例であり、1024G11が、Axlを過剰発現するヒト腫瘍細胞株でAxlをダウンレギュレートし得ることを示す。4時間の時点で、1024G11抗体は68%の、そして、1024G11抗体とともに24時間インキュベートした後には最大85%の、Axlのダウンレギュレーションを誘発する。
実施例9:細胞表面Axl発現に対する抗Axl抗体の効果のフローサイトメトリー試験
フローサイトメトリー技術は、細胞表面のAxl受容体の標識を可能とする。この技術の使用は、膜Axl発現に対する抗体の効果を強調することができる。本実施例では、高レベルのAxlを発現するヒト腎腫瘍SN12C細胞を用いた。
SN12C腫瘍細胞株を、1%L−グルタミンおよび10%FCSを含むRMPI1640中で、実験前に3日間培養した。次に、トリプシンを用いて細胞を解離させ、6マルチウェルプレートの、1%L−グルタミンおよび5%FBSを含むRPMI1640中に播種した。翌日、対象抗体を10μg/mlで加えた。非処理ウェルも含めた。細胞を37℃、5%CO2でインキュベートする。24時間後、細胞をPBSで洗浄し、解離させ、FACSバッファー(PBS、1%BSA、0.01%アジ化ナトリウム)中で、同じ対象抗体とともにインキュベートした。処理細胞および非処理細胞に対して同じMabで得られたシグナル強度を比較するために、非処理ウェルも同じ抗体で染色した。細胞を4℃で20分間インキュベートし、FACSバッファーで3回洗浄した。Alexa 488標識ヤギ抗マウスIgG抗体を20分間インキュベートし、細胞を3回洗浄した後、ヨウ化プロピジウム陰性細胞集団に対してFACS分析を行った。非処理細胞と処理細胞の間のMabの同じ抗体での染色の違いは、これらの細胞の細胞表面のAxlタンパク質のダウンレギュレーションを示した。
(i)細胞表面に残留するAxlのパーセンテージ、および(ii)T24時間にmIgG1処理細胞に比べた場合の、それぞれ110D7、1003A2、1024G11処理細胞の表面で検出された蛍光シグナルの違い、の2つのパラメーターを決定する。残留Axlのパーセンテージは次のように計算する。
%残留Axl=(本発明のMFI Mab 24時間/MFI mIgG1 24時間)×100
1つの代表的な実験からのデータを表7に示す。これらの結果は、3回の独立した実験で再現された。
非処理細胞および処理条件において同じ抗体によるMab染色間のMFIの違いは、検討下のMabの結合による細胞の細胞表面でのAxlタンパク質のダウンレギュレーションを反映する。抗体を含まない条件は、アイソタイプ対照抗体(m9G4)の存在下の条件と同様の結果をもたらした。
これらのデータは、110D7で24時間処理した細胞の表面に検出された平均蛍光強度が110D7抗体で標識した非処理細胞で得られたMFIに比べて減少する(−588)ことを示す。110D7抗体とともに24時間インキュベートした後、29.8%の細胞表面Axl受容体がSN12C細胞表面に残留する。
これらのデータは、1003A2で24時間処理した細胞の表面に検出された平均蛍光強度が1003A2抗体で標識した非処理細胞で得られたMFIに比べて減少する(−505)ことを示す。1003A2抗体とともに24時間インキュベートした後、35%の細胞表面Axl受容体がSN12C細胞表面に残留する。
これらのデータは、1024G11で24時間処理した細胞の表面に検出された平均蛍光強度が1024G11抗体で標識した非処理細胞で得られたMFIに比べて減少する(−478)ことを示す。1024G11抗体とともに24時間インキュベートした後、45.5%の細胞表面Axl受容体がSN12C細胞表面に残留する。
実施例10:蛍光免疫細胞化学標識を用いた抗Axl抗体のインターナリゼーション試験
補足的インターナリゼーション結果を、間接的蛍光標識法を用いた共焦点顕微鏡観察により得る。
簡単に述べると、SN12C腫瘍細胞株を、1%L−グルタミンおよび10%FCSを含むRMPI1640中で、実験前に3日間培養した。次に、トリプシンを用いて細胞を解離させ、カバーガラスを含む6マルチウェルプレートの、1%L−グルタミンおよび5%FBSを含むRPMI1640中に播種した。翌日、抗体110D7、1003A2および1024G11をそれぞれ10μg/mlで加えた。無関連の抗体で処理した細胞も含めた。その後、これらの細胞を37℃、5%CO2で1時間(1h)および2時間(2h)インキュベートした。T0時間(T0h)では、細胞表面への抗体の結合を判定するために、細胞を4℃で30分間インキュベートした。細胞をPBSで洗浄し、パラホルムアルデヒドで15分間固定した。細胞をすすぎ、ヤギ抗マウスIgG Alexa 488抗体とともに4℃で60分間インキュベートして、細胞表面に残留する抗体を確認した。抗体の細胞への浸透を追跡するため、細胞を固定し、サポニンで透過処理を施した。ヤギ抗マウスIgG Alexa 488(Invitrogen)を用いて膜抗体および細胞内抗体の両方を染色した。初期エンドソームを、EEA1に対するウサギポリクローナル抗体を用いて同定し、ヤギ抗ウサギIgG−Alexa 555抗体(Invitrogen)で可視化した。細胞を3回洗浄し、Draq5を用いて核を染色した。染色後、細胞をProlong Gold封入剤(Invitrogen)中に封入し、Zeiss LSM 510共焦顕微鏡を用いて分析した。
写真を図9A〜9C(110D7)、9D〜9F(1003A2)および9G〜9I(1024G11)に示す。
画像を共焦点顕微鏡によって得た。mIgG1アイソタイプ対照の存在下では、膜染色も細胞内標識も見られない(図9A、9D、9G)。SN12C細胞をそれぞれ110D7(図9B)、1003A2(図9E)および1024G11(図9H)とともに1時間(1h)インキュベートした後すぐに膜抗Axl標識の段階的損失が見られる(図9B)。2時間(2h)の時点では、それぞれ110D7(図9C)、1003A2(図9F)および1024G11(図9I)抗Axl抗体の細胞内蓄積がより顕著である。細胞内抗体は初期エンドソームマーカーであるEEA1と同時局在する。これらの写真から、SN12C細胞への抗Axl mAb110D7、1003A2および1024G11のインターナリゼーションが確認される。
実施例11:in vitro抗Axl媒介抗腫瘍活性
SN12C増殖アッセイ
ウェル当たり10000個のSN12C細胞を96ウェルプレートのFCS不含培地に播種し、37℃、5%CO2雰囲気で一晩培養した。翌日、細胞を10μg/mlの各抗体とともに37℃で1時間プレインキュベートした。ウェルに直接リガンドを加えることにより、細胞をrmGas6(R and D Systems、カタログ番号986−GS/CF)で処理し、または処理せず、その後、72時間放置して増殖させた。増殖は3Hチミジン組み込みに従って測定した
データを図10A(110D7)、10B(1003A2)および10C(1024G11)に示す。それぞれ110D7、1003A2および1024G11で効果は見られず、これをSN12C細胞に加えても無変化(silent)である。
実施例12:種々のヒト腫瘍細胞株におけるm110D7−サポリン、1003A2−サポリンおよび1024G11−サポリン免疫複合体の細胞傷害効力
本実施例では、サポリン結合110D7、1003A2または1024G11抗体の細胞傷害効力を記載する。この目的で、ヒト腫瘍細胞株の大パネルを用いて、in vitro細胞傷害性アッセイを行った(図11A〜11K)。この液性腫瘍細胞株パネルは、種々のAxl発現を包含する。
簡単に述べると、5000個の細胞を96ウェル培養プレートの100μlの5%FBSの適切な培養培地中に播種した。5%CO2雰囲気中、37℃で24時間インキュベートした後、一定の濃度範囲の免疫複合体(mAxl Ab−サポリンまたはm9G4−サポリン)を細胞に適用する。次に、培養プレートを37℃、加湿5%CO2インキュベーター内で72時間インキュベートする。
4日目に、細胞生存率を、CellTiter−Glo(商標)Luminescent Cell Viabilityキット(Promega Corp.、マディソン、ウィスコンシン州)(このキットは、代謝的に活性な細胞の指標としての、存在するATPの定量に基づいて培養物中の生細胞の数を決定することができる)を用いて評価する。発光を照度計により記録する。
発光出力から下式を用いて細胞傷害性のパーセンテージが計算される。
細胞傷害性%=100−[(RLU Ab−sap×100)/RLU No Ab]
図11A〜11Kは、110D7−サポリン、1003A2−サポリンおよび1024G11−サポリン免疫複合体は、これらの異なるヒト腫瘍細胞株において細胞傷害性を誘発したことを示す。生じる細胞傷害性作用の効力はヒト腫瘍細胞株によって異なる。