以下、本発明の化合物半導体太陽電池、及び、化合物半導体太陽電池の製造方法を適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1の化合物半導体太陽電池100を示す断面図である。
化合物半導体太陽電池100は、電極10、InP基板110、GaInPAsセル120、接合層130、接合層140、トンネル接合層150、GaAsセル160、トンネル接合層170、GaInPセル180、コンタクト層40A、及び電極50を含む。
実施の形態1の化合物半導体太陽電池100は、GaInPAsセル120(1.0eV)、GaAsセル160(1.42eV)、及びGaInPセル180(1.9eV)を直接接続した3接合型太陽電池である。
ここで、化合物半導体太陽電池100に含まれるセルについては、InP(インジウム燐)系の光電変換セルと、GaAs(ガリウムヒ素)系の光電変換セルとがある。InP系の光電変換セルとは、InPにほぼ格子整合し、InP基板110の上に結晶成長可能な材料系で形成される光電変換セルのことである。ここでは、InPにほぼ格子整合し、InP基板110の上に結晶成長可能な材料をInP格子整合系材料と称し、InP格子整合系材料で構成されるセルをInP格子整合系材料セルと称す。
また、GaAs系の光電変換セルとは、GaAs、又は、GaAsと格子定数の近いGeにほぼ格子整合し、GaAs基板またはGe基板上に結晶成長可能な材料系で形成される光電変換セルのことである。ここでは、GaAs、又は、GaAsと格子定数の近いGeにほぼ格子整合し、GaAs基板またはGe基板上に結晶成長可能な材料をGaAs格子整合系材料と称し、GaAs格子整合系材料で構成されるセルをGaAs格子整合系材料セルと称す。
なお、これらは、実施の形態2乃至4においても同様である。
化合物半導体太陽電池100では、GaInPAsセル120は、InP系の光電変換セルであり、GaAsセル160とGaInPセル180は、GaAs系の光電変換セルである。
ここで、InP基板110は、化合物半導体基板又は第1化合物半導体基板の一例である。GaInPAsセル120は、第1化合物半導体材料で作製される第1光電変換セルの一例である。
また、接合層130は、第2化合物半導体材料で作製され、GaInPAsセル120に積層される接合層の一例である。GaAsセル160とGaInPセル180は、第3化合物半導体材料で作製される、複数の第2光電変換セルの一例である。
図1において、光の入射方向は、図中上から下に向かう方向(GaInPセル180からGaInPAsセル120に向かう方向)である。
電極10は、光入射方向において奥側に位置する下部電極になる電極である。電極10は、例えば、Ti/Pt/Au等の金属層を積層した電極を用いることができる。
InP基板110は、例えば、p型の単結晶インジウム燐のウエハを用いればよい。不純物としては、例えば、Zn等を用いればよい。
GaInPAsセル120は、InP基板110の表面に形成される。GaInPAsセル120は、p型のInP層121、p型のGa(x)InP(y)As層122、n型のGa(x)InP(y)As層123、及びn型の[Al(x)Ga](y)InAs層124を含む。
GaInPAsセル120は、InPと格子整合するGaInPAsの結晶層で構成される。 InP層121、Ga(x)InP(y)As層122、Ga(x)InP(y)As層123、及び[Al(x)Ga](y)InAs層124は、この順に、InP基板110の表面に積層されている。
InP層121は、光の入射方向において奥側に配設されるBSF(Back Surface Field)層である。GaInPAsセル120のpn接合は、Ga(x)InP(y)As層122とGa(x)InP(y)As層123によって構築される。[Al(x)Ga](y)InAs層124は、光の入射方向において手前側(光入射側)に配設される窓層である。
ここで、GaInPAsセル120は、pn接合を構築するGa(x)InP(y)As層122とGa(x)InP(y)As層123によって構成され、GaInPAsセル120の光入射側に[Al(x)Ga](y)InAs層124が形成され、光の入射方向の奥側にInP層121が形成されているものとして捉えてもよい。
InP層121は、BSF層として用いられるため、p型のGa(x)InP(y)As層122とn型のGa(x)InP(y)As層123のバンドギャップ(1.0eV)よりも大きなバンドギャップを有する。InP層121の不純物としては、例えば、Znを用いることができる。
Ga(x)InP(y)As層122は、例えば、不純物としてZnを用いることによって導電型がp型にされる。
Ga(x)InP(y)As層123は、例えば、不純物としてSiを用いることによって導電型がn型にされる。
Ga(x)InP(y)As層122とGa(x)InP(y)As層123は、バンドギャップが1.0eVになるように、Gaの比率xとPの比率yが調整されている。
[Al(x)Ga](y)InAs層124は、窓層として用いられるため、Ga(x)InP(y)As層122とGa(x)InP(y)As層123のバンドギャップ(1.0eV)よりも大きなバンドギャップを有する。
実施の形態1では、[Al(x)Ga](y)InAs層124のバンドギャップは、一例として1.5eVに設定される。[Al(x)Ga](y)InAs層124の不純物としては、例えば、Siを用いることができる。
AlGaInAsは、InPに格子整合するため、Ga(x)InP(y)As層123に積層するのに適している。
接合層130は、化合物半導体太陽電池100を作製する過程で、清浄化処理と表面活性化処理によって接合層140と接合される。化合物半導体太陽電池100は、2つの積層体を接合することによって作製される。
2つの積層体の一方の最上面に接合層130が形成され、他方の積層体の最上面に接合層140が形成され、接合層130と140を接合することによって図1に示すような化合物半導体太陽電池100が作製される。
接合層130としては、n+型のGa(x)InP層が用いられる。接合層130の不純物濃度は、[Al(x)Ga](y)InAs層124の不純物濃度よりも高く設定される。このため、接合層130の導電型はn+型である。
接合層130として用いるGa(x)InP層は、例えば、10%のGa組成を有し(x=0.1)、0.7%の引っ張り歪を有するGaInP層であり、バンドギャップは1.42eVである。
ここでは、接合層130として用いるGa(x)InP層のバンドギャップが1.42eVである形態について説明するが、接合層130として用いるGa(x)InP層のバンドギャップは、Gaの組成比を増やすことによって1.42eVより大きくしてもよい。
接合層130として用いるGa(x)InP層は、光入射方向において自己よりも入射側(上流側)にあるGaAsセル160のバンドギャップ(1.42eV)と等しいか、あるいは、それより大きいバンドギャップを有していればよい。
すなわち、接合層130のバンドギャップは、光入射方向において自己よりも入射側(上流側)にあるGaAsセル160のバンドギャップ以上であればよい。
また、接合層130とGaAsセル160との間には、接合層140とトンネル接合層150が形成され、これらはともにGaAsで構成されるため、ともに1.42eVのバンドギャップを有する。
このため、接合層130のバンドギャップは、光入射方向において自己よりも入射側(上流側)にある光電変換セル(ここでは、GaAsセル160)と、自己よりも入射側(上流側)にある光電変換セルとの間にある層(接合層140、トンネル接合層150)とのバンドギャップ以上(ここでは、1.42eV以上)であるということができる。
実施の形態1の化合物半導体太陽電池100において、接合層130のバンドギャップを上述のように設定するのは、GaAsセル160、トンネル接合層150、接合層140で吸収されずに透過した光が、接合層130で吸収されることを抑制するためである。
すなわち、接合層130で太陽光を吸収することなく、効率的に、光の入射方向において自己よりも奥側(下流側)のGaInPAsセル120に誘導するためである。
また、接合層130を透過した光が、GaInPAsセル120のGa(x)InP(y)As層122とGa(x)InP(y)As層123に確実に到達するようにするために、GaInPAsセル120の窓層である[Al(x)Ga](y)InAs層124のバンドギャップを、一例として1.5eVに設定している。
ここで、例えば、従来の化合物半導体太陽電池と同様に、接合層130としてInP層を用いると、InPのバンドギャップは、1.35eVであるため、GaAsセル160(1.42eV)を透過した太陽光の一部を吸収してしまう。
実施の形態1の化合物半導体太陽電池100では、このようなエネルギー損失の発生を抑制するために、GaAsセル160、トンネル接合層150、接合層140のバンドギャップ以上のバンドギャップを有するGa(x)InP層を接合層130として用いている。
接合層140は、化合物半導体太陽電池100を作製する過程で、清浄化処理と表面活性化処理によって、InP基板110側の接合層130と接合される。接合層140としては、例えば、n+型のGaAs層を用いることができる。GaAs層のバンドギャップは、1.42eVであり、接合層130のバンドギャップと等しい。接合層140の不純物濃度は、接合層130の不純物濃度と同等に設定される。
図1に示す化合物半導体太陽電池100の接合層130と140との境界よりも上側は、例えば、天地を逆にした状態で順次積層することによって作製されるため、接合層140は、トンネル接合層150に積層される。
トンネル接合層150は、接合層140とGaAsセル160との間に設けられる。図1に示す化合物半導体太陽電池100の接合層130と140との境界よりも上側は、例えば、天地を逆にした状態で順次積層することによって作製されるため、トンネル接合層150は、GaAsセル160に積層される。
トンネル接合層150は、n+型のGaAs層151と、p+型のGaAs層152とを有する。導電型をn型にする不純物としては、例えば、Te(テルル)を用いることができ、導電型をp型にする不純物としては、例えば、C(炭素)を用いることができる。n+型のGaAs層151と、p+型のGaAs層152とは、高濃度にドーピングされた薄いpn接合を構成する。
トンネル接合層150のGaAs層151と152は、ともにGaAsセル160よりも高濃度にドーピングされている。トンネル接合層150は、GaAsセル160のp型のGaAs層162と、GaInPAsセル120のn型のGa(x)InP(y)As層123との間を(トンネル接合により)電流が流れるようにするために設けられる接合層である。
GaAsセル160は、トンネル接合層150とトンネル接合層170との間に形成される。
GaAsセル160は、p型のGa(x)InP層161、p型のGaAs層162、n型のGaAs層163、及びn型の[Al(x)Ga](y)InP層164を含む。
Ga(x)InP層161、GaAs層162、GaAs層163、及び[Al(x)Ga](y)InP層164は、この順に、トンネル接合層150の表面に積層されている。GaAsセル160は、実際の製造工程では、例えば、天地を逆にした状態で、トンネル接合層170に積層される。
このため、実際の製造工程では、例えば、[Al(x)Ga](y)InP層164、GaAs層163、GaAs層162、及びGa(x)InP層161の順にトンネル接合層170に積層される。
Ga(x)InP層161は、光の入射方向において奥側に配設されるBSF(Back Surface Field)層である。GaAsセル160のpn接合は、GaAs層162とGaAs層163によって構築される。[Al(x)Ga](y)InP層164は、光の入射方向において手前側(光入射側)に配設される窓層である。
ここで、GaAsセル160は、pn接合を構築するGaAs層162とGaAs層163によって構成され、GaAsセル160の光入射側に[Al(x)Ga](y)InP層164が形成され、光の入射方向の奥側にGa(x)InP層161が形成されているものとして捉えてもよい。
Ga(x)InP層161は、BSF層として用いられるため、p型のGaAs層162とn型のGaAs層163のバンドギャップ(1.42eV)以上のバンドギャップを有していればよい。Ga(x)InP層161の不純物としては、例えば、Znを用いることができる。
GaAs層162は、例えば、不純物としてZnを用いることによって導電型がp型にされる。
GaAs層163は、例えば、不純物としてSiを用いることによって導電型がn型にされる。
GaAs層162とGaAs層163のバンドギャップは1.42eVである。
[Al(x)Ga](y)InP層164は、窓層として用いられるため、p型のGaAs層162とn型のGaAs層163のバンドギャップ(1.42eV)よりも大きなバンドギャップを有する。
実施の形態1では、[Al(x)Ga](y)InP層164は、p型のGaAs層162とn型のGaAs層163のバンドギャップ(1.42eV)以上のバンドギャップを有していればよい。[Al(x)Ga](y)InP層164の不純物としては、例えば、Siを用いることができる。
トンネル接合層170は、GaAsセル160とGaInPセル180との間に設けられる。図1に示す化合物半導体太陽電池100の接合層130と140との境界よりも上側は、例えば、天地を逆にした状態で順次積層することによって作製されるため、トンネル接合層170は、GaInPセル180に積層される。
トンネル接合層170は、n型のGa(x)InP層171と、p型のAl(x)GaAs層172とを有する。導電型をn型にする不純物としては、例えば、Te(テルル)を用いることができ、導電型をp型にする不純物としては、例えば、C(炭素)を用いることができる。n型のGa(x)InP層171と、p型のAl(x)GaAs層172とは、高濃度にドーピングされた薄いpn接合を構成する。
トンネル接合層170のGa(x)InP層171とAl(x)GaAs層172は、ともにGaInPセル180よりも高濃度にドーピングされている。トンネル接合層170は、GaInPセル180のp型のGa(x)InP層182と、GaAsセル160のn型のGaAs層163との間を(トンネル接合により)電流が流れるようにするために設けられる接合層である。
GaInPセル180は、トンネル接合層170とコンタクト層40Aとの間に形成される。
GaInPセル180は、p型のAl(x)InP層181、p型のGa(x)InP層182、n型のGa(x)InP層183、及びn型のAl(x)InP層184を含む。
Al(x)InP層181、Ga(x)InP層182、Ga(x)InP層183、及びAl(x)InP層184は、この順に、トンネル接合層170の表面に積層されている。GaInPセル180は、実際の製造工程では、例えば、天地を逆にした状態で、図示しないGaAs基板の上のGaAsコンタクト層40Aの上に積層される。
GaInPセル180は、GaAsと格子整合するGaInPの結晶層で構成される。実際の製造工程では、例えば、Al(x)InP層184、Ga(x)InP層183、Ga(x)InP層182、及びAl(x)InP層181の順に積層される。
Al(x)InP層181は、光の入射方向において奥側に配設されるBSF(Back Surface Field)層である。GaInPセル180のpn接合は、Ga(x)InP層182とGa(x)InP層183によって構築される。Al(x)InP層184は、光の入射方向において手前側(光入射側)に配設される窓層である。
ここで、GaInPセル180は、pn接合を構築するGa(x)InP層182とGa(x)InP層183によって構成され、GaInPセル180の光入射側にAl(x)InP層184が形成され、光の入射方向の奥側にAl(x)InP層181が形成されているものとして捉えてもよい。
Al(x)InP層181は、BSF層として用いられるため、p型のGa(x)InP層182とn型のGa(x)InP層183のバンドギャップ(1.9eV)以上のバンドギャップを有していればよい。Al(x)InP層181の不純物としては、例えば、Znを用いることができる。
Ga(x)InP層182は、例えば、不純物としてZnを用いることによって導電型がp型にされる。
Ga(x)InP層183は、例えば、不純物としてSiを用いることによって導電型がn型にされる。
Ga(x)InP層182とGa(x)InP層183のバンドギャップは1.9eVである。
Al(x)InP層184は、窓層として用いられるため、p型のGa(x)InP層182とn型のGa(x)InP層183のバンドギャップ(1.9eV)よりも大きなバンドギャップを有する。
実施の形態1では、Al(x)InP層184は、p型のGa(x)InP層182とn型のGa(x)InP層183のバンドギャップ(1.9eV)以上のバンドギャップを有していればよい。Al(x)InP層184の不純物としては、例えば、Siを用いることができる。
コンタクト層40Aは、主に、電極50とオーミック接続するためにGaInPセル180に積層される層であり、例えば、ガリウムヒ素(GaAs)層を用いる。
電極50は、例えば、Ti/Pt/Au等の金属製の薄膜であり、コンタクト層40Aの上に形成されている。
次に、図2及び図3を用いて、化合物半導体太陽電池100の製造方法について説明する。
図2及び図3は、第1の実施の形態の化合物半導体太陽電池100の製造方法を示す図である。
まず、図2(A)に示すように、GaAs基板20を用いて積層体100Aを作製するとともに、InP基板110を用いて積層体100Bを作製する。GaAs基板20は、第2化合物半導体基板の一例である。
ここで、積層体100Aに含まれるGaInPセル180は、GaAsと格子整合するGaInPの結晶層で構成されており、GaAs基板20に形成される。また、積層体100Bに含まれるGaInPAsセル120は、InPと格子整合するGaInPAsの結晶層で構成されており、InP基板110に形成される。
このように、積層体100Aと積層体100Bは、格子定数が異なる。実施の形態1の化合物半導体太陽電池100は、互いに格子定数が異なる積層体100Aと積層体100Bとを直接的に接合することによって作製される。
InPの格子定数は約5.87Åであるため、InP基板110の上に形成されるGaInPAsセル120は、InPの格子定数(約5.87Å)に非常に近い格子定数を有するように、組成を調整すればよい。
また、GaAsの格子定数は約5.65Åであるため、GaAs基板20の上に形成されるGaAsセル160及びGaInPセル180の格子定数は、GaAsの格子定数(約5.65Å)に非常に近い格子定数を有するように、組成を調整すればよい。
積層体100Aは、GaAs基板20上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法で、Ga(x)InPエッチングストップ層30、n+型のGaAsコンタクト層40、GaInPセル180、トンネル接合層170、GaAsセル160、トンネル接合層150、及び接合層140を積層することによって作製される。
ここで、GaInPセル180は、GaAsと格子整合するAl(x)InP層184、Ga(x)InP層183、Ga(x)InP層182、及びAl(x)InP層181を含む。Al(x)InP層181はBSF層であり、Al(x)InP層184は窓層である。
また、トンネル接合層170、Al(x)GaAs層172とGa(x)InP層171を含む。
GaAsセル160は、[Al(x)Ga](y)InP層164、GaAs層163、GaAs層162、及びGa(x)InP層161を含む。Ga(x)InP層161はBSF層であり、[Al(x)Ga](y)InP層164は窓層である。
また、トンネル接合層150は、GaAs層151とGaAs層152を含む。
積層体100Aの積層(成長)時は、GaAs基板20がある下側が光入射側となり、後に積層体100Bと接合する際に、積層体100Aを天地逆にするので、図1に示す上下関係とは逆方向から成長する。
具体的には、ワイドバンドギャップのセル(GaInPセル180)からナローギャップセル(GaAsセル160)へと順次成長する。また、最終的にp側が下部(光の入射方向における奥側)となる。
また、積層体100Bについては、InP基板110の上に、MOCVD法で、GaInPAsセル120と接合層130を積層(成長)する。図2(A)に示す積層体100Bは、InP基板110とは反対側の接合層130側が光入射側となる。
GaInPAsセル120は、InP基板110側からInP層121、Ga(x)InP(y)As層122、Ga(x)InP(y)As層123、及び[Al(x)Ga](y)InAs層124を含む。InP層121はBSF層であり、[Al(x)Ga](y)InAs層124は、窓層である。
以上のようにして、MOCVD法によるエピタキシャル成長によって、積層体100A及び100Bを作製する。
次に、図2(B)に示すように、エピタキシャル成長によって作製した積層体100A及び100Bを直接的に接合する。
積層体100Aの接合層140と、積層体100Bの接合層130との表面に清浄化処理と表面活性化処理を行い、接合層130及び140を直接的に接合する。表面活性化処理は窒素(N2)プラズマ処理で行い、真空中で150℃で接合を行った。
これにより、図2(B)に示す積層体100Cを作製した。積層体100Cは、図2(A)に示す積層体100Bの接合層130の上に、積層体100Aを天地逆にして積層体140が下側にある状態で、接合層130と接合層140を接合して作製したものである。
積層体100Cは、InP基板110の上に、GaInPAsセル120、接合層130、接合層140、トンネル接合層150、GaAsセル160、トンネル接合層170、GaInPセル180、GaAsコンタクト層40、InPエッチングストップ層30、及びGaAs基板20をこの順に積層した構成を有する。
次に、図2(B)に示す積層体100CからGaAs基板20とGaInPエッチングストップ層30をそれぞれ選択エッチングで除去することにより、図3(A)に示す積層体100Dを得る。
GaAs基板20とGaInPエッチングストップ層30のエッチングは、次のようにして行えばよい。
GaAs基板20のエッチングは、例えば、硫酸(H2SO4)と過酸化水素(H2O2)と水(H2O)の混合液をウェットエッチング溶液として用いることによって行うことができる。硫酸(H2SO4)と過酸化水素(H2O2)と水(H2O)の混合液は、GaInPエッチングストップ層30のGaInPを溶解しないため、GaInPエッチングストップ層30でウェットエッチング処理をストップさせることができる。
また、GaInPエッチングストップ層30は、例えば、塩酸(HCl)と水(H2O)の混合液でエッチングすればよい。
以上のようにして、積層体100C(図2(B)参照)からGaAs基板20とGaInPエッチングストップ層30をそれぞれ選択エッチングで除去することにより、図3(A)に示す積層体100Dを作製することができる。
次に、GaAsコンタクト層40の上に上部電極50(図1参照)を形成するとともに、InP基板110の上に下部電極10を形成する。
そして、上部電極50をマスクとして用いてコンタクト層40(図3(A)参照)のうち上部電極50(図1参照)の直下に位置する部分以外を除去することにより、図3(B)に示すようにコンタクト層40Aが形成される。
コンタクト層40Aの作製は、例えば、硫酸(H2SO4)と過酸化水素(H2O2)と水(H2O)の混合液をウェットエッチング溶液として用いることによって行うことができる。硫酸(H2SO4)と過酸化水素(H2O2)と水(H2O)の混合液は、Al(x)InP層184のAlInPを溶解しないため、GaInPセル180のAl(x)InP層184でウェットエッチング処理をストップさせることができる。
以上により、実施の形態1の化合物半導体太陽電池100が完成する。図3(B)に示す化合物半導体太陽電池100は、図1に示す化合物半導体太陽電池100と同一である。
化合物半導体太陽電池100には、太陽光は、ワイドバンドギャップのセル側(GaInPセル180側)から入射する構造となる。なお、太陽光が入射するAl(x)InP層184の表面には、反射防止膜を設けることが望ましい。図3(B)では反射防止膜を省略する。
実施の形態1の化合物半導体太陽電池100では、InP基板110の上に形成するGaInPAsセル120の窓層として、バンドギャップが1.5eVの[Al(x)Ga](y)InAs層124を形成し、さらにその上の接合層130として、GaInP接合層を形成している。
この接合層130として用いるGaInP接合層は、10%のGa組成を有し、0.7%の引っ張り歪を有する、バンドギャップが1.42eVのGaInP接合層である。接合層130のバンドギャップ(1.42eV)は、接合層130に光入射側において隣接する光電変換セルであるGaAsセル160のバンドギャップ(1.42eV)以上になるように設定されている。
すなわち、接合層130として用いるGa(x)InP層は、光の入射方向において自己よりも入射側(上流側)において隣接する光電変換セルであるGaAsセル160で吸収されずに透過した光を吸収することなく、自己よりも光の入射方向において奥側のGaInPAsセル120に誘導するために、上述のようなバンドギャップを有する。
また、同様な観点から、トンネル接合層150と接合層140のバンドギャップもGaAsセル160のバンドギャップと等しくされている。
また、接合層130を透過した光が、GaInPAsセル120のGa(x)InP(y)As層122とGa(x)InP(y)As層123に確実に到達するようにするために、GaInPAsセル120の窓層である[Al(x)Ga](y)InAs層124のバンドギャップを、GaAsセル160よりも大きい1.5eVに設定している。
従来より、ウエハ同士を接合する接合層としてInP層(1.35eV)が用いられている。
ここで、例えば、従来の化合物半導体太陽電池と同様に、接合層130としてInP層を用いると、InPのバンドギャップは、1.35eVであるため、GaAsセル160(1.42eV)を透過した太陽光の一部を吸収してしまう。
このように、GaAsセル160(1.42eV)を透過した太陽光の一部をInP層で吸収してしまうと、エネルギー損失が生じるため、化合物半導体太陽電池の効率の低下の一因となる。
これに対して、実施の形態1の化合物半導体太陽電池100では、このようなエネルギー損失の発生を抑制するために、GaAsセル160、トンネル接合層150、接合層140のバンドギャップ以上のバンドギャップを有するGa(x)InP層を接合層130として用いている。
このため、実施の形態1によれば、高効率化を図った化合物半導体太陽電池100、及び、化合物半導体太陽電池100の製造方法を提供することができる。
また、実施の形態1の化合物半導体太陽電池100では、接合層130のバンドギャップを上述のように設定することに加えて、GaInPAsセル120の窓層である[Al(x)Ga](y)InAs層124のバンドギャップを、GaAsセル160よりも大きい1.5eVに設定している。
このことによっても、化合物半導体太陽電池100は、高効率化が図られている。
なお、以上では、トンネル接合層150と接合層140のバンドギャップが、GaAsセル160のバンドギャップ(1.42eV)と等しい形態について説明した。しかしながら、トンネル接合層150と接合層140のバンドギャップは、GaAsセル160のバンドギャップ(1.42eV)より大きくてもよい。
このような場合には、Ga(x)InP層を接合層130のバンドギャップは、GaAsセル160のバンドギャップ(1.42eV)以上であればよい。
トンネル接合層150と接合層140のバンドギャップがGaAsセル160のバンドギャップ(1.42eV)より大きい場合には、GaAsセル160を透過した光は、トンネル接合層150と接合層140では吸収されずに、Ga(x)InP層で構成される接合層130に導かれる。
このため、Ga(x)InP層から構成される接合層130のバンドギャップが、GaAsセル160のバンドギャップ(1.42eV)以上であれば、Ga(x)InP層を接合層130での光吸収は生じず、GaAsセル160、トンネル接合層150、及び接合層140を透過した光を効率的にGaInPAsセル120に誘導できるからである。
また、引っ張り歪を有するGaInP層(接合層130)は、格子緩和が起こる厚さよりも薄く形成している。
また、GaAsセル160(1.42eV)と同等以上のバンドギャップを有し、InP基板110に成長できる材料としては、引っ張り歪を有するGaInP以外に、格子整合可能な材料としてGaPSbがある。
このため、接合層130として、上述したGaInP層の代わりに、GaPSb層を用いてもよい。この場合は、GaPSb層がGaAsセル160(1.42eV)と同等以上のバンドギャップを有するように、組成を調節すればよい。
また、Al(Ga)InAs、Al(Ga)AsSb、Al(Ga)PSb、Al(In)PSb等も、GaAsセル160(1.42eV)と同等以上のバンドギャップとなる組成が存在し、InP基板110に成長できる材料である。
このため、GaInPAsセル120の窓層である[Al(x)Ga](y)InAs層124の代わりに、Al(Ga)InAs、Al(Ga)AsSb、Al(Ga)PSb、Al(In)PSb等で作製した薄膜層を用いてもよい。
この場合は、[Al(x)Ga](y)InAs層124の代わりに、Al(Ga)InAs、Al(Ga)AsSb、Al(Ga)PSb、Al(In)PSb等の薄膜層が、GaAsセル160(1.42eV)と同等以上のバンドギャップを有するように、組成を調節すればよい。
なお、Al(Ga)InAs、Al(Ga)AsSb、Al(Ga)PSbは、それぞれ、Gaを含む組成とGaを含まない組成との両方を包含するため、(Ga)と表記したものである。すなわち、Al(Ga)InAsは、AlGaInAsとAlInAsとを含む表記である。また、Al(Ga)AsSbは、AlGaAsSbとAlAsSbとを含む表記である。また、Al(Ga)PSbは、AlGaPSbとAlPSbとを含む表記である。
また、Al(In)PSbは、Inを含む組成と、Inを含まない組成の両方を包含するため、(In)と表記したものである。すなわち、Al(In)PSbは、AlInPSbとAlPSbとを含む表記である。
実施の形態1の化合物半導体太陽電池100のような3接合太陽電池については、例えば、応用物理79巻5号, 2010, P.436に、3つのセルのバンドギャップとしては、1.9eV/1.42eV/1.0eVの組み合わせや、1.7eV/1.2eV/0.67eVの組み合わせが、当該文献における現状の3接合セル(1.88eV/1.4eV/0.67eV)より好ましいことが記載されている。
しかしながら、これらのようなバンドギャップの組み合わせを一つの格子定数で実現することは困難である。
この点において、実施の形態1によれば、2つの格子定数のセル(積層体100Aと100B(図2(A)参照)を直接接合法により接合することによって化合物半導体太陽電池100を作製するので、異なる格子定数のセル同士を含む化合物半導体太陽電池100を容易に実現することができる。
なお、以上では、InP基板10及びGaAs基板20の上にMOCVD法で各セル等を形成する形態について説明したが、各セル等は、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法で形成してもよい。
また、以上では、InP基板10及びGaAs基板20をそれぞれ用いた積層体100B及び100Aを用いて化合物半導体太陽電池100を作製する形態について説明したが、InP基板10及びGaAs基板20の組み合わせ以外を用いてもよい。
例えば、Ge基板とInP基板、GaSb基板とGaAs基板、GaSb基板とGe基板、Si基板とGe基板、又は、Si基板とGaAs基板等の組み合わせでも、同様に積層体100B及び100Aを作製することができる。
また、以上では、積層体100Aと100Bを直接的に接合する形態について説明したが、図4に示すように、機械的に接合してもよい。
また、以上では、InP格子整合系材料セルとしてGaInPAsセル120を用いる形態について説明したが、InP格子整合系材料セルはGaInPAsセル120に限定されず、GaIn(P)Asで表されるセルを用いることができる。
GaIn(P)Asは、Pを含む組成とPを含まない組成との両方を包含するため、(P)と表記したものである。すなわち、GaIn(P)Asは、GaInPAsとGaInAsとを含む表記である。このため、GaInPAsセル120の代わりに、GaInAsセルを用いてもよい。
また、以上では、GaAs格子整合系材料セルとしてGaInPセル180を用いる形態について説明したが、GaAs格子整合系材料セルはGaInPセル180に限定されず、(Al)GaInP(As)で表されるセルを用いることができる。
(Al)GaInP(As)は、Alを含む組成とAlを含まない組成との両方を包含し、また、Asを含む組成とAsを含まない組成との両方を包含する。このため、(Al)、(As)と表記したものである。すなわち、(Al)GaInP(As)は、AlGaInPと、GaInPAsと、GaInPとを含む表記である。このため、GaInPセル180の代わりに、AlGaInPセル又はGaInPAsセルを用いてもよい。
図4は、実施の形態1の第1変形例による化合物半導体太陽電池101を示す断面図である。
実施の形態1の第1変形例による化合物半導体太陽電池101は、図1に示す接合層130と140との間を、機械的に接合したものである。
図4に示す化合物半導体太陽電池101では、接合層130と140との間は、固定部材102によって接合されている。固定部材102としては、例えば、パラジウムナノパーティクルアレイ(Pd Nanoparticle Array)を用いることができる。
パラジウムナノパーティクルアレイは、ブロック共重合体の相分離配列を利用して導電性ナノ粒子を接合界面に自己配列させるものである。Pd、Au、Pt、Ag等のナノ配列が可能である。ブロック共重合体の希釈液をスピンコートし、ブロック共重合体を自己配列させ、Pd2+(パラジウム)のようなメタルイオンを含んだ水溶液にさらすことで、ブロック共重合体にメタルイオンが選択的に形成される。そして、Ar(アルゴン)プラズマを照射することで、ブロック共重合体テンプレートが除去され、自己配列したナノパーティクルアレイが形成される。ナノパーティクルのない部分を光が透過する。パラジウムナノパーティクルアレイを用いることにより、GaAsセル160を透過した光を効率的にGaInPAsセル120に誘導することができる。
接合層130又は140にパラジウムナノパーティクルアレイを形成した状態で、接合層130と140を接合することにより、化合物半導体太陽電池101を作製することができる。
固定部材102は、固定部の一例である。このように、固定部材102を用いて、2つの積層体を機械的に重ね合わせる接合方法をメカニカルスタックという。
なお、固定部材102は、パラジウムナノパーティクルアレイに限らず、他の金属(例えば、Au(金))を含むナノパーティクルアレイであってもよく、その他の機械的な手段であってもよい。
また、化合物半導体太陽電池101は、図1に示す接合層130、140の代わりに、表面層130A、140Aを含む。表面層130A、140Aは、それぞれ、図1に示す接合層130、140と同様であるが、互いに接続されないため、図4では表面層130A、140Aと称す。
このように、化合物半導体太陽電池101では、接合層130と140との間を固定部材102によって接合しているので、GaAsセル160と接合層140の間にトンネル接合層150(図1参照)は不要になり、接合層140の上にGaAsセル160を直接接合している。
以上のように、GaInPAsセル120を含む積層体と、GaAsセル160及びGaInPセル180を含む積層体とは、メカニカルスタックによって接合してもよい。
また、実施の形態1の化合物半導体太陽電池100は、図5に示すように変形することができる。
図5は、実施の形態1の第2変形例による化合物半導体太陽電池103を示す断面図である。
実施の形態1の第2変形例による化合物半導体太陽電池103は、電極10、InP基板110、GaInPAsセル120、接合層130、トンネル接合層150A、GaAsセル160、トンネル接合層170、GaInPセル180、コンタクト層40A、及び電極50を含む。
化合物半導体太陽電池103は、図1に示す実施の形態1の化合物半導体太陽電池100から、接合層140とn+型のGaAs層151とを取り除き、接合層130とp+型のGaAs層152とを直接的に接合した構成を有する。図5に示すトンネル接合層150Aは、図1に示すp+型のGaAs層152と同様である。このような化合物半導体太陽電池103では、接合層130とトンネル接合層150Aとでトンネル接合が形成される。
図1に示す実施の形態1の化合物半導体太陽電池100では、トンネル接合層150と接合層140のバンドギャップがGaAsセル160のバンドギャップ(1.42eV)と同等以上の場合には、GaAsセル160を透過した光はトンネル接合層150と接合層140では吸収されずに、GaInP層で構成される接合層130に導かれる。
しかしながら、GaAsセル160で吸収可能な波長であっても、トンネル接合層150よりも入射側の吸収層であるGaAsセル160の厚さが薄く、GaAsセル160で入射光を十分に吸収できない場合は、GaAsセル160を透過した光が、トンネル接合層150と接合層140で吸収されることにより、効率に悪影響が生じる。
また、多接合太陽電池のように複数のセルを有する場合は、各セルで取り出し可能な電流値を同じにするために、いずれかのセルをあえて薄くすることによって吸収可能な波長の光を透過させ、入射側から見て奥側に位置するセルで吸収させる場合がある。また、多接合太陽電池の全体での厚さをできるだけ薄くすることが望ましい。
従って、図1に示す接合層140とn+型のGaAs層151とを取り除いて図5に示すように接合層130とトンネル接合層150Aとのトンネル接合を形成することにより、図1に示す化合物半導体太陽電池100よりも、光の吸収を抑えるとともに、薄型化を図った化合物半導体太陽電池103を提供することができる。
<実施の形態2>
実施の形態1では、GaInPセル180、GaAsセル160、及びGaInPAsセル120によって構成される3接合型の化合物半導体太陽電池100を作製した。3つの光電変換セルのバンドギャップの組み合わせは、1.9eV/1.42eV/1.0eVであった。
実施の形態2では、GaInPセル180、GaAsセル160、及びGaInPAsセル120に、GaInAsセル(0.75eV)を加えることにより、4接合型の化合物半導体太陽電池200を提供する。4つの光電変換セルのバンドギャップの組み合わせは、1.9eV/1.42eV/1.0eV/0.75eVである。
図6は、実施の形態2の化合物半導体太陽電池200を示す断面図である。以下、実施の形態1の化合物半導体太陽電池100と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
化合物半導体太陽電池200は、電極10、InP基板110、GaInAsセル210、トンネル接合層220、GaInPAsセル120、接合層130、接合層140、トンネル接合層150、GaAsセル160、トンネル接合層170、GaInPセル180、コンタクト層40A、及び電極50を含む。なお、GaInAsセル210は、InP系の光電変換セルである。
実施の形態2の化合物半導体太陽電池200は、GaInAsセル210(0.75eV)、GaInPAsセル120(1.0eV)、GaAsセル160(1.42eV)、GaInPセル180(1.9eV)を直列接続した4接合型太陽電池である。
ここで、GaInAsセル210とGaInPAsセル120は、第1化合物半導体材料で作製される複数の第1光電変換セルの一例である。
図6において、光の入射方向は、図中上から下に向かう方向(GaInPセル180からGaInAsセル210に向かう方向)である。
IEEEの文献(Proceedings of the 28th IEEE Photovoltaic Specialists Conference (2009) pp.1090-1093.)によれば、4接合太陽電池では、およそ1.9eV/1.4eV/1.0eV/0.7eVの組み合わせのバンドギャップバランスが好ましいことが記載されている。
化合物半導体太陽電池200は、実施の形態1の化合物半導体太陽電池100の基板110とGaInPAsセル120との間に、GaInAsセル210とトンネル接合層220を挿入した構成である。
GaInAsセル210は、p型のInP層211、p型のGa(x)InAs層212、n型のGa(x)InAs層213、及びn型のInP層214を含む。InP層211はBSF層であり、InP層214は窓層である。
ここで、GaInAsセル210は、InP層211とInP層214を含まずに、p型のGa(x)InAs層212と、n型のGa(x)InAs層213とによって構成されているものとして捉えてもよい。この場合は、p型のGa(x)InAs層212と、n型のGa(x)InAs層213とによって構成されるGaInAsセル210の入射側にInP層214(窓層)が形成され、光の入射方向における奥側にInP層211(BSF層)が形成されているものとして取り扱えばよい。
p型のGa(x)InAs層212と、n型のGa(x)InAs層213とのバンドギャップは、0.75eVである。
トンネル接合層220は、GaInPAsセル120とGaInAsセル210との間に形成されている。トンネル接合層220は、n+型のInP層221と、p+型のAl(x)InAs層222とを含む。
InP層221の導電型をn+型にする不純物としては、例えば、Si(シリコン)を用いることができ、Al(x)InAs層222の導電型をp+型にする不純物としては、例えば、C(炭素)を用いることができる。n+型のInP層221と、p+型のAl(x)InAs層222とは、高濃度にドーピングされた薄いpn接合を構成する。
トンネル接合層220のInP層221とAl(x)InAs層222とは、ともにGaInPAsセル120よりも高濃度にドーピングされている。トンネル接合層220は、GaInPAsセル120のp型のGa(x)InP(y)As層122と、GaInAsセル210のn型のGa(x)InAs層213との間を(トンネル接合により)電流が流れるようにするために設けられる接合層である。
実施の形態2の化合物半導体太陽電池200は、GaInPセル180、GaAsセル160、GaInPAsセル120、及びGaInAsセル210の4つの光電変換セルにより、1.9eV/1.42eV/1.0eV/0.75eVというバンドギャップの組み合わせを有する。
このため、実施の形態2によれば、実施の形態1の化合物半導体太陽電池100よりも、さらにエネルギー変換効率の高い化合物半導体太陽電池200を提供することができる。
なお、実施の形態1の第2変形例と同様に、接合層140とn+型のGaAs層151とを取り除いて接合層130とp+型のGaAs層152とのトンネル接合を形成することにより、図6に示す化合物半導体太陽電池200よりも、光の吸収を抑えるとともに、薄型化を図ってもよい。
<実施の形態3>
図7は、実施の形態3の化合物半導体太陽電池300を示す断面図である。
実施の形態3の化合物半導体太陽電池300は、実施の形態1の化合物半導体太陽電池100(図1参照)のGaAsセル160(1.42eV)を、1.5%のIn組成を有し、0.1%の歪を有するGaInAsセル360(1.40eV)に置き換えたものである。
また、実施の形態3の化合物半導体太陽電池300は、実施の形態1の化合物半導体太陽電池100(図1参照)の接合層130と[Al(x)Ga](y)InAs層124を、それぞれ、接合層330とGa(x)InP層324に置き換えたものである。
実施の形態3の化合物半導体太陽電池300は、電極10、InP基板110、GaInPAsセル320、接合層330、接合層140、トンネル接合層150、GaInAsセル360、トンネル接合層170、GaInPセル180、コンタクト層40A、及び電極50を含む。
ここで、GaInPAsセル320は、InP系の光電変換セルであり、GaInAsセル360は、GaAs系の光電変換セルである。
GaInPAsセル320は、InP層121、Ga(x)InP(y)As層122、Ga(x)InP(y)As層123、及びGa(x)InP層324を含む。すなわち、GaInPAsセル320は、実施の形態1のGaInPAsセル120(図1参照)の[Al(x)Ga](y)InAs層124を、Ga(x)InP層324に置き換えたものである。Ga(x)InP層324のバンドギャップは、1.40eVである。
接合層330は、7%のGa組成を有し、0.5%の引っ張り歪を有するGaInP層で構成され、バンドギャップは1.40eVである。すなわち、接合層330は、実施の形態1の接合層130(Ga組成:10%)よりも、Ga組成を低減したものである。
GaInAsセル360は、p型のGa(x)InP層161、p型のGa(x)InAs362、n型のGa(x)InAs363、及びn型の[Al(x)Ga](y)InP層164を含む。
すなわち、GaInAsセル360は、実施の形態1のGaAsセル160(図1参照)のうちの光電変換を行うpn層を、1.5%のIn組成を有し、0.1%の歪を有する、バンドギャップが1.40eVのGa(x)InAs362及びGa(x)InAs363に置き換えたものである。
GaInAsセル360は、GaAs基板20に対する歪として0.1%程度であれば吸収層として十分な厚さを成長することができる。
実施の形態3の化合物半導体太陽電池300では、InP基板110の上に形成するGaInPAsセル320の窓層として、バンドギャップが1.4eVのGa(x)InP層324を形成し、さらにその上の接合層330として、バンドギャップが1.40eVのGaInP接合層を形成している。
この接合層330として用いるGaInP接合層は、7%のGa組成を有し、0.5%の引っ張り歪を有する、バンドギャップが1.40eVのGaInP接合層である。接合層330のバンドギャップ(1.40eV)は、接合層330に光入射側において隣接する光電変換セルであるGaInAsセル360のバンドギャップ(1.40eV)以上になるように設定されている。
すなわち、接合層330として用いるGa(x)InP層は、光の入射方向において自己よりも入射側(上流側)において隣接する光電変換セルであるGaInAsセル360で吸収されずに透過した光を吸収することなく、自己よりも光の入射方向において奥側のGaInPAsセル320に誘導するために、上述のようなバンドギャップを有する。
また、トンネル接合層150と接合層140のバンドギャップは、GaInAsセル360のバンドギャップ(1.40eV)よりも大きい1.42eVである。
また、接合層330を透過した光が、GaInPAsセル320のGa(x)InP(y)As層122とGa(x)InP(y)As層123に確実に到達するようにするために、GaInPAsセル320の窓層であるGa(x)InP層324のバンドギャップを、GaInAsセル360のバンドギャップと等しい1.40eVに設定している。
従来より、ウエハ同士を接合する接合層としてInP層(1.35eV)が用いられている。
ここで、例えば、従来の化合物半導体太陽電池と同様に、接合層330としてInP層を用いると、InPのバンドギャップは、1.35eVであるため、GaInAsセル360(1.40eV)を透過した太陽光の一部を吸収してしまう。
このように、GaInAsセル360(1.40eV)を透過した太陽光の一部をInP層で吸収してしまうと、エネルギー損失が生じるため、化合物半導体太陽電池の効率の低下の一因となる。
これに対して、実施の形態3の化合物半導体太陽電池300では、このようなエネルギー損失の発生を抑制するために、GaInAsセル360のバンドギャップと等しいバンドギャップを有するGa(x)InP層を接合層330として用いている。
このため、実施の形態3によれば、高効率化を図った化合物半導体太陽電池300、及び、化合物半導体太陽電池300の製造方法を提供することができる。
また、実施の形態3の化合物半導体太陽電池300では、接合層330のバンドギャップを上述のように設定することに加えて、GaInPAsセル320の窓層であるGaInP層324のバンドギャップを、GaInAsセル360と等しい1.40eVに設定している。
このことによっても、化合物半導体太陽電池300は、高効率化が図られている。
なお、実施の形態1の第2変形例と同様に、接合層140とn+型のGaAs層151とを取り除いて接合層130とp+型のGaAs層152とのトンネル接合を形成することにより、図7に示す化合物半導体太陽電池300よりも、光の吸収を抑えるとともに、薄型化を図ってもよい。
また、実施の形態3では、バンドギャップの大きい側のセルとして、GaAs基板20の上にGaAs格子整合系の材料を成長した場合について説明したが、GaAs基板20の代わりにGe(ゲルマニウム)基板を用い、Ge基板の上にGe(ゲルマニウム)格子整合系の材料を成長して用いてもよい。
この場合、GeはGaAsより格子定数がわずかに大きいが、格子整合できるように、GaAs基板上に形成する材料に対して組成等を多少変更すればよい。特にGeに格子整合するGaInAsのIn組成は1%程度であるため、実施の形態3のIn組成が1.5%のGaInAsセル360は、GaAs基板20よりもGe基板の方が結晶成長しやすい。
<実施の形態4>
図8は、実施の形態4の化合物半導体太陽電池400を示す断面図である。
実施の形態4の化合物半導体太陽電池400は、実施の形態3の化合物半導体太陽電池300のInP基板110とGaInPAsセル320との間に、GaInAsセル210とトンネル接合層220を挿入することにより、4接合太陽電池にしたものである。
これは、実施の形態1の化合物半導体太陽電池100のInP基板110とGaInPAsセル120との間に、GaInAsセル210とトンネル接合層220を挿入することにより、実施の形態2の4接合型の化合物半導体太陽電池200を作製したことと同様の関係である。
以下、実施の形態1乃至3と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
化合物半導体太陽電池400は、化合物半導体太陽電池300は、電極10、InP基板110、GaInAsセル210、トンネル接合層220、GaInPAsセル320、接合層330、接合層140、トンネル接合層150、GaInAsセル360、トンネル接合層170、GaInPセル180、コンタクト層40A、及び電極50を含む。
4つの光電変換セルであるGaInPセル180、GaInAsセル360、GaInPAsセル320、及びGaInAsセル210のバンドギャップの組み合わせは、1.9eV/1.40eV/1.0eV/0.75eVである。
実施の形態4の化合物半導体太陽電池400は、GaInAsセル210(0.75eV)、GaInPAsセル320(1.0eV)、GaInAsセル360(1.40eV)、GaInPセル180(1.9eV)を直列接続した4接合型太陽電池である。
図8において、光の入射方向は、図中上から下に向かう方向(GaInPセル180からGaInAsセル210に向かう方向)である。
実施の形態4の化合物半導体太陽電池400は、GaInPセル180、GaInAsセル360、GaInPAsセル320、及びGaInAsセル210の4つの光電変換セルにより、1.9eV/1.40eV/1.0eV/0.75eVというバンドギャップの組み合わせを有する。
このため、実施の形態4によれば、実施の形態3の化合物半導体太陽電池300よりも、さらにエネルギー変換効率の高い化合物半導体太陽電池400を提供することができる。
なお、実施の形態1の第2変形例と同様に、接合層140とn+型のGaAs層151とを取り除いて接合層130とp+型のGaAs層152とのトンネル接合を形成することにより、図8に示す化合物半導体太陽電池400よりも、光の吸収を抑えるとともに、薄型化を図ってもよい。
また、実施の形態4では、バンドギャップの大きい側のセルとして、GaAs基板20の上にGaAs格子整合系の材料を成長した場合について説明したが、GaAs基板20の代わりにGe(ゲルマニウム)基板を用い、Ge基板の上にGe(ゲルマニウム)格子整合系の材料を成長して用いてもよい。
この場合、GeはGaAsより格子定数がわずかに大きいが、格子整合できるように、GaAs基板上に形成する材料に対して組成等を多少変更すればよい。特にGeに格子整合するGaInAsのIn組成は1%程度であるため、実施の形態4のIn組成が1.5%のGaInAsセル360は、GaAs基板20よりもGe基板の方が結晶成長しやすい。
以上、本発明の例示的な実施の形態の化合物半導体太陽電池、及び、化合物半導体太陽電池の製造方法について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。