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JP6446907B2 - 食中毒原因菌を分離検出する方法 - Google Patents
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Description

本発明は、核酸増幅の分野に関する。さらに詳しくは、食中毒原因菌であるサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の分離検出方法に関する。
食中毒を予防する上で、食中毒原因菌の保菌者を早期に発見することは重要である。そのため、食品調理従事者に対しては、食中毒原因菌であるサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の検査が行われている。
従来、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の検査は、塗沫培養法により行われてきた。具体的には、検体を所定条件下において培養してある程度まで増殖させた後、検出したい細菌類のみが増殖し得るような選択培地中で培養を行い、増殖によってできたコロニーを観察することによって検出するという方法である。
しかしながら、このような従来の方法では、(1)培養工程を経るため、結果が得られるまでに時間がかかる点、(2)検出感度が低い点、及び(3)コロニーの観察結果に基づいて客観的な判定を下すのは難しいため、検出結果の客観性を担保するのが難しい点等の問題点があった。
そこで、これら検出方法の問題点を解決するためにPCR法を用いた検出方法が開発されてきた。そのひとつが、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌をそれぞれ個別に増幅し、電気泳動あるいは、蛍光インターカレーターを用いた融解曲線解析により検出する方法である(非特許文献1)。この方法では、3菌種をそれぞれ個別に検出することが可能であったが、3回に分けてPCRを実施する必要性がある。
そこで簡便性をより向上させるべく開発された方法が、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種をマルチプレックスPCR法により増幅する方法であり、マルチプレックスPCR法にて増幅した増幅産物を検出する方法として、電気泳動により検出する方法(非特許文献2)と蛍光インターカレーターを用いた融解曲線解析により検出する方法(非特許文献3)の2種類が報告されている。これらマルチプレックスPCRにより3菌種を同時に検出することが可能となったため、簡便性が大幅に改善された。
しかしながら、電気泳動を用いた検出方法では、増幅したサンプルのチューブを一度開け、電気泳動をする必要性があるため、迅速性に欠ける。また、融解曲線解析による検出する方法は3菌種の分離検出ができないため、3菌種の同定ができない点に問題がある。以上のように、操作が簡便・迅速であることに加え、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種を分離検出が可能な方法は存在せず、これらの点でさらなる改善の余地が残されている。
TaKaRa BIO VIEW 55号 48頁 (2008年) 日本食品微生物学会雑誌:29(2), 101−107,2012 感染症学雑誌86:741−748,2012
食中毒原因菌であるサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌を簡便かつ迅速に検出することが重要であることに加え、3菌種のどの菌を保菌しているかを同定することは、食中毒の予防、保菌者のその後の対応を決める上で重要となる。そのため、本発明が解決しようとする課題は、簡便かつ迅速に検出が可能であることに加え、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種を分離検出が可能な方法を提供することである。
本発明者は、上記事情を鑑み、鋭意研究の結果、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種をマルチプレックスPCRにより増幅させた後、蛍光インターカレーターを用いた融解曲線解析において、3菌種をTm値の違いによって分離検出する方法を開発することで本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
[1]サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)および赤痢菌の3菌種が存在するかを検出する方法であって、かつ、前記3菌種を区別して検出する方法であって、次の(1)および(2)の工程を含む検出方法。
(1)前記3菌種をターゲットとするマルチプレックスPCRを行った後、得られた増幅産物を融解曲線解析によって検出する工程。
(2)融解曲線分析において、3菌種を増幅産物のTm値の違いによって分離検出する工程。
[2]工程(2)において、前記3菌種のいずれの増幅産物とも異なるTm値を与えるインターナルコントロール(内部標準)を含む、[1]に記載の検出方法。
[3]検査対象が便検体である、[1]または[2]に記載の検出方法。
[4]検査対象がゲノムDNAの分離精製を行っていない便検体である、[3]に記載の検出方法。
[5]検査対象がX種(Xは2以上の整数を示す。)の便から採取された便検体のプール検体である、[3]または[4]に記載の検出方法。
[6]前記Xが20以上である、[5]に記載の検出方法。
[7]工程(1)において、前記3菌種の増幅産物のTm値が互いに1℃以上離れるように設計された3組のプライマーペアをプライマーセットとしてマルチプレックスPCRを行う、[1]から[6]のいずれかに記載の検出方法。
[8]少なくともひとつのプライマーペアが、以下の(a)から(q)のいずれかに記載されている塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペア、または、前記の(a)から(q)のいずれかに記載されている塩基配列に対応する相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペアから選択される、[7]に記載の検出方法。
(a)「配列番号1のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号2のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号3のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
(b)「配列番号1のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号2のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号4のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
(c)「配列番号1のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号2のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号5のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号6のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種
(d)「配列番号7のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号8のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号5のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号6のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種
(e)「配列番号9のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号10のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号11のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号12のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種
(f)「配列番号13のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号14のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号15のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号16のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種
(g)「配列番号17のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号18のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号15のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号16のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種
(h)「配列番号13のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号14のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号19のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号20のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種
(i)「配列番号21のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号22のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
(j)「配列番号23のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号22のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
(k)「配列番号24のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号22のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
(l)「配列番号21のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号25のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
(m)「配列番号26のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号25のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
(n)「配列番号27のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号28のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
(o)「配列番号29のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号30のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
(p)「配列番号31のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号30のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
(q)「配列番号32のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号33のうち15塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
[9]プライマーセットが、以下の(I)から(III)の3群の中からそれぞれ1つずつ選択される3つのプライマーペアの組合せである、[7]または[8]に記載の検出方法。
(I)前記の(a)から(d)のいずれかに記載されている塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペア、または、前記の(a)から(d)のいずれかに記載されている塩基配列に対応する相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペアから選択される、サルモネラ増幅用プライマーペア
(II)前記の(e)から(h)のいずれかに記載されている塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペア、または、前記の(e)から(h)のいずれかに記載されている塩基配列に対応する相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペアから選択される、腸管出血性大腸菌(EHEC)増幅用プライマーペア
(III)前記の(i)から(q)のいずれかに記載されている塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペア、または、前記の(i)から(q)のいずれかに記載されている塩基配列に対応する相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペアから選択される、赤痢菌増幅用プライマーペア
[10]インターナルコントロール(内部標準)のTm値がサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌のいずれの増幅産物のTm値よりも高温である、[2]から[9]のいずれかに記載の検出方法。
[11]インターナルコントロール(内部標準)のTm値がサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌のいずれの増幅産物のTm値よりも低温である、[2]から[9]のいずれかに記載の検出方法。
[12]下記の(A)〜(D)を含む、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)および赤痢菌の3菌種が存在するかを検出し、かつ、前記3菌種を区別して検出するための試薬。
(A)耐熱性DNAポリメラーゼ
(B)[7]−[9]のいずれかに記載のプライマーセット
(C)DNA合成基質(デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP))、および、
(D)マグネシウムイオン、アンモニウムイオンおよびカリウムイオンからなる群のうち1種以上を含む緩衝液
[13]さらに下記の(E)を含む、[12]に記載の試薬。
(E)蛍光インターカレーター
本発明により、電気泳動することなく、融解曲線解析によってサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種を分離検出することが可能となった。これにより、従来よりも、迅速にサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の保菌の有無を検査することができ、さらにこれら3菌種の同定も可能であるため、食中毒原因菌の早期発見、食中毒原因菌の特定につなげることができる。
陰性糞便にサルモネラ、腸管出血性大腸菌O157、赤痢菌のゲノムDNAをスパイクして、3菌種を分離検出した結果の図である。(その1/4) 陰性糞便にサルモネラ、腸管出血性大腸菌O157、赤痢菌のゲノムDNAをスパイクして、3菌種を分離検出した結果の図である。(その2/4) 陰性糞便にサルモネラ、腸管出血性大腸菌O157、赤痢菌のゲノムDNAをスパイクして、3菌種を分離検出した結果の図である。(その3/4) 陰性糞便にサルモネラ、腸管出血性大腸菌O157、赤痢菌のゲノムDNAをスパイクして、3菌種を分離検出した結果の図である。(その4/4) サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の陽性実検体と、糞便非存在下でサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌のゲノムDNAの3菌種を分離検出した結果の図である。 サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の陽性実検体が1検体含むプール糞便をそれぞれ検査対象とし、3菌種を分離検出した結果の図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明はサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌をマルチプレックスPCRにて増幅し、融解曲線解析のTm値によって、これら3菌種を分離検出することに特徴がある。
本発明の実施形態のひとつは、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)および赤痢菌の3菌種が存在するかを検出する方法であり、かつ、前記3菌種を区別して検出する方法であって、次の(1)および(2)の工程を含む検出方法である。(以下、本明細書では、複数の菌種が存在するかを検出し、かつ、複数の菌種を区別して検出することを、「分離検出」とも呼ぶ。)
(1)前記3菌種をターゲットとするマルチプレックスPCRを行った後、得られた増幅産物を融解曲線解析によって検出する工程。
(2)融解曲線分析において、3菌種を増幅産物のTm値の違いによって分離検出する工程。
「マルチプレックスPCR」とは、同時に複数のターゲットを増幅することが可能な方法であり、複数のターゲットに対するプライマーセットをすべて混合し、PCRを行うことで実施される。すなわち本発明におけるマルチプレックスPCRとは、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌のそれぞれを増幅するためのプライマーをすべて混合し、ひとつの液でPCRを行うことである。
本発明の特徴は、マルチプレックスPCR後の融解曲線解析において、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌のそれぞれの増幅産物が異なるTm値を与えることで、分離検出が可能になったという点である。融解曲線解析におけるTm値とは、プライマーセットによって増幅した2本鎖DNAの50%が、1本鎖になる温度である。すなわち、Tm値を決定する要因は増幅産物の2本鎖の結合の強さに依存しており、GC含量や、増幅長等によって左右されるため、増幅するターゲットによってTm値を変えることが可能である。
本発明においてサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種を増幅するためのプライマーセットは、3菌種のTm値に差異が生じるように設計すればよく、より好ましくは、互いのTm値にそれぞれ1℃以上、より好ましくは2℃以上、より好ましくは、3℃以上の差異が生じるようにプライマーを設計すればよい。この各増幅産物のTm値は、各リアルタイムPCR装置、解析ソフトウェアにより求められる。
プライマーについては、3菌種でTm値に差異が生じるように設計する以外は限定されないが、増幅されるDNA断片の長さは、例えば20〜1000塩基、より好ましくは50〜700塩基、さらに好ましくは100〜500塩基が挙げられる。さらに、本発明におけるプライマーの長さとしては、好ましくは13〜35塩基であり、より好ましくは16塩基以上であり、また、30塩基以下が好ましい。
また本発明に使用するプライマーセットは、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌のいずれの群も検出できるようにするために、多くの群に共通の遺伝子を増幅しうるプライマーセットを用いることが好ましい。
例えば、サルモネラとしては2菌種(S. enterica、及びS. bongori)、6亜種、並びに血清型2501種が知られている。サルモネラを検出しようとする場合、細胞侵入性タンパク質invAの遺伝子を増幅しうるプライマーセットを用いることが好ましい。
例えば、O−157をはじめとする腸管出血性大腸菌(EHEC)としてはベロ毒素としてVT1、並びにVT2、VT2vha、VT2vhb、及びVT2vpが知られている。腸管出血性大腸菌(EHEC)を検出しようとする場合、VT1及びVT2の遺伝子をそれぞれ増幅しうるプライマーセットを用いることが好ましい。
例えば、赤痢菌としてはA〜D群(A群として13種血清型;B群として6種血清型;C群として18種血清型;D1群として1種血清型)が知られている。赤痢菌を検出しようとする場合、病原性因子ipaHの遺伝子を増幅しうるプライマーセットを用いることが好ましい。
サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌のいずれの群も検出できるようにする方法として、複数のプライマーを使用することが可能である。例えば、腸管出血性大腸菌(EHEC)を増幅するために、VT1増幅用のプライマーセットとVT2増幅用のプライマーセットの計4本を腸管出血性大腸菌(EHEC)を増幅するためのプライマーセットとして使用することができる。
また、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌のいずれの群も検出できるようにするために縮重プライマーを使用することもできる。縮重プライマーを使用することで、いずれの群において可能性のある塩基配列をすべて含むようなプライマーを設計することが可能となる。
前記の条件を満たす、サルモネラを対象として増幅するためのプライマーペアとして、下記の(a)から(d)のいずれかに記載されている塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペアが挙げられる。
(a)配列番号1と配列番号2とからなる群のうち少なくとも1種、および、配列番号3
(b)配列番号1と配列番号2とからなる群のうち少なくとも1種、および、配列番号4
(c)配列番号1と配列番号2とからなる群のうち少なくとも1種、および、配列番号5と配列番号6とからなる群のうち少なくとも1種
(d)配列番号7と配列番号8とからなる群のうち少なくとも1種、および、配列番号5と配列番号6とからなる群のうち少なくとも1種
前記の条件を満たす腸管出血性大腸菌(EHEC)を対象として増幅するためのプライマーペアとして、下記の(e)から(h)のいずれかに記載されている塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペアが挙げられる。
(e)配列番号9と配列番号10とからなる群のうち少なくとも1種、および、配列番号11と配列番号12とからなる群のうち少なくとも1種
(f)配列番号13と配列番号14とからなる群のうち少なくとも1種、および、配列番号15と配列番号16とからなる群のうち少なくとも1種
(g)配列番号17と配列番号18とからなる群のうち少なくとも1種、および、配列番号15と配列番号16とからなる群のうち少なくとも1種
(h)配列番号13と配列番号14とからなる群のうち少なくとも1種、および、配列番号19と配列番号20とからなる群のうち少なくとも1種
前記の条件を満たす赤痢菌を対象として増幅するためのプライマーペアとして、下記の(i)〜(q)のいずれかに記載されている塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペアが挙げられる。
(i)配列番号21、および、配列番号22
(j)配列番号23、および、配列番号22
(k)配列番号24、および、配列番号22
(l)配列番号21、および、配列番号25
(m)配列番号26、および、配列番号25
(n)配列番号27、および、配列番号28
(o)配列番号29、および、配列番号30
(p)配列番号31、および、配列番号30
(q)配列番号32、および、配列番号33
前記の3菌種のそれぞれを対象として増幅するためのプライマーペアは、前記の(a)から(q)のいずれかに記載されている塩基配列に対応する相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペアから選択されるものであってもよい。
また、前記の3菌種のそれぞれを対象として増幅するためのプライマーペアは、その少なくとも一つが、前記の(a)から(q)のいずれかに記載されている塩基配列の一部分から構成されていてもよい。たとえば、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)および赤痢菌のうち少なくとも1組のプライマーペアにおいて、フォワードプライマーおよび/またはリバースプライマーが、各配列番号のうち15塩基以上、より好ましくは18 塩基以上からなるオリゴヌクレオチドから構成されていればよい。
別の言い方をすると、配列番号1から33に記載されている塩基配列のうち一番長いものは23塩基、一番短いものは16塩基であるが、前記のフォワードプライマーまたはリバースプライマーの長さは、各塩基配列で示される配列の全長を有することが最も好ましい。前記「塩基配列の一部分」については、全長が15塩基未満とならない範囲内であれば、その配列の連続性を維持する前提で、少なくともいずれかの末端を欠いてもよい。その場合の塩基配列の長さは、長いほうが好ましい。例えば配列番号1であれば15塩基以上であれば良いが、より好ましくは16塩基以上、より好ましくは17塩基以上、より好ましくは18塩基以上、より好ましくは19塩基以上、より好ましくは20塩基以上、より好ましくは21塩基以上、より好ましくは22塩基以上、最も好ましくは23塩基である。また、例えば配列番号23であれば15塩基以上であれば良いが、好ましくは16塩基である。
さらに、前記の3菌種のそれぞれを対象として増幅するためのプライマーペアは、前記のいずれかに記載されている塩基配列を含めば、いずれかの末端に数塩基が付加されていてもよい。いずれかの末端に塩基を付加することで、プライマーの全長が、18塩基以上となることが好ましく、より好ましくは、20塩基以上、より好ましくは、23塩基以上となることが好ましい。この場合、プライマー全長の上限は、35塩基であることが好ましく、さらに好ましくは32塩基、さらに好ましくは30塩基である。
本発明の3菌種の分離検出方法においては、少なくとも1菌種を対象とした増幅のために前記のプライマーペアのいずれかを用いることができる。サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種からひとつずつ選択される組み合わせを使用することがより好ましい。また、使用するプライマーは、変異に対応するために、配列番号1〜配列番号33に示す配列の数塩基の置換が含まれていてもよい。ここでいう数塩基とは、10塩基以下、より好ましくは5塩基以下、より好ましくは4塩基以下、より好ましくは3塩基以下、より好ましくは2塩基以下、より好ましくは1塩基以下である。
本発明に用いるプライマー濃度は限定されず、適宜調整すればよいが、ピークが高くなる増幅産物を与えるプライマー比を下げ、ピークのバランスを揃えることが好ましい。また、必要であればプライマーの濃度を通常のPCRを行う場合よりも高濃度とする。
本発明では偽陰性発生を防止させるためにインターナルコントロール(内部標準)を含むことがより好ましい。陰性の場合、インターナルコントロール(内部標準)の増幅のみが認められ、PCRが成功したことを確認することができる。一方、PCRの阻害や試薬の添加忘れが発生した場合は、インターナルコントロール(内部標準)の増幅が認められないため、PCRが失敗したことが確認できる。
インターナルコントロール(内部標準)は、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種のTm値と異なれば、特に限定されない。インターナルコントロール(内部標準)のTm値は、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌のいずれの増幅産物とも異なるTm値を与えるものであればよく、たとえば3菌種すべてのTm値に対して、それより低温であっても、高温であってもよい。また、3菌種のいずれかの中間でもよい。
インターナルコントロール(内部標準)として、検査対象に含まれないターゲットとそのターゲットを増幅するためのプライマーセットを用いればよい。また、インターナルコントロール用にプライマーを別に添加せず、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌増幅用プライマーを用いて増幅した場合に3菌種とは異なるTm値を与えるテンプレートのみを添加し、インターナルコントロール(内部標準)としてもよい。
本発明の3菌種の分離検出方法において、マルチプレックスPCR反応時の組成は、Tm値の異なる増幅産物を与える特異的プライマー以外の組成成分は、特に限定されず、従来公知の成分が挙げられ、その割合も限定されるものではない。前記組成成分として、耐熱性DNAポリメラーゼ、DNA合成基質(たとえば、1種類以上のデオキシヌクレオチド三リン酸または、デオキシヌクレオチド三リン酸の誘導体)、緩衝剤、及び塩よりなる群のうち少なくとも1つを含有することが好ましい。
耐熱性DNAポリメラーゼは特に限定されず、従来公知の耐熱性細菌由来のポリメラーゼが使用できる。具体的には、ファミリーA(PolI型)に属するTaq DNAポリメラーゼやTth DNAポリメラーゼ、ファミリーB(α型)に属するKOD DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Pwo DNAポリメラーゼ、Ultima DNAポリメラーゼ、PrimeSTAR(登録商標) DNAポリメラーゼなどが挙げられる。耐熱性DNAポリメラーゼは、アミノ酸配列に1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠損、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有する変異体であってもよく、特に限定されない。
緩衝剤としては、例えば、トリス(TRIS)、トリシン(TRICINE)、ビス−トリシン(BIS−TRICINE)、へペス(HEPES)、モプス(MOPS)、テス(TES)、タプス(TAPS)、ピペス(PIPES)、及びキャプス(CAPS)などが挙げられるが、特に限定されない。
また、反応バッファー中には、1.0〜5mM、好ましくは1.5〜2.5mM程度の濃度でMg2+を含むことが好ましい。更には、KClを含んでいてもよい。
また、必要に応じて、界面活性剤を含んでいてもよい。
さらに、反応バッファー中には、アルブミン、グリセロール、ヘパリン、トレハロース、ベタイン等を含んでいてもよい。これらの添加割合は、PCR反応を阻害しない範囲で添加すればよい。
本発明は、融解曲線解析のTm値によって、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種を検出することに特徴がある。そのため、増幅産物の検出には、蛍光インターカレーターの添加が必要である。この蛍光インターカレーターの添加は、PCR反応液にあらかじめ添加してもよく、PCR後添加してもよいが、簡便さの観点からPCR反応液にあらかじめ添加しておくことが好ましい。
蛍光インターカレーターとは、二本鎖DNAに挿入(インターカレート)することによって、可逆的な、非共有結合的な様式で核酸と結合し、それによって核酸の存在および量を示す任意の分子を指す。一般に、インターカレーターは、二本鎖DNAに挿入して蛍光を発する色素である。
多数のインターカレーターが当技術分野で公知である。例えば、Ethidium bromide、シアニン色素(例えば、TOTO(登録商標)、YOYO(登録商標)、BOBOおよびPOPO)、SYBR(登録商標) Green I、SYBR(登録商標) Green ER、SYBR(登録商標) Green Gold、SYBR(登録商標) DX、PicoGreen(登録商標)、LCGreen(登録商標)、EvaGreen(登録商標)、SYTOX(登録商標) Green、ResoLight、ヨウ化プロピジウム、Acridine orange、7−アミノ−アクチノマイシン D、CyQUANT(登録商標) GR、SYTO(登録商標)9, SYTO(登録商標)10、SYTO(登録商標)13、SYTO(登録商標)14、SYTO(登録商標)82、FUN−1などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
本発明におけるサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌を分離検出するためには、融解曲線解析が可能な機器を使用する。融解曲線解析を実施可能な機器として、リアルタイムPCR機器が挙げられるが限定されるものではない。具体例としては、ロッシュ・ダイアグノスティック社のライトサイクラー(登録商標)、アプライドバイオシステム社のABI PRISM(登録商標)7000 / 7700、7500 / 7500 FAST リアルタイムPCRシステム、7900HT Fast リアルタイムPCRシステム、StepOne / StepOnePlusリアルタイムPCRシステム、キアゲン社のRotor Gene、タカラバイオ社のThermal Cycler Dice(登録商標) Real Time System、バイオ・ラッド社のMiniOpticon、CFX384 Touch、CFX96 Touch、アジレント・テクノロジー社のMx3000P、Mx3005P、Mx4000等が挙げられる。また、PCR反応については、上記のリアルタイムPCR機器を使用してもよいが、融解曲線解析と独立して、サーマルサイクラーを使用してもよい。
PCRにおける温度サイクルは、使用するプライマーに応じて適宜設定することができる。また、融解曲線解析については、取得するデータの温度範囲は、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌、インターナルコントロール(内部標準)を含む場合はインターナルコントロール(内部標準)のTm値の範囲内であればよく、温度上昇速度(データポイント数)等は、各リアルタイムPCR装置に適した条件を設定すればよい。
本発明の分離検出方法は、食中毒原因菌であるサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種を検出することが目的であるため、検査対象は特に限定されないが、保菌者を早期に発見の観点では、便検体を使用することが好ましい。たとえば、検便検体を使用することができる。検便検体とは、便から採取された便検体をいう。便検体の採取方法等は、特に限定されないが、例えば便の一部を掻き取ることによって得ることができる。検便検体は、検便のために採取されたものを用いることができる。
本発明において便検体は特に限定されない。例えば、哺乳類の便から採取された便検体が挙げられる。哺乳類としては、特に限定されないが、例えば、ヒト、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ等を挙げることができる。また、本発明が適用される便検体は、保存などの目的で、DNAの破壊が抑えられていることを前提に、希釈・濾過・その他の物理化学的処理が施されたものであってもよい。
本発明は、この便検体から抽出したゲノムDNAをテンプレートして増幅することができる。このゲノムDNAの分離精製は、限定されるものではないが、商業的に入手可能なMagExtractor −Genome−(TOYOBO)、NucleoSpin(登録商標)Tissue(タカラバイオ)、Wizard(登録商標) Genomic DNA Purification Kit(プロメガ)、FlexiGene DNA Kit(キアゲン)等を用いることができる。
本発明では前述の通り、抽出したゲノムDNAをテンプレートとして用いることができるが、検査の簡便性、迅速性の観点から、ゲノムDNAの分離精製を行っていない便検体を使用することが好ましい。例えば、便検体をそのまま懸濁させた溶液を熱処理、遠心分離後、上清をテンプレートとする方法が挙げられる。
さらに、多検体の検査が必要な場合は、便検体としてプール検体を用いることがより好ましい。本発明において、プール検体とは、X種(Xは2以上の整数を示す。)の便から採取された便検体からなるものである。
ここでいうX種の便とは、X種の個体が排泄したそれぞれの便であってもよいし、同一個体が排泄したX種の便であってもよい。Xについては、特に限定されないが、検出しようとするサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種の検出率(100個の便から採取された便検体のうち、1個の便検体においてその細菌類が検出されるとき、検出率が1%であるとする。)に基づいて最適な数を設定することができる。例えば便検体としてヒトの便から採取された便検体を用い、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の検出率が約0.05%であったとする。この場合、1000種の便から採取された検便検体からなるプール検体を用いて検出を行えば、これら3菌種が検出される確率は、1000(検体)×0.05%=50%となる。したがって、順次別々のプール検体を入れ替えて検出をすると、2回に1回の確率で3菌種が検出されることになる。同じ場合に、100種の便から採取された便検体からなるプール検体を用いて検出を行えば、20回に1回の確率で3菌種が検出されることになる。同じ場合に、10種の便から採取された便検体からなるプール検体を用いて検出を行えば、200回に1回の確率で3菌種が検出されることになる。順次別々のプール検体を入れ替えて検出をする場合、どの程度の確率でサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌が検出されれば作業を効率的に進めることができるかを考慮して、プール検体に含まれる便検体の種類を決定することができる。通常は、数十回に1回の確率で3菌種が検出されるようにするのが好ましい。そのため、好ましくは、Xが20以上、より好ましくは30以上であり、より好ましくは 40以上であり、より好ましくは50以上である。
PCRに用いる検便検体の添加割合は、適切にPCRが行われればよく特に限定されないが、例えば、1〜20v/v%の範囲内で適宜調整することができる。
本発明の実施形態のひとつは、以下の(A)〜(D)を含む、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)および赤痢菌の3菌種の分離検出試薬であり、さらに(E)を含む試薬であってもよい。
(A)耐熱性DNAポリメラーゼ
(B)サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)および赤痢菌の3菌種の増幅産物のTm値が互いに1℃以上離れるように設計された3組のプライマーペアからなるプライマーセット
(C)DNA合成基質(デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP))、および、
(D)マグネシウムイオン、アンモニウムイオンおよびカリウムイオンからなる群のうち1種以上を含む緩衝液
(E)蛍光インターカレーター
本発明の試薬の組成に関しては前記(B)を用いること以外には特に限定されない。たとえば、本発明の方法のところで説明・例示したとおりである。
また、本発明の試薬の形態に関しても特に限定されない。たとえば、キットの形態であってもよく、キットの形態は特に限定されない。
前記キットは、1つの組成物に上記で説明した分離検出方法を実施するために必要なすべての物質を含むものであっても良いし、2種類以上の複数の組成物を組合せたものであって、使用時に適宜混合することで分離検出方法を実施するための反応液を調製できるよう構成されているものであっても良い。その際に各組成物の構成は溶液であっても固形物(粉末、凍結乾燥品など)であっても良い。固形物の場合は使用時に精製水または予め調製された別の溶液組成物に溶解して調製できるよう構成されていれば良い。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1:サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の分離検出
サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種のTm値が異なるように配列番号1から配列番号33に示すプライマーを設計した。また、偽陽性を防ぐため、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種よりもTm値が高温になるインターナルコントロール増幅用プライマー(配列番号34、配列番号35)と、Tm値が低温になるインターナルコントロール増幅用プライマー(配列番号36、37)を設計した。このインターナルコントロール増幅用プライマーは、pBR322をテンプレートとする。
本実施例に用いたプライマーセットの組み合わせを表1、表2、表3に示す。表1では、インターナルコントロールとしてTm値が3菌種よりも高温であり、かつ腸管出血性大腸菌(EHEC)増幅用プライマーとして、配列番号9、10、11、12を用いた場合である。
表2では、インターナルコントロールとしてTm値が3菌種よりも高温であるが、表1とは異なり、腸管出血性大腸菌(EHEC)増幅用プライマーも変えたプライマーセットである。
表3では、インターナルコントロールとしてTm値が3菌種よりも低温であるプライマーセットである。
本実施例では、PCR試薬としてBlend Taq −Plus−(TOYOBO)、蛍光インターカレーターとして、EvaGreen(Biotium)を使用した。また、表1、2、3に記載のプライマー濃度は、それぞれの菌を検出するプライマー濃度が1.2μMとなるように各プライマーで均等に分配し添加した。すなわち、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌を検出するプライマーセットとして、PCR反応液に3.6μMのプライマーが含まれることになる。また、インターナルコントロール増幅用プライマー濃度は、フォワードプライマー、リバースプライマーそれぞれ0.5μMとし、テンプレートとして、2.5μM/μLのpBR322を添加した。
本実施例では上記PCR反応液を20μL系にて調製した。この20μLの反応液に、検査対象としてサルモネラ、腸管出血性大腸菌O157、赤痢菌100コピーをスパイクした陰性糞便を10%になるように水で懸濁、95℃、5分熱処理し遠心上清液を2μL添加した。また、陰性糞便の熱処理遠心上清液についても同様に20μL反応系に2μL添加した。
調製したサンプルを、Bio−Rad MiniOpticonにて、94℃、2分の初期変性の後、変性:94℃、10秒、アニーリング:55℃、15秒、伸長:68℃、30秒を40サイクル繰り返すPCRを実施後、融解曲線解析を0.5℃/Stepにて実施した。
これらの結果を図1、2、3、4に示す。プライマーセット1から35のいずれのプライマーセットを使用した場合でも、Tm値がサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種で異なるように設計すれば、3菌種の分離検出が可能であることを確認することができた。
実施例2:陽性検体を用いた3菌種の分離検出
本実施例では、表1に示すプライマーセット6、表3に示すプライマーセット31、32を用いて、陽性実検体を実施例1に記載のPCR反応液、サイクル条件にて検査した。検査対象は、陽性実検体を10%程度になるように水で懸濁し、懸濁液を95℃、5分熱処理し、遠心分離後、上清を使用した。また、コントロールとして、糞便の代わりに、精製したサルモネラ、腸管出血性大腸菌O157、赤痢菌ゲノムDNA100コピーを鋳型として増幅を実施した。
これらの結果を図5に示す。その結果、糞便添加なしのゲノムDNAで分離検出が可能であり、糞便を含む陽性実検体でも3菌種の分離検出が可能であることが示された。この結果より、3菌種がTm値によって分離検出が可能なプライマーセットを設計すれば、検便陽性検体から3菌種を分離検出が可能であることが確認できた。
実施例3:プール糞便を用いた3菌種の分離検出
実施例3では、陽性実検体を1検体含むプール糞便について、実施例1に記載のPCR反応液、サイクル条件にて検査した。プライマーは、表1に示すプライマーセット6、表3に示すプライマーセット31、32を使用した。プール糞便は、採便管内の糞便少量を、滅菌水(1mL程度)の入った試験管に懸濁したものを採便管毎に調製し、20個と50個の検便検体をそれぞれ等量ずつ(数μL程度)1本のチューブにプールした検便検体を、95℃、5分熱処理し、遠心分離後の上清を使用した。
これらの結果を図6に示す。その結果、Tm値によってサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種の分離検出が可能な方法を用いれば、プール糞便に対しても同様な結果が得られ、より簡便、迅速に多検体のサンプルを検査できることが示された。
本発明により、より簡便、迅速に食中毒原因菌のサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌を検出するだけでなく、3菌種の分離検出も可能となった。このことから、簡便、迅速に3菌種のどの菌を保菌しているかを同定することができるため、食中毒の予防、保菌者のその後の対応を決める上で有意義である。さらに、本発明では、検便検体を検査対象とするだけでなく、プール糞便からの検出が可能であるため、より多検体を迅速に検査することが可能である。そのため、プール糞便から3菌種の分離検出を行うことで、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の保菌者スクリーニングに応用することができる。

Claims (12)

  1. サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)および赤痢菌の3菌種が存在するかを検出する方法であって、かつ、前記3菌種を区別して検出する方法であって、次の(1)および(2)の工程を含む検出方法。
    (1)前記3菌種をターゲットとする少なくとも3組のプライマーペアをプライマーセットとして用いるマルチプレックスPCRを行った後、得られた増幅産物を融解曲線解析によって検出する工程であって、少なくとも1つのプライマーペアが、以下の(a)から(q)のいずれかに記載されている塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペア、または、前記の(a)から(q)のいずれかに記載されている塩基配列に対応する相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペアから選択される、工程:
    (a)「配列番号1のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号2のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号3のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
    (b)「配列番号1のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号2のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号4のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
    (c)「配列番号1のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号2のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号5のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号6のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種
    (d)「配列番号7のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号8のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号5のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号6のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種
    (e)「配列番号9のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号10のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号11のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号12のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種
    (f)「配列番号13のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号14のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号15のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号16のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種
    (g)「配列番号17のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号18のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号15のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号16のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種
    (h)「配列番号13のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号14のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種、および、「配列番号19のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」と「配列番号20のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」とからなる群のうち少なくとも1種
    (i)「配列番号21のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号22のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
    (j)「配列番号23のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号22のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
    (k)「配列番号24のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号22のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
    (l)「配列番号21のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号25のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
    (m)「配列番号26のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号25のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
    (n)「配列番号27のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号28のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
    (o)「配列番号29のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号30のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
    (p)「配列番号31のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号30のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
    (q)「配列番号32のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」、および、「配列番号33のうち18塩基以上からなるオリゴヌクレオチド」
    (2)融解曲線分析において、3菌種を増幅産物のTm値の違いによって分離検出する工程。
  2. 工程(2)において、前記3菌種のいずれの増幅産物とも異なるTm値を与えるインターナルコントロール(内部標準)を含む、請求項1に記載の検出方法。
  3. 検査対象が便検体である、請求項1または2に記載の検出方法。
  4. 検査対象がゲノムDNAの分離精製を行っていない便検体である、請求項3に記載の検出方法。
  5. 検査対象がX種(Xは2以上の整数を示す。)の便から採取された便検体のプール検体である、請求項3または4に記載の検出方法。
  6. 前記Xが20以上である、請求項5に記載の検出方法。
  7. 工程(1)において、前記3菌種の増幅産物のTm値が互いに1℃以上離れるように設計された3組のプライマーペアをプライマーセットとしてマルチプレックスPCRを行う、請求項1から6のいずれかに記載の検出方法。
  8. プライマーセットが、以下の(I)から(III)の3群の中からそれぞれ1つずつ選択される3つのプライマーペアの組合せである、請求項1から7のいずれかに記載の検出方法。
    (I)前記の(a)から(d)のいずれかに記載されている塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペア、または、前記の(a)から(d)のいずれかに記載されている塩基配列に対応する相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペアから選択される、サルモネラ増幅用プライマーペア
    (II)前記の(e)から(h)のいずれかに記載されている塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペア、または、前記の(e)から(h)のいずれかに記載されている塩基配列に対応する相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペアから選択される、腸管出血性大腸菌(EHEC)増幅用プライマーペア
    (III)前記の(i)から(q)のいずれかに記載されている塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペア、または、前記の(i)から(q)のいずれかに記載されている塩基配列に対応する相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドのペアから選択される、赤痢菌増幅用プライマーペア
  9. インターナルコントロール(内部標準)のTm値がサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌のいずれの増幅産物のTm値よりも高温である、請求項2からのいずれかに記載の検出方法。
  10. インターナルコントロール(内部標準)のTm値がサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌のいずれの増幅産物のTm値よりも低温である、請求項2からのいずれかに記載の検出方法。
  11. 下記の(A)〜(D)を含む、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)および赤痢菌の3菌種が存在するかを検出し、かつ、前記3菌種を区別して検出するための試薬。
    (A)耐熱性DNAポリメラーゼ
    (B)請求項1、7又は8のいずれかに記載のプライマーセット
    (C)DNA合成基質(デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP))、および、
    (D)マグネシウムイオン、アンモニウムイオンおよびカリウムイオンからなる群のうち1種以上を含む緩衝液
  12. さらに下記の(E)を含む、請求項11に記載の試薬。
    (E)蛍光インターカレーター
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