JP6447134B2 - 重合トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
まず、電子写真方式の複写機、プリンター等においては、消費電力低減とともに高速印刷が要求されている。電子写真方式の中で、特に消費エネルギーの多い工程は、紙などの転写材上に転写されたトナーを定着する工程、いわゆる定着工程である。一般に、定着のために150℃以上の熱ロールが使用され、この熱ロール温度を下げることで定着工程のエネルギー消費を低減できる。また、高速印刷に対応するには、紙などの転写材が定着ロールを通過する時間が短くなるため、定着温度を上げる必要がある。しかしそのことはエネルギー消費を大きくさせてしまう問題がある。消費電力低減と高速印刷の要求の両立をはかるため、トナーの定着温度を下げることが不可欠になってきている。
その他に、要求されているトナーの特性としては、様々な環境下(高温高湿環境下及び低温低湿環境下)でも画像特性が安定していること(環境安定性)、印刷枚数を重ねても画像が劣化しないこと(印字耐久性)などの特性があげられる。
粉砕法は、結着樹脂と着色剤を溶融混練する方法、又はモノマーと着色剤を含有する混合物を重合させる方法により得た着色樹脂の固形物を粉砕し、分級する方法により着色樹脂粒子を製造する。
一方、重合法は、例えば重合性単量体と着色剤を含有する重合性単量体組成物の液滴を形成し、該液滴を重合させて着色樹脂粒子を製造する懸濁重合法や、乳化させた重合性単量体を重合し、樹脂微粒子を得て、着色剤等と凝集させ、着色樹脂粒子を製造する乳化重合凝集法などが挙げられる。粉砕法で得られる着色樹脂粒子が不定形であるのに対して、重合法で得られる着色樹脂粒子は形状が球形に近く、小粒径でシャープな粒径分布をもつ。特に、画像再現性や精細性等の画質を向上させる観点から、重合法により得られるトナー(いわゆる重合法トナー)のように、形状や粒径分布が高度に制御されたトナーが用いられるようになってきた。また、低温定着性と耐熱保存性を両立させるトナーの構造として、低ガラス転移点を有する樹脂を、高ガラス転移点を有する樹脂で被覆した、いわゆるコアシェル構造が提案されている。
Tg1>Tg2 式(1)
(上記式(1)中、Tg1は前記一段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、Tg2は前記二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、それぞれ示す。)
Tg1>Tg2 式(1)
(上記式(1)中、Tg1は前記一段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、Tg2は前記二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、それぞれ示す。)
Tg1+2<Tg3 式(2)
(上記式(2)中、Tg1+2は前記一段目重合性単量体及び前記二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、Tg3は前記三段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、それぞれ示す。)
Tg1>Tg2 式(1)
(上記式(1)中、Tg1は前記一段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、Tg2は前記二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、それぞれ示す。)
Tg1+2<Tg3 式(2)
(上記式(2)中、Tg1+2は前記一段目重合性単量体及び前記二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、Tg3は前記三段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、それぞれ示す。)
本発明により得られる重合トナーは、少なくとも、一段目重合性単量体及び二段目重合性単量体が重合した結着樹脂、並びに着色剤を含む着色樹脂粒子を含有する。
以下、本発明に用いられる着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子を用いた本発明の重合トナーの製造方法及び当該製造方法により得られる重合トナーについて、順に説明する。
本発明に用いられる着色樹脂粒子は、以下に示すプロセスを含む懸濁重合法により製造される。
まず、一段目重合性単量体、及び着色剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤等のその他の添加物を混合し、一段目重合性単量体組成物の調製を行う。一段目重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア型分散機を用いる。
本発明において一段目重合性単量体とは、本発明に使用される重合性単量体のうち、一段目重合工程(すなわち最初の重合工程)から重合に使用される重合性単量体のことを指す。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、本発明に使用されるモノビニル単量体の総量100質量部に対して、通常、0.1〜3質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
ブラック着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
本発明において離型剤として好適に用いられるエステルワックスは、多官能エステルワックスがより好適であり、例えば、ペンタエリスリトールテトラパルミネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミネート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネート等のグリセリンエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミネート等のジペンタエリスリトールエステル化合物;等が挙げられる。
炭化水素系ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素系ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤は、本発明に使用されるモノビニル単量体の総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部用いられ、更に好ましくは1〜20質量部用いられる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、本発明に使用されるモノビニル単量体の総量100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、本発明に使用されるモノビニル単量体の総量100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
本工程では、少なくとも一段目重合性単量体及び着色剤を含有する一段目重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に懸濁させることにより、一段目重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:マイルダー)、乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:キャビトロン)、高速乳化分散機(プライミクス株式会社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩:4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−メチルブタノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルブタノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルブタノエート、t−ヘキシルパーオキシイソブチレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印字耐久性も優れることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
なお、一段目重合工程に使用される重合開始剤は、二段目重合工程における重合開始剤を兼ねてもよい。すなわち、二段目重合工程において特に重合開始剤を添加せず、一段目重合工程前に添加された重合開始剤を、一段目重合工程及び二段目重合工程の両方に関与させてもよい。
本発明の製造方法においては、重合工程として、少なくとも一段目重合工程及び二段目重合工程を有する。以下、これら2つの工程、及び好ましくはこれらに続く三段目の重合工程について、順に説明する。
本発明における一段目重合工程は、少なくとも一段目重合性単量体と着色剤とを含有する懸濁液を用いて、重合開始剤の存在下で懸濁重合を行う工程である。
懸濁重合は、主に、一段目重合性単量体組成物を加熱することにより始まる。一段目重合性単量体組成物の加熱温度(重合温度)は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。
ところで、重合体のガラス転移温度(以下、Tgと称する場合がある。)は、絶対温度での加成性が成り立つことが知られている。したがって、一段目重合性単量体として、2種類以上のモノマーを用いた場合には、以下の式(I)及び式(II)により計算Tgを算出することができる。
計算Tg(K)=(MA+MB+MC+・・・)/[(MA/TgA)+(MB/TgB)+(MC/TgC)+・・・] 式(I)
計算Tg(℃)=計算Tg(K)−273 式(II)
(なお、上記式(I)中、MA、MB、MC、・・・は、各モノマーの添加量(質量部)を、TgA、TgB、TgC、・・・は、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(K)を、それぞれ示す。)
例えば、一段目重合性単量体としてスチレン(ホモポリマーのTg=100℃)75質量部とアクリル酸n−ブチル(ホモポリマーのTg=−55℃)15質量部を用いる場合には、これら単量体が重合してなる重合体のTg1は、以下の通りである。
Tg1=[75(質量部)+15(質量部)]/[{75(質量部)/(100+273(K))}+{15(質量部)/(−55+273(K))}]
=90/(0.201+0.0688)
=333.5(K)=60.5(℃)
このようなガラス転移温度の計算は、二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度Tg2、一段目重合性単量体及び二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度Tg1+2、三段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度Tg3についても、同様に行うことができる。
本発明における二段目重合工程は、一段目重合工程における重合転化率が20〜80%となったときに、下記式(1)を満たす二段目重合性単量体をさらに添加して懸濁重合を行う工程である。
Tg1>Tg2 式(1)
上記式(1)中、Tg1は一段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、Tg2は二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、それぞれ示す。
本発明において二段目重合性単量体とは、本発明に使用される重合性単量体のうち、二段目重合工程から懸濁重合に使用される重合性単量体のことを指す。
しかし、そのような従来の予測に反し、本発明者らは、一段目重合工程において重合させた重合体を、当該重合体よりも低いガラス転移温度を有する重合体により被覆することによって、従来よりも優れた低温定着性が得られることを見出し、多段重合による重合トナーの製造方法を完成させた。
しかし、例えば、一段目重合性単量体としてスチレン及びアクリル酸n−ブチルを混合したものを用いた場合、アクリル酸n−ブチルの方がその反応性の高さゆえに先に重合に費やされ、重合の終盤においてスチレンが多く残る結果、スチレン単量体単位の割合は、重合体粒子の中心部よりも重合体粒子の最表面の方が高くなると推測される。このような重合体においては、最表面のガラス転移温度が中心部よりも高くなり、低温定着性が悪くなると予測される。
一方、一段目重合工程の重合転化率が20〜80%のときに、例えば、二段目重合性単量体としてアクリル酸n−ブチルをさらに添加した場合には、重合の終盤においてもアクリル酸n−ブチルが比較的多く残る結果、得られる重合体におけるスチレン単量体単位の分布は、二段目重合工程を行わない場合と比較して、より均質になると予想される。このような重合体におけるガラス転移温度の分布は、二段目重合を行わない場合と比較してより均一になるため、低温定着性が向上すると考えられる。
また、本発明においては、一段目重合性単量体としてホモポリマーのガラス転移温度が100℃以上の重合性単量体を、二段目重合性単量体としてホモポリマーのガラス転移温度が10℃以下となる重合性単量体を組み合わせて用いることができる。ホモポリマーのガラス転移温度が100℃以上の重合性単量体としては、スチレン(ホモポリマーのTg=100℃)、メタクリル酸メチル(ホモポリマーのTg=105℃)、アクリロニトリル(ホモポリマーのTg=125℃)、メタクリロニトリル(ホモポリマーのTg=120℃)等が挙げられる。また、ホモポリマーのガラス転移温度が10℃以下となる重合性単量体としては、アクリル酸2−エチルヘキシル(ホモポリマーのTg=−70℃)、アクリル酸n−ブチル(ホモポリマーのTg=−55℃)、アクリル酸エチル(ホモポリマーのTg=−24℃)、アクリル酸メチル(ホモポリマーのTg=10℃)等が挙げられる。ホモポリマーのガラス転移温度が10℃以下となる重合性単量体の一部は、ホモポリマーのガラス転移温度が100℃以上の重合性単量体と共に一段目重合性単量体として用いてもよい。
一段目重合性単量体と二段目重合性単量体の組み合わせの例としては、一段目重合性単量体としてスチレン、二段目重合性単量体としてアクリル酸n−ブチルを用いる組み合わせ;一段目重合性単量体としてスチレン、二段目重合性単量体としてアクリル酸2−エチルヘキシルを用いる組み合わせ;一段目重合性単量体としてスチレン及びアクリル酸n−ブチル、二段目重合性単量体としてアクリル酸n−ブチルを用いる組み合わせ;一段目重合性単量体としてスチレン及びアクリル酸2−エチルヘキシル、二段目重合性単量体としてアクリル酸2−エチルヘキシルを用いる組み合わせ;等が挙げられる。
これらのうち、特に、一段目重合性単量体としてスチレン、二段目重合性単量体としてアクリル酸n−ブチルを用いる組み合わせ;並びに、一段目重合性単量体としてスチレン及びアクリル酸n−ブチル、二段目重合性単量体としてアクリル酸n−ブチルを用いる組み合わせ;が好ましい。
二段目重合工程は、一段目重合工程における重合転化率が30〜75%となったときに開始されるのが好ましく、当該重合転化率が35〜65%となったときに開始されるのがより好ましく、当該重合転化率が45〜60%となったときに開始されるのが更に好ましい。
前記式(1)において、Tg1がTg2より50〜200℃高いことがより好ましく、Tg1がTg2より100〜160℃高いことがさらに好ましい。
なお、一段目重合性単量体と二段目重合性単量体の仕込み比は、得られる重合体における単量体単位の比と実質的に同じである。
本発明においては、二段目重合工程後に、さらに三段目重合工程を行うことが好ましい。三段目重合工程とは、上述した二段目重合工程までの重合転化率が95%以上となったときに、重合開始剤、及び下記式(2)を満たす三段目重合性単量体をさらに添加して懸濁重合を行う工程である。
Tg1+2<Tg3 式(2)
上記式(2)中、Tg1+2は一段目重合性単量体及び二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、Tg3は三段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、それぞれ示す。
本発明の好適な態様において、三段目重合性単量体とは、本発明に使用される重合性単量体のうち、三段目重合工程から懸濁重合に使用される重合性単量体のことを指す。
Tg1+2=[75(質量部)+25(質量部)]/[{75(質量部)/(100+273(K))}+{25(質量部)/(−55+273(K))}]
=100/(0.201+0.115)
=317(K)=44(℃)
したがって、一段目重合性単量体としてスチレン75質量部とアクリル酸n−ブチル15質量部を用い、二段目重合性単量体としてアクリル酸n−ブチル10質量部を用いた場合には、44℃より高いガラス転移温度を有する重合体を構成する三段目重合性単量体を使用することが好ましい。
三段目重合工程は、二段目重合工程までの重合転化率が96%以上となったときに開始されるのが好ましく、当該重合転化率が98%以上となったときに開始されるのがより好ましい。
上記式(2)において、Tg3がTg1+2より30〜90℃高いことがより好ましく、Tg3がTg1+2より50〜75℃高いことがさらに好ましい。
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液については、重合終了後に、公知の方法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
上述した懸濁重合法により着色樹脂粒子が得られる。以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
本発明においては、上記着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナー(現像剤)とすることが好ましい。なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカを併用することが好ましい。
本発明のトナーは、耐熱保存性と低温定着性のバランスに優れるトナーである。
耐熱保存性の指標としては、例えば、以下の方法により決定した耐熱温度が挙げられる。
所定量のトナーを容器に入れて密閉した後、当該容器を所定の温度条件下放置する。所定時間経過後、容器からトナーを篩の上に移し、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名:パウダテスタPT−X)等にセットする。所定の振幅の条件下で所定時間振動した後、篩上に残ったトナーの質量を測定し、これを凝集したトナーの質量とする。この凝集したトナーの質量が所定の閾値以下となる最大の温度を、そのトナーの耐熱温度に決定する。
所定のプリンターを用いて、所定の温度におけるトナーの定着率を測定する。定着率は、当該プリンターにより試験用紙に印刷した黒ベタ領域の、所定のテープ剥離操作前後の画像濃度の比率から計算する。即ち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、次式から算出することができる。なお、画像濃度は、反射型濃度計(マクベス社製、商品名:RD918)等を用いて測定する。
定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
この定着試験において、定着率が所定の閾値以上となる定着温度を、そのトナーの最低定着温度に決定する。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
[実施例1]
一段目重合性単量体としてモノビニル単量体であるスチレン75部及びn−ブチルアクリレート15部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg=94℃)0.25部、及びブラックの着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名:#25B)7部を、メディア型湿式粉砕機を用いて湿式粉砕を行った。湿式粉砕により得られた混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:アクリベース FCA−161P)0.5部と、離型剤としてヘキサグリセリンオクタベヘネート(酸価:0.5mgKOH/g、水酸基価:0.5mgKOH/g)2部、パラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名:HNP−11)4部、及び分子量調整剤としてテトラエチルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業株式会社製、商品名:ノクセラーTET−G)1.0部を混合、溶解して、一段目重合性単量体組成物を得た。
なお、一段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度Tg1は、60.5℃である。
その後、重合転化率が99.8%に達したところで、三段目重合性単量体としてメチルメタアクリレート3.0部と、イオン交換水30部に溶解した重合開始剤である2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業社製、商品名:VA−086)0.3部を添加し、90℃で3時間反応を継続した(三段目重合工程)。その後、反応を停止し、コアシェル構造を有する着色樹脂粒子の水分散液を得た。
なお、一段目重合性単量体及び二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度Tg1+2は、43.7℃である。また、三段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度Tg3は、105℃である。したがって、Tg3はTg1+2より61.3℃高い。
実施例1において、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製するときに、塩化マグネシウム10.0部を9.6部に、水酸化ナトリウム7.0部を6.7部に変更し、且つ、一段目重合性単量体として、スチレン75部及びn−ブチルアクリレート15部を使用する替わりにスチレン75部及びn−ブチルアクリレート5部を使用し、且つ、二段目重合性単量体として、n−ブチルアクリレート10部を使用する替わりにn−ブチルアクリレート20部を使用し、且つ、二段目重合工程の開始時を、一段目重合工程の重合転化率が55%に達したときに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2の重合トナーを製造した。なお、実施例2においては、一段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度Tg1は80.0℃であり、二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度Tg2は−55℃である。したがって、Tg1はTg2より135℃高い。試験結果を表1に示す。
実施例1において、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製するときに、塩化マグネシウム10.0部を9.4部に、水酸化ナトリウム7.0部を6.6部に変更し、且つ、一段目重合性単量体として、スチレン75部及びn−ブチルアクリレート15部を使用する替わりにスチレン75部を使用し、且つ、二段目重合性単量体として、n−ブチルアクリレート10部を使用する替わりにn−ブチルアクリレート25部を使用し、且つ、二段目重合工程の開始時を、一段目重合工程の重合転化率が58%に達したときに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例3の重合トナーを製造した。なお、実施例3においては、一段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度Tg1は100℃であり、二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度Tg2は−55℃である。したがって、Tg1はTg2より155℃高い。試験結果を表1に示す。
実施例2において、二段目重合工程の開始時を、一段目重合工程の重合転化率が41%に達したときに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法により、実施例4の重合トナーを製造した。試験結果を表1に示す。
実施例2において、二段目重合工程の開始時を、一段目重合工程の重合転化率が71%に達したときに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法により、実施例5の重合トナーを製造した。試験結果を表1に示す。
実施例1において、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製するときに、塩化マグネシウム10.0部を9.6部に、水酸化ナトリウム7.0部を6.7部に変更し、且つ、一段目重合性単量体として、スチレン75部及びn−ブチルアクリレート15部を使用する替わりにスチレン79部及び2−エチルヘキシルアクリレート1部を使用し、且つ、二段目重合性単量体として、n−ブチルアクリレート10部を使用する替わりに2−エチルヘキシルアクリレート20部を使用し、且つ、二段目重合工程の開始時を、一段目重合工程の重合転化率が52%に達したときに変更し、且つ、三段目重合工程の開始時を、二段目重合工程の重合転化率が99.5%に達したときに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例6の重合トナーを製造した。なお、実施例6においては、一段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度Tg1は96.1℃であり、二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度Tg2は−70℃である。したがって、Tg1はTg2より166℃高い。また、一段目重合性単量体及び二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度Tg1+2は44.2℃であり、三段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度Tg3は105℃である。したがって、Tg3はTg1+2より60.8℃高い。試験結果を表1に示す。
実施例1において、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製するときに、塩化マグネシウム10.0部を10.4部に、水酸化ナトリウム7.0部を7.3部に変更し、且つ、一段目重合工程を、一段目重合性単量体として、スチレン75部及びn−ブチルアクリレート15部を使用する替わりにスチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部を使用して重合し、二段目重合工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により重合を実施した。その後、90℃で4時間反応を行い、重合転化率が99.8%に達したところで、実施例1と同様の方法により、三段目重合工程以降の工程を実施し、比較例1の重合トナーを製造した。すなわち、比較例1においては、実施例1における二段目重合工程を行わなかった。試験結果を表1に示す。
実施例2において、二段目重合工程の開始時を、一段目重合工程の重合転化率が10%に達したときに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法により、比較例2の重合トナーを製造した。試験結果を表1に示す。
実施例2において、二段目重合工程の開始時を、一段目重合工程の重合転化率が90%に達したときに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法により、比較例3の重合トナーを製造した。試験結果を表1に示す。
上記実施例1〜実施例6、及び比較例1〜比較例3の重合トナーについて、着色樹脂粒子特性及びトナー特性、並びに印字特性を調べた。詳細は以下の通りである。
(a)着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)及び粒径分布(Dv/Dn)
測定試料(着色樹脂粒子)を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フイルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mLを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30mL加え、20W(Watt)の超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)を測定し、粒径分布(Dv/Dn)を算出した。
容器中に、予めイオン交換水10mLを入れ、その中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更に測定試料(着色樹脂粒子)0.02gを加え、超音波分散機で60W(Watt)、3分間分散処理を行った。測定時の着色樹脂粒子濃度が3,000〜10,000個/μLとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名:FPIA−2100)を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記計算式1に示され、平均円形度は、その平均をとったものである。
計算式1:(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
容量100mLのポリエチレン製容器にトナーを20g充填し、水の浸入がないよう、蓋をシールして密閉し、所定の温度に設定した恒温水槽(ヤマト科学社製:BK300)内の水中に該容器を沈め、8時間経過した後に取り出した。取り出した容器からトナーを42メッシュの篩(目開き355μm)の上にできるだけ振動を与えないように移し、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名:パウダテスタPT−X)にセットした。篩の振幅を1.0mmに設定して、30秒間振動した後、篩上に残ったトナーの質量を測定し、これを凝集したトナーの質量とみなし、凝集したトナー質量が仕込んだトナー質量の5%以下となる最高の温度を耐熱温度とし、耐熱保存性を評価した。
(a)定着温度の測定
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷速度:20枚/分)の定着ロールの温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行った。定着試験は、改造プリンターの定着ロールの温度を5℃刻みで変化させ、それぞれの温度でのトナーの定着率を測定した。
定着率は、改造プリンターで試験用紙に印刷した黒ベタ領域の、テープ剥離操作前後の画像濃度の比率から計算した。即ち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、次式から算出することができる。
定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分(黒ベタ領域)に粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。また、画像濃度は、反射型濃度計(マクベス社製、商品名:RD918)を用いて測定した。
この定着試験において、定着率が80%以上になる最低定着ロール温度をトナーの最低定着温度とした。
なお、下記表1中、「St」とはスチレンを、「BA」とはn−ブチルアクリレートを、「2−EHA」とは2−エチルヘキシルアクリレートを、「MMA」とはメチルメタアクリレートを、それぞれ意味する。
以下、表1を参照しながら、トナーの評価結果について検討する。
表1より、比較例1の重合トナーは、本発明における二段目重合工程を行わずに製造したトナーである。比較例1の重合トナーは耐熱温度が56℃と高い。したがって、比較例1の重合トナーにおいては、少なくとも耐熱保存性に問題は見られない。
しかし、比較例1のトナーは、最低定着温度が140℃と高い。したがって、本発明における二段目重合工程を行わずに製造された比較例1の重合トナーは、低温定着性に劣るという問題があることが分かる。
しかし、比較例2の重合トナーは、最低定着温度が140℃と高い。したがって、一段目重合工程の重合転化率が低すぎるときに二段目重合工程を開始して製造された比較例2の重合トナーは、低温定着性に劣るという問題があることが分かる。
しかし、比較例3の重合トナーは、耐熱温度が51℃と低い。したがって、一段目重合工程の重合転化率が十分高くなった後に二段目重合工程を開始して製造された比較例3の重合トナーは、耐熱保存性に劣るという問題があることが分かる。
表1より、実施例1〜実施例6の重合トナーは、いずれも耐熱温度が55℃以上であり、優れた耐熱保存性を有する。また、表1より、実施例1〜実施例6の重合トナーは、いずれも最低定着温度が135℃以下であり、優れた低温定着性を有する。
したがって、上述した条件を満たす製造方法により製造された実施例1〜実施例6の重合トナーは、従来は背反の関係にあった耐熱保存性の向上と低温定着性の向上をバランスよく達成できることが分かる。
Claims (4)
- 少なくとも一段目重合性単量体及び着色剤を含有する一段目重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に懸濁させることにより、一段目重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、
前記懸濁液を用いて重合開始剤の存在下で懸濁重合を行う一段目重合工程、
前記一段目重合工程における重合転化率が20〜80%となったときに、下記式(1)を満たす二段目重合性単量体をさらに添加して懸濁重合を行う二段目重合工程、並びに
前記二段目重合工程までの重合転化率が95%以上となったときに、重合開始剤、及び下記式(2)を満たす三段目重合性単量体をさらに添加して懸濁重合を行う三段目重合工程、を有することを特徴とする重合トナーの製造方法。
Tg1>Tg2 式(1)
(上記式(1)中、Tg1は前記一段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、Tg2は前記二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、それぞれ示す。)
Tg1+2<Tg3 式(2)
(上記式(2)中、Tg1+2は前記一段目重合性単量体及び前記二段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、Tg3は前記三段目重合性単量体が重合してなる重合体のガラス転移温度(℃)を、それぞれ示す。) - 前記一段目重合性単量体と前記二段目重合性単量体の質量割合が、一段目重合性単量体:二段目重合性単量体=60:40〜95:5であることを特徴とする請求項1に記載の重合トナーの製造方法。
- 前記式(1)において、Tg1がTg2より5℃〜250℃高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の重合トナーの製造方法。
- 前記式(2)において、Tg3がTg1+2より10℃〜100℃高いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の重合トナーの製造方法。
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