以下に本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。実施形態1にて、請求項1、4、5に係る発明を説明する。また、実施形態2において、請求項2に係る発明を説明する。また、実施形態3において、請求項3に係る発明を説明する。
<<実施形態1>>
<実施形態1:概要>
まず、本実施形態の株式上場企業特許力成長率評価装置により出力される特許力成長率の算出の基となるデータである合算値が持つ意味を簡単に説明する。合算値は特許当たりで算出される。本実施形態の株式上場企業特許力成長率評価装置は、特許の価値が独占排他力にあるとの考えに基づき、この独占排他力を直接的に測定することを主眼とした、従来にはない全く新しい手法に則って計算を行なうことを可能とする。
ここで独占排他力とは、特許権利者が如何に事業を独占しているかを示す力であり、言い換えれば、特許権が如何に競合他社の事業の障害となっているかを示す力でもある。この独占排他力は、他社との境界を作る塀や柵に例えることができる。敵のいないところや、誰も興味を持たないところに柵を作ってもあまり意味はない。つまり、無人島に柵を作ったとしても第三者の侵入を防ぐ役目は果たせないので意味がない。しかし、実際に敵がいるところに柵を作ることには大きな意義がある。第三者が完全に侵入できないような立派な塀であればその意義はより大きなものになる。つまり、東京の真ん中の混み合った場所に広い領地をとって塀を作り、第三者の侵入を完全に防ぐことには大きな意義があるのである。この第三者の侵入を防ぐ行為こそが競合他社の排除であり、広い領地をとることは広い権利範囲を意味し、立派な塀とは無効になりにくい特許を意味する。
多数の競合他社がひしめき合う事業において広い権利範囲をもった強い特許権を持っているということは、強い独占排他力を持っているということである。市場において強い独占排他力を持つということが特許権利者に利益をもたらす源泉となる。つまり、特許の独占排他力を評価することは、特許の収益力を評価することと同義であると考えられる。
では、次に独占排他力の評価方法を説明する。独占排他力を持つ特許によって、特許権利者が事業を独占するためには必ず排除すべき相手が存在する。そこで、その排除すべき相手が独占排他力を持つ障害特許に対してとる行動を考える。
仮に、自社の事業障害となる特許権を発見した場合、どのような行動をとるだろうか。まずは、その特許権の内容を調べ、そして、ライセンス交渉をするのか、潰しにかかるのか、あるいは設計変更をするのか、といった判断が迫られるだろう。そのとき、特許権に対して何らかのアクションを起こすことになるはずである。ゆえに、本実施形態における株式上場企業特許力成長率評価装置は、この特許権に対する第三者からのアクションを評価対象とすることが望ましい。
実際に発明がなされてから出願、公開、審査、登録、そして消滅するまでには特許に対して様々なアクションが起こされる。例えば、審査請求、拒絶理由通知、特許査定または拒絶査定、閲覧請求、拒絶査定不服審判、異議申立、無効審判などである。このさまざまなアクションの中で、第三者のアクションとは、特許の審査経過情報を知ることができる閲覧請求や、特許権を無効にするために請求される異議申立、無効審判などである。本実施形態における株式上場企業特許力成長率評価装置は、このような第三者(競合他社)からのアクションを評価することで特許権の持つ独占排他力を指数化することが可能である。
評価対象を第三者のアクションのみに限定した場合の長所を説明する。評価対象を第三者のアクションのみに限定した場合には、例えば「出願」というアクションは評価対象に含まれない(本発明によって、自社による特許評価値を算出したい場合には、「出願」というアクションも評価対象に含まれる。段落0029に後述)。それは、多くの特許を出願した企業が特許による高い収益力を持つとは決して言えないからである。例えば、出願された特許のほとんどが審査請求をせずにみなし取下げになる場合や審査において拒絶され特許にならない場合にはたくさん出願をしても意味がないので、評価対象に入れることは妥当ではない。また、自己のアクションを評価対象に入れると恣意的に自己の評価を変えることが可能となってしまう。
しかし、競合他社がその存在を無視することができず、調査をしなければならない特許、調査をした結果特許回避をすることが難しいと判断し無効審判を起こして無効にしたいと思うような特許などは価値が高いと言えるだろう。
一方、自社による特許評価値を算出したい場合には、評価対象を自社アクションとしてもよいことは当然である。この場合は、「出願」というアクションが評価対象に含まれる。さらには、例えば、海外出願(ファミリー出願)をしている特許、拒絶査定不服審判を請求している特許については自社による評価が高い特許であるといえるのだから、これらのアクションも評価の対象に含むべきだろう。自社が特許に対してかけたコストに注目しこれを集計すれば、コストアプローチの考えで特許資産価値を算出することが可能となる。本発明は、第三者のアクションのみを評価対象とした場合において、もっとも効果が高いと言えるが、自社のアクションのみを評価対象とした場合にも大きな効果をあげることが可能であるし、また、すべてのアクションを評価の対象とすることもできるのである。
本実施形態の株式上場企業特許力成長率評価装置では、そのような各特許の独占的排他力あるいは特許資産価値を示す客観的なデータから導かれる合算値を、特許分類に対応付けられた特許業種分類ごとに集計することにより、高成長業種における技術的・特許的観点からの成長企業を的確に評価することが可能となる。
<実施形態1:構成>
本実施形態に係る株式上場企業特許力成長率評価装置の機能ブロック図を図1に例示する。図1に示す株式上場企業特許力成長率評価装置(0100)は、「整理標準化データ取得部」(0101)と、「項目内容抽出部」(0102)と、「検索結果保持部」(0103)と、「コスト表保持部」(0104)と、「陳腐化関数格納部」(0105)と、「陳腐化後コスト算出部」(0106)と、「合算部」(0107)と、「出力部」(0108)と、「特許業種分類情報格納部」(0109)と「企業毎特許業種分類毎集計部」(0110)と「成長率算出部」(0111)と、を有する。
「整理標準化データ取得部」(0101)は、整理標準化データを取得する機能を有する。整理標準化データとは、特許庁が保有している審査経過情報等の各種情報を整理標準化して加工したものである。整理標準化データを参照することにより、出願日、出願人、発明者、権利者などの情報や、出願審査請求の有無や審査経過の状況などを知ることが可能である。そして、これら整理標準化データは、例えば特許庁の電子図書館やその他の特許情報サービスによって電子化され提供されているので、ネットワークや各種記録媒体などを介して本株式上場企業特許力成長率評価装置はこれらデータを容易に取得するよう構成することができる。あるいは、オペレータなどが文字入力デバイスを介して、公表されている整理標準化データを本株式上場企業特許力成長率評価装置に入力する構成なども挙げられる。
「項目内容抽出部」(0102)は、取得した整理標準化データに記述されている特許に対して取られた法律的手続きを示す標準項目名称の組合せを予め準備したパターンを利用したパターンマッチング処理により検索し、検索された標準項目名称の組合せに応じて整理標準化データに記述されている項目内容をその手続日と関連付けて抽出する機能を有する。具体的には、CPUなどの演算装置と項目内容抽出プログラムなどによって実現することができる。
ここで、特許に対して取られた法律的手続とは、例えば閲覧請求や情報提供、異議申立、無効審判などのことである。なお、この法律的手続は特に限定しないが、特許の独占的排他力を客観的に算出するという観点であれば、前述のような第三者が当該特許に対して行うアクションに係る法律的手続であることが望ましい。さらに、自社が特許に対してかけたコストに注目し、コストアプローチの考えで特許資産価値を算出するという観点であれば、自社が自社特許に対して行う、出願、海外出願、審査請求、拒絶理由通知に対する応答、特許権維持年金の納付等の自社アクションに係る法律手続きであることが望ましい。
特許に対して取られた法律的手続きを示す標準項目名称の組合せとは、例えば、特許に対して無効審判という法律的手続が取られた場合には、審判種別、審判最終処分種別、審決の決定記事の結論、などの標準項目名称の組合せである。そして、このような組合せデータを予めフラッシュメモリなどの二次記録装置に保持しておくことで、パターンマッチング処理に際しては、この組合せデータを参照し整理標準化データの中から無効審判という法律的手続を検索することができる。つまり、整理標準化データ中においては、例えば無効審判という法律的手続を検索しその結果を知るためのデータが散在しているため、パターンマッチング処理をして項目内容等を抽出する必要がある。
次に、検索された標準項目名称の組合せに応じて整理標準化データに記述されている項目内容を抽出する方法を説明する。図2に整理標準化データの一部(0200)の一例を示した。左側が標準項目名称(0201)であり、右側が項目内容(0202)である。図2の場合には、標準項目名称「審判種別」に対する項目内容は、「112(全部無効(新無効))」であり、標準項目名称「審判最終処分種別」に対する項目内容は、「02(請求不成立)」であり、標準項目名称「審決の決定記事」の「結論」に対する項目内容は、「Y(無効としない)」である。
そして、これらの項目内容とともに手続が行なわれた日付も関連づけて抽出する。例えば、無効審判であれば「審判請求日」を抽出する。
「検索結果保持部」(0103)は、抽出された項目内容およびそれに関連付けられている手続日を検索された標準項目名称の組合せに関連付けて保持する機能を有する。つまり、図2を例にすると、項目内容として112 (全部無効(新無効))、02 (請求不成立)、Y(無効としない)を標準項目名称の組合せに関連づけて、手続日として2004/04/01を同じく標準項目名称の組合せに関連づけて、各種記録装置(RAMやROMなど)に保持する。保持されている検索結果を参照すれば、特許に対して取られた法律的手続である無効審判の審判請求日、審判種別、審判最終処分種別、審決の決定記事の結論が分かる。
「コスト表保持部」(0104)は、標準項目名称の組合せに関連付けて保持されている項目内容の組合せごとに予め準備されているコストを対応付けたコスト表を保持する機能を有し、例えば各種記録装置によって実現することができる。コスト表の一例を図3に示した。図3の1行目には、標準項目名称の組合せが示されている。例えば、無効審判に対する標準項目名称の組合せは、審判種別、審判最終処分種別、審決の決定記事、などである。そして、2行目、3行目には項目内容の組合せの例が示されている。最初に、2行目の例は、無効審判が起きて、最終処分が請求不成立であり、さらに、審決が無効としないというものであった場合である。この場合には、第三者が無効審判にかけたコスト、例えば、1,000,000(百万)円をコストとしてコスト表に保持する。また、3行目の例は、無効審判が起きて、最終処分が請求成立であり、さらに、審決が無効とするというものであった場合である。この場合には、特許は無効となり、当該特許に価値はないものと考え、コストとしてゼロをコスト表に保持する。コスト表に記述されているコストは金銭単位であってもよいし、適当な値で割算した値や、その法律手続に対応する指数などであっても良い。
「陳腐化関数格納部」(0105)は、技術分野ごとにその技術の陳腐化の目安となる陳腐化関数を格納するという機能を有し、例えば各種記録装置によって実現することができる。
陳腐化関数は、特に限定しないが、例えば次のようにして求める。図4上図は、ある技術分野において、出願から何年目に特許権が消滅したかという統計をとったグラフである。縦軸は消滅した特許権の割合で、横軸は出願からの年数である。この統計データは、出願のときを起点としていることがひとつの特徴である。当たり前のことかもしれないが、技術の陳腐化は権利が登録されたときから始まるのではなく、発明がなされたときをピークに始まるものであると考えたからである。ゆえに、発明の瞬間を起点とするのが最も正しいと思われるが、その統計をとることはできないので、出願のときを起点とする。図4上図を詳しく見てみると、出願から4年目ぐらいまでに消滅する特許権はほぼ0(ゼロ)であり、その後、徐々に消滅する特許権が増えているのが分かる。そして、出願から20年目に登録特許のうち25%〜30%にあたる特許権が消滅する。これは、特許権の存続期間が原則として出願から20年であることによる。もし、存続期間が20年よりも長い場合にはもっと長い期間維持されたであろう特許権が20年目にすべて消滅しているのである。20年目に技術の陳腐化が一気に起こったわけではない。そこで、この20年目に消滅した特許権は20年目以降の数年間に渡って徐々に消滅していくものであったとの仮説に則って、図4下図の丸で囲んだような割合で年々消滅していくであろうとの予測をした。なお、この20年目に消滅した特許を、計算上21年目以降に消滅したものと仮定するのは補助的な処理にすぎない。当該処理は必ずしも行う必要はないが、このように少しでも実際の分布を正規分布に近づける下処理を行うことにより、より正確に陳腐化曲線を求めることができると考えられる。もっとも、実際のデータ(図4上図)をそのまま正規分布で近似した方が、より現実に即していると考えることも可能であるから、当該処理を行うか否かは当業者が適宜判断すべきである。以下は、図4下図を用いて説明するものとする。図4下図を正規分布で近似し、「1−正規累積分布」を計算したものが図5である。この曲線が陳腐化関数である。これは、技術価値陳腐化曲線ということもできる。ここで、消滅した特許権の割合を正規分布で近似する理由を簡単に説明する。登録されている特許同士は、それぞれについて進歩性の判断がなされて成立している。つまり、技術の進歩に伴ってある特許が陳腐化したことに起因して、他の特許が陳腐化することはない。よって、各特許は独立していると考えられ正規分布で近似することが可能である。
図5によると、存続期間が20年という区切りがないとすれば、出願から25年程度でほとんどすべての特許が維持する価値を失う。このグラフの特徴は、最初の数年間ほとんど陳腐化しないが平均的な特許が消滅する年数に近づくにつれてその陳腐化のレートが加速し、平均消滅年数を通過するとまた、陳腐化レートが緩やかになることである。また、この関数は技術分野ごとに算出し、技術分野ごとの陳腐化関数としてその技術分野と関連付けて格納されていると良い。
「陳腐化後コスト算出部」(0106)は、各特許の標準項目名称の組合せに応じて抽出された項目内容の組合せごとにコスト表保持部に保持されているコスト表を用いてコストを取得するとともに、算定基準日と、その項目内容の組合せごとに関連付けられている手続日と、その特許の出願日と、この特許が属する技術分野の陳腐化関数とを用いて算定基準日における陳腐化後コストを算出する機能を有する。具体的には、CPUなどの演算装置と陳腐化後コスト算出プログラムなどによって実現することができる。
まず、各特許の標準項目名称の組合せに応じて抽出された項目内容の組合せごとにコスト表保持部に保持されているコスト表を用いてコストを取得する方法を説明する。図3に示したように、コスト表保持部には、法律的手続きを示す標準項目名称の組合せに応じた項目内容の組合せごとにコストが保持されている。そこで、抽出した項目内容の組合せによりコスト表を検索し、合致する組合せのコストを取得する。
次に、陳腐化関数を利用して陳腐化後コストを算出する方法を図5を用いて説明する。まず、特許が属する技術分野を、例えば整理標準化データのIPCの項目内容やユーザの入力指定などによって取得し、それに対応する陳腐化関数を取得する。そして、算定基準日と、その項目内容の組合せごとに関連付けられている手続日と、その特許の出願日とを取得する。遡及出願の場合には出願日として原出願日を取得する設定であっても良い。その理由は、先述の通り、技術の陳腐化は権利が登録されたときから始まるのではなく、発明がなされたときをピークに始まるものであると考えるからである。
ある特許権について、出願からα年目に特許無効審判が請求されたが、維持審決がでたとする。そして、コスト表によるとその一連の手続が100ポイントであったとする。さらに、算定基準日が出願からβ年目であるとする。この場合において、α年の技術価値残存係数をT(α)、β年目の技術価値残存係数をT(β)とおくと、算定基準日における陳腐化後コストは、
陳腐化後コスト=100×T(β)/T(α)
として算出することができる。
算定基準日を現在として考えると、アクション日(α年)が出願から2年で現在(β年)が出願から3年であれば、ほとんど陳腐化はしないことになる。そして、アクション日(α年)が出願から2年で現在(β年)が出願から15年であれば、陳腐化は大きい。つまり、昔に起きた法律的手続きであるほど現在における陳腐化後コストに引き直すと小さい値となる。
「合算部」(0107)は、算出された陳腐化後コストを特許について全て合算する機能を有する。具体的には、例えばある特許αに関して閲覧請求が2回、無効審判が1回請求され、各手続の陳腐化後コストが1、1、8とすると、これらを全て合算し、特許αの合算値(客観的な経済的評価)「82」が算出される、という具合である。これにより、1つの特許についてその独占的排他力を示す客観的なデータのみを用いて客観的な特許の経済的評価を示す合算値を算出することができる。
そして、本実施形態の株式上場企業特許力成長率評価装置では、この合算値を、特許を保有する権利者(株式上場企業)ごと、かつ、特許分類と業種分類とを対応付けて得られる特許業種分類ごとに集計し、ここで得られた集計値を時系列で比較することにより、株式上場企業の各特許業種分類における特許力成長率を算出する。以下のその詳細について説明する。
まず、「特許業種分類情報格納部」について説明する。「特許業種分類情報格納部」には特許分類と業種分類とを対応付けた特許業種分類情報が格納されている。この特許業種分類は、東証33業種や日本標準産業分類、世界産業分類基準(GICS)など、あらゆる業種分類を基礎として作成することができるが、本実施形態では、発明者らが独自に作成した「YKS技術業種分類」(略称「YKS分類」。以下、YKS分類という)を用いて説明するものとする。
本実施形態で使用するYKS分類は、大分類・中分類・小分類の3階層構造からなる。図16にYKS分類の大分類・中分類の一覧表を示す。また、図17に小分類の例として、大分類「都市インフラ」以下に属する中分類・小分類の一覧を示す。図16の通り、YKS分類は「都市インフラ」や「環境・エネルギー」など、12の大分類からなる。そして、それぞれ各大分類の下に中分類が属し、各中分類の下に小分類が属している。例えば、図17の通り、大分類「都市インフラ」の下には中分類として「土木」、「物流」、「建設」、「住宅設備」の4分類が属している。さらに、中分類「土木」の下には小分類として「地盤改良・基礎工事」、「トンネル・地中削孔」、「道路・橋」、「セメント・コンクリート部材」、「ダム・運河・上下水」、「給配電設備」、「護岸・水底構造物」の7分類が属している。
YKS分類ではこのような小分類が全体として約300あるが、各小分類が各特許分類と対応付けられている。図18がその一例である。なお、この対応付けには、国際特許分類(IPC)に換え、Fターム、米国特許分類(USC)などあらゆる特許分類を用いて良いが、全世界の特許を同一の基準で業種と対応付けられるようにするため、IPCを用いることがより望ましいだろう。本実施形態でもIPCを用いている。
図18について補足すると、左から1列目がYKS分類の「大分類」、2列目が「中分類」、3列目が「小分類」、4列目がIPCである。例えば、1行目であれば、大分類「都市インフラ」に属する中分類「土木」に属する小分類「地盤改良・基礎工事」に、IPC「E02D 11/00」(矢板壁,杭)が対応付けられているのである。このような要領ですべてのIPCがYKS業種と対応付けられている。
なお、ある一つのIPCが複数のYKS分類に紐づくということはあり得る。例えば、本実施形態では、「E21B 1/00」(衝撃式削孔)は、大分類「都市インフラ」に属する中分類「土木」に属する小分類「トンネル・地中削孔」にも対応付けられているし、大分類「環境・エネルギー」に属する中分類「資源開発」に属する小分類「掘削」にも対応付けられている。このように、業種分類と特許分類の対応付けを一対多とするか、多対多とするかは、当業者が適宜なし得ることである。また、本実施形態では、IPCの最下位の階層であるサブグループと各業種とを対応づけているが、例えば、IPCのサブクラスなど途中の階層を各業種と対応づけてもよいことは当然である。
ここで、各特許には、必ず特許庁審査官および出願人によりIPCが付されている。したがって図18のような対応表を用いれば、各業種と各IPCを対応付けることにより、必然的に各特許と各業種も紐づけられ、各業種における特許力を集計することができるようになるのである。
「企業毎特許業種分類毎集計部」は、合算部で得られた特許ごとの合算値を、権利者名義および上記特許業種分類情報を用いて、特許権利者ごと、かつ特許業種分類ごとに集計する。これは、CPUなどの演算装置と集計プログラムなどによって実現することができる。
具体的には、特許権利者ごとの集計については、整理標準化データに記録された特許権利者の名義を集計の単位とすればよい。ただし、特許権利者には、上場/非上場企業のみならず自然人、社団法人、財団法人などの法人が含まれる。よって、ここから株式会社の名義を含む権利者名義のみを抽出するなどしてもよいし、あらかじめ用意しておいた旧社名等を含む上場企業の名義リストに適合する権利者名義のみを抽出するなどしてもよい。このように、名義ごとの集計の際に、様々な名寄せ処理を行ってよいことは当然である。
次に、特許業種分類ごとの集計については、各特許に付されたIPCに対応付けられたYKS分類を集計の単位とすればよい。ただし、一の特許には複数のIPCが付される場合がある。この場合には、いわゆる筆頭IPCのみを集計の対象としてもよいし、付された全部のIPCを集計の対象としてもよい。本実施形態では、特許に付されたIPCすべてを集計の対象とする。
図19を用いて「企業毎特許業種分類毎集計部」の集計処理の一例を示す。ただし、ここでは簡単のため、YKS分類の大分類ごとに集計する場合を示すものとする。また、特許ごと合算値も、簡単のため整数値として例示するものとする。特許第○○○○○○○号は、特許権利者は「A社」、IPCは「E21B 10/00」、合算値は5点である。特許第△△△△△△△号は、特許権利者は同じく「A社」であり、IPCは「E02D 3/00」、合算値は3点である。特許第□□□□□□□号は、特許権利者は「B社」でIPCは「E02D 3/00」および「C09K 17/06」、合算値は3点である。図14の通り、特許第○○○○○○○号は、「A社」の「都市インフラ」と「環境・エネルギー」に集計される。特許第△△△△△△△号は、「A社」の「都市インフラ」に集計される。特許第□□□□□□□号は特「B社」の「都市インフラ」と「食品・医療・バイオ」に集計される。
図20は、図1の処理の結果である。「A社」は「都市インフラ」分野が8点、「環境・エネルギー」分野が3点。B社は「都市インフラ」分野が3点、「食品・医療・バイオ」分野が3点となっている。本実施形態では、このような処理を整理標準化データに記録された全特許に対して行うことが可能である。
図21に、実際に整理標準化データに記録された全特許の特許力を権利者(上場企業)ごと、かつYKS分類ごとに集計した結果の一部を、参考としてお示しする。ここでは、大分類ごとの集計結果が表示されている。ただし、企業名はふせてある。
「成長率算出部」は、企業毎特許業種分類毎集計部で得られた2以上の異なる時点における同一の株式上場企業の同一の特許業種分類の企業毎特許業種分類毎集計値を比較し、企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出する。これもCPUなどの演算装置と集計プログラムなどによって実現することができる。
2以上の異なる時点における同一の株式上場企業の同一の特許業種分類の企業毎特許業種分類毎集計値を算出するには、大きく分けて二つの方法がある。一つ目の方法は、異なる時点の整理標準化データを使用することである。整理標準化データは随時更新(現在は原則として月に2回)されている。したがって、例えば、2014年3月時点の更新データを用いれば2014年3月時点の集計値を得ることができるし、2014年4月時点の更新データを用いれば2014年3月時点の集計値を得ることができる。また、もう一つの方法は、整理標準化データにおける特許アクションの手続日を基準として各時点の集計値を集計する方法である。すなわち、2014年3月までの手続きを集計すれば、2014年3月時点の集計値を得ることができ、2014年4月までの手続きを集計すれば、2014年4月時点の集計値を得ることができる。本件発明では、上記二つの方法のいずれを用いてもよいし、二つの方法を組み合わせてもよい。
図22は、2以上の異なる時点における同一の株式上場企業の同一の特許業種分類の企業毎特許業種分類毎集計値を比較し、成長率を算出する処理の一例である。すなわちA社は、YKS分類「都市インフラ」の企業毎特許業種分類毎集計値が、2014年3月時点で「8点」、2014年4月時点で「12点」である。ここで2014年4月時点の「12点」を2014年3月時点の「8点」で除し、1を引けば、2014年3月からの2014年4月成長率(この場合+0.5、すなわち+50%)を算出することができる。なお、「0点」からの成長の場合、除算が不可能であるが、この場合は、例えば「+100%」とみなすなどの処理を適宜行ってよいことは当然である。また、ここでは一か月の成長率を計算しているが、この成長率はさまざま期間で算出してよいし、さらには、例えば、月間成長率の3年間分の平均値を取得し、平均月間成長率を算出するなどの追加的な構成を備えてよいことは当然である。
図23に、実際に整理標準化データに記録された全特許について、特許力を権利者(上場企業)ごと、かつYKS分類ごとに集計し、その2014年3月からの2014年4月までの一か月の成長率を算出した結果を、参考としてお示しする。ここでは、大分類「都市インフラ」の成長率上位が表示されている。ただし、企業名はふせてある。
「出力部」(0108)は、成長率算出部にて得られた企業毎特許業種分類毎集計値成長率を出力する。本実施形態においては、例えば、電子計算機に接続しているディスプレイなどに当該成長率を表示する、などの処理動作のことをいう。あるいはフラッシュメモリなどの記録媒体に記録出力する形態や、プリンター装置にて印刷出力する形態なども挙げられる。
<実施形態1:ハードウェア構成>
図8は本実施形態に係る電子機器の各構成要素をハードウェアとして表現した際の構成の一例を表す概略図である。本実施形態の構成要素である各部の全部又は一部は、ハードウェア、ソフトウェア、ハードウェアとソフトウェアの両方のいずれかによって構成される。例えば、これらを実現する一例として、コンピュータを利用する場合には、CPU、バス、メモリ、インターフェース、周辺装置などで構成されるハードウェアと、それらハードウェア上で実行可能なソフトウェアがある。ソフトウェアとしては、メモリ上に展開されたプログラムを順次実行することで、メモリ上のデータや、インターフェースを介して入力されるデータの加工、保存、出力などにより各部の機能が実現される。
さらに具体的には、図8のようにコンピュータがCPU(0801)、RAM(0802)、ROM(0803)、入出力インターフェース(I/O)(0804)、HDD(0805)、等から構成されており、それらがシステムバス(0806)等のデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行なう。
また、RAMは、各種処理を行なうプログラムをCPUに実行させるために読み出すと同時にそのプログラムのワーク領域を提供する。また、RAMやROMにはそれぞれ複数のメモリアドレスが割り当てられており、CPUで実行されるプログラムは、そのメモリアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやり取りを行い、処理を行なうことが可能になっている。また入出力インターフェースは複数備えられ、それぞれに図示しないユーザ入力デバイスやディスプレイ、プリンター装置などが接続されている。
図8を利用して本実施形態におけるハードウェア構成部の働きについて説明する。
まず、株式上場企業特許力成長率評価装置の電源が起動されると、CPUは、ROM等の記憶装置に保持されている整理標準化データ取得プログラム、項目内容抽出プログラム、検索結果保持プログラム、陳腐化後コスト算出プログラム、合算プログラム、企業毎集計プログラム、株式購入指数作成プログラム、出力プログラム等の各種プログラムをRAMのワーク領域に展開する。
そしてCPUは、整理標準化データ取得プログラムを実行し、評価対象特許の整理標準化データを取得する。具体的には、例えばネットワーク上の整理標準化データの提供サーバにデータ送信リクエストを出力し、そのレスポンスとして受信した整理標準化データを図示しないネットワーク通信回路などを介して取得する。あるいは、図示しないディスプレイに整理標準化データの入力用GUIを出力表示し、そこに入力された整理標準化データを取得しても良い。そして取得した整理標準化データはRAMの記憶データ領域に保持される。
また、ここで取得した整理標準化データに関し、以下のように株式上場企業のものを抽出する処理を行っても良い。すなわちROMに保持されている株式上場企業リストなどをRAMに読み出す。そしてCPUの演算によって、整理標準化データで示される特許権利者名をキーとして、その株式上場企業リストの検索処理を実行する。そして一致する企業名がリスト内にあるとの検索結果である場合に、その整理標準化データは株式上場企業のものであるとしてRAMの記憶データ領域に保持される、という具合である。
次に、CPUは、項目内容抽出プログラムを実行し、ROM等の記憶領域に保持されているパターンファイルをRAMの記憶データ領域に読み込む。パターンファイルには、特許に対して取られた法律的手続きを示す標準項目名称の組合せが予め準備されている。そして、CPUはパターンファイルを利用したパターンマッチング処理を実行し、法律的手続きを示す標準項目名称の組合せを検索する。そして、その検索処理によって特定された標準項目名称の組合せに対応する項目内容および手続日を抽出する。
次に、CPUは、検索結果保持プログラムを実行し、抽出した項目内容と手続日を標準項目名称の組合せと関連付けをして、RAMの記憶データ領域に保持する。次に、CPUは、陳腐化後コスト算出プログラムを実行し、まずROM等の記憶領域に保持されているコスト表、陳腐化関数をRAMの記憶データ領域に読み込む。なお、技術分野ごとの複数の陳腐化関数がROMに格納されている場合には、例えば整理標準化データのIPC(国際特許分類)をキーとするCPUの演算処理によって、当該特許が属する技術分野に対応する陳腐化関数を特定すると良い。そしてCPUは、記憶データ領域に保持されている検索結果(項目内容)をキーとしてコスト表を検索することにより、その検索結果に対応する各コストを取得する。そして取得した各コストを陳腐化関数に代入し、CPUの演算処理によって各項目に係る陳腐化後コストを算出する。算出された各項目の陳腐化後コストはRAMの記憶データ領域に保持される。
そして、CPUは、合算プログラムを実行し、RAMの記憶データ領域に保持されている各項目の陳腐化後コストを特許について全て合算する演算処理を行う。あるいは、前述のような合算値の持分別加工処理や所定閾値での足切加工処理などを行ってから合算演算を実行するよう構成しても良い。そして、その他の特許についても同様にして合算値を算出し、算出された各特許の合算値は、その特許の権利者名と関連付けてRAMの記憶データ領域に保持される。
次に、CPUは、特許ごとに得られた合算値を、特許権利者ごとに、かつ、各特許に付された特許分類に対応付けられた特許業種分類ごとに集計する。この際には、まず、特許分類に対応付けられた特許業種分類情報を、ROMなどから読みだして、RAMの記憶データ領域に保持する。また、特許権利者ごとに、集計を行う際に名寄せテーブルを使用するのであれば、これもROMその他の外部記憶装置などから読み込んでおく。そして、特許権利者名および特許に付された特許分類に対応付けられた特許業種分類をキーとして集計演算を実行、結果をRAMの記憶データ領域に記憶する。
つづいて、CPUは、企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出するために、2以上の異なる時点における同一の株式上場企業の同一の特許業種分類の企業毎特許業種分類毎集計値を得る必要がある。これには、例えば、上記までの処理を2以上の異なる時点の整理標準化データを用いて行えばよい。あるいは、特許に対する法律手続きの手続き日を基準として、異なる時点における集計値を求めればよい。演算の結果はRAMの記憶データ領域に記憶する。なお、過去の時点の集計値については、毎月計算をしたものを記録装置に記録しおき、常時読み出し可能としておけば、都度計算を行う必要がないことは当然である。
次に、CPUは、企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出する。すなわち、例えばA社の「都市インフラ」について、2014年4月時点の集計値および2014年3月時点の集計値をRAMの記憶データ領域から読みだす。そして、2014年4月時点の集計値を2014年3月時点の集計値で除すことにより、A社の当該分野の成長率を算出する。以下、企業毎特許業種分類毎に集計値の成長率を算出し、その結果をRAMの記憶データ領域に記憶する。
そして最後に、CPUは出力プログラムを実行し、RAMの記憶データ領域に記憶されている企業毎特許業種分類毎集計値成長率を、入出力インターフェースを介して例えばディスプレイへ出力表示したり、プリンター装置から印刷出力したり、フラッシュメモリなどに記録出力したりする。
<実施形態1:処理の流れ>
図9は、本実施形態に係る株式上場企業特許力成長率評価装置の動作方法の処理の流れを示す一例である。
最初に、ステップS0901において、整理標準化データを例えばネットワーク上の情報提供サーバ装置や入力デバイスからの入力情報などを介して取得する。次に、ステップS0902において、前記取得した整理標準化データを対象として、予め準備したパターンを利用したパターンマッチング処理をCPUなどの演算処理により実行し、法律的手続きを示す標準項目名称の組合せを検索する。次に、ステップS0903において、整理標準化データから検索された標準項目名称の組合せに応じて項目内容をその手続日と関連づけて抽出する。次に、ステップS0904において、抽出された項目内容およびそれに関連付けられている手続日を標準項目名称の組合せに関連付けて、各種記録装置に記録、保持する。次に、ステップS0905において、前記抽出保持されている項目内容をキーとして予め準備されているコスト表をCPUなどの演算処理により検索して、その項目内容に対応するコストを取得する。次に、ステップS0906において、特許が属する技術分野に対応して予め準備されている陳腐化関数を取得する。また前記取得した整理標準化データや前記記録装置に記録されたデータから算定基準日、手続日、出願日を取得する。次に、ステップS0907において、取得したコスト、陳腐化関数、算定基準日、手続日、出願日を利用したCPUの演算処理によって各項目に係る陳腐化後コストを算出する。次に、ステップS0908において、算出された各項目の陳腐化後コストを特許について全て合算するCPUの演算処理を実行する。また、その他の特許に関しても同様にCPUの演算処理によって合算値を算出する。
次に、ステップS0909において、特許ごとに得られた合算値を、特許権利者ごとに、かつ、各特許に付された特許分類に対応付けられた特許業種分類ごとに集計し、企業毎特許業種分類毎集計値とする。なお、ステップS0910において企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出するために、2以上の異なる時点における整理標準化データを用いるなどして、2以上の異なる時点における企業毎特許業種分類毎集計値を得ておく。次にステップS0910においては、ステップS0909で得られた2以上の異なる時点における企業毎特許業種分類毎集計値を比較することにより(例えば、新しい時点の当該集計値を古い時点の当該集計値で除することにより)、企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出する。最後に、ステップS0911において、得られた企業毎特許業種分類毎集計値成長率を、例えばディスプレイへ出力表示したり、プリンター装置から印刷出力したり、フラッシュメモリなどに記録出力したりする。
なお、図9のフロー図は、計算機に実行させるプログラムの処理フロー図とみなすことも可能である。さらに、このようなプログラムをCDやICメモリ等の媒体に記録することも可能である。
<実施形態1:効果>
本実施形態に掛かる株式上場企業特許力成長率評価装置によれば、まず、以下のような特許群の経済的評価を行なうことができる。
これまでは、特許1件ごとの経済的価値をミクロ評価するために莫大な費用(例えば、1件当たり300万円程度)と時間を必要としていたために、特許群の経済的価値のミクロ評価は難しいとされていた。ここでいうミクロ評価とは1件の特許に対して詳細な調査を行い、その経済的価値を算出することである。本実施形態では、第三者が障害特許を調査し自己の事業への障害度合いを評価した結果起こしたアクションを評価対象としているので、第三者のミクロ評価の結果を間接的に評価していることになる。第三者の感じる事業障害度合いが経過情報に散りばめられており、それを評価対象としているのでマクロ評価でありながら解像度の高いデータになっている。
よって、本件発明によって、算出される特許当たりの合算値は、スコアリングを利用せずに客観データのみを用いて算出されたものであるので、恣意性を完全に排除しているという特徴を持つ。
そして、そのような特徴を有する合算値を、特許権利者毎かつ特許業種分類ごとに集計し、その集計値の成長率を算出することにより、極めて精緻かつ客観的に、各特許権利者の、各業種に関わりの深い分野の特許力の成長率を把握することができる。これにより、高成長業種における技術的および特許的観点からの高成長企業を把握することができるようになる。
<<実施形態2>>
<実施形態2:概要>
本実施形態の株式上場企業特許力成長率評価装置は、上記実施形態1と同様に、各特許の独占的排他力を示す客観的なデータのみを用いて算出される経済的評価(合算値)を、特許権利者毎かつ特許業種分類ごとに集計し、その集計値の成長率を算出する。さらには算出された成長率を用いて、技術的および特許的観点からの高成長企業を選定し、出力することを特徴とする。
<実施形態2:構成>
本実施形態に係る株式上場企業特許力成長率評価装置の機能ブロック図を図10に例示する。図10に示す株式上場企業特許力成長率評価装置(1000)は、「整理標準化データ取得部」(1001)と、「項目内容抽出部」(1002)と、「検索結果保持部」(1003)と、「コスト表保持部」(1004)と、「陳腐化関数格納部」(1005)と、「陳腐化後コスト算出部」(1006)と、「合算部」(1007)と、「出力部」(1008)と、「特許業種分類情報格納部」(0109)と「企業毎特許業種分類毎集計部」(1010)と「成長率算出部」(1011)と、「企業選定部」(1012)を有する。
なお、「整理標準化データ取得部」と「項目内容抽出部」と「検索結果保持部」と「コスト表保持部」と「陳腐化関数格納部」と「陳腐化後コスト算出部」と「合算部」と「出力部」と「特許業種分類情報格納部」と「企業毎特許業種分類毎集計部」と「成長率算出部」についての説明は、上記実施形態1で記載した同名の構成要件のものと基本的には同じであるため省略する。
「企業選定部」(1012)は、成長率算出部で得られた企業毎特許業種分類毎集計値成長率が上位である株式上場企業を選定する。具体的には、CPUなどの演算装置と株式上場企業選定プログラムなどによって実現することができる。
「企業選定部」は、企業毎特許業種分類毎集計値成長率が上位である企業を選定することに特徴がある。もっとも単純な選定の条件としては、各特許業種分類に属する企業のなかで、成長率が「上位20社」に含まれる企業や、「上位10%以上のグループ」に属する企業など、上位の一定以上に含まれることのみを選定条件として企業を選定する方法であるが、さらにさまざまな条件を付すことが可能である。
というのも、成長率には、絶対値として成長した値が同じでも、元の値が小さいほど大きな率として算出されてしまうという性質がある。すなわち極端な例を挙げれば、企業Aの「環境・エネルギー」分野における、ある過去の時点の値が0.1点であり、現在の値が1点である場合、わずか0.9点の成長幅であるにも関わらず、成長率は+900%と、極めて高い値に計算されるのである。これは成長率の計算結果としては間違っていないが、「環境・エネルギー」分野の集計値の平均値が、100点ぐらいだとすると、わずか0.1点が1点に伸びた企業を「環境・エネルギー」分野の技術高成長企業とみなすことは妥当ではないだろう。
そこで、「企業選定部」では、成長後の企業毎特許業種分類毎集計値が50点以上の企業のみを選定対象の母集団とする、などの条件を付することができる。この条件は、いかなる条件であっても構わないが、例えば、企業毎集計値(図7に例)が200点以上、各特許業種分類における企業毎特許業種分類毎集計値が50点以上、証券取引所における前年の月売買高の平均額が1億円以上の株式上場企業であって、各特許業種分類における過去3年間の月間企業毎特許業種分類毎集計値成長率の平均が上位「20社」の企業を選定すると、好適に技術高成長企業選定できることが実証されている。図26が当該基準で選定した企業の株式を均等購入した場合の累積リターンの過去シミュレーション(2004年3月から2014年3月。他にも条件あり。詳細は実施形態3で説明する)である。当該過去シミュレーション(上の折れ線グラフ「YKS総合」)は、ベンチマーク(下の折れ線グラフ「TOPIX」)と比較しても、パフォーマンスが良いことがわかる。なお、上位「15社」、「10社」「5社」と、上位を絞り込んだ方が、より高いパフォーマンスが出ると期待されるものである。
なお、当該シミュレーションでは、YKS技術業種分類における大分類によって、各特許業種分類における技術高成長企業を選定したが、中分類や小分類、あるいは複数の分類を組み合わせて作成されるグループから技術高成長銘柄を選定しもよいことは当然である。
また、母集団の選定条件として、特許件数や出願件数などの特許関連データ、および売上高や営業利益、時価総額の企業財務および株式関連データなどによる条件を加えてもよいことは当然である。さらに、本実施形態では、成長率をそのまま選定の基準に用いたが、例えば、当該成長率から偏差値をもとめてから当該偏差値が60以上である企業を選定するなどの追加構成を付してよいことは当然である。
<実施形態2:処理の流れ>
図12は、本実施形態に係る株式上場企業特許力成長率評価装置の動作方法の処理の流れを示す一例である。
最初に、ステップS1201において、整理標準化データを例えばネットワーク上の情報提供サーバ装置や入力デバイスからの入力情報などを介して取得する。次に、ステップS1202において、前記取得した整理標準化データを対象として、予め準備したパターンを利用したパターンマッチング処理をCPUなどの演算処理により実行し、法律的手続きを示す標準項目名称の組合せを検索する。次に、ステップS1203において、整理標準化データから検索された標準項目名称の組合せに応じて項目内容をその手続日と関連づけて抽出する。次に、ステップS1204において、抽出された項目内容およびそれに関連付けられている手続日を標準項目名称の組合せに関連付けて、各種記録装置に記録、保持する。次に、ステップS1205において、前記抽出保持されている項目内容をキーとして予め準備されているコスト表をCPUなどの演算処理により検索して、その項目内容に対応するコストを取得する。次に、ステップS1206において、特許が属する技術分野に対応して予め準備されている陳腐化関数を取得する。また前記取得した整理標準化データや前記記録装置に記録されたデータから算定基準日、手続日、出願日を取得する。次に、ステップS1207において、取得したコスト、陳腐化関数、算定基準日、手続日、出願日を利用したCPUの演算処理によって各項目に係る陳腐化後コストを算出する。次に、ステップS1208において、算出された各項目の陳腐化後コストを特許について全て合算するCPUの演算処理を実行する。また、その他の特許に関しても同様にCPUの演算処理によって合算値を算出する。
次に、ステップS1209において、特許ごとに得られた合算値を、特許権利者ごとに、かつ、各特許に付された特許分類に対応付けられた特許業種分類ごとに集計し、企業毎特許業種分類毎集計値とする。なお、ステップS1210において企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出するために、2以上の異なる時点における整理標準化データを用いるなどして、2以上の異なる時点における企業毎特許業種分類毎集計値を得ておく。次にステップS1210においては、ステップS1209で得られた2以上の異なる時点における企業毎特許業種分類毎集計値を比較することにより(例えば、新しい時点の当該集計値を古い時点の当該集計値で除することにより)、企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出する。次に、ステップS1211において、S1210で得られた企業毎特許業種分類毎集計値成長率が上位である企業を選定する。最後に、ステップS1212において、得られた選定企業を、例えばディスプレイへ出力表示したり、プリンター装置から印刷出力したり、フラッシュメモリなどに記録出力したりする。
なお、図12のフロー図も、計算機に実行させるプログラムの処理フロー図とみなすことも可能である。さらに、このようなプログラムをCDやICメモリ等の媒体に記録することも可能である。また、図11に本実施形態を実施する際のハードウェア構成の一例を図示してある。実施形態1のハードウェア構成と基本的に同じ構成であるため、ここでは説明は省略する。
<実施形態2:効果>
本実施形態に掛かる株式上場企業特許力成長率評価装置によっても、実施形態1と同様にスコアリングを利用せずに客観データのみを用いて算出された合算値を、特許権利者毎かつ特許業種分類ごとに集計し、その集計値の成長率を算出することにより、極めて精緻かつ客観的に、各特許権利者の、各業種に関わりの深い分野の特許力の成長率を把握することができる。さらには当該成長率をもとに、さまざま条件を付して成長率上位の企業を選定することにより、さまざま目的に応じた技術的および特許的観点からの高成長企業を選定することができるようになる。
<<実施形態3>>
<実施形態3:概要>
本実施形態の株式上場企業特許力成長率評価装置は、上記実施形態1および2と同様に、各特許の独占的排他力を示す客観的なデータのみを用いて算出される経済的評価(合算値)を、特許権利者毎かつ特許業種分類ごとに集計し、その集計値の成長率を算出する。また、上記実施形態2と同様に、算出された成長率を用いて、技術的および特許的観点からの高成長企業を選定する。そして、選定された株式上場企業のある時点における時価総額又は株価を基準として他の時点における相対値である特許力高成長銘柄指数を算出し、出力することを特徴とする。
<実施形態3:構成>
本実施形態に係る株式上場企業特許力成長率評価装置の機能ブロック図を図13に例示する。図13に示す株式上場企業特許力成長率評価装置(1300)は、「整理標準化データ取得部」(1301)と、「項目内容抽出部」(1302)と、「検索結果保持部」(1303)と、「コスト表保持部」(1304)と、「陳腐化関数格納部」(1305)と、「陳腐化後コスト算出部」(1306)と、「合算部」(1307)と、「出力部」(1308)と、「特許業種分類情報格納部」(1309)と「企業毎特許業種分類毎集計部」(1310)と「成長率算出部」(1311)と、「企業選定部」(1312)と、「指数算出部」(1313)とを有する。
なお、「整理標準化データ取得部」と「項目内容抽出部」と「検索結果保持部」と「コスト表保持部」と「陳腐化関数格納部」と「陳腐化後コスト算出部」と「合算部」と「出力部」と「特許業種分類情報格納部」と「企業毎特許業種分類毎集計部」と「成長率算出部」と「企業選定部」についての説明は、上記実施形態2で記載した同名の構成要件のものと基本的には同じであるため省略する。
「指数算出部」(1313)は、企業選定部により選定された株式上場企業のある時点における時価総額又は株価を基準として他の時点における相対値である特許力高成長銘柄指数を算出する。具体的には、CPUなどの演算装置と株式上場企業選定プログラムなどによって実現することができる。
「指数算出部」(1313)は、企業選定部により選定された株式上場企業から構成される特許力高成長銘柄指数を算出するできることに特徴がある。特許力高成長銘柄指数は、いわゆる株価指数の一種である。株価指数とは市場に上場された全企業または代表的企業の株価を指数化したものであり、市場のベンチマークとなるものである。
株価指数の計算式にはさまざまな方式がある。例えば、ある時点の時価総額に対する算出時の時価総額の割合を用いる方式や、株価をそのまま用いる方式、みなし額面で調整した株価を用いる方式などである。本発明においては、既知のあらゆる指数算出式を用いてもよいものであるが、本実施形態では、図24の式を一例として記載する。
以下、2年に一度、銘柄組換を一斉に行うものとして説明をする。まず、構成銘柄1からNそれぞれについて、銘柄組換時点の時価総額に対する、指数値算出時点の時価総額の割合を算出する。そして、構成銘柄1からNの当該割合の単純平均を求め、銘柄組換時点の指数値に掛け合わせる。ただし、指数組成時の初期値は1000点とし、最初の銘柄組換である2年目までは、この1000点に当該単純平均を掛け合わせ、2年目から、銘柄組換時点の指数値に当該単純平均を掛け合わせるものとする。すなわち、初期値1000点とし、銘柄組換後も指数値に継続性を持たせるため、銘柄組換後は直近の銘柄組替時の指数値を基準値とするのである。図25および図26が実施形態2の基準で選定した銘柄を、本実施形態の算出式によって算出した指数の過去シミュレーション(2004年3月から2014年3月)である。なお、YKS総合とは、各YKS業種大分類の全組入銘柄から算出した指数である。ただし、YKS分類は一つの企業が複数の業種に属する場合がある。この場合は重複して計算している。
当該シミュレーションでは、YKS技術業種分類における大分類によって、各特許業種分類における技術高成長企業を選定したが、中分類や小分類、あるいは複数の分類を組み合わせて作成されるグループから技術高成長銘柄を選定しもよいことは当然である。
また、母集団の選定条件として、特許件数や出願件数などの特許関連データ、および売上高や営業利益、時価総額の企業財務および株式関連データなどによる条件を加えてもよいことは当然である。さらに、各銘柄の重みづけに、企業毎特許業種分類毎集計値や、時価総額などを用いてもよいし、株価の単純平均を用いてもよい。さらには、銘柄入れ替え期間を2年ではく、1年や半年などにしてもよいことは当然である。
<実施形態3:処理の流れ>
図15は、本実施形態に係る株式上場企業特許力成長率評価装置の動作方法の処理の流れを示す一例である。
最初に、ステップS1501において、整理標準化データを例えばネットワーク上の情報提供サーバ装置や入力デバイスからの入力情報などを介して取得する。次に、ステップS1502において、前記取得した整理標準化データを対象として、予め準備したパターンを利用したパターンマッチング処理をCPUなどの演算処理により実行し、法律的手続きを示す標準項目名称の組合せを検索する。次に、ステップS1503において、整理標準化データから検索された標準項目名称の組合せに応じて項目内容をその手続日と関連づけて抽出する。次に、ステップS1504において、抽出された項目内容およびそれに関連付けられている手続日を標準項目名称の組合せに関連付けて、各種記録装置に記録、保持する。次に、ステップS1505において、前記抽出保持されている項目内容をキーとして予め準備されているコスト表をCPUなどの演算処理により検索して、その項目内容に対応するコストを取得する。次に、ステップS1506において、特許が属する技術分野に対応して予め準備されている陳腐化関数を取得する。また前記取得した整理標準化データや前記記録装置に記録されたデータから算定基準日、手続日、出願日を取得する。次に、ステップS1507において、取得したコスト、陳腐化関数、算定基準日、手続日、出願日を利用したCPUの演算処理によって各項目に係る陳腐化後コストを算出する。次に、ステップS1508において、算出された各項目の陳腐化後コストを特許について全て合算するCPUの演算処理を実行する。また、その他の特許に関しても同様にCPUの演算処理によって合算値を算出する。
次に、ステップS1509において、特許ごとに得られた合算値を、特許権利者ごとに、かつ、各特許に付された特許分類に対応付けられた特許業種分類ごとに集計し、企業毎特許業種分類毎集計値とする。なお、ステップS1510において企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出するために、2以上の異なる時点における整理標準化データを用いるなどして、2以上の異なる時点における企業毎特許業種分類毎集計値を得ておく。次にステップS1510においては、ステップS1509で得られた2以上の異なる時点における企業毎特許業種分類毎集計値を比較することにより(例えば、新しい時点の当該集計値を古い時点の当該集計値で除することにより)、企業毎特許業種分類毎集計値成長率を算出する。次に、ステップS1511において、S1510で得られた企業毎特許業種分類毎集計値成長率が上位である企業を選定する。次に、ステップS1512において、S1511で選定された株式上場企業のある時点における時価総額又は株価を基準として他の時点における相対値である特許力高成長銘柄指数を算出する。最後に、ステップS1513において、得られた指数を、例えばディスプレイへ出力表示したり、プリンター装置から印刷出力したり、フラッシュメモリなどに記録出力したりする。
なお、図15のフロー図も、計算機に実行させるプログラムの処理フロー図とみなすことも可能である。さらに、このようなプログラムをCDやICメモリ等の媒体に記録することも可能である。また、図14に本実施形態を実施する際のハードウェア構成の一例を図示してある。実施形態1のハードウェア構成と基本的に同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。
<実施形態3:効果>
本実施形態に掛かる株式上場企業特許力成長率評価装置によっても、実施形態1と同様にスコアリングを利用せずに客観データのみを用いて算出された合算値を、特許権利者毎かつ特許業種分類ごとに集計し、その集計値の成長率を算出することにより、極めて精緻かつ客観的に、各特許権利者の、各業種に関わりの深い分野の特許力の成長率を把握することができる。また、実施形態2と同様に当該成長率をもとに、さまざま条件を付して成長率上位の企業を選定することにより、さまざま目的に応じた技術的および特許的観点からの高成長企業を選定することができるようになる。さらには、このように選定された企業から構成される株式投資などに好適な指数を作成することができる。例えば高成長分野である「環境」や「バイオ」をテーマとしたファンドやETFの組成、技術系銘柄の株式指数作成などを、容易かつ客観的なデータのみに基づいて行うことが可能となる。