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JP6449248B2 - イオン交換強化3dガラスカバーを作製するための補償金型 - Google Patents
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JP6449248B2 - イオン交換強化3dガラスカバーを作製するための補償金型 - Google Patents

イオン交換強化3dガラスカバーを作製するための補償金型 Download PDF

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Description

関連出願との相互参照
本出願は2013年5月7日に出願された米国仮特許出願第61/820318号の米国特許法第119条の下の優先権の恩典を主張する。本明細書は上記仮特許出願の明細書の内容に依存し、上記仮特許出願の明細書の内容はその全体が参照により本明細書に含められる。
本開示は、モバイルまたは携帯型の電子デバイスのような、電子デバイスのための三次元ガラスカバー(3Dガラスカバー)に関する。さらに詳しくは、本開示はイオン交換強化(IOX強化)された三次元ガラスカバー及びそのようなガラスカバーを作製するために用いられる金型に関する。
図1は、電話、テレビジョン、タブレット、モニタ等のような、電子デバイスとともに用いられ得る、(技術上「3Dカバーガラス」としても知られる)3Dガラスカバーに対する、限定ではない、代表的形状を示す。本図に示されるように、3Dガラスカバー100は、(i)中央平面領域101,(ii)周縁領域102及び(iii)周端面103を有する。
中央平面領域101は平坦またはほぼ平坦である。すなわち、その曲率半径が少なくとも300mmである。周縁領域102は中央平面領域101の面外に広がり、したがって、二次元形状ではなく、全体として三次元形状をもつガラスカバーを提供する。図1に示されるように、周縁領域102は中央領域101を完全に囲んでいるが、いくつかの実施形態において、周縁領域は中央領域の一部だけの周辺に広がることができ、例えば長方形のガラスカバーに対して、ガラスカバーの4辺の全てよりは少ない辺が周縁領域を有することができる。例えば、2つの辺が周縁領域を有することができ、他の2つの辺は平坦または実質的に平坦とすることができる。同様に、三次元形状であるためには、ディスクまたはソーサーの形態にあるガラスカバーであれば、平坦またはほぼ平坦な中央領域の一部を、平坦またはほぼ平坦な領域の面外に広がる周縁領域に遷移させればよい。
明らかであろうように、3Dガラスカバーの形状は3Dガラスカバーが用いられるであろうデバイスの設計者の所望に応じて広範に変わり得る。したがって、3Dガラスカバーは様々な全体形状を有することができ、様々な大きさ及び形状の中央領域及び周縁領域を有することができ、中央領域と周縁領域の間に様々な遷移形状を用いることができる。2013年2月22日に出願されて、共通に譲渡され、米国特許出願公開第2013/0323444号として公開された、名称を「カバーガラス品(Cover Glass Article)」とする特許文献1は、3Dガラスカバーに対する様々な代表的な寸法を、またそれらのカバーについての代表的な用途も、提供している。特許文献1の内容は本明細書に参照により含められる。本明細書に開示される成形技術はこれらのタイプの3Dガラスカバーに、また現在知られているかまたは今後開発される別のタイプにも、用いることができる。
周端面103の横断寸法(厚さ)はガラスカバーがつくられるガラスの厚さに対応し、一般に1mmより薄く、例えば0.8mm以下である。厚さがこのように薄いことから、本開示以前には、イオン交換(IOX)強化の結果としての3Dカバーガラスの全体形状の変化の予測において、周端面における応力変化は無視できると考えられていた。特に、面積ベースでは、代表的なガラスカバーの周端面の面積はパーツの全面積の約2%未満にしかならない。よって、端面を介して交換されるイオンの数は、交換されるイオンの総数の内の僅かな分率でしかなく、したがって、交換されるイオンの総数に対し、これらの僅かなイオンがパーツの構造的挙動に与える影響は僅かでしかないであろうと想定することが妥当であるとされていた。
実際は、本開示にしたがえば、驚くことに、端面におけるイオン交換は全体形状に実質的な効果を有するだけでなく、多くの場合、その効果はパーツの残り部分へのイオン交換の効果より大きいこともわかった。すなわち、端面を通って移動するイオンはパーツの残り部分の表面を通って移動するイオンの総数に対して少数でしかないが、これらの端面通過イオンはIOX強化の結果として3Dガラスカバーにより示される形状変化に重大な影響をもつ。商品価値に関し、この発見により、ガラスカバーに対する顧客の公差要件を有効かつ効率的に満たすような3Dガラスカバーの製造が可能になる。特に、以下で詳細に説明されるように、3Dガラスカバーの製造業者による、IOX強化されるときにガラスカバーが示すであろう形状の変化を正確に補償するこれらのガラスカバーを形成するための金型の作製が可能になる。したがって、本技術は、3Dガラスカバーに対して審美的に好ましいデザインを創る設計者の能力、及び設計者によって思い描かれた形状を正確に作成するためのガラスカバーの製造業者の能力への価値ある貢献を表す。
米国特許出願第13/774238号明細書
第1の態様にしたがえば、ガラスカバー(100)を作製する方法が開示され、ガラスカバー(100)は、中央平面領域(101)及び、(i)中央平面領域(101)の少なくとも一部と境界を接し、(ii)中央平面領域(101)の面外に広がってガラスカバー(100)に三次元性を与える、周縁領域(102)を含む目標三次元形状を有し、周縁領域(102)は周端面(103)を有し、方法は、
(I) ガラスカバー(100)を形成するための金型(200)であって、成形面(208)を有する金型(200)を提供する工程、
(II) 工程(I)の金型(200)を用いてガラスカバー(100)を作製する工程、及び
(III) 工程(II)で作製されたガラスカバー(100)をイオン交換強化する工程、
を含め、
工程(I)の金型(200)の成形面(208)の形状は、少なくともいくらかは、工程(III)のイオン交換強化の結果として目標三次元形状にかかる変化を予測/推定する、コンピュータ実施シミュレーションに基づき、コンピュータ実施シミュレーションは周端面(103)を介するイオン交換の効果を含む。
必要に応じて、ガラスカバーは、残留熱応力を解放するために、工程(II)と工程(III)の間でアニールすることができる。
第2の態様にしたがえば、イオン交換強化後の三次元ガラスカバー(100)の形状の変化を予測/推定するための、コンピュータ実施方法が開示され、ガラスカバー(100)は、中央平面領域(101)及び、(i)中央平面領域(101)の少なくとも一部と境界を接し、(ii)中央平面領域(101)の面外に広がってガラスカバー(100)に三次元性を与える、周縁領域(102)を含み、周縁領域(102)は周端面(103)を有し、方法は、ガラスカバー(100)の形状への周端面(103)を介するイオン交換の効果をシミュレートするため、イオンの端面通過を許す、周端面(103)における境界条件を用いる工程を含む。
上記方法の実施形態において、イオン拡散は熱拡散として扱われ、周端面における境界条件は熱流の端面通過を許す。
本発明の態様の上述した要約において用いられた参照数字は読者の簡便さのために過ぎず、本発明の範囲の限定は目的とされておらず、また本発明の範囲を限定すると解されるべきではない。より一般的には、上述の全般的説明及び以下の詳細な説明のいずれもが本発明の例示に過ぎず、本発明の本質及び特質の理解のための概要または枠組みの提供が目的とされていることは当然である。
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明に述べられ、ある程度は、当業者にはその説明から容易に明らかであろうし、あるいは本明細書の説明によって例示されるように本発明を実施することで認められるであろう。添付図面は本発明のさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて、本明細書の一部をなす。本明細書及び図面に開示される本発明の様々な特徴はいずれかの及び全ての組合せで用いることができる。
代表的な3Dガラスカバーの斜視図 3Dガラスカバーを作製するための代表的な金型を示す簡略な断面図 一例のソーサー形パーツの断面図(パーツの「端面」が矢印で示されている) 図3のパーツに対する曲がり形状の断面図(x軸及びy軸の数値は任意である) 元の軸対称形状(実線)と反った軸対称形状(破線)を示す略図 イオン拡散に対する解析解を得ることができる幾何構造を示す略図 図3及び4に示される幾何構造に対する有限要素解析結果を示す略図(直線はイオン交換前にガラスがとっていた形状を示す) 図3及び4に示される幾何構造に対する有限要素解析結果を示す略図(直線はイオン交換前にガラスがとっていた形状を示す) 図3及び4に示される幾何構造に対する有限要素解析結果を示す略図(特に、本図ではカバーの端面が、カバーのこの部分だけがイオン交換されていることを示すため、拡大されている;直線はイオン交換前にガラスがとっていた形状を示す) 様々な幾何構造変数を識別している、ソーサー形パーツの簡略な断面図 6つの場合に対する有限要素解析結果を示す略図(左側の列に対してはα=10°、右側の列に対してはα=90°である;直線はイオン交換前にガラスがとっていた形状を示す) 図10のソーサー形パーツの反り対角度αを示すグラフ(α=90°において図10の高さhは7.7mmである) 図10のソーサー形パーツの反り対角度βを示すグラフ 図10のソーサー形パーツの反り対ソーサーの面外周縁領域の長さxを示すグラフ 図10のソーサー形パーツの反り対ソーサーの中央平面領域の長さを示すグラフ IOX強化の結果としてのパーツの反りの予測に用いるに適する、3Dガラスカバーの主表面にわたる代表的なメッシングを示す、代表的な3Dガラスカバーの一部の簡略な斜視図 そのIOX反り挙動が予測/推定されるべき3Dガラスカバーの端面にわたる代表的なメッシングを示す、代表的な3Dガラスカバーの一部の簡略な斜視図 本開示の一実施形態にしたがう金型外形補正方法を示すフローチャート IOX強化中の3Dガラスカバーの反りのシミュレート時に3Dガラスカバーの端面を含めることの重要性を示す略図 3Dガラスカバーの湾曲領域(周縁領域)における、CAD形状(目標形状)に対するIOX反りを示すグラフ 3Dガラスカバーの平面領域(中央領域)における、CAD形状(目標形状)に対するIOX反りを示すグラフ 金型が補正されていない場合の、成形したまま(曲線108)及びIOX後(曲線109)の3Dガラスカバーに対する測定データのグラフ 図22と同じ金型を用いているが、本開示にしたがう補正後の、成形したまま(曲線110)及びIOX後(曲線111)の3Dガラスカバーに対する測定データのグラフ
図4〜5,7〜9,11及び19に示される反りは定比では描かれておらず、説明の目的のためにy軸のスケールが拡大されている。
上で論じたように、本開示は、3Dガラスカバーの設計者によって指定された形状(目標形状:形状がCAD製図によって指定されている場合には「CAD形状」としても知られる)に厳密に対応する形状を有するIOX強化3Dガラスカバーを作製する方法に関する。本開示は、IOX強化時に3Dガラスカバーが受ける形状の変化を補償する(補正する)金型面を有する金型を設計するための方法にも関する。
詳しくは、イオン交換後、3Dガラスカバーはパーツ形状に依存して10〜150μmの範囲で反る。これは、ガラス厚の外側約40から約100μmの領域において小径イオン、例えばナトリウムイオンが、大径イオン、例えばカリウムイオンによって置換される、IOXにおける膨張のためにおこる。この膨張はガラスの寸法を大きくする。平ガラスにおいて、IOXにおけるこの寸法増加は約0.04%である。以下で論じられるように、3D形状を有するガラスにおいて、ガラスの挙動は単純な寸法増加より遙かに複雑である。
IOX反りの結果としての形状偏差は、顧客仕様が一般に±100μmであるから望ましくない。このIOX反りを補償するため、本開示にしたがえば、IOX強化後に、パーツの形状が、補正がなければとったであろう形状よりも目標形状に近くなるような態様で、成形されたままのパーツを目標形状から逸らせる、金型外形補正が用いられる。すなわち、成形されたままのパーツは、IOX強化されたパーツが目標形状に近づくであろうように、目標形状から逸らされる。
IOX反りはガラスカバーの全体形状の詳細に、またカバーの端面の形状及び厚さの詳細にも、依存するから、一般に、作製されるべき3Dガラスカバーのそれぞれについて、個々に調整された金型補正値が必要になる。本開示の一態様にしたがえば、これらの補正値は、IOX反り問題を熱拡散問題に転換し、よって市販のソフトウエア、例えば米国15317,ペンシルバニア州キャノンズバーグ(Canonsburg)テクノロジードライブ275のアンシス社(ANSYS Inc.)から販売されている、ANSYS(登録商標)ソフトウエアを用いて、IOX問題を解くことを可能にすることで得ることができる。ANSYSソフトウエアは、完全に検証されている、最新技術の有限要素法及びグラフィカルディスプレイ手法を用いている。また、目標形状及び、特に、CADフォーマットの目標形状は、そのような市販ソフトウエアに容易に入力することができる。実際問題として、本明細書に開示される技術を用いれば、物理的な金型への反復変更を繰り返す必要なしに、金型外形補正を迅速に得ることができる。実際、多くの場合、IOX後のCADからの偏差をほぼ±10μmまで減じ、よって3Dガラスカバーが顧客仕様を満たし得るには、一回の反復で十分であろう。
いくつかの実施形態において、3Dガラスカバーは、米国特許出願公開第2010/0000259号及び第2012/0297828号の明細書に説明されるような熱再形成プロセスを用いて、2Dガラス板から作製される。上記の明細書は本明細書に参照により含められる。いくつかの実施形態において、2Dガラス板はフュージョンプロセスで作成されるが、フロートプロセスまたはロールプロセスによるような、別のプロセスで作成された2Dガラス板を用いることもできる。
図2は、上掲の特許出願明細書に開示されるタイプの熱再形成での使用に適する、代表的な金型を示す簡略な断面図である。本図において、金型200は上面206及びキャビティ204を有する金型本体202を含む。キャビティは上面206において開き、キャビティの底は成形(整形)面208を含む。成形面208は、本開示にしたがい、IOX反りを補償するために補正された表面プロファイルを有する。了解され得るであろうように、成形面208のプロファイルは、作製されるべき3Dガラスカバーの詳細に依存して、図2に示されるプロファイルから変わるであろう。
図2に示されるように、金型本体202は、金型本体の底面215から成形面まで延びる、1つ以上の(本明細書では以降「開口」と称される)穴/スロット210を有することができる。開口210は金型の外部と成形面の間の流通を提供するために配される。一例において、開口は真空開口である。すなわち、開口は、成形面208を介してキャビティ204に真空を与えるため、真空ポンプまたはその他の装置(図示せず)に連結することができる。
図2はキャビティ204の上に配置される部分220を有する平ガラス板218も示す。手短にいえば、図2に示されるタイプの金型を用いる3Dガラスカバーの形成において、ガラス板218がキャビティ204内に垂れ下がるようにガラス板218に熱が印加され、同時に軟化したガラスを成形面208につくり込まれた形状と一致させるために真空が印加される。このプロセスにともなう温度に耐えるように、金型200は耐熱材料で作製することができる。一例として、金型は高温鋼または鋳鉄で作製することができる。金型の寿命を延ばすため、金型とガラスカバーを構成するガラスの間の相互作用を弱める高温材料、例えばクロムコーティング、で成形面を被覆することができる。
金型からの取外し及び望まれるような成形後処理、例えばアニールの後、成形された3Dガラスカバーはイオン交換強化にかけられる。3Dガラスカバーの特定の性能要件及びカバーを構成しているガラスの組成に依存して、現在知られているかまたは今後開発される様々なイオン交換手法を用いることができる。そのようなプロセスの例は、米国特許出願第13/923837号がその恩典を主張している、2012年6月29日に出願された、名称を「ガラス品を化学強化するための方法(Methods for Chemically Strengthening Glass Articles)」とする、米国仮特許出願第61/666341号の明細書に見ることができる。上記特許出願及び仮特許出願の明細書の内容は本明細書に参照により含められる。イオン交換強化に適するガラス組成の例は、米国特許第4483700号、第5674790号、第7666511号及び第8158543号並びに米国特許出願公開第2009/0142568号、第2011/0045961号、2011/0201490号、2012/0135226号及び第2013/0004758号の明細書に見ることができる。上記の特許及び特許出願公開の明細書の内容は本明細書に参照により含められる。
大略すると、イオン交換強化は、成形ガラス品を高温の塩浴にあらかじめ定められた時間浸漬することで、成形ガラス品を処理する工程を含む。このプロセスは、塩浴からのイオン、例えばカリウムイオンをガラス内に拡散させ、同時にガラスからのイオン、例えばナトリウムイオンをガラス外に拡散させる。それぞれのイオン半径が異なるため、このガラスと塩浴の間のイオンの交換の結果、ガラスの機械的特性、例えば表面硬度を高める、ガラスの表面における圧縮層の形成がおこる。イオン交換プロセスの効果の特徴は一般に2つのパラメータ、(1)プロセスによって生じる層深さ(DOL)及び(2)最終最大表面圧縮応力(CS)によって表される。これらのパラメータに対する値は光学測定を用いて最も簡便に決定され、この目的には市販の装置、例えば、Frontier Semiconducutor社及び(有)折原製作所から販売されている計測器を利用できる。
上で論じたように、本開示にしたがえば、驚くことに、3Dガラスカバーの(1つまたは複数の)面外端面においておこるイオン交換が、実際上、ほとんどの場合に、IOXプロセスの結果のカバーの反りの主要な推進源であることがわかった。いかなる特定の動作理論に捉われるものではないが、この効果は、後から考えると、曲げモーメントで解釈することができる(参照を容易にするため、以下の解析では、より正確な表現「単位長当たりの曲げモーメント」の代わりに表現「曲げモーメント」が用いられることに注意されたい)。
曲げモーメントの最も単純な例の1つは、z方向にとられるべき、厚さ方向でしか歪が変化しない、長く薄いバーに沿っておこる。この場合の曲げモーメント積分は式(1):
Figure 0006449248
で定められる。ここで、Eはガラスビームのヤング率、Bは格子膨張係数(交換されたイオンの濃度をひずみに変換する因子)、C(z)は[大径イオンの濃度]−[そのベースガラス内の値]であり、深さzは底面における−h/2から上面における+h/2まで変化する。
この定義を用いれば、濃度プロファイルC(z)を創るための上面及び底面のイオン交換後のビームの最終形状は、式(2):
Figure 0006449248
で与えられる。
いかなる剛体運動も無視しているこの結果は、ビームの中心線(すなわち、ビームの中心を通る線)に沿う(本明細書ではwと呼ばれる)変位の、ビームに沿う長さの関数としての、z成分の有効な表現である。ここで、x=0はビームの中心にある。この最終式は、ビームの曲りがヤング率Eに無関係であり、格子膨張係数B,ビーム高h及び濃度プロファイルにしか依存しないことを示す。熱拡散に対する同様の導出を、ビー・エイ・ボーリー(B. A. Boley)及びジェイ・エイチ・ウィーナー(J. H. Weiner)著,「熱応力の理論(Theory of Thermal Stresses)」,ドーバー出版(Dover Publications),1988年,p.279及び以降のページ(以降、「ボーリー/ウィーナー」と称する)、に見ることができる。
濃度プロファイルが中心z=0に関して対称であれば、式(1)の曲げモーメント積分はゼロであり、ビームの曲りはない。濃度プロファイルが、例えばフロートガラスの場合のように、製造の非対称性によって非対称であれば、曲げモーメント積分は非ゼロであり、ビームは式(2)で与えられるように放物形状をとるであろう。例えば、下半部分におけるよりも多くのイオンが上半部分において交換されれば、Mに対する積分は正の値になり、曲りは式(2)の負号にしたがって負方向になるであろう。これは入るイオンが多くなるほどガラスは大きく膨張し、この側の表面から対向側の表面に向かう曲りをビームに生じさせるから、直感的に理にかなっている。
関心のある実用パーツにいくらかは似ている3D形状に移るため、次に周縁において急激に反り返るディスク形パーツの軸対称3D事例を考察する。これは、一般に長方形(例えば、図1及び16を参照されたい)及び、その大きさはIOX反りのさらなる変数であり得る、曲げ半径≧1mm(例えば、図1,16及び17を参照されたい)を有する、現実的事例の単純化を意味する。発明者等が以下に示すように、ガラス端面のイオン交換の結果としての実3Dパーツの反りは主として、発明者等が説明しようとしている同じ機構によって推進され、この機構は、下層部分を曲げることで寸法をより大きくする、端面におけるガラスの膨張を含む。曲がりは上の簡単な例におけるような非ゼロ曲げモーメントによって推進される。
単純化された幾何構造が図3に示される。物体の一断面だけが示され、物体の全体はその中心を通って垂直に延びる軸の周りでこの断面を180°回転させることで得られる。このパーツの端面がイオン交換されると、図3の矢印の先端近くのガラスの領域は、表面からさらに離れた近くのガラスに対して、膨張しようとする。端面でつくられるリングの周を大きくすることができれば、イオン交換による自由ひずみで蓄積される弾性エネルギーの内のいくらかが解放されるであろう。例えば、パーツが図4に示される形状をとるように、パーツが球面上に押し下げられていると想像されたい。
パーツが図4の形状をとることができれば、ガラスの端面に沿う周は実際に大きくなる。これはいくらかの弾性エネルギーを解放するであろうから、曲がりが弾性エネルギーを消費するにしても、パーツはこの態様で曲がる傾向をもつであろう。パーツ全体の曲がりに対する抵抗は、厚さ及びその他の詳細に依存する端面における周の拡大によって得られるエネルギーより小さくなり得る。
定量的に、周の拡大は以下のように与えられる。曲がる前のパーツの元の半径をaとすると、端面の元の周は、式(3):
Figure 0006449248
である。
(一般にaよりかなり大きい)曲がり部分の曲率半径をRとすると、面内ガラスの新しい周は(ガラスは図3の矢印先端にはなく、ガラスは直角方向にある)、第二項まで展開して、式(4):
Figure 0006449248
となる。
これは、端面の曲がりが、平パーツの面にあったガラスの元の周に対して非常に僅かな影響しか及ぼさないことを示す。しかし、まさに端面にあるガラスは、平パーツの面から僅かに外にあることの利点を有する。端面がδだけ突き出ているとする。そうすると、端面のガラスの新しい周は、式(5):
Figure 0006449248
となる。
これは、面からδだけ突き出ているパーツの曲がりがδに比例する周をさらに付加することを示す。これは、パーツの若干の曲がりを利用することで応力を解放するための単純な機構を提供するが、ガラスの一部が面外にあり、イオン交換による自由ひずみをうける時にしか有効ではない。式(5)はこの解析で扱ったばかりの領域である、端面領域だけが、その弾性エネルギーを低めるためにディスク形パーツを曲げる傾向を有する推進力の原因であることも示す。
推進力は弾性エネルギーに関係するが、さらなる洞察を得るための力を用いて表すことができる。図5は元の形状及び反った形状の別の描図を示す。上端がイオン交換される場合、端面がソーサー形パーツの残余領域と連結されることで拘束されていなければ、端面は径方向におよそ、式(6):
Figure 0006449248
で与えられる量だけ広がるであろう。ここで、ΔCは交換されるイオン濃度の変化、Bは上式(1)で説明された格子膨張係数である。
拘束されていなければ、端面はその平面内で自由に広がるであろう。しかし、端面は端面に隣接するガラスの垂直な(または一般に上向きの)部分によって拘束され、垂直部分が接続されているパーツの残余領域にさらに拘束されているから、水平方向の力と曲げモーメントが発生するであろう。これは、式(6)の自由ひずみを受け入れるためにパーツを曲げるための推進力を提供する。
上例は、濃度が径方向r及び厚さ方向zでしか変化せず、自由(及び重力を無視する)境界条件を有する軸対称板はいくつかの場合に解くことができるから(ボーリー/ウィーナー,p.389及び以降のページを参照されたい)、数学的に一層詳しく検証することができる。解かれるべき微分方程式は、式(7):
Figure 0006449248
である(ボーリー/ウィーナー,式(12.2.16)を参照されたい)。ここで、式(8):
Figure 0006449248
である。
これらの式において、w(r)は半径の関数としての中心面に沿うパーツの垂直方向変位であり、Dは曲げ剛性と呼ばれることがあり、Eは(外に出され、よって計算には入らないであろう)ヤング率であり、hはパーツの元の高さであり、νはポアソン比である。Mは積分、式(9):
Figure 0006449248
で与えられる曲げモーメントである。ここで、Bは濃度を歪に変換する格子膨張係数、C(r,z)は半径方向及び垂直方向の位置の関数としての濃度である。これは半径依存性をもつことを除けば式(1)と同じである。
式(7)は、式(10):
Figure 0006449248
の形に書き直すことができる。
自由端面に対するパーツの外半径(r=a)に沿う境界条件は、式(11):
Figure 0006449248
で与えられる(ボーリー/ウィーナー:式(12.4.26)を参照されたい)。
例を簡単にし、可解にするため、発明者等は、濃度プロファイル(式(12)):
Figure 0006449248
で表される、(イオン交換領域を表すが、一様拡大または一定濃度に単純化される)一様に拡大する領域を考察する。
この式は、イオン交換領域が上面近傍にしかなく、底面近傍において対称ではない、先に論じた場合と同じ種類の中心面に対する非対称性を導入することに注目されたい。これが非ゼロの曲げモーメントを与える。断面図が図6に示される。一様に拡大する領域が上部外端の黒塗り領域として示されている。いくらかの計算により、上式は解かれて、反り対半径に関し、下式(13):
Figure 0006449248
を与える。
パーツの半径のほとんどにかけて、すなわちrの内側で、反りは簡単にされて、式(14):
Figure 0006449248
の形をとることができる。
これは、反りの大きさが、(小さいδに対して)δに比例し、自由ひずみB・Cに比例し、高さhの平方(hの内の1つのhは分子の(h−δ)でほぼ相殺される)にほぼ反比例する、放物形状を元の平パーツがとることを示す。厳密には端面に近づくと反りは放物形状から若干変わるが、全体スケールはほぼ同じである。反りの符号から、正のひずみB・C>0が負の方向の反りを生じる、すなわち、パーツはどこか他で、例えば図4に、示されるように下に凹になる。
1つの数字で表される全反りは中心から新しい端面位置までの最大垂直距離にとることができる。式(13)において、これはちょうどw(r=a)であり、最終結果、式(15):
Figure 0006449248
を与える。
これらの解析結果は、反り発生における、(1)曲げモーメント(式(9))及び(2)濃度の非対称性の役割への洞察を与える。より現実的な事例を解析するため、解析的方法から数値解析に移る。詳しくは、基本的に同じ事例を扱い続けるが、数値有限要素解析、特に、上に挙げた市販のANSYS有限要素ソフトウエアを用いることで、より複雑な幾何構造を自由に調べることができ、現実の濃度プロファイル表現を自由に用いることができる。
図7〜9は、上で調べた、同じディスク形物体について有限要素解析で予測/推定された、反りの最終状態を示す。これらの図において、直線はイオン交換前のガラスを示す。図9は歪んだ幾何構造に重畳された濃度プロファイルを示す(歪んだ幾何構造の最上部を見ること)。この計算においては端面だけがイオン交換されているが、それでもその曲げモーメントへの強い影響により、図示されるひずみの全てを推進するに十分であったことに注意することが重要である。この驚くべき結果は、イオン交換によって生じるパーツの曲がり及び反りを捕らえるために決定的に重要である。
パーツの端面へのイオン交換の重要性が確立されたので、次にパーツの幾何構造の変化にともなう反り挙動の様々な傾向を示す有限要素解析からの例に移る。図10は検討される変数を示す。
図11は、10°(左欄)及び90°(右欄)の角度αに対し、それぞれ、全表面がイオン交換される(上段)、上端面を除く全表面がイオン交換される(中段)及び上端面だけがイオン交換される(下段)の3つの場合についての結果を示す。αが小さい左欄では、反りの効果が端面だけのイオン交換(左欄下段)に支配されることが極めて明白である。関心がもたれる実用事例は通常、この低角度曲がりの場合に近い。したがって、面外反りに対する決定的推進源として端面イオン交換に焦点を絞る。右欄に示されるように、端面がパーツの残余部分に対して正確に直角をなす場合、別の項がはたらき始め、よって垂直部分の、端面だけではなく、全体が反りに寄与する。この場合であっても、端面のイオン交換が反りの約1/3の原因である。
ほぼ平坦なパーツになす角αが非常に小さい角度から90°まで変化するにつれて複数の効果の相互作用がおこり、したがって反りの総量はαについて単調ではない。結果が図12に示される。非常に小さいαにおいては、α=0ではもはや非対称性がなく、反りに対する推進力がないことから、傾向を説明することができる。小さいαにおいて、反りはαに比例して大きくなる。10°の近くのどこかで別の効果が生じ、αが大きくなるにつれてパーツを曲げるための曲げモーメントに対するモーメントアームが小さくなり(αが大きくなるにつれてパーツの外半径が小さくなり)、よって傾向は最大に達して、転回する。他の細々とした要因を調べることはできるであろうが、重要な点は複数の要因がはたらいて最終パーツ形状をつくり、有用な結果を得るには慎重に構成された正確なモデルが肝要であることである。
β=90°の場合はこれまで論じてきた端面が得られる、他の値のβでは、図10に示されるように、ベベルが導入される。βにともなう全反りの傾向が図13に示される。約90°からいずれの向きにも傾けると反りは大きくなる。これは、ベベルにより表面積が増大して、試料におけるより多くのイオンの交換が可能になり、解析モデルで述べたように、より大きなひずみまたはより大きなB・Cが推進される結果であると考えられる。
面外構造の長さは角αの影響と同様の非単調な影響を反りに与える。結果が図14に示され、「湾曲長」はパーツの周縁領域の長さを表す。面外湾曲部の長さが0に近づくと、再び幾何構造の非対称性がなくなり、イオン交換による曲げモーメントがなくなり、反りに対する推進力がなくなって、反りはxが0に近づくにつれてゼロに向かうはずである。この例においては約2mmの長さにおいて反りは最大値に達し、次いで再び降下し始める。これはより長い面外湾曲によって与えられる追加の剛性の結果であると考えられる。xが十分に大きいどこかの点において、面外湾曲部は平坦基部の反りを防止するに十分に硬くなり得る。
平面長の効果が図15に示される。式(15)から、総反りが概ね半径aの平方に(またはこの場合は平面長の平方に)従って増大すると期待される。図15に見られるように、主傾向は解析モデルから期待されるように放物型である。
力、曲げモーメント及びイオン交換誘起応力の釣り合いの上記理解の下に、次に、イオン交換強化の結果としての3Dガラスカバーの反りの予測/推定の実用問題に移る。この効果に対する正確なモデルがあれば、イオン交換反り後の最終形状が目標形状に一致するように、元の金型(例えば目標形状と同等の金型)からこの効果を差し引ける。有限要素解析を用いて3D形状を調整するためには、十分確立されたコンピュータプログラムを用いることが簡便である。市販のオープンソースソフトウエアパッケージは通常、熱応力及び熱反りを計算するために設計されていて、イオン交換応力またはイオン交換反りを計算するようになっていないから、イオン交換問題の詳細をシミュレートする熱問題を生成するためにいくらかのさらなる理解が必要になる。
本開示にしたがえば、これは数学的アナロジーを用いてなされる。濃度/応力と温度/応力の間の数学的アナロジーは、濃度と温度がいずれも同じ拡散方程式にしたがうという事実を利用する。三次元において、拡散率Dが一定の場合に対する、質量拡散についての支配方程式は、式(16):
Figure 0006449248
である。ここで、Cは拡散種の濃度を表す。注目する事例に対する三次元境界条件は、試料内部の全ての点(x,y,z)及び初期時間において、式(17):
Figure 0006449248
であり、全表面上で全ての時間において、式(18):
Figure 0006449248
である。
「端面におけるイオン交換が計算に含められなければならない」という場合には、Csurf境界条件が、ソーサー例について先に論じた、図9に示される、薄い端面に適用されなければならないことを意味している。さらに、端面をシミュレートするには十分に細かいメッシュを用いることが必要である。図16及び17は3Dガラスカバーのシミュレーションに用いるに適するメッシュの例を示す。これらの図、特に図17に、見られるように、端面103に対するメッシングは、カバーの中央領域101、及び周縁領域102の大部分に対して用いられるメッシングより細かい。端面に対して適するメッシュ間隔は5〜10μmの範囲にある。
サンブナンの原理によれば、端面効果は端面から遠くではそれほど影響するはずはないと主張され、この小さな領域に入るイオンは無視されたであろう。詳しくは、上記の境界条件の代わりに、単に端面はイオン不透過性と定められたであろう。しかし、上で示したように、端面はパーツの全体イオン交換誘起反りの主原因となる不平衡曲げモーメントを導入し、したがって無視することはできない。
三次元において、(弾性緩和前または材料の連続性または適合性の導入前の)局所「自由ひずみ」は、格子膨張係数Bに関して、B・Cに等しい(Bは濃度をひずみに変換する係数であることを想起されたい)。三次元応力計算はこの初期ひずみを応力境界条件及び適合性条件とともに用いる。最終の3D応力及びひずみは、これらの初期条件及び境界条件に基づき、熱誘起応力及びひずみで用いられる手法を用いて計算される。
三次元において、熱伝導(または等価的に、熱拡散)についての支配方程式は、式(19):
Figure 0006449248
である。ここで、Tは温度、kは熱伝導度、ρは密度、Cは定圧における比熱容量、Qは時間当たり単位体積当たりに加えられる熱源である。これは、上に挙げたANSYSソフトウエアのような市販の有限要素ソフトウエアで解かれる方程式である。
代表的な境界条件では、物体全体にわたって一様である初期温度及び計算の時間進展にわたって固定される表面温度を割り当てることができた。自由ひずみは熱膨張係数α×温度,α・Tで与えられる。温度は濃度と同じ役割を果たし、熱膨張係数αは格子膨張係数Bの役割を果たす。三次元境界条件は濃度を温度で置き換えることで扱われる。
さらに進むためには、式(19)を式(16)に変換する必要がある。イオン交換問題では熱源に何も対応しないから、熱問題においてはQ=0と設定される。次に、割合k/(ρC)を温度拡散率として知られる単一の定数で置き換える。熱問題における熱伝導度kは、ρC=1とおくことによって、正確に質量移動問題における拡散率Dに設定することができる。Q=0とすると、ρ及びCの実値は無意味であるが、ρC=1を保つように選ばれなければならない。質量移動の物理定数と熱問題の物理定数の間の関係を表1にまとめてある。表1に挙げられている物理特性の値は、いずれの特定のガラスについても、当業者により、技術上既知の測定手法を用いて容易に特定され得る。
アナロジーは、(1)濃度と温度が同じ微分方程式にしたがう、(2)いずれの種類の問題にも同じ機械定数(ヤング率、ポアソン比)を用いることができる。(3)格子膨張係数は濃度について、熱膨張係数が温度に対して果たすのと同じ役割を果たす、及び(4)濃度問題に対する境界条件は熱流問題に対する境界条件であると見なすこともできる、ということを認めることで完了する。すなわち、温度を濃度に正確に等しいとし、物理特性の対応を知るために表1を用い、次いで既存の熱シミュレーションを用いて濃度由来応力を計算することができる。これにより、熱応力シミュレーションの目的のために書かれた有限要素ソフトウエアの簡便な使用が可能になる。
このようにして、ANSYS有限要素熱シミュレーションソフトウエアを用い、図1に示されるような長方形形状を有する3Dガラスカバーのシミュレーションに成功した。このシミュレーションにより、全表面がイオン交換されると、短軸及び長軸に比較して対角軸に沿ってより大きな反りが見られることが分かった。別の例として、長方形の長辺からだけ上方に延びる周縁領域を有する(すなわち、そり様構造の)長方形3Dガラスカバーを検討した。この場合、端面の膨張により長軸の縁辺に沿う大きな反りが生じる。
図18は、3Dガラスカバーの改善された寸法公差を達成する金型外形補正値を与えるための上記手法の適用を示す。本図に示されるように、方法は、(1)端面及び表面に関する熱アナロジー手法を用いてIOX拡散について解くステップ、(2)与えられた目標(CAD)設計からのIOX拡散後の予測される形状偏差(反り)を計算するステップ、(3)金型の成形面に対する補正値を得るために反り値を反転するステップ、及び(4)補正値を有する成形表面を形成するステップを含む。補正値を用いて金型が加工されると、その金型でつくられた3DガラスカバーのIOX後の反り値は基本的に無視できる。以下の実施例2で論じられるように、いくつかの場合に、金型表面に完全なIOX補正は施さないことが望ましいことがあり、この場合は、イオン交換後、カバーはいくらかの、ただし無補正金型であれば生じたはずの反りよりは小さい、残留IOX反りを有するであろう(例えば以下で論じられる図20及び21を参照されたい)。
一般に、3DガラスカバーのIOXの結果、形状の凹面側を見ると、中心が持ち上がり、端面が下がっている、ドーム形反りが生じる。したがって、金型を補正するために用いられる反転値は一般に、逆ドーム形状を有する、すなわち、3Dガラスカバーの平面またはほぼ平面の中央領域を形成する金型の領域が平面ではない、金型表面をもたらすであろう。しかし、金型から得られた逆ドーム形の外形をもつ、成形されたままの3Dガラスカバーは、所望の通りに、IOX後は平面またはほぼ平面になる。反りに加えて、2Dパーツと同様に、3DガラスカバーのIOXもパーツの大きさを全体的に増加させる。
上述した数学的手続きは、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、メインフレーム等を含む、様々なコンピュータ装置を用いて容易に実施することができる。処理からの出力は、電子コピー及び/またはハードコピーの形態にすることができ、表またはグラフィックの形態を含む、様々なフォーマットで表示することができる。市販ソフトウエアパッケージへのデータ入力ルーチンを含む、ソフトウエアコードは、様々な形態で、例えば、ハードディスク、ディスケット、CD,フラッシュメモリ等に格納する、及び/または分散させることができる。
本開示にしたがう3Dガラス品の成形は現在知られているかまたは今後開発される装置を用いて実施することができる。同様に、イオン交換処理に対し、現在知られているかまたは今後開発される浴溶液を用いることができる。同様に、ガラス品は、現在知られているかまたは今後開発される、イオン拡散処理に適する様々な組成を有することができる。
いかなる態様でも本発明を限定するつもりはなく、以下の実施例によって本発明をさらに説明する。これらの実施例に用いたガラスは、コーニング社(Corning Inc.)から市販されている製品番号2317ガラス(すなわち、コーニングGorilla(登録商標)ガラス)である。この代表的なイオン交換ガラスは図7〜15のシミュレーションにも用いられた。
実施例1
この実施例は、IOX形状変化の予測に際して3Dガラスカバーの端面を介するイオン交換を含めることが重要であることを示す。
図19は、3Dガラスカバーの端面を介するイオン交換が一方(図の上段)では含められていて、他方(図の下段)では含められていない、2つの反り予測を示す。本図において、参照数字105は目標形状を表し、参照数字106及び107はそれぞれ端面IOXを含む場合と含まない場合の予測形状を表す。
図19に見ることができるように、端面IOXを含めないとIOX反りをかなり過小評価する結果になる。端面IOXを含めない場合の予測/推定反りの大きさは〜14μmであるが、端面IOXを含めると、反りは〜130μmまで大きくなる。したがって、予測形状107に基づく金型補正の結果は、そのような3Dガラスカバーの顧客には受け入れられないIOX後のCADからのかなりの偏差を有する3Dガラスカバーの作製になるであろうが、予測形状106に基づく金型補正の結果は顧客仕様を満たすガラスカバーになるであろう。
実施例2
この実施例は、図18のプロセスステップの適用を示す。特に、本実施例は、補正(補償)金型で作製される3Dガラスカバーに対する予測形状を無補正金型で作製される同じ3Dガラスカバーに対する予測形状に対して比較する。
結果が図20及び21に示される。図20はガラスカバーの(本図では変数「湾曲長」で特定される)周縁領域に対する金型補正の有益性を示し、図21は(本図では変数「平面長」で特定される)中央領域に対する有益性を示す。「補正なし」データでは成形面が目標形状に一致している金型を用いて3Dガラスカバーが形成されたと想定され、「補正あり」データは成形面が、パーツの端面を通過するイオンによって生じるIOX反りを含む、IOX反りを考慮して補正された金型を用いてパーツが形成されたと想定されている。
「補正あり」データはIOX反りに対して完全には補正されていない金型についてのデータであることに注意すべきである。すなわち、このデータは、金型の修正時に予測反りが完全には相殺されておらず、金型設計において考慮される必要があり得るその他の要件、例えば、複雑な表面の加工コスト及び/または熱緩和要件との妥協のために予測補正が完全にはなされていない、本開示の実施形態を示す。
「補正なし」計算及び「補正あり」計算のいずれにも端面IOXの効果を含めた。IOX処理の開始時の「形成されたまま」形状であるデータ間の差は、「補正なし」における形成されたまま形状は目標形状であり、「補正あり」における形成されたまま形状はIOX反りに対しある程度補正された目標形状である。
図20及び21を見て分かるように、3DガラスカバーのIOX後形状は本明細書に開示される金型補正手法を用いてかなり改善され得る。例えば、定量的に、図20及び21のデータは約90μmから約10μmへのIOX実施後の反り低減を示す。
実施例3
この例は図18のプロセスステップをさらに示す。特に、本実施例は補正(補償)金型で作製される3Dガラスカバーを、無補正金型で作製される同じ3Dガラスカバーに対して比較する。
図22は、寸法が110mm×55mm×2mmの、ディッシュ形パーツについてIOXで生じた形状変化を示す。無補正金型、すなわち、金型表面が目標形状に対応する金型について測定された形成されたまま形状が図22に曲線108で示される。見て分かるように、成形されたままのパーツの中央領域の平坦性偏差の最大値は20μmより小さい(図22及び23の縦軸目盛の単位はmmである)。IOX後、パーツは曲線109に示されるように大きく反り、パーツの中央領域の平坦性偏差の最大値は80μmより大きくなっている。
その後、図18のプロセスにしたがい、このパーツについての予測IOX反りに基づいて金型を補正して、再び3Dガラスカバーの作製に用いた。成形されたまま(形成されたまま)のパーツ及びIOX後のパーツについての測定結果が図23に示され、曲線110は成形されたままのパーツの形状を示し、曲線111はIOX後のパーツの形状を示す。見て分かるように、金型を補正することで、成形されたままのカバーの中央領域の平坦性は悪化した。すなわち、平坦性偏差の最大値は90μmになった。しかし、IOX後の中央領域の平坦性は向上した。すなわち、平坦性偏差の最大値は40μmになった。
様々な形状の3Dガラスカバーを作成するための補償金型を用いる実験をさらに実施した。IOX後のパーツの中央における反りのいくらかまたは基本的に全てを補正が除去する場合を検討した。表2の第2列及び第3列はそれぞれ、パーツの中央における予測残留IOX反り(「モデル予測値」)及びパーツの中央において測定された反り(「実験測定値」)を示す。見て分かるように、予測値と測定値は密に対応し、したがって、3DガラスカバーのIOX反りを制御するための本明細書に開示された金型補正手続きの能力を実証している。
上記の開示から当業者には本発明の範囲及び精神を逸脱しない様々な改変が明らかであろう。添付される特許請求の範囲は、本明細書に述べられる特定の実施形態を、またそれらの実施形態の改変、変形及び等価形態も、包含する。
Figure 0006449248
Figure 0006449248
100 3Dガラスカバー
101 中央平面領域
102 周縁領域
103 周端面
105 目標形状
106,107 予測形状
200 金型
202 金型本体
204 キャビティ
206 金型本体の上面
208 成形面
210 開口
215 金型本体の底面
218 平ガラス板

Claims (10)

  1. ガラスカバーを作製する方法において、前記ガラスカバーが中央平面領域及び、(i)前記中央平面領域の少なくとも一部と境界を接し、(ii)前記中央平面領域の面外に広がって前記ガラスカバーに三次元性を与える、周縁領域を含む目標三次元形状を有し、前記周縁領域が周端面を有し、前記方法が、
    (I) 前記ガラスカバーを形成するための金型であって、成形面を有する金型を提供する工程、
    (II) 前記工程(I)の前記金型を用いて前記ガラスカバーを形成する工程、及び
    (III) 前記工程(II)で形成された前記ガラスカバーをイオン交換強化する工程、
    を含み、
    前記工程(I)の前記金型の前記成形面の形状は、少なくともいくらかは、前記工程(III)の前記イオン交換強化の結果として前記目標三次元形状にかかる変化を予測/推定するコンピュータ実施シミュレーションに基づき、前記コンピュータ実施シミュレーションは前記周端面を介するイオン交換の効果を含む、
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記周端面を介する前記イオン交換の効果が、前記周端面通過して拡散するイオンの濃度に基づく前記周端面における境界条件によって前記コンピュータ実施シミュレーションに含められることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記周端面における前記境界条件が、前記周端面において前記イオン濃度を一定にす条件を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. (i) 前記コンピュータ実施シミュレーションがイオン拡散を熱拡散として扱かつ
    (ii) 前記周端面における前記境界条件が前記周端面通過して拡散するイオンの濃度を熱流として扱う
    ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  5. 前記金型の表面の前記形状が、前記コンピュータ実施シミュレーションによって予測/推定された前記目標三次元形状にかかる前記変化の反転に、少なくともいくらかは基づくことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記ガラスカバーが携帯型電子デバイス用であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. イオン交換強化後の三次元ガラスカバーの形状の変化を予測/推定するためのコンピュータ実施方法において、前記ガラスカバーが中央平面領域及び、(i)前記中央平面領域の少なくとも一部と境界を接し、(ii)前記中央平面領域の面外に広がって前記ガラスカバーに三次元性を与える、周縁領域を含み、前記周縁領域が周端面を有し、前記方法が、前記ガラスカバーの前記形状への前記周端面を介するイオン交換の効果をシミュレートするため、前記周端面通過して拡散するイオンの濃度に基づく前記周端面における境界条件を用いるステップを含むことを特徴とするコンピュータ実施方法。
  8. 前記周端面における前記境界条件が、前記周端面において前記イオン濃度を一定にする条件を含むことを特徴とする請求項7に記載のコンピュータ実施方法。
  9. イオン拡散が熱拡散として扱われ、前記周端面における前記境界条件が前記周端面通過して拡散するイオンの濃度を熱流として扱うことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のコンピュータ実施方法。
  10. 前記ガラスカバーを形成するための金型を設計するために前記方法を用いるステップをさらに含むことを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のコンピュータ実施方法。
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