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JP6454572B2 - 印刷物 - Google Patents
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Description

本発明は、オフセット印刷機で部分的に紫外線硬化型ワニスを基材に印刷し(この紫外線硬化型ワニスの層を下刷り層ともいう)、この上にオフセット印刷機に付設されたインラインコーター若しくはオフラインの各種コーターにて、乾燥塗膜がソフトな手触り感が特徴である水性紫外線硬化型オーバープリントワニスを上刷り層としておよそ全面に塗布することで、下刷り層と上刷り層のハジキ現象を利用して印刷物の表面に部分的又は全面に微細な凹凸模様を形成する事に加え、しっとりしたソフトな手触り感と凹凸模様から生じる意匠性が得られる印刷物に関する。
従来、商業印刷分野(主にパッケージ分野)に於いては、印刷物の美粧化、表面保護を目的として、印刷物にコーティング剤(業界ではニスとも呼ばれる)を塗布する塗り加工(水性ニス、UVクリヤー)、又、水性ニス塗布された印刷物を鏡面のステンレス板で加熱、加圧して印刷物に鏡面光沢を付与するプレス加工、及び印刷物にOPP、PET等のフィルムを貼合させるラミネート加工等各種の表面加工が実施されている。
近年、従来の印刷物にない美粧性や機能を付与し、競合製品との差別化を図ろうとする試みが多くなってきた。この理由は、紙器印刷物のデザイン、機能や意匠性・美粧性が商品販売に与える影響が大きいからである。
意匠性・美粧性がある表面加工法の一つに擬似エンボス加工と呼ばれる手法がある。これは下刷り層のワニスに、オーバープリント層のワニスをはじく性質を持たせることを利用している。すなわち下刷り層の上に塗布されたオーバープリント層のワニスははじかれて液滴状になり凹凸模様を形成する。下刷り層の無い部分に塗布されたオーバープリント層のワニスは平滑な皮膜を形成する。従って出来上がった印刷物の表面には凹凸模様の部分と平滑で光沢のある部分とが形成される。
凹凸模様の部分は光が乱反射して光沢が低くマット感があり、それ以外の部分は光沢の高い艶のある仕上がりとなる。これは従来行われている機械的にエンボス加工を施したものと外観が似ているので擬似エンボス加工と呼ばれることもある。本明細書においてもこの加工方法を擬似エンボス加工とも称する。この加工は、商品の箱などの包装材料の分野や、広告宣伝の分野等で用いられている。本加工方法に関する技術が記載された文献として特許文献1及び2が挙げられる。
しかし、従来の疑似エンボス加工はいずれも光沢型である下刷り層のワニス、オーバープリント層のワニスを使用し、重なる弾きで粒を形成し光を乱反射させた部分でマット部、それ以外の部分は光沢の高い艶のあるコントラスト違いで意匠性を演出するのが一般的であり、下刷り層と上刷り層が重なる各層の弾き効果による微細な凹凸で生じるマット部と、下刷り層の存在しない上刷り層のみの光沢部から意匠性を保持するものである。しかし、この従来型の疑似エンボス加工では、例えば基材が元々光沢のある用紙、フィルムや表面がホイル加工やホログラム加工等された用紙、フィルム等を使用した場合、上塗り層単体が持つ光沢からその意匠性の効果が十分であるとは言えず、加えて、従来のオーバープリントワニスの主成分は主にアミン変性ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートオリゴマー、アクリレートモノマー等、クリアで比較的皮膜の硬いものを使用する為、手触り感はザラザラとして硬く、触った感触が良好とは言えない。本発明は、下刷り層と上刷り層が重なる各層の弾き効果による微細な凹凸で生じるセミマット部(完全にマット部に至らない部分)と、下刷り層の存在しない上刷り層のみのしっとりしたソフトな手触り感を持つマット部を形成することで、視覚と感触の両面から意匠性の効果をより拡大して演出するものである。また、印刷時のハンドリング性で必須となる、棒積み適性をも考慮したものである。
特開2003−181370号公報 特開平6−8391号公報
本発明の課題は、紫外線硬化型下刷りワニスと水性紫外線硬化型オーバープリントワニスによる上刷り層が重なるセミマット部、それ以外の部分をマット仕立てとしたコントラスト違いでこれまでにない意匠性としっとりしたソフトな手触り効果が得られる印刷物を提供する。
発明者らは鋭意研究を重ねた結果、基材及び印刷層の表面上に設けた、紫外線硬化型下刷りワニスによる下刷り層による水性紫外線硬化型オーバープリントワニスのはじき効果と上刷り層によるソフトなしっとりとした手触り効果の二つの意匠性を併せ持つことを特徴とする印刷物を提供する。
即ち、本発明は、基材上に、紫外線硬化型インキを用いた印刷層が設けられ、前記基材及び印刷層の表面上に、部分的又は全面に紫外線硬化型下刷りワニスによる下刷り層が設けられ、前記基材、印刷層及び下刷り層の上に、水性紫外線硬化型オーバープリントワニスによる上刷り層が全面に設けられ、前記下刷り層と前記上刷り層とが重なる部分は、上刷り層ははじきにより粒子状若しくは凹凸状となり、重ならない部分は連続した皮膜を形成していることを特徴とする印刷物を提供する。
本発明の印刷物は、下刷り層と上刷り層が重なる各層の弾き効果による微細な凹凸で生じるセミマット部(完全にマット部に至らない部分)と、下刷り層の存在しない上刷り層のしっとりしたソフトな手触り感を持つマット部を形成することで、視覚と感触の両面から意匠性の効果をより拡大して演出できる。
本発明の印刷物に関し、その評価作業に用いる絵柄パターンの見取り図である。 図1の印刷物を作成する印刷手順を示す、最初の油性およびUVインキによるベタ印刷部分を示す図である 図2の油性およびUVインキによるベタ印刷に引き続き、紫外線硬化型下刷りワニスの塗布部分を示す図である。 図2、3に引き続き、水性紫外線硬化型オーバープリントワニスによる上刷り層の塗布部分を示す図である。
以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。尚、特記しない限り、明細書中の%及び部はすべて質量基準である。
本発明の印刷物は、基材上に、紫外線硬化型インキを用いた印刷層が設けられ、前記基材及び印刷層の表面上に、部分的又は全面に紫外線硬化型下刷りワニスによる下刷り層が設けられ、前記基材、印刷層及び下刷り層の上に、水性紫外線硬化型オーバープリントワニスによる上刷り層が全面に設けられ、前記下刷り層と前記上刷り層とが重なる部分は、上刷り層ははじきにより粒子状若しくは凹凸状となり、重ならない部分は連続した皮膜を形成していることを特徴とするものである。
本発明の印刷物は、紫外線硬化型下刷りワニスは、必ずしも紫外線硬化型インキを用いた印刷絵柄の上に形成される必要はなく、紙、プラスチックフィルム、金属箔等の基材に直接下刷り層を印刷等によって部分的若しくは全面に形成し、その上に水性紫外線硬化型オーバープリントワニス層を形成することもできる。
本発明の印刷物の作製手順の概略を説明すれば、主にはオフセットインライン機にて、UVインキで絵柄を印刷し中間胴で硬化させた後、PS版、CTPプレート等のオフセット印刷版にて紫外線硬化型下刷りワニスによる下刷り層による絵柄等を印刷した後、ニスコーター胴で上刷り層となる水性紫外線硬化型オーバープリントワニスを全面にコーティングしデリバリで再度UV照射し乾燥・硬化させる。その際下刷り層はUV光で硬化させない方がオーバープリントワニスのハジキ性がよく好ましい。デリバリではランプの熱の助けを受け本発明オーバープリントワニスの水分は蒸発し、UV光にて、紫外線硬化性モノマーは配合されたウレタン樹脂ビーズを定着させる強固なバインダーとなり原反に定着する。下刷り層のある部分はハジキ硬化によりセミマット状に仕上がりに、下刷り層のない部分は被膜表面の水性紫外線硬化型オーバープリントワニスの効果によりマット状でかつソフトな手触り感が保持される。尚、下刷り後充分乾燥せずにウエットな状態で上刷りをした方が、下刷り乾燥後に上刷りするよりも、下刷り層によるハジキ効果が大きく、マット/セミマットのコントラストが顕著となる傾向にあり、より好ましい。
本発明の印刷物では、水性紫外線硬化型オーバープリント層の硬化皮膜のハジキ性の調整は、下刷り層に使用する紫外線硬化型下刷りワニスによるハジキニスと、水性紫外線硬化型オーバープリントワニスに使用する各々の樹脂を選択する事で、採用する樹脂同士の特性に伴う反発具合や、その皮膜を形成する紫外線硬化型下刷りワニスに添加する離型シリコーンの種類や添加量によって行うことができる。
下刷り層に使用する紫外線硬化型下刷りワニスであるハジキニスに採用する樹脂はとしては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。またオリゴマーとしては、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
前記ハジキニスに採用する離型シリコーンとしては、ジメチルポリシロキサンが主構造であり、部分的に有機物変性されていても良い。また、紫外線の反応部位となるアクリロイル基変性されていても良い。離形シリコーンの分子量は1,000から1,000,000のものが好ましい。添加量はニス全量の0.1〜15質量%の範囲内で添加することが好ましく、安定したハジキ性と印刷適性を考慮すると、0.1〜10質量%の範囲内で添加するのがより好ましい。
本発明の印刷物では、ウレタン樹脂、水溶性(メタ)アクリレートを必須成分とする紫外線硬化性モノマー、及び水を含有する水性紫外線硬化型オーバープリントワニス組成物であって、前記ウレタン樹脂/紫外線硬化性モノマー=1:2〜2:1(重量比)であり、更に前記水性紫外線硬化型オーバープリントワニス組成物の塗工後の乾燥塗面の動摩擦係数が0.1〜0.7、測定速度を2mm/sから20mm/sに増加させた場合の動摩擦係数の上昇率が10%以上であることを特徴とする水性紫外線硬化型オーバープリントワニスを使用する。
前記水性紫外線硬化型オーバープリントワニスはウレタン樹脂、水溶性(メタ)アクリレートを必須成分とする紫外線硬化性モノマー、及び水を配合させる。
前記ウレタン樹脂としては、ウレタン樹脂ビーズ又はビーズを水系の溶剤に分散したもの(分散物とも呼ぶ。又、ウレタン樹脂分散物、脂肪族ポリウレタン分散物等、含む)水系脂肪族ポリウレタンディスパージョンを用いることができる。中でもDSC熱分析によるガラス転移点(Tg)が−90℃〜−70℃である事が望ましい。尚、本発明で確認したガラス転移点(Tg)は、メトラートレド社製[DSC822e]を用い、窒素雰囲気下、アルミニウムパンに測定対象を約7mgを入れ圧着・密閉状態とした後、−100〜+150℃の範囲を10℃/分の昇温速度で走査した時の熱流曲線の変曲点から求めたものである。
更にそのウレタンビーズの平均粒子径は0.1〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.8〜6μmである。粒子径が小さくなるとソフトな手触り感が出にくい傾向にあり、大きい粒子径では耐摩擦性不良、製品安定性(沈降)、塗工ムラなどが悪くなるなど、様々な問題がある。
前記水性紫外線硬化型オーバープリントワニス組成物に用いられる紫外線硬化性モノマーとして、水溶性(メタ)アクリレートを含有しても良い。水溶性(メタ)アクリレートの具体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(略称:HEAA)、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メチロールアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メトキリメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができるが、これらに限定される訳ではない。
前記水性紫外線硬化型オーバープリントワニス組成物中のウレタン樹脂部と水溶性(メタ)アクリレートを必須成分とする紫外線硬化性モノマー部の比率は、不揮発分換算で、ウレタン樹脂部:紫外線硬化性モノマー部=1:2〜2:1の範囲が望ましい、更に望ましくはウレタン樹脂部:紫外線硬化性モノマー部=1:1〜2:1である。この比率に関しては、紫外線硬化性モノマー部が多くなると、主には手触り感が低下していく方向に向かい、ウレタン樹脂部分が多くなると主には耐摩擦性などの物性が低下していく方向に向かう。この為、ここに示す比率が物性を程よく両立させるものである。
配合・含有される水は1〜65重量%で、望ましくは25〜60重量%、更に望ましくは40〜60重量%である。塗工面から水分は蒸発し、ウレタン樹脂部と紫外線硬化性モノマー部が残存する、すなわち水分がある程度多くなると乾燥塗膜のバインダーからウレタンビーズが露出しやすい状態となり、水分が少ないとバインダーにウレタンビーズが埋もれる状況となる。しかし極端に水を多く含有させるとバインダーが少なくなりすぎ、ウレタンビーズ定着が劣る等が起因する問題が発生しやすい、よって最適値が上記に示す範囲である。
更に、前記水性紫外線硬化型オーバープリントワニス組成物の塗工後の乾燥塗面の触感に与える影響について、塗工後の下塗り層と上塗り層が重ならない平滑部分の乾燥塗面に関し、塗面との擦り速度に対する動摩擦係数を制御することにより、ある特定の測定速度に対する動摩擦係数の数値範囲において、ベルベット調若しくはスエード調のしっとりしたソフトな手触り感を保持した塗工表面が得られることを発明者は見出した。即ち、低い試験速度の動摩擦係数に比べて、高い試験速度の動摩擦係数を上昇させることであり、動摩擦係数は0.1〜0.7であり、且つ測定速度を2mm/sから20mm/sに増加させた場合の動摩擦係数の上昇率が10%以上である場合に、本発明の効果を奏する。
前記水性紫外線硬化型オーバープリントワニス組成物に用いられる紫外線硬化性モノマーとして、非水溶性多官能(メタ)アクリレートを添加してもよい。紫外線硬化性モノマーをすべて水溶性(メタ)アクリレートで構成すると、仕上がる塗膜の耐ブロッキング性が悪くなる等、物性に偏りが出やすくなり、非水溶性多官能(メタ)アクリレートを併用することでこれらを補うことができる。
前記非水溶性多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(略称:TMPTA)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン等のポリオールのそれぞれのアルキレンオキサイド(EO)付加物の(メタ)アクリレート類等を挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。
なお、前記アルキレンオキサイド(EO)付加物の(メタ)アクリレート類としては、1分子当たりのアルキレンオキサイド付加モル数が4未満である化合物を非水溶性とする。また、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)を例に挙げればその添加量は、塗工面が傷つき難くなることから、前記水性紫外線硬化型オーバープリントワニス組成物の全量に対し0.5重量%以上、ベルベット調若しくはスエード調などのソフトな手触り感が良好なことから10.0重量%以下であることが好ましく、より好ましくは5.0重量%以下である。水を除いた固形分換算で0.5重量%以上15重量%以下が好ましく、固形分換算でより好ましくは0.5重量%以上、8重量%以下がより好ましい。
前記水性紫外線硬化型オーバープリントワニス組成物は、紫外線で硬化させるために光重合開始剤や増感剤を添加させる必要がある。
前記光重合開始剤や増感剤の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンジルジメチルケタール、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン]、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、エチルアントラキノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等を挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。これらの光重合開始剤や増感剤は、水性紫外線硬化型オーバープリントワニス組成物中の紫外線硬化性モノマー部に対し1〜15%、固形分換算で1〜20%の範囲内で添加することが好ましい。
本発明の印刷物で対象とする印刷基材としては、特に限定は無く、例えば、上質紙、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙、厚紙等の紙、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、ナイロン、ポリ乳酸、ポリカーボネート等のフィルム又はシート、セロファン、アルミニウムファオイル、その他従来から印刷基材として使用されている各種機材を挙げることができる。又、基材が元々光沢のある用紙、フィルムや表面がホイル加工やホログラム加工等された用紙、フィルム等を使用した場合、紫外線硬化型下刷りワニスと水性紫外線硬化型オーバープリントワニスによる上刷り層が重なるセミマット部に基材がもつ光沢感が加わり、紫外線硬化型下刷りワニスによる下刷り層が存在しない水性紫外線硬化型オーバープリントワニスのみとなるマット部分と、光沢感が加わったセミマット部のコントラストの対比により、従来の疑似エンボス加工では再現できない本発明ならではの独特の表現を発現できる。
本発明の印刷物の作製方法によれば、下刷り層と上刷り層が重なる各層の弾き効果による微細な凹凸で生じるセミマット部(完全にマット部に至らない部分)と、下刷り層の存在しない上刷り層のみのしっとりしたソフトな手触り感を持つマット部による感触の差異を利用し、例えば視覚障害者向け地図等に応用することも出来うる。
手触りの異なる構成として、(1)「用紙部」及び「用紙+インキ部」はツルツルの手触りとなる表面A。(2)「水性紫外線硬化型オーバープリントワニス部」及び「インキ部+水性紫外線硬化型オーバープリントワニス部」はソフトな手触りとなる表面B。(3)「紫外線硬化型下刷りワニス+水性紫外線硬化型オーバープリントワニス」及び「インキ部+紫外線硬化型下刷りワニス+水性紫外線硬化型オーバープリントワニス」は、はじきにより粒子状若しくは凹凸状となり独特の表現(少しボツボツとした手触り)となる表面Cとする。
例えば、地図上で「海・川をツルツルとなる表面A」「森林部分をソフトな手触りの表面B」「街をボツボツとなる表面C」で加工するとなれば、これまでにないリアルな地図ができ、引いては視覚障害者にも判別しやすいものと成りうる。
本発明の印刷物を作製するに当って、紫外線硬化型下刷りワニスによる下刷り層、水性紫外線硬化型オーバープリントワニスによる上刷り層の両者の形成手法として、オフセットインラインコーター、オフラインコーター、フレキソ印刷方式、グラビア印刷方式等を採用することができ、また、各方式を組合せて印刷してもよい。
尚、下刷り後、十分に乾燥せずにウエットな状態で上刷りをした方が、下刷り乾燥後に上刷りするよりも、下刷り層によるハジキ効果が大きく、マット/セミマットのコントラストが顕著となる傾向にあることから、中ではオフセットインラインコーターがより好ましい。
次に実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは無い。以下において、特に断りのない限りは、「部」、「%」は、すべて「重量部」、「重量%」を意味するものとする。
<紫外線硬化型下刷りワニス(下刷りワニス−D1)の調製>
炭酸マグネシウム5.0部、エポキシアクリレート40.0部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート27.0部、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート15.0部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン8.0部、シリコーンアクリレート5.0部を手で簡単に混合した後、3本ロールミルで粒径が10ミクロン以下になるまで錬肉した。粘度はTV5〜7になるように調整した。
<酸化重合型の油性下刷りワニス(下刷りワニス−D2)の調製>
炭酸カルシウム20.0部、ロジン変性フェノール樹脂30.0部、植物油25.0部、軽油25.0部を手で簡単に混合した後、3本ロールミルで粒径が10ミクロン以下になるまで錬肉した。粘度はTV9〜11になるように調整した。
<水性紫外線硬化型オーバープリントワニス(上刷りワニス−U1)の調製>
ガラス転移点(Tg)が−80℃、平均粒子径1.5μmの水系脂肪族ポリウレタンディスパージョン27.0部、水54.0部、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)17.5部、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)0.5部の配合で混合し、ミキサーを使用して撹拌分散し、更に2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル-プロパン−1−オン(DAROCUR1173)1.0部を添加し、完全に溶解させることで、上刷りワニス−U1を調製した。尚、A:ポリウレタンディスパージョンとC:N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)の重量比A/C=1.54である。
<水性紫外線硬化型オーバープリントワニス(上刷りワニス−U2〜U6)の調製>
原材料を表1に示す配合で混合し、ミキサーを使用して撹拌分散し、光重合開始剤を完全に溶解させることで、上刷りワニス−U1と同様の方法で調製し、各々について、A:ポリウレタンディスパージョンとC:N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)の重量比A/Cを記載した。
Figure 0006454572

原料A:平均粒子径約1.5μmのウレタン樹脂を含む脂肪族ポリウレタンディスパージョンの固形分
原料B:水
原料C:N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)
原料D:トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)
原料E:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル-プロパン−1−オン(DAROCUR1173)
また、上刷りワニス−U1〜U6とは別に、紫外線硬化型エンボスクリアによる上刷りワニス−C1及びC2を下記の調整を経て準備した。
<紫外線硬化型エンボスクリア(上刷りワニス−C1)の調製>
ポリエステルアクリレート60.0部、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート30.0部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン10.0部をミキサーを使用して混合、溶解して調整した。粘度はザーンカップ粘度(#4)で35秒程度に調整した。
<紫外線硬化型エンボスクリア(上刷りワニス−C2)の調製>
アミン変性ポリエステルアクリレート50.0部、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート40.0部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン10.0部をミキサーを使用して混合、溶解して調整した。粘度はザーンカップ粘度(#4)で35秒程度に調整した。
尚、平均粒子径測定法としては、日立製作所製操作型電子顕微鏡S−3400Nを用いて測定した度数分布の状況から算出した。
<本発明の印刷物の作製>
ローランド700印刷機を用いA全サイズの印刷物を作製し、はじき効果と上刷り層によるソフトなしっとりとした手触り効果、及び印刷作業で重要となる棒積み適性を確認した。まず、印刷ユニットを用い下刷りのカラーインキとしてDICグラフィックス(株)製「ダイキュアアビリオプロセス墨」にて(図2)に示す墨ベタ部を印刷した後、胴間UVランプを使用して硬化させた。その後インラインで印刷ユニットを用い下刷り層を(図3)に示す様に印刷し、未硬化のままで水性紫外線型オーバープリントワニス、あるいは紫外線硬化型エンボスクリアを印刷機のコーターを用いて(図4)に示す要領で塗工した。胴間UVランプには空冷120w/cmメタルハライドランプを1灯使用し、デリバリのUVランプには空冷120w/cmメタルハライドランプを2灯使用した。
印刷スピードは8,000枚/時で行った。上塗り層を塗工する際にコーターユニットで使用するアニロックスローラーとしては、200線/inch、セルボリューム13.0gのものを使用した。下刷りの墨ベタ画像や、下刷りニス部分の転写に用いる印刷ユニットに装着するブランケットとしては、UVオレンジ(DAY社製)を使用した。水性紫外線硬化型オーバープリントワニスは常温塗工した。紫外線硬化型エンボスクリアは液温を40℃まで加温して塗工した。湿し水のH液はソライヤ507(光陽化学製)を水道水で希釈した2%濃度で使用した。用紙はOKトップコート+(57.5kg/A全)を使用した。印刷枚数は4,000枚とした。
<評価方法>
(印刷物の評価方法1:動摩擦係数の測定)
動摩擦係数の測定は、ASTMD1894−90(同一材料または他の材料の上を滑らせたときのプラスチックフィルムおよびシートの摩擦係数を測定するための試験条件)に準拠し、Stable MicroSystems社製の装置を用いて測定した。
接触面は63.5mmX63.5mm、加重は200g、表面は装置標準のフエルト地、引っ張り速度は 2mm/s及び20mm/sの2点で行った。
動摩擦係数上昇率の算出方法は、100×(20mm/s時の動摩擦係数−2mm/s動摩擦係数)/2mm/時の動摩擦係数とした。尚、印刷物の測定箇所は、下塗り層と上塗り層が重ならない平滑部分である(図1)に示す図符号7とした。
尚、下地のUVインキによる印刷物のベタ部と水性紫外線硬化型オーバープリントワニスによる上刷り層が重なる部分(図符号7)と、印刷物の非画線部と水性紫外線硬化型オーバープリントワニスによる上刷り層が重なる部分(図符号6)との間に、20mm/s時、2mm/s時共にその動摩擦係数に差異が認められなかった為、UVインキによる印刷物のベタ部と水性紫外線硬化型オーバープリントワニスによる上刷り層が重なる部分(図符号7)を測定箇所とした。
(印刷物の評価方法2:しっとりとした手触り感)
本発明の印刷物の手触り感の評価として、下塗り層が存在しない上塗り層部分のみの部分について、被験者は、本研究と関係の無い従業員10名へのアンケート調査による評価方法を用いた。被験者は塗工面を手、指で触り、その「しっとりしたソフトな手触り感」を10人中何人感じたか集計をとり、これを評価基準とした。
◎:10人中10人がしっとり感じた。
○:10人中 7〜9人がしっとり感じた。
△:10人中 3〜6人がしっとり感じた。
×:10人中、しっとり感を感じたのは0〜2人であった。
(印刷物の評価方法3:下塗り層による上塗り層のハジキ性)
下塗り層による上塗り層のハジキ性の良否を目視で評価した。
◎:十分ハジキ効果が発揮している。
○:ハジキ効果が発揮している。
△:ハジキ効果がみられるが十分であるとは言えない。
×:ハジキ効果が見られない。
(印刷物の評価方法4:意匠性)
下塗り層と上塗り層が重なるセミマット部と、下塗り層が存在しない上塗り層によるマット部のコントラストの差異を目視評価し、コントラストの強いもの程、意匠性ありと評価した。
◎:明確なコントラストにより意匠性が非常に高い。
○:コントラストがあり意匠性あり。
△:ややコントラストに不足し意匠性が十分であるとは言えない。
×:殆どコントラストがなく意匠性の効果がない。
(印刷物の評価方法5:棒積み適性)
印刷時のハンドリング面で重要となる棒積み適性について、刷了直後に棒積みの最底部の印刷物の表裏を引き剥がした際に剥離音の有無で判定した。
◎:剥離音がしない。
○:僅かに剥離音がする。
△:明瞭に剥離音がする。
×:剥がれない。
表2に実施例1〜6、及び比較例1〜3に評価用印刷物の構成とその評価結果を示す。
Figure 0006454572
実施例が示す本発明の印刷物は、下刷り層と上刷り層が重なる部分の十分な弾き効果による微細な凹凸で生じるセミマット部(完全にマット部に至らない部分)と、下刷り層の存在しない上刷り層のしっとりしたソフトな手触り感を持つマット部を形成することで、視覚と感触の両面から意匠性の効果を発揮し、棒積み適性も良好でありハンドリング適性も優れる。
一般的な紫外線硬化型エンボスクリア(C1)、(C2)を用いた比較例1、2では、しっとりした手触り感は得られず、本願が目指す特異な意匠性は得られない。
酸化重合型の油性下刷りワニス(D2)を用いた比較例3では、下塗り層のハジキ効果が
充分でなく、乾燥性に劣る事から棒積み適性も劣る。
本発明の印刷物は、高い意匠性を要求されるポスター、パンフレット等各種広告物、ブックカバー等出版物の装丁、地図等に加え、サニタリー・コスメ・医薬品・オーディオ電化製品等の包装、パッケージ用途に幅広く展開され得る。
1 印刷基材である用紙OKトップコート(57.5Kg/A全サイズ)
2 紫外線硬化型インキによるベタ部分
3 紫外線硬化型下刷りワニスによる下刷り層塗布部分
4 水性紫外線硬化型オーバープリントワニスによる上刷り層塗布部分
5 下塗り層が上塗り層が重なり弾く部分(セミマット部)
6 印刷物の非画線部と水性紫外線硬化型オーバープリントワニスによる
上刷り層が重なる部分(マット部)
7 印刷物のベタ部と水性紫外線硬化型オーバープリントワニスによる
上刷り層が重なる部分(マット部)、動摩擦係数の測定部分

Claims (6)

  1. 基材上に、紫外線硬化型インキを用いた印刷層が設けられ、前記基材及び印刷層の表面上に、部分的又は全面に紫外線硬化型下刷りワニスによる下刷り層が設けられ、
    前記基材、印刷層及び下刷り層の上に、水性紫外線硬化型オーバープリントワニスによる上刷り層が全面に設けられ、前記下刷り層と前記上刷り層とが重なる部分は、上刷り層ははじきにより粒子状若しくは凹凸状となり、重ならない部分は連続した皮膜を形成している印刷物であって、
    前記水性紫外線硬化型オーバープリントワニスが、ウレタン樹脂、水溶性(メタ)アクリレートを含有する紫外線硬化性モノマー及び水を含有する組成物であって、
    前記ウレタン樹脂と前記紫外線硬化性モノマーの質量比が
    ウレタン樹脂:紫外線硬化性モノマー=1:2〜2:1(質量比)であり、
    更に前記水性紫外線硬化型オーバープリントワニス塗工後の下塗り層と上塗り層が重ならない平滑部分の乾燥塗面の動摩擦係数が0.1〜0.7であり、
    測定速度を2mm/sから20mm/sに増加させた場合の動摩擦係数の上昇率が10%以上であることを特徴とする印刷物。
  2. 前記ウレタン樹脂の平均粒子径が0.1〜10μmの範囲である請求項に記載の印刷物。
  3. 前記ウレタン樹脂が、DSC熱分析によるガラス転移点(Tg)が−90℃〜−70℃である請求項1又は2に記載の印刷物。
  4. 前記紫外線硬化性モノマーとして、さらに非水溶性(メタ)アクリレートを、水を除いた固形分換算で0.05〜15質量%含有する水性紫外線硬化型オーバープリントワニスを用いる請求項1〜3のいずれか1つに記載の印刷物。
  5. 基材上に印刷層及び下刷り層を設けた後、連続してインラインで上刷り層を設けることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の印刷物の作製方法。
  6. 請求項に記載の印刷物の作製方法を用いた地図。
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