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JP6463007B2 - 濁水中距離測定方法及び濁水中距離測定装置並びに水中機器 - Google Patents
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Description

本発明は、濁水中距離測定方法及び濁水中距離測定装置並びに水中機器に関する。
水中や海底等に存在する対象物までの距離を計測する従来の音響装置は、送波器と受波器が一体になっているものが多い。これらの装置は、対象物で反射した音波を受波器で受信して音響信号を検出し、現場水域における既知の水中音速値(例えば1500m/s)を用いることにより、その往復伝播時間から対象物までの水中距離を計測する。
しかし、極端に濁った水の中では、音波が濁水中で散乱し、対象物からの反射音が判別しづらくなるため、水中距離の計測が困難である。例えば海底での掘削作業においては対象物までの水中距離の計測が必須であるが、海中掘削機が岩石等を削ることによって周囲に多数の粒子が浮遊し、その粒子によって音波が散乱して水中距離の計測が困難となり、作業効率が低下してしまう。
そこで、濁水中においても対象物までの距離を的確に測定できる方法及び装置が求められている。
ここで、特許文献1は、測定環境における温度の影響を払拭して測定を行えるようにした超音波距離計に関し、測定対象面に対して略直角に超音波を出射する第1の電気−音響変換手段と、第1の電気−音響変換手段から所定距離を隔てて配置され、測定対象面で反射した超音波が入射する第2の電気−音響変換手段が記載されている。
また、特許文献2は、計測対象に据え付けられた標的の表面に照射されたビーム光の照射点の位置を、計測対象の近くで照射点検出センサで検出することによって、濁った水の中でも位置を遠隔で計測できる装置を提案している。
また、特許文献3には、超音波の発信の完了時から反射超音波の減衰時までを、測定対象物が超音波を反射してその反射超音波を受信するまでの時間とし、浮遊物による超音波の反射があっても距離を測定できるとする超音波距離計が記載されている。
また、特許文献4は、物体間距離測定装置に関し、2つの異なる周波数の超音波信号を用いることによって外乱ノイズの影響を抑制することが記載されている。
特開平11−83600号公報 特開平9−223222号公報 特開平10−325870号公報 特開平6−102350号公報
しかし、特許文献1は、濁水中での音波の散乱による測定への影響を考慮して距離を計測するものではない。
また、特許文献2は、計測対象の近くでビーム光の照射点を検出して距離を計測するものであり、計測対象で反射した音波を検出して計測対象までの水中距離を計測するものではなく、音波は照射点検出センサの粗位置決めに利用されているだけに過ぎない。
また、特許文献3は、超音波の発信の完了時から反射超音波の減衰時までの時間を用いることで、浮遊物による超音波の反射が計測結果に与える影響を少なくしようとするものであるが、超音波の発信と受信が一体となった超音波センサを用いるものであり、送波信号の散乱による対象物からの反射音の判別のしづらさを解消するものではない。
また、特許文献4は、超音波信号は油圧ショベルの安全装置等に用いられるものであって、濁水中で対象物までの距離を計測するものではない。
そこで、本発明は、濁水中においても対象物までの距離を的確に測定できる濁水中距離測定方法及び濁水中距離測定装置並びに水中機器を提供することを目的とする。
請求項1記載の本発明に対応した濁水中距離測定方法においては、粒子が浮遊した濁水中に存在する対象物までの距離を測定する濁水中距離測定方法であって、対象物に対して音響送信手段から音波を送信し、音響送信手段と所定の計測基準長を有して設けた音響受信手段により対象物から反射した音波を受信し、音響受信手段で受信した音波の信号から、受信した音波の信号の1つ目のピークを粒子からの散乱信号、2つ目以降のピークを対象物からの反射信号として判別し、音波の送信時刻から2つ目以降のピークの受信時刻までの時間に基づいて対象物までの距離を導出したことを特徴とする。請求項1に記載の本発明によれば、対象物に対して音波を送信する位置と対象物から反射した音波を受信する位置を離すことで、音波を同位置で送受信する場合と比べて散乱信号と反射信号の判別がし易くなり、濁水中においても対象物までの距離を的確に導出できる。また、粒子からの散乱信号と対象物からの反射信号を受信した音波の信号のピークから判別することで、浮遊する粒子を対象物と誤認する可能性を低減することができる。また、音響送信手段の近傍に浮遊する粒子を対象物と誤認することなく、例えば計測基準長の相当時間を考慮して対象物までの距離を導出できる。
求項記載の本発明に対応した濁水中距離測定方法においては、粒子が浮遊した濁水中に存在する対象物までの距離を測定する濁水中距離測定方法であって、対象物に対して音響送信手段から音波を送信し、音響送信手段と所定の計測基準長を有して設けた音響受信手段により対象物から反射した音波を受信し、音響受信手段で受信した音波の信号から、受信した音波の信号の1つ目のピークを粒子からの散乱信号、2つ目以降のピークを対象物からの反射信号として判別し、1つ目のピークの受信時刻から2つ目以降のピークの受信時刻までの時間に基づいて対象物までの距離を導出したことを特徴とする。請求項に記載の本発明によれば、対象物に対して音波を送信する位置と対象物から反射した音波を受信する位置を離すことで、音波を同位置で送受信する場合と比べて散乱信号と反射信号の判別がし易くなり、濁水中においても対象物までの距離を的確に導出できる。また、粒子からの散乱信号と対象物からの反射信号を受信した音波の信号のピークから判別することで、浮遊する粒子を対象物と誤認する可能性を低減することができる。また、音響送信手段の近傍に浮遊する粒子を対象物と誤認することなく直接的に、対象物までの距離を導出できる。
請求項記載の本発明は、受信した音波の信号のピークに基づいて異常を判定したことを特徴とする。請求項に記載の本発明によれば、音波の送信方向の対象物からのずれや、音響送信手段又は音響受信手段の故障などによって、測定が正常に行えなかったことや完了しなかったことを検知できる。
請求項記載の本発明は、距離の導出に当っては、対象物と音響送信手段と音響受信手段の幾何学的配置を考慮して導出したことを特徴とする。請求項に記載の本発明によれば、幾何学的配置を考慮して対象物までの距離を的確に導出できる。
請求項記載の本発明は、距離の導出に当っては、予め求めた時間と距離の関係に基づいて導出したことを特徴とする。請求項に記載の本発明によれば、計測基準長により異なる時間と距離の関係に基づいて対象物までの距離を簡便かつ的確に導出できる。
請求項記載の本発明は、音響受信手段を走査させたこと、又は音響受信手段として音響センサーアレイを用いたことを特徴とする。請求項に記載の本発明によれば、対象物を的確に把握し、対象物までの距離を的確に導出できるとともに、対象物の形状情報を得ることができる。
請求項記載の本発明は、音響送信手段を走査させたこと、又は音響送信手段として音響発信アレイを用いたことを特徴とする。請求項に記載の本発明によれば、対象物を的確に把握すること、対象物までの距離を的確に導出すること、対象物の形状情報を得ることを可能とすることができる。
請求項記載の本発明に対応した濁水中距離測定装置においては、粒子が浮遊した濁水中に存在する対象物までの距離を測定する濁水中距離測定装置であって、対象物に対して音波を送信する音響送信手段と、音響送信手段と所定の計測基準長を有して設けた対象物から反射した音波を受信する音響受信手段と、音響受信手段で受信した音波の信号から粒子からの散乱信号と対象物からの反射信号とを判別する判別手段と、反射信号に基づいて対象物までの距離を導出する距離導出手段とを備え、判別手段は、受信した音波の信号の1つ目のピークを粒子からの散乱信号、信号の2つ目以降のピークを対象物からの反射信号として判別したことを特徴とする。請求項に記載の本発明によれば、対象物に対して音波を送信する位置と対象物から反射した音波を受信する位置を離すことで、音波を同位置で送受信する場合と比べて散乱信号と反射信号の判別がし易くなり、対象物までの距離を的確に導出できる。また、音響送信手段の近傍に浮遊する粒子を対象物と誤認する可能性を低減することができる。
求項記載の本発明は、距離導出手段は、音波の送信時刻から2つ目以降のピークの受信時刻までの時間に基づいて対象物までの距離を導出したことを特徴とする。請求項に記載の本発明によれば、音響送信手段の近傍に浮遊する粒子を対象物と誤認することなく、例えば計測基準長の相当時間を考慮して対象物までの距離を導出できる。
請求項10記載の本発明は、距離導出手段は、対象物と音響送信手段と音響受信手段との幾何学的配置を考慮して予め求めた時間と距離の関係に基づいて対象物までの距離を導出したことを特徴とする。請求項10に記載の本発明によれば、幾何学的配置を考慮して対象物までの距離を的確に導出できる。
請求項11記載の本発明は、音響受信手段をスキャン型音響センサー又は音響センサーアレイとしたことを特徴とする。請求項11に記載の本発明によれば、対象物を的確に把握し、対象物までの距離を的確に導出できるとともに、対象物の形状情報を得ることができる。
請求項12記載の本発明は、音響送信手段をスキャン型送波器又は音響発信アレイとしたことを特徴とする。請求項12に記載の本発明によれば、対象物を的確に把握すること、対象物までの距離を的確に導出すること、対象物の形状情報を得ることを可能とすることができる。
請求項13記載の本発明は、受信した音波の信号のピークに基づいて異常を判定する異常判定手段を備えたことを特徴とする。請求項13に記載の本発明によれば、音波の送信方向の対象物からのずれや、音響送信手段又は音響受信手段の故障などによって、測定が正常に行えなかったことや完了しなかったことを検知できる。
請求項14記載の本発明に対応した水中機器においては、濁水中距離測定装置を搭載したことを特徴とする。請求項14に記載の本発明によれば、濁水中においても対象物までの距離を的確に導出できる機能を有する水中機器を提供できる。
本発明の濁水中距離測定方法によれば、対象物に対して音波を送信する位置と対象物から反射した音波を受信する位置を離すことで、音波を同位置で送受信する場合と比べて散乱信号と反射信号の判別がし易くなり、濁水中においても対象物までの距離を的確に導出できる。また、粒子からの散乱信号と対象物からの反射信号を受信した音波の信号のピークから判別することで、浮遊する粒子を対象物と誤認する可能性を低減することができる。また、音響送信手段の近傍に浮遊する粒子を対象物と誤認することなく、例えば計測基準長の相当時間を考慮して対象物までの距離を導出できる。
た、本発明の濁水中距離測定方法によれば、対象物に対して音波を送信する位置と対象物から反射した音波を受信する位置を離すことで、音波を同位置で送受信する場合と比べて散乱信号と反射信号の判別がし易くなり、濁水中においても対象物までの距離を的確に導出できる。また、粒子からの散乱信号と対象物からの反射信号を受信した音波の信号のピークから判別することで、浮遊する粒子を対象物と誤認する可能性を低減することができる。また、音響送信手段の近傍に浮遊する粒子を対象物と誤認することなく直接的に、対象物までの距離を導出できる。
また、受信した音波の信号のピークに基づいて異常を判定した場合には、音波の送信方向の対象物からのずれや、音響送信手段又は音響受信手段の故障などによって、測定が正常に行えなかったことや完了しなかったことを検知できる。
また、距離の導出に当っては、対象物と音響送信手段と音響受信手段の幾何学的配置を考慮して導出した場合には、幾何学的配置を考慮して対象物までの距離を的確に導出できる。
また、距離の導出に当っては、予め求めた時間と距離の関係に基づいて導出した場合には、計測基準長により異なる時間と距離の関係に基づいて対象物までの距離を簡便かつ的確に導出できる。
また、音響受信手段を走査させたこと、又は音響受信手段として音響センサーアレイを用いた場合には、対象物を的確に把握し、対象物までの距離を的確に導出できるとともに、対象物の形状情報を得ることができる。
また、音響送信手段を走査させたこと、又は音響送信手段として音響発信アレイを用いた場合には、対象物を的確に把握すること、対象物までの距離を的確に導出すること、対象物の形状情報を得ることを可能とすることができる。
また、本発明の濁水中距離測定装置によれば、対象物に対して音波を送信する位置と対象物から反射した音波を受信する位置を離すことで、音波を同位置で送受信する場合と比べて散乱信号と反射信号の判別がし易くなり、対象物までの距離を的確に導出できる。また、音響送信手段の近傍に浮遊する粒子を対象物と誤認する可能性を低減することができる。
また、距離導出手段は、音波の送信時刻から2つ目以降のピークの受信時刻までの時間に基づいて対象物までの距離を導出した場合には、音響送信手段の近傍に浮遊する粒子を対象物と誤認することなく、例えば計測基準長の相当時間を考慮して対象物までの距離を導出できる。
また、距離導出手段は、対象物と音響送信手段と音響受信手段との幾何学的配置を考慮して予め求めた時間と距離の関係に基づいて対象物までの距離を導出した場合には、幾何学的配置を考慮して対象物までの距離を的確に導出できる。
また、音響受信手段をスキャン型音響センサー又は音響センサーアレイとした場合には、対象物を的確に把握し、対象物までの距離を的確に導出できるとともに、対象物の形状情報を得ることができる。
また、音響送信手段をスキャン型送波器又は音響発信アレイとした場合には、対象物を的確に把握すること、対象物までの距離を的確に導出すること、対象物の形状情報を得ることを可能とすることができる。
また、受信した音波の信号のピークに基づいて異常を判定する異常判定手段を備えた場合には、音波の送信方向の対象物からのずれや、音響送信手段又は音響受信手段の故障などによって、測定が正常に行えなかったことや完了しなかったことを検知できる。
また、本発明の水中機器によれば、濁水中においても対象物までの距離を的確に導出できる機能を有する。
本発明の一実施形態による濁水中距離測定装置の構成を示す概略構成図 対象物までの距離が3mの場合の音波経路の一例を示す図 音響受信手段で受信した音波の信号の一例を示す図 対象物までの距離が3mの場合の受信信号強度の一例を示す図 対象物までの距離が1〜10mの場合の音波経路の一例を示す図 受信信号のピーク観測時間の一例を示す図 受信信号のピーク数の例を示す図 送受信手段一体型の測定装置による音波の送受信の例を示す図
以下に、本発明の実施形態による濁水中距離測定装置及び濁水中距離測定方法について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による濁水中距離測定装置の構成を示す概略構成図である。
本実施形態による濁水中距離測定装置は、岩石などの対象物10に対して音波を送信する音響送信手段20と、対象物10から反射した音波を受信する音響受信手段30とを備え、音響送信手段20と音響受信手段30とは、所定の計測基準長Lを有して設けている。
このように、対象物10に対して音波を送信する位置と対象物10から反射した音波を受信する位置を所定の計測基準長L離すことで、音波を同位置で送受信する場合と比べて、濁水中においても粒子11からの散乱信号と対象物10からの反射信号の判別がし易くなる。
図2は、対象物10までの距離が3mの場合の音波経路の一例を示す図である。本図においては、音波を同位置で送受信する従来の測定装置(送受信手段一体型)の音波経路を実線で表し、音響送信手段20と音響受信手段30が所定の計測基準長Lを有して設けられる本実施形態の濁水中距離測定装置(送受信手段分離型)の音波経路を破線で表している。なお、本図においては計測基準長Lを6mとしている。
音響送信手段20と音響受信手段30には、例えばソナーヘッドを用いることができる。
拡がり角約5°、指向性有、周波数100kHz程度の音波を、音響送信手段(送信ソナーヘッド)20から粒子11が浮遊した濁水中に存在する対象物10に向けて送信すると、音響送信手段20と同期された音響受信手段(受信ソナーヘッド)30において、対象物10から反射した音波が観測される。
は音響送信手段20から対象物10までの距離、rは対象物10から音響受信手段30までの距離、r’は音響送信手段20から粒子11までの距離、r’は粒子11から音響受信手段30までの距離である。
なお、音響受信手段30をスキャン型音響センサー又は音響センサーアレイとし、音響送信手段20をスキャン型送波器又は音響発信アレイとしても良い。このように構成した場合には、対象物10の位置が多少ずれた場合や対象物10が大きい場合に、対象物10に的確に音波を当て反射した音波を的確に観測できる。このため対象物10を的確に把握し、対象物10までの距離をより的確に導出できるとともに、対象物10の形状情報を得ることができる。
ここで、音響センサーアレイには、音響センサーを多数アレイ状に配列したもの以外に、音響センサーは単数あるいは少数であっても送波・受波の際に音響レンズを使って音波を拡散・集中させる等、実質的に音響センサーアレイの機能を有した音響レンズ方式を含む。
図3は、音響受信手段30で受信した音波の信号の一例を示す図であり、波形とその包絡線を表示している。但し、波形は詳細な表現を省略し、包絡線を中心に表現している。
音響受信手段30は、対象物10から反射した音波以外に、濁水中に浮遊する粒子11から反射した音波も受信する。音響送信手段20と音響受信手段30とは、所定の計測基準長Lを有して設けているため、音響送信手段20と対象物10の間に浮遊する粒子11から反射した音波が、対象物10から反射した音波よりも先に音響受信手段30で受信される。また、音響送信手段20と対象物10の間に浮遊する粒子11から反射した音波は、計測基準長Lに相当する分の時間が経過した後に音響受信手段30で受信され始める。
時間が経過すると伝播距離が長くなるため粒子11から反射した音波の受信信号強度は徐々に下がっていくが、対象物10からの反射信号を受けると受信信号強度は一気に上がる。
判別手段40は、音響受信手段30で受信した音波の信号から粒子11からの散乱信号と対象物10からの反射信号を判別する。
本実施形態においては、判別手段40は、受信した音波の信号の1つ目のピークを粒子11からの散乱信号、信号の2つ目のピークを対象物10からの反射信号として判別する。なお、ここでピークとは、包絡線のピークをいう。
このように判別することで、音響送信手段20の近傍に浮遊する粒子11を対象物10と誤認する可能性を低減することができる。
図4は、対象物10までの距離が3mの場合の受信信号強度の一例を示す図である。本図においては、従来の送受信手段一体型の受信信号強度を三角記号で表し、送受信手段分離型の受信信号強度を丸記号で表している。なお、計測基準長Lを6mとしている。
本図に示すように、送受信手段一体型は、1つ目のピークが2つ目のピークよりも信号強度が大きいため対象物10からの反射信号が隠れてしまうのに対して、送受信手段分離型は、2つ目のピークが1つ目のピークよりも信号強度が大きいため粒子11からの散乱信号と対象物10からの反射信号の判別がし易い。すなわち、従来の送受信手段一体型では、送受信手段の近傍に大きめの粒子11があった場合等に、対象物10からの反射信号よりも粒子11からの散乱信号の受信信号強度が高くなり、かつピーク状になるため、対象物10からの反射信号と判別を誤る確率が高くなるが、本実施形態における送受信手段分離型は、このような誤判別が低減できる。
なお、対象物10までの距離は、用途により変えることができる。図5は、対象物10までの距離が1〜10mの場合の音波経路の一例を示す図である。本図においては、送受信手段一体型の音波経路を実線で表し、送受信手段分離型の音波経路を破線で表している。なお、計測基準長Lを6mとしている。但し、計測基準長Lに対して対象物10までの距離は、計測基準長Lを大きく越えない範囲が好ましく、2倍又は1/2倍までの距離が更に好ましく、略等距離であることが最も好ましい。
図6は、受信信号のピークの観測時間の一例を示す図である。本図においては、送受信手段一体型を三角記号で表し、送受信手段分離型を丸記号で表している。なお、計測基準長Lを6mとしている。この図6に示すようなピーク観測時間と対象物10までの距離の関係を予め求めておくことにより、ピーク観測時間から対象物10までの距離を簡便に、的確に導出できるという効果が得られる。特に、濁水中距離測定装置として対象物10の距離レンジに応じて、計測基準長Lを変更するような型式の場合に、この効果は更に顕著となる。
図7は、受信信号のピーク数について、(a)は清水中、(b)は均一濁水中、(c)は拡散濁水中、(d)は濁水濃淡逆転水中、(e)は濁水中異物介在時を示している。このように、粒子11の分布状態や粒子11以外の異物12の介在などによってピーク数は変動することがあるので、例えばピーク数が3つ出現する場合は3つ目のピークを対象物10からの反射信号として判別するなど、測定状況に応じて対象物10からの反射信号として判別するピークを変更する。このような場合であっても、対象物10から反射した受信信号強度は、最大となる場合が多いため最大のピークから判別してもよいが、所定の閾値と組み合わせて判別してもよい。また、予め粒子11の分布の傾向や、周囲の環境条件が分かっている場合には、これらの傾向や条件を加味して判別することも可能である。
距離導出手段50は、反射信号に基づいて対象物10までの距離を導出する。
本実施形態においては、音波の送信時刻から2つ目のピークの受信時刻までの時間と、対象物10と音響送信手段20と音響受信手段30との幾何学的配置を考慮して予め求めた時間と距離の関係に基づいて対象物10までの距離を導出する。このように導出することで、濁水中においても音響送信手段20の近傍に浮遊する粒子11を対象物10と誤認することなく、幾何学的配置を考慮して対象物10までの距離を的確に導出できる。
幾何学的配置として対象物10と音響送信手段20と音響受信手段30の凡その位置関係が分かっていると、ピークの判別もより容易となる。また、例えば、1つ目のピークを粒子11からの散乱信号、2つ目のピークを対象物10からの反射信号として判別し、音波の送信時刻から2つ目のピークの受信時刻までの時間に基づいて対象物10までの距離を導出する場合、図6に適用して対象物10までの距離を容易に導出することができる。
また、計測基準長Lの相当時間を予め求めておくことにより、音波の送信時刻から2つ目のピークの受信時刻までの時間から計測基準長Lの相当時間を引いて正味の伝播時間を求め、これに基づいて距離を導出することもできる。
なお、音波の送信時刻から2つ目のピークの受信時刻までの時間に代えて、1つ目のピークの受信時刻から2つ目のピークの受信時刻までの時間に基づいて対象物10までの距離を導出してもよい。この場合は、直接正味の伝播時間を求め、対象物10までの距離を導出することができる。
異常判定手段60は、受信した音波の信号のピークに基づいて異常を判定する。例えば、音波の送信方向が対象物10からずれて音波が対象物10から反射して来ない場合や、音響送信手段20又は音響受信手段30の故障などによってピークが1つも無い場合、また対象物10との間に異物12が存在してピークが正常時よりも多く出る場合等は異常と判定することによって、測定が正常に行えなかったことや完了しなかったことを検知できる。
ここで、対象物10に対して音波を送信する位置と対象物10から反射した音波を受信する位置を所定の計測基準長L離すことで、音波を同位置で送受信する場合と比べて、水中に浮遊する粒子11からの散乱信号と対象物10からの反射信号の判別がし易くなることについて数式を用いて説明する。
図8(a)は、送受信手段一体型の測定装置であるソナー100による清水中における音波の送受信を示す図であり、図8(b)は図8(a)における受信信号の波形とその包絡線を示している。また、図8(c)は、ソナー100による濁水中における音波の送受信を示す図であり、図8(d)は図8(c)における受信信号の波形とその包絡線を示している。但し、波形は詳細な表現を省略し、包絡線を中心に表現している。
まず、ソナー100の受信信号強度は、I(t)を時刻tにおける受信信号強度(音波強度又は電気信号値)、I(t)を送信ヘッドから出るパルス音の強度(パルス幅程度)、Aを受信ヘッドの面積、rをソナー100から対象物10までの距離、θを入射方向と反射方向のなす角、k(r)を位置rでの音の減衰係数とすると、次の数式で表される。
ここで、送波信号(拡がり角約5°)は、幾何学的に全て対象物10に当たる方向と仮定する。σ(r,θ)は音波の微分散乱断面積であり、θ≒180°(後方散乱)である。
そして、距離(位置)と時刻tは、r=2v(t−t)で表されるので、送信ヘッド近傍の受信信号((t−t)〜小)ほど強調され、図8(b)、(d)に示すように、送信ヘッドの近傍に浮遊する粒子11からの散乱信号に、対象物10からの反射信号が隠れやすいことが分かる。
これに対し、本実施形態の濁水中距離測定装置のように、音響送信手段(送信ソナーヘッド)20と音響受信手段(受信ソナーヘッド)30が分離して設けられる送受信手段分離型のソナーの受信信号強度は、I(t)を時刻tにおける受信信号強度(音波強度又は電気信号値)、I(t)を送信ソナーヘッド20から出るパルス音の強度(パルス幅程度)、Cをソナー装置定数、Aを受信ソナーヘッド30の面積、rを送信ソナーヘッド20から対象物10までの距離、rを対象物10から受信ソナーヘッド30までの距離、θを入射方向と反射方向のなす角、k(r)を位置rでの音の減衰係数とすると、次の数式で表される。
ここで、送波信号(拡がり角約5°)は、幾何学的に全て対象物10に当たる方向と仮定する。σ(r,θ)は音波の微分散乱断面積であり、θ≒90°(大角度散乱)である。
そして、距離(位置)と時刻tは、r=2v((t−t)+(t−t))で表されるので、送信ソナーヘッド20近傍の粒子11からの散乱信号ほどrが大きくなる。また、θ≒90°で、濁水中の粒子11による微分散乱断面積σ(r,θ)は最小である。よって、図3、図4に示すように、送信ソナーヘッド20近傍の粒子11からの散乱信号を抑制することができ、対象物10からの反射信号を的確に得ることができる。
次に、送受信手段分離型のソナーの受信シグナルは、I(t)を時刻tにおける受信シグナル音の信号強度(音波強度又は電気信号値)、I(Δt)を送信ソナーヘッド20から出るパルス音の強度(パルス幅程度)、Cをソナー装置定数、Aを受信ソナーヘッド30の面積、σref(θ,φ)を音波が対象物10に入射し、角度(θ,φ)方向(受信ソナーヘッド30方向)に反射するときの反射率、rを送信ソナーヘッド20から対象物10までの距離、rを対象物10から受信ソナーヘッド30までの距離、θを入射方向と反射方向のなす角、φを入射方向と受信ソナーヘッド30を含む平面と散乱方向のなす角、k(r)を位置rでの音の減衰係数とすると、次の数式で表される。
また、送受信手段分離型のソナーの受信ノイズは、I(t)を時刻tにおける受信ノイズ音の信号強度(音波強度又は電気信号値)、σscat(γ’,θ’,φ’)を位置γ’で音波が浮遊物である粒子11と相互作用し、角度(θ’,φ’)方向(受信ソナーヘッド30方向)に散乱するときの散乱断面積、rを送信ソナーヘッド20から対象物10までの距離、r’を送信ソナーヘッド20から散乱体である粒子11までの距離、r’を散乱体である粒子11から受信ソナーヘッド30までの距離、θ’を入射方向と反射方向のなす角、φ’を入射方向と受信ソナーヘッド30を含む平面と散乱方向のなす角、k(r)を位置rでの音の減衰係数とすると、次の数式で表される。
これら数式(3)のI(t)と数式(4)のI(t)の和が、本実施形態の濁水中距離測定装置の観測信号となる。また、I(t)とI(t)の比が、本実施形態の濁水中距離測定装置の信号SN比(シグナル−ノイズ比)となる。
また、距離(位置)と時刻tは、r=v(t−t−Δt)、r=r+rの関係で表される。
そして比較のために、送受信手段一体型のソナー100の、受信シグナルと受信ノイズの数式を示す。まず受信シグナルは、次の数式で表される。
また、受信ノイズは、次の数式で表される。
これら数式(5)のI(t)と数式(6)のI(t)の和が、ソナー100の観測信号となる。また、I(t)とI(t)の比が、ソナー100の信号SN比となる。
また、距離(位置)と時刻tは、r=v/2(t−t−Δt)で表される。
ここで、ソナー100は、r>r’となるのに対し、送受信手段分離型のソナーは、r<r’となることから、送受信手段分離型のソナーの方がSN比が向上することが分かる。
したがって、対象物10に対して音波を送信する位置と対象物10から反射した音波を受信する位置を所定の計測基準長L離すことで、音波を同位置で送受信する場合と比べて、水中に浮遊する粒子11からの散乱信号と対象物10からの反射信号の判別がし易くなる。
本発明の一実施形態による濁水中距離測定装置は、例えば海底で鉱物資源を掘削する水中掘削機に適用される。水中掘削機の一例を挙げると、水中を走行するためのクローラを本体の左右に有し、前方中央に左右に旋回し上下に移動(俯仰を含む)するブームとその先端にカッターを有している。鉱物資源を掘削するに当り、掘削物(対象物10)までの距離を知り、あるいは対象物10の形状情報を知り的確にブームを動かし、カッターを作動させる必要がある。カッターによる鉱物掘削に伴い、周囲には削られた鉱物の微粒子や海底に存在する粒子(粒子11)、異物12が舞い上がり、水中に浮遊する結果となる。
このような水中掘削機において、従来の送受信手段一体型の測定装置は、水中掘削機の前方中央に存在するブームが邪魔になり設置ができなかった。ブームを外して設置することは可能であるが、型式として粒子11と対象物10の判別が困難であること以外にも、斜めから計測になるため距離に誤差が生じる問題が予想された。
一方、本実施形態の濁水中距離測定装置においては、音響送信手段20と音響受信手段30が所定の計測基準長Lを有しているため、丁度この距離の間にブームを設けることができ、設置上の問題も無くせる利点も併せて有している。なお、ブームが左右に旋回して掘削を行ったり、上下に移動して掘削を行う場合は、ブームに連動して音響送信手段20と音響受信手段30を所定の計測基準長Lを維持しつつ旋回させたり移動させることにより、どのような作業状況においても的確に対象とする掘削物(対象物10)までの距離や形状情報を把握することができる。
本発明の濁水中距離測定装置は、海底地形観測用三次元ソナーである、サイドスキャンソナー、マルチビームソナー、水中音響カメラ型ソナー及びインターフェロメトリーソナーにも適用できる。
また、本発明の濁水中距離測定装置を、海底掘削機以外にも、ROV(遠隔操作型無人水中探査機)、AUV(自律型無人水中探査機)等の水中機器に搭載することで、濁水中においても対象物までの距離を的確に導出できる機能を有する水中機器を提供できる。
10 対象物
11 粒子
20 音響送信手段
30 音響受信手段
40 判別手段
50 距離導出手段
60 異常判定手段

Claims (14)

  1. 粒子が浮遊した濁水中に存在する対象物までの距離を測定する濁水中距離測定方法であって、前記対象物に対して音響送信手段から音波を送信し、前記音響送信手段と所定の計測基準長を有して設けた音響受信手段により前記対象物から反射した前記音波を受信し、前記音響受信手段で受信した前記音波の信号から、受信した前記音波の前記信号の1つ目のピークを前記粒子からの散乱信号、2つ目以降の前記ピークを前記対象物からの反射信号として判別し、前記音波の送信時刻から2つ目以降の前記ピークの受信時刻までの時間に基づいて前記対象物までの前記距離を導出したことを特徴とする濁水中距離測定方法。
  2. 粒子が浮遊した濁水中に存在する対象物までの距離を測定する濁水中距離測定方法であって、前記対象物に対して音響送信手段から音波を送信し、前記音響送信手段と所定の計測基準長を有して設けた音響受信手段により前記対象物から反射した前記音波を受信し、前記音響受信手段で受信した前記音波の信号から、受信した前記音波の前記信号の1つ目のピークを前記粒子からの散乱信号、2つ目以降の前記ピークを前記対象物からの反射信号として判別し、1つ目の前記ピークの受信時刻から2つ目以降の前記ピークの受信時刻までの時間に基づいて前記対象物までの前記距離を導出したことを特徴とする濁水中距離測定方法。
  3. 受信した前記音波の前記信号の前記ピークに基づいて異常を判定したことを特徴とする請求項1又は請求項に記載の濁水中距離測定方法。
  4. 前記距離の導出に当っては、前記対象物と前記音響送信手段と前記音響受信手段の幾何学的配置を考慮して導出したことを特徴とする請求項から請求項のうちの1項に記載の濁水中距離測定方法。
  5. 前記距離の導出に当っては、予め求めた時間と距離の関係に基づいて導出したことを特徴とする請求項に記載の濁水中距離測定方法。
  6. 前記音響受信手段を走査させたこと、又は前記音響受信手段として音響センサーアレイを用いたことを特徴とする請求項1から請求項のうちの1項に記載の濁水中距離測定方法。
  7. 前記音響送信手段を走査させたこと、又は前記音響送信手段として音響発信アレイを用いたことを特徴とする請求項1から請求項のうちの1項に記載の濁水中距離測定方法。
  8. 粒子が浮遊した濁水中に存在する対象物までの距離を測定する濁水中距離測定装置であって、前記対象物に対して音波を送信する音響送信手段と、前記音響送信手段と所定の計測基準長を有して設けた前記対象物から反射した前記音波を受信する音響受信手段と、前記音響受信手段で受信した前記音波の信号から前記粒子からの散乱信号と前記対象物からの反射信号とを判別する判別手段と、前記反射信号に基づいて前記対象物までの前記距離を導出する距離導出手段とを備え、前記判別手段は、受信した前記音波の前記信号の1つ目のピークを前記粒子からの前記散乱信号、前記信号の2つ目以降の前記ピークを前記対象物からの前記反射信号として判別したことを特徴とする濁水中距離測定装置。
  9. 前記距離導出手段は、前記音波の送信時刻から2つ目以降の前記ピークの受信時刻までの時間に基づいて前記対象物までの前記距離を導出したことを特徴とする請求項に記載の濁水中距離測定装置。
  10. 前記距離導出手段は、前記対象物と前記音響送信手段と前記音響受信手段との幾何学的配置を考慮して予め求めた時間と距離の関係に基づいて前記対象物までの前記距離を導出したことを特徴とする請求項8又は請求項に記載の濁水中距離測定装置。
  11. 前記音響受信手段をスキャン型音響センサー又は音響センサーアレイとしたことを特徴とする請求項から請求項10のうちの1項に記載の濁水中距離測定装置。
  12. 前記音響送信手段をスキャン型送波器又は音響発信アレイとしたことを特徴とする請求項から請求項11のうちの1項に記載の濁水中距離測定装置。
  13. 受信した前記音波の前記信号の前記ピークに基づいて異常を判定する異常判定手段を備えたことを特徴とする請求項から請求項12のうちの1項に記載の濁水中距離測定装置。
  14. 前記請求項から請求項13のうちの1項に記載の濁水中距離測定装置を搭載したことを特徴とする水中機器。
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