JP6463007B2 - 濁水中距離測定方法及び濁水中距離測定装置並びに水中機器 - Google Patents
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Description
しかし、極端に濁った水の中では、音波が濁水中で散乱し、対象物からの反射音が判別しづらくなるため、水中距離の計測が困難である。例えば海底での掘削作業においては対象物までの水中距離の計測が必須であるが、海中掘削機が岩石等を削ることによって周囲に多数の粒子が浮遊し、その粒子によって音波が散乱して水中距離の計測が困難となり、作業効率が低下してしまう。
そこで、濁水中においても対象物までの距離を的確に測定できる方法及び装置が求められている。
ここで、特許文献1は、測定環境における温度の影響を払拭して測定を行えるようにした超音波距離計に関し、測定対象面に対して略直角に超音波を出射する第1の電気−音響変換手段と、第1の電気−音響変換手段から所定距離を隔てて配置され、測定対象面で反射した超音波が入射する第2の電気−音響変換手段が記載されている。
また、特許文献2は、計測対象に据え付けられた標的の表面に照射されたビーム光の照射点の位置を、計測対象の近くで照射点検出センサで検出することによって、濁った水の中でも位置を遠隔で計測できる装置を提案している。
また、特許文献3には、超音波の発信の完了時から反射超音波の減衰時までを、測定対象物が超音波を反射してその反射超音波を受信するまでの時間とし、浮遊物による超音波の反射があっても距離を測定できるとする超音波距離計が記載されている。
また、特許文献4は、物体間距離測定装置に関し、2つの異なる周波数の超音波信号を用いることによって外乱ノイズの影響を抑制することが記載されている。
また、特許文献2は、計測対象の近くでビーム光の照射点を検出して距離を計測するものであり、計測対象で反射した音波を検出して計測対象までの水中距離を計測するものではなく、音波は照射点検出センサの粗位置決めに利用されているだけに過ぎない。
また、特許文献3は、超音波の発信の完了時から反射超音波の減衰時までの時間を用いることで、浮遊物による超音波の反射が計測結果に与える影響を少なくしようとするものであるが、超音波の発信と受信が一体となった超音波センサを用いるものであり、送波信号の散乱による対象物からの反射音の判別のしづらさを解消するものではない。
また、特許文献4は、超音波信号は油圧ショベルの安全装置等に用いられるものであって、濁水中で対象物までの距離を計測するものではない。
本実施形態による濁水中距離測定装置は、岩石などの対象物10に対して音波を送信する音響送信手段20と、対象物10から反射した音波を受信する音響受信手段30とを備え、音響送信手段20と音響受信手段30とは、所定の計測基準長Lを有して設けている。
このように、対象物10に対して音波を送信する位置と対象物10から反射した音波を受信する位置を所定の計測基準長L離すことで、音波を同位置で送受信する場合と比べて、濁水中においても粒子11からの散乱信号と対象物10からの反射信号の判別がし易くなる。
拡がり角約5°、指向性有、周波数100kHz程度の音波を、音響送信手段(送信ソナーヘッド)20から粒子11が浮遊した濁水中に存在する対象物10に向けて送信すると、音響送信手段20と同期された音響受信手段(受信ソナーヘッド)30において、対象物10から反射した音波が観測される。
r1は音響送信手段20から対象物10までの距離、r2は対象物10から音響受信手段30までの距離、r1’は音響送信手段20から粒子11までの距離、r2’は粒子11から音響受信手段30までの距離である。
ここで、音響センサーアレイには、音響センサーを多数アレイ状に配列したもの以外に、音響センサーは単数あるいは少数であっても送波・受波の際に音響レンズを使って音波を拡散・集中させる等、実質的に音響センサーアレイの機能を有した音響レンズ方式を含む。
音響受信手段30は、対象物10から反射した音波以外に、濁水中に浮遊する粒子11から反射した音波も受信する。音響送信手段20と音響受信手段30とは、所定の計測基準長Lを有して設けているため、音響送信手段20と対象物10の間に浮遊する粒子11から反射した音波が、対象物10から反射した音波よりも先に音響受信手段30で受信される。また、音響送信手段20と対象物10の間に浮遊する粒子11から反射した音波は、計測基準長Lに相当する分の時間が経過した後に音響受信手段30で受信され始める。
時間が経過すると伝播距離が長くなるため粒子11から反射した音波の受信信号強度は徐々に下がっていくが、対象物10からの反射信号を受けると受信信号強度は一気に上がる。
本実施形態においては、判別手段40は、受信した音波の信号の1つ目のピークを粒子11からの散乱信号、信号の2つ目のピークを対象物10からの反射信号として判別する。なお、ここでピークとは、包絡線のピークをいう。
このように判別することで、音響送信手段20の近傍に浮遊する粒子11を対象物10と誤認する可能性を低減することができる。
本図に示すように、送受信手段一体型は、1つ目のピークが2つ目のピークよりも信号強度が大きいため対象物10からの反射信号が隠れてしまうのに対して、送受信手段分離型は、2つ目のピークが1つ目のピークよりも信号強度が大きいため粒子11からの散乱信号と対象物10からの反射信号の判別がし易い。すなわち、従来の送受信手段一体型では、送受信手段の近傍に大きめの粒子11があった場合等に、対象物10からの反射信号よりも粒子11からの散乱信号の受信信号強度が高くなり、かつピーク状になるため、対象物10からの反射信号と判別を誤る確率が高くなるが、本実施形態における送受信手段分離型は、このような誤判別が低減できる。
本実施形態においては、音波の送信時刻から2つ目のピークの受信時刻までの時間と、対象物10と音響送信手段20と音響受信手段30との幾何学的配置を考慮して予め求めた時間と距離の関係に基づいて対象物10までの距離を導出する。このように導出することで、濁水中においても音響送信手段20の近傍に浮遊する粒子11を対象物10と誤認することなく、幾何学的配置を考慮して対象物10までの距離を的確に導出できる。
幾何学的配置として対象物10と音響送信手段20と音響受信手段30の凡その位置関係が分かっていると、ピークの判別もより容易となる。また、例えば、1つ目のピークを粒子11からの散乱信号、2つ目のピークを対象物10からの反射信号として判別し、音波の送信時刻から2つ目のピークの受信時刻までの時間に基づいて対象物10までの距離を導出する場合、図6に適用して対象物10までの距離を容易に導出することができる。
また、計測基準長Lの相当時間を予め求めておくことにより、音波の送信時刻から2つ目のピークの受信時刻までの時間から計測基準長Lの相当時間を引いて正味の伝播時間を求め、これに基づいて距離を導出することもできる。
なお、音波の送信時刻から2つ目のピークの受信時刻までの時間に代えて、1つ目のピークの受信時刻から2つ目のピークの受信時刻までの時間に基づいて対象物10までの距離を導出してもよい。この場合は、直接正味の伝播時間を求め、対象物10までの距離を導出することができる。
図8(a)は、送受信手段一体型の測定装置であるソナー100による清水中における音波の送受信を示す図であり、図8(b)は図8(a)における受信信号の波形とその包絡線を示している。また、図8(c)は、ソナー100による濁水中における音波の送受信を示す図であり、図8(d)は図8(c)における受信信号の波形とその包絡線を示している。但し、波形は詳細な表現を省略し、包絡線を中心に表現している。
まず、ソナー100の受信信号強度は、I(t)を時刻tにおける受信信号強度(音波強度又は電気信号値)、I(t0)を送信ヘッドから出るパルス音の強度(パルス幅程度)、Aを受信ヘッドの面積、rをソナー100から対象物10までの距離、θを入射方向と反射方向のなす角、k(r)を位置rでの音の減衰係数とすると、次の数式で表される。
そして、距離(位置)と時刻tは、r=2v(t−t0)で表されるので、送信ヘッド近傍の受信信号((t−t0)〜小)ほど強調され、図8(b)、(d)に示すように、送信ヘッドの近傍に浮遊する粒子11からの散乱信号に、対象物10からの反射信号が隠れやすいことが分かる。
そして、距離(位置)と時刻tは、r=2v((t1−t0)+(t2−t1))で表されるので、送信ソナーヘッド20近傍の粒子11からの散乱信号ほどr2が大きくなる。また、θ≒90°で、濁水中の粒子11による微分散乱断面積σ(r1,θ)は最小である。よって、図3、図4に示すように、送信ソナーヘッド20近傍の粒子11からの散乱信号を抑制することができ、対象物10からの反射信号を的確に得ることができる。
また、距離(位置)と時刻tは、r=v(t2−t0−Δt)、r=r1+r2の関係で表される。
また、距離(位置)と時刻tは、r=v/2(t−t0−Δt)で表される。
したがって、対象物10に対して音波を送信する位置と対象物10から反射した音波を受信する位置を所定の計測基準長L離すことで、音波を同位置で送受信する場合と比べて、水中に浮遊する粒子11からの散乱信号と対象物10からの反射信号の判別がし易くなる。
このような水中掘削機において、従来の送受信手段一体型の測定装置は、水中掘削機の前方中央に存在するブームが邪魔になり設置ができなかった。ブームを外して設置することは可能であるが、型式として粒子11と対象物10の判別が困難であること以外にも、斜めから計測になるため距離に誤差が生じる問題が予想された。
一方、本実施形態の濁水中距離測定装置においては、音響送信手段20と音響受信手段30が所定の計測基準長Lを有しているため、丁度この距離の間にブームを設けることができ、設置上の問題も無くせる利点も併せて有している。なお、ブームが左右に旋回して掘削を行ったり、上下に移動して掘削を行う場合は、ブームに連動して音響送信手段20と音響受信手段30を所定の計測基準長Lを維持しつつ旋回させたり移動させることにより、どのような作業状況においても的確に対象とする掘削物(対象物10)までの距離や形状情報を把握することができる。
また、本発明の濁水中距離測定装置を、海底掘削機以外にも、ROV(遠隔操作型無人水中探査機)、AUV(自律型無人水中探査機)等の水中機器に搭載することで、濁水中においても対象物までの距離を的確に導出できる機能を有する水中機器を提供できる。
11 粒子
20 音響送信手段
30 音響受信手段
40 判別手段
50 距離導出手段
60 異常判定手段
Claims (14)
- 粒子が浮遊した濁水中に存在する対象物までの距離を測定する濁水中距離測定方法であって、前記対象物に対して音響送信手段から音波を送信し、前記音響送信手段と所定の計測基準長を有して設けた音響受信手段により前記対象物から反射した前記音波を受信し、前記音響受信手段で受信した前記音波の信号から、受信した前記音波の前記信号の1つ目のピークを前記粒子からの散乱信号、2つ目以降の前記ピークを前記対象物からの反射信号として判別し、前記音波の送信時刻から2つ目以降の前記ピークの受信時刻までの時間に基づいて前記対象物までの前記距離を導出したことを特徴とする濁水中距離測定方法。
- 粒子が浮遊した濁水中に存在する対象物までの距離を測定する濁水中距離測定方法であって、前記対象物に対して音響送信手段から音波を送信し、前記音響送信手段と所定の計測基準長を有して設けた音響受信手段により前記対象物から反射した前記音波を受信し、前記音響受信手段で受信した前記音波の信号から、受信した前記音波の前記信号の1つ目のピークを前記粒子からの散乱信号、2つ目以降の前記ピークを前記対象物からの反射信号として判別し、1つ目の前記ピークの受信時刻から2つ目以降の前記ピークの受信時刻までの時間に基づいて前記対象物までの前記距離を導出したことを特徴とする濁水中距離測定方法。
- 受信した前記音波の前記信号の前記ピークに基づいて異常を判定したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の濁水中距離測定方法。
- 前記距離の導出に当っては、前記対象物と前記音響送信手段と前記音響受信手段の幾何学的配置を考慮して導出したことを特徴とする請求項1から請求項3のうちの1項に記載の濁水中距離測定方法。
- 前記距離の導出に当っては、予め求めた時間と距離の関係に基づいて導出したことを特徴とする請求項4に記載の濁水中距離測定方法。
- 前記音響受信手段を走査させたこと、又は前記音響受信手段として音響センサーアレイを用いたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちの1項に記載の濁水中距離測定方法。
- 前記音響送信手段を走査させたこと、又は前記音響送信手段として音響発信アレイを用いたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちの1項に記載の濁水中距離測定方法。
- 粒子が浮遊した濁水中に存在する対象物までの距離を測定する濁水中距離測定装置であって、前記対象物に対して音波を送信する音響送信手段と、前記音響送信手段と所定の計測基準長を有して設けた前記対象物から反射した前記音波を受信する音響受信手段と、前記音響受信手段で受信した前記音波の信号から前記粒子からの散乱信号と前記対象物からの反射信号とを判別する判別手段と、前記反射信号に基づいて前記対象物までの前記距離を導出する距離導出手段とを備え、前記判別手段は、受信した前記音波の前記信号の1つ目のピークを前記粒子からの前記散乱信号、前記信号の2つ目以降の前記ピークを前記対象物からの前記反射信号として判別したことを特徴とする濁水中距離測定装置。
- 前記距離導出手段は、前記音波の送信時刻から2つ目以降の前記ピークの受信時刻までの時間に基づいて前記対象物までの前記距離を導出したことを特徴とする請求項8に記載の濁水中距離測定装置。
- 前記距離導出手段は、前記対象物と前記音響送信手段と前記音響受信手段との幾何学的配置を考慮して予め求めた時間と距離の関係に基づいて前記対象物までの前記距離を導出したことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の濁水中距離測定装置。
- 前記音響受信手段をスキャン型音響センサー又は音響センサーアレイとしたことを特徴とする請求項8から請求項10のうちの1項に記載の濁水中距離測定装置。
- 前記音響送信手段をスキャン型送波器又は音響発信アレイとしたことを特徴とする請求項8から請求項11のうちの1項に記載の濁水中距離測定装置。
- 受信した前記音波の前記信号の前記ピークに基づいて異常を判定する異常判定手段を備えたことを特徴とする請求項8から請求項12のうちの1項に記載の濁水中距離測定装置。
- 前記請求項8から請求項13のうちの1項に記載の濁水中距離測定装置を搭載したことを特徴とする水中機器。
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