〔テスト画像の説明〕
図1は本発明の実施形態に係るテスト画像形成システムによって形成されたテスト画像であり異常記録素子が不存在の場合のテスト画像の説明図である。同図に示すテスト画像500は、1オンNオフパターンにおける罫線と罫線の周囲との濃度関係を反転させた、Nオン1オフパターンを有するテスト画像ある。Nは1以上の整数を表す。以下の説明においても同様である。本明細書では、画像、パターンに関する形成、記録の用語は適宜置き換えが可能である。
図1におけるテスト画像500の上部には、テスト画像500を形成する記録ヘッドに具備される100個の記録素子506−1から記録素子506−100の一部が模式的に図示されている。図1における左端の記録素子を1番目の記録素子とし、右端の記録素子を100番目の記録素子とする。記録素子506の枝番は図1における左から右へ昇順となっている。なお、記録素子及び記録素子の符号は図示の都合により適宜省略する。
図1に示した100個の記録素子506−1から記録素子506−100は、第1方向Xに沿って等間隔に一列に配置されている。図21に示すノズル開口280のように、複数の記録素子がマトリクス配置されている場合、複数の記録素子を第1方向Xに沿って投影させた投影記録素子群は、図1に示した記録素子506−1から記録素子506−100により構成される投影記録素子群507と同一の記録素子の配置となる。図1に両矢印線を用いて図示した第1方向Xは、両矢印線が示す二方向のうち一方のみの方向を第1方向Xとすることがある。第2方向Yについても同様である。
記録ヘッドの例として、インクジェット方式の記録ヘッド、電子写真方式の記録ヘッドが挙げられる。記録素子は、インクジェット方式の記録ヘッドにおけるノズル、電子写真方式の記録ヘッドにおけるLED素子など、記録ヘッドの画像記録を行う最小構成単位を意味する。なお、LEDはlight emitting diodeの略語である。
テスト画像500は、罫線部502、及び罫線周囲部504を含んで構成される。罫線部502は、第1方向Xについて単位記録幅と同一の幅を有し、1オンNオフテスト画像における罫線に対応する。罫線周囲部504は第1方向Xについて単位記録幅のN倍の幅を有し、1オンNオフテスト画像における罫線の周囲に対応する。単位記録幅とは、1つの記録素子により記録される幅の最小値であり、1ドット幅及びドットの直径と同義である。
テスト画像500は、第1方向に沿って等間隔に配置させた100個の記録素子506−1から記録素子506−100を有する投影記録素子群507を用いて、記録ヘッドと記録媒体とを第1方向Xと直交する第2方向Yに沿って相対移動させて記録される。
Nを1以上の整数として、投影記録素子群507におけるN個おきに決められた記録素子を第1記録素子とし、第1記録素子の間のN個の記録素子を第2記録素子とし、第2記録素子を用いて第2方向について予め決められた長さを有する罫線周囲部504を記録することで、テスト画像500の図1における上から1段目のパターン508−1が記録される。
図1に示した例では、テスト画像500の図1における上から1段目のパターン508−1の罫線周囲部504の記録を行う際に、記録素子506−1、記録素子506−11、記録素子506−21、記録素子506−31、記録素子506−41、記録素子506−51、記録素子506−61、記録素子506−71、記録素子506−81、記録素子506−91が第1記録素子と選択された例である。すなわち、図1に示したテスト画像500は、第1記録素子の間隔数であるNが9の場合の例である。
また、テスト画像500の図1における上から1段目のパターン508−1の罫線周囲部504の記録を行う際に、記録素子506−2から記録素子506−10、記録素子506−12から記録素子506−20、記録素子506−22から記録素子506−30、記録素子506−42から記録素子506−50、記録素子506−52から記録素子506−60、記録素子506−62から記録素子506−70、記録素子506−72から記録素子506−80、記録素子506−82から記録素子506−90、記録素子506−92から記録素子506−100が第2記録素子となる。
第2方向Yにおける記録位置を順次変え、かつ、第1記録素子及び第2記録素子を順次切り換えて、テスト画像500の図1における上から2段目のパターン508−2から10段目のパターン508−10までの画像記録が行われる。
第2方向における各段の長さは、テスト画像500の段数、テスト画像500を読み取るスキャナ装置などの読取装置の読取速度、読取解像度等のテスト画像の読取条件や、テスト画像500を記録するスペースの条件、記録ヘッドの条件などに応じて決められる。第2方向における各段の長さは一定であることが好ましい。また、第2方向において、各段の長さが一定であることが好ましい。
第2方向Yにおける記録位置を順次変える態様として、各段が連続的に形成される態様、各段の間に非記録領域が形成される態様が含まれる。第1記録素子及び第2記録素子を順次切り換える態様には、配列順に切り換える態様、1つおき、2つおきのように切り換える態様が含まれる。
すなわち、図1におけるテスト画像500において、1段目、3段目、5段目、7段目、9段目、2段目、4段目、6段目、8段目、10段目のように、テスト画像の解析が可能である規則性が確保されれば、各段の入れ換えは可能である。
図1に示すように、本実施形態に係るテスト画像形成方法を用いて記録されたテスト画像は、1オンNオフテスト画像のオフの位置に、第2記録素子を用いて罫線周囲部504を記録することで、実技画像が記録される際の記録状態との乖離が小さい状態、すなわち、実技画像の記録状態と類似した記録状態でテスト画像を形成することができる。
また、形成されたテスト画像は、第1記録素子の記録特性が、第1記録素子の周辺に配置される第2記録素子の記録状態に依存する場合のテスト画像であり、第1記録素子の記録特性の独立性が相対的に低い場合が実現されたテスト画像である。このテスト画像を用いて異常記録素子検出を行うことで、実技画像の記録において問題となる異常記録素子を確実に検出することができる。
実技画像とは、画像記録装置を用いて記録される画像であり、ユーザから依頼を受けて生産される印刷物に印刷される画像が挙げられる。実技画像の一例を図14に示す。第1方向Xについて、記録媒体の全長に対応する長さにわたって複数の記録素子が配置されたフルライン型ヘッドを用いた画像記録では、任意の記録素子の異常に起因して、第2方向Yに沿う白すじ、黒すじといった濃度むらが発生し、画像品質を低下させてしまう。
また、異常記録素子は、初期状態だけでなく、記録ヘッドの使用後にも発生するので、定期的に異常記録素子を検出することで、異常記録素子の記録位置への補正処理などにより画像品質の低下を抑制する対応を取ることが可能となる。
図1に示したテスト画像500は、第2入力階調値未満の階調値を有する第1入力階調値に対応する第1濃度値を有する罫線部502と、第1入力階調値を超える第2入力階調値に対応する第2濃度値を有し、第1濃度値を有する罫線部502と区別しうる濃度値を有する罫線周囲部504と、を有している。
図1に示したテスト画像500では、罫線部502の第1入力階調値は、入力階調値が取りうる数値範囲の最小値である。入力階調値が取りうる数値範囲の最小値の例として非記録に対応する階調値が挙げられる。また、罫線周囲部504の第2入力階調値は、入力階調値が取りうる範囲の最大値である。入力階調値が取りうる数値範囲の例として、8ビットデジタルデータにおける0から255が挙げられる。
第1入力階調値及び第2入力階調値は、罫線部502と罫線周囲部504がテスト画像500の解析において区別できる範囲で適宜変更可能である。
以下の説明では、図1に示したテスト画像500と同様に、記録素子数が100の記録ヘッドを用いて記録されたテスト画像であり、第1記録素子の間隔数Nが9、段数が10段の場合について説明する。
図2は本発明の実施形態に係るテスト画像形成システムにより形成されたテスト画像であり異常記録素子が存在する場合のテスト画像の説明図である。図3、及び図4は本発明の実施形態に係るテスト画像形成システムにより記録されたテスト画像であり異常記録素子が存在する場合のテスト画像の他の例の説明図である。図2から図4中、図1と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。
図2では図1に示した投影記録素子群507の図示を省略する。罫線部502に付した枝番は当該罫線部502を記録した記録素子の番号を示している。
図2に示したテスト画像510は、図1に示したテスト画像500と同一の入力データを用いて記録されたものであり、異常記録素子が存在している記録ヘッドを用いて記録されたものである。
異常記録素子の例として、記録を行うことができない記録素子、記録位置が正常範囲を超えてずれてしまう記録素子、記録濃度が正常範囲を超えて過大又は過少となる記録素子が挙げられる。
図2に示したテスト画像510は、第2方向Yに沿う白すじ512、及び第2方向Yに沿う黒すじ514が記録されている。また、黒すじ514は同図における上から6段目に欠落部分516があり、上から10段目に欠落部分518がある。
図2に示した白すじ512及び黒すじ514が含まれるテスト画像510が記録された場合は、異常記録素子が存在していると判断することができる。また、図3に示した白すじ512のみが含まれ、黒すじ514が含まれないテスト画像510A、又は図4に示した白すじ512が含まれず、黒すじ514のみが含まれるテスト画像510Bが記録された場合も、異常記録素子が存在していると判断することができる。
一方、図2に示した白すじ512及び黒すじ514が含まれない、図1に示したテスト画像500が記録された場合は、異常記録素子が不存在と判断することができる。なお、図2における符号508A−1はテスト画像510の1段目のパターン、符号508A−2はテスト画像510の2段目のパターンを示している。
図5は本発明の実施形態に係るテスト画像形成方法の制御の流れを示すフローチャートである。開始工程S10においてテスト画像の形成が開始されると、入力データ取得工程S12においてテスト画像を形成するための入力データが取得される。
入力データの取得の例として、予め記憶されているテスト画像形成用入力データを読み出す態様が挙げられる。テスト画像形成用入力データの例として図1及び図2の罫線部502を記録位置とする記録素子を第1記録素子とし、罫線周囲部504を記録位置とする記録素子を第2記録素子として、第2記録素子を用いて1段目パターン508−1の罫線周囲部504を形成し、第2方向における記録位置を順次変え、かつ、第1記録素子及び第2記録素子を順次切り換えて、2段目のパターン508−2から10段目のパターン508−10の罫線周囲部504を形成し、10段からなるテスト画像を形成する入力データが挙げられる。第1記録素子の記録位置に第2入力階調値未満の第1入力階調値が適用され、第2記録素子の記録領域に第1入力階調値を超える階調値を有する第2入力階調値が適用される。第1入力階調値は非記録に対応する階調値としてもよい。第2記録素子の記録領域とは、第2記録素子の記録位置が複数連続する領域である。
異常記録素子が不存在の記録ヘッドが用いられると、図1に示したテスト画像500が記録され、異常記録素子が存在している記録ヘッドが用いられると、図2に示したテスト画像510、又は白すじ512のみが含まれるテスト画像、黒すじ514のみが含まれるテスト画像が記録される。
入力データが取得されると、補正処理工程S14へ進む。補正処理工程S14における補正処理には、入力データの入力階調値とテスト画像の濃度値との非線形性を補正するガンマ補正処理、及び記録素子ごとの記録特性を補正するためのむら補正処理が適用される。
入力データに補正処理が施されると、ハーフトーン処理工程S16へ進む。ハーフトーン処理工程S16では、補正処理後の入力データに対してハーフトーン処理が施され、二値又は入力データの階調数未満の多値のハーフトーンデータが生成される。ハーフトーン処理工程S16に適用されるハーフトーンパターンは、実技画像の記録に使用されるハーフトーンパターンが適用される。
ハーフトーンパターンの一例としては、ディザマトリクス、又はしきい値マトリクスなどが挙げられる。ハーフトーンデータは、入力データに基づいて画素ごとのドットの配置やドットのサイズ等が規定されたハーフトーン処理によって得られるデータである。ハーフトーンデータはドットデータなどと呼ばれることがある。
ハーフトーン処理工程S16によってハーフトーンデータが生成されると、テスト画像形成工程S18に進み、記録ヘッドを用いてテスト画像が形成される。
テスト画像形成工程S18は、図1及び図2の罫線部502を記録位置とする記録素子を第1記録素子とし、罫線周囲部504を記録位置とする記録素子を第2記録素子として、第2記録素子を用いて1段目パターン508−1の罫線周囲部504を形成する。第2方向における記録位置を順次変え、かつ、第1記録素子及び第2記録素子を順次切り換えて、2段目のパターン508−2から10段目のパターン508−10の罫線周囲部504を形成し、10段からなるテスト画像を形成する。テスト画像が記録されると、終了工程S20に進み、テスト画像形成が終了される。
図5に示すテスト画像形成工程S18は、ハーフトーン処理工程S16によって生成されたハーフトーンデータから記録ヘッドの駆動電圧を生成する駆動電圧生成工程と、生成された駆動電圧を用いて記録ヘッドを動作させてテスト画像の形成を行う記録ヘッド駆動工程が含まれる。
図6は本発明の実施形態に係るテスト画像形成システムの概略構成を示すブロック図である。同図に示したテスト画像形成システム300は、制御部302、テスト画像形成用入力データ記憶部304、入力データ取得部306、補正処理部308、ハーフトーン処理部310、及びテスト画像形成部312を備えて構成される。
テスト画像形成システム300は、制御部302によって統括制御される。すなわち、制御部302は各部を動作させる指令信号を各部へ送出する。また、制御部302はテスト画像形成用入力データ記憶部304からのテスト画像データの読み出しを制御するメモリコントローラとして機能する。
テスト画像形成用入力データ記憶部304は、テスト画像を形成する際の入力データとなるテスト画像形成用入力データが記憶される。複数の記録ヘッドに対応して、記録ヘッドのそれぞれに対応するテスト画像形成用入力データが記憶されていてもよい。また、テスト画像形成の条件に対応して、条件ごとのテスト画像形成用入力データが記憶されていてもよい。
入力データ取得部306は、テスト画像を形成する際の入力データを取得する。入力データは、テスト画像形成用入力データ記憶部304から読み出してもよいし、システムの外部から取得してもよい。入力データ取得部306は図5に示した入力データ取得工程S12に対応している。
補正処理部308は、取得された入力データに対して補正処理を施す。補正処理には、図5に示した補正処理工程S14において実行されるガンマ補正処理、むら補正処理が適用される。図6に示した補正処理部308は、図5に示した補正処理工程S14に対応している。
図6に示したハーフトーン処理部310は、補正処理が施された入力データにハーフトーン処理を施す。ハーフトーン処理部310は図5に示したハーフトーン処理工程S16に対応している。
テスト画像形成部312は、ハーフトーン処理によって生成されたハーフトーンデータに基づいてテスト画像を形成する。テスト画像形成部312は、ハーフトーンデータから記録ヘッドの駆動電圧を生成する駆動電圧生成部、駆動電圧を記録ヘッドへ供給する駆動電圧供給部が具備される。
図6に示したテスト画像形成部312は、図5に示したテスト画像形成工程S18に対応している。図6に示したテスト画像形成システム300の構成は、適宜、変更、追加、削除が可能である。
図5に示したテスト画像形成方法、又は図6に示したテスト画像形成システム300を制御するためのテスト画像形成プログラムを構成することが可能である。すなわち、コンピュータを、入力データ取得部306に対応する入力データ取得手段、テスト画像形成部312に対応するテスト画像形成手段として機能させるテスト画像形成プログラムを構成することができる。
また、コンピュータを、テスト画像形成用入力データ記憶部に対応するテスト画像形成用入力データ記憶手段、補正処理部に対応する補正処理手段、ハーフトーン処理部に対応するハーフトーン処理手段、駆動電圧生成部に対応する駆動電圧生成手段、駆動電圧供給部に対応する駆動電圧供給手段として機能させる態様も可能である。
コンピュータが読取可能な記憶媒体であって、コンピュータを、入力データ取得部306に対応する入力データ取得手段、テスト画像形成部312に対応するテスト画像形成手段として機能させるテスト画像形成プログラムが記憶される記憶媒体を生成することが可能である。
また、記録ヘッドと記録媒体とを第1方向Xと直交する第2方向Yについて相対移動させて、記録媒体にテスト画像を形成するテスト画像形成システムに用いられるテスト画像形成用入力データであって、図1の投影記録素子群507において、Nを1以上の整数とし、N個おきに選択された複数の記録素子を第1記録素子とし、第1記録素子として非選択の記録素子を第2記録素子として、第2記録素子の記録領域に第2入力階調値に基づき第2方向に予め決められた長さを有する1段目のパターンを形成させ、第2方向における記録位置を順次変え、かつ、第1記録素子及び第2記録素子を順次切り換えて、2段目のパターンからN+1段目のパターンを形成させる入力データに基づいて生成されたテスト画像が記憶される記憶媒体を生成することが可能である。
〔異常記録検出方法の説明〕
図7は本発明の実施形態に係る異常記録素子検出方法の手順の流れを示すフローチャートである。以下に、図1から図6を適宜参照して、主として図2に示したテスト画像510が形成された場合について説明する。
図7に示した開始工程S100において異常記録素子検出が開始される。まず、テスト画像取得工程S102において、テスト画像が取得される。テスト画像が取得されると、白すじ検出工程S108に進む。
テスト画像の取得は、記録ヘッドを用いてテスト画像が記録された記録媒体を取得してもよいし、スキャナ装置等の読取装置を用いてテスト画像を読み取って生成される読取データを取得してもよい。
白すじ検出工程S108は、テスト画像に白すじが含まれるか否かを検出する。図2に示すテスト画像510の白すじ512等の白すじが検出された場合は、異常記録素子が存在していると判断することができる。
図7の白すじ検出工程S108では白すじの位置から異常記録素子の大まかな位置が検出される。すなわち、白すじは異常記録素子の本来の記録位置に記録がされないために発生する。白すじは罫線周囲部504の標準濃度値である第2濃度値未満の濃度値を有する低濃度位置である。白すじの位置の情報から異常記録素子の大まかな位置である、異常記録素子を含まれると見込まれる複数の記録素子を特定することができる。
図2に示したテスト画像510における白すじ512は、51番の記録素子506−51に対応する罫線部502−51と、61番の記録素子506−61に対応する罫線部502−61の間に位置しているので、51番の記録素子506−51の記録位置と61番の記録素子506−61の記録位置との間が、異常記録素子を含む領域として特定され、異常記録素子を含まれると見込まれる複数の記録素子として記録素子506−51から記録素子506−61が特定される。
図7に戻り、白すじ検出工程S108によって、白すじの大まかな位置である、異常記録素子が含まれると見込まれる複数の記録素子が特定されると、異常記録が認められない段を特定する段特定工程S110が実行される。図2に示したテスト画像510では、同図における上から6段目のパターン508A−6は異常記録が認められない段である。図2に示したテスト画像510における異常記録が認められない段は、罫線部502の間隔が一定の段である。
段特定工程S110が終了すると、異常記録素子位置特定工程S112に進み、段特定工程S110において特定された段から異常記録素子の位置が把握される。51番の記録素子506−51から数えて6番目の記録素子である56番目の記録素子506−56が異常記録素子と特定される。
図7の白すじ検出工程S108、段特定工程S110、異常記録素子位置特定工程S112は、テスト画像を解析する解析工程として機能する。異常記録素子の位置が特定されると、異常記録素子位置記憶工程S114に進み、異常記録素子の位置が記憶され、終了工程S116に進み、異常記録素子検出が終了される。
異常記録素子の位置として、異常記録素子の番号を記憶してもよい。また、異常記録素子の番号と関連付けをして異常記録素子の異常原因を記憶してもよい。このような観点でテスト画像を解析することで、異常記録素子の有無、異常記録素子の位置を特定することができる。
図2に示したテスト画像510は、白すじ512及び黒すじ514の両者が存在している。黒すじは異常記録素子の本来の記録位置とは別の位置に異常記録素子が記録を行うことで発生する。黒すじは罫線周囲部504の標準濃度値である第2濃度値を超える濃度値を有する高濃度位置である。
図2に示したテスト画像510であり、白すじ512及び黒すじ514の両者が存在しているテスト画像510が形成された場合は、記録位置ずれが発生している異常記録素子が存在していると把握することができる。
図3に示したテスト画像510Aであり、黒すじ514が存在せず白すじ512のみが存在するテスト画像510Aが形成された場合は、記録を行うことができない不記録異常記録素子が存在しているか、又は記録濃度が不足している異常記録素子が存在していると把握することができる。
図4に示したテスト画像510Bであり、白すじ512が存在せず黒すじ514のみが存在するテスト画像510Bが形成された場合は、記録濃度が過剰となっている異常記録素子が存在していると把握することができる。
すなわち、記録されたテスト画像が、図2から図4に示したテスト画像510,510A,510Bのいずれに該当するかを把握することで、異常記録素子の有無を把握することができ、さらに異常記録素子における異常の種類を把握することができる。
また、図2に示したテスト画像510では、黒すじ514の位置から異常記録素子の位置ずれの距離を把握することができる。
図2に示したテスト画像510では、段特定工程S110において、黒すじが欠落する段を特定してもよい。図2に示したテスト画像510における黒すじ514は、同図における上から6段目のパターン508A−6に欠落部分516を有し、上から10段目のパターン508A−10に欠落部分518を有している。
テスト画像510の図2における上から6段目のパターン508A−6は、図1に示したテスト画像500の同図における上から6段目のパターン508−6と同じパターンである。また、テスト画像510は黒すじ514に欠落部分516が存在している。テスト画像510の図2における上から6段目のパターン508A−6は56番の記録素子による記録が行われないので、黒すじ514の欠落部分516が発生する。
すなわち、段特定工程S110において、黒すじ514の欠落部分516を検出することで、罫線部502の間隔が一定であるか否かを調べる対象の段を絞ることができ、異常記録素子の位置の特定をより高速に実行することが可能となる。
なお、テスト画像510の図2における上から10段目のパターン508A−10の黒すじ514の欠落部分518は、本来50番目の記録素子による記録がされずに罫線部502が記録されるべき位置に、56番目の記録素子による記録がされた結果、罫線周囲部504と同じ濃度となったことによるものである。
図3に示したテスト画像510Aが形成された場合は、図2に示したテスト画像510Aが形成された場合と同様の手順によって、異常記録素子の有無を把握することができ、異常記録素子の位置を特定することができる。
図4に示したテスト画像510Bが形成された場合は、黒すじを分析して大まかな異常記録素子の位置を特定する工程を、図7の白すじ検出工程S108において実施してもよい。また、黒すじを分析して大まかな異常記録素子の位置を特定する工程は、図7の白すじ検出工程S108の後に黒すじ検出工程として実施してもよい。
先に説明した白すじの分析における白すじを黒すじに置き換えることで黒すじの分析が可能となる。その後、図7に示した段特定工程S110において、異常記録が認められない段を特定することで、特定された段から異常記録素子の位置を把握することができる。
図4に示したテスト画像510Bにおける異常記録が認められない段は、黒すじ514の欠落部分516が存在する段であり、罫線部502の間隔が一定である段508A−6である。
図8は本発明の実施形態に係る異常記録素子検出方法の手順の流れを示すフローチャートであり、テスト画像の読取データに基づいて、異常記録素子の自動検出を行う場合のフローチャートである。
開始工程S200において異常記録素子検出が開始される。まず、テスト画像読取工程S202において、スキャナ装置によって図2に示したテスト画像510が読み取られて生成されたテスト画像510の読取データが取得される。
テスト画像510の読取データが取得されると、図8の検出プロファイル生成工程S204においてテスト画像510の読取データの検出プロファイルが生成され、差分プロファイル生成工程S206へ進む。テスト画像510の読取データから生成された検出プロファイル540を図11に示す。
図8の差分プロファイル生成工程S206では、テスト画像の読取データから生成された検出プロファイルから、予め取得されている基準プロファイルを減算して差分プロファイルが生成される。基準プロファイルは異常記録素子が不存在の正常記録ヘッドを用いて記録されたテスト画像の読取データから生成することができる。
図1のテスト画像500の読取データから生成された基準プロファイル520を図10に示す。また、差分プロファイル560を図12に示す。
差分プロファイルが生成されると、図8の白すじ検出工程S208に進み、生成された差分プロファイルから白すじが検出される。さらに、段特定工程S210へ進み、生成された差分プロファイルから特定のパターンを有する段が検出される。特定のパターンを有する段とは、白すじの発生位置近傍の領域で白すじを表す信号がない一定信号値を有する段であり、平坦部のみを有する段である。
次に、異常記録素子位置特定工程S212において、白すじの情報及び特定のパターンを有する段の情報に基づき異常記録素子の位置が特定され、異常記録素子位置記憶工程S214に進み、異常記録素子の位置が記憶される。異常記録素子の位置が記憶されると、異常記録素子検出が終了される。異常記録素子の異常の種類を検出して、記憶してもよい。
図8の検出プロファイル生成工程S204、差分プロファイル生成工程S206、白すじ検出工程S208、段特定工程S210、及び異常記録素子位置特定工程S212は、テスト画像を解析する解析工程として機能する。
図3に示したテスト画像510Aが形成された場合、及び図4に示したテスト画像510Bが形成された場合についても、図7を用いて説明した手順に従って異常記録素子の有無を把握することができ、異常記録素子の異常の種類を特定することができる。
図2から図4に示したテスト画像510,510A,510Bが一枚のテスト画像の中に混在している場合には、一枚のテスト画像の白すじ512、黒すじ514を分解して個別に解析することで、異常記録素子の有無を把握することができ、異常記録素子の異常の種類を特定することができる。
図9は本発明の実施形態に係る異常記録素子検出システムの概略構成を示すブロック図である。同図に示す異常記録素子検出システム400は、制御部402、テスト画像取得部404、読取データ処理部406、白すじ検出処理部408、段特定処理部410、異常記録素子位置特定部412、異常記録素子位置記憶部414、バッファ部416を備えて構成される。
異常記録素子検出システム400は、制御部402によって統括制御される。すなわち、制御部402は各部を動作させる指令信号を各部へ送出する。制御部402は制御手段として機能する。
テスト画像取得部404は、テスト画像又はテスト画像の読取データを取得する。テスト画像取得部404は、図8のテスト画像取得工程S102に対応している。また、テスト画像取得部404はテスト画像取得手段として機能する。
読取データ処理部406は、取得されたテスト画像又はテスト画像の読取データに対する処理を行う。例えば、図8に示した異常記録素子の自動検出における、テスト画像の読取データのプロファイル生成処理、差分抽出処理が挙げられる。読取データ処理部406は図8の検出プロファイル生成工程S204、及び差分プロファイル生成工程S206に対応している。
また、図9の読取データ処理部406の他の処理の例として、ノイズ除去処理、波形整形処理などが挙げられる。
白すじ検出処理部408は、テスト画像から白すじを検出し、異常記録素子の大まかな位置である、異常記録素子が含まれると見込まれる複数の記録素子を特定する。白すじ検出処理部408は、図7の白すじ検出工程S108、及び図8の白すじ検出工程S208に対応している。また、白すじ検出処理部408は白すじ検出手段として機能する。
段特定処理部410は、テスト画像から罫線部502の間隔が一定である段を特定する。段特定処理部410は、図7の段特定工程S110、図8の段特定工程S210に対応している。また、段特定処理部410は段特定手段として機能する。
異常記録素子位置特定部412は、段特定結果から異常記録素子の位置を特定する。黒すじの有無によって異常記録素子の異常の種類を特定してもよい。白すじと黒すじとの位置関係から異常記録素子の位置ずれの方向が特定でき、白すじと黒すじとの距離から異常記録素子の位置ずれの距離が特定できる。
異常記録素子位置特定部412は、図8の異常記録素子位置特定工程S112、図8の異常記録素子位置特定工程S212に対応している。また、異常記録素子位置特定部412は異常記録素子位置特定処理手段として機能し、読取データ処理部406、白すじ検出処理部408、段特定処理部410、及び異常記録素子位置特定部412は、テスト画像を解析する解析部、及びテスト画像を解析する解析手段として機能する。
異常記録素子位置記憶部414は、特定された異常記録素子の位置を記憶する。異常記録素子位置記憶部414は、図7の異常記録素子位置記憶工程S114、及び図8の異常記録素子位置記憶工程S214に対応している。また、異常記録素子位置記憶部414は異常記録素子位置記憶手段として機能する。
図8に示した異常記録素子検出方法、及び図9に示した異常記録素子検出システム400に基づき、コンピュータを、テスト画像取得部404に対応するテスト画像取得手段、読取データ処理部406に対応する読取データ処理手段、白すじ検出処理部408に対応する白すじ検出処理手段、段特定処理部410に対応する段特定処理手段、異常記録素子位置特定部412に対応する異常記録素子位置特定手段、及び異常記録素子位置記憶部414に対応する異常記録素子記憶手段として機能させる、異常記録素子検出プログラムを構成することも可能である。さらに、異常記録素子検出プログラムを記憶した記憶媒体を構成することも可能である。
図10は基準プロファイルの説明図である。図11は検出プロファイルの説明図である。検出プロファイルは、異常記録素子が存在する場合のテスト画像の読取データから生成される。図12は差分プロファイルの説明図である。図10から図12に図示した各プロファイルは、読取データにおける読取位置と読取信号値との関係を示している。
図10から図12の各段は、図1に示したテスト画像500、及び図2に示したテスト画像510の各段に対応している。図10から図12の左端に付した数値は段数を表している。段数を表す数値は、図1の符号508に付した枝番、及び図2の符号508Aに付した枝番に対応している。図10から図12の横軸は記録素子の位置を表しており、左端が1番目の記録素子であり、右端が100番目の記録素子である。読取データにおける読取位置は記録素子の位置に対応している。
図10から図12の縦軸は、テスト画像の読取データにおける読取信号値を表している。読取信号値は、罫線周囲部504の信号値を基準として、明るい側を正の値、暗い側を負の値としている。基準とされる罫線周囲部504の信号値は罫線周囲部504に含まれる複数の信号値の平均値とする。
図10に示した基準プロファイル520の各段において、符号522を付した凸部は図1のテスト画像500における罫線部502に対応する。また、符号524を付した平坦部は図1のテスト画像500における罫線周囲部504に対応する。
図10の基準プロファイルは、すべての段において凸部522の周期が一定であり、凸部522間の平坦部524の長さが一定である。
図11に示した検出プロファイル540の各段において、符号542を付した凸部は、図2のテスト画像510における罫線部502に対応する。また、符号544を付した平坦部は、図2のテスト画像510における罫線周囲部504に対応する。
図11の符号552を付した凸部は図2の白すじ512に対応し、図11の符号554を付した凹部は図2の黒すじ514に対応する。
図11に示した検出プロファイル540の6段目は、図2の白すじ512に対応する凸部552が存在するものの、凸部552の凸部542の一周期以内に本来存在すべき凸部542が存在しない。また、図11に示した検出プロファイル540の10段目は、図2の黒すじ514に対応する凹部554が存在しない。
図12に示した差分プロファイル560は、6段目以外の1段目から5段目及び7段目から10段目に凸部562、及び凹部564が存在し、6段目に凸部562及び凹部564が存在しない。差分プロファイル560における凸部562は図2のテスト画像510における白すじ512に対応し、図12の凹部564は図2のテスト画像510における黒すじ514に対応する。
一方、差分プロファイル560の6段目は、図10の基準プロファイル520と図11の検出プロファイル540との違いが認められず一致しているので、他の段において存在する凸部562及び凹部564が存在せず、平坦部のみを有している。平坦部のみを有する段は、図2に示した罫線部502が一定の間隔を有している同図における上から6段目のパターン508A−6に対応する。
したがって、差分プロファイル560の解析結果に基づき、凸部562及び凹部564が存在することで、異常記録素子が存在することが把握できる。また、差分プロファイル560の凸部562の位置から大まかな位置である、異常記録素子が含まれると見込まれる複数の記録素子を特定することができ、基準プロファイル520と検出プロファイル540との違いが認められない平坦部のみを有する段を特定することで、基準プロファイル520及び検出プロファイル540に基づいて、異常記録素子が含まれると見込まれる複数の記録素子の中から異常記録素子を特定することができる。
さらに、凸部562と凹部564との距離から、異常記録素子における本来の記録位置からの位置ずれ量を把握することができ、凸部562と凹部564との位置関係から位置ずれの方向を把握することができる。
本実施形態では、検出プロファイル540から、基準プロファイル520を減算して差分プロファイル560を算出したが、基準プロファイル520から検出プロファイル540を減算して差分プロファイルを算出してもよい。
基準プロファイル520から検出プロファイル540を減算して差分プロファイルを算出した場合は、図2の白すじ512に対応する位置は凹部となり、黒すじ514に対応する位置は凸部となる。
異常記録素子の自動検出によって得られた異常記録素子の位置、異常記録素子の異常の種類、異常記録素子の位置ずれ方向、異常記録素子の位置ずれ距離などの情報は、記録ヘッドを用いた画像記録における補正処理等に利用することができる。
上記のごとく構成されたテスト画像、テスト画像形成システム、テスト画像形成方法、テスト画像形成プログラム、記憶媒体、異常記録素子検出システム、異常記録素子検出方法、異常記録素子検出プログラム、及び記憶媒体によれば、第1記録素子の記録特性が第1記録素子の周辺に配置される第2記録素子の記録状態に依存する場合であり、第1記録素子の記録特性の独立性が相対的に低い場合が実現されたテスト画像を用いた異常記録素子検出を行うことができる。また、本発明に係るテスト画像を用いた異常記録素子検出を行うことで、実技画像の記録において問題となる異常記録素子を確実に検出することができる。
また、テスト画像を解析することで、異常記録素子の位置、異常記録素子の異常の種類を特定することができるので、実技画像記録の際の補正処理等の異常記録素子への適切な対応を取ることができる。
〔基準プロファイルの他の生成例の説明〕
図10に示した基準プロファイル520は、図1に示したテスト画像500の読取データから生成することができる。すなわち、異常記録素子が不存在の記録ヘッドを用いて記録されたテスト画像500の読取データから基準プロファイルを生成することができる。かかる基準プロファイル520は、異常記録素子は不存在の記録ヘッドの状態が反映されたものとなる。
しかし、記録ヘッドの初期状態において異常記録素子が存在している場合には、図1に示したテスト画像500を生成することができず、図10に示した基準プロファイル520を生成することができない。
そこで、異常記録素子が存在する記録ヘッドを用いて記録されたテスト画像の読取データから生成された検出プロファイル540を用いて、基準プロファイル520を、仮想的に生成する方法を以下に説明する。図1に示したテスト画像500は規則的に罫線部502及び罫線周囲部504が配列されているので、図2に示したテスト画像510の読取データから生成された検出プロファイル540の中から、正常記録素子によって記録された部分を抽出し、基準プロファイルの周期性を考慮して抽出された部分を複写し、これらをつなぎ合わせて、基準プロファイル520を仮想的に生成することができる。
また、図1に示したテスト画像500の読取データをソフトウエア的手法により生成して、基準プロファイル520を仮想的に生成することも可能である。図9に示した異常記録素子検出システム400に、図10に示した基準プロファイル520が記憶される基準プロファイル記憶部を備える態様が好ましい。
また、図9に示した異常記録素子検出システム400に、図10に示した基準プロファイル520を生成する基準プロファイル生成部を備えてもよい。基準プロファイル記憶部、に対応して、基準プロファイル記憶工程を備える異常記録素子検出方法、コンピュータを基準プロファイル記憶手段として機能させる異常記録素子検出プログラムを構成することが可能である。
同様に、基準プロファイル生成部に対応して、基準プロファイル生成工程を備える異常記録素子検出方法、コンピュータを基準プロファイル生成手段として機能させる異常記録素子検出プログラムを構成することが可能である。
〔測定ノイズとの関係について〕
異常記録素子の存在を除き、記録ヘッドがごく小さい記録量のばらつきや記録位置誤差がない完全な状態であり、かつ、テスト画像を読み取るシステムが、ごく小さい読み取りばらつきがなく、記録ヘッドの記録解像度に対して十分に大きい読取解像度である完全な状態であれば、図12の差分プロファイル560における凸部562の位置が正確にわかるため、凸部562の位置の情報のみで異常記録素子の位置、又は異常記録素子の番号を特定できるはずである。
しかし、そのような完全なシステムは現実には存在しない。つまり、図12の差分プロファイル560の6段目のように完全な平坦にはならない。よって、差分プロファイルにおいてピーク値が最小となる段を検出し、ピーク値が最小となる段を解析して異常記録素子の位置を正確に検出する手法が有効となる。
また、図12の差分プロファイル560に量子化処理を施して凸部562及び凹部564を抽出して、凸部562及び凹部564が含まれていない段を特定してもよいし、微分処理を施して凸部562及び凹部564のエッジを抽出して、凸部562及び凹部564が含まれていない段を特定してもよい。
〔異常記録素子の位置の特定の他の例〕
図13は異常記録素子の位置を特定する構成の他の例の説明図である。以下の説明において、先に説明した構成と同一の構成には同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。
図13に示した異常記録素子の位置を特定する構成は、図2に示したテスト画像510とは別に、第1方向(X方向)について第3入力階調値に対応する均一な第3濃度を有する均一濃度部580を第1記録素子の記録領域、及び第2記録素子の記録領域に形成し、均一濃度部580を併用して異常記録素子の位置を特定する。
実際の差分プロファイル560は各種ノイズの影響を受けるため、図12に示した差分プロファイル560の凸部562及び凹部564の検出が不安定になる可能性がある。なお、第1記録素子の記録領域は、第1記録素子の記録領域の総称である。
そこで、図13に示した均一濃度部580を用いて、均一濃度部580の白すじ582の位置を特定して、異常記録素子の大まかな位置である、異常記録素子が含まれると見込まれる複数の記録素子を特定する。
均一濃度部580はノイズの発生原因になりやすい罫線部502が存在しないため、白すじ582の検出のロバストネスがよい。
第3入力階調値に対応する均一濃度部580の第3濃度値は、白すじ582を検出できればよく、任意の濃度値を適用することができる。例えば、第3入力階調値として、罫線周囲部504と同一の第2濃度値に対応する第2入力階調値を適用することができる。
白すじ582の位置の検出例として、均一濃度部580のスキャンプロファイルと同一のプロファイルをスムージング処理したプロファイルとの差分を解析又は観察して、両プ
ロファイル間の乖離の大きい位置を検出すればよい。但し、図2に示した黒すじ514ではなく、図13に示した白すじ582の検出が目的であることを考慮して差分の符号に注意が必要である。
均一濃度部580は、テスト画像510が記録される記録媒体に記録してもよいし、テスト画像510が記録される記録媒体とは別の記録媒体に記録してもよい。
〔実技画像を用いた異常記録素子の位置の特定の例〕
図14は実技画像を用いた異常記録素子の位置の特定の説明図である。実技画像の読取データ又は実技画像を利用して白すじ、又黒すじを検出し、異常記録素子の大まかな位置を特定することができる。即ち、図14に示した実技画像600の読取データ又は実技画像600を取得し、実技画像600の入力データから図13に示した均一濃度部580に対応する均一濃度領域610を抽出し、抽出された均一濃度領域610の入力データと、均一濃度領域610の読取データとを比較して白すじを検出し、白すじの位置や白すじの周辺位置を異常記録素子の大まかな位置である、異常記録素子が含まれると見込まれる複数の記録素子が特定される。
実技画像600を用いて異常記録素子の大まかな位置である、異常記録素子が含まれると見込まれる複数の記録素子を特定することで、実際の記録状態において白すじの検出が可能となる。また、図13に示した均一濃度部580を用いる必要がない。
実技画像600を用いる場合には、実技画像600の記録が行われる際に予め白すじ検出を実行し、白すじ検出の結果を記憶しておき、同一内容の実技画像の記録中における異常記録素子検出に利用することができる。
〔着弾干渉対策〕
図15(A)は着弾干渉を考慮したテスト画像の一例の説明図である。図15(B)は着弾干渉を考慮したテスト画像の他の例の説明図である。図16は着弾干渉を考慮したテスト画像の他の例の説明図である。以下の説明では記録素子をノズルと記載する。
インクジェット方式の画像記録装置では、着弾干渉を考慮してテスト画像を形成する必要がある。着弾干渉は、インクドットが記録媒体に着弾する際に、新たに着弾したインクドットの着弾位置の周辺に、既に着弾を終えた既存インクドットが存在すると、既存インクドットと新たに着弾したインクドットが引かれ合って、又は既存インクドットと新たに着弾したインクドットが反発し合って、着弾位置がずれる現象である。
1オンNオフテスト画像は、罫線と罫線との距離が十分に離れているため着弾干渉は起きにくく、着弾干渉が問題となることはない。一方、本実施形態に係るテスト画像は、着弾干渉の程度によっては、罫線部502を挟む両隣の罫線周囲部504を構成するインクドットが干渉して合一し、罫線部502の幅を縮小させてしまうこと、罫線部502を消してしまうことがありうる。
また、罫線部502にドットを記録する場合は、罫線部502のドットと罫線周囲部504の端の記録位置のドットとの間で着弾干渉が生じてしまい、罫線部502の幅を縮小させてしまうこと、罫線部502を消してしまうことがありうる。
そこで、罫線周囲部504を構成するインクドットの着弾干渉に起因する罫線部502幅の縮小、又は罫線部502の消滅を防止するために、罫線周囲部504のインク量を標準のインク量に対して減少させることが有効である。標準のインク量とは、インク量を減少させる処理が非対象の記録位置におけるインク量である。
罫線周囲部504のインク量を、標準のインク量に対して減少させるには、インク量を減少させる記録位置の入力階調値をインク量の減少に対応して下げればよい。また、インク量が決められた後のデータを処理してもよい。着弾干渉対策は、図6に示すテスト画像形成システム300の補正処理部308に、入力階調値調整機能又はインク量調整処理機能を具備し、入力階調値調整部又はインク量調整処理部として機能させることで実現可能である。
また、図5に示すテスト画像形成方法において、補正処理工程S14の中で入力階調値の調整処理を行うか、ハーフトーン処理工程S16とテスト画像形成工程S18の間にインク量調整処理工程を実施することでも着弾干渉対策を実現しうる。
図15(A)及び図15(B)は、図1に示したテスト画像500、又は図2に示したテスト画像510における、罫線部502のインク量と罫線周囲部504のインク量を模式的に図示している。図15(A)及び図15(B)のインク量は入力階調値に置き換えることができる。
図15(A)に示す例は、罫線周囲部504の端の記録位置におけるインク量を、入力階調値に基づいて決められたインク量の二分の一に減少させる例である。罫線周囲部504の端の記録位置とは、罫線周囲部504における罫線部502との境界の記録位置である。
図15(B)に示す例は、罫線周囲部504の端の記録位置から複数の記録位置について、標準のインク量に対してインク量を減少させる例である。図15(B)に示す例では、罫線周囲部504の端の記録位置から複数の記録位置について連続的にインク量を減少させている。なお、段階的にインク量を減少させてもよい。
一方、罫線周囲部504のインク量を減少させると、罫線周囲部504の濃度が低下して、罫線部502と罫線周囲部504とのコントラストを下げることになる。罫線部502と罫線周囲部504とのコントラストを下げると、テスト画像を形成する画像記録装置や、テスト画像を読み取るスキャナにおけるノイズに対するロバストネスの低下につながる。
そこで、罫線部502の両側の罫線周囲部504の端の記録位置に着弾したインクが着弾干渉の発生により接触してしまうことで二つの罫線周囲部504に挟まれる罫線部502が消滅しない程度であり、かつ、画像記録装置及びスキャナにおけるノイズに対するロバストネスが低下しない程度に、罫線周囲部504の端の記録位置におけるインク量、又は罫線周囲部504の端の記録位置から複数の記録位置のインク量を調整するとよい。
図16は着弾干渉を考慮したテスト画像の他の例の説明図である。同図に示すテスト画像700は、罫線部702の周期を調整して、着弾干渉の程度又は着弾干渉の状態が類似しているノズルが同じ段の記録に使用される例である。
そして、各段の記録に使用されるノズルの着弾干渉の程度又は着弾干渉の状態に応じて、各段の罫線周囲部504のインク量、特に各段の罫線周囲部504の端の記録位置におけるインク量が調整されている。
図16に示したテスト画像700は、奇数段目710における罫線周囲部704Aのインク量は、偶数段目712の罫線周囲部704Bのインク量未満となっている。両者のインク量は、白すじの検出性能を考慮して決められる。
図16には、奇数段目710と偶数段目712との間でインク量を変える態様を例示したが、着弾干渉の程度等が三種類以上となる場合には、奇数段目710をさらに細かく区別してもよいし、偶数段目712をさらに細かく区別してもよい。
すなわち、着弾干渉対策として、着弾干渉の程度、種類などの着弾干渉の状態が似ている記録素子を予め調べておき、第1記録素子の間隔数Nを調整して、着弾干渉の状態が似ている記録素子の記録位置を同じ段とする対策を取りうる。
以上説明したように、着弾干渉を考慮してテスト画像を形成することで、罫線部702の幅の減少、又は罫線部702の消滅を回避することができる。
〔罫線部の濃度について〕
本実施形態では、罫線部502,702の入力階調値をゼロ、すなわち、罫線部502,702を記録する記録素子を非記録としたが、罫線部502の濃度として罫線部502と罫線周囲部504と区別して認識できる濃度、及び当該濃度に対応する入力階調値を適用してもよい。
すなわち、異常記録素子検出の精度、信頼性等を低下させないものであれば、罫線部502を記録する際の入力階調値である第1入力階調値は任意に決めることができる。
また、最小階調値以外又は最大階調値以外の中間階調値が適用される第1入力階調値に対応する濃度値を得る態様として、第2方向Yについて第1記録素子を連続的に動作させる態様、第2方向Yについて第1記録素子を間欠的に動作させる態様のいずれを適用してもよい。
〔罫線周囲部の濃度について〕
本実施形態では、図15(A)、図15(B)、及び図16に示した態様を除いて、罫線周囲部504は均一の濃度を有するもの、すなわち、第2入力階調値が同じ値である態様を例示したが、同一の段において異なる罫線周囲部504について、第2入力階調値を変えてもよい。また、複数の第2入力階調値を用いて一つの罫線周囲部504を記録してもよい。
すなわち、異常記録素子検出の精度、信頼性等を低下させないものであれば、罫線周囲部504を記録する際の入力階調値である第2入力階調値は任意に決めることができる。
また、最小階調値以外又は最大階調値以外の中間階調値が適用される第2入力階調値に対応する濃度値を得る態様として、第2方向Yについて第2記録素子を連続的に動作させる態様、第2方向Yについて第2記録素子を間欠的に動作させる態様のいずれを適用してもよい。さらに、第1方向Xについて濃度分布を持たせてもよい。
本実施形態では、異常記録素子が1つの場合について説明したが、異常記録素子が複数の場合には、同様の手法を用いて、異常記録素子の位置、種類を特定することができる。
以上説明した、テスト画像、テスト画像形成システム、テスト画像形成方法、テスト画像形成プログラム、記憶媒体、異常記録素子検出システム、異常記録素子検出方法、異常記録素子検出プログラム、及び記憶媒体を用いて記録ヘッドの初期状態における異常記録素子を検出し、異常記録素子の位置等の異常記録素子の情報を記録ヘッドと関連付けして記憶しておくことで、記録ヘッドが装置に搭載された後に記録ヘッドの初期状態における異常記録素子の検出を省略することができる。
また、記録ヘッドが搭載される画像記録装置に、異常記録素子検出方法、異常記録素子検出システム、又は異常記録素子検出プログラムを搭載することで、記録ヘッドの稼働中などに異常記録素子の検出をすることができ、記録ヘッドの稼働により生じた異常記録素子に対して、補正処理等の適切な対応を取ることができる。
〔装置への適用例〕
次に、本実施形態に係るテスト画像、テスト画像形成システム、テスト画像形成方法、テスト画像形成プログラム、記憶媒体、異常記録素子検出システム、異常記録素子検出方法、異常記録素子検出プログラム、及び記憶媒体の装置適用例として、インクジェット方式の画像記録装置について説明する。
[全体構成]
図17は、インクジェット記録装置10の全体構成図である。
同図に示すインクジェット記録装置10は、枚葉の用紙Sにインクを用いてインクジェット方式で画像記録を行うインクジェット方式の画像記録装置である。以下の説明におけるノズル、及びノズル部の用語は記録素子と読み替えることが可能である。
インクジェット記録装置10は、主として、用紙Sを給紙する給紙部12と、給紙部12から給紙された用紙Sに処理液を付与する処理液付与部14と、処理液付与部14で処理液が付与された用紙Sの乾燥処理を行う処理液乾燥処理部16と、処理液乾燥処理部16で乾燥処理が施された用紙Sの画像記録にインクを用いてインクジェット方式で画像を記録する描画部18と、描画部18で画像が記録された用紙Sの乾燥処理を行うインク乾燥処理部20と、インク乾燥処理部20で乾燥処理が施された用紙Sを排紙する排紙部24と、を含んで構成される。本明細書における描画、及び印刷の用語は、画像記録、画像形成、記録又は形成と適宜読み替えが可能である。
インク乾燥処理部20は、記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kの吐出面の周囲温度を超える温度に、温度調整の対象物の温度を調整する温度調整部として機能する。吐出面の周囲の温度とは、吐出面の結露を生じさせる範囲の温度である。
[給紙部]
給紙部12は、主として、給紙台30と、サッカー装置32と、給紙ローラ対34と、フィーダボード36と、前当て38と、給紙胴40と、を含んで構成され、給紙台30に積載された用紙Sを1枚ずつ処理液付与部14へ給紙する。
給紙台30の上に積載された用紙Sは、サッカー装置32によって上から順に1枚ずつ引き上げられて、給紙ローラ対34に給紙される。給紙ローラ対34に給紙された用紙Sは、フィーダボード36に載置され、フィーダボード36によって搬送される。
用紙Sは、リテーナ36A、ガイドローラ36Bによってフィーダボード36の搬送面に押し付けられ、凹凸が矯正される。用紙Sは、先端が前当て38に当接されることにより傾きが矯正される。フィーダボード36によって搬送された用紙Sは、給紙胴40に受け渡される。
給紙胴40に受け渡された用紙Sは、給紙胴40のグリッパー40Aにより先端部を把持されて処理液付与部14へ搬送される。グリッパー40Aの詳細な図示は省略する。
グリッパー40Aは、給紙胴40の軸方向に沿って複数の爪が配置され、複数の爪と対向する位置に配置された爪台と、を含み、さらに、複数の爪を搖動可能に支持するグリッパー軸が含まれる。
グリッパー40Aは、グリッパー軸を回転させることで爪を搖動させて開閉がなされる。複数の爪の配置は、用紙Sのサイズに対応して決められている。
[処理液付与部]
処理液付与部14は、主として、用紙Sを搬送する処理液胴42と、処理液胴42によって搬送される用紙Sの画像記録面に所定の処理液を付与する処理液付与装置44と、を含んで構成され、用紙Sの画像記録面に処理液を付与する。
用紙Sに付与される処理液は、後段の描画部18で用紙Sに吐出させるインク中の色材を凝集させる機能、又はインクの色材を不溶化させる機能を有している。用紙Sに処理液を付与してインクを吐出させることにより、汎用の用紙を用いても着弾干渉等を起こすことなく、高品位な印刷を行うことができる。
本明細書における吐出、打滴、記録、形成の用語は相互に読み替えることが可能である。
給紙部12の給紙胴40から受け渡された用紙Sは、処理液胴42に受け渡される。処理液胴42は、用紙Sの先端をグリッパー42Aで把持し、外周面に用紙を吸着保持する。
グリッパー42Aは、給紙胴40に具備されるグリッパー40Aと同様の構成を適用することができるので、説明を省略する。
グリッパー42Aによって用紙Sの先端部を把持し、処理液胴42の外周面に用紙Sを保持して処理液胴42を回転させることで、用紙Sは処理液胴42の外周面に巻き掛けられて搬送される。処理液胴42に搬送される用紙Sは、処理液付与装置44から処理液が付与される。
付与の形態一例として、塗布ローラを用いた塗布、又はブレードを用いた塗布などが挙げられる。付与の他の形態の例として、インクジェット方式による吐出、又はスプレー方式による噴霧などが挙げられる。
[処理液乾燥処理部]
処理液乾燥処理部16は、主として、用紙Sを搬送する処理液乾燥処理胴46と、処理液乾燥処理胴46によって搬送される用紙Sを支持する用紙搬送ガイド48と、処理液乾燥処理胴46によって搬送される用紙Sに熱風を吹き当てて乾燥させる処理液乾燥処理ユニット50と、を含んで構成され、処理液が付与された用紙Sに対して乾燥処理を施す。
処理液乾燥処理胴46の内部には、処理液胴42から処理液乾燥処理胴46へ受け渡される用紙Sの受渡位置へ送風する処理液乾燥胴送風部51が配置される。
処理液付与部14の処理液胴42から処理液乾燥処理胴46へ受け渡された用紙Sは、処理液乾燥処理胴46に具備されるグリッパー46Aによって先端を把持される。グリッパー46Aは、給紙胴40に具備されるグリッパー40Aと同様の構成を適用することができるので、説明を省略する。
用紙Sは、処理液が塗布された面を内側に向けた状態で、処理液が塗布された面の反対側の面を用紙搬送ガイド48によって支持される。処理液乾燥処理胴46を回転させることにより、用紙Sは処理液乾燥処理胴46の外周面に巻き掛けられて搬送される。
処理液乾燥処理胴46によって搬送される用紙Sは、処理液乾燥処理胴46の内側に設置された処理液乾燥処理ユニット50から熱風が吹き当てられて乾燥処理が施される。用紙Sに乾燥処理が施されると、用紙Sに付与された処理液中の溶媒成分が除去され、用紙Sの処理液が付与された面に処理液層が形成される。
[画像記録部]
描画部18は、主として、用紙Sを回転搬送させる圧胴として機能する描画胴52と、描画胴52によって搬送される用紙Sを押圧して、用紙Sを描画胴52の外周面に密着させる用紙押さえローラ54と、用紙SにC,M,Y,Kの各色のインク液滴を吐出するインクジェット方式の記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kと、用紙Sに描画された画像を読み取るインラインセンサ58と、を含んで構成され、処理液層が形成された用紙Sへ向けてC,M,Y,Kの各色のインクの液滴を吐出して、用紙Sにカラー画像を描画する。
インクジェット方式の記録ヘッドは、以下の説明において、記録ヘッドと記載することがある。図17に示す記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kは、図6のテスト画像形成部312の一部として機能する。
本例に適用される記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kには、圧電素子のたわみ変形を利用してインクを吐出させる圧電方式、インクを加熱して膜沸騰現象を発生させてインクを吐出させるサーマル方式など、様々な方式を適用することができる。
また、本例に適用される記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kは、図19に符号56を付して図示したフルライン型ヘッドが適用される。フルライン型ヘッドの詳細は後述する。
処理液乾燥処理部16の処理液乾燥処理胴46から描画胴52へ受け渡された用紙Sは、描画胴52に具備されるグリッパー52Aによって先端を把持される。グリッパー52Aは、処理液胴42に具備されるグリッパー42Aと同様の構成を適用することができるので、説明を省略する。
用紙Sは、用紙押さえローラ54の下を通過させることで、描画胴52の外周面に密着する。
描画胴52の外周面に吸着保持され搬送される用紙Sは、記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kの直下のインク吐出領域を通過する際に、記録ヘッド56C,56M,56Y,56KのそれぞれからC,M,Y,Kの各色のインクの液滴が吐出され、カラー画像が記録される。
用紙Sに付着したインクは、用紙Sに形成された処理液層と反応し、フェザリングやブリーディング等を起こすことなく用紙Sに定着する。このようにして、用紙Sには高品位な画像が描画される。
記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kによって描画がされた用紙Sは、インラインセンサ58の読取領域を通過する際に、描画された画像が読み取られる。インラインセンサ58によって読み取られる画像は、テスト画像が含まれる。
インラインセンサ58は、CCDイメージセンサなどの撮像素子を具備し、読取対象画像の電気的な画像データを生成する撮像装置が適用される。CCDは、Charge Coupled Deviceの略語である。
インラインセンサ58による画像の読み取りは必要に応じて行われ、画像の読取データに基づいて、記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kの記録素子異常検出が行われる。
すなわち、記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kを用いて、図1に示したテスト画像500、又は図2に示したテスト画像510などのテスト画像を形成し、図17に示したインラインセンサ58を用いてテスト画像を読み取る。
図2に示したテスト画像510などの異常記録素子が存在する場合のテスト画像が得られた場合には、インラインセンサ58の読取データを解析して異常記録素子の位置、及び異常記録素子の異常の種類等を把握することができる。
インラインセンサ58を用いることで、装置稼働中に発生した異常記録素子を検出することができ、異常が検出されたタイミングで、異常記録素子に対する補正処理等の対応が可能となる。
インラインセンサ58の読取領域を通過した用紙Sは、描画胴52による吸着が解除され、インク乾燥処理部20へと受け渡される。
[インク乾燥処理部]
インク乾燥処理部20は、チェーングリッパー64によって搬送される用紙Sに対して乾燥処理を施すインク乾燥処理ユニット68を含んで構成され、描画後の用紙Sに対して乾燥処理を施し、用紙Sに残存する液体成分を除去する。
インク乾燥処理ユニット68の構成例として、ハロゲンヒータ、赤外線ヒータ等の熱源と、熱源によって熱せられた空気を用紙Sへ吹き付けるファンと、を含む構成が挙げられる。インク乾燥処理ユニット68は、記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kの周囲温度を超える温度に、温度調整の対象物である描画後の用紙Sの温度を調整する温度調整部として機能する。
描画部18の描画胴52からチェーングリッパー64へ受け渡された用紙Sは、チェーングリッパー64に具備されるグリッパー64Dによって先端部を把持され、搬送ガイド71の支持領域へ送られる。
チェーングリッパー64は、第1スプロケット64A及び第2スプロケット64Bに一対の無端状のチェーン64Cが巻き掛けられた構造を有している。グリッパー64Dは、一対のチェーン64Cの間に複数の爪が配置され、爪と対向する位置に爪台が配置された構造を有している。
複数の爪は、一対のチェーン64Cに両端を支持されたグリッパー軸に搖動可能に支持される。グリッパー軸を回転させて複数の爪を搖動させて、グリッパー64Dの開閉がなされる。
インク乾燥処理ユニット68は、温度調整部、又は乾燥処理部として機能し、第2搬送部として機能するチェーングリッパー64によって搬送される用紙Sへ温度調整をする位置に配置される。
チェーングリッパー64によって搬送される用紙Sの後端部分は、搬送ガイド71によって案内され、チェーングリッパー64との間の一定の距離を離して配置されたガイドプレート72に吸着され、用紙Sの後端の浮きが防止される。
[排紙部]
一連の画像記録が行われた用紙Sを回収する排紙部24は、用紙Sを積み重ねて回収する排紙台76を含んで構成される。
チェーングリッパー64は、排紙台76の上で用紙Sを開放し、排紙台76の上に用紙Sをスタックさせる。排紙台76は、チェーングリッパー64から開放された用紙Sを積み重ねて回収する。
排紙部24は、排紙台76を昇降させる排紙台昇降装置が具備される。排紙台昇降装置の図示は省略する。排紙台昇降装置は、排紙台76にスタックされる用紙Sの増減に連動して、その駆動が制御され、最上位に位置する用紙Sが常に一定の高さに位置するように、排紙台76を昇降させる。
[制御系の説明]
図18は図17に示すインクジェット記録装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。
図18に示すように、インクジェット記録装置10は、システムコントローラ100、通信部102、画像メモリ104、搬送制御部110、給紙制御部112、処理液付与制御部114、処理液乾燥制御部116、描画制御部118、インク乾燥制御部120、排紙制御部124、操作部130、表示部132等が備えられる。
システムコントローラ100は、インクジェット記録装置10の各部を統括制御する全体制御部として機能し、かつ、各種演算処理を行う演算部として機能する。このシステムコントローラ100は、CPU100A及び、ROM100B、RAM100Cを内蔵している。CPUはCentral Processing Unitの略語であり、ROMは、Read Only Memoryの略語である。RAMは、Random Access Memoryの略語である。
システムコントローラ100は、ROM100B、RAM100C、画像メモリ104等のメモリへのデータの書き込み、これらのメモリからのデータの読み出しを制御するメモリコントローラとしても機能する。
図18には、システムコントローラ100にROM100B、RAM100C等のメモリを内蔵する態様を例示したが、ROM100B、RAM100C等のメモリは、システムコントローラ100の外部に設けられていてもよい。
通信部102は、通信インターフェースを備え、通信インターフェースと接続されたホストコンピュータ103との間でデータの送受信を行う。
画像メモリ104は、画像データを含む各種データの一時記憶部として機能し、システムコントローラ100を通じてデータの読み書きが行われる。通信部102を介してホストコンピュータ103から取り込まれた画像データは、一旦画像メモリ104に格納される。
搬送制御部110は、インクジェット記録装置10における用紙Sの搬送系11の動作を制御する。搬送系11には、図17に図示した処理液胴42、処理液乾燥処理胴46、描画胴52、及びチェーングリッパー64が含まれる。
図18に図示した給紙制御部112は、システムコントローラ100からの指令に応じて給紙部12を動作させて、用紙Sの供給開始動作、及び用紙Sの供給停止動作などを制御する。
処理液付与制御部114は、システムコントローラ100からの指令に応じて処理液付与部14を動作させて、処理液の付与量、及び付与タイミングなどを制御する。
処理液乾燥制御部116は、システムコントローラ100からの指令に応じて処理液乾燥処理部16を動作させて、乾燥温度、乾燥気体の流量、及び乾燥気体の噴射タイミングなどを制御する。
描画制御部118は、システムコントローラ100からの指令に応じて、描画部18に具備される記録ヘッドの動作を制御する。以下に示す描画制御部118を構成する各部の図示は省略する。また、図18では、記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kの図示を省略する。
描画制御部118は、入力画像データからドットデータを形成する画像処理部と、駆動電圧の波形を生成する波形生成部と、駆動電圧の波形を記憶する波形記憶部と、記録ヘッドに対して、ドットデータに応じた駆動波形を有する駆動電圧を供給する駆動回路と、を含んで構成される。
画像処理部では、入力画像データに対してRGBの各色に分解する色分解処理、RGBをCMYKに変換する色変換処理、ガンマ補正、ムラ補正等の補正処理、各色の画素ごとの階調値を元の階調値未満の階調値に変換するハーフトーン処理が施される。
入力画像データの一例として、0から255のデジタル値で表されるラスターデータが挙げられる。ハーフトーン処理の結果として得られるドットデータは、二値画像でもよいし、三値以上の多値画像でもよい。
画像処理部による処理を経て生成されたドットデータに基づいて、各画素位置の吐出タイミング、インク吐出量が決められ、各画素位置の吐出タイミング、インク吐出量に応じた駆動電圧、各画素の吐出タイミングを決める制御信号が生成され、この駆動電圧が記録ヘッドへ供給され、記録ヘッドから吐出させたインク液滴によって記録位置にドットが形成される。
描画制御部118は、図6に示したテスト画像形成システム300として、機能させることが可能である。
インク乾燥制御部120は、システムコントローラ100からの指令に応じてインク乾燥処理部20を動作させて、乾燥温度、乾燥気体の流量、乾燥気体の噴射タイミングなどを制御する。
排紙制御部124は、システムコントローラ100からの指令に応じて排紙部24を動作させて、図17に図示した排紙台76に用紙Sを積載させる。
インラインセンサ58は、用紙Sに描画された画像を読み取り、システムコントローラ100を介して異常記録素子検出部138へ送られる。異常記録素子検出部138は、インラインセンサ58の読取信号に基づいて、記録ヘッドの異常記録素子の有無を解析する。
インラインセンサ58によって読み取られる画像は、テスト画像が含まれる。実技画像を読み取ることも可能である。
図18に示す操作部130は、操作ボタン、キーボード、又はタッチパネル等の操作部材を備え、その操作部材から入力された操作情報をシステムコントローラ100に送出する。システムコントローラ100は、この操作部130から送出された操作情報に応じて各種処理を実行する。
表示部132は、液晶パネル等の表示装置を備え、システムコントローラ100からの指令に応じて、装置の各種設定情報、又は異常情報などの情報を表示装置に表示させる。
図18に示すように、インラインセンサ58の出力信号は、システムコントローラ100へ送られる。システムコントローラ100は、インラインセンサ58の出力信号を画像の読取情報として、予め決められたメモリに記憶する。
パラメータ記憶部134は、インクジェット記録装置10に使用される各種パラメータが記憶される。パラメータ記憶部134に記憶されている各種パラメータは、システムコントローラ100を介して読み出され、装置各部に設定される。
プログラム格納部136は、インクジェット記録装置10の各部に使用されるプログラムが格納される。プログラム格納部136に格納されている各種プログラムは、システムコントローラ100を介して読み出され、装置各部において実行される。
異常記録素子検出部138は、図9に示した制御部402、テスト画像取得部404、読取データ処理部406、白すじ検出処理部408、段特定処理部410、異常記録素子位置特定部412、異常記録素子位置記憶部414、及びバッファ部416に対応している。
図9の制御部402の一部又は全部の機能を図18のシステムコントローラ100に持たせることも可能である。また、図9のバッファ部416をRAM100Cに持たせてもよい。
図18のプログラム格納部136に先に説明したテスト画像形成プログラム、及び異常記録素子検出プログラムを格納しておくことで、画像記録実行中、又は画像記録の休止期間中に、テスト画像形成プログラム及び異常記録素子検出プログラムを適宜実行させることが可能である。
[記録ヘッドの構造]
図19は図17に図示した記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kの構成図であり、インク液滴を吐出させる吐出面の透視平面図である。CMYKの各色に対応する記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kには同一の構造が適用される。記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kを区別する必要がない場合には記録ヘッド56C,56M,56Y,56Kのアルファベットを省略し、記録ヘッド56と記載することがある。
図19に示す記録ヘッド56は、用紙Sの搬送方向である第2方向Yと直交する用紙Sの幅方向である第1方向Xについて複数のヘッドモジュール200がつなぎ合わせられた構造を有している。用紙Sの搬送方向は媒体搬送方向と同義である。
記録ヘッド56を構成する複数のヘッドモジュール200は同一の構造を適用することができる。また、ヘッドモジュール200は、単体で記録ヘッドとして機能させることができる。
図19に図示した記録ヘッド56は、複数のヘッドモジュール200を第1方向Xに沿って一列に配置させた構造を有し、第1方向Xにおける用紙Sの全幅Lmaxに対応する長さにわたって、複数のノズル部が配置されたフルライン型の記録ヘッドである。図19ではノズル部の図示を省略する。ノズル部は図22に符号281を付して図示する。
記録ヘッド56を構成するヘッドモジュール200の吐出面277には、複数のノズル開口が配置されている。図19ではノズル開口の図示を省略する。ノズル開口は図21に符号280を付して図示する。また、複数のノズルの配置、及び複数のノズル開口の配置の詳細は後述する。
本例では、複数のヘッドモジュール200を第1方向Xに沿って一列に配置させた構造を有する記録ヘッド56を例示したが、複数のヘッドモジュール200を第1方向Xについて千鳥状に配置させてもよいし、複数のヘッドモジュール200を一体構造としてもよい。
[記録ヘッドの構造例]
図20はヘッドモジュール200の斜視図であり部分断面図を含む図である。図21は図20に示したヘッドモジュール200における吐出面277の平面透視図である。
図20に示すように、ヘッドモジュール200は、ノズル板275の吐出面277と反対側である、図20において上側にインク供給室232とインク循環室236等からなるインク供給ユニットを有している。
インク供給室232は、供給管路252を介して不図示のインクタンクに接続され、インク循環室236は、循環管路256を介して不図示の回収タンクに接続される。
図21ではノズル開口280の数を省略して描いているが、1個のヘッドモジュール200のノズル板275の吐出面277には、2次元配置によって複数のノズル開口280が配置されている。
すなわち、ヘッドモジュール200は、第1方向Xに対して角度βの傾きを有するV方向に沿った長辺側の端面と、第2方向Yに対して角度αの傾きを持つW方向に沿った短辺側の端面とを有する平行四辺形の平面形状となっており、V方向に沿う行方向、及びW方向に沿う列方向について、複数のノズル開口280がマトリクス配置されている。
なお、ノズル開口280の配置は、図21に図示した態様に限定されず、第1方向Xに沿う行方向、及び第1方向Xに対して斜めに交差する列方向に沿って複数のノズル開口280を配置してもよい。
すなわち、ノズル開口280のマトリクス配置とは、複数のノズル開口280を第1方向Xに投影させて、複数のノズル開口280を第1方向Xに沿って配置させた第1方向Xの投影ノズル群において、ノズル開口280の配置間隔、ノズル間距離が均一となるノズル開口280の配置である。
第1方向Xの投影ノズル群において、隣接するヘッドモジュール200同士のつなぎ部分では、一方のヘッドモジュール200に属するノズル開口280と、他方のヘッドモジュール200に属するノズル開口280が混在している。
各ヘッドモジュール200に取り付け位置の誤差が存在しない場合、つなぎ領域における一方のヘッドモジュール200に属するノズル開口280と他方のヘッドモジュール200に属するノズル開口280とは同じ位置に配置されるので、つなぎ領域においてもノズル開口280の配置は均一である。
図22はヘッドモジュール200の内部構造を示す断面図である。符号214はインク供給路、符号218は圧力室、符号216は各圧力室218とインク供給路214とをつなぐ個別供給路、符号220は圧力室218からノズル開口280につながるノズル連通路、符号226はノズル連通路220と循環共通流路228とをつなぐ循環個別流路である。圧力室218は、液室と呼ばれることがある。
これら流路部214,216,218,220,226,228を構成する流路構造体210の上に、振動板266が設けられる。振動板266の上には接着層267を介して、下部電極265、圧電体層231及び上部電極264の積層構造から成る圧電素子230が配設されている。下部電極265は共通電極と呼ばれることがあり、上部電極264は個別電極と呼ばれることがある。
上部電極264は、各圧力室218の形状に対応してパターニングされた個別電極となっており、圧力室218ごとに、それぞれ圧電素子230が設けられている。
インク供給路214は、図20で説明したインク供給室232につながっており、インク供給路214から個別供給路216を介して圧力室218にインクが供給される。記録すべき画像の画像データに応じて、対応する圧力室218に設けられた圧電素子230の上部電極264に駆動電圧を印加することによって、該圧電素子230及び振動板266が変形して圧力室218の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル連通路220を介してノズル開口280からインクを吐出させる。
画像データから生成されるドット配置データに応じて各ノズル開口280に対応した圧電素子230の駆動を制御することにより、ノズル開口280からインク液滴を吐出させることができる。
用紙Sを一定の速度で第2方向Yに搬送しながら、その搬送速度に合わせて各ノズル開口280からのインク吐出タイミングを制御することによって、用紙Sの上に所望の画像を形成することができる。
図示は省略するが、各ノズル開口280に対応して設けられている圧力室218は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部の一方にノズル開口280への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口である個別供給路216が設けられている。
なお、圧力室の形状は、正方形に限定されない。圧力室の平面形状は、菱形、長方形などの四角形、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
ノズル開口280及びノズル連通路220を含むノズル部281には、不図示の循環出口が形成され、ノズル部281は循環出口を介して循環個別流路226と連通される。
ノズル部281のインクのうち、吐出に使用されないインクは循環個別流路226を介して循環共通流路228へ回収される。
循環共通流路228は、図20で説明したインク循環室236につながっており、循環個別流路226を通って常時インクが循環共通流路228へ回収されることにより、非吐出時におけるノズル部のインクの増粘が防止される。
なお、本発明の適用範囲は、図19から図22に図示した構造に限定されない。ノズル開口280、ノズル部281の配置は、用紙Sの幅方向である第1方向Xについて一列に配置してもよいし、二列の千鳥配置でもよい。
図22には、圧電素子の例として、各ノズル部281に対応して個別に分離した構造を有する圧電素子230を例示した。もちろん、複数のノズル部281に対して一体に圧電体層231が形成され、各ノズル部281に対応して個別電極が形成され、ノズル部281ごとに活性領域が形成される構造を適用してもよい。
圧電素子に代わり圧力発生素子として圧力室218の内部にヒータを備え、当該ヒータに駆動電圧を供給して発熱させ、膜沸騰現象を利用して圧力室218内のインクをノズル開口280から吐出させるサーマル方式を適用してもよい。
図17から図22を用いて説明したインクジェット方式の画像記録装置は、構成の変更、追加、削除等が可能である。例えば、処理液の付与、処理液の乾燥に関する構成を省略すること、記録媒体の搬送系の構成を変更することが可能である。
以上説明したテスト画像、テスト画像形成システム、テスト画像形成方法、テスト画像形成プログラム、記憶媒体、異常記録素子検出システム、異常記録素子検出方法、異常記録素子検出プログラム、及び記憶媒体は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更、追加、削除をすることが可能である。また、上述した各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。