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JP6466076B2 - 画像処理装置及びプログラム - Google Patents
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Description

本発明は、画像上の血管を抽出する技術に関する。
画像における血管などの管状臓器の抽出(Segmentation)方法としては、Frangiらによって提案された方法が最も一般的である。この方法は、ヘシアン行列(Hessian matrix)を用いて画像上の各構造物を板、管、斑点(球)に分類し、管状組織を特定する。このヘシアン行列を用いた方法は、既にさまざまな医用ソフトウェア(software)に使用されており、信頼性の高い方法である。例えば、この方法は、X線アンギオ(X-ray Angio)やX線CTアンギオ(X-ray Computed Tomography Angio)、MR(Magnetic Resonance)などの画像に対する血管領域の強調や抽出に広く用いられている。
Frangi, W. Multiscale vessel enhancement filtering. In Proc. 1st MICCAI, pages 130-137, 1998.
しかしながら、ヘシアン行列を用いた方法では、対象画像における感度むらやコントラスト(contrast)不良により血管領域の検出精度が低下し、血管領域の未検出や非血管領域の誤検出が顕著に現れる場合がある。
このような事情により、画像上の血管をよりロバスト(robust)に検出することができる技術が望まれている。
第1の観点の発明は、
血管を含む画像を特定する特定手段と、
前記画像を構成する複数の画素列の各々について、該画素列に沿った方向における画素値の正の勾配と負の勾配との組合せを検出することにより、血管領域を抽出する抽出手段と、を備えた画像処理装置を提供する。
ここで、「正の勾配」は画素値が上昇する勾配を意味し、「負の勾配」は画素値が下降する勾配を意味する。
第2の観点の発明は、
前記抽出手段が、前記画素列に沿った方向における画素値の正の勾配から負の勾配までの領域または負の勾配から正の勾配までの領域を前記血管領域として抽出する、上記第1の観点の画像処理装置を提供する。
第3の観点の発明は、
前記抽出手段が、
前記画像における座標ごとに、該座標における画素値の勾配ベクトル(vector)の大きさが所定の閾値以上であるときには、前記勾配ベクトルを該勾配ベクトルの大きさで規格化したものを該座標における特徴ベクトルとして決定し、前記勾配ベクトルの大きさが前記所定の閾値未満であるときには、0ベクトル(zero vector)を該座標における特徴ベクトルとして決定する決定手段と、
前記画素列上の各座標における前記特徴ベクトルの該画素列に沿った方向の成分を該方向に沿って見たときに、該成分が正になってから負になるまでの間の領域または該成分が負になってから正になるまでの間の領域を、前記血管領域として検出する検出手段とを含む、上記第2の観点の画像処理装置を提供する。
第4の観点の発明は、
前記決定手段が、前記画像に対して構造物強調フィルタ(filter)処理および/またはノイズ(noise)低減処理を行った後に前記勾配ベクトルを求める、上記第3の観点の画像処理装置を提供する。
第5の観点の発明は、
前記画素列が、前記画像における座標軸方向に並ぶ複数の画素であり、
前記勾配ベクトルが、前記画像における各座標軸方向の1次偏微分である、上記第3の観点または第4の観点の画像処理装置を提供する。
第6の観点の発明は、
前記画像におけるノイズ量を推定し、該ノイズ量に基づいて前記閾値を決定する手段をさらに有する、上記第3の観点から第5の観点のいずれか一つの観点の画像処理装置を提供する。
第7の観点の発明は、
前記閾値を決定する手段が、前記画像の少なくとも一部の領域における各画素での勾配強度を求め、該勾配強度のヒストグラム(histogram)に基づいて前記閾値を決定する、上記第6の観点の画像処理装置を提供する。
第8の観点の発明は、
前記閾値を決定する手段が、ノイズ量Nqtを、以下の(a)〜(f)式のいずれか1つ、または、複数の組合せの平均値から算出する、上記第7の観点の画像処理装置を提供する。
Nqt = Mfmax + σ×HWHML (a)
Nqt = Mfmax + σ×HWHMR (b)
Nqt = Mfmax + σ×(HWHML+ HWHMR)/2 (c)
Nqt = σ×Mfmax (d)
Nqt = σ×Mmom1 (e)
Nqt = σ×Mmom2 (f)
ただし、
Mfmaxは、前記ヒストグラム分布上に現れるピーク(peak)のうち、最も勾配強度が低いピークにおいて最頻値を与える勾配強度であり、
HWHMLは、前記ヒストグラム分布上におけるMfmaxから見て低値側の半値半幅であり、
HWHMRは、前記ヒストグラム分布上におけるMfmaxから見て高値側の半値半幅であり、
HWHMmom1は、前記ヒストグラム分布上における勾配強度が0からHWHMRまでの範囲の重心に相当する勾配強度であり、
HWHMmom2は、前記ヒストグラム分布上における勾配強度がHWHMLからHWHMRまでの範囲の重心に相当する勾配強度である。
第9の観点の発明は、
前記画像が、肝臓を表す画像である、上記第1の観点から第8の観点のいずれか一つの観点の画像処理装置を提供する。
第10の観点の発明は、
コンピュータ(computer)を、上記第1の観点から第9の観点のいずれか一つの観点の画像処理装置として機能させるためのプログラム(program)を提供する。
本発明によれば、画像上の血管の径方向の両端において画素値の正の勾配と負の勾配とがペア(pair)で存在する点に着目し、これら正負の勾配の検出により血管領域を抽出するので、上記画像における感度むらやコントラスト不良による影響を受けにくい、よりロバストな血管抽出が可能になる。
本実施形態に係る画像処理装置の構成を概略的に示す図である。 本実施形態に係る画像処理装置による血管抽出処理ののフロー(flow)図である。 血管抽出処理の過程で特定または生成される各画像を示す図である。 ノイズ量推定処理の流れを示すフロー図である。 勾配強度のヒストグラムを示す図である。 正負勾配間領域抽出処理の流れを示すフロー図である。 正負勾配間領域抽出処理の過程にて得られる各画像を示す図である。 血管内腔の穴埋め処理を行った画像と行わなかった画像とを示す図である。 従来法と本提案法とによる血管抽出の例を示す図である。
以下、発明の実施形態について説明する。なお、これにより発明は限定されない。
図1に、本実施形態に係る画像処理装置1の構成を概略的に示す。同図に示すように、画像処理装置1は、画像入力受付部2、平滑化処理部3、偏微分処理部4、勾配ベクトル画像生成部5、勾配強度画像生成部6、ノイズ量推定処理部7、標準勾配場生成部8、正負勾配間領域抽出処理部9及び血管抽出画像出力部10を有している。なお、画像処理装置1は、例えば、コンピュータに所定のプログラムを実行させることにより実現される。
以下、本実施形態に係る画像処理装置1による血管抽出処理の流れについて、例を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係る画像処理装置による血管抽出処理のフロー図である。また、図3は、血管抽出処理の過程で特定または生成される各画像を示す図である。なお、図3では、理解を容易にするために1スライス(slice)分の画像を表示しているが、実際には3D(3次元)のボリュームデータ(Volume data)であることが多い。
ステップ(step)S0では、画像入力受付部2が、血管抽出の対象となる対象画像の入力を受け付ける。対象画像Iは、例えば、X線アンギオ画像、X線CTアンギオ画像、MR画像などである。図3(a)に、本例における対象画像Iを示す。図3(a)の対象画像Iは、肝臓領域のMR画像である。
ステップS1では、平滑化処理部3が、対象画像Iに対して平滑化処理を行う。この時、血管などの構造物を強調するための構造物強調フィルタ処理や、ノイズを低減するためのノイズ低減フィルタ処理などを行うことが望ましい。構造物強調フィルタ処理としては、例えば、非等方拡散フィルタ処理(Anisotropic Diffusion Filter)などを考えることができる。また、ノイズ低減フィルタ処理としては、例えば、ガウシアンフィルタ処理(Gaussian Filter)などを考えることができる。
ステップS2では、偏微分処理部4が、平滑化処理が行われた対象画像I′に対して、画素ごとに、各座標軸方向すなわちx,y,z方向について1次偏微分を行う。図3(b)に、ステップS2にて得られる1次偏微分値の例として、x方向の1次偏微分値を画素値としたx偏微分画像∇Ixとy方向の1次偏微分値を画素値としたy偏微分画像∇Iyとを示す。
ステップS3では、勾配ベクトル画像生成部5が、勾配ベクトル(Gradient Vector)画像∇Iを生成する。勾配ベクトルとは、画素値の空間的な変化である勾配をベクトルで表したものである。本例において、各画素pの勾配ベクトル∇I(p)は、その成分を、ステップS2で得られたその画素におけるx,y,z方向の1次偏微分値とする。また、勾配ベクトル画像∇Iは、各画素pの勾配ベクトル∇I(p)を例えば成分別に色分けするなどして画像化したものである。
図3(c)に、本例においてステップS3で得られる勾配ベクトル画像∇Iを示す。図3(c)において、RGB成分はそれぞれx,y,zの各方向の勾配ベクトルの成分に対応している。図3(c)の勾配ベクトル画像∇Iでは、臓器輪郭の勾配ベクトルが目立ち、血管の輪郭上での勾配ベクトルは相対的に小さな値を持ち不明瞭である。
ステップS4では、勾配強度画像生成部6が、勾配強度(Gradient Magnitude)を表す勾配強度画像を生成する。勾配強度とは、各画素pにおける勾配ベクトル∇I(p)の大きさ||∇I(p)||を意味する。勾配強度画像とは、各画素pの勾配強度||∇I(p)||をその画素pの画素値とした画像である。
ステップS5では、ノイズ量推定処理部7が、勾配強度画像を基にノイズ量Nqtを推定する。ノイズ量推定の詳細は後述する。
ステップS6では、標準勾配場生成部8が、勾配ベクトル画像∇Iを次式にしたがって標準化し、標準勾配場(Normalized gradient field)n(I,p)を算出する。
すなわち、対象画像Iにおける画素pごとに、その画素pにおける画素値の勾配ベクトルの大きさ||∇I(p)||がノイズ量Nqt(所定の閾値)以上であるときには、その勾配ベクトルは構造物に起因するものとみなし、勾配ベクトルをその勾配ベクトルの大きさで規格化したものをその座標における標準勾配場(特徴ベクトル)n(I,p)として決定する。一方、勾配ベクトルの大きさ||∇I(p)||がノイズ量Nqt未満であるときには、その勾配ベクトルはノイズに起因するものとみなし、0(ゼロ)ベクトルをその座標における標準勾配場n(I,p)として決定する。これにより、標準勾配場には構造物に起因する勾配ベクトルのみが抽出される。
図3(d)に、ステップS6で得られる標準勾配場を表す標準勾配場画像n(I)を示す。図3(d)において、RGB成分はそれぞれx,y,zの各方向の標準勾配場n(I,p)の成分に対応している。全ベクトルの長さが1に標準化されているため、部位によらず全ての輪郭が同等に視認される。また、画像処理の観点においても、勾配の強さとは無関係に各勾配を取り扱うことができる。
ステップS7では、正負勾配間領域抽出処理部9が、前述の標準勾配場画像において、x,y,z各方向の各画素列について、画素値が上昇する正の勾配になってから画素値が下降する負の勾配になるまでの領域を血管領域として抽出する。このとき、血管の輪郭は、正の勾配と負の勾配との組合せとして検出される。血管の内腔は、正の勾配になった直後から負の勾配になる直前までの間の領域として検出される。正負勾配間領域抽出処理の詳細は後述する。
ステップS8では、血管抽出画像出力部10が、ステップS7で得られた血管抽出画像Vを出力する。図3(e)に、本例にてステップS7で得られる血管抽出画像Vを示す。図3(e)では、血管抽出画像Vが対象画像I上に重ね合わせて表示されている。
(ノイズ量推定処理)
ここで、ステップS5におけるノイズ量推定処理について説明する。
図4は、ノイズ量推定処理の流れを示すフロー図である。
ステップS51では、勾配強度画像を取得する。
ステップS52では、ステップS51で取得した勾配強度画像の全部または一部の領域について勾配強度のヒストグラムを算出し、ヒストグラムの特徴量を解析する。図5に、勾配強度のヒストグラムを示す。これらのヒストグラムでは、横軸は勾配強度を、縦軸は相対度数をそれぞれ表す。ノイズに起因する勾配の場合、その勾配強度は相対的に低値であり、その度数はヒストグラム上で低値に集中する。一方、構造物に起因する勾配の場合、その勾配強度は相対的に中値/高値をとり、その度数は広範囲に分布する。よって、このヒストグラムにおいて勾配強度が低い領域に現れる山は、ノイズに起因する勾配に対応していると考えることができる。
ここで解析する特徴量は、以下の通りである。
1.ヒストグラム分布上に現れるいくつかのピークのうち、もっとも勾配強度が低いピークにおいて最頻値を与える勾配強度(図5(a)のMfmax
2.Mfmaxからみて低値側の半値半幅(図5(a)のHWHML
3.Mfmaxからみて高値側の半値半幅(図5(a)のHWHMR
4.勾配強度が0からHWHMRの範囲における重心の勾配方向成分(図5(b)のHWHMmom1
5.勾配強度がHWHMLからHWHMRの範囲における重心の勾配方向成分(図5(b)のHWHMmom2
ステップS53では、ノイズ量を算出する。ノイズ量Nqtは、以下の式のいずれか一つ、または、複数の組み合わせの平均値から算出される。ここで、σは任意の定数であり、2.0〜3.0程度の値が望ましい。
Nqt = Mfmax + σ×HWHML (3-a)
Nqt = Mfmax + σ×HWHMR (3-b)
Nqt = Mfmax + σ×(HWHML+ HWHMR)/2 (3-c)
Nqt = σ×Mfmax (3-d)
Nqt = σ×Mmom1 (3-e)
Nqt = σ×Mmom2 (3-f)
(正負勾配間領域抽出処理)
ここで、ステップS9における正負勾配間領域抽出処理について説明する。
図6に正負勾配間領域抽出処理の流れを示す。また、図7に正負勾配間領域抽出処理の過程にて得られる各画像を示す。ここでは、本処理の理解を容易にするため、血管抽出の対象画像を図7に示すような簡素な構造を持つ2D(2次元)のモデル(model)対象画像MIとした場合を例に説明する。図7のモデル対象画像MIでは、画素値は輝度値を表す。また、モデル対象画像MIでは、血管が組織に対して相対的に低輝度で示される。
ステップS91では、対象画像の標準勾配場画像を取得する。対象画像が3D画像の場合、標準勾配場の+x方向の成分を表す標準勾配場x成分画像、標準勾配場の+y方向の成分を表す標準勾配場y成分画像、標準勾配場の+z方向の成分を表す標準勾配場z成分画像とが取得される。本例では、モデル対象画像MIがxy平面の2D画像であるから、標準勾配場x成分画像n(MI)xと標準勾配場y成分画像n(MI)yとが得られることになる。
本例の場合、モデル対象画像MIでは血管が組織に対して相対的に低輝度である。そのため、標準勾配場x成分画像n(MI)xにおいて、+x方向すなわち本例では左から右への方向に対して血管輪郭の左側に負の勾配が存在し、血管輪郭の右側に正の勾配が存在する。同様に、標準勾配場y成分画像n(MI)yにおいて、+y方向すなわち本例では上から下への方向に対して血管輪郭の上側に負の勾配が、血管輪郭の下側に正の勾配が存在する。
ステップS92では、x方向に血管輪郭の検出及び血管内腔の穴埋め処理を行う。具体的には、まず、処理対象として、標準勾配場x成分画像におけるx方向の画素列を選択する(S921)。次に選択されたx方向の画素列において、+x方向(本例では左から右への方向)に、負の勾配を持つ画素(以下、GNと記述する)を探索する(S922)。ここで画素GNは血管の左端に対応する(本例では、図7の画像n(MI)xの画素GN)。次に、負の勾配を持つ画素GNから+x方向に、正の勾配を持つ画素(以下、GPと記述する)を探索する(S923)。正の勾配を持つ画素が複数見つかった場合は、その最近接の画素をGPに選択する。ここで画素GPは血管の右端に対応する(本例では、図7の画像n(MI)xの画素GP)。次いで、画素GNから画素GPまでの画素群を血管内腔とみなし、その画素群に特定の値Nを画素値として割り当てる(S924)(本例では、図7の画像n(MI)xの領域Rx)。次に、新たに選択すべきx方向の画素列があるか否かを判定する(S925)。選択すべき画素列があれば、ステップS921に戻って新たな画素列を処理対象として選択し処理を続ける。選択すべき画素列がなければ、x方向の血管輪郭の検出及び血管内腔の穴埋め処理を終了する。なお、x方向の血管輪郭の検出及び血管内腔の穴埋め処理は、+x方向への探索に加え、−x方向への探索をさらに行うようにしてもよい。この場合、血管内腔での画素値の変動による影響を受けにくくなり、よりロバスト性の高い血管領域の抽出が可能になる。
ステップS93では、同様に、y方向に血管輪郭の検出及び血管内腔の穴埋め処理を行う。すなわち、標準勾配場y成分画像における各y方向の画素列について、負の勾配を持つ画素GNと正の勾配を持つ画素GPとを探索し(本例では、図7の画像n(MI)yの画素GN,GP)、これら2画素間の領域に値Nを画素値として割り当てる(本例では、図7の画像n(MI)yの領域Ry)。
ステップS94では、同様に、z方向に血管輪郭の検出及び血管内腔の穴埋め処理を行う。すなわち、標準勾配場z成分画像における各z方向の画素列について、負の勾配を持つ画素GNと正の勾配を持つ画素GPとを探索し、これら2画素間に値Nを画素値として割り当てる。ただし、ここでは、血管抽出の対象画像として2D画像を想定しているので、本ステップは省かれる。
ステップS95では、ステップS92〜S94の各処理を実行して得られた各画像を統合する。具体的には、標準勾配場x成分画像、標準勾配場y成分画像及び標準勾配場z成分画像において、ペアとして検出された正の勾配も持つ画素と負の勾配も持つ画素および上述の値Nが割り当てられた画素を1に、その他の画素を0にそれぞれ割り当てる。そして、得られた画像の論理和(OR)を取ることにより、血管領域を表す血管抽出画像を得る(本例では、図7の画像MV)。
なお、本例では血管が組織に対して相対的に低輝度である場合を示したが、血管が組織に対して相対的に高輝度である場合は正負が逆転するだけで同様に処理が可能である。
図8に、血管内腔の穴埋め処理を行った画像(図8(a))と、血管内腔の穴埋め処理を行わずに、血管輪郭のみが検出されたの画像を直接2値化した画像(図8(b))を示す。一般に、穴埋め処理では、膨張処理などのモルフォロジー(morphology)処理を適用することが多いが、モルフォロジー処理を用いた場合には、血管内腔だけで外側方向にも抽出領域が広がってしまう。しかし、本手法では、図8に示すように、血管の内側方向のみが抽出されており、抽出領域の無用な膨張が抑制されている。
図9に、ヘシアン行列を用いた従来法による血管抽出画像(図9(a))と、本提案法による血管抽出画像(図9(b))の例を示す。図中の赤線は、従来法と本提案法との比較で本提案法による血管抽出の精度向上が顕著に視認できる箇所を示している。本提案法では従来法で観察されるような非血管領域の誤検出が抑制されているのが分かる。
以上、本実施形態によれば、画像上の血管の径方向の両端において画素値の正の勾配と負の勾配とがペアで存在する点に着目し、これら正負の勾配の検出により血管領域を抽出するので、対象画像における感度むらやコントラスト不良による影響を受けにくい、よりロバストな血管抽出が可能になる。
また、本実施形態では、血管抽出の対象画像において、画素値の勾配ベクトルの大きさが対象画像のノイズ量に基づく所定の閾値以上のときには、勾配ベクトルをその大きさで規格化(標準化)したものをその画素の標準勾配場とし、勾配ベクトルの大きさが当該閾値未満のときは、その画素の標準勾配場を0ベクトルとする。そして、画素列ごとに各画素の標準勾配場に基づいて画素値の正の勾配と負の勾配との組合せを検出することにより、血管輪郭を検出する。標準勾配場は、上述の定義により、ノイズによる成分が排除され、主要な構造物による成分のみで構成される。そのため、本実施形態によれば、血管抽出において、画素値の勾配の大小やノイズによる影響を受けにくい。したがって、特に、血管領域の画素値の変動が比較的小さい微小血管を含む画像や非血管領域と血管領域とのコントラスト比が低い画像、例えば肝臓を表す画像などに対して、検出精度の向上が期待できる。
なお、発明は本実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態が考えられる。
例えば、本実施形態では、血管抽出の対象画像において、画素値は輝度値を表し、血管が組織に対して相対的に低輝度で示されるので、画素値の勾配が負の勾配から正の勾配になるまでの領域を血管領域として抽出している。しかし、対象画像において、画素値が濃度を表す場合や、血管が組織に対して相対的に高輝度で示される場合には、画素値の勾配が正の勾配から負の勾配になるまでの領域を血管領域として抽出するようにする。
また例えば、本実施形態では、対象画像の例としてMR画像を用いたが、X線アンギオ画像やX線CTアンギオ画像など他の撮影モダリティによる画像を用いることもできる。
また例えば、本実施形態では、対象画像の例として2D画像を用いたが、画素値の勾配の探索方向を3次元に拡張することで3D画像に対応することもできる。
また例えば、本実施形態は、画像処理装置であるが、コンピュータをこのような画像処理装置として機能させるためのプログラムもまた発明の一実施形態である。
1 画像処理装置
2 画像入力受付部
3 平滑化処理部
4 偏微分処理部
5 勾配ベクトル画像生成部
6 勾配強度画像生成部
7 ノイズ量推定処理部
8 標準勾配場生成部
9 正負勾配間領域抽出部
10 血管抽出画像出力部

Claims (8)

  1. 血管を含む画像を特定する特定手段と、
    前記画像を構成する複数の画素列の各々について、該画素列に沿った方向における画素値の正の勾配と負の勾配との組合せを検出することにより、血管領域を抽出する抽出手段と、を備え、
    前記抽出手段は、
    前記画像における座標ごとに、該座標における画素値の勾配ベクトルの大きさが所定の閾値以上であるときには、前記勾配ベクトルを該勾配ベクトルの大きさで規格化したものを該座標における特徴ベクトルとして決定し、前記勾配ベクトルの大きさが前記所定の閾値未満であるときには、0(ゼロ)ベクトルを該座標における特徴ベクトルとして決定する決定手段と、
    前記画素列上の各座標における前記特徴ベクトルの該画素列に沿った方向の成分を該方向に沿って見たときに、該成分が正になってから負になるまでの間の領域または該成分が負になってから正になるまでの間の領域を、前記血管領域として検出する検出手段とを含む、画像処理装置。
  2. 前記決定手段は、前記画像に対して構造物強調フィルタ処理および/またはノイズ低減処理を行った後に前記勾配ベクトルを求める、請求項に記載の画像処理装置。
  3. 前記画素列は、前記画像における座標軸方向に並ぶ複数の画素であり、
    前記勾配ベクトルは、前記画像における各座標軸方向の1次偏微分である、請求項または請求項に記載の画像処理装置。
  4. 前記画像におけるノイズ量を推定し、該ノイズ量に基づいて前記閾値を決定する手段をさらに有する、請求項から請求項のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  5. 前記閾値を決定する手段は、前記画像の少なくとも一部の領域における各画素での勾配強度を求め、該勾配強度のヒストグラムに基づいて前記閾値を決定する、請求項に記載の画像処理装置。
  6. 前記閾値を決定する手段は、ノイズ量Nqtを、以下の(a)〜(f)式のいずれか1つ、または、複数の組合せの平均値から算出する、請求項に記載の画像処理装置。
    Nqt = Mfmax+ σ×HWHML (a)
    Nqt = Mfmax+ σ×HWHMR (b)
    Nqt = Mfmax+ σ×(HWHML+ HWHMR)/2 (c)
    Nqt = σ×Mfmax (d)
    Nqt = σ×Mmom1 (e)
    Nqt = σ×Mmom2 (f)
    ただし、
    Mfmaxは、前記ヒストグラム分布上に現れるピークのうち、最も勾配強度が低いピークにおいて最頻値を与える勾配強度であり、
    HWHMLは、前記ヒストグラム分布上におけるMfmaxから見て低値側の半値半幅であり、
    HWHMRは、前記ヒストグラム分布上におけるMfmaxから見て高値側の半値半幅であり、
    HWHMmom1は、前記ヒストグラム分布上における勾配強度が0からHWHMRまでの範囲の重心に相当する勾配強度であり、
    HWHMmom2は、前記ヒストグラム分布上における勾配強度がHWHMLからHWHMRまでの範囲の重心に相当する勾配強度である。
  7. 前記画像は、肝臓を表す画像である、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  8. コンピュータを、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の画像処理装置として機能させるためのプログラム。
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