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JP6466281B2 - マスダンパの試験装置 - Google Patents
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Description

本発明は、筒部、ねじ軸、ナット及び回転マスを有するマスダンパにおいて、筒部及びねじ軸の軸線方向に作用する荷重である軸荷重を制限するための制限機構を試験するマスダンパの試験装置に関する。
従来、この種のマスダンパの試験装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このマスダンパは、外筒と、外筒に軸線方向に移動可能に部分的に収容されたねじ軸と、ねじ軸に多数のボールを介して螺合するとともに、ねじ軸が外筒に対して移動するのに伴い、外筒及びねじ軸に対して回転するナットと、外筒に回転可能かつ軸線方向に移動不能に収容された回転マスと、外筒及びねじ軸に軸線方向に作用する荷重である軸荷重を制限するための制限機構を有している。
制限機構は、ナット及び回転マスに接触する摩擦板と、回転マスをナット側に付勢するコイルばねなどで構成されている。コイルばねの付勢力は、軸荷重が所定の制限荷重に達するまでは、摩擦板と回転マス又はナットとの間に滑りが生じないような大きさに設定されている。これにより、軸荷重が制限荷重に達するまでは、外筒とねじ軸の間の相対移動に伴い、回転マス及びナットが互いに一体に回転し、その際、回転マスの反力によるトルク(以下「回転マス反力トルク」という)は、ナットを介してねじ軸に伝達され、ねじ軸の移動を抑えるように作用する。その抑制度合は、回転マス反力トルクが大きいほど、より大きくなり、その結果、軸荷重がより大きくなる。また、軸荷重が制限荷重に達すると、摩擦板と回転マス又はナットとの間に滑りが発生することで、ねじ軸への回転マス反力トルクの伝達が制限されることによって、軸荷重が制限荷重以下に制限される。
上記の従来の試験装置では、マスダンパの外筒及び回転マスに、径方向に互いに連通する通し孔及び穴が、それぞれ形成されており、これらの通し孔及び穴にピンを挿入することによって、回転マスが外筒に回転不能に保持される。その状態で、ねじ軸に軸荷重を付与することによって、ねじ軸を外筒に対して強制的に移動させるとともに、そのときの軸荷重が制限荷重として検出される。
特開2013−167549号公報
上述したように、この従来の試験装置では、回転マスを外筒に回転不能に保持するために、外筒及び回転マスに通し孔及び穴をそれぞれ形成しなければならない。また、これらの通し孔及び穴を、互いに連通するように位置合わせするとともに、その状態で、ピンを通し孔及び穴に挿入しなければならない。以上から、従来の試験装置では、制限機構の試験に要する作業が非常に煩雑であり、試験を容易に行うことができなくなってしまう。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、制限機構の試験を容易に行うことができるマスダンパの試験装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、筒部と、筒部に軸線方向に移動可能に部分的に収容されたねじ軸と、ねじ軸にボールを介して螺合するとともに、筒部及びねじ軸が互いに相対的に移動するのに伴い、ねじ軸及び筒部に対して回転するナットと、ナットを覆うとともに、回転可能な回転マスと、筒部及びねじ軸に軸線方向に作用する荷重である軸荷重を制限するために、軸荷重が所定の制限荷重に達するまで、ナット及び回転マスを、滑り部材を介して互いに連結することで一体に回転させ、軸荷重が制限荷重に達したときに、ナット及び回転マスの一方を滑り部材に対して滑らせることで、ナットに対する回転マスの回転を許容する制限機構と、を有するマスダンパにおいて、制限機構を試験するマスダンパの試験装置であって、筒部及びねじ軸を回転不能かつ移動不能に固定する固定手段と、回転マスを強制的に回転させる回転駆動手段と、回転マスに作用するトルクを表す回転マストルクパラメータを検出する回転マストルクパラメータ検出手段と、固定手段により筒部及びねじ軸を回転不能かつ移動不能に固定した状態で回転駆動手段により回転マスを回転させているときに検出された回転マストルクパラメータに基づいて、制限荷重を算出する算出手段と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、マスダンパでは、筒部及びねじ軸が互いに相対的に移動するのに伴い、ねじ軸にボールを介して螺合するナットがねじ軸及び筒部に対して回転する。また、回転マスがナットを覆っており、制限機構によって、筒部及びねじ軸に軸線方向に作用する荷重である軸荷重が制限される。この場合、軸荷重が所定の制限荷重に達するまでは、ナット及び回転マスを、滑り部材を介して互いに連結することで一体に回転させる。その際、上述したねじ軸とナットの関係から明らかなように、回転マスの反力によるトルク(以下「回転マス反力トルク」という)は、ナットを介してねじ軸に伝達され、ねじ軸の移動を抑えるように作用する。その抑制度合は、回転マス反力トルクが大きいほど、より大きくなり、その結果、軸荷重がより大きくなる。また、軸荷重が制限荷重に達したときに、ナット又は回転マスを滑り部材に対して滑らせることで、ナットに対する回転マスの回転が許容され、それにより、ねじ軸への回転マス反力トルクの伝達が制限されることによって、軸荷重が制限荷重以下に制限される。
さらに、本発明による試験装置では、固定手段によって、筒部及びねじ軸が回転不能かつ移動不能に固定されるとともに、回転駆動手段によって、回転マスが強制的に回転させられる。また、回転マスに作用するトルクを表す回転マストルクパラメータが、回転マストルクパラメータ検出手段によって検出される。さらに、筒部及びねじ軸を固定した状態で回転マスを強制的に回転させているときに検出された回転マストルクパラメータに基づき、算出手段によって、制限荷重が算出される。
上述したように、軸荷重は、回転マス反力トルクが大きいほど、より大きくなる。また、制限機構では、ナット又は回転マスを滑り部材に対して滑らせることで、ねじ軸への回転マス反力トルクの伝達を制限することによって、ねじ軸などの軸荷重が制限荷重以下に制限される。以上から明らかなように、上記の制限荷重の算出に用いられる回転マストルクパラメータは、軸荷重が制限荷重に達したときの回転マスのトルクを表し、制限荷重と密接な相関を有するので、制限荷重を精度良く算出することができる。また、前述した従来の試験装置と異なり、外筒に回転マスを回転不能に保持した状態でねじ軸を移動させるのではなく、筒部及びねじ軸を固定した状態で回転マスを回転させるので、従来の試験装置の通し孔、穴及びピンは不要であり、したがって、制限機構の試験を容易に行うことができる。また、回転マスがナットを覆っており、外側に設けられているので、回転マスを容易に回転させることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のマスダンパの試験装置において、回転駆動手段は、回転マスに巻き回されるスリングと、回転マスを強制的に回転させるために、回転マスに巻き回されたスリングを引っ張る引張手段と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、回転マスに巻き回されたスリングを引張手段で引っ張ることによって、回転マスをより容易に回転させることができ、ひいては、制限機構の試験をさらに容易に行うことができる。
本発明の実施形態による試験装置のフレームを、これを適用したマスダンパとともに概略的に示す平面図である。 図1の試験装置及びマスダンパを、試験装置のスリングをマスダンパに、(a)時計回りに巻き回した場合について、(b)反時計回りに巻き回した場合について、それぞれ部分的に示す背面図である。 図1の試験装置のロードセル及び算出装置を示すブロック図である。 図3のロードセルによって検出されたスリング荷重の時間の経過に伴う推移を、回転マスを(a)時計回りに回転させた場合について、(b)反時計回りに回転させた場合について、それぞれ示す図である。 図1のマスダンパの断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。図1及び図2は、本実施形態による試験装置1を、これが適用されたマスダンパ21とともに概略的に示している。このマスダンパ21は、建物などの構造物の振動を抑制するためのものであり、本出願人による特許第5314201号の図3などに記載されたマスダンパと同様に構成されている。まず、このマスダンパ21の構成及び動作について、簡単に説明する。
図1、図2及び図5に示すように、マスダンパ21は、内筒22、ボールねじ23、回転マス24、及び制限機構25を有している。内筒22は、円筒状の鋼材で構成されている。内筒22の一端部は開口しており、他端部は、自在継ぎ手を介して第1フランジ26に取り付けられている。この自在継ぎ手は、回転マス24の反力によるトルク(以下「回転マス反力トルク」という)により内筒22が第1フランジ26に対して回転しない程度の摩擦力を有している。
また、ボールねじ23は、ねじ軸23aと、ねじ軸23aに多数のボール23bを介して回転可能に螺合するナット23cを有している。ねじ軸23aの一端部は、上述した内筒22の開口に収容されており、ねじ軸23aの他端部は、自在継ぎ手を介して第2フランジ27に取り付けられている。この自在継ぎ手は、回転マス反力トルク(回転マス24の反力によるトルク)によりねじ軸23aが第2フランジ27に対して回転しない程度の摩擦力を有している。また、ナット23cは、軸受け28を介して、内筒22に、回転可能かつ軸線方向に移動不能に支持されている。
回転マス24は、比重の大きな材料、例えば鉄で構成され、円筒状に形成されている。また、回転マス24は、内筒22及びナット23cを覆っており、軸受け29を介して、内筒22に、回転可能かつ軸線方向に移動不能に支持されている。回転マス24と内筒22の間には、一対のリング状のシール30、30が設けられている。これらのシール30、30、回転マス24及び内筒22によって形成された空間には、シリコンオイルで構成された粘性体31が充填されている。
以上のように構成されたマスダンパ21では、内筒22及びねじ軸23aの間に相対変位が発生すると、この相対変位がボールねじ23で回転運動に変換された状態で、制限機構25を介して回転マス24に伝達され、それにより、回転マス24が回転する。
制限機構25は、内筒22及びねじ軸23aの軸線方向に作用する荷重(以下「軸荷重」という)を制限するためのものであり、ナット23cと回転マスの間に配置されたリング状の回転滑り材25aと、複数のねじ25b及びばね25cで構成されている。図1には、ねじ25bを4つのみ示すとともに、便宜上、ねじ25bの符号を1つのみ付しており、図5には、ねじ25b及びばね25cを2つのみ示している。回転滑り材25aが配置された回転マス24の部分には、ねじ25b及びばね25cと同じ数のばね収容孔が形成されている。これらのばね収容孔は、周方向に等間隔に配置され、径方向に貫通しており、各ばね収容孔には、ねじ25bがねじ込まれるとともに、ねじ25bと回転滑り材25aの間に、ばね25cが収容されている。
以上の構成により、ねじ25bを強く締め付けると、回転滑り材25aがばね25cの付勢力でナット23cに強く押し付けられることによって、回転マス24は、回転滑り材25aを介してナット23cに一体に連結された状態になる。この状態からねじ25bを緩めると、その締付度合が低くなり、上記の軸荷重(内筒22及びねじ軸23aの軸線方向に作用する荷重)が、ねじ25bの締付度合に応じて定まる所定の制限荷重に達するまでは、回転マス24がナット23cと一体に回転する。その際、前述したねじ軸23aとナット23cの関係から明らかなように、回転マス反力トルクは、ナット23cを介してねじ軸23aに伝達され、ねじ軸23aの移動を抑えるように作用する。その抑制度合は、回転マス反力トルクが大きいほど、より大きくなり、その結果、軸荷重がより大きくなる。
一方、軸荷重が制限荷重に達すると、回転滑り材25aとナット23c又は回転マス24との間に滑りが発生し、ナット23cに対する回転マス24の回転が許容される。これにより、ねじ軸23aへの回転マス反力トルクの伝達が制限されることによって、軸荷重が制限荷重以下に制限される。
次に、図1〜図4を参照しながら、試験装置1について説明する。以下の説明では、便宜上、図1の上側及び下側をそれぞれ「前」及び「後」とし、左側及び右側をそれぞれ「左」及び「右」とする。試験装置1では、上記の制限機構25を試験することにより、その制限荷重として、マスダンパ21が縮む方向に作用する軸荷重の制限荷重である圧縮側制限荷重RLMPと、マスダンパ21が伸びる方向に作用する軸荷重の制限荷重である引張側制限荷重RLMSがそれぞれ算出される。また、当該算出にあたり、内筒22及びねじ軸23aが固定されるとともに、その状態で、回転マス24が強制的に回転させられる。
図1〜図3に示すように、試験装置1は、井桁状に一体に設けられた前後左右のフレーム2、3、4、5と、マスダンパ21の回転マス24に巻き回されるスリング6と、スリング6を巻き上げるためのホイスト7と、ロードセル11と、圧縮側制限荷重RLMP及び引張側制限荷重RLMSを算出する算出装置12を備えている。なお、図1は、スリング6が回転マス24に巻き回されていない場合における試験装置1などを示している。フレーム2〜5はいずれも、鋼材で構成されており、前後のフレーム2、3は、前後方向に互いに間隔を存した状態で左右方向に延びており、各々の左右の端部が、左右のフレーム4、5にそれぞれ連結されている。また、左右のフレーム4、5は、試験装置1が収容された建物(図示せず)の基礎Fに固定されており、左右方向に互いに間隔を存した状態で前後方向に延びている。マスダンパ21の第1フランジ26は前フレーム2に、第2フランジ27は後フレーム3に、それぞれ固定されており、それにより、内筒22及びねじ軸23aは、回転不能かつ移動不能である。
スリング6は、例えばナイロン製のロープであり、上下方向に延びていて、その一端部がホイスト7に連結されるとともに、他端部が、回転マス24にねじ込まれたボルトBに結ばれている。このボルトBは、制限機構25を試験するときにのみ、回転マス24にねじ込まれる。なお、スリング6として、鋼製又は合成樹脂製のケーブルや、チェーンなどを用いてもよい。
前述したマスダンパ21の構成から明らかなように、マスダンパ21が縮む方向に軸荷重が作用し、かつ、軸荷重が圧縮側制限荷重RLMPに達していないときには、第2フランジ27側から見て、ナット23c及び回転マス24は反時計回りに回転し、RLMPに達すると、回転マス24が、ナット23cに対して時計回りに回転する。このため、圧縮側制限荷重RLMPを算出するときには、第2フランジ27側から見て、回転マス24を強制的に時計回りに回転させるために、スリング6は、図2(a)に示すように、その他端部からホイスト7側に向かって、回転マス24に時計回りに巻き回される。当該スリング6の巻き回しは、オペレータによって行われる。
一方、マスダンパ21が伸びる方向に軸荷重が作用し、かつ、軸荷重が引張側制限荷重RLMSに達していないときには、第2フランジ27側から見て、ナット23c及び回転マス24は時計回りに回転し、RLMSに達すると、回転マス24が、ナット23cに対して反時計回りに回転する。このため、引張側制限荷重RLMSを算出するときには、第2フランジ27側から見て、回転マス24を強制的に反時計回りに回転させるために、スリング6は、図2(b)に示すように、その他端部からホイスト7側に向かって、回転マス24に反時計回りに巻き回される。当該スリング6の巻き回しも、オペレータによって行われる。
なお、スリング6を回転マス24に、直に巻き回してもよく、回転マス24の表面を保護するためのシート(図示せず)を介して巻き回してもよい。特に、スリングとして鋼製のチェーンなどを用いる場合には、そのようなスリングを、回転マスに直に巻き回すと、回転マスの表面が傷つく可能性が高いので、上記のシートを介して巻き回すのが好ましい。
また、ホイスト7は、電気モータやプーリなどの組み合わせで構成され、前記建物の天井Cに取り付けられており、オペレータにより操作されることによって、スリング6を引っ張って巻き上げる。なお、ホイスト7を基礎Fに取り付けてもよい。ロードセル11は、例えばひずみゲージ式のものであり、スリング6とホイスト7の間に設けられていて(図2では便宜上、省略)、スリング6に作用する荷重(以下「スリング荷重」という)FSLを検出するとともに、その検出信号を算出装置12に出力する。なお、ロードセル11として、静電容量式のものや他の適当なタイプのものを用いてもよい。算出装置12は、CPUや、RAM、ROM、I/Oインターフェースなどの組み合わせで構成されている。
以上の構成の試験装置1では、制限機構25の試験が次のようにして行われる。すなわち、内筒22及びねじ軸23aをフレーム2〜5に回転不能かつ移動不能に固定した状態で、前述したようにオペレータにより回転マス24に巻き回されたスリング6が、ホイスト7によって巻き上げられる。これにより、回転マス24は、圧縮側制限荷重RLMPを算出するときには時計回りに、引張側制限荷重RLMSを算出するときには反時計回りに、強制的に回転させられる。図4(a)は、回転マス24を時計回りに回転させるためのホイスト7によるスリング6の巻上げの開始時からの時間(t)の経過に伴うスリング荷重FSLの推移の一例を示しており、図4(b)は、回転マス24を反時計回りに回転させるためのスリング6の巻上げの開始時からの時間(t)の経過に伴うスリング荷重FSLの推移の一例を示している。
図4(a)及び(b)に示すように、これらのいずれの場合にも、スリング荷重FSLの絶対値は、スリング6の巻上げが開始されてから急激に増大し、回転マス24が回転するようになると、その後、ほぼ一定の状態で推移する。算出装置12は、スリング6が巻き上げられている場合において、スリング荷重FSLの変化速度の絶対値が所定値よりも小さくなった以後(例えば図4の時点ts(ts’)以後)に、回転マス24が回転している状態にあるとみなし、スリング荷重FSLを所定時間(例えば100msec)ごとにサンプリングする。この場合、回転マス24を時計回りに回転させているときにサンプリングされた複数のスリング荷重FSLが、圧縮側制限荷重RLMP算出用のスリング荷重FSLとして記憶されるとともに、回転マス24を反時計回りに回転させているときにサンプリングされた複数のスリング荷重FSLが、引張側制限荷重RLMS算出用のスリング荷重FSLとして記憶される。
次に、記憶された複数のRLMP算出用のスリング荷重FSLの絶対値の平均値を、RLMP算出用荷重FCRLMPとして設定するとともに、設定されたRLMP算出用荷重FCRLMPを用い、ボールねじ23の摩擦係数等が無視できるほど小さい場合には、次式(1)によって、圧縮側制限荷重RLMPを算出する。
RLMP=FCRLMP・rd・2π/Ld ……(1)
ここで、rdは回転マス24の半径であり、Ldは、ボールねじ23のピッチである。また、スリング荷重FSLが回転マス24の外周の接線方向に作用する荷重であることから明らかなように、上記式(1)において、FCRLMP・rdは、回転マス24に作用するトルクである。
同様に、記憶された複数のRLMS算出用のスリング荷重FSLの絶対値の平均値を、RLMS算出用荷重FCRLMSとして設定するとともに、設定されたRLMS算出用荷重FCRLMSを用い、ボールねじ23の摩擦係数等が無視できるほど小さい場合には、次式(2)によって、引張側制限荷重RLMSを算出する。
RLMS=FCRLMS・rd・2π/Ld ……(2)
この式(2)において、FCRLMS・rdは、回転マス24に作用するトルクである。
また、算出装置12は、以上のようにして算出された圧縮側制限荷重RLMP及び引張側制限荷重RLMSを、ディスプレイ(図示せず)に表示する。これにより、RLMP及びRLMSがマスダンパ21の仕様書に記載された制限荷重と同じになるように、オペレータがねじ25bの締結度合を調整することが可能になる。
以上のように、本実施形態によれば、マスダンパ21では、内筒22及びねじ軸23aが互いに相対的に移動するのに伴い、ねじ軸23aにボール23bを介して螺合するナット23cが、ねじ軸23a及び筒部22に対して回転する。また、回転マス24がナット23cを覆っており、軸荷重(内筒22及びねじ軸23aに軸線方向に作用する荷重)が、制限機構25によって制限される。この場合、軸荷重が所定の制限荷重に達するまでは、ナット23c及び回転マス24を、回転滑り材25aを介して互いに連結することで一体に回転させる。その際、回転マス反力トルク(回転マス24の反力によるトルク)は、ナット23cを介してねじ軸23aに伝達され、ねじ軸23aの移動を抑えるように作用する。その抑制度合は、回転マス反力トルクが大きいほど、より大きくなり、その結果、軸荷重がより大きくなる。また、軸荷重が制限荷重に達したときに、ナット23c又は回転マス24を回転滑り材25aに対して滑らせることで、ナット23cに対する回転マス24の回転が許容され、それにより、ねじ軸23aへの回転マス反力トルクの伝達が制限されることによって、軸荷重が制限荷重以下に制限される。
さらに、試験装置1では、フレーム2〜5によって、内筒22及びねじ軸23aが回転不能かつ移動不能に固定されるとともに、スリング6及びホイスト7を用いて、回転マス24が強制的に回転させられる。また、回転マス24に作用するトルクを表すスリング荷重FSLが、ロードセル11によって検出される。さらに、内筒22及びねじ軸23aを固定した状態で回転マス24を強制的に回転させているときに検出されたスリング荷重FSLに基づき、算出装置12によって、圧縮側制限荷重RLMP及び引張側制限荷重RLMSが算出される。
上述したように、軸荷重は、回転マス反力トルクが大きいほど、より大きくなる。また、制限機構25では、ナット23c又は回転マス24を回転滑り材25aに対して滑らせることで、ねじ軸23aへの回転マス反力トルクの伝達を制限することによって、ねじ軸23aなどの軸荷重が制限荷重以下に制限される。以上から明らかなように、上記の圧縮側制限荷重RLMP及び引張側制限荷重RLMSの算出に用いられるスリング荷重FSLは、軸荷重が制限荷重に達したときの回転マス24のトルクを表し、制限荷重と密接な相関を有するので、RLMP及びRLMSを精度良く算出することができる。
また、前述した従来の試験装置と異なり、外筒に回転マスを回転不能に保持した状態でねじ軸を移動させるのではなく、内筒22及びねじ軸23aを固定した状態で回転マス24を回転させるので、従来の試験装置の通し孔、穴及びピンは不要であり、したがって、制限機構25の試験を容易に行うことができる。また、回転マス24がナット23cを覆っており、外側に設けられているので、回転マス24を容易に回転させることができる。この場合、回転マス24に巻き回されたスリング6をホイスト7で引っ張ることによって、回転マス24をより容易に回転させることができ、ひいては、制限機構25の試験をさらに容易に行うことができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、ホイスト7は、オペレータが操作しているが、算出装置12で制御してもよい。この場合、ホイスト7を制御するための制御装置を、算出装置12と別個に設けてもよい。また、実施形態では、スリング荷重FSLを、ロードセル11で検出しているが、ホイスト7に供給される電流をセンサで検出するとともに、検出された電流に基づいて算出してもよい。さらに、実施形態では、本発明における回転駆動手段として、スリング6及びホイスト7を用いているが、回転マス24に取り付けられたリング状のピニオンギヤと、このピニオンギヤに噛み合うラックと、このラックを往復動させるアクチュエータを組み合わせた装置を用いてもよい。
また、実施形態では、本発明における回転マストルクパラメータは、スリング荷重FSLであるが、回転マス24に作用するトルクそのものでもよいことは、もちろんである。この場合、回転マス24に作用するトルクを、例えばトルクセンサで検出してもよい。さらに、実施形態では、本発明による試験装置1を、粘性体31が設けられたマスダンパ21に適用しているが、粘性体が設けられていないマスダンパに適用してもよい。その場合には、回転マスを、内筒を覆わずに、ナットのみを覆うように設けてもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
1 試験装置
2 前フレーム(固定手段)
3 後フレーム(固定手段)
4 左フレーム(固定手段)
5 右フレーム(固定手段)
6 スリング(回転駆動手段)
7 ホイスト(回転駆動手段、引張手段)
11 ロードセル(回転マストルクパラメータ検出手段)
12 算出装置(算出手段)
21 マスダンパ
22 内筒(筒部)
23a ねじ軸
23b ボール
23c ナット
24 回転マス
25 制限機構
25a 回転滑り材(滑り部材)
RLMP 圧縮側制限荷重(制限荷重)
RLMS 引張側制限荷重(制限荷重)
FSL スリング荷重(回転マストルクパラメータ)

Claims (2)

  1. 筒部と、当該筒部に軸線方向に移動可能に部分的に収容されたねじ軸と、当該ねじ軸にボールを介して螺合するとともに、前記筒部及び前記ねじ軸が互いに相対的に移動するのに伴い、前記ねじ軸及び前記筒部に対して回転するナットと、前記ナットを覆うとともに、回転可能な回転マスと、前記筒部及び前記ねじ軸に前記軸線方向に作用する荷重である軸荷重を制限するために、当該軸荷重が所定の制限荷重に達するまで、前記ナット及び前記回転マスを、滑り部材を介して互いに連結することで一体に回転させ、前記軸荷重が前記制限荷重に達したときに、前記ナット及び前記回転マスの一方を前記滑り部材に対して滑らせることで、前記ナットに対する前記回転マスの回転を許容する制限機構と、を有するマスダンパにおいて、前記制限機構を試験するマスダンパの試験装置であって、
    前記筒部及び前記ねじ軸を回転不能かつ移動不能に固定する固定手段と、
    前記回転マスを強制的に回転させる回転駆動手段と、
    前記回転マスに作用するトルクを表す回転マストルクパラメータを検出する回転マストルクパラメータ検出手段と、
    前記固定手段により前記筒部及び前記ねじ軸を回転不能かつ移動不能に固定した状態で前記回転駆動手段により前記回転マスを回転させているときに検出された回転マストルクパラメータに基づいて、前記制限荷重を算出する算出手段と、
    を備えることを特徴とするマスダンパの試験装置。
  2. 前記回転駆動手段は、
    前記回転マスに巻き回されるスリングと、
    前記回転マスを強制的に回転させるために、前記回転マスに巻き回された前記スリングを引っ張る引張手段と、
    を有することを特徴とする、請求項1に記載のマスダンパの試験装置。
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