以下、添付図面を参照しながら本発明のその例示的な実施形態を通して説明する。
[第1実施形態]
図1(a)には、本発明の1つの実施形態の放射線撮像システムの構成が模式的に示されている。図1(b)には、本発明の他の実施形態の放射線撮像システムの構成が模式的に示されている。これらの放射線撮像システムは、X線等の放射線3を放射する放射線源1と、放射線撮像装置4とを含む。放射線源1から放射された放射線3は、被検体2を透過して放射線撮像装置4に入射する。
放射線撮像装置4は、複数の行および複数の列を有するアレイを構成するように二次元的に配列された複数の光電変換素子PECと、複数の光電変換素子PECを支持または保持する基板100と、シンチレータ190とを含みうる。シンチレータ190は、放射線を可視光などの光に変換する。光電変換素子PECは、例えば、フォトダイオードで構成され、シンチレータ190によって変換された光を光電変換する。光電変換素子PECとシンチレータ190とによって、放射線を電気信号に変換する変換素子12が構成される。シンチレータ190は、複数の変換素子12によって共有されうる。
図1(a)に示された実施形態では、シンチレータ190が放射線源1の側に向けられる。図1(b)に示された実施形態では、基板100が放射線源1の側に向けられ、放射線3は、基板100と、複数の光電変換素子PECで構成されたアレイとを通過してシンチレータ190に入射する。そして、シンチレータ190で変換された光が光電変換素子PECに入射する。
図2(a)には、放射線撮像装置4の1つの実施形態が模式的に示されている。図2(a)に示された放射線撮像装置4は、撮像領域90を有する。撮像領域90には、放射線画像を取得するための複数の画素と、放射線を検出するための複数のセンサグループ(複数のセンサユニット)とが配置されている。ここで、撮像領域90には、1又は複数の放射線検出領域80が設けられていて、各放射線検出領域80に複数のセンサグループ(複数のセンサユニット)が配置されている。放射線画像を取得するための画素は、放射線検出領域80にも配置されうる。
図2(b)には、放射線撮像装置4の他の実施形態が模式的に示されている。図2(b)に示された放射線検出装置4では、撮像領域90の全域をカバーするように複数の放射線検出領域80が配置され、放射線検出領域80には、センサグループ(センサユニット)のほか、放射線画像を取得するための画素が配置されている。
図2(c)には、図2(a)に示された放射線撮像装置4の使用例が模式的に示されている。図2(c)に示された例では、複数の放射線検出領域80のうち、被検体2(例えば、ヒトの胸部)に応じて選択された放射線検領域81を使って、放射線情報(放射線撮像装置4に入射した放射線に関する情報)が検出される。
図3には、図2(a)に示された放射線撮像装置4のより具体的な構成例が示されている。放射線撮像装置4の撮像領域90には、放射線画像を取得するための複数の画素11と、放射線を検出するための複数のセンサグループSG1、SG2、SG3、SG4とが配置されている。複数の画素11は、複数の行および複数の列を有するアレイを構成するように二次元状に配列されている。撮像領域90の中には、1又は複数の放射線検出領域80が設けられている。各放射線検出領域80には、複数のセンサグループSG1、SG2、SG3、SG4が配置されている。第1実施形態では、1つのセンサユニットが1つのセンサグループで構成される。なお、後述の第2実施形態では、1つのセンサユニットが2つのセンサグループで構成される。
図4(a)に例示されるように、各画素11は、放射線を電気信号に変換する変換素子12と、スイッチ13とを含む。変換素子12は、前述のように、光電変換素子およびシンチレータによって構成されてもよいし、放射線を直接に電気信号に変換する素子によって構成されてもよい。変換素子12は、第1電極(個別電極または読出電極とも呼ばれうる)と第2電極(共通電極とも呼ばれうる)とを有しうる。第1電極は、スイッチ13を介して列信号線16に接続されている。第2電極は、バイアス電位を変換素子12に与えるためのバイアス線19に接続されている。
複数のセンサグループSG1、SG2、SG3、SG4のそれぞれは、複数のセンサ111で構成される。図4(b)に例示されるように、各センサ111は、放射線を電気信号に変換する変換素子121と、スイッチ131とを含む。変換素子121は、光電変換素子およびシンチレータによって構成されてもよいし、放射線を直接に電気信号に変換する素子によって構成されてもよい。前者において、シンチレータは、画素11のためのシンチレータと共有されうる。変換素子121は、第1電極(個別電極または読出電極とも呼ばれうる)と第2電極(共通電極とも呼ばれうる)とを有しうる。第1電極は、スイッチ131を介して検出信号線161に接続されている。第2電極は、バイアス電位を変換素子121に与えるためのバイアス線19に接続されている。
再び図3を参照しながら説明を続ける。図3におけるSG1、SG2、SG3、SG4は、センサ111を示している。より具体的には、図3におけるSG1、SG2、SG3、SG4は、センサ111が属するセンサグループSG1、SG2、SG3、SG4を示している。撮像領域90は、例えば、1000行×1000列から3000行×3000列の画素11の配列で構成される。なお、図3に示された例では、センサ111が配置された位置には、画素11が配置されていないが、他の例では、センサ111が配置された位置にも画素11が配置されうる。
画素11の変換素子12の第2電極およびセンサ111の変換素子121の第2電極に接続されたバイアス線19は、バイアス電源50に接続されている。画素11のスイッチ13のソース(またはドレイン)に接続された列信号線16は、読出部30に接続されている。センサ111のスイッチ131のソース(またはドレイン)に接続された検出信号線161は、信号処理部40に接続されている。画素11のスイッチ13のゲートには、行選択部20によって駆動される画素制御線15が接続されている。画素制御線15がアクティブレベルに駆動されると、画素11の変換素子12と列信号線16とがスイッチ13によって電気的に接続される。センサ111のスイッチ131のゲートには、センサ制御部41によって駆動されるセンサ制御線411が接続されている。センサ制御線411がアクティブレベルに駆動されると、センサ111の変換素子121と検出信号線161とがスイッチ131によって電気的に接続される。
第1実施形態では、各放射線検出領域80は、N個のセンサグループSG1、SG2、SG3、SG4(N個のセンサユニット)を含み、センサグループSG1、SG2、SG3、SG4のそれぞれは、M個のセンサ111を含む。図3に示された例では、N=4、M=4であるが、これは例示に過ぎない。
各放射線検出領域80において、N個のセンサグループSG1、SG2、SG3、SG4(N個のセンサユニット)のそれぞれのM個のセンサ111の全てのスイッチ131のソース(またはドレイン)が共通の検出信号線161に接続されている。一方、センサ111のスイッチ131のゲートには、センサグループ(センサユニット)ごとに異なるセンサ制御線411が接続されている。つまり、第kセンサグループのセンサ111のスイッチ131のゲートには、それらに対して共通の第kセンサ制御線411が接続されている。第kセンサ制御線411がアクティブレベルに駆動されると、第kセンサグループのM個のセンサ111の信号が共通の検出信号線161に出力される。
図5には、信号処理部40の構成例が示されている。図5に示された例では、信号処理部40は、センサ111の信号として、センサ111が発生する電荷を読み出す。信号処理部40は、例えば、信号検出部39と、AD変換器33とを含みうる。信号検出部39は、例えば、積分増幅器31と、リセットスイッチ34とを含む。積分増幅器31の入力には、検出信号線161が接続され、積分増幅器31の出力には、AD変換器33が接続されている。リセットスイッチ34は、積分増幅器31の入力と出力との間を短絡することができるように配置されている。リセットスイッチ34を導通させることによって、積分増幅器31の出力の電位および検出信号線161の電位をリセットすることができる。
信号処理部40の構成は特に制限されるものではなく、センサ111の信号として、センサ111が発生する電流または電圧を読み出す場合には、信号処理部40は、例えば、非反転増幅器または反転増幅器を含んで構成されうる。
行選択部20、読出部30、センサ制御部41、信号処理部40は、制御部49によって制御される。なお、ある観点において、行選択部20、読出部30、センサ制御部41、信号処理部40の少なくとも1つは、制御部49の一部として理解することができる。
制御部49は、信号処理部40から提供される放射線情報に基づいて種々の処理を行いうる。制御部49は、例えば、放射線源から放射線検出装置4に放射線の照射が開始されたこと、放射線の照射が停止されたこと、放射線の強度、放射線の積算照射量などを検出することができる。更に、制御部49は、放射線源1と接続され、放射線源1からの放射線照射の開始および/または停止を示す信号を受信したり、放射線源1に対して放射線照射の開始および/または停止を指示したりしうる。
図6は、画素11およびセンサ111の構成例を示す平面図(レイアウト図)である。図7(a)は、図6におけるA−A’線に沿った断面図、図7(b)は、図6におけるB−B’線に沿った断面図である。画素11のスイッチ13は、図7(a)に例示されるように、TFT(薄膜トランジスタ)で構成されうる。スイッチ素子13は、基板100の上に配置され、層間絶縁層181によって覆われうる。層間絶縁層181の上には、変換素子12が配置されうる。
変換素子12は、スイッチ13を介して列信号線16と接続されている。変換素子12は、第1電極125、PINフォトダイオード(光電変換素子)124および第2電極126を含みうる。PINフォトダイオードの上には、保護膜182、第2相間絶縁層183、バイアス線19、保護膜184が順に配置されている。保護膜184上には、不図示の平坦化膜、およびシンチレータ190が配置されている。第二電極126は、コンタクトホールを介して、バイアス線19に接続されている。第二電極126の材料には、光透過性を有するITOが用いられ、シンチレータ190で放射線から変換された光が透過可能な構成となっている。
同様に、センサ111のスイッチ131は、図7(b)に例示されるように、TFT(薄膜トランジスタ)で構成されうる。スイッチ素子131は、基板100の上に配置され、層間絶縁層181によって覆われうる。層間絶縁層181の上には、変換素子121が配置されうる。
変換素子121は、スイッチ131を介して検出信号線161と接続されている。変換素子121は、第1電極125、PINフォトダイオード(光電変換素子)124および第2電極126を含みうる。PINフォトダイオードの上には、保護膜182、第2相間絶縁層183、バイアス線19、保護膜184が順に配置されている。保護膜184上には、不図示の平坦化膜、およびシンチレータ190が配置されている。
以上の例では、変換素子12、121を構成する光電変換素子としてPINフォトダイオードが採用されているが、光電変換素子は、例えばMIS型のセンサでもよい。
以下、センサ111からの信号に基づいて放射線情報を検出する方法を説明する。まず、放射線情報として放射線強度を検出する方法を説明する。図8には、放射線の照射強度を検出する動作のタイミングチャートが示されている。図8の最上部には、放射線検出領域80に入射した放射線の強度(”放射線照射強度”)が示されている。図8において、センサグループの個数はN個であり、センサグループは、SG1、SG2、・・・、SGNと記載されている。また、第1実施形態では、センサグループとセンサユニットとは等価であり、センサユニットは、SU1、SU2、・・・、SUNと記載されている。
センサ制御部41は、第1センサグループSG1(第1センサユニットSU1)から第NセンサグループSGN(第NセンサユニットSUN)を個別に制御する第kセンサ制御線411(k=1〜N)に対して順次に電圧パルス(センサ制御信号)を印加する。ここでは、第kセンサ制御線411がハイレベルに駆動されたときに第kセンサグループSGkのセンサ111のスイッチ131が導通するものとする。
まず、時刻t11からt12の期間は、第1センサグループSG1(SU1)のセンサ制御線411がハイレベルに駆動され、第1センサグループSG1のセンサ111のスイッチ131が非導通状態から導通状態にされる。その後、時刻t21からt22の期間は、第2センサグループSG2(SU2)のセンサ111のスイッチ131が非導通状態から導通状態にされる。以下、第NセンサグループSGN(SUN)のセンサ111まで同様に制御される。その後は、第1センサグループSG1(SU1)に戻り、時刻t13からt14の期間は、第1センサグループSG1(SU1)のセンサ制御線411がハイレベルに駆動される。これにより、第1センサグループSG1(SU1)のセンサ111のスイッチ131が非導通状態から導通状態にされる。
以下、センサ111および信号処理部40の動作を説明する。第1センサグループSG1のセンサ111のスイッチ131は時刻t12からt13までの期間が非導通状態である。この期間に放射線の照射によって発生した電荷が第1センサグループSG1のセンサ111の変換素子121に蓄積される。つまり、時刻t12からt13までの期間が信号蓄積期間SAPである。第1センサグループSG1のセンサ111の変換素子121に蓄積された電荷に応じた信号は、時刻t13において信号処理部40に送られる。具体的には、時刻t13において、第1センサグループSG1のセンサ111のスイッチ131が導通状態に遷移することよって、第1センサグループSG1のセンサ111の信号が検出信号線161を介して信号処理部40に送られる。
信号処理部40は、第1センサグループSG1のセンサ111から出力された信号を時刻t13の直後の時刻t111において、第1センサグループSG1のセンサ111の信号量(照射強度)m(1)として検出し、制御部49に信号量m(1)を出力する。
同様に、信号処理部40は、時刻t23の直後の時刻t112において、第2センサグループSG2のセンサ111の信号量m(2)として検出し、制御部49に信号量m(2)を出力する。以降も同様に、信号処理部40は、第3〜第NセンサグループSG3〜SGNのセンサ111の信号量m(3)〜m(N)を検出して制御部49に出力する。その後、信号処理部40は、第1センサグループSG1から順に上記の処理を繰り返す。これにより、信号量m(1)、m(2)、・・・、m(N)、m(1)、m2(2)・・・からなる信号列(数値列)が得られる。信号処理部40は、信号量m(1)、m(2)、・・・、m(N)、m(1)、m2(2)・・・を、サンプリング間隔SIを周期として、出力する。
信号量m(1)、m(2)、・・・、m(N)は、それらを取得するために使用したセンサグループが相互に異なるが、そのことによる誤差は、複数のセンサグループのセンサ111を分散して配置することによって低減されうる。
ここで、m(k)を検出するタイミングとm(k+1)を検出するタイミングとの間隔(例えば、t111とt112との間隔)がサンプリング間隔(第2時間)SIである。各センサグループにおける信号蓄積期間SAPは、サンプリング間隔SIとセンサグループの個数Nとの積に一致する。信号処理部40が複数のセンサグループのいずれかから信号量(放射線の照射強度)を検出する頻度(回/秒)は、サンプリング間隔SIの逆数である。
制御部49は、複数のセンサユニットSU1〜SUNのそれぞれのセンサ111における信号蓄積期間SAPが第1時間を有し、かつ、サンプリング期間SIの長さである第2時間だけ相互にずれるように、複数のセンサユニットSU1〜SUNを制御する。ここで、サンプリング期間SIの長さである第2時間は、信号蓄積期間SAPの長さである第1時間よりも短い。制御部49による複数のセンサユニットSU1〜SUNの制御は、行選択部20の制御を通してなされうる。
制御部49は、信号処理部40から提供される放射線情報(ここでは、照射量m(k))に基づいて放射線の照射の開始および終了のタイミングを検出することができる。例えば、制御部49は、信号量m(k)(あるいは信号量m(k)からなる信号列から補間によって生成された数値列の値でもよい。)が閾値Th1を超えた時刻(t114)を放射線の照射が開始されたタイミングとして検出することができる。同様に、制御部49は、信号量m(k)(あるいは、信号量m(k)からなる信号列から補間によって生成された数値列の値でもよい。)が閾値を下回った時刻を放射線の照射が停止されたタイミングとして検出することができる。
あるいは、制御部49は、以下で説明するように、信号処理部40から提供される放射線情報(ここでは、照射量m(k))に基づいて放射線の積算照射量を検出することもできる。図9には、放射線の照射強度に基づいて積算照射量を検出する動作のタイミングチャートが示されている。
信号処理部40は、図8に示された動作と同様に、信号量m(1)、m(2)、・・・、m(N)、m(1)、m2(2)・・・からなる信号列を出力する。制御部49は、時刻t111において第1センサグループSG1(SU1)の信号量m(1)を受け取る。そして、制御部49は、制御部49内に保持してあった積算信号量m’(1)にm(1)を加えた値を新たなm’(1)とし、次回の第1センサグループSG1(SU1)の信号量m(1)の検出まで保持する。同様に、制御部49は、他のセンサグループ、即ち第kセンサグループSGkについても、積算信号量m’(k)を随時演算し保持する。これにより、積算信号量m’(1)、m’(2)、・・・、m’(N)、m’(1)、m’2(2)・・・からなる信号列が得られる。
制御部49は、いずれかのセンサグループの積算信号量m’(k)が閾値Th2を超えた時刻(t114)を積算照射量が適正量に達したと判断することができる。なお、照射強度を示す情報として、図8を参照して説明しように各時点での信号量m(k)を用いてもよいし、積算信号量m’(k)のセンサグループ間の差分(m’(2)−m’(1)など)を用いてもよい。
図10には、図9を参照して説明した動作のフローチャートが示されている。この動作は、準備工程(S1010〜S1014)、演算工程(S1016〜S1020)、制御工程(S1024、S1026)を含みうる。
まず、準備工程(S1010〜S1014)について説明する。S1010では、制御部49は、センサグループSG1〜SGNのセンサ111をリセットする。具体的には、制御部49は、センサグループSG1〜SGNのセンサ111のスイッチ131を導通状態にし、変換素子121に蓄積されている電荷(ダーク電荷など)を除去する。S1012では、制御部49は、制御部49内のメモリに保持された積算信号量m’(k)(k=1〜N)をクリアする。S1014では、センサグループと特定する変数kを1に設定する。準備工程では、その他、センサグループSG1〜SGN間のオフセット補正および/または感度補正がなされてもよい。
次いで、演算工程(S1016〜S1020)について説明する。S1016では、制御部49は、第kセンサグループSGk(第kセンサユニットSUk)の信号量m(k)を信号処理部40から取得する。S1018では、制御部49は、制御部49内に保持された第kセンサグループSGkの積算信号量m’(k)に信号量m(k)を加算し、新たな積算信号量m’(k)の値とする。S1020では、制御部49は、積算信号量m’(k)が閾値Th2を超えたかどうかを判断し、超えた場合には処理をS1024に進め、超えていない場合には、S1022においてkの値を1だけ変更して、処理をS1016に戻す。
次いで、制御工程(S1024、S1026)について説明する。S1024では、制御部49は、放射線源1に放射線の照射を停止させる。S1026では、制御部49は、行選択部20および読出部30を制御して、画像を読み出させる。
以上の処理に代えて、信号処理部40に積分回路を備えて、該積分回路によって積算照射量を求めてもよい。
以下、第1実施形態の効果を例示的に説明するが、これは、本発明を制御することを意図したものではない。変換素子121とスイッチ131とを有するセンサ111からの信号に基づいて放射線強度や積算照射量などの放射線情報を検出する際、放射線情報の検出精度は信号雑音比(SNR)に依存する。SNRは、変換素子121、スイッチ131および信号処理部40などで発生するランダムノイズに対する信号値(信号量)の比である。
放射線情報の検出頻度(あるいは信号蓄積期間)が決まっている場合、M×N個の全てのセンサ111から同時に信号を読み出すと、1個の検知画素から信号を読み出す場合と比較して信号量はM×N倍となる。また、ランダムノイズのうち変換素子121の容量に比例する成分(kTCノイズ)は√(M×N)倍となり、他の成分は同一である。
一方、第1実施形態では、N個のセンサグループ(センサユニット)ごとに、M個の信号を同時に読み出す。また、各センサグループ(センサユニット)のセンサ111における信号蓄積期間は、M×N個の全てのセンサ111から同時に信号を読み出す場合のN倍になるので、信号量もN倍になる。よって、第1実施形態では、1回の読出動作で得られる信号量は、1個のセンサ111から信号を読み出す場合のM×N倍となる。また、第1実施形態では、ランダムノイズのうちkTCノイズは√M倍となり、他の成分は同一である。よって、第1実施形態によれば、M×N個の全てのセンサ111から同時に信号を読み出す場合に比べて、SNR、即ち検出精度を高めることができる。
また、第1実施形態では、1回の読出動作でM×N個のセンサ111のうちM個のセンサ111の信号を読み出し、この信号をM×N個のセンサ111の出力値の代表値とする動作をセンサグループ(センサユニット)を変更しながら行う。これによって、放射線情報の検出頻度(時間分解能)を高めることができる。
以下、放射線検出領域80の配置、形状、大きさについて補足する。ヒトなどを被検体とする放射線撮影において、適正な明るさの画像を得るために、肺野・腹腔・脊柱・関節等の部分に対応する位置における積算照射量を監視し、放射線照射量を調節することが広く行われている。一般的には、このような方法では、被検体と放射線撮像装置との間の位置決めの容易さを考慮し、放射線を検出する領域は、放射線強度が概ね一様とみなせる領域とされうる。例えば、ヒトの胸部の放射線撮像において、撮像領域90に対し被検体2が図2(c)のように配置されるとき、肺野部(5cm角程度)に対応する領域において放射線強度が概ね一様と考えることができる。一般的には、放射線検出領域80の配置、形状、大きさは、放射線撮像において中心となる部位(腰椎、骨盤、関節、乳房など)の形状および大きさに応じて決定されうる。放射線検出領域80の形状は、正方形でもよいし、円形等の他の形状でもよい。放射線検出領域80の大きさは、ヒトの肺野・腹腔・脊柱・関節を中心とした撮影では3〜5cm程度、乳房の撮像では0.5〜1cm程度が好ましい。
以下、センサ111の配置について補足する。図2(c)に例示されるような撮像条件では、被検体2が均一ではないので、放射線検出領域80において被検体2を透過した放射線強度の分布は均一ではない。例えば、ヒトの胸部には肋骨が2〜3cmの間隔で存在し、この部分の放射線の透過率は低い。ヒトの他の部位も、骨部と軟部組織が約1〜数cmの間隔で周期的に存在する。このため、各センサグループ(センサユニット)におけるセンサ111の配置ピッチは、骨部と軟部組織とからなる部分における周期の最小値(1cm程度)の半分以下、すなわち5mm程度以下で配置することが好ましい。各センサグループ(センサユニット)を構成する複数(M個)のセンサ111を放射線検出領域80内に均等に分散して配置することにより、得られる放射線情報を十分に平均化することができる。これによって、複数のセンサグループ(センサユニット)間の低減することができる。1つのセンサグループ(センサユニット)当たりのセンサ111の個数(M)を増加させるほど、平均化の効果は高まる。
各センサグループ(センサユニット)における信号蓄積期間は、サンプリング間隔とセンサグループ(センサユニット)の個数(N)との積となるので、センサグループ(センサユニット)の個数(N)を増加させることが有利である。実際には、Nは信号処理部40の応答時定数や、要求される放射線情報の検出頻度などに応じて決定されうる。なお、NおよびMの値が大きすぎると、画素11によって取得される画像に悪影響(画素の抜け)が発生するため、NやMは、上述した効果と、画像上の悪影響のバランスを勘案して決定されうる。放射線検出領域80を一辺5cmの正方形とした場合、例えば、N=25、M=100とすれば、画像上の悪影響がない範囲で高い平均化効果を得ることができる。各センサグループ(センサユニット)を放射線検出領域80内に2次元行列状に配置する場合、その配置ピッチは
5cm/√(100) = 5mm
となり、配置間隔に関する上述の条件を満たすため好ましい。
一般的な放射線照射期間(1〜1000ms程度)に対し、被検体の無用な被曝を防ぐため、放射線照射期間は誤差1%(0.01〜10ms)で制御する必要がある。このとき、信号処理部40によるサンプリング間隔は0.01〜10ms以下であればよく、一般的な回路(積分増幅器など)によって信号処理部40を構成することができる。また、N=25であるので、各センサグループ(センサユニット)のセンサにおける信号蓄積期間は0.25ms〜250ms程度となり、十分な信号量が得られる。センサグループ(センサユニット)の個数Nは、被険体に合わせ、放射線検出領域ごとに異なってもよい。
以下、第1実施形態のいくつかの変形例を説明する。図11には、第1変形例が記載されている。放射線撮像装置4が放射線照射の開始を検出する機能を有する場合に有用である。放射線照射の開始は、例えば、放射線源1からの通知によって、または、放射線の照射を放射線撮像装置4に備えられた検知部によって検出することができる。制御部49は、時刻t00において放射線照射の開始を検出すると、時刻t00からt01の期間において全てのセンサグループSG1〜SGN(センサユニットSU1〜SUN)のセンサ111のスイッチ131を導通状態にする。これによって、これらのセンサ111がリセットされる。このリセットによって、余分な電荷(ダーク電荷など)が除去される。次いで、制御部49は、全てのセンサグループSG1〜SGN(センサユニットSU1〜SUN)のセンサ111のスイッチ131を非導通状態に戻し、信号の蓄積を開始させる。その後は、図8または図9に示された動作を同一である。第1変形例によれば、放射線照射の開始後の放射線情報を正確に検出することができる。
図12、図13、図14には、第2変形例が示されている。第2変形例では、センサ111がセンサ111’によって置き換えられ、放射線検出領域80にはセンサ111’のみが配置されている。センサ111’は、画素としても機能する。つまり、センサ111’は、放射線を電気信号に変換する変換素子121と、スイッチ131とを含む他、放射線を電気信号に変換する変換素子12と、スイッチ13とを含む。つまり、センサ111’は、画素11とセンサ111とを組み合わせた構成を有する。第2変形例では、撮像領域90は、複数の行および複数の列を構成するように、複数の画素11、および、複数のセンサ111’が配列されている。複数の行のそれぞれにおける画素の個数(画素11の個数とセンサ111’個数との和)は互いに等しい。
第2変形例によれば、センサ111’を配置することによる画素11の欠落による放射線画像情報の欠落が発生しないため、得られる放射線画像の品質を向上させることができる。また、センサ111’を配置することによる画素11の欠落による放射線画像情報の欠落が発生しないため、センサ111’の個数を増やすために有利である。これは、放射線情報の検出頻度の向上および検出精度の向上に有利である。
図15には、第3変形例が示されている。ここで、図15では、センサ111は、それが属するセンサグループを示すSG1、SG2、SG3、SG4として図示されている。第3変形例では、異なる列に配置された検出信号線161が相互に分離されている。また、第3変形例では、各検出信号線161に対して1つの信号検出部39が対応するように複数の信号検出部39が設けられ、複数の信号検出部39とAD変換器33との間にマルチプレクサ32が配置されている。マルチプレクサ32は、複数の信号検出部39の出力を所定の順番にしたがって選択してAD変換器33に供給する。各信号検出部39は、図5に例示された構成を有しうる。積分増幅器31は、非反転増幅器または反転増幅器などの他の増幅器で置き換えられてもよい。
図15に示された例では、1つの検出信号線161には、1つのセンサグループ(センサユニット)のセンサ111のみが接続されているが、互いに異なるセンサグループ(センサユニット)のセンサ111が接続されてもよい。
信号検出部39は、検出信号線161をリセットする機能(リセットスイッチ34)を有しうる。第3変形例では、異なる列に配置された検出信号線161が相互に分離されているので、各信号検出部39から見た検出信号線161の静電容量が小さい。そのため、信号検出部39による検出信号線161のリセットのために要する時間が短縮される。したがって、読出動作に要する時間やサンプリング間隔を短縮することができる。これは、放射線情報の検出頻度を高くするために有利である。
あるいは、放射線情報の検出頻度を維持しつつ、例えば、信号検出部39の入力側にローパスフィルタを設け、外部電磁場からのノイズの影響を低減してもよい。
あるいは、信号処理部40を上記の複数の技術の組み合わせによって構成してもよい。例えば、信号の読出に要する時間が短い回路で放射線照射の開始を検出し、ノイズ対策された回路で積算照射量の測定を行うこともできる。
更に、信号処理部40が検出信号線161ごとにリセットスイッチ34を備える場合、図16に示されるように、センサ111の変換素子121は、スイッチ131を介することなく検出信号線161に接続されてもよい。各センサグループ(センサユニット)のセンサ111の信号蓄積時間は、リセットスイッチ34の開閉のタイミングによって決定することができ、図8等に示された動作と同様の動作を行うことができる。図17には、図16に示されたセンサ111の平面図(レイアウト図)が示されている。図18には、図17のB−B’線に沿った断面図が示されている。スイッチ131の省略によってセンサ111の構造が単純化される。これは、歩留まりの向上に有利である。
[第2実施形態]
第2実施形態では、図19に示されているように、各センサユニットが2つのセンサグループで構成される。例えば、第1センサユニットSU1は、第1センサグループSG1と第2センサグループSG2とで構成される。換言すると、第1センサユニットSU1は、第1センサグループSG1のセンサ(第1センサ)111と、第2センサグループSG2のセンサ(第2センサ)111とで構成される。また、第2センサユニットSU2は、第3センサグループSG3と第4センサグループSG2とで構成される。換言すると、第2センサユニットSU2は、第3センサグループSG3のセンサ(第3センサ)111と、第4センサグループSG4のセンサ(第4センサ)111とで構成される。第2実施形態の放射線撮像装置4は、撮像領域90の構成については、第1実施形態と同様でありうる。
図20には、第2実施形態の放射線撮像装置4の動作が示されている。ここでは、例示的に、放射線情報として放射線強度を検出する方法を説明する。センサ制御部41は、第1センサグループSG1から第NセンサグループSGNを個別に制御する第kセンサ制御線411(k=1〜N)に対して所定の手順にしたがって電圧パルス(センサ制御信号)を印加する。
具体的には、第1センサユニットSU1の一部を構成する第1センサグループSG1のセンサ111を制御する第1センサ制御線411は、t11からt12までの期間においてハイレベルに駆動される。また、第1センサユニットSU1の他の一部を構成する第2センサグループSG2のセンサ(第2センサ)111を制御する第2センサ制御線411は、時刻t11からt12までの期間と時刻t21からt22までの期間とにおいてハイレベルに駆動される。
以下、同様に、第2センサユニットSU2の一部を構成する第3センサグループSG3のセンサ111を制御する第3センサ制御線411は、t31からt32までの期間においてハイレベルに駆動される。また、第2センサユニットSU2の他の一部を構成する第4センサグループSG4のセンサ(第2センサ)111を制御する第4センサ制御線411は、時刻t31からt32までの期間と時刻t41からt42までの期間とにおいてハイレベルに駆動される。
以上のようにして、第1センサユニットSU1〜第(N/2)センサユニットSU(N/2)が駆動された後、再び、第1センサユニットSU1〜第(N/2)センサユニットSU(N/2)が同様に駆動される。
具体的には、第1センサユニットSU1の一部を構成する第1センサグループSG1のセンサ111を制御する第1センサ制御線411は、t13からt14までの期間においてハイレベルに駆動される。また、第1センサユニットSU1の他の一部を構成する第2センサグループSG2のセンサ(第2センサ)111を制御する第2センサ制御線411は、時刻t13からt14までの期間と時刻t23からt24までの期間とにおいてハイレベルに駆動される。
以下、同様に、第2センサユニットSU2の一部を構成する第3センサグループSG3のセンサ111を制御する第3センサ制御線411は、t33からt34までの期間においてハイレベルに駆動される。また、第2センサユニットSU2の他の一部を構成する第4センサグループSG4のセンサ(第2センサ)111を制御する第4センサ制御線411は、時刻t33からt34までの期間と時刻t43からt44までの期間とにおいてハイレベルに駆動される。
一方、信号処理部40は、時刻t12からt13の期間に第1センサユニットSU1の一部を構成する第1センサグループSG1のセンサ111の変換素子121に蓄積された信号を信号量m(1)として検出する。信号処理部40はまた、時刻t12からt21の期間に第1センサユニットSU1の他の一部を構成する第2センサグループSG2のセンサ(第2センサ)111の変換素子121に蓄積された信号を信号量m(2)として検出する。そして、信号処理部40は、m(1)−m(2)を演算し、時刻t211においてm(1)−m(2)を制御部49に出力する。ここで、時刻t12からt21の期間は、第1センサグループSG1のセンサ111の信号蓄積期間SAPの長さである第1時間より短い第3時間である。
同様に、信号処理部40は、時刻t32からt33の期間に第2センサユニットSU2の一部を構成する第3センサグループSG3のセンサ111の変換素子121に蓄積された信号を信号量m(3)として検出する。信号処理部40はまた、時刻t32からt41の期間(第3時間)に第2センサユニットSU2の他の一部を構成する第4センサグループSG4のセンサ111の変換素子121に蓄積された信号を信号量m(4)として検出する。そして、信号処理部40は、m(3)−m(4)を演算し、時刻t212においてm(3)−m(4)を制御部49に出力する。
以降、信号処理部40は、第(N/2)センサユニットSU(N/2)まで同様の処理を実行し、その後、同様の処理を第1センサユニットから第(N/2)センサユニットSU(N/2)まで繰り返す。
これにより、時刻t211からt212までの期間をサンプリング間隔(周期=第2時間)としてM(k)=m(k−1)−m(k)の数値列が得られる。このM(k)の数値列を第1実施形態におけるm(k)と同様の取り扱うことによって、放射線照射の開始および終了タイミングや、積算照射量を検出することができる。
センサ111から出力される信号は、センサ111の変換素子121およびスイッチ131や信号処理部40が受ける外乱(外部電磁場や温度変化等)によってオフセット成分が重畳しうる。第2実施形態によれば、m(k−1)−m(k)を演算することによって、オフセット成分を除去することができる。よって、放射線情報をより正確に検出することができる。
[応用例]
図21には、放射線撮像システムのより具体的な構成例が示されている。放射線源であるX線チューブ6050で発生したX線6060は、患者あるいは被験者6061の胸部6062を透過し、放射線撮像装置6040に含まれる各変換素子12に入射する。この入射したX線には被験者6061の体内部の情報が含まれている。X線の入射に対応して変換素子12で放射線を電荷に変換して、電気的情報を得る。この情報はデジタルデータに変換され信号処理手段となるイメージプロセッサ6070により画像処理され制御室の表示手段となるディスプレイ6080で観察できる。
また、この情報は電話回線6090等の伝送処理手段により遠隔地へ転送でき、別の場所のドクタールームなど表示手段となるディスプレイ6081に表示もしくは光ディスク等の記録手段に保存することができ、遠隔地の医師が診断することも可能である。また記録手段となるフィルムプロセッサ6100により記録媒体となるフィルム6110に記録することもできる。