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JP6467628B2 - 燃料電池スタックのシミュレーション方法及びシミュレーション装置 - Google Patents
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JP6467628B2 - 燃料電池スタックのシミュレーション方法及びシミュレーション装置 - Google Patents

燃料電池スタックのシミュレーション方法及びシミュレーション装置 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池スタックのシミュレーション方法及びシミュレーション装置に関するものであり、燃料電池スタックの性能算出を効率的にシミュレーションする技術に関するものである。
家庭用燃料電池コージェネレーションシステムであるエネファーム(登録商標)の市場拡大や、2015年に燃料電池自動車の実用化、普及が見込まれているなどの状況から、現在、セルを直列に積層して結合して成る燃料電池システムの心臓部である燃料電池スタックの性能向上に関係各社が力を注いでいる。
そのような状況の中にあって、燃料電池スタックの電池性能の算出をシミュレーションで行うことにより、効率的で高精度に電池性能の算出を行うことが期待されている。燃料電池スタックのシミュレーションの目的は、単セルや燃料電池スタックの構成、運転条件に基づき、燃料電池スタックの性能算出を行うことである。
これは燃料電池に関連するシミュレーションとしては解析サイズが最大のものとなる。この他の解析スケールでは、触媒層の構造のシミュレーションや、その作成プロセスに関係するシミュレーション、さらに燃料電池単セルのシミュレーションなどが存在しているが、そのスケールにより種々のアプローチが知られている。
上記の触媒層の構造のシミュレーションでは、実際の触媒層の構造をSEM(走査形電子顕微鏡)やTEM(透過型電子顕微鏡)で観測した画像から、ボリュームレンダリングで構造を再現したり、触媒層の代表的なパラメータを抽出し、そこから仮想的な触媒構造を作成したりすることで、シミュレーションに必要な解析構造を決定し、物質輸送と電気化学反応を連立することで、触媒層の能力の算出が行われている。
また触媒層の作成プロセスに関係するシミュレーションにおいては、分子動力学、粗視化分子動力学、散逸粒子動力学などの適用により、材料及び作成プロセスと触媒層の構造との紐付けが報告され始めている。
燃料電池単セルの性能算出に関しては、市販ツールのAnsys Fluent(登録商標)のプラットフォーム化と各種構成則モデルの作り込みにより、精度よくシミュレーションできるようになっており、それを多段に積層した燃料電池スタックにおいても、特許文献1にあるような発明手法を利用することで、大規模なシミュレーションが可能となり、スタックの中段に配置された代表セルの電池性能が算出可能となっている。
一般に燃料電池スタックのシミュレーションは、計算の規模が非常に大きくなるため、計算時間や収束性に難点を持つが、簡略化圧力損失体に代表される簡易燃料電池スタックモデルを用いて、燃料電池スタック内のガスの流れ解析計算を実施してから個別のセルのガスの流れ解析計算を行うことで、計算時間の短縮と収束性の確保を図るとしているものもある。
特開2007−305419号公報
しかしながら、特許文献1で開示された技術は、燃料電池スタックのシミュレーションにおいて、中段に配置された代表セルの電池性能の算出に適用した場合、単セルを多数積層した構造で全セルの電池性能を算出した上で、中段に配置されたセルの電池性能を代表セルの電池性能とすることで当該セルの電池性能を算出するため、単セルの計算に比べて計算時間がかかり、且つ計算能力の高い解析装置が必要になるという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、単セルの場合とほぼ同じ計算規模と計算時間で、燃料電池スタックの代表セルの電池性能の算出を可能とすることを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の燃料電池スタックのシミュレーション方法は、電解質膜及び電極を有する燃料電池セルが複数の積層された燃料電池スタックの電池性能を計算する燃料電池スタックのシミュレーション方法であって、複数の燃料電池セルのうちの第1電解質膜を有する第1セル及び第2電解質膜を有する第2セルが隣接して位置し、第1電解質膜内に位置する任意の面を第1基準面とし、第1基準面の電位又は電流密度である第1既定値を設定する第1設定ステップと、第2電解質膜内に位置する任意の面を第2基準面とし、第2基準面の電位又は電流密度である第2既定値を設定する第2設定ステップと、第1既定値及び第2既定値を用いて、第1基準面及び第2基準面の間の電池性能を計算する第1算出ステップと、を備えている。
これによって、燃料電池スタックの中段に配置され、隣接セルと周期的な境界で繋がる代表セルの境界条件を設定できるようになり、単セルの場合とほぼ同じ計算規模と計算時間で、燃料電池スタックの代表セルの電池性能の算出が可能となる。
本発明は、電解質膜内の第1基準面と第2基準面に電位又は電流密度を設定することで、燃料電池スタックの中段に配置され、隣接セルと周期的な境界で繋がる代表セルの境界条件を設定できるようになり、単セルの場合とほぼ同じ計算規模と計算時間で、燃料電池スタックの代表セルの電池性能の算出を可能にすることができる。
本発明の実施の形態1から実施の形態3における燃料電池スタックのシミュレーション方法における境界の設定方法の概念図 本発明の実施の形態1における燃料電池スタックのシミュレーション方法のフローチャート 本発明の実施の形態2における燃料電池スタックのシミュレーション方法のフローチャート 本発明の実施の形態3における燃料電池スタックのシミュレーション方法のフローチャート
はじめに、発明を実施するための形態に至った発見的事実について述べる。本発明者は燃料電池スタックのシミュレーション結果に対し、鋭意検討を重ねた結果、次の二つの事実に着眼するに至った。
一つ目は、燃料電池スタック内のあるセルのセパレータ端面内で50ミリボルト程度の電位差が生じているような場合であっても、そのセルの電解質膜中心の積層面の電位分布はほぼフラットで一定値になっていることである。
二つ目は、燃料電池スタック内のあるセルのセパレータの端面内で大きな電位差が同様に生じている場合には、アノード側で生じる面内電流を正確に打ち消す方向に、カソード側で電位が分布していること、言い換えれば、あるセルのセパレータ端面におけるアノード側の電位分布とカソード側の電位分布は電解質膜面の電位分布に対して鏡面対称の関係になっていることである。
当然、これらの電位分布に関する境界条件は、セパレータ端面内で電位差が生じないケースも包含しており、広く適用可能な条件となっている。
ここで、アノード側とカソード側で面内電流を打ち消すように各々の電位分布が決定される理由を簡単に考察する。燃料電池スタックはセルを多数積層したものであるから、両端部のセルを除き、端部以外に位置するセルは、セルごとにおおよそ周期的な物理量の分布(例えば温度や電流密度)を持っていることが予測される。
しかしながら、仮にアノード側の面内電流とカソード側の面内電流が打ち消しあわなければ、そのセルで正味の面内電流が形成されることになり、積層方向に面内電流が蓄積されることになり、その周期性が崩れる。よって、端部以外に位置するセルが周期的な物理量の分布を持つためには両端面で面内電流が相殺される必要がある。
また、アノード側とカソード側の面内電流が打ち消しあうとき、アノード側の電位分布とカソード側の電位分布は電解質膜面の電位分布に対して鏡面対称の関係になっていることが予測されるので、燃料電池セルの構成上、電解質膜の積層面中心の電位分布はほぼフラットで一定値になることも容易に説明できる。
次に、この発見的事実に基づき、燃料電池スタックのシミュレーションを効率的に行う本発明について述べる。ここでは、各算出ステップの手順に沿って本発明の実施の形態を説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
第1の発明は、電解質膜及び電極を有する燃料電池セルが複数の積層された燃料電池スタックの電池性能を計算する燃料電池スタックのシミュレーション方法であって、複数の燃料電池セルのうちの第1電解質膜を有する第1セル及び第2電解質膜を有する第2セルが隣接して位置し、第1電解質膜内に位置する任意の面を第1基準面とし、第1基準面の電位又は電流密度である第1既定値を設定する第1設定ステップと、第2電解質膜内に位置する任意の面を第2基準面とし、第2基準面の電位又は電流密度である第2既定値を設定する第2設定ステップと、第1既定値及び第2既定値を用いて、第1基準面及び第2基準面の間の電池性能を計算する第1算出ステップと、を備えた、燃料電池スタックのシミュレーション方法である。
これにより、電解質膜内の第1基準面と第2基準面に電位又は電流密度を設定することで、燃料電池スタックを構成するセルの平均的な電池性能の算出が可能になり、単セルの計算規模で燃料電池スタックの電池性能を算出することが可能となる。
第2の発明は、特に、第1の発明における第1基準面が、燃料電池スタックの積層方向と直交するものであり、これにより、第1基準面の幾何形状として、積層方向と直行する平面を利用できるようになり、第1基準面内の物理量を容易に設定することができる。
第3の発明は、特に、第1の発明における第1基準面には、第1既定値に一定の電位値を設定するものであり、これにより、一定の既定電位を利用できるようになり、第1基準面が等電位面になる場合に適した境界条件を設定することができる。
第4の発明は、特に、第1の発明における第1基準面には、第1既定値に一定の電流密度値を設定するものであり、これにより、一定の既定電流密度を利用できるようになり、第1基準面の電流密度を簡便に設定することができる。
第5の発明は、特に、第1の発明における第2基準面が、燃料電池スタックの積層方向と直交するものであり、これにより、第2基準面の幾何形状として、積層方向と直行する平面を利用できるようになり、第2基準面内の物理量を容易に設定することができる。
第6の発明は、特に、第1の発明における第2基準面には、第2既定値に一定の電位値を設定するものであり、これにより、一定の既定電位を利用できるようになり、第2基準面が等電位面になる場合に適した境界条件を設定することができる。
第7の発明は、特に、第1の発明における第2基準面には、第2既定値に一定の電流密度値を設定するものであり、これにより、一定の既定電流密度を利用できるようになり、第2基準面の電流密度を簡便に設定することができる。
第8の発明は、特に、第1の発明における、電池性能には、電位、電流密度、圧力、温度、濃度の物理量を含むものであり、これにより、実測では検知不可能又は困難な燃料電池スタック内部の物理量を計算できるようになり、転極対策や発電バランスの最適化などの燃料電池スタックの設計に有益な情報を提供することができる。
第9の発明は、電解質膜及び電極を有する燃料電池セルが複数の積層された燃料電池スタックの電池性能を計算する燃料電池スタックのシミュレーション装置であって、複数の燃料電池セルのうちの第1電解質膜を有する第1セル及び第2電解質膜を有する第2セルが隣接して位置し、第1電解質膜内に位置する任意の面を第1基準面とし、第1基準面の電位又は電流密度である第1既定値を設定する第1設定器と、第2電解質膜内に位置する任意の面を第2基準面とし、第2基準面の電位又は電流密度である第2既定値を設定する第2設定器と、第1既定値及び第2既定値を用いて、第1基準面及び第2基準面の間の電池性能を計算する第1算出器と、を備えた燃料電池スタックのシミュレーション装置である。
これにより、電解質膜内の第1基準面と第2基準面に電位又は電流密度を設定することで、燃料電池スタックを構成するセルの平均的な電池性能の算出が可能になり、単セルの計算規模で燃料電池スタックの電池性能を算出することが可能となる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における燃料電池スタックのシミュレーション方法における境界の設定方法の概念図である。図2は、本発明の実施の形態1の燃料電池スタックのシミュレーション方法のフローチャートである。
図1に示すように、実施の形態1の燃料電池スタック5は、第1端部セル1、中段に配置された第1セル2、中段に配置された第2セル3、第2端部セル4、アノード側の集電板6及びカソード側の集電板7、第1基準面8、第2基準面9から構成されている。
第1算出ステップは、燃料電池スタック5の中段に配置された第1セル2に対して、電解質膜内に位置する第1基準面8に対して一定の電位を設定する。第1基準面8に一定の値を設定できる理由は、燃料電池スタック内のあるセルのセパレータ端面内で50ミリボルト程度の電位差が生じているような場合であっても、そのセルの電解質膜中心の積層面の電位分布はほぼフラットになるという発見的事実に基づくものである。
さらに第1セル2に隣接する燃料電池スタック5の中段に配置された第2セル3に対して、電解質膜内に位置する第2基準面9に対して一定の電位を設定する。第2基準面9に一定の値を設定できる理由は、燃料電池スタック内のあるセルのセパレータ端面内で50ミリボルト程度の電位差が生じているような場合であっても、そのセルの電解質膜中心の積層面の電位分布はほぼフラットになるという発見的事実に基づくものである。
次に第1算出ステップでは、電位の境界条件を第1基準面8と第2基準面9に設定した上で、第1基準面8と第2基準面9に挟まれた領域の電池性能算出をシミュレーションで行う。ここで言及する電池性能の算出とは、電位、電流、圧力、温度、濃度を含む電池の内部物理量を算出することを示すものとする。
第1算出ステップで最も注意しなければならないことは、第1基準面8と第2基準面9が電解質膜内に位置することから、電位の境界条件は電子の電位ではなく、水素イオンの電位で設定することである。
本実施の形態のフローは、図2に示すように、S001でスタートし、S002で第1基準面8に一定の電位を設定し、S003で第2基準面9に一定の電位を設定し、S004で第1基準面8と第2基準面9に挟まれた領域の電池性能算出を行う。
ここで算出した第1基準面8と第2基準面9に挟まれた領域の電池性能は、燃料電池スタックの中段に配置される電解質膜間の電池性能であり、燃料電池スタックを構成する一組のセルの電池性能とは異なるものである。
しかしながら、電解質膜中心の積層面の電位分布が、ほぼフラットになることを考えれば、端部セルを除けば、電解質膜間の電位差を燃料電池スタックの中段に配置される代表セルの電池性能と定義することが妥当であることが説明できる。
また、燃料電池スタックの中段に配置される代表セルの電池性能は、隣接するセルの電池性能と似通った特性を持つことが推測されることから、本実施の形態により得られた電池性能を基に、一組のセルの電池性能も容易に推測することが可能である。
例えば、中央部に配置されるセパレータに切断面を設け、片側の計算領域を平行に移動させて電解質膜が接するような解析領域を新たに構成することで、当該セルの電池性能を求めることができる。
さらに、電解質膜間で計算を行う本実施の形態の計算量は、メッシュ数では単セルの場合と正確に等価である上、解くべき物理方程式系も同一であることから、単セルの計算量とほぼ等価であることも説明できる。
以上、本実施の形態により、燃料電池スタックの中段に配置され、隣接セルと周期的な境界で繋がる中段のセル、つまりは燃料電池スタックの代表セルの電池性能が、単セルの場合の計算規模と計算時間が、ほぼ同一でありながら、算出することが可能となる。
(実施の形態2)
図1は、本発明の実施の形態2における燃料電池スタックのシミュレーション方法における境界の設定方法の概念図である。図3は、本発明の実施の形態2の燃料電池スタックのシミュレーション方法のフローチャートである。
第1算出ステップは、燃料電池スタック5の中段に配置された第1セル2に対して、電
解質膜内に位置する第1基準面8に対して一定の電流密度を仮定し設定する。
さらに第1セル2に隣接する燃料電池スタック5の中段に配置された第2セル3に対して、電解質膜内に位置する第2基準面9に対して一定の電位を設定する。第2基準面9に一定の値を設定できる理由は、燃料電池スタック内のあるセルのセパレータ端面内で50ミリボルト程度の電位差が生じているような場合であっても、そのセルの電解質膜中心の積層面の電位分布はほぼフラットになるという発見的事実に基づくものである。
次に第1算出ステップでは、電位の境界条件を第1基準面8と第2基準面9に設定した上で、第1基準面8と第2基準面9に挟まれた領域の電池性能算出をシミュレーションで行う。ここで言及する電池性能の算出とは、電位、電流、圧力、温度、濃度を含む電池の内部物理量を算出することを示すものとする。
第1算出ステップで最も注意しなければならないことは、第1基準面8と第2基準面9が電解質膜内に位置することから、電位または電流密度の境界条件は、電子の電位ではなく、水素イオンの電位または電位勾配で設定することである。
本実施の形態のフローは、図3に示すように、S101でスタートし、S102で第1基準面8に一定の電流密度を設定し、S103で第2基準面9に一定の電位を設定し、S104で第1基準面8と第2基準面9に挟まれた領域の電池性能算出を行う。
ここで算出した第1基準面8と第2基準面9に挟まれた領域の電池性能は、半セル分ずらした燃料電池スタックの中段に配置される電解質膜間の電池性能であり、燃料電池スタックを構成する一組のセルの電池性能とは異なるものである。
しなしながら、電解質膜中心の積層面の電位分布が、ほぼフラットになることを考えれば、端部セルを除けば、電解質膜間の電位差を燃料電池スタックの中段に配置される代表セルの電池性能と定義することが妥当であることが説明できる。
また、燃料電池スタックの中段に配置される代表セルの電池性能は、隣接するセルの電池性能と似通った特性を持つことが推測されることから、本実施の形態により得られた電池性能を基に、一組のセルの電池性能も容易に推測することが可能である。
例えば、中央部に配置されるセパレータに切断面を設け、片側の計算領域を平行に移動させて電解質膜が接するような解析領域を新たに構成することで、当該セルの電池性能を求めることができる。
さらに、電解質膜間で計算を行う本実施の形態の計算量は、メッシュ数では単セルの場合と正確に等価である上、解くべき物理方程式系も同一であることから、単セルの計算量とほぼ等価であることも説明できる。
以上、本実施の形態により、燃料電池スタックの中段に配置され、隣接セルと周期的な境界で繋がる中段のセル、つまりは燃料電池スタックの代表セルの電池性能が、単セルの場合の計算規模と計算時間がほぼ同一でありながら、算出することが可能となる。
(実施の形態3)
図1は、本発明の実施の形態3における燃料電池スタックのシミュレーション方法における境界の設定方法の概念図である。図4は、本発明の実施の形態3の燃料電池スタックのシミュレーション方法のフローチャートである。
第1算出ステップは、燃料電池スタック5の中段に配置された第1セル2に対して、電解質膜内に位置する第1基準面8に対して一定の電位を設定する。第1基準面8に一定の値を設定できる理由は、燃料電池スタック内のあるセルのセパレータ端面内で50ミリボルト程度の電位差が生じているような場合であっても、そのセルの電解質膜中心の積層面の電位分布はほぼフラットになるという発見的事実に基づくものである。
さらに第1セル2に隣接する燃料電池スタック5の中段に配置された第2セル3に対して、電解質膜内に位置する第2基準面9に対して一定の電流密度を仮定し設定する。
次に第1算出ステップでは、電位の境界条件を第1基準面8と第2基準面9に設定した上で、第1基準面8と第2基準面9に挟まれた領域の電池性能算出をシミュレーションで行う。ここで言及する電池性能の算出とは、電位、電流、圧力、温度、濃度を含む電池の内部物理量を算出することを示すものとする。
第1算出ステップで最も注意しなければならないことは、第1基準面8と第2基準面9が電解質膜内に位置することから、電位または電流密度の境界条件は電子の電位でなく、水素イオンの電位または電位勾配で設定することである。
本実施の形態のフローは、図4に示すように、S201でスタートし、S202で第1基準面8に一定の電位を設定し、S203で第2基準面9に一定の電位を設定し、S204で第1基準面8と第2基準面9に挟まれた領域の電池性能算出を行う。
ここで算出した第1基準面8と第2基準面9に挟まれた領域の電池性能は、半セル分ずらした燃料電池スタックの中段に配置される電解質膜間の電池性能であり、燃料電池スタックを構成する一組のセルの電池性能とは異なるものである。
しかしながら、電解質膜中心の積層面の電位分布が、ほぼフラットになることを考えれば、端部セルを除けば、電解質膜間の電位差を燃料電池スタックの中段に配置される代表セルの電池性能と定義することが妥当であることが説明できる。
また、燃料電池スタックの中段に配置される代表セルの電池性能は、隣接するセルの電池性能と似通った特性を持つことが推測されることから、本実施の形態により得られた電池性能を基に、一組のセルの電池性能も容易に推測することが可能である。
例えば、中央部に配置されるセパレータに切断面を設け、片側の計算領域を平行に移動させて電解質膜が接するような解析領域を新たに構成することで、当該セルの電池性能を求めることができる。
さらに、電解質膜間で計算を行う本実施の形態の計算量は、メッシュ数では単セルの場合と正確に等価である上、解くべき物理方程式系も同一であることから、単セルの計算量とほぼ等価であることも説明できる。
以上、本実施の形態により、燃料電池スタックの中段に配置され、隣接セルと周期的な境界で繋がる中段のセル、つまりは燃料電池スタックの代表セルの電池性能が、単セルの場合の計算規模と計算時間がほぼ同一でありながら、算出することが可能となる。
以上のように、本発明にかかる燃料電池スタックのシミュレーション方法及びシミュレーション装置は、電解質膜内の第1基準面と第2基準面に電位又は電流密度を設定することで、燃料電池スタックの中段に配置され、隣接セルと周期的な境界で繋がる代表セルの
境界条件を設定できるようになり、単セルの場合の計算規模と計算時間がほぼ同一でありながら、燃料電池スタックの代表セルの電池性能の算出が可能となるので、燃料電池スタック開発の、コスト削減、開発期間の削減を図ることが可能となる。
1 端部セル
2 第1セル
3 第2セル
4 端部セル
5 燃料電池スタック
6 アノード側の集電板
7 カソード側の集電板
8 第1基準面
9 第2基準面

Claims (9)

  1. 電解質膜及び電極を有する燃料電池セルが複数の積層された燃料電池スタックの電池性能を計算する燃料電池スタックのシミュレーション方法であって、
    前記複数の燃料電池セルのうちの第1電解質膜を有する第1セル及び第2電解質膜を有する第2セルが隣接して位置し、
    前記第1電解質膜内に位置する任意の面を第1基準面とし、前記第1基準面の電位又は電流密度である第1既定値を設定する第1設定ステップと、
    前記第2電解質膜内に位置する任意の面を第2基準面とし、前記第2基準面の電位又は電流密度である第2既定値を設定する第2設定ステップと、
    前記第1既定値及び前記第2既定値を用いて、前記第1基準面及び前記第2基準面の間の電池性能を計算する第1算出ステップと、
    を備えた、
    燃料電池スタックのシミュレーション方法。
  2. 前記第1基準面は、前記燃料電池スタックの積層方向と直交する、請求項1に記載の燃料電池スタックのシミュレーション方法。
  3. 前記第1基準面には、第1既定値に一定の電位値を設定する、請求項1に記載の燃料電池スタックのシミュレーション方法。
  4. 前記第1基準面には、第1既定値に一定の電流密度値を設定する、請求項1に記載の燃料電池スタックのシミュレーション方法。
  5. 前記第2基準面は、前記燃料電池スタックの積層方向と直交する、請求項1に記載の燃料電池スタックのシミュレーション方法。
  6. 前記第2基準面には、第2既定値に一定の電位値を設定する、請求項1に記載の燃料電池スタックのシミュレーション方法。
  7. 前記第2基準面には、第2既定値に一定の電流密度値を設定する、請求項1に記載の燃料電池スタックのシミュレーション方法。
  8. 前記電池性能には、電位、電流密度、圧力、温度、濃度の物理量を含む請求項1に記載の燃料電池スタックのシミュレーション方法。
  9. 電解質膜及び電極を有する燃料電池セルが複数の積層された燃料電池スタックの電池性能を計算する燃料電池スタックのシミュレーション装置であって、
    前記複数の燃料電池セルのうちの第1電解質膜を有する第1セル及び第2電解質膜を有する第2セルが隣接して位置し、
    前記第1電解質膜内に位置する任意の面を第1基準面とし、前記第1基準面の電位又は電流密度である第1既定値を設定する第1設定器と、
    前記第2電解質膜内に位置する任意の面を第2基準面とし、前記第2基準面の電位又は電流密度である第2既定値を設定する第2設定器と、
    前記第1既定値及び前記第2既定値を用いて、前記第1基準面及び前記第2基準面の間の電池性能を計算する第1算出器と、
    を備えた、
    燃料電池スタックのシミュレーション装置。
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