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JP6474998B2 - 転倒抑制工法および橋脚 - Google Patents
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Description

本発明は、地盤に直接設けられた既設橋脚を転倒しにくくする転倒抑制工法および転倒しにくい橋脚に関する。
従来、基礎が、“直接基礎”である既設橋脚、あるいは“杭と基礎とが接続されていない構成の杭基礎”である既設橋脚が知られている。このような既設橋脚は、地盤(木杭等によって補強された地盤も含む。)に直接設けられているため、地震等によって転倒してしまうことがある。
このような既設橋脚を転倒しにくくする転倒抑制工法としては、例えば、地盤と橋脚とをグラウンドアンカーで一体化させる工法(例えば特許文献1参照)や、地盤と橋脚との接触面積を増加させる工法などが考えられる。
特開平9−209373公報
しかしながら、地盤と橋脚とをグラウンドアンカーで一体化させる工法の場合、アンカーが大きく、橋脚のグラウンドアンカー定着部の補強が必要となるため、費用が嵩んでしまう。
地盤と橋脚との接触面積を増加させる工法の場合、橋脚が河川や海に設置されている際には、接触面積を増加させる部材を設置するために遮水しなければならず、遮水のための大掛かりな設備が必要となるため、費用が嵩む、工期が長くなる等の問題が生じる。また、漏水が発生して、安全に施工できない場合もある。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、地盤に直接設けられた既設橋脚を転倒しにくくする転倒抑制工法であって、安価で安全な施工が可能であり、かつ、工期の短縮化が可能な転倒抑制工法を提供することを目的とするものである。
また、本発明の他の目的は、転倒しにくい橋脚を提供することである。
前記課題を解決するために、本発明の転倒抑制工法は、
地盤に直接設けられた既設橋脚を転倒しにくくする転倒抑制工法であって、
前記地盤の揺れが発生した際、切断位置から上側の上側部分と当該切断位置から下側の下側部分とが相対的にスライドして当該上側部分と当該下側部分との位置関係にずれが生じた場合に、当該位置関係を元に戻す復元力を生じさせる切断面が形成されるように、前記既設橋脚を切断するように構成されている。
したがって、既設橋脚を切断するだけなので、安価で安全な施工が可能となり、かつ、工期の短縮化が可能となる。
また、上側部分と下側部分とが相対的にスライドして当該上側部分と当該下側部分との位置関係にずれが生じても、復元力が発生して自然と元の位置関係に戻ることができる。
好ましくは、
前記上側部分と前記下側部分との間に、スライド部材を設置するように構成することが可能である。
このように構成することによって、上側部分と下側部分とが相対的にスライドしやすくなるため、転倒を効果的に抑制することが可能となる。
本発明の橋脚は、
地盤に直接設けられた橋脚であって、
上下に分離されており、
分離境界にスライド構造を有し、
前記分離境界でスライドして上下の位置関係にずれが生じた場合に、当該位置関係を元に戻す復元力を生じるように構成されている。
したがって、地震発生時に、傾斜するメカニズムよりもスライドするメカニズムを支配的とすることが可能となるため、転倒しにくい橋脚を提供することができる。
また、分離境界でスライドして上下の位置関係にずれが生じても、復元力が発生して自然と元の位置関係に戻ることができる。
本発明によれば、安価で安全な施工が可能であり、かつ、工期の短縮化が可能な転倒抑制工法を提供することができる。
また、転倒しにくい橋脚を提供することができる。
既設橋脚の構成の一例を示す図である。 第1実施形態の転倒抑制工法の一例、第1実施形態の橋脚(耐転倒性橋脚)の構成の一例を示す図である。 スライド構造の例を示す図である。 第1実施形態の転倒抑制工法の手順の一例を示す図である。 第2実施形態の転倒抑制工法の一例、第2実施形態の橋脚(耐転倒性橋脚)の構成の一例を示す図である。 第2実施形態の転倒抑制工法の他の一例、第2実施形態の橋脚(耐転倒性橋脚)の構成の他の一例を示す図である。
図面を参照しつつ、本発明にかかる転倒抑制工法および橋脚の実施形態について説明する。なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
[第1実施形態]
まず、既設橋脚10について説明する。
図1は、既設橋脚10の構成の一例を示す図である。
既設橋脚10は、無筋コンクリート製の鉄道用橋脚であり、図1に示すように、四角柱状をなし、その上端部に軌道を敷設可能な床版1が橋桁2を介して架設されている。
既設橋脚10は、地盤(木杭等によって補強された地盤も含む。)に直接設けられている。すなわち、既設橋脚10の基礎は、“直接基礎”、あるいは“杭と基礎とが接続されていない構成の杭基礎”である。そのため、既設橋脚10は、地震時に、地震の慣性力によって傾斜、場合によっては転倒してしまうことがある。そこで、本実施形態では、既設橋脚10を、当該既設橋脚10よりも転倒しにくい耐転倒性橋脚20に変えるため、例えば図2および図3(a)に示すように、切断面が鉛直方向に対して直交するように既設橋脚10を切断し、切断位置から上側の上側部分21と当該切断位置から下側の下側部分22とが相対的にスライド可能となるよう構成することとする。このように構成することによって、地震発生時に、傾斜するメカニズムよりもスライドするメカニズムを支配的とすることが可能となるため、転倒しにくくなる。
耐転倒性橋脚20は、相対的にスライド可能な上側部分21と下側部分22とに分離されている。仮に、上側部分21と下側部分22との間の摩擦力が無視できるほど小さい場合、地盤に設置されている下側部分22には地震の慣性力が作用するが、上側部分21には地震の慣性力も下側部分22からの力も作用しないため、上側部分21は、地震が発生しても、揺れたり傾斜したりせず、地震発生前の状態を維持することができる。地震の慣性力が大きいほど下側部分22を傾斜させようとするモーメント(下側部分22の転倒支点まわりの力のモーメント)が大きくなるため、下側部分22は傾斜しやすくなる。一方で、下側部分22には、上側部分21から当該モーメントを打ち消す方向の力が作用する。よって、下側部分22を傾斜させようとするモーメントが、上側部分21からの力によって打ち消すことのできる大きさであれば、下側部分22は傾斜せず地盤とともに横揺れして、上側部分21に対して相対的にスライドする。よって、下側部分22を傾斜させようとするモーメントの大きさや、下側部分22を傾斜させようとするモーメントを打ち消す方向の力の大きさなどにもよるが、地震発生時に、傾斜するメカニズムよりもスライドするメカニズムが支配的となる。
なお、既設橋脚10を切断する位置は、既設橋脚10のサイズ、既設橋脚10の設置場所の形状、既設橋脚10の設置場所において要求される耐震性能等に応じて適宜設定可能であるが、下側部分22を傾斜させようとするモーメントが小さくなる、下側部分22を傾斜させようとするモーメントを打ち消す方向の力が大きくなる等の観点から、既設橋脚10を切断する位置は、既設橋脚10の重心位置よりも下側であることが好ましい。
構造物を傾斜させようとするモーメントは、当該構造物の重心と転倒支点との間の距離に比例する。すなわち、地震の慣性力として同じ大きさの力が重心に作用した場合、重心と転倒支点との間の距離が短い構造物ほど、当該構造物を傾斜させようとするモーメントが小さくなる。下側部分22の重心位置が低いほど、下側部分22の重心と転倒支点との間の距離は短くなるため、下側部分22の重心位置は低い方が好ましい。
また、上側部分21の重量が大きいほど、下側部分22を傾斜させようとするモーメントを打ち消す方向の力が大きくなるため、上側部分21の重量は大きい方が好ましい。
また、上側部分21と下側部分22とが相対的にスライドしやすいほど(上側部分21と下側部分22との間の摩擦力が小さいほど)、転倒しにくくなるため好ましい。
上側部分21と下側部分22とが相対的にスライドしにくいほど、上側部分21は、摩擦力の大きさだけ慣性力として作用し、下側部分22の動きに合わせて揺れたり傾斜したりしやすくなる。よって、上側部分21が地震発生前の状態を維持しにくくなるため、下側部分22を傾斜させようとするモーメントを打ち消す方向の力が小さくなる。さらに、上側部分21が受ける慣性力の大きさだけ、下側部分22に反力として作用し、下側部分22または橋脚全体を傾斜させようとするモーメントが大きくなる。
一方、上側部分21と下側部分22とが相対的にスライドしやすいほど、上側部分21の状態が下側部分22の状態に影響されず、上側部分21が地震発生前の状態を維持しやすくなるため、下側部分22を傾斜させようとするモーメントを打ち消す方向の力が大きくなり、より転倒しにくくなる。よって、例えば図3(a)に示すように切断面をそのまま用いてもよいが、よりスライドしやすくするために、上側部分21と下側部分22との隙間に潤滑油を注入する等して切断面を潤滑剤でコーティングしたり、上側部分21と下側部分22との間にスライド部材を設置したりすることが好ましい。
スライド部材としては、特に制限はないが、例えば図3(b)に示すようにフリーボールベアリング23を用いたり、例えば図3(c)に示すように切断面よりも表面の摩擦係数が小さい板24を重ねて用いたりすることができる。板24としては、例えば、フッ素樹脂等の公知の材料からなる板や、フッ素コーティング処理等の公知の表面処理が施された板などを用いることができる。
すなわち、耐転倒性橋脚20のスライド構造は、上側部分21および下側部分22における互いに対向する面(切断面)によって構成されたもの(図3(a)参照)であってもよいし、上側部分21および下側部分22における互いに対向する面(切断面)と、これらの面をコーティングする潤滑剤と、によって構成されたものであってもよいし、上側部分21および下側部分22における互いに対向する面(切断面)のうち何れか一方と、上側部分21と下側部分22との間に設置されたスライド部材と、によって構成されたもの(図3(b)参照)であってもよいし、上側部分21と下側部分22との間に設置されたスライド部材によって構成されたもの(図3(c)参照)であってもよい。
なお、何れのスライド構造を採用するかは、切断面の状態、既設橋脚10のサイズ、既設橋脚10の設置場所の形状、既設橋脚10の設置場所において要求される耐震性能等に応じて適宜設定可能である。
次に、地盤に直接設けられた既設橋脚10を転倒しにくくする転倒抑制工法、すなわち既設橋脚10を耐転倒性橋脚20に変える転倒抑制工法の手順について説明する。以下では、上側部分21と下側部分22との間にスライド部材としてフリーボールベアリング23を設ける場合を例に説明する。
図4は、上側部分21と下側部分22との間にスライド部材としてフリーボールベアリング23を設ける場合の転倒抑制工法の手順の一例を示す図である。
まず、図4(a),(b)に示すように、既設橋脚10に、上側部分21となる部分を支持する支持部材Sを、あと施工アンカー等(図示省略)を用いて固定する。支持部材Sは、要求される支持性能を有する部材であれば、その材料や構造などに特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
次いで、図4(b)に示すように、ワイヤーソー等の切断機を用いて既設橋脚10を切断する。切断機を用いて既設橋脚10を切断すると、上側部分21と下側部分22との間に当該切断機の刃の厚み(例えば、切断機がワイヤーソーの場合はワイヤーの直径)分程度の切断幅が形成されるが、例えば、上側部分21と下側部分22との間に当該切断幅よりも厚いスライド部材を設置する場合、上側部分21と下側部分22とを当該切断幅よりも大きな間隔で離間させる必要があるため、図4(b)に示すように、切断位置は2つになる。一方、切断面をそのまま用いる場合(図3(a)参照)や、上側部分21と下側部分22との隙間に潤滑油を注入する場合や、当該切断幅以下の厚さのスライド部材を設置する場合などは、上側部分21と下側部分22とを当該切断幅よりも大きな間隔で離間させる必要がないため、切断位置は1つでよい。
次いで、図4(c)に示すように、上側部分21と下側部分22との間から、既設橋脚10を形成する形成体(本実施形態の場合、無筋コンクリート)を撤去する。
そして、図4(d)に示すように、上側部分21と下側部分22との間にフリーボールベアリング23を設置して、支持部材Sを取り外す。このようにして、既設橋脚10を耐転倒性橋脚20に変えることができる。
なお、既設橋脚10を切断する途中で、当該切断により生じた隙間にフラットジャッキ等の公知の支持機を設置して、スライド部材を設置した後等に当該支持機を取り外すことも可能である。また、既設橋脚10を切断する途中で、当該切断により生じた隙間にフリーボールベアリング23や板24などを設置し、それをそのままスライド部材として用いることも可能である。これらの場合、既設橋脚10を切断する前に、支持部材Sを設置しなくてもよい。
以上説明した第1実施形態の転倒抑制工法によれば、地盤に直接設けられた既設橋脚10を転倒しにくくする転倒抑制工法であって、地盤の揺れが発生した際、切断位置から上側の上側部分21と当該切断位置から下側の下側部分22とが相対的にスライドするように、既設橋脚10を切断するように構成されている。
したがって、既設橋脚10を切断するだけなので、安価で安全な施工が可能となり、かつ、工期の短縮化が可能となる。
具体的には、既設橋脚10を切断するだけなので、施工時の補強が不要あるいは小規模な補強で足りる。よって、地盤と橋脚とをグラウンドアンカーで一体化させる工法等の従来の転倒抑制工法と比較して、安価な施工が可能となる。
また、既設橋脚10を切断するだけなので、既設橋脚10が河川や海に設置されている場合であっても、切断位置を水面上にすれば、水面上で作業できる。よって、遮水のための大掛かりな設備が不要であり、また、漏水に対する安全性の考慮も不要であるので、地盤と橋脚との接触面積を増加させる工法等の従来の転倒抑制工法と比較して、安価で安全な施工が可能となり、かつ、工期の短縮が可能となる。
さらに、地盤と橋脚との接触面積を増加させる工法であって、橋脚が鉄道用橋脚の場合、線路付近の狭隘な空間では、施工が煩雑になる、接触面積を増加させる部材を設置する箇所を確保できない等の問題が生じるが、既設橋脚10を切断するだけなので、線路(軌道)に影響されない施工が可能となる。
また、第1実施形態の転倒抑制工法によれば、鉛直方向に対して直交する切断面が形成されるように、既設橋脚10を切断するように構成することが可能である。
このように構成することによって、既設橋脚10を水平に切断すればよく、切断作業が簡単であるため、より安価でより安全な施工が可能となり、かつ、工期のさらなる短縮化が可能となる。
また、第1実施形態の転倒抑制工法によれば、上側部分21と下側部分22との間に、スライド部材(フリーボールベアリング23、切断面よりも表面の摩擦係数が小さい板24等)を設置するように構成することが可能である。
このように構成することによって、上側部分21と下側部分22とが相対的にスライドしやすくなるため、転倒を効果的に抑制することが可能となる。
また、第1実施形態の橋脚によれば、地盤に直接設けられた橋脚(耐転倒性橋脚20)であって、上下に分離されており、分離境界にスライド構造を有するように構成されている。
したがって、地震発生時に、傾斜するメカニズムよりもスライドするメカニズムを支配的とすることが可能となるため、転倒しにくい橋脚(耐転倒性橋脚20)を提供することができる。
[第2実施形態]
第1実施形態では、既設橋脚10を、当該既設橋脚10よりも転倒しにくい耐転倒性橋脚20に変えるために、切断面が鉛直方向に対して直交するように既設橋脚10を切断し、切断位置から上側の上側部分21と当該切断位置から下側の下側部分22とが相対的にスライド可能となるよう構成したが、第2実施形態では、既設橋脚10を、当該既設橋脚10よりも転倒しにくい耐転倒性橋脚30に変えるために、切断面が既設橋脚10の中心軸線Cに向かって傾斜する傾斜面からなるように既設橋脚10を切断し、切断位置から上側の上側部分31と当該切断位置から下側の下側部分32とが相対的にスライド可能となるよう構成する。このように構成した場合も、地震発生時に、傾斜するメカニズムよりもスライドするメカニズムを支配的とすることが可能となるため、転倒しにくくなる。さらに、このように構成することによって、上側部分31と下側部分32とが相対的にスライドして上側部分31と下側部分32との位置関係にずれが生じても、重力による復元力が発生して自然と元の位置関係に戻ることができる。
既設橋脚10の中心軸線Cに向かって傾斜する傾斜面からなる切断面としては、例えば図5(a)に示すように、中心軸線Cに向かって傾斜する2つの傾斜面からなるもの、例えば図6(a)に示すように、中心軸線Cに向かって傾斜する4つの傾斜面からなるもの等が挙げられる。
図5(a)に示す耐転倒性橋脚30は、橋桁2の延在方向と直交する水平方向に傾斜する2つの傾斜面からなる切断面を有している。よって、当該耐転倒性橋脚30においては、地震が発生して上側部分31と下側部分32とが相対的にスライドし、上側部分31と下側部分32との位置関係が橋桁2の延在方向と直交する水平方向にずれたとしても、図5(b)に示すように、上側部分31に作用する重力で位置関係を元に戻す復元力が発生するので、自然と元の位置関係に戻ることができる。
なお、図5(a)に示す例では、傾斜面の傾斜方向を、橋桁2の延在方向と直交する水平方向としたが、これに限定されるものではなく、傾斜面の傾斜方向は、例えば、橋桁2の延在方向であってもよい。
また、中心軸線Cに向かって傾斜する2つの傾斜面からなる切断面を複数有するように構成することも可能である。この場合、図5(c)に示すように、一の切断面を構成する傾斜面の傾斜方向と、他の切断面を構成する傾斜面の傾斜方向と、が異なるように構成すると、複数方向のずれに対応できるため好ましい。ここで、図5(c)に示す耐転倒性橋脚30において、上側の切断面と下側の切断面とに挟まれた部分は、上側の切断面から見れば下側部分32であるし、下側の切断面から見れば上側部分31であるので、図5(c)では「31,32」と符号を付している。
図6(a)に示す耐転倒性橋脚30は、橋桁2の延在方向と直交する水平方向に傾斜する2つの傾斜面と橋桁2の延在方向に傾斜する2つの傾斜面とからなる錐状の切断面を有している。よって、当該耐転倒性橋脚30においては、上側部分31と下側部分32との位置関係がずれたとしても、ずれた方向にかかわらず重力による復元力が発生して、自然と元の位置関係に戻ることができる。
なお、図6(a)に示す耐転倒性橋脚30の切断面は、例えば図6(b)に示すように、湾曲していてもよい。
また、図5(a)に示す耐転倒性橋脚30の切断面も、例えば図6(c)に示すように、湾曲していてもよい。図5(c)に示す耐転倒性橋脚30の切断面においても同様である。
また、切断面の形状として何れの形状を採用するかは、既設橋脚10の設置場所において想定されている地盤が揺れる方向や既設橋脚10の設置場所において要求される耐震性能などに応じて適宜設定可能である。
また、切断面の状態、既設橋脚10のサイズ、既設橋脚10の設置場所の形状、既設橋脚10の設置場所において要求される耐震性能等に応じて、上側部分31と下側部分32との間にスライド部材を設置することも可能である。
以上説明した第2実施形態の転倒抑制工法によれば、上側部分31と下側部分32とが相対的にスライドして当該上側部分31と当該下側部分32との位置関係にずれが生じた場合に、当該位置関係を元に戻す復元力を生じさせるような切断面が形成されるように、既設橋脚10を切断するように構成することが可能である。
このように構成することによって、上側部分31と下側部分32とが相対的にスライドして当該上側部分31と当該下側部分32との位置関係にずれが生じても、重力による復元力が発生して自然と元の位置関係に戻ることができる。
なお、本実施形態において、耐転倒性橋脚30は、中心軸線Cに向かって下り傾斜する傾斜面からなる切断面を有しているが、これに限定されるものではなく、例えば、中心軸線Cに向かって上り傾斜する傾斜面からなる切断面を有していてもよい。
また、本実施形態において、耐転倒性橋脚30は、中心軸線Cに向かって傾斜する複数の傾斜面からなる切断面を有しているが、これに限定されるものではなく、中心軸線Cからずれた位置にある線に向かって傾斜する複数の傾斜面からなる切断面を有していてもよい。
また、本実施形態においては、1本の線を設定し、当該線に向かって傾斜する傾斜面からなる切断面が形成されるように既設橋脚10を切断したが、これに限定されるものではなく、複数本の線を設定してもよい。すなわち、本実施形態では、既設橋脚10を一側面から見て略V字状に切断したが、これに限定されるものではなく、例えば略W字状に切断してもよい。
また、第2実施形態の橋脚によれば、地盤に直接設けられた橋脚(耐転倒性橋脚30)であって、上下に分離されており、分離境界にスライド構造を有するように構成されている。
したがって、第1実施形態の耐転倒性橋脚20と同様、地震発生時に、傾斜するメカニズムよりもスライドするメカニズムを支配的とすることが可能となるため、転倒しにくい橋脚(耐転倒性橋脚30)を提供することができる。
上記の実施形態において、添付図面に図示されている構成等については、あくまで一例であり、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
既設橋脚10は、無筋コンクリート製に限定されるものではなく、例えば、鉄筋コンクリート製、レンガ製、石製などであってもよい。
また、既設橋脚10は、鉄道用橋脚に限定されるものではなく、その他の橋脚であってもよい。
また、既設橋脚10の形状に制限はなく、多角柱状であってもよいし、円柱状であってもよいし、裾広がり形状(多角錐台や円錐台など)であってもよい。また、既設橋脚10の側面には、凹凸があってもよい。また、既設橋脚10は、鉛直方向に立設されたものでも、鉛直方向に対して斜めに立設されたものでもよい。
10 既設橋脚
20,30 耐転倒性橋脚(橋脚)
21,31 上側部分
22,32 下側部分
23 フリーボールベアリング(スライド部材)
24 切断面よりも表面の摩擦係数が小さい板(スライド部材)

Claims (3)

  1. 地盤に直接設けられた既設橋脚を転倒しにくくする転倒抑制工法であって、
    前記地盤の揺れが発生した際、切断位置から上側の上側部分と当該切断位置から下側の下側部分とが相対的にスライドして当該上側部分と当該下側部分との位置関係にずれが生じた場合に、当該位置関係を元に戻す復元力を生じさせる切断面が形成されるように、前記既設橋脚を切断することを特徴とする転倒抑制工法。
  2. 前記上側部分と前記下側部分との間に、スライド部材を設置することを特徴とする請求項1に記載の転倒抑制工法。
  3. 地盤に直接設けられた橋脚であって、
    上下に分離されており、
    分離境界にスライド構造を有し、
    前記分離境界でスライドして上下の位置関係にずれが生じた場合に、当該位置関係を元に戻す復元力を生じることを特徴とする橋脚。
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