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JP6476131B2 - ガラス板およびガラス板の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、ガラス板およびガラス板の製造方法に関する。
自動車、鉄道車両等をはじめ、輸送基材に用いられるガラス板は、意匠的な観点などから曲面を有するように成形されることが多い。このようなガラス板は、平板状のガラス板を加熱し、ガラス板の剛性を小さくした上で、曲面状に成形する。しかしながら、ガラス板を曲面状に成形するのは容易ではなく、急激な力を加えると、皺が発生したり、割れが生じるおそれがあった。そこで、例えば、特許文献1には、枠状に形成された外型と、その内側に配置された内型を有する成形装置が開示されている。この成形装置によれば、加熱されたガラス板を、まず内型で支持し、一回目のプレス成形を行う。その後、内型から外型へガラス板を移し替えた後、二回目のプレス成形を行う。これにより、ガラス板に皺やクラックが生じるのを防止している。
特許第4052014号公報
ところで、上記のような曲面状のガラス板を成形する際には、ごく狭い範囲でガラス板の温度をコントロールすることが求められていた。特に、近年は、ガラス板の軽量化の要請から厚みの小さいガラス板の需要が増大しているが、ガラス板の厚みが小さくなるほど、温度のコントロールが難しいと言われている。その理由は、ガラス板の厚みが小さくなるほど、中央部と周縁部とで温度差が発生するからである。より詳細に説明すると、例えば、厚みが小さくなれば特に周縁部の冷却速度が早くなるため、中央部が所望の温度範囲に入るように温度設定すれば、周縁部は当該温度範囲から外れ、温度が低下する。このように、周縁部の温度が低下すると、中央部よりも周縁部が先に固まってしまい、成形時に周縁部と中央部の境界あたりで皺が生じるおそれがある。その結果、透視歪の原因となり、場合によっては、成形途中にガラスの破損が発生する可能性もある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ガラス板を曲面状に成形する際に、皺や割れの発生を防止することができる、ガラス板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るガラス板の製造方法は、加熱したガラス板を成形装置に搬入する搬入ステップと、前記ガラス板の上面または下面の少なくとも一方の少なくとも周縁部の一部を開放した状態で、当該ガラス板を成形する第1成形ステップと、前記ガラス板において、少なくとも前記第1成形ステップで成形された領域をいずれの成形型からも離間する離間ステップと、前記ガラス板の少なくとも周縁部の一部を含む領域を成形する第2成形ステップと、前記第2成形ステップを経た前記ガラス板を、前記成形装置から搬出する搬出ステップと、を備えている。
この構成によれば、第1成形ステップにおいて、周縁部を開放した状態でガラス板の成形を行っている。そのため、成形により周縁部に作用する力が緩和され、例えば、周縁部の温度が低下していたとしても中央部との間に歪みや割れが生じるのを防止することができる。さらに、第1成形ステップ後、ガラス板において第1成形ステップで成形された領域を、いずれの成形型から離間させた後、ガラス板を第2成形ステップにより成形するため、第1成形ステップの完了後、第2成形ステップに至るまでガラス板は外部から応力を受けない。そのため、第1成形ステップにおいてガラス板に生じた残留応力は解放される。その結果、その後の第2成形ステップにおいてガラス板に皺が生じたり、割れが発生するのを防止することができる。なお、離間ステップでは、ガラス板はいずれの成形型からも離間するが、外部から応力を受けない程度にわずかに接触することは妨げない。
また、本発明に係る製造方法は、特に、厚みの薄いガラス板に対して有利である。このようなガラス板は熱容量が小さく、冷却速度が速いが、加熱温度を高くすると、歪み(例えば、ロール歪み、プレス型の表面の凹凸により発生する転写による歪み、冷却後の残留応力による歪み)が発生しやすい。そのため、加熱温度を高くすることは難しい。これに対して、本発明は、上記のように周縁部の温度が低下していたとしても歪みや割れが生じるのを防止できるため、加熱温度を高くすることなく、厚みの薄いガラス板を成形することができる。
上記ガラス板の製造方法において、前記第1成形ステップでは、前記周縁部全体を開放した状態で成形し、前記第2成形ステップでは、前記周縁部全体を成形することができる。
上記ガラス板の製造方法において、前記成形装置は種々の構成にすることができるが、例えば、成形装置が、第1の成形型及び第2の形成型を有し、前記第1成形ステップでは、前記ガラス板を前記第1の成形型により成形し、前記離間ステップでは、前記ガラス板と前記第1の成形型との当接を解除した後、当該ガラス板を第2の成形型に配置し、前記第2成形ステップでは、前記ガラス板を、前記第2の成形型により成形することができる。
あるいは、成形装置を次のように構成することができる。すなわち、前記成形装置が、上下動可能な上型及び下型を有し、前記第1成形ステップでは、前記ガラス板を前記上型及び下型により成形し、前記離間ステップでは、前記下型を下方に移動させることで、前記ガラス板において少なくとも前記第1成形ステップで成形された領域が、前記上型及び下型のいずれからも離間し、前記第2成形ステップでは、少なくとも前記ガラス板の周縁部を含む領域を、前記上型と、下方に移動した前記下型とで成形することができる。
上記ガラス板の製造方法においては、前記ガラス板の厚みを3.0mm以下とすることができる。
上記ガラス板の製造方法においては、前記成形装置に前記ガラス板を搬入するのに先立って、加熱炉により、前記ガラスを加熱するステップ、をさらに備えることができる。このほか、加熱炉内に成形装置を配置することもできる。
上記ガラス板の製造方法においては、前記第1の成形型は、第1の下型を含み、前記第2の成形型は、第2の下型を含み、前記第1成形ステップでは、前記ガラス板を前記第1の下型で支持した状態で、成形を行い、前記当接解除ステップでは、前記ガラス板と前記第1の下型との当接を解除した後、前記ガラス板を前記第2の下型に配置し、前記第2成形ステップでは、前記ガラス板を前記第2の下型で支持した状態で、成形を行うことができる。
ここで、第1及び第2の下型は種々の構成にすることができるが、例えば、次のようにすることができる。すなわち、前記第2の下型を、枠状に形成し、前記第1の下型を、前記第2の下型の枠内を通過するように上下動可能に構成する。そして、前記第1成形ステップでは、前記第1の下型が前記第2の下型よりも上方に配置された状態で、前記ガラス板を成形し、前記当接解除ステップでは、前記第1の下型を下方に移動させることで、前記ガラス板と前記第1の下型との当接を解除した後、前記ガラス板を前記第2の下型へ落下させ、前記第2成形ステップでは、前記第1の下型が前記第2の下型よりも下方に配置された状態で、前記ガラス板を成形することができる。
この構成によれば、第1の下型を下降させ、ガラス板を落下させて第2の下型に配置するため、ガラス板の第1の下型から第2の下型への移行を短時間で行うことができる。そのため、ガラス板の成形時間を短くすることができる。その結果、ガラス板が大きく冷却される前にガラス板の成形が可能となり、厚みの薄いガラス板の成形には有利である。
上記ガラス板の製造方法においては、前記第1の成形型及び第2の成形型は、上下動可能な共通の上型を含み、前記第1成形ステップでは、前記ガラス板を前記上型と前記第1の下型とで成形し、前記第2成形ステップでは、前記ガラス板を前記上型と前記第2の下型とで成形することができる。
この構成によれば、前記第1の成形型及び第2の成形型において、上下動可能な共通の上型を含んでおり、第1成形ステップで、第1の下型と上型との間で第1成形を行った後、上型をさらに下降させて第2の下型との間で第2成形を行うことができる。このように、共通の上型を用い、これを2段階で下降させることで、2回の成形を行うことができるため、成形時間を短縮することができる。
上記ガラス板の製造方法においては、前記第1成形ステップでは、前記ガラス板の周縁部の温度を600〜700℃で成形することができる。
また、本発明に係るガラス板の製造方法は、加熱したガラス板を成形装置に搬入する搬入ステップと、前記ガラス板の上面または下面の少なくとも一方の周縁部を開放した状態で、当該ガラス板を第1の成形型により成形する第1成形ステップと、前記ガラス板と前記第1の成形型との当接を解除した後、当該ガラス板を第2の成形型に配置する当接解除ステップと、少なくとも前記ガラスの周縁部を含む領域を、前記第2の成形型により成形する第2成形ステップと、前記第2成形ステップを経たガラス板を、前記成形装置から搬出する搬出ステップと、を備えている。
この構成によれば、第1成形において、周縁部を開放した状態でガラス板の成形を行っている。そのため、成形により周縁部に作用する力が緩和され、例えば、周縁部の温度が低下していたとしても中央部との間に割れが生じるのを防止することができる。さらに、第1成形後、ガラス板と第1の成形型との当接を解除した後、ガラス板を第2の成形型に配置するため、第1の成形型から第2の成形型に配置されるまでの間、ガラス板は外部から応力を受けない。そのため、第1成形においてガラス板に生じた残留応力は解放される。その結果、その後の第2成形においてガラス板に皺が生じたり、割れが発生するのを防止することができる。
本発明に係るガラス板は、曲面状に成形され、1.0〜3.0mmの厚みを有し、当該ガラス板のほぼ全周に亘って、周縁から中央部に向かって変化する平面残留応力分布を有し、前記平面残留応力は、前記周縁において圧縮応力であり、前記中央部に向かうにつれて、引張応力に変化し、前記引張応力を示す前記平面残留応力分布においては、複数の極大点を有している。
上記ガラス板において、前記引張応力の複数の極大点は、前記周縁に近いほど、大きい引張応力を示すものとすることができる。
本発明によれば、ガラス板を曲面状に成形する際に、皺や割れの発生を防止することができる。
本発明に係るガラス板の製造方法の一実施形態を示す製造ラインの平面図である。 図1の側面図である。 ガラス板の厚みの測定位置を示す概略平面図である。 成形装置の平面図である。 図3の正面図である。 図3の側面図である。 成形装置の動作を示す正面図である。 成形装置の動作を示す正面図である。 成形装置の動作を示す正面図である。 成形装置の動作を示す正面図である。 成形装置の動作を示す正面図である。 成形装置の動作を示す正面図である。 成形装置の動作を示す正面図である。 ガラス板の平面残留応力の分布を示すグラフである。 他の成形装置の動作を示す正面図である。 他の成形装置の動作を示す正面図である。 他の成形装置の動作を示す正面図である。 他の成形装置の動作を示す正面図である。 他の成形装置の動作を示す正面図である。 他の成形装置の動作を示す正面図である。
以下、本発明に係るガラス板の製造方法の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係るガラス板の製造ラインの一部を示す平面図、図2は図1の側面図である。なお、以下では、説明の便宜上、製造ラインの上流側を「後」、下流側を「前」または「先」と称することがある。また、製造ラインの進行方向と垂直な方向を「左右方向」、「側方」と称することがある。
<1.製造ラインの概要>
図1及び図2に示すように、この製造ラインには、上流から下流へ、加熱炉1、成形装置2、及び冷却装置4がこの順で配置されている。そして、加熱炉1から成形装置2、冷却装置4及びその下流側に亘ってはローラコンベア3が配置されており、加工対象となるガラス板Gは、このローラコンベア3により搬送される。なお、ここで用いるガラス板Gの成形後の厚みは、軽量化の観点から、例えば、0.7〜6.0mmであることが好ましく、1.0〜3.0mmであることがさらに好ましい。さらに、1.0〜2.3mmが好ましい。なお、本実施例では成形装置2と冷却装置4は別に配置されているが、公知のように成形装置2に冷却機能を持たせてもよい。
ここで、ガラス板Gが湾曲している場合の厚みの測定方法の一例について説明する。まず、測定位置については、図3に示すように、ガラス板Gの左右方向の中央を上下方向に延びる中央線S上の上下2箇所である。測定機器は、特には限定されないが、例えば、株式会社テクロック製のSM−112のようなシックネスゲージを用いることができる。測定時には、平らな面にガラス板の湾曲面が載るように配置し、上記シックネスゲージでガラス板Gの端部を挟持して測定する。なお、ガラス板Gが平坦な場合でも、湾曲している場合と同様に測定することができる。
加熱炉1は、種々の構成が可能であるが、例えば、電気加熱炉とすることができる。この電気加熱炉は、上流側及び下流側の端部が開放する角筒状の炉本体を備えており、その内部に上流から下流へ向かってローラコンベア3が配置されている。炉本体の内壁面の上面、下面、及び一対の側面には、それぞれヒータ(図示省略)が配置されており、加熱炉1を通過するガラス板Gを成形可能な温度、例えば、600〜700℃に加熱する。
次に、成形装置2について説明する。図4は成形装置の平面図、図5は図4の正面図、図6は図4の側面図である。図4〜図6に示すように、この成形装置は、1つの上型20と、2つの下型、つまり第1下型21及び第2下型22とを備えており、ガラス板Gに対して第1成形及び第2成形という2段階の成形を行う。上型20はガラス板Gの上面全体を覆うような下に凸の曲面形状を有し、上下動可能に構成されている。また、上型21の表面は熱が発生するようにヒータ(図示省略)が内蔵されており、ガラス板Gを加熱可能となっている。一方、第2下型22はガラス板Gの周縁部に対応するような枠状に形成されており、その上面は上型20と対応するように曲面形状を有している。この構成により、ガラス板Gは、上型20と第2下型22との間でプレス成形され、最終的な曲面形状に成形される。
一方、第1下型21は、左右方向に間隔をおいて配置され、前後方向に延びる一対の支持部材211によって構成されており、これら支持部材211は、第2下型22の枠内を通過するように上下動可能に支持されている。一対の支持部材211は、ガラス板Gの両側部を下側から支持するように配置されており、その上面は、図6に示すように、前部及び後部よりも中央部分が下方に突出するように湾曲している。そして、この湾曲は第2下型22によって形成されるガラス板Gの下面の湾曲よりも、概ね曲率半径が大きくなっている。
また、両支持部材211の間には、ローラコンベア31が配置されており、このローラコンベア31は、第1下型21の枠内を通過するように、上下動可能となっている。
さらに、成形装置2の下流側には上述した冷却装置4が配置されている。冷却装置4は、ローラコンベア3を挟んで上下方向に配置される、上部装置41及び下部装置42を備えている。そして、上部装置41及び下部装置42は、それぞれ、ローラコンベア3に向けて開口する複数のノズル40が形成されたノズルボックス411、421と、各ノズルボックス411,421にそれぞれ空気を供給する送風機412、422とを備えている。
<2.ガラスの成形処理>
次に、上記のように構成された製造ラインによるガラスの成形加工処理について、図6〜図12を参照しつつ説明する。まず、加熱炉1を通過して加熱された平板状のガラス板Gは、成形装置2に搬入される。このとき、成形装置2においては、図5及び図6に示すように、第2下型22の枠内から第1下型21が上昇し、第1下型21が第2下型22よりも上方に位置している。このとき、第1下型21は、例えば、型の端部で0〜20mmだけ第2下型22よりも上方に配置することができる。これは、第1下型21の位置が高すぎると、後述するようにガラス板Gの落下の衝撃が大きくなり、低すぎると、第1下型21とガラス板Gとを完全に離間することができない可能性があることによる。また、ローラコンベア31が第1下型21よりも上方に位置しており、加熱炉1から成形装置2へ延びるローラコンベア3とほぼ同じ高さに配置されている。さらに、上型20は上昇しており、ローラコンベア31との間にガラス板Gが搬入できる隙間が形成されている。
この状態で、成形装置2のローラコンベア31上にガラス板Gが搬入されると、図7に示すように、ローラコンベア31が下降し、ガラス板Gは第1下型21に支持された状態となる。すなわち、ガラス板Gはローラコンベア31から第1下型21へ載せ替えられる。続いて、図8に示すように、上型20が下降し、ガラス板Gが上型20及び第1下型21によってプレス加工される。すなわち、第1成形が行われる。このとき、第1下型21は第2下型22の枠よりも内側にあるため、ガラス板Gの周縁部は、ガラス板Gの下面において開放された状態となっている。一方、ガラス板Gの上面全体は、上型20によってプレスされるが、第1下型21の支持部材211の湾曲は、第2下型22よりも曲率半径が大きいため、緩い傾斜の曲面が成形される。
こうして、上型20と第1下型21との間でガラス板Gが所定時間プレスされると、図9に示すように、第1下型21は下降する。このときの第1下型21の下降速度は、ガラス板Gの自由落下の速度よりも速く設定されている。そのため、ガラス板Gは第1下型21の下降に追従できず、第1下型21が下降すると、ガラス板Gと第1下型21との当接状態が解除される。その後、図10及び図11に示すように、ガラス板Gは自重により上型20から離間し、第2下型22へ落下する。これに続いて、図12に示すように、第1成形を行った位置から上型20が下降し、ガラス板Gは上型20と第2下型22との間で所定時間プレス加工される。すなわち、第2成形が行われる。
こうして第2成形が完了すると、図13に示すように、ローラコンベア31が上昇し、ガラス板Gが支持される。その後、ガラス板Gは、ローラコンベア31により成形装置2から搬出され、冷却装置4へ搬送される。そして、冷却装置4においては、送風機412,422がそれぞれ駆動し、上部装置41及び下部装置42からガラス板Gに向けて空気が吹き付けられ、冷却される。こうして、ガラス板Gの成形が完了する。
<3.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、第1成形において、ガラス板Gの周縁部を開放した状態でガラス板Gの成形を行っている。そのため、成形により周縁部に作用する力が緩和され、例えば、周縁部の温度が低下していたとしても中央部との間に割れが生じるのを防止することができる。そして、上型20と第1下型21とでガラス板Gに対して第1成形が行われた後、第1下型21が下降することにより、ガラス板Gと第1下型21との当接状態が解除される。このとき、第1下型21の下降に遅れてガラス板Gが落下することで、ガラス板Gと上型20との当接状態も解除され、その後、ガラス板Gは第2下型22に支持された状態で、上型20と第2下型22により第2成形が行われる。
このように、ガラス板Gは上型20と第1下型21によるプレス加工後、図9に示すように、上型20及び第1下型21のいずれにも当接しない状態となった後、上型20と第2下型22とによりプレス加工される。したがって、当接が解除されることにより、ガラス板Gは、いずれからも応力を受けない状態となり、第1成形により受けた残留応力が解放される。その結果、その後の第2成形においてガラス板Gの割れが防止される。
また、上記のように成形されたガラス板は、例えば、次のような特性を示すことがある。図14は、ガラス板の平面残留応力分布を示すグラフであり、横軸がガラス板の周縁から中央部に向かう方向の距離、縦軸が応力を示している。但し、応力は、圧縮を負、引張を正として示している。図14において、グラフ1は、第1下型21を用いず、上型20と第2下型22とを用いて成形を行った従来のガラス板の平面残留応力分布を示している。一方、グラフ2は、上記成形装置を用いて成形されたガラス板の平面残留応力分布を示している。
グラフ1によれば、ガラス板の平面残留応力は、ガラス板の周縁において圧縮を示し、周縁から中央部に向かうにつれて引っ張りに転じるように変化する。そして、圧縮から引張に転じたところで、引張応力の極大点1を有し、そこから引張応力が低下し、0に近づいていく。
これに対して、グラフ2に示すように、上記成形装置により成型されたガラス板は、2つの下型21、22を用いて成形していることに起因して、第1下型21が接した領域の近傍、及び第2下型22が接した領域の近傍において、引張応力の2つの極大点(極大点2−1(C)、2−2(E))が存在する。このような平面残留応力分布は、第1下型21による成形の残留応力分布と、第2下型22による成形の残留応力分布とが、重ね合わされることにより形成されると考えられる。そのため、グラフ2における第2下型22に対応する引張応力(極大点2−1)は、グラフ1における第2下型22に対応する引張応力(極大点1)よりも小さくなる。したがって、ガラス板の強度は、グラフ2で示すガラス板、つまり上記実施形態に係る成形装置で成形したガラス板の方が、グラフ1で示すガラス板よりも強いといえる。
なお、グラフ2で示すようなガラス板は、例えば、グラフ2における座標が、A(0,−20),B(10,0),C(20,8),D(30,3),E(40,6),F(100,0)となるような特性を有する。
上記のガラス板においては、複数の下型を用いて成形することで、引張応力の極大点が複数生じ、その結果、単一の下型を用いるよりも、極大点の引張応力が低下している。したがって、3以上の下型を用いる場合、極大点の数は、上記のように2より多くなる場合もある。また、グラフ2において、極大点の引張応力は、上記の例では、極大点2−1が、極大点2−2よりも大きくなっているが、必ずしもこのようでなくてもよく、例えば、周縁側よりも中央部側の極大点の引張応力が大きくてもよい。また、上記のような特性は、必ずしもガラス板の全周で示されていなくてもよく、全周の概ね90%以上で、上記のような特性が示されればよい。
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。そして、以下に示す複数の変形例は適宜組合わせることが可能である。
<4.1>
上記実施形態では、第1下型21を前後方向に延びる一対の支持部材211により構成したが、ガラス板Gの上面または下面の少なくとも一方の周縁部を開放するように構成されていれば、第1下型21の形状は特には限定されない。例えば、左右方向に延びる一対の支持部材を、上流側及び下流側に配置することもできる。また、第2下型22と同様に、枠状に形成してもよい。この枠はガラス板Gの周縁部を開放するように、ガラス板Gの輪郭よりも小さく形成される。また、第1下型21の上面の形状は、湾曲の度合いが第2下型22と同じでなければよく、第2下型22よりも緩い湾曲形状であればよい。また、上記実施形態では、第1下型21が、第2下型22の枠内を上下動するように構成されているが、枠の外側を上下動するようにしてもよい。
<4.2>
上記実施形態では、第1成形において、ガラス板の周縁部全体を開放し、第2成形においては周縁部全体を成形型により成形しているが、これに限定されるものではない。例えば、第1成形においてガラス板の周縁部の一部のみを開放し、第2成形においては第1成形で開放した一部の周縁部を成形するようにすることもできる。
<4.3>
上記実施形態では、第1成形において、上型20と第1下型21とでガラス板Gをプレス成形しているが、上型20を用いず、ガラス板Gを第1下型21に配置することで成形することもできる。すなわち、ガラス板Gの自重で、ガラス板Gが第1下型21に沿うように成形することもできる。そして、第2成形において、上型20と第2下型22とで成形を行う。
<4.4>
上記実施形態では、加熱炉1を成形装置2の上流側に配置しているが、加熱炉1の中に成形装置を配置することもできる。
<4.5>
上記実施形態では、成形装置2の下流側に冷却装置4を設けているが、冷却装置を設ける位置は特には限定されず、例えば、成形装置2の内部に設け、プレス成形の直後に、ガラス板Gを冷却することもできる。
<4.6>
上記実施形態では、第1成形と第2成形において、上型は共通するものの、異なる下型を用いて成形を行っているが、図15〜図20に示すように、共通の下型を使用することもできる。例えば、図15に示す成形装置500は、上型51と下型52とを備えている。上型51の下面、つまり成形面はガラス板Gの上面全体を覆うような下に凸の曲面形状を有している。また、上型51は下型52に対して近接離間するように、上下動可能に支持されている。一方、下型52は3つのパーツ、すなわち、中央部分を構成する中央部材521と、この中央部材521の両側にそれぞれ配置される一対の側部材522とで構成され、これら3つのパーツが組み合わされることで枠状に形成されている。中央部材521は、下に凸の凹状に形成されており、成形面となる上面が、上型51の中央部分と対応する形状を有している。そして、この中央部材521は、上下動可能に支持されている。一方、各側部材522は、中央部材521の側部において上下方向に揺動自在に連結されており、その上面である成形面は、上型51の成形面における側部と対応する形状を有している。この例では、各側部材522の上面は、上型51の側部に対応するように、上方に向かって傾斜している。
そして、下型52は、2つのポジションを採りうるように構成されている。すなわち、図15に示すように、ガラス板Gの中央部分をプレス成形する第1のポジションと、図17に示すように、ガラス板G全体をプレス成形し最終の形状に成形する第2のポジションとを採りうる。第1のポジションでは、各側部材522の上面が上型51の側部に接触しないように、側部材522の揺動位置が決められている。一方、第2のポジションでは、中央部材521が下側に移動するとともに、これに伴って側部材522が上方に向かって揺動し、側部材522の上面が上型51の側部と対向するように配置される。このとき、下型52の上面は、中央部材521と一対の側部材522が変移することにより、上型51の下面と対応する形状となる。
次に、この成形装置500によるガラス板Gの成形について説明する。まず、ガラス板Gが加熱炉1から成形装置500に搬入されるのに先立って、下型52が第1のポジションに移行する。この状態で下型52の上にガラス板Gが搬入されると、図16に示すように、上型51が下降し、プレス成形を行う(第1成形)。このとき、下型52の側部材522は、上型51の側部に接触しないように配置されているため、ガラス板Gは、上型51の中央部分と下型52の中央部材521との間でプレス成形される。すなわち、ガラス板Gの周縁部は、ガラス板Gの上面及び下面において開放された状態となり、中央部分のみが成形される。
続いて、図17に示すように、下型52の中央部材521が、0〜20mm程度下降する。このとき、中央部材521の下降に伴って側部材522が上方へ揺動し、下型52は第2のポジションに移行する。このときの中央部材521の下降速度は、ガラス板Gの自由落下の速度よりも速く設定されている。そのため、ガラス板Gは中央部材521の下降に追従できず、中央部材521が下降すると、ガラス板Gと中央部材521との当接状態が解除される。その後、図18及び図19に示すように、ガラス板Gは自重により上型51から離間し、下型52へ落下する。続いて、図20に示すように、第1成形を行った位置から上型51が下降し、ガラス板Gは上型51と下型52との間で所定時間プレス加工される(第2成形)。こうして第2成形が完了すると、ガラス板Gは、上述したような方法で冷却され、ガラス板Gの成形が完了する。以上のような成形装置であっても、上述した実施形態と同様に、第1成形と第2成形との間で、ガラス板Gが応力を受けないので、ガラス板Gの皺や割れを防止することができる。
なお、この例では、下型52は、中央部材521とその両側に配置された側部材522で構成されているが、中央部材521の前後に揺動可能な側部材522を設けることもできる。また、この成形装置によっても、図14で示す特性を有するガラス板を成形することができる。
上記図14で示したようなガラス板は、上述した成形装置以外でも、成形することが可能である。すなわち、ガラス板の周縁から中央部に向かう方向の複数箇所において、それぞれ成形型により成形を行った場合には、図14のような、引っ張りの残留応力分布において複数の極大点を有するようなガラス板を形成することができる。
さらに、このようなガラス板は、次のような成形装置によっても成形することもできる。まず、ガラス板をリング状(枠状)の成形型に載置する。この成形型は搬送台上に配置されており、成形型にガラス板が載置された状態で、搬送台が公知の加熱炉、徐冷炉内を通過する。加熱炉には、搬送台の経路の上方及び下方の少なくとも一方にヒータが設けられており、このヒータによって、ガラス板が加熱される。
成形型について、より詳細に説明すると、この成形型は、ガラス板の外形と概ね一致するような枠状の型本体を備えている。この型本体は、枠状に形成されているため、内側には上下方向に貫通する内部空間を有している。そして、この型本体の上面に平板状のガラス板の周縁部が載置される。
そして、成形型の下側にヒータを配置してガラス板を加熱する場合には、ガラス板へ付与される熱を制御するため、型本体の内周縁に、熱を遮蔽するための遮蔽板を配置することができる。これにより、例えば、ガラス板の周縁付近に付与される熱が抑制され、ガラス板の周縁付近が過度に屈曲するのを防止することができる。
また、成形型の上側にヒータを配置する場合には、例えば、特開2005―343747号公報に記載のような遮熱板をガラス板の上方に配置し、上方からの熱を制御することができる。より詳細に説明すると、ガラス板の上方の空間を,水平方向において複数の区画に分割し、この区画の境界に沿うように、複数の遮熱板を上方から吊り下げる。これにより、ヒータからの熱は、区画内においては上方からのみガラス板へ付与され、例えば、区画外から区画内へ斜めから熱が入射するのを防止することができる。これにより、面方向において、ガラス板に付与される熱を制御することができる。なお、以上のような上側及び下側のヒータは、適宜組み合わせことができる。
こうして、ガラス板は、上記のような成形型に周縁部が支持された状態で、加熱炉を通過する。そして、加熱炉内で軟化点温度付近まで加熱されると、ガラス板は自重によって周縁部よりも内側が下方に湾曲し、曲面状に成形される。以上のような成形型であっても、ガラス板に付与される熱を制御したり、あるいは型本体においてガラス板を支持する位置、形状、数を適宜変更することで、図14のような特性を示すガラス板を成形することができる。
1 加熱炉
2 成形装置
20 上型
21 第1下型
22 第2下型
3 ローラコンベア
G ガラス板

Claims (11)

  1. 加熱したガラス板を成形装置に搬入する搬入ステップと、
    前記ガラス板の上面または下面の少なくとも一方の少なくとも周縁部の一部を開放した状態で、当該ガラス板を成形する第1成形ステップと、
    前記ガラス板において、少なくとも前記第1成形ステップで成形された領域をいずれの成形型からも離間する離間ステップと、
    前記ガラス板の少なくとも周縁部の一部を含む領域を成形する第2成形ステップと、
    前記第2成形ステップを経た前記ガラス板を、前記成形装置から搬出する搬出ステップと、
    を備え、
    前記成形装置は、第1の成形型及び第2の成形型を有し、
    前記第1成形ステップでは、前記ガラス板を前記第1の成形型により成形し、
    前記離間ステップでは、前記ガラス板と前記第1の成形型との当接を解除した後、当該ガラス板を第2の成形型に配置し、
    前記第2成形ステップでは、前記ガラス板を、前記第2の成形型により成形し、
    前記第1の成形型は、第1の下型を含み、
    前記第2の成形型は、第2の下型を含み、
    前記第1成形ステップでは、前記ガラス板を前記第1の下型で支持した状態で、成形を行い、
    前記離間ステップでは、前記ガラス板と前記第1の下型との当接を解除した後、前記ガラス板を前記第2の下型に配置し、
    前記第2成形ステップでは、前記ガラス板を前記第2の下型で支持した状態で、成形を行う、ガラス板の製造方法。
  2. 前記第1成形ステップでは、前記周縁部全体を開放した状態で成形し、
    前記第2成形ステップでは、前記周縁部全体を成形する、請求項1に記載のガラス板の製造方法。
  3. 前記ガラス板の厚みが3.0mm以下である、請求項1または2に記載のガラス板の製造方法。
  4. 前記成形装置に前記ガラス板を搬入するのに先立って、加熱炉により、前記ガラスを加熱するステップ、をさらに備えている、請求項1からのいずれかに記載のガラス板の製造方法。
  5. 前記第2の下型は、枠状に形成され、
    前記第1の下型は、前記第2の下型の枠内又は枠外を通過するように上下動可能に構成されており、
    前記第1成形ステップでは、前記第1の下型が前記第2の下型よりも上方に配置された状態で、前記ガラス板を成形し、
    前記離間ステップでは、前記第1の下型を下方に移動させることで、前記ガラス板と前記第1の下型との当接を解除した後、前記ガラス板を前記第2の下型へ落下させ、
    前記第2成形ステップでは、前記第1の下型が前記第2の下型よりも下方に配置された状態で、前記ガラス板を成形する、請求項1から4のいずれかに記載のガラス板の製造方法。
  6. 前記第1の成形型及び第2の成形型は、上下動可能な共通の上型を含み、
    前記第1成形ステップでは、前記ガラス板を前記上型と前記第1の下型とで成形し、
    前記第2成形ステップでは、前記ガラス板を前記上型と前記第2の下型とで成形する、請求項1から5のいずれかに記載のガラス板の製造方法。
  7. 前記第1成形ステップでは、前記ガラス板の周縁部の温度を600〜700℃で成形する、請求項1からのいずれかに記載のガラス板の製造方法。
  8. 加熱したガラス板を成形装置に搬入する搬入ステップと、
    前記ガラス板の上面または下面の少なくとも一方の少なくとも周縁部の一部を開放した状態で、当該ガラス板を成形する第1成形ステップと、
    前記ガラス板において、少なくとも前記第1成形ステップで成形された領域をいずれの成形型からも離間する離間ステップと、
    前記ガラス板の少なくとも周縁部の一部を含む領域を成形する第2成形ステップと、
    前記第2成形ステップを経た前記ガラス板を、前記成形装置から搬出する搬出ステップと、
    を備え、
    前記成形装置は、上下動可能な上型及び下型を有し、
    前記第1成形ステップでは、前記ガラス板を前記上型及び下型により成形し、
    前記離間ステップでは、前記下型を下方に移動させることで、前記ガラス板において少なくとも前記第1成形ステップで成形された領域が、前記上型及び下型のいずれからも離間し、
    前記第2成形ステップでは、少なくとも前記ガラス板の周縁部を含む領域を、前記上型と、下方に移動した前記下型とで成形する、ガラス板の製造方法。
  9. 前記第1成形ステップでは、前記周縁部全体を開放した状態で成形し、
    前記第2成形ステップでは、前記周縁部全体を成形する、請求項8に記載のガラス板の製造方法。
  10. ガラス板であって、
    曲面状に成形され、
    1.0〜3.0mmの厚みを有し、
    当該ガラス板のほぼ全周に亘って、周縁から中央部に向かって変化する平面残留応力分布を有し、
    前記平面残留応力は、前記周縁において圧縮応力であり、前記中央部に向かうにつれて、引張応力に変化し、
    前記引張応力を示す前記平面残留応力分布においては、複数の極大点を有しており、
    前記周縁部に最も近い引張応力の極大点よりも前記中央部側は、圧縮応力ではない、ガラス板。
  11. 前記引張応力の複数の極大点は、前記周縁に近いほど、大きい引張応力を示す、請求項10に記載のガラス板。
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