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JP6477400B2 - 焼鈍炉のストリップ温度推定装置およびストリップ温度推定方法 - Google Patents
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JP6477400B2 - 焼鈍炉のストリップ温度推定装置およびストリップ温度推定方法 - Google Patents

焼鈍炉のストリップ温度推定装置およびストリップ温度推定方法 Download PDF

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Description

この発明は、焼鈍炉のストリップ温度推定装置およびストリップ温度推定方法に関する。特に、焼鈍炉内において、熱電対、測温抵抗体、および輻射温度計などの温度センサ、および温度測定補助装置を使用せずに、金属鋼帯(以下、ストリップと称する)の温度を推定するストリップ温度推定装置およびストリップ温度推定方法に関する。
焼鈍炉は、図9に示すように、ストリップを加熱する加熱炉HF、温度を一定に保つ均熱炉SF、冷却するための冷却炉CFから構成される。焼鈍炉内を、所望の時間でストリップが通板されることで、ストリップの物性値や結晶組織等の調整を目的とした熱処理が行われる。このため、ストリップ温度の測定と、その結果に基づく加熱炉内温度のフィードバック制御が行われる。従来、ストリップ温度測定用のセンサとして、熱電対、測温抵抗体、または輻射温度計を炉内に設置し、ストリップに対してセンサを接触ないし非接触で温度を測定することが知られている。
接触式の温度測定方法として、熱電対、測温抵抗体をストリップに接触させて測定する方式が挙げられる。しかしながら、熱電対や測温抵抗体を接触してストリップ温度を測定する方法は、ストリップ表面に疵が付くこと、接触部が損傷を受け易く、耐久性に劣ること、接触のさせ方により測定誤差が生じることが問題となる。したがって、熱電対や測温抵抗体をストリップに接触させて温度を測定する方法は、一時的な温度確認といった用途に限定される。
熱電対や測温抵抗体を用いて、非接触でストリップ表面温度を測定するためには、温度センサを設置した近傍の雰囲気温度とストリップ表面の温度が等しい状態が必要となる。そこで、特開2009−145255号公報(特許文献1)では、ストリップからの輻射伝熱を反射するための反射部材を、ストリップに対向するように設置して、ストリップと反射部材の間に形成される均熱状態に近い空間の温度を測定することで、ストリップ表面温度に代替する方法が提案されている。
非接触で温度を測定する別の方法として、輻射温度計を用いた方法が挙げられる。しかしながら、輻射温度計を用いた方法では、測温対象であるストリップ以外の、炉壁などから発生する輻射による測定ノイズ(以下、背景ノイズと称する)や、ストリップ表面の酸化などの表面状態の変化に伴う輻射率の変化が、正確な温度測定の妨げとなる。
特に、昨今では、材料の物性値や結晶組織を、合金化や熱処理により高精度に制御することで、ハイテン、電磁鋼板といった高付加価値鋼板の需要が高まっている。しかしながら、合金化により実現される高付加価値鋼板は、合金組成により輻射率が様々に変動するために、輻射温度計によるストリップの温度測定をより困難にしている。
したがって、輻射温度計を用いた非接触温度測定には、背景ノイズ、表面状態の変化および合金組成の変化に伴う輻射率の変化の影響を除去することが必要となる。
例えば、特開2014−130074号公報(特許文献2)では、凹型のキャビティとキャビティ凹部中央に設置した輻射温度計において、キャビティ内壁を温度制御して輻射率を一定として、キャビティ内壁で多重反射させることで、実効輻射率を1にする温度測定方法が提案されている。さらに、キャビティ内壁の温度制御を、キャビティ開口部とストリップ間の距離のフィードバック制御により実現することで、ストリップの振動に伴いキャビティ内部に進入する背景ノイズの影響を低減することを可能としている。
また、特開2005−233790号公報(特許文献3)では、ストリップとロールの間の楔部において多重反射した輻射、ロールが発する輻射、およびストリップが発する輻射をそれぞれ異なる輻射温度計にて測定し、測定値から、ストリップ表面の輻射率を演算して、演算結果とストリップが発する輻射の測定値に基づき、ストリップ温度を算出する方法が提案されている。
特開2009−145255号公報 特開2014−130074号公報 特開2005−233790号公報
上述した非接触温度測定方法は、ある一ヶ所の温度を測定するために、複数の温度センサを使用するか、反射部材やキャビティなどの温度測定補助具を温度センサに加えて設置する必要がある。
また、輻射温度計を用いて測定する方法は、厳密にはストリップの表面温度を測定しているに過ぎず、ストリップ内部の温度を測定することが出来ない。
加えて、焼鈍炉内における、高精度な金属結晶組織制御のためには、温度に加えて、昇降温時の加熱、冷却速度も所望の値に制御することが求められる。すなわち、加熱炉から、均熱炉を経て、冷却炉に至るまでの、ストリップの温度勾配を測定することが求められるのであるが、このために、焼鈍炉内全体でストリップ温度を測定できるように、多数のストリップ温度計を配置する必要がある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、温度センサおよび温度測定用補助具を使用せずに、焼鈍炉内におけるストリップの各ストランドの平均温度を推定できる焼鈍炉のストリップ温度推定装置およびストリップ温度推定方法を提供することを目的とする。
上記目的の達成のため、本発明に係るストリップ温度推定装置は以下のように構成される。
本発明に係るストリップ温度推定装置は、複数のヘルパーロールに交互に架けられたストリップを搬送する焼鈍炉のストリップ温度推定装置である。焼鈍炉は、複数のヘルパーロールを個別に駆動するモータと、モータの回転速度に応じた信号を出力する速度センサとを備える。
ストリップ温度推定装置は、共振周波数測定手段と、ヤング率推定手段と、ストランド温度推定手段とを備える。共振周波数測定手段は、速度センサの出力信号に基づいて、モータが発生するトルクのうちストリップ張力に寄与する部分の共振周波数を測定する。ヤング率推定手段は、共振周波数に基づいて、複数のヘルパーロールのロール間に架けられたストリップの一部であるストランドにおけるヤング率を推定する。ストランド温度推定手段は、ヤング率推定手段に推定されたヤング率に基づいて、ストランドの平均温度を推定する。
1つの好ましい態様では、ストリップ温度推定装置は、ストリップの鋼材毎に、ヤング率とストリップ温度との関係を定めたパラメータテーブルを予め記憶する。加えて、ストランド温度推定手段は、ヤング率推定手段により推定されたヤング率に応じたストリップ温度をパラメータテーブルから取得することにより、ストランドの平均温度を推定する。
他の1つの好ましい態様では、焼鈍炉は、張力計と、炉外ロールと、制御装置を備える。張力計は、ストリップの張力に応じた信号を出力する。炉外ロールは、複数のヘルパーロールの最上流であって炉本体の入側外部に設けられる。制御装置は、張力計の出力信号に基づいて、ストランドの張力が予め定めた張力設定値に一致するように、炉外ロールを制御する。加えて、ストランド温度推定手段は、速度センサの出力信号と、炉本体の入側外部におけるストリップ温度と、張力設定値と、ヤング率推定手段により推定されたヤング率とに基づいて、ストランドの平均温度を推定する。
また、上記目的の達成のため、本発明に係るストリップ温度推定方法は以下のように構成される。
本発明に係るストリップ温度推定方法は、複数のヘルパーロールに交互に架けられたストリップを搬送する焼鈍炉のストリップ温度推定方法である。焼鈍炉は、複数のヘルパーロールを個別に駆動するモータと、モータの回転速度に応じた信号を出力する速度センサとを備える。
ストリップ温度推定方法は、共振周波数測定工程と、ヤング率推定工程と、ストランド温度推定工程とを備える。共振周波数測定工程は、速度センサの出力信号に基づいて、モータが発生するトルクのうちストリップ張力に寄与する部分の共振周波数を測定する。ヤング率推定工程は、共振周波数に基づいて、複数のヘルパーロールのロール間に架けられたストリップの一部であるストランドにおけるヤング率を推定する。ストランド温度推定工程は、ヤング率推定手段に推定されたヤング率に基づいて、ストランドの平均温度を推定する。
1つの好ましい態様では、ストリップ温度推定方法は、ストリップの鋼材毎に、ヤング率とストリップ温度との関係を定めたパラメータテーブルを予め記憶する工程を備える。加えて、ストランド温度推定工程は、ヤング率推定工程により推定されたヤング率に応じたストリップ温度をパラメータテーブルから取得することにより、ストランドの平均温度を推定する。
他の1つの好ましい態様では、焼鈍炉は、張力計と、炉外ロールと、制御装置を備える。張力計は、ストリップの張力に応じた信号を出力する。炉外ロールは、複数のヘルパーロールの最上流であって炉本体の入側外部に設けられる。制御装置は、張力計の出力信号に基づいて、ストランドの張力が予め定めた張力設定値に一致するように、炉外ロールを制御する。加えて、ストランド温度推定工程は、速度センサの出力信号と、炉本体の入側外部におけるストリップ温度と、張力設定値と、ヤング率推定工程により推定されたヤング率とに基づいて、ストランドの平均温度を推定する。
本発明によれば、温度センサおよび温度測定用補助具を使用せずに、ヘルパーロールを駆動するモータの回転速度に基づいて、焼鈍炉内におけるストリップの各ストランドの平均温度を推定できる。
本発明の実施の形態1に係る焼鈍炉の構成を説明するための図である。 焼鈍炉1に配置された任意のヘルパーロールの駆動装置の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係るストリップ温度推定装置10の構成を説明するためのブロック図である。 ストリップSTRPの温度上昇による共振周波数の変化について説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係るパラメータテーブルの一例を示す図である。 本発明の実施の形態1に係るストリップ温度推定装置10が実行する制御ルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係るストリップ温度推定装置10の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の実施の形態2に係るストリップ温度推定装置10が実行する制御ルーチンのフローチャートである。 焼鈍炉1の全体構成を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
実施の形態1
[実施の形態1のシステム構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る焼鈍炉の構成を説明するための図である。図1に示す焼鈍炉1は縦型焼鈍炉である。焼鈍炉1は複数のヘルパーロールを備える。ストリップSTRPは、図1の左方から炉本体2の内部に進入する。ストリップSTRPは、炉本体2の内部の上部および下部に、合計N+1台設置されたヘルパーロールに巻き掛けられた状態で、図中矢印VDの方向に搬送される。
炉本体2の入側から第i番目のヘルパーロールをヘルパーロールHR−iと称する。ヘルパーロールHR−iおよびヘルパーロールHR−(i+1)の間に張られたストリップSTRPの一部を、ストランドS−iと称する。また、焼鈍炉1は、炉本体2の入側外部に炉外ロール(最も上流に位置するヘルパーロールHR−0)を備える。ヘルパーロールHR−0とヘルパーロールHR−1との間に張られたストリップSTRPの一部を、ストランドS−0と称する。ストランドS−0の長さをストランド長Lと称する。ストランドS−0におけるストリップ温度Tstrp_0は、室温に等しいものとする。
図2は、焼鈍炉1に配置された任意のヘルパーロールの駆動装置の構成を説明するための図である。各ヘルパーロールの構成は同じであるため、ここでは、ヘルパーロールHR−iについて説明する。ヘルパーロールHR−iは、ギアG−iを介して、ヘルパーロール駆動用のモータM−iに接続する。モータ制御装置DR−iは、モータM−iを可変速駆動する。モータ制御装置DR−iは、モータの回転速度を検出する速度センサSS−i、モータM−iに印加される電流および電圧を測定する電流センサCS−iおよび電圧センサVS−iを有する。モータ制御装置DR−iは、速度センサSS−i、電流センサCS−iおよび電圧センサVS−iから出力されるフィードバック信号、Sfbk−i、Cfbk−iおよびVfbk−iと、速度基準Sref−iに基づいて、ストリップSTRPとヘルパーロールHR−iの相対速度差が零となるように、モータM−iを適切に制御することが可能である。なお、炉本体2内の各ストランドの長さは同じであり、ストランド長Lと称する。
炉本体2内のストリップSTRPの張力分布は、ライン中に配置された張力計3(テンションメータ)により、適切なフィードバック制御がなされ、所望の張力設定値Fiに制御されているものとする。例えば、張力計3は、炉本体2の入側又は出側に配置され、炉外ロール(ヘルパーロールHR−0)のモータ制御装置DR−0は、張力計3の出力信号に基づいてストリップSTRPの張力を制御する。
[実施の形態1におけるストリップ温度推定装置]
図3は、本発明の実施の形態1に係るストリップ温度推定装置10の構成を説明するためのブロック図である。ストリップ温度推定装置10は、炉本体2内を搬送されるストリップSTRPの各ストランドの平均温度を推定する。ストリップ温度推定装置10は、ヘルパーロール駆動用の各モータの回転速度を検出する各速度センサSSから出力される信号および固定パラメータに基づいて、各ストランドの平均温度を推定する。
ストリップ温度推定装置10は、例えばROM、RAM等を含むメモリ、各種情報を入出力する入出力インタフェース、各種情報とメモリに記憶されたプログラムとに基づいて各種演算処理を実行するプロセッサを備える。図3のストリップ温度推定装置10を示すブロック内には、ストリップ温度推定装置10が実行する種々の処理のうちの一部がブロックで表されている。メモリは、各ブロックに対応するプログラムを予め記憶し、プロセッサがプログラムを読み出し、実行することで、各ブロックの処理が実現される。
ストリップ温度推定装置10は、共振周波数測定手段11、ヤング率推定手段12、ストランド温度推定手段13の各処理を実行する。共振周波数測定手段11は、速度センサSSの出力信号に基づいて、ヘルパーロール駆動用のモータが発生するトルクのうちストリップ張力に寄与する部分の共振周波数を測定する処理である。ヤング率推定手段12は、共振周波数に基づいて、複数のヘルパーロールのロール間に架けられたストリップSTRPの一部であるストランドにおけるヤング率を推定する処理である。ストランド温度推定手段13は、ヤング率推定手段12に推定されたヤング率に基づいて、前記ストランドの平均温度を推定する処理である。
ストランドS−iにおいて、ストリップSTRPの進行方向には、ストリップSTRPの搬送に加えて、ストリップSTRPの弾性による伸縮振動が重畳された挙動が観測される。一方で、ストランドS−iの両端において、ヘルパーロールHR−iおよびヘルパーロールHR−(i+1)により速度を一定に保つには、該振動成分を相殺する必要がある。したがって、ヘルパーロールHR−iにて発生するモータトルクのストリップ張力付与成分TRQiには、ストランドS−iの伸縮振動を相殺するための振動が重畳される。このとき、ヘルパーロールのトルクに重畳される振動の共振周波数は、ストランドS−iにおけるストリップ伸縮振動の共振周波数に相当し、ストリップSTRPのヤング率および密度、ストランド長さに比例する形で、式(1)のように表現される。
Figure 0006477400
ここで、
ωhr_res_n_i:ストランドS−iのn次の固有振動数
ωstrp_res_n_i:ヘルパーロールHR−i発生トルクの張力付与成分に現れるn次の固有振動数
:ストランドS−iにおけるヤング率
L:ストランド長
ρ:ストリップSTRPの密度
n:自然数
固有振動数とは、物体が持っている一番振動しやすい振動数である。物体の固有振動数と同じ周波数を物体に与えると、振動が増幅され、強い振れが起きる。これを共振といい、その周波数を共振周波数という。ヘルパーロールの固有振動数は、加熱炉内または冷却炉内のストランドにおいて、温度上昇または下降とともに変化する。図4は、ストリップSTRPの温度上昇による共振周波数の変化について説明するための図である。加熱炉HF(図9)では、下流ほどストリップSTRPの温度は高くなる(Tstrp_1<Tstrp_2<Tstrp_3<Tstrp_4)。図4に示すように、周波数のピーク位置は、ストリップの温度が高い下流ほど低下する。共振周波数測定手段11は、速度センサの出力信号をフーリエ変換により周波数成分に分解し、ピーク位置が変化していく周波数を検索して、その周波数を共振周波数として取得する(図4)。
加熱炉HFや冷却炉CFのように、ストリップ温度の上昇または下降を目的とする炉では、図9に示すように、ストリップ温度が炉内にて漸増もしくは漸減する。そこで、ヤング率推定手段12は、ヘルパーロールHR−1からHR−Nのそれぞれに対して、式(2)を用いて、該ストランドにおけるヤング率の平均値を算出する。なお、式(2)のωhr_res_n_iには、共振周波数測定手段11により測定された各次数の共振周波数が代入される。
Figure 0006477400
ここで、
Y:測定する最大の固有振動数の次数
ストランドS−iにおけるストリップ温度は、式(2)により算出したヤング率に加えて、オフラインにて測定したヤング率と温度の関係を用いることで推定可能となる。具体的には、まず、ストリップ温度推定装置10は、ストリップの鋼材毎に、ヤング率とストリップ温度との関係を定めたパラメータテーブルを予め記憶する。そして、ストランド温度推定手段13は、ヤング率推定手段12により推定されたヤング率に応じたストリップ温度をパラメータテーブルから取得することにより、ストランドの平均温度を推定する。図5は、パラメータテーブルの一例を示す図である。図5に示すように、温度が高いほどヤング率は低くなる傾向がある。
(フローチャート)
図6は、上述の動作を実現するために、実施の形態1に係るストリップ温度推定装置10が実行する制御ルーチンのフローチャートである。本制御ルーチンは、所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS100において、共振周波数測定手段11は、速度センサの出力信号をフーリエ変換により周波数成分に分解し、ピーク位置が変化していく周波数を検索して、その周波数を共振周波数として取得する。
ステップS102において、ヤング率推定手段12は、式(2)を用いて各ストランドにおけるヤング率の平均値を算出する。なお、式(2)のωhr_res_n_iには、ステップS100において求めた各次数の共振周波数が代入される。
ステップS104において、ストランド温度推定手段13は、上述したパラメータテーブルから、各ストランドにおけるヤング率の平均値に応じたストリップ温度を取得することにより、各ストランドの平均温度を推定する。
以上説明したように、図6に示すルーチンによれば、速度センサの出力信号(ヘルパーロールの状態量)に基づいて、ストランドのヤング率の平均値を算出することができる。そして、オフラインで収集されたヤング率と温度の関係(パラメータテーブル)から、各ストランドの平均温度を推定することができる。すなわち、本発明の実施の形態1のシステムによれば、焼鈍炉1内に温度センサや温度測定補助装置を設置することなく、ストリップ搬送用のヘルパーロールを制御するための制御用出力から、ストリップの内部温度を各ストランドにおける平均温度として推定することができる。
実施の形態2
[実施の形態2のシステム構成]
次に、図7〜図8を参照して本発明の実施の形態2について説明する。本実施形態のシステムは図1、図2および図7に示す構成において、ストリップ温度推定装置10に後述する図8のルーチンを実施させることで実現することができる。
[実施の形態2におけるストリップ温度推定装置]
上述した実施の形態1におけるストリップ温度推定装置10は、オフラインで収集されたヤング率と温度の関係(パラメータテーブル)を用いて、ヤング率から各ストランドの温度を推定する。これに対し、実施の形態2におけるストリップ温度推定装置10では、後述する式(11)を用いて、オンラインで各ストランドの温度を推定することとする。
図7は、本発明の実施の形態2に係るストリップ温度推定装置10の構成を説明するためのブロック図である。ストリップ温度推定装置10は、炉本体2内を搬送されるストリップSTRPの各ストランドの平均温度を算出する。図7において、固定パラメータおよびストランド温度推定手段23以外の構成については、図3に示す構成と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。ストリップ温度推定装置10は、ヘルパーロール駆動用の各モータの回転速度を検出する各速度センサSSから出力される信号および固定パラメータに基づいて、各ストランドの平均温度を算出する。
ストランドS−iにおけるストリップSTRPは、応力により塑性変形をしないものとする。このとき、ストランドS−iの伸びlは、熱伸びと張力による伸びの和として、次式で表現される。
Figure 0006477400
ここで、
hel_i:ストランドS−iにおける熱伸び
lstf_i:ストランドS−iにおける張力による伸び
Figure 0006477400
ここで、
αhel:熱膨張率
L:ストランド長
strp_i:ストランドS−iにおけるストリップ温度
strp_i−1:ストランドS−(i−1)におけるストリップ温度
Figure 0006477400
ここで、
:ストランドS−iにおけるストリップ張力設定値
L:ストランド長
A:ストリップ断面積
:i番目のヘルパーロールにおけるロール周速
:ストランドS−iにおけるヤング率
ストランドS−iにおけるストリップの伸びは、周速vhr_iおよびvhr_i+1を用いて次式のように表現される。周速vhr_iおよびvhr_i+1は、ストランド両端のヘルパーロールHR−iおよびHR−(i+1)におけるヘルパーロール駆動用のモータに設置した速度センサにより測定したモータ回転角速度ωhrから算出できる。
Figure 0006477400
ここで、
Δt:測定時間
hr_i:i番目のヘルパーロールの周速度
Figure 0006477400
ここで、
hr_i:i番目のヘルパーロールのロール半径
hr_i:i番目のヘルパーロールおよび駆動用モータ間のギア比
ωhr_i:i番目のヘルパーロール駆動用モータの回転角速度
式(3)について、i=0からi=iまでの総和は、式(4)、式(5)、式(6)から次式のように表現される。
Figure 0006477400
Figure 0006477400
Figure 0006477400
式(3)の関係と、式(8)、式(9)、式(10)からi番目のストランドにおける平均温度は式(11)のように表現できる。
Figure 0006477400
式(11)に示す通り、i番目のストランドにおけるストリップ温度Tstrp_iは、既知である0番目のストリップ温度Tstrp_0と張力基準Fと、式(2)により算出したヤング率Eと、式(7)により算出されるヘルパーロール駆動モータの速度フィードバック量から求めたヘルパーロール周速度vおよびvに基づいて算出可能である。なお、Tstrp_1は、iに1を代入することで算出可能である。
(フローチャート)
図8は、上述の動作を実現するために、実施の形態2に係るストリップ温度推定装置10が実行する制御ルーチンのフローチャートである。このルーチンは、ステップS104の処理がステップS204に置き換えられている点を除き、図6に示すルーチンと同様である。以下、図8において、図6に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略する。本制御ルーチンは、所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS102の処理後、ステップS204において、ストランド温度推定手段23は、上述した式(11)を用いて、速度センサの出力信号と、炉本体の入側外部におけるストリップ温度(室温)と、張力設定値と、ステップS102において算出されたヤング率の平均値とに基づいて、ストランドの平均温度を算出する。
以上説明したように、図8に示すルーチンによれば、速度センサの出力信号(ヘルパーロールの状態量)に基づいて、ストランドのヤング率の平均値を算出することができる。そして、式(11)を用いて、オンラインで各ストランドの温度を算出することができる。すなわち、本発明の実施の形態1のシステムによれば、焼鈍炉1内に温度センサや温度測定補助装置を設置することなく、ストリップ搬送用のヘルパーロールを制御するための制御用出力から、ストリップの内部温度を各ストランドにおける平均温度として推定することができる。
1 焼鈍炉
2 炉本体
3 張力計
10 ストリップ温度推定装置
11 共振周波数測定手段
12 ヤング率推定手段
13 ストランド温度推定手段
STRP ストリップ
S−i i番目のストランド
HR−i i番目のヘルパーロール
VD ストリップの進行方向
G−i i番目のヘルパーロールとヘルパーロール駆動用のモータ間のギア
M−i i番目のヘルパーロール駆動用のモータ
SS−i i番目のヘルパーロール駆動用のモータの速度センサ
VS−i i番目のヘルパーロール駆動用のモータの印加電圧センサ
CS−i i番目のヘルパーロール駆動用のモータの電流センサ
Sfbk−i i番目のヘルパーロール駆動用のモータの速度フィードバック信号
Vfbk−i i番目のヘルパーロール駆動用のモータの電圧フィードバック信号
Cfbk−i i番目のヘルパーロール駆動用のモータの電流フィードバック信号
DR−i i番目のヘルパーロールのモータ制御装置
Sref−i i番目のヘルパーロール駆動用のモータの速度基準信号
HF 加熱炉
SF 均熱炉
CF 冷却炉

Claims (8)

  1. 複数のヘルパーロールに交互に架けられたストリップを搬送する焼鈍炉のストリップ温度推定装置であって、
    前記焼鈍炉は、
    前記複数のヘルパーロールを個別に駆動するモータと、
    前記モータの回転速度に応じた信号を出力する速度センサと、を備え、
    前記ストリップ温度推定装置は、
    前記速度センサの出力信号をフーリエ変換により周波数成分に分解し、ピーク位置が変化していく周波数を検索して、各次数の周波数を前記モータが発生するトルクのうちストリップ張力に寄与する部分の共振周波数として測定する共振周波数測定手段と、
    前記各次数の共振周波数に基づいて、前記複数のヘルパーロールのロール間に架けられた前記ストリップの一部であるストランドにおけるヤング率を推定するヤング率推定手段と、
    前記ヤング率推定手段に推定されたヤング率に基づいて、前記ストランドの平均温度を推定するストランド温度推定手段と、
    を備えることを特徴とする焼鈍炉のストリップ温度推定装置。
  2. 前記ヤング率推定手段は、前記複数のヘルパーロールのうち第i番目ヘルパーロールと第i+1番目ヘルパーロールとの間に架けられた前記ストリップの一部を第i番目ストランドとする場合に、以下の関係式を用いて第i番目ストランドにおけるヤング率Eを推定すること、を特徴とする請求項1に記載の焼鈍炉のストリップ温度推定装置。
    Figure 0006477400
    ここで、
    ωhr_res_n_iは、第i番目へルパーロールにて発生するトルクのストリップ張力付与成分に現れるn次の共振周波数、
    Lは、ストランド長、
    ρは、ストリップの密度、
    Yは、測定する最大の共振周波数の次数、
    nは、自然数である。
  3. ストリップの鋼材毎に、ヤング率とストリップ温度との関係を定めたパラメータテーブルを予め記憶し、
    前記ストランド温度推定手段は、前記ヤング率推定手段により推定されたヤング率に応じたストリップ温度を前記パラメータテーブルから取得することにより、前記ストランドの平均温度を推定すること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の焼鈍炉のストリップ温度推定装置。
  4. 前記焼鈍炉は、
    前記ストリップの張力に応じた信号を出力する張力計と、
    前記複数のヘルパーロールの最上流であって炉本体の入側外部に設けられた炉外ロールと、
    前記張力計の出力信号に基づいて、前記ストランドの張力が予め定めた張力設定値に一致するように、前記炉外ロールを制御する制御装置と、を備え、
    前記ストランド温度推定手段は、前記速度センサの出力信号と、前記炉本体の入側外部におけるストリップ温度と、前記張力設定値と、前記ヤング率推定手段により推定されたヤング率とに基づいて、前記ストランドの平均温度を推定すること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の焼鈍炉のストリップ温度推定装置。
  5. 前記ストランド温度推定手段は、
    前記複数のヘルパーロールのうち第i番目ヘルパーロールと第i+1番目ヘルパーロールとの間に架けられた前記ストリップの一部を第i番目ストランドとし、
    前記炉外ロールを第0番目ヘルパーロールとし、
    第0番目ヘルパーロールと第1番目ヘルパーロールとの間に架けられた前記ストリップの一部を第0番目ストランドとする場合に、
    以下の関係式を用いて第i番目ストランドのストリップ温度Tstrp_iを推定すること、を特徴とする請求項4に記載の焼鈍炉のストリップ温度推定装置。
    Figure 0006477400
    ここで、
    strp_1は、第1番目ストランドのストリップ温度、
    strp_0は、第0番目ストランドのストリップ温度(室温)、
    は、第0番目ストランドのストランド長、
    Lは、第1番目ストランド以降の各ストランドの各ストランド長、
    αhelは、熱膨張率、
    Δtは、測定時間、
    Aは、ストリップ断面積、
    は、第i番目ストランドにおけるストリップ張力設定値、
    は、第i番目ヘルパーロールにおけるロール周速、
    は、第i番目ストランドにおけるヤング率である。
  6. 複数のヘルパーロールに交互に架けられたストリップを搬送する焼鈍炉のストリップ温度推定方法であって、
    前記焼鈍炉は、
    前記複数のヘルパーロールを個別に駆動するモータと、
    前記モータの回転速度に応じた信号を出力する速度センサと、を備え、
    前記ストリップ温度推定方法は、
    前記速度センサの出力信号をフーリエ変換により周波数成分に分解し、ピーク位置が変化していく周波数を検索して、各次数の周波数を前記モータが発生するトルクのうちストリップ張力に寄与する部分の共振周波数として測定する共振周波数測定工程と、
    前記各次数の共振周波数に基づいて、前記複数のヘルパーロールのロール間に架けられた前記ストリップの一部であるストランドにおけるヤング率を推定するヤング率推定工程と、
    前記ヤング率推定工程に推定されたヤング率に基づいて、前記ストランドの温度を推定するストランド温度推定工程と、
    を備えることを特徴とする焼鈍炉のストリップ温度推定方法。

  7. ストリップの鋼材毎に、ヤング率とストリップ温度との関係を定めたパラメータテーブルを予め記憶する工程を備え、
    前記ストランド温度推定工程は、前記ヤング率推定工程により推定されたヤング率に応じたストリップ温度を前記パラメータテーブルから取得することにより、前記ストランドの平均温度を推定すること、
    を特徴とする請求項6に記載の焼鈍炉のストリップ温度推定方法。
  8. 前記焼鈍炉は、
    前記ストリップの張力に応じた信号を出力する張力計と、
    前記複数のヘルパーロールの最上流であって炉本体の入側外部に設けられた炉外ロールと、
    前記張力計の出力信号に基づいて、前記ストランドの張力が予め定めた張力設定値に一致するように、前記炉外ロールを制御する制御装置と、を備え、
    前記ストランド温度推定工程は、前記速度センサの出力信号と、前記炉本体の入側外部におけるストリップ温度と、前記張力設定値と、前記ヤング率推定工程により推定されたヤング率とに基づいて、前記ストランドの平均温度を推定すること、
    を特徴とする請求項6に記載の焼鈍炉のストリップ温度推定方法。
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