JP6478375B2 - 高発現プロモーター遺伝子 - Google Patents
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Description
(1)合成ガス資化性好熱性細菌において外来遺伝子を高発現する一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター。
(2)前記一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーターのヌクレオチド配列が、配列番号1により示されるヌクレオチド配列のうち、連続する少なくとも5ヌクレオチドによって表されるヌクレオチド配列を含む、(1)に記載の一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター。
(3)前記一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーターのヌクレオチド配列が、配列番号1により示されるヌクレオチド配列のうち、第65番目から第90番目までのヌクレオチドによって表されるヌクレオチド配列を含む、(1)に記載の一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター。
(4)前記一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーターのヌクレオチド配列が、配列番号1により示される一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター領域のヌクレオチド配列に含まれる、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター。
(5)前記一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーターによって発現される外来遺伝子の翻訳産物であるタンパク質の活性を、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーターによって発現される前記外来遺伝子の翻訳産物であるタンパク質の活性を基準にして評価する、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター。
(6)サーモアネロバクター・シュードエタノリクス(Thermoanaerobacter pseudethanolicus) ATCC 33223株由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子をレポーター遺伝子として用いる、合成ガス資化性好熱性細菌において外来遺伝子を高発現する遺伝子プロモーターをスクリーニングする方法。
(7)前記レポーター遺伝子の転写量および翻訳産物の活性の両方を評価する、(6)に記載の方法。
(8)プロモーター本来の遺伝子の転写量および前記レポーター遺伝子の翻訳産物の活性の両方を評価する、(6)に記載の方法。
(9)クエン酸合成酵素遺伝子プロモーター、DNAプライマーゼ遺伝子プロモーター、DNAアデニンメチラーゼ遺伝子プロモーターおよび一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーターからなる群から選択される少なくとも一つの遺伝子プロモーターである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法によってスクリーニングされた、合成ガス資化性好熱性細菌において外来遺伝子を高発現する遺伝子プロモーター。
(10)β−ガラクトシダーゼを発現するモーレラ属細菌。
(11)β−ガラクトシダーゼ遺伝子および前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現するためのプロモーターが染色体上に組み込まれた、(10)に記載のモーレラ属細菌。
(12)前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現するためのプロモーターが、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター、クエン酸合成酵素遺伝子プロモーター、DNAプライマーゼ遺伝子プロモーター、DNAアデニンメチラーゼ遺伝子プロモーターおよび一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーターからなる群から選択されるいずれか1つである、(11)に記載のモーレラ属細菌。
(13)前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子がサーモアネロバクター・シュードエタノリクス(Thermoanaerobacter pseudethanolicus) ATCC 33223株に由来するβ−ガラクトシダーゼ遺伝子である、(11)または(12)に記載のモーレラ属細菌。
また、本発明によれば、合成ガス資化性細菌において外来遺伝子を高発現する遺伝子プロモーターをスクリーニングする方法およびその方法によりスクリーニングされた合成ガス資化性細菌において外来遺伝子を高発現する遺伝子プロモーターが提供される。
さらに、本発明によれば、β−ガラクトシダーゼを発現するモーレラ属細菌が提供される。
本発明の第一の態様は、合成ガス資化性好熱性細菌において外来遺伝子を高発現する一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーターである。
合成ガス資化性好熱性細菌とは、上記合成ガスを唯一の炭素源として増殖が可能な好熱性細菌をいい、好熱性細菌とは、至適生育温度が45℃以上、あるいは生育限界温度が55℃以上の細菌をいう。合成ガス資化性好熱性細菌としては、例えば、モーレラ(Moorella)属細菌を挙げることができ、中でもモーレラ・サーモアセティカ(Moorella thermoacetica)、とりわけ、ATCC 39073株またはそれに由来する株が、技術的な観点および命名法上の観点から扱い易いため、好ましい。
(1)定量RT−PCRを用いてmRNAの転写量を測定して、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子以外の候補遺伝子について、転写量が多い方から5〜10程度の遺伝子にまで絞り込む工程
(2)合成ガス資化性好熱性細菌において、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター(以下「G3PDプロモーター」という。)を付加したサーモアネロバクター・シュードエタノリクス(Thermoanaerobacter pseudethanolicus) ATCC 33223株由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)を染色体上に組み込んだ形質転換株(以下「対照株」という。)およびG3PDプロモーター以外のプロモーターを付加したlacZを染色体上に組み込んだ形質転換株(以下「試験株」という。)を準備する工程
(3)対照株および試験株においてlacZを発現させ、LacZタンパク質のβ−ガラクトシダーゼ活性を測定する工程
(4)試験株のLacZタンパク質のβ−ガラクトシダーゼ活性と、対照株のLacZタンパク質のβ−ガラクトシダーゼ活性とを比較し、試験株のLacZタンパク質のβ−ガラクトシダーゼ活性が対照株のLacZタンパク質のβ−ガラクトシダーゼ活性よりも高い場合に、前記試験株に組み込んだ遺伝子プロモーターを、合成ガス資化性好熱性細菌において外来遺伝子を高発現する遺伝子プロモーターとして選択する工程
表1−1に示す成分をイオン交換水に溶解し、5N HClでpHを6.9に調整し、イオン交換水で900mLにメスアップし、培地の色が青から赤に変色するまで20分間ボイルし、窒素ガス/炭酸ガス(80:20)を注入しながら氷中で20分間冷却した後、予め炭酸ガスを注入しておいた125mLバイアル瓶に45mLずつ分注し、さらに3分間、炭酸ガスを注入し、ブチルゴム栓とアルミシールで密封し、オートクレーブ(121℃、15分間)してモーレラ用基本培地を調製した。
なお、完全合成培地調製時には酵母エキスを加えずに培地を調製した。
2−1)転写量を測定する遺伝子の選択
モーレラ・サーモアセティカ(Moorella thermoacetica) ATCC 39073株の全ゲノム情報から、発現量が多いと考えられる一次代謝関連遺伝子およびハウスキーピング遺伝子を中心に、表2−1に示す23遺伝子を選択した。表2−1には、選択した23遺伝子の産物のORFの開始位置および終端位置(GenBankアクセッションNo.CP000232での位置)も示す。
表2−2には、選択した23遺伝子の定量的RT−PCRで使用するプライマーの名称、配列、ゲノムの開始位置および終端位置(GenBankアクセッションNo.CP000232での位置)、長さ(mer)を示す。
NucleoSpin(R) RNA II(MACHEREY−NAGEL)を用いてトータルRNAを抽出した。抽出方法は付属の標準プロトコルに従った。定量的RT−PCRの条件を以下に示す。
選択した23遺伝子のmRNA相対発現量を、gyrBを基準として、図1に示す。
3−1)概要
レポーター遺伝子として、サーモアネロバクター・シュードエタノリクス(Thermoanaerobacter pseudethanolicus) ATCC 33223株由来の耐熱性β−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)のモーレラ・サーモアセティカ(Moorella thermoacetica) dpyrF株への導入を試みた。
モーレラ・サーモアセティカ(Moorella thermoacetica) ATCC 39073株由来のグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーター(本明細書において「G3PDプロモーター」という場合がある。)およびSD配列により転写および発現を制御し、ダブルクロスオーバーの相同組換えを利用してオロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ遺伝子(pyrF)と共にモーレラ・サーモアセティカ(Moorella thermoacetica) dpyrF株株の染色体上に組み込んだ(図2を参照)。
製作したlacZ(遺伝子)導入株(本明細書において「lacZ−G3PD株」という場合がある。)からHisTagを用いてLacZ(タンパク質)を精製し、SDS−PAGEを用いて発現を確認し、精製LacZの活性測定によって、lacZがレポーター遺伝子として使用可能か否かの検討を行った。
使用した菌株およびプラスミドを下記に示す。
3−3−1 大腸菌の培養
大腸菌は2×YT培地およびSOB培地を使用し、37℃で培養した。培地にはカナマイシンを20μg/mLを含み、カナマイシン耐性のスクリーニングを行った。
コンピテントセルの作製は、井上の方法(Inoue, H., Nojima, H., and Okayama, H. (1990). Gene 96 (1): 23-28)を参考に以下の手順で行った。
まず、大腸菌を寒天末に塗布し、37℃で1晩培養した。得られたシングルコロニーを2×YT培地 5mLに植菌し、6〜8時間振とう培養(37℃、280rpm)した。
さらに、得られた培養液を100mLのSOB培地に2mL植菌し、OD600=0.55程度になるまで振とう培養(18℃、120rpm)した。
得られた培養液を50mLずつ分注し、10分間氷上静置した。10分後、遠心分離(2500×g、4℃)し、上清を取り除いた後、氷冷した16mLのInoue Transformation Bufferで菌体ペレットをタッピングにより静かに懸濁した。懸濁後、氷上で10分間静置し、遠心分離(2500×g、4℃)した。遠心分離後、上清を取り除き、氷冷した4mLのInoue Transformation Bufferで菌体ペレットをタッピングにより静かに懸濁した。300μLのDMSO(ジメチルスルホオキシド)を添加し、混合した後、適当量分注し、液体窒素により急速冷凍した。作製したコンピテントセルは−80℃で保存した。
まず、G3PDプロモーターを付加したlacZを、G3PDプロモーターを連結したlacZを含むpK18mobプラスミドを鋳型として、表3−2に示すプライマーセット「pk18−G3PD−in−F/pk18−G3PD−in−R」およびDNAポリメラーゼとしてKOD FX Neo(東洋紡製)を用いてPCRにより増幅した。
サーモアネロバクター・シュードエタノリクス(Thermoanaerobacter pseudethanolicus) ATCC 33223 株の全DNA、およびプライマーpyrF−1765−FとpyrF−1764−Rとを用いて、pyrF相補ベクターpK18−epyrFを鋳型として、pyrF領域を含むベクター領域をPCR増幅した。PCRの条件は以下の通りである。なお、KOD FX(PCR酵素)、2×PCR Buffer for KOD FXおよび2mM dNTPsは、KOD FX(東洋紡社製)に含まれるものを用いた。
希釈したサンプル10μLを形質転換に用いた。
ダイレクトPCRによりコロニーを選択した。
In−Fusion PCRおよび形質転換の結果、複数のコロニーを得た。
lacZ−F−1およびlacZ−R−1をプライマーとしたコロニーダイレクトPCRの結果、全ての株において目的のバンドが確認できた。それらの株の中から3株ずつを培養し、プラスミドを抽出した。制限酵素(EcoRI、EcoRV、またはPstI)処理、および電気泳動による確認の結果、全ての株においてlacZの挿入が確認できた。
以下に示すプライマーpyrF−up−F1とpyrF−dn−R1との組み合わせを用いて、以下の条件でPCRを行い、pyrF遺伝子翻訳領域とその5’側の約1000bp、3’側の約1000bpを含む約2.7kbの遺伝子断片を増幅した。なお、KOD FX(PCR酵素)、2×PCR Buffer for KOD FXおよび2mM dNTPsは、KOD FX(東洋紡社製)に含まれるものを用いた。
2μLのSmaI処理をしたプラスミド pK18mobを、8μLのゲル抽出したPCR産物、10μLのLigation high Ver.2(東洋紡製)と混合し、16℃で1時間インキュベートした。Escherichia coli HST08 Premium コンピテントセル(タカラバイオ製)にライゲーション溶液10μLを添加して軽く攪拌した。
氷中に10分静置した。
42℃で1分間ヒートショックを与えた後、すぐに氷中に静置した。
SOC培地を1mL加え、37℃で1時間インキュベート後、LB寒天培地(カナマイシン、X−gal、IPTG含有)に塗沫した。
37℃で一晩培養後、生えてきたコロニーを取得した。
生育が見られたコロニーをカナマイシン添加LB寒天培地に移植した後、コロニーダイレクトPCRを行い、インサートの確認を行った。プライマーはpyrFup−F1およびpyrF−dn−R1を用いた。コロニーダイレクトPCRの条件を以下に示す。なお、KOD FX(PCR酵素)、2×PCR Buffer for KOD FXおよび2mM dNTPsは、KOD FX(東洋紡社製)に含まれるものを用いた。
バンドが確認できた株について、カナマイシンを添加したLB液体培地で一晩培養し、プラスミド抽出を行った。
吸光度による濃度測定、およびEcoRIまたはPstI処理サンプルの電気泳動を行った。
さらに、シーケンスによる塩基配列の解読を行って目的のpyrF遺伝子相補ベクターpK18−epyrFが構築できていることを確認した。
大腸菌への遺伝子導入はコンピテントセルを用いて以下の手順でヒートショックにより行った。
まず、コンピテントセルを−80℃から取り出し、氷上で10分間静置し、解凍した。
コンピテントセル 100μLに対して5μLのDNA溶液を添加し、氷上で30分間静置した。30分後、42℃で90秒間インキュベートし、ヒートショックを行った。ヒートショック後、直ぐに氷上に移し、1〜2分間静置した。
その後、SOC培地を800mL添加し、37℃で45分間培養した。45分後、抗生物質を含む2×YTプレートに塗布し、37℃で12〜16時間培養した。
形成されたコロニーを5mLの2×YTブロスに植菌し、プラスミド抽出を行った。
大腸菌からのプラスミド抽出はQuantum Prep Plasmid Miniprep Kit(バイオラッド)を用いて、付属のプロトコルに従って行った。抽出したプラスミドは制限酵素処理により目的のプラスミドが構築されていることを確認した。
バイアル瓶への還元剤の添加や植菌、サンプリングには22G×1・1/4、あるいは27G×1・1/4の注射針(ニプロ)を付けたプラスチック注射器(テルモ)を用いて嫌気的に行った。操作はクリーンベンチ内で行い、注射針を刺すブチルゴム栓の部分は、ガスバーナーであぶって滅菌した。フルクトースで培養する場合は、植菌直前にフルクトース水溶液(200g/L)を培地に対し1%(v/v)、還元剤(60g/L)を2%(v/v)、クエン酸チタン(III)水溶液を1、2滴添加し、前培養液を5%(v/v)植菌した。培養は55℃で、静置培養を行った。
ロールチューブの作成はハンゲートの方法(Hungate, R. E.: A roll tube method for cultivation of strict anaerobes. Methods Microbiol.; 3B: 117-32 (1969))に従った。ロールチューブ作成にはモーレラ用基本培地が18mL入ったバイアルに、0.37gの低温ゲル化用寒天末(ナカライテスク、ゲル化温度30−31℃)を添加し、オートクレーブ(125℃、15分間)した培地を使用した。使用前に培地を湯煎により融解し、40℃程度に保ちながら還元剤を0.4mL、フルクトース水溶液を0.2mL、クエン酸チタン(III)溶液を1滴添加した後、菌体を気泡ができないように植菌した。植菌後、氷水を入れたロールチューブ作成装置で回転させながら寒天をバイアルビン側面に固めた。その後、55℃で5〜7日間静置培養した。形成されたコロニーは、クリーンベンチ内で滅菌済みのパスツールピペットを用いて培地ごと取り出し、5mLの培地に植菌し、フルクトースを基質として静置培養した。
モーレラ・サーモアセティカ(Moorella thermoacetica) dpyrF株への遺伝子の導入はエレクトロポレーションを用いた。
まず、dpyrF株をH2−CO2でOD600=0.1程度まで培養し、5800×g、4℃で10分間遠心して上清を除去した。残った菌体にエレクトロポレーション緩衝液を10mL加え、再懸濁後、5800×g、4℃で10分間遠心して上清を除去した。
この操作をもう一度繰り返した後、OD600=1.0程度になるように菌体をエレクトロポレーション緩衝液により再懸濁した。
プラスミド(pK18−lacZ−G3PD)のDNA 2μgを含む溶液を加えた菌体懸濁液 400μLをエレクトロポレーション用キュベット(2mmギャップ)に移し、1500V、500Ω、50μFの条件でパルスをかけた。パルス後、すぐにキュベットを氷中に移し、3〜5分間静置して冷却した。冷却後、菌体懸濁液を、ウラシルを1μg/mL含む培地に植菌し、フルクトースにより55℃で48時間静置培養した。培養後、ロールチューブ法(ウラシルを含まない培地を使用)により形質転換体の単離を行った。
モーレラ・サーモアセティカ(Moorella thermoacetica)からのゲノムDNAの抽出は、定常期まで培養した菌体を使用して行った。ゲノムDNA抽出は、NucleoSpin(R) Tissue キット(Macherey−Nagel)を用いて行った。抽出プロトコルは一部添付のマニュアルを改変して行った。改変としては、Pre−lyseの段階で、180μLのBuffer T1で再懸濁するところを、リゾチーム(東京化成工業)とアクロモペプチダーゼ(和光純薬)を、それぞれ10mg/mLになるように溶解させたTE緩衝液 180μLに菌体ペレットを懸濁し、37℃で10分間反応させた。その後、25μLのプロテイナーゼKを加え、37℃で15分間反応させた。このあとの操作は添付のマニュアルに従った。抽出したゲノムは−20℃で保存し、必要なときに適宜解凍して使用した。
形質転換体の確認は、抽出したゲノムを鋳型にPCRすることにより行った。PCRに使用したプライマーを表3−4に示す。PCR反応用酵素は、KOD FX Neo(東洋紡)を用いた。
粗酵素液の抽出にはH2−CO2でOD600=0.1〜0.15、フルクトースでOD600=0.4〜0.8まで培養した菌体を使用した。
培養液を、5800×g、4℃で10分間遠心し、上清を取り除いた。その後、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.0) 10mLで菌体ペレットを再懸濁し、5800×g、4℃で5分間遠心し、上清を取り除いた。
この洗浄操作を再度行った後、ソニケーション緩衝液 3〜5mLに菌体ペレットを再懸濁し、超音波破砕機(デジタルソニファイアー、ブランソン)により破砕した。
破砕液を、20400×g、4℃で30分間遠心し、上清を回収した。
回収した粗酵素液を用いて、その後のタンパク質濃度測定や、酵素活性測定に用いた。
LacZ精製はcOmplete His−Tag Purification Resin(ロシュ・アプライド・サイエンス)のプロトコル、また、回収した精製LacZを脱塩するために、Centrifuge filter unit(ミリポア)のプロトコルに従って行った。まず、レジン(150μL)をマイクロ試験管に移し、分取したレジンの20倍容の結合バッファーAを添加し、十分に撹拌した。次に、500×gで10秒間遠心し、上清を取り除き、レジンを平衡化し、そこにHisTagタンパク質を含む溶液を平衡化したレジンに加え、1h転倒混和での穏やかな撹拌を実施した。その後、500×gで10秒間遠心し、上清を取り除いた。次に、レジン量の5倍容の洗浄バッファーを加え、十分に混和し、穏やかに遠心し、上清を取り除いた。本操作を5回繰り返した。レジン量と同量の溶出バッファーを添加し、10分間撹拌し、遠心上清を回収した。次に、脱塩するため、回収した上清をフィルターに入れて、14000×gで10分間遠心した。次にフィルターを逆にして1000×gで2min遠心を行い、バッファー500μLで洗浄を2回行った。LacZを精製した後、SDS−PAGEにて、発現の確認を行った。
粗酵素液のタンパク濃度の測定は、サンプルをソニケーション緩衝液で適宜希釈したうえで、Pierce 660nm Protein Assay Kit(サーモサイエンティフィック)を用いて行った。定量のための標準タンパク溶液にはウシ血清アルブミン(BSA)水溶液を用い、検量線を求めた。
精製LacZ、試薬および滅菌水を混合して試料を調製し、55℃でインキュベートした後、OD405を測定した。精製LacZ活性測定用試料の組成を表3−5に示す。
3−4−1 G3PDプロモーターを付加したlacZ導入株の作成
モーレラ・サーモアセティカ(Moorella thermoacetica) ATCC 39073株由来のG3PDプロモーターおよびSD配列により転写および発現を制御し、ダブルクロスオーバーの相同組換えを利用して、pyrFと共にdpyrF株の染色体上に組み込んだ。
作製した変異株をPCRにより確認した結果、レーン1の野生株(約4.8kb)と比べて、約2.5kb長いバンドが検出された。G3PDプロモーターを付加したlacZの長さが2.5kbであることから、正しく組換えが行われたことが確認出来た(図3)。図3は、G3PDプロモーターを付加したlacZ導入株のPCR結果を示す電気泳動像である。また、PCR産物のシーケンスによっても、正しいDNA配列であることが確認出来た。
HisTagを利用してLacZ(タンパク質)の精製を行い、SDS−PAGEを用いてLacZ発現の確認を行った。LacZは分子量約87kDaのタンパク質であり、レーン5のバンドが約87kDaの位置に検出されたため、LacZの発現が確認出来た(図4)。
3−3−14に示したプロトコルと組成によってLacZの活性測定を行った。図5から、精製LacZの活性を確認することが出来た。下記表にその結果を示した。
3−4−2および3−4−3の結果によれば、LacZの発現が確認でき、活性が見られた。これにより、lacZをレポーター遺伝子として利用出来ることが確認された。そこで、以下では、lacZの転写量および翻訳量に及ぼすプロモーターの影響を調べた。
4−1)概要
3の結果からlacZをレポーター遺伝子として使用できることが確認できたため、3で選択したプロモーターおよびそのSD配列を付加したlacZをダブルクロスオーバーの相同組換えを利用して、pyrFとともにdpyrF株の染色体上に組み込んだ。
次に、プロモーターを付加したlacZ導入株のmRNAを抽出し、定量的RT−PCRを用いてlacZ転写量を測定した。
4−2−1 使用菌株およびプラスミド
プラスミドの構築は3−3−3と同様に行った。2の結果からlacZに5つのプロモーターとプロモーター由来のSD配列を付加したプラスミドの構築を行った。選択した転写量の高かった遺伝子を下記表に示す。
構築したプラスミドを3−3−1と同様に大腸菌の形質転換を行い、3−3−2から3−3−10までの同様の工程を経て、各プロモーターを付加したlacZのモーレラ・サーモアセティカ(Moorella thermoacetica)への遺伝子導入を行い、lacZ導入株を構築した。
形質転換体の確認は、抽出したゲノムを鋳型にPCRすることにより行った。PCRに使用したプライマーを表4−4に示す。PCR反応用酵素はKOD FX Neo(東洋紡)を用いた。
製作したプロモーターを付加したlacZ導入株をバイアルを用いてフルクトースを基質として回分培養を行い(3−3−6参照)、OD600=0.5〜0.65でmRNA抽出を行った。NucleoSpin RNA IIを用いてトータルRNAを抽出した。抽出方法は付属の標準プロトコルに従った。一部改変した点は、抽出の前処理としてリゾチームとアクロモペプチダーゼをそれぞれ10mg/mLになるように溶解したTE緩衝液 100μLに菌体ペレットを懸濁し、37℃で10分間反応させた。抽出したトータルRNAは−20℃で保存した。
まず、抽出したmRNAを鋳型として、One Step SYBR PrimeScript PLUS RT−PCR Kit(タカラバイオ)を用いて、cDNAへの逆転写反応を行った。逆転写反応はReverTra Ace qPCR RT Master Mix with gDNA Remover(東洋紡)を用いて行った。逆転写に用いた反応液の組成と反応条件を表4−5に示す。
4−3−1 各プロモーターを付加したlacZのモーレラ・サーモアセティカへの遺伝子導入
cis、CODHまたはprimaseの各遺伝子のプロモーターを付加したlacZを導入したプラスミドを構築し、ダブルクロスオーバーの相同組換えを利用してpyrFとともにモーレラ・サーモアセティカ(Moorella thermoacetica) dpyrF株の染色体上に組み込んだ。作成した変異株をPCRにより確認した結果(図6〜8)、レーン1の野生株(約4.8kb)と比べて、約2.5kb長いバンドが検出された。プロモーターを付加したlacZの長さが2.5kbであることから、正しく組換えが行われたことが確認出来た。また、シーケンスでも正しいDNA配列であることが確認出来た。
定量的RT−PCRを用いて製作したlacZ導入株の転写量測定を行った。
図9に各プロモーターが及ぼす転写量の影響のグラフを示した。
図9からG3PDプロモーターが最もlacZのmRNA転写量に及ぼす影響が大きいことが分かった。他のプロモーターと比較して約3倍もの転写量を示し、他のプロモーターはほぼ同等の値を示した。モーレラ・サーモアセティカ(Moorella thermoacetica) ATCC 39073株(Control−1)の遺伝子転写量測定と比較すると双方ともG3PDプロモーターが最も転写活性が高いことが確認できた。
5−1)概要
3、4で製作した株を用いて超音波破砕機による粗酵素液の抽出を行い、タンパク質濃度測定、活性測定を行った。
3−3−11のプロトコルと同様に超音波破砕機による粗酵素液の抽出を行い、3−3−13、14のプロトコルと同様にタンパク質濃度を測定し、活性測定を行った。その際、基質:フルクトース、OD405=0.5〜0.65で粗酵素液の抽出を行った。
驚くべきことに、CODHプロモーターを付加した場合に、最もLacZ活性が高く、他のプロモーターを付加した場合と比較して、約2倍もの活性値の差が得られた(図10を参照)。一方、mRNA転写量が最も高かったG3PDプロモーターを付加した場合には、CODHプロモーターを付加した場合の約1/2に止まり、高い活性値は得られなかった。これは、CODHプロモーターの配列の中にmRNAからタンパク質への翻訳を特に活性化する仕組みがあるためと推察される。
lacZをレポーター遺伝子として利用可能であることが確認出来た。
転写活性はG3PDプロモーターを付加した場合に最も高く、他のプロモーターを付加した場合に比べて約3倍以上の転写活性を示した。しかし、産物であるLacZタンパク質のβ−ガラクトシダーゼ活性は、CODHプロモーターを付加した場合が最も高く、G3PDプロモーターを付加した場合に比べて約2倍の比活性を示した。このことから、外来遺伝子を高発現する遺伝子プロモーターをスクリーニングするためには、遺伝子産物のタンパク質の活性を測定することが必須であり、mRNA転写活性は予備的スクリーニングのために有用であることがわかった。
なお、モーレラ・サーモアセティカ(Moorella thermoacetica) LacZ−G3PD株は、M−G3PD−lacZ株と名付け、独立行政法人評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託を申請した(受領番号:NITE AP−01904)。
受領番号:NITE AP−01904
受領日:平成26年7月29日
受託機関:独立行政法人評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター
Claims (3)
- 合成ガス資化性好熱性細菌において外来遺伝子をグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーターよりも高発現する一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター領域であって、
ヌクレオチド配列が以下により表される、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター領域。
5'- accagattaccggggtatacggcggggggaaccggagttctctccggaaaaaaatgggtaataacacctgttaacccaacgggtgtaggattaaatgtaccaaggaggtaagcagt -3' - β−ガラクトシダーゼ遺伝子および前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現するためのプロモーター領域が染色体上に組み込まれた、β−ガラクトシダーゼを発現するモーレラ属細菌であって、
前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現するためのプロモーター領域が、以下のヌクレオチド配列で表される一酸化炭素デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター領域である、β−ガラクトシダーゼを発現するモーレラ属細菌。
5'- accagattaccggggtatacggcggggggaaccggagttctctccggaaaaaaatgggtaataacacctgttaacccaacgggtgtaggattaaatgtaccaaggaggtaagcagt -3' - 前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子がサーモアネロバクター・シュードエタノリクス(Thermoanaerobacter pseudethanolicus) ATCC 33223株に由来するβ−ガラクトシダーゼ遺伝子である、請求項2に記載のβ−ガラクトシダーゼを発現するモーレラ属細菌。
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