JP6478464B2 - 多能性幹細胞から脳血管内皮細胞を製造する方法 - Google Patents
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Description
1.以下の1)および2)の工程を含む、多能性幹細胞から脳血管内皮細胞を製造する方法:
1)多能性幹細胞から分化誘導されたCD34発現細胞を培養する工程;および
2)前記工程1)で培養した細胞を、脳由来細胞を培養した培地に接触させて、培養する工程。
2.工程2)における脳由来細胞が、血液脳関門を構成する細胞から選択される少なくとも1種の細胞である、前項1に記載の製造方法。
3.工程2)の培養期間が、1日〜10日間である、前項1または2に記載の製造方法。
4.工程2)が、以下のa)またはb)の工程である、前項1〜3のいずれか1に記載の製造方法:
a)前記工程1)で培養した細胞を、脳由来細胞と共培養する工程;または
b)前記工程1)で培養した細胞を、脳由来細胞を培養した培地を添加した培地中にて培養する工程。
5.工程1)のCD34発現細胞を培養する液性因子を含む培地が、水溶性ウシ視床下部抽出物、FGF、およびヘパリンを含む培地である、前項1〜4のいずれか1に記載の製造方法。
6.工程1)が、骨形成タンパク質4(bone morphogenetic protein;BMP4)、アクチビンA、および血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)を用いた培養により、多能性幹細胞からCD34発現細胞を分化誘導することを含む、前項1〜5のいずれか1に記載の製造方法。
7.工程1)における培養期間が、1日〜25日間である、前項6に記載の製造方法。
8.脳血管内皮細胞が、タイトジャンクション関連遺伝子を発現しており、かつ、機能的な特異的トランスポーターを発現している、前項1〜7のいずれか1に記載の製造方法。
9.前項1〜8のいずれか1に記載の製造方法により得られた脳血管内皮細胞。
10.前項1〜8のいずれか1に記載の製造方法により得られた脳血管細胞を用いる、血液脳関門の解析方法。
1)多能性幹細胞から分化誘導されたCD34発現細胞を培養する工程。
2)前記工程1)で培養した細胞を、脳由来細胞を培養した培地に接触させて、培養する工程。
本発明においては、工程1)により、臓器または組織特異的な機能を有する血管内皮細胞に分化する前の血管内皮細胞を分化誘導することができ、工程2)により、工程1)にて得た細胞を脳特異的な機能を有する脳血管内皮細胞に分化誘導することができる。
i)多能性幹細胞を、BMP4、アクチビンAおよびRhoキナーゼ阻害剤を含む培地中で培養する工程。
ii)前記工程i)で培養した細胞を、BMP4およびVEGFを含む培地中で培養する工程。
iii) 前記工程ii)で培養した細胞を、BMP4、VEGF、およびTGFファミリー阻害剤を含む培地中で培養する工程。
iv)前記工程iii)で培養した細胞を、VEGE、FGF2、およびTGFファミリー阻害剤を含む培地で培養する工程。
v)多能性幹細胞を液性因子を用いて培養して得られた細胞集団から、CD34発現細胞を単離する工程。
多能性幹細胞を液性因子を用いて培養して得られた細胞集団は、CD34発現細胞、CD34発現細胞以外の細胞、培地、培地に添加した種々の因子などを含む培養物であってもよい。多能性幹細胞を液性因子を用いて培養して得られた細胞集団は、上記工程i)〜iv)により得られた細胞集団であることが好ましい。
vi)CD34発現細胞を、水溶性ウシ視床下部抽出物、FGF2、ヘパリンを含む培地で培養する工程。
工程vi)において、CD34発現細胞は、上記iv)の工程により単離して得られた細胞であることが好ましい。
a)前記工程1)で培養した細胞を、脳由来細胞と共培養する工程。
b)前記工程1)で培養した細胞を、脳由来細胞を培養した培地を添加した培地中にて培養する工程。
また本発明は、本発明の製造方法により得られた脳血管内皮細胞を用いる、血液脳関門の解析方法にも及ぶ。本発明の血液脳関門の解析方法としては、例えば、後述する実験例1,2に記載の、電気抵抗の測定、タイトジャンクション関連遺伝子の発現量の解析、物質透過性解析、各種トランスポーターの発現量解析、トランスポーターの機能評価などが例示される。タイトジャンクション関連遺伝子としては、Claudin-5、Occuldin、ZO-1が挙げられる。またトランスポーター遺伝子としては、MDR-1、BCRP、MRP-4、Glut1が挙げられる。
ヒトiPS細胞は、201B7(京都大学山中伸弥教授よりご供与:Cell. 2007 Nov 30;131(5):861-872.)を用いた。培養方法を、図1を参照しながら、以下の(1)および(2)にて説明する。
ヒトiPS細胞を用いて、Blood. 2013 Jan 17;121(3):447-458の手法を多少改変した手法により分化誘導を行った。まず細胞をAccutase(MILLIPORE社製)を用いて単一細胞懸濁液とした。2×104個の単一細胞を96ウェルのLipidureコートプレート(Thermo Scientific社製)の1ウェルに播種して、分化誘導を行った。培養液は培養日数に応じて組成を変化させた。Stempro34培地(Life Technologies社製)に50 μg/mlのアスコルビン酸(Sigma社製)と450μMのMTG(Sigma社製)を添加した培地を分化誘導用基本培地として用いた。培養開始0日目〜2日目までは分化誘導用基本培地に、20 ng/ml ヒトBMP4(hBMP4)(R&D Systems社製)、2 ng/mlヒトアクチビンA(R&D Systems社製)、10 μM Rhoキナーゼ阻害剤 Y27632を添加したものを用いた。培養開始2日目に、培地を20 ng/ml hBMP4(R&D Systems社製)、5 ng/ml ヒトVEGF(hVEGF)(Peprotech社製)を添加した分化誘導用基本培地で置換した。培養開始4日目に20 ng/ml hBMP4、5 ng/ml hVEGF、5 μM SB431542(Wako社製)を添加した分化誘導用基本培地に置換して、さらに培養を行った。培養開始6日目に、20 ng/ml hVEGF、2 ng/ml FGF2(片山化学社製)、5 μM SB431542(Wako社製)を添加した分化誘導用基本培地に置換して、さらに培養を9日目まで行った。なお培養開始6〜9日目までは、ペトリ皿を用いて培養を行った。
培養9日目のヒトiPS細胞由来細胞を、0.25% トリプシン-EDTA(Life Technologies社製)で37℃、二酸化炭素濃度5%で処理し、単一細胞懸濁液とした。単一細胞に解離しきれなかった細胞塊をメッシュで取り除いた後、CD34発現を指標とした細胞単離を行った。
単離したCD34発現細胞を上記(2)に従って培養した後、顕微鏡にて形態を観察し、血管内皮細胞が分化誘導されているかを確認した。
また培養した細胞について、抗CD31抗体(Dako社製)あるいは抗von Willebrand Factor(vWF)抗体(Dako社製)を反応させ、その後、各々Alexa488(緑色)あるいはAlexa594(赤色)標識した2次抗体(Life Technologies社製)用いて免疫抗体染色を行うことにより、血管内皮細胞マーカータンパク質の発現を確認した。
培養した細胞について、アセチル化LDL取り込み能とマトリゲル中での管腔形成能を調べることにより、血管内皮細胞としての機能を検証した。アセチル化LDLの取り込み能の解析は以下のように行った。CD34発現細胞を接着培養した後、培地を10 μg/ml Alexa Fluor 488 acetylated LDL(Life Technologies社製)を含む培地で置換し、37℃、4時間培養した。その後、細胞内に取り込まれたアセチル化LDLを蛍光顕微鏡にて観察した。
マトリゲル中での管腔形成能の解析は以下のように行った。48 wellプレートに100 μlのマトリゲル(BD Bioscience社製)溶液を加えて37℃、1時間静置することにより、プレートをコーティングした。CD34発現細胞を接着培養した後、0.25 % trypsin-EDTAにて回収し、10 ng/ml VEGFを含む培地に懸濁し、1×105個/ウェルの細胞数で播種した。37℃、16時間培養後に顕微鏡下で細胞を観察した。
接着培養4日目における細胞形態を観察したところ、CD34発現細胞から血管内皮細胞様の形態を示す均一の細胞が増殖していた(図2a)。また、これらの細胞は血管内皮細胞のマーカー分子であるCD31やvWFを発現していることも明らかとなった(図2b)。さらにCD34発現細胞を培養して得られた細胞は、アセチル化LDLの取り込み能(図2c)やマトリゲル中での管腔形成能を有していることも示された(図2d)。以上の結果から、本培養法によりヒトiPS細胞から機能的な血管内皮細胞が誘導可能であることが示された。
実施例1にて分化誘導した血管内皮細胞を、ラットグリオーマ株C6細胞と共培養した(図3上段参照)。まず、実施例1にて分化誘導した細胞5×104個を、実施例1(2)にて使用したのと同様の、ECGS、FGF2、ヘパリン、アスコルビン酸、MTGを含むStempro34培地(Life Technologies社製)に再懸濁し、Fibronectinをコートしたインサート(コーニング社製)に播種した。インサート上の細胞がコンフルエントになった時に、予めラットC6細胞との共培養を開始した。ラットC6細胞5×103個を播種したプレート(コーニング社製)に、インサート上の細胞とラットC6細胞が接触しないようにインサートを設置した。なお、プレート側の培地は、実施例1に記載の分化誘導用基本培地であるアスコルビン酸とMTGを含むStempro34培地を用いた。インサート上の細胞は、ディッシュの培養液中に、浸漬するようにした。
実施例2において、共培養を開始した0、3、5、7日後のインサート上の細胞について、Millicell ERS-2(Millipore社製)を用いて電気抵抗(TEER)を測定した。測定方法は、Millicell ERS-2の取扱い説明書に記載の方法に従って行った。TEERは以下の計算式に従い算出した。TEER(Ω・cm2)= R sample(Ω)×Membrane area(cm2)
・インサートからプレート側へ通過したFD容積の算出: V =(AA×VA)/AL
・見かけ上の透過係数の算出: P =(dV/dt)/S
・各サンプルの透過係数の算出: 1/P sample = 1/P total - 1/P non
(AA : ある時間におけるプレート側のFD濃度、AL : インサート内のFD初濃度、VA : プレート側のwellの培地の容積、S : インサートのメンブレン面積、P sample : サンプルの透過係数、P total : サンプルの測定値から得られる見かけ上の透過係数、P non : 無細胞時の透過係数)
脳由来細胞と共培養した本発明の細胞は、脳由来細胞なしで単培養した場合と比較して、電気抵抗が有意に上昇しており、タイトジャンクション関連遺伝子の発現も上昇していることが明らかとなった。さらに、デキストランの透過量は有意に低下していたことから、共培養した細胞が強固なタイトジャンクションを形成していることが示された。
一方、脳由来細胞と共培養したHUVECでは、脳由来細胞なしで単培養したHUVECと比較して、電気抵抗の上昇、タイトジャンクション関連遺伝子の上昇、デキストランの透過量の低下は見られなかった。
実施例1にて分化誘導した血管内皮細胞を、ラットC6細胞を培養した培地を用いて培養した(図3下段参照)。まず、実施例1にて分化誘導した細胞5×104個を、実施例2と同様に、ECGS、FGF2、ヘパリン、アスコルビン酸、MTGを含むStempro34培地(Life Technologies社製)に再懸濁し、インサート上に播種した。別途、実施例1の分化誘導用基本培地であるアスコルビン酸とMTGを含むStempro34培地を用いて、ラットC6細胞を24時間培養し、その後培養上清をフィルトレーションして回収し、C6細胞コンディショナルミディウム(C6 CM)とした。インサート上の血管内皮細胞がコンフルエント(約1〜1.5×105個)になった時に、プレート側の培地をC6 CM 0.7mlと置換し、培養を行った。インサート側の培地(実施例1(2)で使用したのと同様のECGSやFGF2等の液性因子を含む培地)およびプレート側の培地(C6 CM)は2日おきに置換して培養した。
実施例3において、培養を開始した0、3、5、7日後の細胞について、実験例1と同様にして、電気抵抗(TEER)を測定した。
また、培養開始5日後の細胞について、タイトジャンクション関連遺伝子の発現と物質透過性を解析した。
さらに、脳血管内皮細胞に特異的に発現する各種トランスポーター遺伝子(MDR-1、BCRP、MRP-4、Glut1)の発現を解析するとともに、MDR-1についてはトランスポーターとしての機能についても解析した。
これらの解析は、実験例1と同様の手法により行った。
C6 CMを添加して培養した細胞は、脳由来細胞と共培養した細胞と同程度に電気抵抗が上昇し、さらに物質の透過性が低下していることが明らかとなった。さらに、トランスポーター遺伝子の発現量も、脳由来細胞と共培養したときと同様に上昇していた。また、C6 CMを用いて培養した細胞が発現するMDR-1は排出トランスポーターとして機能していることも確認できた。したがって、C6 CMを用いることにより脳血管内皮細胞を誘導できていることが示された。
Claims (9)
- 以下の1)および2)の工程を含む、ヒト多能性幹細胞からヒト脳血管内皮細胞を製造する方法:
1)ヒト多能性幹細胞から分化誘導されたCD34発現ヒト細胞を培養する工程;および
2)前記工程1)で培養したヒト細胞を、ラットグリオーマ株C6細胞を培養した培地に接触させて、培養する工程。 - 工程2)の培養期間が、1日〜10日間である、請求項1に記載のヒト脳血管内皮細胞を製造する方法。
- 工程2)が、以下のa)またはb)の工程である、請求項1または2に記載のヒト脳血管内皮細胞を製造する方法:
a)前記工程1)で培養したヒト細胞を、ラットグリオーマ株C6細胞と共培養する工程;または
b)前記工程1)で培養したヒト細胞を、ラットグリオーマ株C6株細胞を培養した培地を添加した培地中にて培養する工程。 - 工程1)のCD34発現ヒト細胞を培養する液性因子を含む培地が、水溶性ウシ視床下部抽出物、FGF、およびヘパリンを含む培地である、請求項1〜3のいずれか1に記載のヒト脳血管内皮細胞を製造する方法。
- 工程1)が、骨形成タンパク質4(bone morphogenetic protein;BMP4)、アクチビンA、および血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)を用いた培養により、ヒト多能性幹細胞からCD34発現ヒト細胞を分化誘導することを含む、請求項1〜4のいずれか1に記載のヒト脳血管内皮細胞を製造する方法。
- 工程1)における培養期間が、1日〜25日間である、請求項5に記載のヒト脳血管内皮細胞を製造する方法。
- ヒト脳血管内皮細胞が、タイトジャンクション関連遺伝子を発現しており、かつ、機能的な特異的トランスポーターを発現している、請求項1〜6のいずれか1に記載のヒト脳血管内皮細胞を製造する方法。
- 請求項1〜7のいずれか1に記載の製造方法により得られたヒト脳血管内皮細胞。
- 請求項1〜7のいずれか1に記載の製造方法により得られたヒト脳血管内皮細胞を用いる、血液脳関門の解析方法。
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