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JP6481364B2 - 核酸除去法 - Google Patents
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JP6481364B2 - 核酸除去法 - Google Patents

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Description

本発明は、PCRによる核酸増幅法におけるコンタミナント核酸の除去方法に関する。本発明は、研究のみならず臨床診断や環境検査等にも利用できる。
PCR(polymerase chain reaction)とは、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの解離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって、試料中の標的核酸を増幅する方法である。
数コピーといった微量サンプルからでも標的核酸を何十万倍に増幅することができ、研究分野のみならず、遺伝子診断、臨床診断といった法医学分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等においても、広く用いられるようになってきている。
しかしながら、PCRは非常に高感度な検出方法であるため、反応系に混入した核酸が非特異増幅や擬陽性の原因となる。特に、微生物同定において16S RNA領域やITS領域など、微生物で高度に保存された領域を増幅するプライマーを用いると、鋳型DNAを添加しなくても増幅が見られることがある。これはDNAポリメラーゼやdNTPsに混入した核酸に由来するものであり、このようなコンタミ核酸があると誤った検査結果を出してしまう恐れがあった。
また、このようなコンタミ核酸が30サイクルを超えるPCRサイクルでは、原因不明の非特異的な増幅を生じる原因にもなっていた。
一般的にPCRに用いるDNAポリメラーゼは、バクテリアやアーキアなどの野生細胞から精製したもの、もしくは遺伝子組換え技術によって、大腸菌などの宿主で作られ精製したものを用いる。しかし、高度に精製されたDNAポリメラーゼでも宿主のゲノムやRNA、遺伝子組み換えに用いたプラスミドといった核酸が残存する場合があることがわかっている。
また、PCRの反応には不可欠なdNTPsは、高エネルギーのため環境菌がコンタミしやすいことや、サケの精子ゲノムから製造されるため、生物由来のコンタミ核酸を含む場合があることがわかっている。その他、PCR反応の緩衝剤やBSAなどのPCRの促進因子についても、核酸のコンタミを規定した製品はなく、環境菌による汚染によってコンタミ核酸が含まれている場合があった。
これらのコンタミ核酸を反応系から除去するため、様々な核酸除去法が検討されており、DNaseを作用させて核酸を分解した後にDNaseを加熱して変性させ不活性化する方法(非特許文献1)や紫外線を当て核酸を分解させる方法(非特許文献2)などが知られている。しかし、DNaseを用いる手法では、核酸除去後、DNaseが完全に熱変性しなかったために反応を阻害することがあったり、DNAがDNAポリメラーゼと結合している場合はDNaseがDNAにうまく作用しなかったり、完全な核酸除去には至らない問題点があった。同様に、紫外線を用いる手法でも、紫外線がDNAポリメラーゼにダメージを与えたり、完全に核酸を分解しきれなかったりする、といった問題が残っていた。
これらのことから、PCRの反応系において、反応性に影響せず、効率的にコンタミ核酸を除去する技術が求められていた。
WO2012−102208 EP2495338
Electrophoresis. 2001 Dec;22(20):4316−9. Methods in Enzymology Vol. 218, 1993,381−388 Appl. Environ. Microbiol. 2008, 74(8):2537. PLOS ONE.February 2014,Volume 9,Issue 2,e82624
そこで、本発明はPCR反応液中の効率的な核酸除去法を提供する。より詳細には反応系に影響を及ぼすことなくコンタミ核酸を除去し、コンタミ核酸による擬陽性や非特異増幅を防ぐ方法を提供する。さらに本発明の他の目的は、上記の目的に適した試薬キットを提供することにある。要約すれば本発明の目的は、PCRの擬陽性や非特異を防ぐPCR反応液中の核酸除去法および除去試薬を提供することにある。
前記目的を達成するための本発明の核酸除去法は、PCR反応液を構成する少なくとも1つ以上の成分を含む溶液に光感受性架橋剤を作用させることを特徴とする核酸除去法である。
すなわち、本発明者はコンタミ核酸が含まれる(または、その可能性がある)PCR反応液において、PCR反応液を構成する少なくとも1つ以上の成分を含む溶液に光感受性架橋剤を作用させることで、コンタミ核酸を除去し、コンタミ核酸による増幅を防ぐことが可能になることを見いだし、本発明を成すに至った。
なお、本発明において光感受性架橋剤とはEMAやPMAなど光を当てることでDNAと強く結合することが知られている試薬を示す。
EMAやPMAなどは死菌と生菌を区別するために使用されているが、このようなDNAと強固に結合する試薬はPCRを阻害すると考えられ、通常、PCR前に除去する(非特許文献3)か、十分に希釈して使用している(特許文献1)。また、光感受性架橋剤を作用させたポリメラーゼの核酸除去を実施した例(非特許文献4)があるが、こちらについても、精製工程を追加し、光感受性架橋剤を除いた後にPCRを行っている。
そのため、PCR反応液を構成する少なくとも1つ以上の成分を含む溶液に光感受性架橋剤を添加し、前記溶液中で光を照射し光感受性架橋剤を作用させた例は報告されていない。
代表的な本願発明は以下の通りである。
[項1]
PCR反応液に含まれるコンタミナント核酸の除去方法であって、前記PCR反応液を構成する少なくとも1つ以上の成分を含む溶液中で光感受性架橋剤を加え、光エネルギーを作用させる工程を含む方法。
[項2]
光エネルギーを作用させる手段が可視光線の照射である、項1に記載の方法。
[項3]
コンタミナント核酸がDNAおよび/またはRNAである、項1または項2に記載の方法。
[項4]
光感受性架橋剤が、エリジウムモノアジド(EMA)、プロピジウムモノアジド(PMA)、EMA誘導体およびPMA誘導体からなる群から選ばれる1つ以上である、項1〜項3のいずれかに記載の方法。
[項5]
PCR反応液を構成する少なくとも1つ以上の成分を含む溶液に含まれるEMAおよびEMA誘導体を合計した濃度が2μg/ml以上である、項4に記載の方法。
[項6]
PCR反応液を構成する少なくとも1つ以上の成分を含む溶液に含まれるPMAおよびPMA誘導体を合計した濃度が1μM以上である、項4に記載の方法。
[項7]
項1〜項6のいずれかに記載の方法で核酸除去を実施するための試薬。
[項8]
項1〜項6のいずれかに記載の方法で核酸除去を実施したPCR反応液。
[項9]
項1〜項6のいずれかに記載の方法で得られたPCR反応液にプライマーを添加し、遺伝子増幅を行う方法。
本発明によって、PCR反応液に存在するコンタミナント核酸を除去することができる。PCR反応液への核酸のコンタミネーションは特に微生物同定において大きな問題となっていた。本発明は、正確な微生物同定を可能にし、特に臨床分野において非常に役立つ技術といえる。その他、生活用水や食品、化粧品などの品質管理分野においても広く利用することができる。
EMA、PMAにおけるPCR反応への阻害効果(TaqのPCR) EMA、PMAにおけるPCR反応への阻害効果(KODのPCR) EMA、PMAにおけるPCR反応液中のコンタミ核酸除去(TaqのPCR) EMA、PMAにおけるPCR反応への阻害効果(KODのPCR) EMA、PMAにおけるPCR反応への阻害効果(TTHのPCR) EMA、PMAにおけるコンタミ核酸除去能の評価 PCR因子へのコンタミ核酸の確認
以下、本発明の実施形態を示しつつ、本発明についてさらに詳説する。
本発明の実施形態の一つは、PCR反応液に含まれるコンタミナント核酸の除去方法であって、前記PCR反応液を構成する少なくとも1つ以上の成分を含む溶液中で光感受性架橋剤を加え、光エネルギーを作用させる工程を含む方法である。
本発明における光感受性架橋剤は特に限定されないが、例えば、エチジウムモノアジド(EMA)、プロピジウムモノアジド(PMA)、ソラーレン化合物(ソラーレン(psoralen)、4’−AMDMIP(4’−aminomethyl−4,5’−dimethylisopsoralen)、AMIP(5−aminomethylisopsoralen)、5−MIP(5−methylisopsoralen)、8−メトキシソラーレンなど)、ヨウ化プロピジウム、EMA誘導体(例えば特許文献2に記載されたもの)およびPMA誘導体(例えば特許文献2に記載されたもの)からなる群から選ばれる1つ以上である。好ましくはEMA、PMAまたはそれらの誘導体である。
本発明の核酸除去法において、光感受性架橋剤に光エネルギーを作用させる手段は、特に限定されない。光エネルギーとしては、可視光線、紫外線、赤外線が挙げられ、これらを光感受性架橋剤に照射することにより、光エネルギーを作用させることができる。
可視光線を照射する場合、光照射処理に使用される光の波長は特に限定されないが、例えば、350〜700nmの波長の単波長光、又は、350〜700nmの波長を含む多波長光が使用できる。光照射処理の光強度及び照射時間は、使用する光感受性架橋剤、光源に応じて適宜設定することが可能であるが、例えばEMAを使用する場合、1〜1000Wのランプを使用し、試料との距離を1〜50cmに設定し1〜20分間照射する条件で光照射処理を実施できる。さらに消費電力が少なく強光度のLED(Light Emitting Diode)ランプが開発されており、本発明に使用できる。また、本発明の光照射処理は氷上で実施するなど低温で行うことが好ましい。
本発明における光感受性架橋剤の濃度は、例えば、EMAまたはEMA誘導体であればそれらを合計した濃度が2μg/ul以上であることが望ましい。またPMAまたはPMA誘導体であればそれらを合計した濃度が1μM以上であることが望ましい。
一方、EMAおよびEMA誘導体を合計した濃度の上限は50μg/ul以下であることが望ましい。またPMAおよびPMA誘導体を合計した濃度の上限は10μM以下であることが望ましい。好ましくは、EMAおよびEMA誘導体を合計した濃度の上限が20μg/ul以下であることが望ましい。またPMAおよびPMA誘導体を合計した濃度の上限は4μM以下であることが望ましい。
本発明の核酸除去法が適用されるPCR反応液には、RT−PCR反応液も含まれる。
本発明の核酸除去法において、PCR反応液またはRT−PCR反応液の組成は特に限定されない。例えば、以下の(a)から(e)を含む組成が挙げられる。
(a)緩衝剤
(b)金属塩
(c)dNTPs
(d)DNAポリメラーゼ
(e)光感受性架橋材
前記組成において、(a)から(d)はそれぞれ特に限定されない。
(a)緩衝剤としては、トリス(Tris)やビシン(Bicine)などが挙げられる。
(b)金属塩としては、マグネシウム、マンガン、カリウムなどが挙げられる。
(c)dNTPsとしては、例えばdATP、dGTP、dCTPおよびdTTPが適宜好ましいバランスで含まれていれば良いが、それ以外のものを含んでいてもかまわない。例えばdTTPの代わりにdUTPを含ませることもできる。
(d)PCRのDNAポリメラーゼとしては、α型、PolI型のいずれでもよく、α型であればKOD、Pfuなど、PolI型であればTaq、TTHなどが挙げられる。前記のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列をさらに改変したものであってもよい。
RT−PCRのDNAポリメラーゼとしては、上記のDNAポリメラーゼとMMLV由来のRT酵素やAMV由来のRT酵素などRT(逆転写)活性をもつポリメラーゼを併用して用いても良い。またTTHなどのDNA合成活性とRT活性とを併せ持つDNAポリメラーゼを用いても良い。
本発明の核酸除去法において、PCR反応液またはRT−PCR反応液中で光感受性架橋剤を加えるタイミング、および、光エネルギーを作用させるタイミングは、前記の(a)〜(d)の全てを含む組成に光感受性架橋剤を加え、光照射を行うことに限定されない。
例えば、前記の(a)〜(d)のうちいずれか1つ以上を含む組成に光感受性架橋剤を加え、光照射を行った後に、欠けていたものを添加しても良い。この場合、光感受性架橋剤を加え、光照射を行った後に添加する成分は、コンタミがないことが予め確認されているものを用いることが好ましい。
本発明の別の実施形態は、前記の方法で核酸除去を実施するための試薬である。本発明の核酸除去法を実施するための試薬には光感受性架橋材とPCR試薬を含み、それ以外は特に限定されない。光感受性架橋剤としては、EMA、PMA、ソラーレン化合物、4’−AMDMIP、AMIP、5−MIP、ヨウ化プロピジウム、EMA誘導体およびPMA誘導体からなる群から選ばれる1つ以上が挙げられ、好ましくはEMA、PMAまたはそれらの誘導体である。その濃度は、特に限定されないが、EMA、EMA誘導体であれば、2μg/ul〜50μg/ulが好ましい。またPMAまたはPMA誘導体であれば、1μM〜10μMが好ましい。
光架橋剤以外の成分については特に限定されない。一本鎖DNA結合タンパク質やdUTPase、PCNAなどPCRを促進する因子やDMSO、グリセロールなどの特異性向上に関係する因子が含くまれていてもよい。
なお、本発明の試薬の形態は特に限定されず、いわゆるキットの形態も含まれる。
また、本発明の別の実施形態は、前記の方法で核酸除去を実施したPCR反応液であり、さらには、前記のPCR反応液にプライマーを添加し遺伝子増幅を行う方法である。本発明における核酸除去を実施したPCR反応液とは、光感受性架橋材を作用させ核酸除去を行ったPCR反応液であり、それ以外は特に限定されない。なお、本発明のPCR反応液の形態は特に限定されず、いわゆるキットの形態も含まれる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。以下の実施例の記載はいかなる面においても本発明を限定しない。
(実施例1)
EMA、PMAにおけるPCR反応への阻害効果
Taq DNA Polymerase(Taq)、または、KOD DNA Polymerase(KOD)を用いてHbg遺伝子746bpを増幅するPCRの反応系に、それぞれEMAやPMAを添加し、阻害が生じる濃度を確認した。
TaqのPCR反応系にはrTaq DNA Polymerase(TOYOBO)とAnti−Taq High(TOYOBO)と混合したものを用いた。
PCR反応液に光感受性架橋剤を加えて光エネルギーを作用させた光照射サンプルを、以下の手順で作製した。
(1)1×rTaq DNA Polymeraseに添付のBuffer、2mM dNTPs、抗体と混合した2.5Uの酵素を含むPCR反応液を作製した。
(2)前記(1)で作製した反応液に、滅菌水で溶解したEMA(ANASPEC)を終濃度100、50、20、10、5、2、0μg/mlになるように、またはPMA(Biotium)を20、10、4、2、1、0.4、0μMになるように加えた。
(3)その後、前記(2)で作製した液に対し、ハロゲンランプ(岩崎電気)を用い、照射距離20cmで5分間の光照射をした。
(4)前記で得られた光照射サンプル50μlに、10pmolのプライマー(配列番号1および2)、10ngのヒトゲノムDNA(Roche社製)を添加することで50μlのPCR反応液を調製した。
反応は94℃、2分の前反応の後、94℃、10秒→62℃、30秒→68℃、1分を35サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社製)にてPCRを行った。
KODのPCR反応系にはKOD−PLUS−Ver.2(TOYOBO)を用いた。
光照射サンプルは、PCR反応液を以下の(1)の手順で作製する以外は、前記のTaqの場合と同様に行った。
(1)1×添付のBuffer、2mM dNTPs、1.5mM MgSO、1Uの酵素を含むPCR反応液を作製した。
反応は94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→65℃、10秒→68℃、1分を35サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社製)にてPCRを行った。
前記で作製したTaqまたはKODのPCR反応系を用いてそれぞれ反応終了後、MaltiNA(島津製作所)をもちいて、DNA−1000のゲルで泳動を行い、746bp付近のDNA断片を確認した。
その結果、TaqのPCRではEMAで20μg/ml、PMAでは4μM以上で阻害により増幅が見られなかった(図1)。一方、KODのPCRでは、Taqより阻害に強く、EMAでは20μg/ml、PMAでは4μMまでは増幅が確認された。それ以上の濃度になるとKODでも阻害が生じる結果となった(図2)。これらの濃度以下であれば、Taq、KODそれぞれの反応系を阻害せずPCRを実施できることが示された。
(実施例2)
EMA、PMAにおけるPCR反応液中のコンタミ核酸除去(TaqのPCR)
TaqのPCRにおいて、阻害の生じなかったEMA終濃度2μg/ml、および5μg/ml、PMA終濃度1μM、および0.4μMでPCR反応系にコンタミするバクテリア由来の核酸を除去できるか検討した。
通常、バクテリアの16S rRNA共通領域を増幅するプライマーを用いてPCRを実施するとテンプレートを入れていないコントロール(NTC)でも増幅が見られる。コンタミ核酸が除去されていればNTCで増幅が確認できないはずである。
検討は実施例1と同様、rTaq DNA Polymerase(TOYOBO)とAnti−Taq High(TOYOBO)と混合したものを用いた。PCR反応液に光感受性架橋剤を加えて光エネルギーを作用させた光照射サンプルは、1×rTaq DNA Polymeraseに添付のBuffer、2mM dNTPs、抗体と混合した2.5Uの酵素を含むPCR反応液に、滅菌水で溶解したEMA(ANASPEC)を終濃度5、2μg/mlになるように、またはPMA(Biotium)を1、0.4μMになるように加え光照射サンプルを調製した。その後、ハロゲンランプ(岩崎電気)を用い、照射距離20cmで5分間の光照射をし、16S rRNA共通領域を増幅する10pmolのプライマー(配列番号3および4)を添加することで50μlのPCR反応液を調製した。光感受性架橋材を含まないコントロール、および光感受性架橋材による阻害を確認するため、光照射後、5ngのE.coliゲノムを添加したコントロールも同時に実施した。反応は94℃、2分の前反応の後、94℃、10秒→50℃、10秒→68℃、1分を40サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社製)にてPCRを行った。
それぞれ反応終了後、MaltiNA(島津製作所)をもちいて、DNA−1000のゲルで泳動を行い、800bp付近のDNA断片を確認した(図3)。
結果、光感受性架橋材を添加していないコントロールではNTCでも増幅が確認された。これはPCR反応液中に含まれるコンタミ核酸によるものだと考えられる。またE.coliゲノムを添加したコントロールではEMAやPMAを添加しても増幅が確認された。これはEMAやPMAによる阻害がないことが示される。一方、EMAを5、2μg/ml、PMAを1μM添加したものでは増幅が見られず、コンタミした核酸を除去できたことがわかった。PMAを0.4μM添加したものでは、薄く増幅が見られている。これは光感受性架橋材の作用が不十分でコンタミ核酸が完全に除去できなかったことが示唆される。
(実施例3)
EMA、PMAにおけるPCR反応液中のコンタミ核酸除去(KODのPCR)
Taqと同様、KODのPCRにおいても、阻害の生じなかったEMA終濃度20μg/ml、PMA終濃度4μMでPCR反応系にコンタミするバクテリア由来の核酸を除去できるか検討した。
検討は、KOD −Plus− Ver.2(TOYOBO)用いた。1×添付のBuffer、2mM dNTPs、1.5mM MgSO、1Uの酵素を含むPCR反応液に滅菌水で溶解したEMA(ANASPEC)を終濃度20μg/mlになるように、またはPMA(Biotium)を4μMになるように加え光照射サンプルを調製した。その後、ハロゲンランプ(岩崎電気)を用い、照射距離20cmで5分間の光照射をし、16S rRNA共通領域を増幅する10pmolのプライマー(配列番号3および4)を添加することで50μlのPCR反応液を調製した。光感受性架橋材を含まないコントロール、および光感受性架橋材による阻害を確認するため、光照射後、5ngのE.coliゲノムを添加したコントロールも同時に実施した。反応は94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→50℃、10秒→68℃、1分を40サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社製)にてPCRを行った。
それぞれ反応終了後、MaltiNA(島津製作所)をもちいて、DNA−1000のゲルで泳動を行い、800bp付近のDNA断片を確認した(図4)。
結果、実施例2と同様、光感受性架橋材を添加していないコントロールではNTCでも増幅が確認された。これはPCR反応液中に含まれるコンタミ核酸によるものだと考えられる。またE.coliゲノムを添加したコントロールではEMAやPMAを添加しても増幅が確認された。これはEMAやPMAによる阻害がないことが示される。一方、EMAを20μg/ml、PMAを4μM添加したものでは増幅が見られず、コンタミした核酸を除去できたことがわかった。
(実施例4)
EMA、PMAにおけるPCR反応液中のコンタミ核酸除去(TTHのPCR)
TTH DNA Polymerase(TTH)はマンガン存在下で逆転写活性を保持しており、RNAからの増幅が可能である。コンタミ核酸がRNAでも除去できるのか、TTHを用いて検討した。
検討は、RNA−direct Realtime PCR Master Mix(TOYOBO)を用いた。2×のMasterMixに滅菌水で溶解したEMA(ANASPEC)を終濃度10、5μg/mlになるように、またはPMA(Biotium)を2、1μMになるように加え光照射サンプルを調製した。その後、ハロゲンランプ(岩崎電気)を用い、照射距離20cmで5分間の光照射をし、16S rRNA共通領域を増幅する10pmolのプライマー(配列番号3および4)を添加することで50μlのPCR反応液を調製した。光感受性架橋材を含まないコントロール、および光感受性架橋材による阻害を確認するため、光照射後、5ngのE.coliゲノムを添加したコントロールも同時に実施した。反応は90℃、15秒、50℃、20分の逆転写反応の後、95℃、30秒の前反応、95℃、10秒→50℃、10秒→76℃、1分を40サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社製)にてRT−PCRを行った。
それぞれ反応終了後、MaltiNA(島津製作所)をもちいて、DNA−1000のゲルで泳動を行い、800bp付近のDNA断片を確認した(図5)。
結果、光感受性架橋材を添加していないコントロールではNTCでも増幅が確認された。これはPCR反応液中に含まれるコンタミ核酸(DNAやRNA)によるものだと考えられる。またE.coliゲノムを添加したコントロールではEMAやPMAを添加しても増幅が確認された。これはEMAやPMAによる阻害がないことが示される。一方、EMAを10、5μg/ml、PMAを2、1μM添加したものでは増幅が見られず、コンタミした核酸を除去できたことがわかった。今回の結果で反応系に含まれるRNAにも光感受性架橋材が作用することが示された。
(実施例5)
EMA、PMAにおけるコンタミ核酸除去能の評価
EMA、PMAでどの程度の核酸が除去できるかを確認した。
検討にはKOD FX(TOYOBO)を用い、1×添付のBuffer、4mM dNTPs、1Uの酵素を含むPCR反応液にヒトゲノム(Roche)をそれぞれ10、1、0.1ng加え、滅菌水で溶解したEMA(ANASPEC)を終濃度20μg/mlになるように、またはPMA(Biotium)を4μMになるように添加し光照射サンプルを調製した。その後、ハロゲンランプ(岩崎電気)を用い、照射距離20cmで5分間の光照射をし、Hbg領域481bpを増幅する10pmolのプライマー(配列番号5および6)を添加することで50μlのPCR反応液を調製した。光感受性架橋材を含まないコントロールも同時に実施し、光照射をせずにPCRするコントロールも実施した。反応は94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→65℃、10秒→68℃、1分を40サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社製)にてPCRを行った。
それぞれ反応終了後、MaltiNA(島津製作所)をもちいて、DNA−1000のゲルで泳動を行い、481bp付近のDNA断片を確認した(図6)。
結果、光照射をせずにPCRしたコントロールでは、EMAやPMAが含まれていても10、1、0.1ngのヒトゲノムからそれぞれHbgの481bpの増幅が確認できた。これはこの濃度ではEMAやPMAによるPCRの阻害がないことが示される。一方、光照射した方では、光感受性架橋材が含まれていないコントロールは10、1、0.1ngのヒトゲノムからそれぞれHbgの481bpの増幅が確認できるのに対し、EMA、PMAが含まれたサンプルでは増幅が確認できなかった。これはEMA、PMAによって核酸が除去されたことを示す。通常、10ngを超えるゲノムがコンタミすることは考えにくいが、本発明を使えば10ng程度のコンタミであれば完全に除去できることが示された。
(実施例6)
PCR因子へのコンタミ核酸の確認
KOD −Plus− Ver.2(TOYOBO)におけるコンタミが、どの因子からの持込みか確認した。
[1]2mM dNTPs、1.5mM MgSO、1Uの酵素を含むPCR反応液
[2]1×添付のBuffer、1.5mM MgSO、1Uの酵素を含むPCR反応液
[3]1×添付のBuffer、2mM dNTPs、1Uの酵素を含むPCR反応液
[4]1×添付のBuffer、2mM dNTPs、1.5mM MgSOを含むPCR反応液
の、それぞれに滅菌水で溶解したEMA(ANASPEC)を終濃度20μg/mlになるように加え光照射サンプルを調製した。その後、ハロゲンランプ(岩崎電気)を用い、照射距離20cmで5分間の光照射をし、[1]には添付のBufferを1×になるように、[2]には2mM dNTPを、[3]には1.5mM MgSOを、[4]には1Uの酵素を加え、さらに16S rRNA共通領域を増幅する10pmolのプライマー(配列番号3および4)を添加することで50μlのPCR反応液を調製した。光感受性架橋材を含まないコントロールも同時に実施した。反応は94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→50℃、10秒→68℃、1分を40サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社製)にてPCRを行った。
それぞれ反応終了後、MaltiNA(島津製作所)をもちいて、DNA−1000のゲルで泳動を行い、800bp付近のDNA断片を確認した(図7)。
結果、EMAを含まないコントロールでは実施例3と同様、増幅が確認された。一方、EMAを添加し核酸を除去したものでは、dNTPを後入れした[2]と、酵素を後入れした[4]とでのみ増幅が確認された。これはdNTPsと酵素にコンタミ核酸が存在していたことを示す。
今回のようにポリメラーゼだけでなく、dNTPsなどのPCR因子にコンタミがある場合、ポリメラーゼをいくら精製してもNTCで増幅が生じることになる。本発明はPCR反応系に存在する核酸を除去できる面で非常に有効だといえる。
本発明は、バイオテクノロジー関連産業において有用であり、特にDNA合成に関わる技術関連において有用である。

Claims (11)

  1. PCR反応液に含まれるコンタミナントRNA核酸の除去方法であって、前記PCR反応液を構成する少なくとも1つ以上の成分を含む溶液中(但し、該溶液がEA1プロテイナーゼを含む場合を除く)に光感受性架橋剤を加え、光エネルギーを作用させる工程を含む方法。
  2. 光エネルギーを作用させる手段が可視光線の照射である、請求項1に記載の方法。
  3. 光感受性架橋剤が、エジウムモノアジド(EMA)、プロピジウムモノアジド(PMA)、EMA誘導体およびPMA誘導体からなる群から選ばれる1つ以上である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. PCR反応液を構成する少なくとも1つ以上の成分を含む溶液に含まれるEMAおよびEMA誘導体を合計した濃度が2μg/ml以上である、請求項に記載の方法。
  5. PCR反応液を構成する少なくとも1つ以上の成分を含む溶液に含まれるEMAおよびEMA誘導体を合計した濃度が20μg/ml以下である、請求項3又は4に記載の方法。
  6. PCR反応液を構成する少なくとも1つ以上の成分を含む溶液に含まれるPMAおよびPMA誘導体を合計した濃度が1μM以上である、請求項に記載の方法。
  7. PCR反応液を構成する少なくとも1つ以上の成分を含む溶液に含まれるPMAおよびPMA誘導体を合計した濃度が4μM以下である、請求項3又は6に記載の方法。
  8. PCR反応液が、α型DNAポリメラーゼ及びPolI型DNAポリメラーゼからなる群より選択される少なくとも1つのDNAポリメラーゼを更に含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. PCR反応液が、好熱性プロテイナーゼを含む場合を除く、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の方法でコンタミナントRNA核酸除去を実施するための光感受性架橋剤を含む試薬。
  11. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の方法で得られたPCR反応液にプライマーを添加し、遺伝子増幅を行う方法。
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