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JP6485832B2 - 中空部材の前方押出加工方法 - Google Patents
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JP6485832B2 - 中空部材の前方押出加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、中空部材の前方押出加工方法に関する。
自動車部品などの機械部品の軽量化、低コスト化の要求に対応して、様々な中空冷間鍛造品が製造されるようになっている。中空冷間鍛造品の製造方法としては、例えば、以下の方法が知られている。まず、中実部材を後方押出加工及びその後の打ち抜き加工によって中空化する。そして、中空部材にさらに据え込み加工や前方押出加工等を行うことで、所定の形状の中空冷間鍛造品を作製する。この方法の中空部材の前方押出加工においては、内径部(内径面)の割れ発生が問題となっていた。
具体的には、中空部材を出発材として、2回以上の前方押出加工(中空部材の外径面を絞る加工)によって、異なる外径を持つ3つ以上の軸部を有する円筒状の所望の段付中空部材を成形する場合がある。この場合、通常は、中空部材の外径面を前方押出加工によって絞ることで2番目の太さの軸部を成形する。次いで、2番目の太さの軸部の外径面を前方押出加工によって絞ることで3番目の太さの軸部を成形する。このように、軸部の太いものから順次成形する。この場合、2番目以降の太さの軸部は、その軸部の上流側(その軸部より外径が太い軸部が存在する側)に存在する段差の数だけ前方押出されるため、段差の数が多くなればなるほど、段付中空部材の内径面割れが発生しやすくなる。
特許文献1においては、加工硬化指数n値が0.2以上の中実の被加工材(出発材)を用いる、もしくは、被加工材の加工硬化指数n値が0.2以上になるよう熱処理を行うことで、被加工材の多段冷間前方押出加工における内部割れを抑制する方法が提案されている。さらに、特許文献1においては、上記被加工材の使用もしくは熱処理に加えて、まず減面率の大きい前方押出加工を中実部材に対して行い、次に、望ましくは焼鈍などの熱処理を行った後、減面率の小さい前方押出加工を行うことで、中実部材の多段冷間前方押出における内部割れを抑制する方法が提案されている。また、特許文献2には、3段の段差を外径面に持つ段付中実部材の製造方法が開示されている。この方法では、出発材である中実部材に対して押出加工を行い、3番目に細い軸部を成形する。次いで、3番目に細い軸部に対して押出加工を行い、最も細い軸部を成形する。その後、3番目に細い軸部の残りに対して、2番目に細い軸部を成形するように、押出加工する。特許文献2においては、上記の順に加工することで、最も細い軸部が受ける前方押出加工の回数を減らし、最も細い軸部における内部割れを抑制する方法が提案されている。
特開2000−312947号公報 特開昭60−24218号公報
しかし、特許文献1で開示された方法は、加工硬化指数n値が0.2以上の被加工材に限定される。さらに、被加工材の加工硬化指数n値を0.2以上にするための熱処理工程や、減面率の大きい前方押出加工において生じた被加工材中のひずみを除去するための中間熱処理工程を必要とするため、製造コストの増加を余儀なくされる。また、特許文献2で開示された方法は、最も細い軸部以外の軸部における割れの発生を抑えようとする場合には効果が全く無い。さらに、特許文献1、2に開示された技術は、中実部材を対象としている。すなわち、特許文献1、2は、中空部材の内径面割れに何ら言及していない。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、製造コストの大幅な増加を伴うこと無く、中空部材の内径面割れを抑制することが可能な、新規かつ改良された中空部材の前方押出加工方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態によれば、中空部材に2回以上の前方押出加工を行うことで、前記中空部材の外径面を2段階以上絞る前方押出加工方法であって、第1の外径を有する第1の軸部を前記前方押出加工により成形する第1の工程と、前記第1の外径よりも細い第2の外径を有する第2の軸部を前記前方押出加工により成形する第2の工程と、を含み、前記第2の工程は、前記第1の工程よりも先に行われることを特徴とする前方押出加工方法が提供される。
ここで、前記第2の工程を行う際の減面率が48%以上であってもよい。
ダイス、パンチ及びマンドレルを用いて前記前方押出加工を行ってもよい。
以上説明した本発明によれば、製造コストの大幅な増加を伴うこと無く、中空部材の内径面割れを抑制することが可能である。
従来技術及び本発明の実施形態に係る前方押出加工方法の概略を示す工程図である。 図1の最終工程における延性破壊指数の分布を示す断面図である。 中空部材の前方押出加工において、減面率が延性破壊指数に与える影響を示すグラフである。 本発明の実施系形態に係る前方押出加工装置の例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る中空部材及び段付中空部材の形状を示す断面図である。 中空部材の前方押出加工において、マンドレルの使用の有無が、減面率と延性破壊指数の関係に与える影響を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、図面は、発明の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の物とは異なる個所もあるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
<1.本発明者が行った検討>
本発明者らは、中空部材の内径面割れを抑制する方法について検討し、その結果、本実施形態に係る前方押出加工方法に想到した。そこで、まず、本発明者らが行った検討について説明する。
本発明者らは、中空部材の前方押出加工における内径面割れに及ぼす押出順序の影響を検討するために、前方押出中の中空部材に生じる延性破壊指数を有限要素法解析により推定した。その過程を図1、図2に基づいて説明する。
図1(a)は、従来技術(比較例)による中空部材の前方押出加工方法の概略を示す工程図であり、図1(b)は、本発明の実施形態(実施例)に係る中空部材の前方押出加工方法の概略を示す工程図である。なお、図1(a)及び図1(b)に示す工程図は、各工程の被加工材である円筒状の中空部材Wをその中心軸に沿って切った断面図により構成される。従来技術及び本実施形態の前方押出加工のどちらも素材(出発材)の中空部材W(図1(a)及び図1(b)の最上段)および最終工程後の段付中空部材Wの形状(図1(a)及び図1(b)の最下段)は同一である。詳細には、段付中空部材Wは、外径の異なる4つの軸部を有し、且つ、4つの軸部は、その並び順に従って外径が細くなっている。しかしながら、従来技術による前方押出加工方法と本実施形態に係る前方押出加工方法とでは押出し(絞り)の順序が異なる。詳細には、従来技術では、出発材の中空部材Wの外径面を前方押出加工によって絞ることで3番目に細い軸部113を成形し(図1(a)の1工程目)、軸部113の外径面を前方押出加工によって絞ることで2番目に細い軸部112を成形し(図1(a)の2工程目)、軸部112の外径面を前方押出加工によって絞ることで最も細い軸部111(図1(a)の3工程目)を成形する。それに対し、本実施形態では、出発材の中空部材Wの外径面を前方押出加工によって絞ることで2番目に細い軸部112を成形し(図1(b)の1工程目)、軸部112の外径面を前方押出加工によって絞ることで最も細い軸部111を成形し(図1(b)の2工程目)、最も太い軸部114の外径面を前方押出加工によって絞ることで3番目に細い軸部113を成形する(図1(b)の3工程目)。すなわち、図1(b)においては、最も細い軸部111を成形した後に、軸部111よりも太い軸部114を成形する(3工程目)。
まず、本発明者らは、図1(a)の従来技術及び図1(b)の本実施形態における前方押出加工方法によって段付中空部材Wに生じる内径面割れの可能性を予測するために、各方法での中空部材Wの延性破壊指数Iを有限要素法解析により推定した。詳細には、各方法での段付中空部材Wを複数の小領域に区分し、各小領域に生じる延性破壊指数Iを推定した。延性破壊指数Iは以下の数式(1)で示される。
Figure 0006485832
ここで、Iは延性破壊指数、σmaxは最大主応力、σeqは相当応力、εeqは相当塑性ひずみである。数式(1)の右辺の分子に書かれている積分式はCockcroft&Lathamの式と呼ばれる延性破壊条件式であり、この積分式から計算される数値が材料固有の定数cに達すると、割れが発生すると判断する。すなわち、延性破壊指数Iが1に達すると割れが発生すると判断する。
また、解析条件は以下のとおりである。外径φ20mm、内径φ10mmの中空部材Wを3回の前方押出により、図1(a)及び図1(b)の最下段に示されるように、最も太い軸部114の外径がφ20mm、内径がφ10mm、3番目に細い軸部113の外径がφ16mm、内径がφ5mm、2番目に細い軸部112の外径がφ15mm、内径がφ5mm、最も細い軸部111の外径がφ14mm、内径が5mmとなるように成形した。成形された段付中空部材Wの長手方向軸(中心軸)と各軸部を繋ぐ傾斜面121(軸部111と軸部112の間)、傾斜面122(軸部112と軸部113の間)、傾斜面123(軸部113と軸部114の間)のなす角度は20°、傾斜面121、122、123の角部の曲率半径は0.5mmとした。せん断摩擦係数m=0.1、軸対称モデル、金型は全て剛体、中空部材Wは剛塑性体(四角形要素)でSCr420H球状化焼鈍材の変形抵抗曲線および材料定数cを使用した。
図2に最終工程後の段付き中空部材Wの断面における延性破壊指数Iの分布を示す。詳細には、図2(a)は、図1(a)の工程(従来技術)によって作成された段付中空部材Wの断面における延性破壊指数Iの分布であり、図2(b)は、図1(b)の工程(本実施形態)によって作成された段付中空部材Wの断面における延性破壊指数Iである。延性破壊指数Iが1未満の領域については、延性破壊指数Iの大きさは、図2の右端に示すように、ハッチングの濃淡で示し、ハッチングが濃い方が延性破壊指数Iは小さく、ハッチングが薄い方が延性破壊指数Iは大きくなる。また、延性破壊指数Iが1以上の領域は、斜線でハッチングされている。従来技術では、軸部111は、3回の前方押出加工を受けたため、その内径面での延性破壊指数Iが1.10となり、延性破壊指数Iが1を超える。したがって、従来技術においては、軸部111には内径面割れが発生する可能性が非常に高いと予測された。一方、本実施形態においては、軸部111が受ける押出加工の回数が3回から2回に減ったため、軸部111の延性破壊指数Iが0.56にまで低減された。したがって、本実施形態においては、延性破壊指数Iの値から、軸部111に内径面割れが発生する可能性は少ないと予測された。すなわち、前方押出加工を受ける回数が少なくすることによって、延性破壊指数Iが低減され、内径面割れの発生する可能性が少なくなることがわかった。
また、中実部材と異なり、中空部材Wは内径内にマンドレルを挿入した状態で前方押出加工を行うことが可能である。挿入するマンドレルの外径を、同じ中空部材Wをマンドレルの挿入なしに前方押出加工を行った場合の成形後の中空部材Wの内径よりも大きくすることで、中空部材Wの内径における縮径をマンドレルで制限しながら前方押出加工を行うことができる。このようにすることで、中空部材Wの内径が自由に縮径することができなくなるため、中空部材Wの中心軸方向の沿った材料の流れが促進され、中空部材の内径側と外径側の材料流れの速度差が小さくなり、内径面での引張応力が緩和されて、内径面割れを抑制することが可能となると考えられる。
次に、本発明者らは、中空部材Wの各軸を前方押出加工によって成形する際の減面率が内径面割れに及ぼす影響を検討するために、減面率の異なる前方押出加工における中空部材Wの内径面の延性破壊指数Iを有限要素解析により推定した。その結果を表1、図3に基づいて説明する。ここで、各軸の減面率とは、各軸の加工前の断面積をS0とし、加工後の各軸の断面積をSfとした場合、{(S0-Sf)/S0}×100(%)で求められる値である。
外径φ20mm、内径φ10mmの中空部材Wを素材(出発材)として、素材の内径内にマンドレルを挿入することで内径をφ10mm一定としたまま、それぞれ1回の前方押出加工により外径をφ19mm(水準1、8)、φ18.5mm(水準2、9)、φ18mm(水準3、10)、φ17.5mm(水準4、11)、φ17mm(水準5、12)、φ16mm(水準6、13)、φ15mm(水準7、14)に絞った。そして、前方押出加工後の段付中空部材Wの内径面の延性破壊指数Iを有限要素解析により推定した。さらに、各水準の前方押出加工における減面率を、上記と同様に算出した。なお、段付中空部材Wの長手方向軸(中心軸)と2つの軸部を繋ぐ傾斜面のなす角度(すなわちダイス角度)は15°(水準1〜7)と30°(水準8〜14)の2通りである。その他の解析条件は次の通りである。傾斜面の角部の曲率半径は0.2mm、せん断摩擦係数m=0.1、軸対称モデル、金型は全て剛体、中空部材W(素材)は剛塑性体(四角形要素)でSCr420H球状化焼鈍材の変形抵抗曲線および材料定数cを使用した。この結果を表1および図3に示す。詳細には、表1には、各水準の加工の諸条件と減面率と延性破壊指数Iとを示す。図3には、減面率に対する延性破壊指数Iの関係を示す。
Figure 0006485832
図3に示すように、ダイス角度に関係なく、前方押出加工の際の減面率が高くなることで中空部材Wの内径面での延性破壊指数Iが低下し、減面率48%以上になると延性破壊指数Iはほぼ0となる。このことから、減面率を高くすることにより、内径面での割れが抑制され、特に減面率48%以上にすると内径面割れが大きく抑制されることが分かった。
<2.前方押出加工装置の構成及び前方押出加工方法>
以下に、本発明の実施形態で用いられる前方押出加工装置及び前方押出加工方法について説明する。図4は、中空部材Wの外径面を1段絞る前方押出加工装置200の一例の概要を示す断面図である。前方押出加工装置200は、ダイス201と、マンドレル202とを備える。ダイス201は、略円筒形状の部材である。マンドレル202は、略円柱形状の部材であり、ダイス201の内部にダイス201と同軸上に設けられている。直線202aは、マンドレル202及びダイス201の中心軸を示す。ダイス201の内径面201bには、外径絞り部230が成形されている。なお、以下の説明では、中空部材Wが前方押出加工装置200内を進行する(流れる)方向A1を下流方向、下流方向の逆方向を上流方向として説明する。
外径絞り部230は、ランド部231と、傾斜面232と、逃げ部233とを備える。ランド部231は、マンドレル202側に突出した部分である。傾斜面232は、中空部材Wの進行方向(矢印A1方向)に交差する面であり、ランド部231とランド部231の上流側の内径面201bとを連結する。逃げ部233は、ランド部231の下流側に成形される。逃げ部233の内径面(表面)は、ランド部231の内径面(表面)よりも外側(ダイス201の外径面側)に配置される。すなわち、逃げ部233と中空部材Wとの間には隙間が形成されている。
この前方押出加工装置200を用いた前方押出加工方法は以下のとおりである。すなわち、中空部材Wをダイス201とマンドレル202との間に通し、中空部材Wをパンチにより前方押出する。これにより、中空部材Wは、矢印A1方向に進行する。中空部材Wの外径面は、外径絞り部230により絞られる(すなわち縮径される)。これにより、段付中空部材Wが成形される。
そして、本実施形態では、ダイス、パンチ及びマンドレルを用いて前方押出加工方法を2回以上行うことで、中空部材Wの外径面を2段以上絞る。すなわち、本実施形態に係る前方押出加工方法は、第1の外径を有する第1の軸部を前方押出加工により成形する第1の工程と、第1の外径よりも細い第2の外径を有する第2の軸部を前方押出加工により成形する第2の工程と、を含む。そして、第2の工程は、第1の工程よりも先に行われる。
なお、本実施形態に係る前方押出加工装置及びそれを用いた前方押出加工方法は、上記説明のような前方押出加工装置200及びそれを用いた前方押出加工方法に限定されるものではなく、ダイス、パンチ及びマンドレルを備える前方押出加工装置及びそれを用いた前方押出加工方法であれば、特に限定されるものではない。
次に、本発明の効果を確認するために、以下の実施例を行った。なお、以下に示す実施例は、本発明の実施形態に係る前方押出加工のあくまでも一例であって、本発明の実施形態に係る中空部材の前方押出加工が、下記の例に限定されるものではない。
本実施例でも、上記と同様に、有限要素法解析により各実施例2〜6(水準2〜6)及び比較例(水準1)の中空部材Wにおける延性破壊指数を推定した。解析条件は以下のとおりである。図5(a)の断面図に示されるような外径φ20mm、内径φ10mmの中空部材W(出発材)を、中空部材Wの内径内に外径φ10mmのマンドレルを挿入し、中空部材Wの内径の縮径をマンドレルで制限しながら、図5(b)の断面図に示すような、外径φ20mm、内径φ10mmの軸部414と、外径φ18mm、内径φ10mmの軸部413と、外径φ16mm、内径φ10mmの軸部412と、外径φ15mm、内径φ10mmの軸部411を持ち、それらが傾斜面423、傾斜面422、傾斜面421で繋がれた段付中空部材Wとなるように、各実施例2〜6(水準2〜6)及び比較例(水準1)の前方押出加工を行った。すなわち、加工後に得られる段付中空部材Wは、外径の異なる4つの軸部411、412、413、414を有し、各軸部は、その並び順に従って外径が細くなっている。なお、前方押出加工方法については、前述のとおりである。加工後の中空部材Wの長手方向軸(中心軸)と各傾斜面423,422、421のなす角度は全て30°、傾斜面423,422、421の角部の曲率半径は0.5mmとし、せん断摩擦係数m=0.1、軸対称モデル、金型は全て剛体、素材は剛塑性体(四角形要素)でS43C球状化焼鈍材の変形抵抗曲線および材料定数cを使用した。また、各実施例2〜6(水準2〜6)及び比較例(水準1)にかかる前方押出加工の順番を表2に示す。例えば、実施例4(水準4)は、出発材である中空部材Wから2番目に細い軸部412を成形し、次いで、軸部412から最も細い軸部411を成形し、さらに、もっとも太い軸部414から3番目に細い軸部413を成形する。したがって、その順番は、図1(b)に示す例に対応するものである。表2からわかるように、実施例2〜6では、それぞれ前方押出加工の順序が異なるものの、少なくとも1回は、太い軸部の成形(上記第1の工程)の前に細い軸部の成形(上記第2の工程)を行う。例えば、実施例2、6では、軸部412よりも細い軸部411の成形は、軸部412を成形するよりも先に行われる。また、実施例3,6では、軸部413よりも細い軸部412の成形は、軸部413を成形するよりも先に行われる。また、実施例4,5では、軸部413よりも細い軸部411の成形は、軸部413を成形するよりも先に行われる。各実施例2〜6(水準2〜6)及び比較例(水準1)の内径面延性破壊指数Iと減面率の結果を表2に示す。
Figure 0006485832
表2によれば、比較例(水準1)の順序で前方押出加工を行った場合は、軸部411の内径面の延性破壊指数Iが1を超えたのに対し、実施例2〜6(水準2〜6)の場合は、いずれも軸部411の内径面の延性破壊指数Iが1未満であった。このような結果から、比較例(水準1)においては軸部411での内径面割れが生じる可能性が高く、実施例2〜6(水準2〜6)においては軸部411での内径面割れが抑制されていると予測される。
詳細には、比較例(水準1)では、軸部411は、1〜3工程目の全てにおいて前方押出加工を受け(すなわち、軸部411は3回前方押出加工を受ける)、且つ、1〜3工程目のいずれでも減面率が48%以下であったため、各工程で大きく延性破壊指数が上昇し、最終的な軸部411の内径面の延性破壊指数Iが1を超えたものと推定される。
一方、実施例2(水準2)では、比較例(水準1)と比べて、軸部411における最終的な内径面の延性破壊指数Iは0.44にまで低減された。これは、実施例2(水準2)では、軸部411が前方押出加工を受ける回数が2回に減ったため、比較例(水準1)と比べて、軸部411における最終的な延性破壊指数Iが低減されたと推定される。また、実施例3、4(水準3、4)では、比較例(水準1)と比べて、軸部411における最終的な延性破壊指数Iは0.40にまで低減された。この結果は、実施例3,4(水準3,4)では、軸部411が前方押出加工を受ける回数が2回に減り、且つ、軸部411が前方押出加工を受ける1工程目では減面率が48.0%と高く、1工程目において軸部411の延性破壊指数Iがほとんど上昇しなかったため、比較例(水準1)と比べて、軸部411における最終的な延性破壊指数Iは低減されたと推定される。さらに、実施例5、6(水準5、6)では、比較例(水準1)と比べて、軸部411が前方押出加工を受ける回数が1回に減り、且つ、軸部411が前方押出加工を受ける1工程目での減面率が58.3%と高く、1工程目の延性破壊指数Iが低く抑えられるため、軸部411における最終的な延性破壊指数Iは0.02にまで低減された。
ところで、実施例3、4、6(水準3、4、6)では、軸部413よりも先に軸部412の成形を行ったため、軸部412を成形する際の減面率が大きく(48.0%)となっている。このため、軸部411だけでなく、最終的な軸部412における延性破壊指数も、比較例(水準1)の軸部412の延性破壊指数Iに比べて低くなっている。具体的には、比較例(水準1)の軸部412の延性破壊指数Iが0.70であったのに対し、実施例3,4,6(水準3、4、6)の軸部412の延性破壊指数Iは0.04であった。なお、実施例2、5(水準2,5)の最終的な軸部412の延性破壊指数Iは、比較例(水準1)と同じ(0.70)であったが、この数値は1以下であった。この結果は、実施例2、5(水準2,5)及び比較例(水準1)では、軸部412が受ける前方押出加工を受ける回数は2回であり、且つ、軸部412の受ける各前方押し出し加工における減面率も、25.3%及び30.4%と同じであるためと推定される。
なお、軸部413については、各実施例2〜6(水準2〜6)及び比較例(水準1)ともに、前方押出加工を受ける回数は1回であり、且つ、軸部413の受ける前方押し出し加工における減面率(25.3%)は同じであるため、各実施例2〜6(水準2〜6)及び比較例(水準1)ともに、軸部413における最終的な延性破壊指数Iも同じ値(0.28)となる。
すなわち、表3による結果から、前方押出加工を受ける回数を少なくすることによって、段付中空部材Wの内径面の割れを抑制することができることがわかった。さらに、前方押出加工の減面率を高くすることによって、段付中空部材Wの内径面の割れを抑制することができることがわかった。この減面率は、図3の結果から推測されるように、内径面の割れを効果的に抑制するためには48%以上とすることが好ましい。したがって、前方押出加工の回数を少なくし、減面率を高くするためには、前方押出加工により一の軸部を成形した後に、この一の軸部よりも太い軸部をさらなる先方押出加工により成形することが好ましい。
次にマンドレルの使用の効果を確認するために以下の実施例を行った。なお、以下に示す実施例は、本発明の実施形態に係る前方押出加工のあくまでも一例であって、本発明の実施形態に係る中空部材の前方押出加工が、下記の例に限定されるものではない。
本実施例でも、上記と同様に、有限要素法解析により各実施例(水準7〜11)及び各比較例(水準12〜16)の中空部材Wにおける延性破壊指数を推定した。解析条件は以下のとおりである。実施例(水準7〜11)では、外径φ20mm、内径φ10mmの中空部材Wを素材(出発材)として、素材の内径内にマンドレルを挿入し、さらにダイスとパンチを用いて、それぞれ1回の前方押出加工により、外径φ19mm、内径φ10mm(水準7)、外径φ18mm、内径9mm(水準8)、外径φ17mm、内径8mm(水準9)、外径φ16mm、内径8mm(水準10)、外径φ15mm、内径9mm(水準11)、に絞った。比較例(水準12〜16)では、同じく外径φ20mm、内径φ10mmの中空部材Wを素材(出発材)として、素材の内径内にマンドレルを挿入することなく、ダイスとパンチのみを用いて、それぞれ1回の前方押出加工により、外径φ18mm(水準12)、外径φ16mm(水準13)、外径φ15mm(水準14)、外径φ14mm(水準15)、外径φ12mm(水準16)、に絞った。そして、前方押出加工後の段付中空部材Wの内径面の延性破壊指数Iを有限要素解析により推定した。さらに、各水準の前方押出加工後の段付中空部材Wの外径と内径を測り、減面率を上記と同様に算出した。なお、段付中空部材Wの長手方向軸(中心軸)と2つの軸部を繋ぐ傾斜面のなす角度(すなわちダイス角度)はすべて20°である。その他の解析条件は次の通りである。傾斜面の角部の曲率半径は0.5mm、せん断摩擦係数m=0.1、軸対称モデル、金型は全て剛体、中空部材W(素材)は剛塑性体(四角形要素)でSCr420H球状化焼鈍材の変形抵抗曲線および材料定数cを使用した。この結果を表3および図6に示す。詳細には、表3には、実施例及び比較例の各水準の、段付中空部材Wの外径および内径と減面率と延性破壊指数Iとを示す。図6には、減面率に対する延性破壊指数Iの関係を示す。
Figure 0006485832
図6に示すように、中空部材Wの内径内にマンドレルを挿入して、中空部材Wの内径の縮径をマンドレルで制限することで、減面率の大小に関係なく、前方押出加工後の中空部材Wの内径面での延性破壊指数Iが低下しており、マンドレルを用いることで内径面割れの抑制が可能になることが分かった。
以上により、本実施形態によれば、太い軸部よりも先に押し出しを行って細い軸部を成形することにより、前方押出加工を受ける回数を少なくすることによって、段付中空部材Wの内径面の割れを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、中空部材Wの内径内にマンドレルを挿入し、空部材Wの内径の縮径をマンドレルで制限しながら前方押出加工により成形することによって、中空部材Wの内径面の引張応力を緩和し、段付中空部材Wの内径面の割れを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、太い軸部よりも先に押し出しを行って細い軸部を成形することにより、前方押出加工の際の減面率を高くし、段付中空部材Wの内径面の割れを抑制することができる。この減面率は、内径面の割れを効果的に抑制するために、48%以上とすることが好ましい。
加えて、本実施形態によれば、中空部材Wの加工硬化指数n値によらず、内径面割れを抑制することができる。さらに、最も細い軸部以外の軸部でも内径面割れの抑制が可能である。
また、本実施形態は、中空部材Wの材質、特性を特に制限するものではない。例えば、本実施形態が適用可能な中空部材Wは、特定の加工硬化指数n値を有する金属部材に制限されない。さらに、本実施形態においては、内径面割れが生じやすい材質に適用することが可能である。すなわち、本実施形態は、あらゆる金属の中空部材に適用可能である。本実施形態は、これらの金属部材のうち、鋼材であっても良い。さらに、本実施形態では、前方押出加工の順序を変更するだけなので、製造コストを大幅に増加させることがない。
さらに、本実施形態による中空部材の前方押出し加工方法は、前方押出加工の回数を上記説明のように限定するものではなく、2回以上の前方押出加工を行う中空部材の前方押出し加工方法であれば、適用することができる。したがって、最終的に成形される段付中空部材の段数又は軸部の数についても、特に限定されるものではない。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
111、112、113、114、411、412、413、414 軸部
121、122、123、421、422、423 傾斜面
200 前方押出加工装置
201 ダイス
201b 内径面
202 マンドレル
230 外径絞り部
231 ランド部
232 傾斜面
233 逃げ部
W 中空部材

Claims (3)

  1. 中空部材に2回以上の前方押出加工を行うことで、前記中空部材の外径面を2段階以上絞る前方押出加工方法であって、
    第1の外径を有する第1の軸部を前記前方押出加工により成形する第1の工程と、
    前記第1の外径よりも細い第2の外径を有する第2の軸部を前記前方押出加工により成形する第2の工程と、を含み、
    前記第2の工程は、前記第1の工程よりも先に行われることを特徴とする前方押出加工方法。
  2. 前記第2の工程を行う際の減面率が48%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の前方押出加工方法。
  3. ダイス、パンチ及びマンドレルを用いて前記前方押出加工を行うこと特徴とする、請求項1又は2に記載の前方押出加工方法。
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