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JP6488478B2 - 架線類検測装置 - Google Patents
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JP6488478B2 - 架線類検測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、架線類検測装置に関し、とくに確率伝播法と時系列フィルタを用いて複数の架線類の変位などを検査・測定するための架線類検測装置に関する。
下記特許文献1には、レーザー光をトロリ線摺動面に照射し、その反射光を受光してその受光信号に基づいてトロリ線の摩耗量を測定する装置が開示されている。
また、下記特許文献2には、ナトリウムランプ光源とラインセンサを用いてトロリ線摺動面を測定する装置が開示されている。
下記特許文献3には、パンタグラフ方向に光を照射し、その反射光を用いてトロリ線摺動面を検出する装置が開示されている。
なお、本発明に関連する架線類検出装置として、確率的なアプローチ(以下、確率論的アプローチという)を使用し、どの時点で何本の架線があるか分かっている場合に有効な手法の発明もなされている(特願2013−232759、特願2013−232761参照)。この手法は過去の同区間の計測データを有効活用することで時系列フィルタの状態遷移や架線の本数を決定している。
一方、下記非特許文献1には、時系列フィルタであるパーティクルフィルタの確率遷移方法としてSIR(Sampling Importance Resampling)とMCMC(Malkov Chain Monte Calro)を組み合わせるSIR/MCMCパーティクルフィルタにより、追跡対象の数が分からない場合にも対応できる手法が提案されている。
ここで、パーティクルフィルタについて、図1に基づき説明する。
先ず、図1上段は横軸が状態、縦軸が確率を示す確率密度分布である。本手法では状態は場合によって変わるが(架線の偏位・摩耗の開始位置・摩耗の幅×架線の本数)、どれも多次元になるため、ここでは簡単のため1次元の概念図にして説明している(例えば架線偏位における確率を表す関数とみなせる)。図1上段左は、状態(架線位置、摩耗幅など)の確率密度分布が一様分布であり、図1上段中央は、事後分布に状態遷移モデルをかけて状態の分布を算出している。
次に、図1中段は、確率密度分布を離散化して表示したものになる。確率密度分布のような連続関数は数式で表せない場合は計算が不可能であるが、離散化・近似を行うことで元の確率密度分布に近しい値を算出することが出来る。これを図中では、「確率密度分布の近似」と示している。
非特許文献1に記載されたSIR/MCMCパーティクルフィルタでは、低解像度MCMCパーティクルフィルタ(一様サンプリング法に基づく方法であり、真値への収束性能は低い一方、追跡対象の変化が急激でなければ、全対象へ一様に粒子が収束するという性質を有する)により追跡対象候補位置を大まかに取得し、取得した追跡対象候補位置の近傍に、重点的に高解像度SIRパーティクルフィルタ(一般的なパーティクルフィルタであり、複数の情報源から得られる観測結果の統合が容易であり、ご観測やデータの欠落に強いという性質を有する)の初期粒子を配置することより、確率密度分布において高い値を示す箇所では密に離散化を、低い箇所では疎に離散化を行う。
図1中段左では確率密度分布が一様分布だったため等間隔に離散化を行っている。またこの離散化した際に表現した点の事を粒子(パーティクル)と呼ぶ。
図1下段では、図1中段で得られた離散化した粒子に対して、尤もらしいどうかの評価を行う。これには観測データ(例えば架線偏位の情報が観測されたデータ)を用いる。ここで粒子が尤もらしければ高い値を、尤もらしくなければ低い値を与える。これを尤度という。観測データにより尤度が算出される(事後分布)。
全粒子に対して尤度評価を行うことで事後確率(事後分布)が得られる。これは最初に与えられた確率密度分布を事前確率とすると、尤度を用いてベイズの定理で事後確率が求められるためである。よって図1下段は事後確率を表す。
これが左→中→右と矢印で示すように、時刻とともに変わる観測データに合わせて変わっていく様子を示したのが図1である。実際には右で終わるのではなく、時刻分この処理が行われる。これを図中で「繰り返し」と説明している。
なお、「図1上段中央は、事後分布に状態遷移モデルをかけて状態の分布を算出している。」と説明したが、ここで、「状態遷移モデル」とは、例えば、架線偏位がx1という位置であったら次の時刻にはx2という位置になる確率、の事であり、前時刻の事後分布に対して状態遷移モデル(状態遷移確率、状態遷移方程式とも言う)を用いる事で、新しい(現時刻の)事前分布を得ることが出来る。
ちなみに実際に得られる事前分布は離散化されたものであり、図1で言うと処理的には左下段の事後分布を使用し、中の中段の事前分布を得るという事になる。図1上段はもしこの事前分布を連続関数(確率密度分布)で表すとどうなるかというイメージ図になる。
また、下記非特許文献2には、グラフィカルモデルと確率伝播について記述されており、同時分布の大域最大解を求める方法について記述されている。
特許第4364028号公報 特許第3128428号公報 特許第5277585号公報
倉爪 亮、外5名、「SIR/MCMCパーティクルフィルタを用いた分散カメラとレーザによる複数移動体の同時追跡」、日本ロボット学会誌、2010年1月、28巻、1号、pp.65〜76 C.M.ビショッププ著、「パターン認識と機械学習 下」シュプリンガー・ジャパン株式会社、2008年7月11日、pp.126〜131
特許文献1では、レーザー光をトロリ線摺動面に照射し、その反射光を受光してその受光信号に基づいてトロリ線の摩耗量を測定するが、何本あるか分からない架線(以下、複数架線という)にどのように対応するかについては触れられていない。また、確率論的アプローチは使用していないため、しきい値処理での誤認識が起こる可能性がある。
特許文献2では、ナトリウムランプ光源とラインセンサを用いてトロリ線摺動面を測定するが、特許文献1同様複数架線への対応の詳細が不明なこと、確率論的アプローチを導入していないことが問題である。
特許文献3では、光の反射を使って、ラインセンサカメラ画像からトロリ線を検出している。エッジ検出処理により架線の連続性は評価しているが、区切りによって架線が検出できなかったり複数の架線を取得できなかったりといった問題がある。また確率論的アプローチは導入していない。
特願2013−232759、特願2013−232761の方法では、過去の同区間の計測データを有効活用することで時系列フィルタの状態遷移や架線の本数の決定をしているが、これらの情報がないときに架線の推定が難しくなるおそれがある。
このようなことから本発明は、非特許文献1に記載されているSIR/MCMCパーティクルフィルタを応用するとともに、非特許文献2に記載されている同時分布の大域最大解を求める方法を用いて架線検測を行うことにより、時系列フィルタを用いたデータ処理と確率伝播処理により単一もしくは複数の架線類を高精度に計測することを可能とした架線検測装置を提供することを目的とする。なお、本発明では、架線の検出を決定論ではなく確率論で扱い、その確率が時系列的に連続性を持っていれば同時確率は大きくなることから、この最大確率を得る手法として確率伝播法を用いる。
上記の課題を解決するための第1の発明に係る架線類検測装置は、
時系列フィルタを用いたデータ処理により電車車両上の架線類を高精度に計測する架線類検測装置において、
前記電車車両上面に配置されたラインセンサにより取得された前記架線類の偏位・幅を含むデータを入力するデータ入力部と、
前記架線類の偏位・幅のランダムな値を持つパーティクルを用意するパーティクル初期化部と、
パーティクル及び前記データ入力部で入力された前時刻の前記データを使用して尤度関数に基づき前記パーティクルの尤度値を計算する尤度計算部と、
前記尤度計算部で計算された尤度値に基づき、尤度値の高いパーティクルが高い確率で選ばれるようにしたリサンプリングを行うリサンプリング部と、
前記リサンプリング部でリサンプリングした前記パーティクルのパラメータを状態遷移モデルに基づいて変化させて新たなパーティクルを作成する状態遷移部と、
予め規定した数のラインのデータから得られたパーティクルの尤度値に基づいて確率伝播処理により前記パーティクルの時系列的な連続性を評価し、最終的に検出に用いるパーティクルを選択する架線類検出部と、から構成され、
前記尤度計算部は、前記パーティクル初期化部により用意された前記パーティクル又は前記状態遷移部により作成された前記新たなパーティクルと、前記データ入力部で入力された前時刻の前記データとを使用して前記パーティクルの尤度値を計算する
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第2の発明に係る架線類検測装置は、第1の発明において、
前記ラインセンサはラインセンサカメラであり、
前記データ入力部は、前記ラインセンサカメラにより時系列に撮影された前記架線類の偏位・幅・摩耗幅を含む画像データを入力する画像入力部であり、
前記尤度計算部は、前記パーティクル初期化部により用意された前記パーティクル又は前記状態遷移部により作成された前記新たなパーティクルと、前記画像入力部で入力された前時刻の画像データとを使用して尤度関数に基づき前記パーティクルの尤度値を計算し、
前記架線類検出部は、予め規定した数のラインの画像データから得られたパーティクルの尤度値に基づいて確率伝播処理により前記パーティクルの時系列的な連続性を評価し、最終的に検出に用いるパーティクルを選択する
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第3の発明に係る架線類検測装置は、第2の発明において、
前記架線類は、単一又は複数の架線であり、
前記パーティクル初期化部は、前記架線の偏位・摩耗幅のランダムな値を持つパーティクルを用意し、
前記尤度関数が、枕木方向において前記架線の摩耗領域とその両側とで画素値が大きく変わること、および前記摩耗領域の平均画素値が前記摩耗領域を除いた架線の領域の平均画素値よりも大きくなることを考慮して設定される
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第4の発明に係る架線類検測装置は、第3の発明において、
前記架線類は、吊架線を含み、
前記パーティクル初期化部は、前記吊架線の偏位・幅のランダムな値を持つパーティクルをさらに用意し、
前記尤度計算部は、背景の画素値よりも吊架線の画素値が低い傾向があることを考慮して設定される尤度関数をさらに加えて前記パーティクルの尤度値を計算する
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第5の発明に係る架線類検測装置は、第3又は第4の発明において、
前記架線類は、渡り線を含み、
前記パーティクル初期化部は、前記渡り線の偏位・幅のランダムな値を持つパーティクルをさらに用意し、
前記尤度計算部は、背景の画素値よりも渡り線の画素値が低い傾向があることを考慮して設定される尤度関数をさらに加えて前記パーティクルの尤度値を計算する
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第6の発明に係る架線類検測装置は、第2から第5のいずれか一つの発明において、
前記ラインセンサカメラは、複数であり、
前記画像入力部が複数の前記ラインセンサカメラにより時系列に撮影された前記架線類の偏位・幅・摩耗幅を含む画像データをそれぞれ入力する
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第7の発明に係る架線類検測装置は、第1の発明において、
前記ラインセンサは測距センサであり、
前記データ入力部は、前記測距センサにより取得された前記架線類の偏位・架線幅・高さを含む距離データを入力する距離データ入力部であり、
前記尤度計算部は、前記パーティクル初期化部により用意された前記パーティクル又は前記状態遷移部により作成された前記新たなパーティクルと、前記データ入力部で入力された前時刻の距離データとを使用して尤度関数に基づき前記パーティクルの尤度値を計算し、
前記架線類検出部は、予め規定した数のラインの距離データから得られたパーティクルの尤度値に基づいて確率伝播処理により前記パーティクルの時系列的な連続性を評価し、最終的に検出に用いるパーティクルを選択する
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第8の発明に係る架線類検測装置は、第7の発明において、
前記架線類は、単一又は複数の架線であり、
前記パーティクル初期化部は、前記架線の偏位・摩耗幅のランダムな値を持つパーティクルを用意し、
前記尤度関数が、枕木方向において前記架線の摩耗領域とその両側とで距離データが大きく変わること、架線領域および高さは前時刻の偏位から大幅に変化しないことを考慮して設定される
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第9の発明に係る架線類検測装置は、第8の発明において、
前記架線類は、吊架線を含み、
前記パーティクル初期化部は、前記吊架線の偏位・幅のランダムな値を持つパーティクルをさらに用意し、
前記尤度計算部は、架線よりも吊架線の距離が大きい傾向があることを考慮して設定される尤度関数をさらに加えて前記パーティクルの尤度値を計算する
ことを特徴とする。
上記の課題を解決するための第10の発明に係る架線類検測装置は、第8又は第9の発明において、
前記架線類は、渡り線を含み、
前記パーティクル初期化部は、前記渡り線の偏位・幅のランダムな値を持つパーティクルをさらに用意し、
前記尤度計算部は、架線よりも渡り線の距離が大きい傾向があることを考慮して設定される尤度関数をさらに加えて前記パーティクルの尤度値を計算する
ことを特徴とする。
本発明によれば、時系列フィルタを用いたデータ処理と確率伝播処理とを行うことにより、架線類の本数が不明であっても、架線類の偏位および幅を高精度に検出することができる。
パーティクルフィルタの概要図である。 架線を撮像した画像データの濃淡値の例を示す説明図である。 前ラインと次ラインとの関係を示す説明図である。 確率伝播法による架線検出の概要図である。 架線を計測した距離データの例を示す説明図である。 本発明の実施例1〜3に係る架線類検測装置の設置例を示す説明図である。 本発明の実施例1〜4に係る架線類検測装置のデータ処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例1〜3に係る架線類検測装置のデータ処理装置による処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施例4に係る架線類検測装置の設置例を示す説明図である。 本発明の実施例4に係る架線類検測装置のデータ処理装置による処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施例5〜7に係る架線類検測装置の設置例を示す説明図である。 本発明の実施例5〜7に係る架線類検測装置のデータ処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例5〜7に係る架線類検測装置のデータ処理装置による処理の流れを示すフローチャートである。
〔第一の実施形態〕
電車上面からラインセンサカメラを用いて撮影した架線類の軌跡を正確に計測したいという要望がある。ここで、架線類とは、本発明においては、単一又は複数の架線を意味する他、更に、吊架線、渡り線を含めた意味で使用する。
しかしながら、画像上には様々なものが計測されることや、屋外環境で太陽光など様々な計測困難な要因があるため単純な画像処理で架線のみを検出することは困難である。
そこで、まず、本実施形態では特許文献3同様、電車上面よりカメラで架線を撮影する際に光を投光することを考える。
光を投光することにより、架線の摩耗面が光を反射し、それを計測することで高精度な架線検測の実現を目指す。
さらに、本実施形態では架線の特徴である「摩耗領域の前後で画素値が大きく変わる」、「摩耗領域の平均画素値の方が摩耗領域を除いた架線領域の平均画素値よりも大きい」、「架線領域および摩耗領域は前ラインの偏位や高さから大幅に変化しない」といった情報を用いて、架線偏位およびその摩耗幅の画像処理を用いた計測を行う。
まず、「架線領域および摩耗領域は前ラインの偏位から大幅に変化しない」という特徴があることから、非特許文献1に記載された追跡に有効な時系列フィルタであるSIR/MCMCパーティクルフィルタを用いて架線の偏位・摩耗を推定する。
パーティクルフィルタの特徴として時系列情報を用いた予測が行えること、決定論ではなく確率論を扱えることが挙げられる。
パーティクルフィルタでは確率密度分布をサンプリングにより離散化して扱うことにより計算困難性を解消している。このサンプリング点をパーティクルと呼ぶ。各パーティクルがどれだけ最適解として尤もらしいかを尤度計算によって求めている。この際尤度関数をどのように設定するかが非常に重要となる。
本実施形態では複数の要素を考慮した尤度関数を用いることで尤もらしさを計算する。
まず、パーティクルフィルタの状態ベクトルはラインセンサで撮像された1ライン中の架線の偏位、摩耗領域の幅の二次元ベクトルとする。
次に、尤度関数として、図2に示すように、枕木方向において摩耗領域とその両側とで画素値が大きく変わること、摩耗領域の平均画素値の方が摩耗領域を除いた架線領域の平均画素値よりも大きくなることを考慮した尤度関数を設定する。
つまり、尤度関数は、枕木方向における摩耗領域とその両側との画素値の差分の絶対値と、摩耗領域の平均画素値から架線領域の平均画素値を減算した場合の差分値とに基づく。
具体的には、この2つを組み合わせて尤度関数としている。現状ではそれぞれの値を全て和算したものを用いているが、場合によって各項目の重みを大きくするといった処理(重み付け和)をしている。尤度値は尤度と同じである。
また、架線の形状は大幅には変化が無いことが分かっていることから、偏位情報は前ライン情報を用いて次ラインのおおまかな偏位が推測できる。
この情報を用いて状態遷移モデルを定義することで高精度な推定が可能になると考えられる。
すなわち、事前に架線の大まかな形状が既知の場合、架線が次の時刻でどの範囲に存在するかを予測できるため、その情報を状態遷移モデルとして使用する。
本実施形態では、図1にあるような確率密度分布を利用することで、前ラインでの推定(もっとも確率が高かった事例)に誤差が存在した場合でも、次ラインの推定には誤差の生じた結果以外の情報も用いる事ができるため、特許文献1,2,3のような決定論的なアプローチ(以下、決定論的アプローチという)と比べ毎ラインのロバストな推定が可能になる。
ここで、前ライン、次ラインとは、図3に示すように、前時刻のデータ、次時刻のデータの意味である。即ち、図3は、ラインセンサカメラで得られたラインデータを時刻順に並べたグラフであり、本発明の説明において前ライン、次ラインとは例えば時刻tで得られたラインデータに対して、時刻t−1で得られたデータ、時刻t+1で得られたデータの事を指す。
なお、時系列フィルタには様々な物があるが、ここで使用している「パーティクルフィルタ」はその中の1つである。
ここで、「決定論」と「確率論」について、簡単に対比すると以下の通りである。
雲が上空に30%ある状態を「晴れ」と説明するのが決定論、「30%の雲がある晴れ」と説明するのが確率論である。○×だけでなくその程度も考慮する事ができるのが確率論的アプローチの優位性である。
「決定論では、「架線の抽出」→「連続性の確認」」となる。これが問題なのは、本当に正しいかどうか分からなくても「この箇所は架線だ」という決定論を毎時刻行い、後からそれが連続していたから正しいという判断をしている事である。
どこか1時刻でも間違っていた場合や何かしらの理由で架線が撮像できなかった場合、連続性が途切れてしまい、誤認識する事になる。
それに対して確率論では各時刻で架線らしい領域とその尤もらしさを評価している。
前述の決定論的手法だとある1箇所を架線として判定するが、確率論的手法だと複数箇所の(本発明で言えば各パーティクルの)尤もらしさを用いるので、ある1点の結果に左右されない判定を行うことができる。
このように確率論的アプローチをとった方法は上述した特願2013−232759で提案されているが、特願2013−232759ではどの時刻に何本の架線があるかは既知という制約があった。しかしながら、どの時刻に何本の架線があるかは過去の同区間のデータを活用するなどしない限り、実際は分からない。そのためどの時刻に何本あるかも同時に検出できる方法が望まれている。このようにいくつ対象物があるか分からない際に追跡する手法として非特許文献1の手法(SIR/MCMCパーティクルフィルタ)が提案されている。本特許ではこの非特許文献1の手法を応用することで複数架線に対応する。
そして、パーティクルフィルタを利用することで各時刻における架線らしい領域の確率を表現することができたら、確率が最も高い箇所が架線であるかどうかを、時系列的な連続性(「架線領域および摩耗領域は前ラインの偏位や高さから大幅に変化しない」という情報)を考慮して求める。これには、非特許文献2に記載された確率伝播法を用いる。すなわち、確率的伝播法を用いることで、架線の接続性を調査し、これにより大域的最適解(連続性を考慮した存在確率が高くなる架線軌跡候補)を求め、複数架線の検出を行う。
例えば、図4に示す例では、左右にそれぞれパーティクルが集中している部分が存在し、時刻t−2,t+1,t+2では左側のパーティクルの尤度が高いのに対し、時刻t−1,tでは右側のパーティクルの尤度が高くなっている。このような場合、連続性の評価を行うことにより、破線で囲んだ左側のパーティクルが架線領域と判断され、右側のパーティクルは誤検出と判断される。
従来のような決定論的アプローチを行うよりも、このような確率論的アプローチを用いたほうがロバストな推定が可能となる。
〔第2の実施形態〕
上述した第1の実施形態に対し、電車上面から測距センサを用いて取得した1ラインの距離データを用いて、架線類の軌跡を正確に計測したいという要望もある。
しかしながら距離データには様々なものが計測されることや、計測誤差が大きい事から単純な処理で架線のみを検出することは困難である。
そこで、本実施形態では、架線の特徴である「枕木方向において架線領域とその両側とで距離が大きく変わる」「架線領域は前ラインの偏位や高さから大幅に変化しない」といった情報を用いて架線偏位およびその高さの距離データ処理を用いた計測を行う。
まず「架線領域は前ラインの偏位や高さから大幅に変化しない」という特徴があることから、非特許文献1に記載された追跡に有効な時系列フィルタであるパーティクルフィルタを用いて架線の偏位・高さを推定する。なお、パーティクルフィルタについては前述したとおりであり、重複する説明は省略する。
パーティクルフィルタの状態ベクトルは測距センサで取得された1ライン中の架線の偏位、架線の幅、架線高さの3次元ベクトルとする。
次に尤度関数として、図5に示すように、枕木方向において架線領域とその両側とで距離データが大きく変わること、架線領域および高さは前ラインの偏位から大幅に変化しないことを考慮した尤度関数を設定した。
つまり、尤度関数は、架線領域の前後の距離データの差分の絶対値と、前時刻(前ライン)の偏位、架線の幅、架線高さと現時刻(現ライン)の偏位、架線の幅、架線高さの差(架線幅以内であればあるほど高い値にする。それより離れた場合は0)とに基づく。
また、架線の形状は大幅には変化が無いことが分かっていることから、偏位情報は前ライン情報を用いて次ラインのおおまかな偏位が推測できる。この情報を用いて状態遷移モデルを定義することで高精度な推定が可能になると考えられる。
すなわち、事前に架線の大まかな形状が既知の場合、架線が次の時刻でどの範囲に存在するかを予測できるため、その情報を状態遷移モデルとして使用する。
本実施形態では、図1にあるような確率密度分布を利用することで、前ラインでの推定(もっとも確率が高かった事例)に誤差が存在した場合でも、次ラインの推定には誤差の生じた結果以外の情報も用いる事ができるため、特許文献1,2のような決定論的アプローチと比べ毎ラインのロバストな推定が可能になる。なお、前ライン、次ラインについては上述した通りである。
このように確率論的アプローチをとった方法は上述した特願2013−232761で提案されているが、特願2013−232761ではどの時刻に何本の架線があるかは既知という制約があった。しかしながら、どの時刻に何本の架線があるかは過去の同区間のデータを活用するなどしない限り、実際は分からない。そのためどの時刻に何本あるかも同時に検出できる方法が望まれており、本発明ではいくつ対象物があるか分からない際に追跡する手法として非特許文献1に記載された手法(SIR/MCMCパーティクルフィルタ)を応用することで複数架線に対応する。
パーティクルフィルタを利用することで各時刻における架線らしい領域の確率を表現することができたら、確率が最も高い箇所が架線であるかどうかを、時系列的な連続性(「架線領域および摩耗領域は前ラインの偏位や高さから大幅に変化しない」という情報)を考慮して求める。これには、非特許文献2に記載された確率伝播法を用いる。すなわち、確率的伝播法を用いることで、架線の接続性を調査し、これにより大域的最適解(連続性を考慮した存在確率が高くなる架線軌跡候補)を求め、複数架線の検出を行う。
図1、図2および図6から図8を用いて本発明の実施例1に係る架線類検測装置の詳細を説明する。
図6に示すように、本実施例において架線類検測装置は、電車車両1の屋根上に設置されたラインセンサカメラ(ラインセンサ)2及び照明装置3と、車両1の内部に設置された画像処理装置4とを備えている。
ラインセンサカメラ2は、鉛直上向きで枕木方向に平行(車両1の進行方向に直交)する向きに画像素子が並ぶように設置されてその走査線が架線5を横切るようになっている。ラインセンサカメラ2により撮影された画像の信号は画像処理装置4に入力される。
照明装置3は、ラインセンサカメラ2によって撮像される領域の照明を行う。
画像処理装置4は、時系列フィルタを用いた画像処理と確率伝播処理により単一もしくは複数の架線の偏位および摩耗幅を求めるものであり、図7に示すように、画像入力部4aと、パーティクル初期化部4bと、尤度計算部4cと、リサンプリング部4dと、状態遷移部4eと、架線類検出部4fと、記憶部4gとを備えている。
画像入力部4aでは、ラインセンサカメラ2で取得した1ライン分の画像データを入力し、記憶部4gへ保管する。
本実施例では、ラインセンサカメラ2を車両1上面に鉛直上方を見上げるように設置し、照明装置3により光を投光して、架線5を横切るように枕木方向に沿って走査することにより1ライン分の輝度信号を撮影し、撮影された1ライン分の輝度信号を時系列に並べた画像中の背景と架線との濃淡の差から、画像処理により、架線偏位・架線幅・摩耗幅を時系列的に取得する。
図2にも示したように、架線5の摩耗領域は、投光されているため、輝度値が高く白色領域となり、架線5の摩耗領域以外の架線領域は輝度値が低く黒色領域となる。架線領域以外の背景領域は、昼間に計測する場合は、白と黒の中間のグレーとなる。また、軌道中心から架線領域の中心までの距離が架線の偏位(枕木方向)となる。
パーティクル初期化部4bでは、一定数のパーティクルに予め設定した範囲・密度でランダムなパラメータを設定し、範囲・密度・各パーティクルのパラメータをパーティクルデータとして記憶部4gに保管する。
尤度計算部4cでは、記憶部4gから最新のパーティクルデータ及び画像データを読み出し、予め設定する尤度関数と、各パーティクルのパラメータと、画像データとを用いて各パーティクルの尤度を計算し、算出した各パーティクルの尤度を尤度データとして記憶部4gに保管する。
リサンプリング部4dでは、記憶部4gから尤度データを読み出して各パーティクルの尤度の値を重みとし、重みの高いパーティクルが確率的に選ばれるようにしたサンプリング(リサンプリング)を行う。すなわち、重みの高いパーティクルの周囲により多くのパーティクルが配置されるようにパーティクルを配置し直す。リサンプリングされた各パーティクルのパラメータはパーティクルデータとして記憶部4gで保管し、リサンプリングに使用したパーティクルは架線類検出に必要なライン分の時刻経過後に消去する。
状態遷移部4eでは、記憶部4gからパーティクルデータを読み出し、リサンプリングしたパーティクルのパラメータを予め設定する状態遷移モデル(架線類の次のラインでの位置の予測値)に基づいて変化させ、パーティクルデータとして記憶部4gに保管する。
確率伝播による架線類検出部4fでは、予め規定した数(時間)のラインの画像から得られたパーティクルの尤度値を記憶部4gから読み出し、時系列的な連続性を評価し最終的に検出に用いるパーティクルを選択して架線類を検出する。検出した架線類のデータは記憶部4gで保管する。
記憶部4gでは、画像データ、パーティクルデータ、状態遷移確率などの種々のパラメータデータを保管する。
次に、図8を用いて本実施例の画像処理装置4における架線類の検出処理の流れを説明する。
すなわち、本実施例の画像処理装置4では、まず、パーティクル初期化部4bにより、一定数のパーティクルに対し、予め設定した範囲・密度でランダムなパラメータ(架線偏位、摩耗幅)を設定する(ステップS1)。すなわち、各パラメータ(架線偏位、摩耗幅)のランダムな値をもつパーティクルを作成する。
続いて、画像入力部4aにより、ラインセンサカメラ2で取得した1ライン分の画像データを入力する(ステップS2)。
続いて、尤度計算部4cにより、画像入力部4aにて入力した1ライン分の画像データとパーティクル初期化部4bにて設定した各パーティクルのパラメータとを記憶部4gから読み出し、これらと尤度関数とを用いて各パーティクルの尤度を計算する(ステップS3)。
当該処理により、図1の下段に示すように架線5として尤もらしいパーティクルの尤度が高く、架線5の可能性が低いパーティクルの尤度が低くなる。なお、図1の下段ではパーティクルの大きさで尤度の重みを示しており、パーティクルが大きいほど尤度は大きく、パーティクルが小さいほど尤度は小さくなっている。
算出した各パーティクルの尤度は尤度データとして記憶部4gに保管する。
続いて、尤度を出現確率とし、状態遷移モデル(架線5の次のラインでの位置の予測値)を用いて新たなパーティクルを作成する(ステップS4)。すなわち、リサンプリング部4dにより、尤度計算部4cにて算出した尤度データを記憶部4gから読み出し、これを用いて上述したリサンプリングを行い、状態遷移部4eにより、リサンプリング部4dにてリサンプリングしたパーティクルのパラメータを状態遷移モデルに基づいて変化させる。
ここで、初期状態での事前分布は通常未知である。そのため図1の中段左のように、確率密度分布は一様分布と仮定するのが一般的である。
この一様分布をパーティクル初期化部4bによりランダムな値をもつパーティクルで表現し、各パーティクルに対して画像データを用いて尤度計算部40により尤度を計算し、リサンプリング部50により事後分布を作成するというのが本実施例の手順である。
続いて、予め設定した規定ライン分の処理が終了したか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5の判定の結果、規定ライン分の処理が終了していなければ、ステップS2に戻ってラインセンサカメラ2で取得した1ライン分の画像データ(新しく撮像された1ライン分の画像データ)を入力し、ステップS3で、尤度計算部4cにより、状態遷移部4eにて設定した各パーティクルのパラメータと画像入力部4aにて新たに入力した1ライン分の画像データとを記憶部4gから読み出し、これらと尤度関数とを用いて各パーティクルの尤度を計算する。このように、ステップS2からステップS4の処理を繰り返して時系列フィルタ(パーティクルフィルタ)を用いた画像処理を行う。
そして、規定ライン分の処理を行ったら、ステップS5からステップS6に移行し、確率伝播による架線類検出部4fにより、非特許文献2に記載された確率伝播法の一つであるmax-sumアルゴリズムを用いて、架線5の連続性を考慮した架線5の検出を行う。すなわち、各ラインで得られたパーティクルの尤度を記憶部4gより読み出し、時系列的な連続性を評価し(確率伝播処理を行い)、最終的に検出に用いるパーティクルを選択して画像から架線5を検出し、これに基づいて架線5の偏位および摩耗幅を求める(ステップS6)。なお、画像上の位置から架線5の偏位および摩耗幅を求める手法は既知の手法を用いるものとし、ここでの詳細な説明は省略する。
続いて、撮像が終了したか否かを判定し(ステップS7)、撮像が終了していなければ(NO)、ステップS2の処理に戻り、撮像が終了していれば(YES)、処理を終了する。
以上により、時系列フィルタを用いた画像処理および確率伝播処理を利用した架線の検測を行う。
このように構成される本実施例に係る架線類検測装置によれば、架線5の本数が不明であっても、確実に架線5を検出して、架線5の偏位および架線5の摩耗幅を高精度に計測することができる。
以下、図8を用いて本発明の実施例2に係る架線類検測装置の詳細を説明する。
本実施例に係る架線類検測装置は、実施例1に係る架線類検測装置に比較して、画像処理装置4により、架線の検出に加え、吊架線(図示省略)の検出を行う点が異なる。なお、装置構成については実施例1と同様であり、以下、重複する説明は省略する。
以下、図8を利用して本実施例における画像処理装置4による架線類の検出処理の流れを説明する。
すなわち、本実施例の画像処理装置4は、ステップS1で、パーティクル初期化部4bにより、一定数のパーティクルに対し、予め設定した範囲・密度でランダムなパラメータ(架線の偏位、架線の摩耗幅、吊架線の偏位、及び吊架線の幅)を設定する。パーティクルのパラメータは実施例1で説明した架線の二パラメータ(架線の偏位、架線の摩耗幅)に、吊架線の偏位、吊架線の幅の二パラメータを加えたものとなる。
続いて、ステップS2で、画像入力部4aにより、ラインセンサカメラ2で取得した1ライン分の画像データを入力する。
続いて、ステップS3で、尤度計算部4cにより、パーティクル初期化部4bにて設定した各パーティクルのパラメータと画像入力部4aにて入力した1ライン分の画像データとを記憶部4gから読み出し、これらと尤度関数とを用いて各パーティクルの尤度を計算する。尤度は、実施例1で用いたものに、背景よりも吊架線の画素値が低い傾向があることを考慮した尤度関数を加えて、尤度計算を実現する。
当該処理により、架線5および吊架線として尤もらしいパーティクルの尤度が高く、架線5および吊架線の可能性が低いパーティクルの尤度は低くなる。算出した各パーティクルの尤度は尤度データとして記憶部4gに保管する。
続いて、ステップS4で、尤度を出現確率とし、状態遷移モデル(架線5および吊架線の次のラインでの位置の予測値)を用いて新たなパーティクルを作成する。
続いて、予め設定した規定ライン分の処理が終了したか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5の判定の結果、規定ライン分の処理が終了していなければ、ステップS2に戻ってラインセンサカメラ2で取得した1ライン分の画像データ(新しく撮像された1ライン分の画像データ)を入力し、ステップS3で、尤度計算部4cにより、状態遷移部4eにて設定した各パーティクルのパラメータと画像入力部4aにて新たに入力した1ライン分の画像データとを記憶部4gから読み出し、これらと尤度関数とを用いて各パーティクルの尤度を計算する。このように、ステップS2からステップS4の処理を繰り返してパーティクルフィルタ処理を行う。
そして、規定ライン分の処理を行ったら、ステップS5からステップS6に移行し、確率伝播による架線類検出部4fにより、確率伝播法の一つであるmax-sumアルゴリズムを用いて、架線類(本実施例では、架線5および吊架線)の連続性を考慮した架線類の検出を行う。すなわち、各ラインで得られたパーティクルの尤度を記憶部4gより読み出し、時系列的な連続性を評価し(確率伝播処理を行い)、最終的に検出に用いるパーティクルを選択して画像から架線5および吊架線を検出し、これに基づいて架線5の偏位および摩耗幅ならびに吊架線の偏位および幅を求める。なお、画像上の位置から架線5の偏位および摩耗幅ならびに吊架線の偏位および幅を求める手法は既知の手法を用いるものとし、ここでの詳細な説明は省略する。
続いて、撮像が終了したか否かを判定し(ステップS7)、撮像が終了していなければ(NO)、ステップS2の処理に戻り、撮像が終了していれば(YES)、処理を終了する。
以上により、時系列フィルタ処理および確率伝播処理を利用した架線の検測を行う。
このように構成される本実施例に係る架線類検測装置によれば、架線5、吊架線の本数が不明であっても、確実にこれらを検出して、架線5の偏位および架線の摩耗幅、ならびに吊架線の偏位および吊架線の幅を高精度に計測することができる。
以下、図8を用いて本発明の実施例3に係る架線類検測装置の詳細を説明する。
本実施例に係る架線類検測装置は、実施例2に係る架線類検測装置に比較して、画像処理装置4により、架線および吊架線の検出に加え、渡り線(図示省略)の検出を行う点が異なる。なお、装置構成については実施例2と同様であり、以下、重複する説明は省略する。
以下、図8を利用して本実施例における画像処理装置4による架線類の検出処理の流れを説明する。
すなわち、本実施例の画像処理装置4は、ステップS1で、パーティクル初期化部4bにより、一定数のパーティクルに対し、予め設定した範囲・密度でランダムなパラメータ(架線の偏位、架線の摩耗幅、吊架線の偏位、吊架線の幅、渡り線の偏位、及び渡り線の幅)を設定する。パーティクルのパラメータは実施例2で説明した架線偏位、架線摩耗幅の二パラメータ、及び吊架線の偏位、吊架線の幅の二パラメータに、さらに渡り線の偏位、渡り線の幅の二パラメータを加えたものとなる。
続いて、ステップS2で、画像入力部4aにより、ラインセンサカメラ2で取得した1ライン分の画像データを入力する。
続いて、ステップS3で、尤度計算部4cにより、パーティクル初期化部4bにて設定した各パーティクルのパラメータと画像入力部4aにて入力した1ライン分の画像データとを記憶部4gから読み出し、これらと尤度関数とを用いて各パーティクルの尤度を計算する。尤度は、実施例2で用いたものに、背景よりも渡り線の画素値が低い傾向があることを考慮した尤度関数を加えて、尤度計算を実現する。
当該処理により、架線5および吊架線として尤もらしいパーティクルの尤度が高く、架線5および吊架線の可能性が低いパーティクルの尤度は低くなる。算出した各パーティクルの尤度は尤度データとして記憶部4gに保管する。
続いて、ステップS4で、尤度を出現確率とし、状態遷移モデル(架線5、吊架線および渡り線の次のラインでの位置の予測値)を用いて新たなパーティクルを作成する。
続いて、予め設定した規定ライン分の処理が終了したか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5の判定の結果、規定ライン分の処理が終了していなければ、ステップS2に戻ってラインセンサカメラ2で取得した1ライン分の画像データ(新しく撮像された1ライン分の画像データ)を入力し、ステップS3で、尤度計算部4cにより、状態遷移部4eにて設定した各パーティクルのパラメータと画像入力部4aにて新たに入力した1ライン分の画像データとを記憶部4gから読み出し、これらと尤度関数とを用いて各パーティクルの尤度を計算する。このように、ステップS2からステップS4の処理を繰り返してパーティクルフィルタ処理を行う。
そして、規定ライン分の処理を行ったら、ステップS5からステップS6に移行し、確率伝播による架線類検出部4fにより、確率伝播法の一つであるmax-sumアルゴリズムを用いて、架線類(本実施例では、架線5、吊架線および渡り線)の連続性を考慮した架線類の検出を行う。すなわち、各ラインで得られたパーティクルの尤度を記憶部4gより読み出し、時系列的な連続性を評価し(確率伝播処理を行い)、最終的に検出に用いるパーティクルを選択して画像から架線5、吊架線および渡り線を検出し、これに基づいて架線5の偏位および摩耗幅、吊架線の偏位および幅、ならびに渡り線の偏位および幅を求める。なお、画像上の位置から架線5の偏位および摩耗幅、吊架線の偏位および幅ならびに渡り線の偏位および幅を求める手法は既知の手法を用いるものとし、ここでの詳細な説明は省略する。
続いて、撮像が終了したか否かを判定し(ステップS7)、撮像が終了していなければ(NO)、ステップS2の処理に戻り、撮像が終了していれば(YES)、処理を終了する。
以上により、時系列フィルタ処理および確率伝播処理を利用した架線の検測を行う。
このように構成される本実施例に係る架線類検測装置によれば、架線、吊架線、渡り線の本数が不明であっても、確実にこれらを検出して、架線の偏位および架線の摩耗幅、吊架線の偏位および吊架線の幅、ならびに渡り線の偏位および渡り線の幅を高精度に計測することができる。
以下、図1、図10および図11を用いて本発明の実施例4に係る架線類検測装置の詳細を説明する。
図10に示すように、本実施例に係る架線類検測装置は、実施例3に係る架線類検測装置に比較して、電車車両1の屋根上に設けるラインセンサカメラ2を複数台として、画像処理装置4により、架線の偏位および摩耗幅、吊架線の偏位および幅、渡り線の偏位および幅、並びに、架線、吊架線及び渡り線の高さの検出を行う点が異なる。
実施例3との違いは、カメラを複数用意することで架線・吊架線・渡り線の高さにも対応できる点、複数の視点から評価することで高精度化が図れる点である。パーティクルのパラメータは実施例3で説明したパラメータのカメラ台数分となる。尤度は、実施例3で用いたものをカメラ台数分用いる。
その他の構成については実施例3と同様であり、以下、実施例3と異なる点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
本実施例において、画像入力部4aでは、各ラインセンサカメラ2で取得した1ライン分の画像データをそれぞれ入力し、記憶部4gへ保管する。
また、尤度計算部4cでは、記憶部4gから最新のパーティクルデータ及び各ラインセンサカメラ2で取得した1ライン分の画像データを読み出し、予め設定する尤度関数と、各パーティクルのパラメータと、各画像データとを用いて各画像それぞれについて各パーティクルの尤度を計算し、算出した各パーティクルの尤度を尤度データとして記憶部4gに保管する。
リサンプリング部4dでは、記憶部4gから尤度データを読み出して各画像データについて各パーティクルの尤度の値を重みとし、重みの高いパーティクルが確率的に選ばれるようにしたサンプリング(リサンプリング)を行う。すなわち、重みの高いパーティクルの周囲により多くのパーティクルが配置されるようにパーティクルを配置し直す。リサンプリングされた各パーティクルのパラメータはパーティクルデータとして記憶部4gで保管し、リサンプリングに使用したパーティクルは架線類検出に必要なライン分の時刻経過後に消去する。
状態遷移部4eでは、記憶部4gからパーティクルデータを読み出し、リサンプリングしたパーティクルのパラメータを予め設定する状態遷移モデル(架線類の次のラインでの位置の予測値)に基づいて変化させ、パーティクルデータとして記憶部4gに保管する。
確率伝播による架線類検出部4fでは、予め規定した数(時間)のラインの画像から得られたパーティクルの尤度値を記憶部4gから読み出し、時系列的な連続性を評価し最終的に検出に用いるパーティクルを選択して架線類を検出する。検出した架線類のデータは記憶部4gで保管する。
記憶部4gでは、画像データ、パーティクルデータ、状態遷移確率などの種々のパラメータデータを保管する。
以下、図11を用いて本実施例における画像処理装置4による架線類の検出処理の流れを説明する。
すなわち、本実施例の画像処理装置4は、ステップT1で、パーティクル初期化部4bにより、一定数のパーティクルに対し、予め設定した範囲・密度でランダムなパラメータ(架線の偏位、架線の摩耗幅、吊架線の偏位、吊架線の幅、渡り線の偏位、及び渡り線の幅)を設定する。パーティクルのパラメータは実施例3で説明した架線の偏位および架線の摩耗幅の二パラメータと、吊架線の偏位、吊架線の幅の二パラメータと、渡り線の偏位、渡り線の幅の二パラメータになる。
続いて、ステップT2で、画像入力部4aにより、各ラインセンサカメラ2で取得した1ライン分の画像データをそれぞれ入力する。
続いて、ステップT3で、尤度計算部4cにより、パーティクル初期化部4bにて設定した各パーティクルのパラメータと画像入力部4aにて入力した1ライン分の各画像データとを記憶部4gから読み出し、これらと尤度関数とを用いて各パーティクルの尤度を計算する。尤度は、実施例3で用いたものと同様とする。
当該処理により、図1の下段に示すように架線5および吊架線として尤もらしいパーティクルの尤度が高く、架線5および吊架線の可能性が低いパーティクルの尤度は低くなる。算出した各パーティクルの尤度は尤度データとして記憶部4gに保管する。
続いて、ステップT4で、尤度を出現確率とし、状態遷移モデル(架線5および吊架線の次のラインでの位置の予測値)を用いて新たなパーティクルを作成する。
続いて、予め設定した規定ライン分の処理が終了したか否かを判定する(ステップT5)。ステップT5の判定の結果、規定ライン分の処理が終了していなければ、ステップT2に戻って各ラインセンサカメラ2で取得した1ライン分の画像データ(新しく撮像された1ライン分の画像データ)をそれぞれ入力し、ステップT3で、尤度計算部4cにより、状態遷移部4eにて設定した各パーティクルのパラメータと画像入力部4aにて新たに入力した1ライン分の画像データとを記憶部4gから読み出し、これらと尤度関数とを用いて各パーティクルの尤度を計算する。このように、ステップT2からステップT4の処理を繰り返してパーティクルフィルタ処理を行う。
そして、規定ライン分の処理を行ったら、ステップT5からステップT6に移行し、確率伝播による架線類検出部4fにより、確率伝播法の一つであるmax-sumアルゴリズムを用いて、架線類(本実施例では、架線5、吊架線および渡り線)の連続性を考慮した架線類の検出を行う。すなわち、各ラインで得られたパーティクルの尤度を記憶部4gより読み出し、時系列的な連続性を評価し(確率伝播処理を行い)、最終的に検出に用いるパーティクルを選択して各画像から架線5、吊架線および渡り線を検出し、これに基づいて架線5の偏位および摩耗幅、吊架線の偏位および幅、渡り線の偏位および幅、並びに架線5、吊架線および渡り線の高さを求める。なお、画像上の位置から架線5の偏位および摩耗幅、吊架線の偏位および幅、渡り線の偏位および幅、ならびに架線5、吊架線および渡り線の高さを求める手法は既知の手法を用いるものとし、ここでの詳細な説明は省略する。
続いて、撮像が終了したか否かを判定し(ステップT7)、撮像が終了していなければ(NO)、ステップT2の処理に戻り、撮像が終了していれば(YES)、処理を終了する。
以上により、パーティクルフィルタ処理および確率伝播処理を利用した架線の検測を行う。
このように構成される本実施例に係る架線類検測装置によれば、架線、吊架線、渡り線の本数が不明であっても、確実にこれらを検出して、架線の偏位および架線の摩耗幅、吊架線の偏位および吊架線の幅、ならびに渡り線の偏位および渡り線の幅を高精度に計測することができることに加え、架線、吊架線および渡り線の高さを高精度に計測することができる。
図1、図5、図12および図13を用いて本発明の実施例5に係る架線類検測装置の詳細を説明する。
図12に示すように、本実施例は、実施例1に係る架線類検出装置に比較して、ラインセンサとしてラインセンサカメラ2に代えて測距センサ6を配置したことにより、照明装置3が不要となり、架線の摩耗幅に代えて高さ情報が取得できる点が異なる。なお、架線の偏位を計測可能である点は実施例1と同様である。パーティクルのパラメータは実施例1同様、架線一本につき二パラメータとなる(ただし、架線偏位と摩耗幅ではなく架線偏位と架線幅)。尤度は図5に示すように、架線領域の平均距離が他領域の平均距離よりも小さいことを利用して求める。
図12に示すように、本実施例において架線類検測装置は、電車車両1の屋根上に設置された測距センサ6と、車両1の内部に設置された距離データ処理装置7とを備えている。
測距センサ6は、鉛直上向きで枕木方向に平行(検査車両1の進行方向に直交)する向きに沿って測距を行うように設置されており、1台で距離情報を取得できるため、架線類の高さを求められる。測距センサ6により計測された距離データは距離データ処理装置7に入力される。
距離データ処理装置7は、時系列フィルタを用いた距離データ処理と確率伝播処理により単一もしくは複数の架線の偏位・高さを求めるものであり、図13に示すように、距離データ入力部7aと、パーティクル初期化部7bと、尤度計算部7cと、リサンプリング部7dと、状態遷移部7eと、架線類検出部7fと、記憶部7gとを備えている。
距離データ入力部7aでは、測距センサ6で取得した1ライン分の距離データを入力し、記憶部7gへ保管する。
本実施例では、一例として、測距センサ6を車両1の屋根上に鉛直上方を見上げるように設置し、架線5を横切るように枕木方向に沿って距離を計測することにより1ライン分の距離データを取得し、取得した1ライン分の距離データを時系列に並べることにより、架線偏位・架線高さを時系列的に求める。
距離データは、図5に示すように測距センサ6から架線5までの距離がLとなり、架線領域以外の背景領域は、理論的には距離無限大となる。軌道中心からの架線領域の中心までの距離(枕木方向)が偏位となる。
パーティクル初期化部7bでは、一定数のパーティクルに予め設定した範囲・密度でランダムなパラメータを設定し、範囲・密度・各パーティクルのパラメータをパーティクルデータとして記憶部7gに保管する。
尤度計算部7cでは、記憶部7gから最新のパーティクルデータ及び距離データを読み出し、予め設定する尤度関数と、各パーティクルのパラメータと、距離データとを用いて各パーティクルの尤度を計算し、算出した各パーティクルの尤度を尤度データとして記憶部7gに保管する。
リサンプリング部7dでは、記憶部7gから尤度データを読み出して各パーティクルの尤度の値を重みとし、重みの高いパーティクルが確率的に選ばれるようにしたサンプリング(リサンプリング)を行う。すなわち、重みの高いパーティクルの周囲により多くのパーティクルが配置されるようにパーティクルを配置し直す。リサンプリングされた各パーティクルのパラメータはパーティクルデータとして記憶部7gで保管し、リサンプリングに使用したパーティクルは架線類検出に必要なライン分の時刻経過後に消去する。
状態遷移部7eでは、記憶部7gからパーティクルデータを読み出し、リサンプリングしたパーティクルのパラメータを予め設定する状態遷移モデル(架線類の次のラインでの位置の予測値)に基づいて変化させ、パーティクルデータとして記憶部7gに保管する。
ここで、実施例1でも説明したが、初期状態での事前分布は通常未知である。そのため図1の中段左のように、確率密度分布は一様分布と仮定するのが一般的である。
この一様分布をパーティクル初期化部7bによりランダムな値をもつパーティクルで表現し、各パーティクルに対して距離データを用いて尤度計算部40により尤度を計算し、リサンプリング部50により事後分布を作成するというのが本実施例の手順である。
確率伝播による架線類検出部7fでは、予め規定した数(時間)のラインの距離データから得られたパーティクルの尤度値を記憶部7gから読み出し、時系列的な連続性を評価し最終的に検出に用いるパーティクルを選択して架線類を検出する。検出した架線類のデータは記憶部7gで保管する。
記憶部7gでは、距離データ、パーティクルデータ、状態遷移確率などの種々のパラメータデータを保管する。
次に、図13を用いて本実施例の距離データ処理装置7における架線類の検出処理の流れを説明する。
すなわち、本実施例の距離データ処理装置7では、まず、パーティクル初期化部7bにより、一定数のパーティクルに対し、予め設定した範囲・密度でランダムなパラメータ(架線偏位、架線の幅)を設定する(ステップU1)。
続いて、距離データ入力部7aにより、測距センサ6で取得した1ライン分の距離データを入力する(ステップU2)。
続いて、尤度計算部7cにより、パーティクル初期化部7bにて設定した各パーティクルのパラメータと距離データ入力部7aにて入力した1ライン分の距離データとを記憶部7gから読み出し、これらと尤度関数とを用いて各パーティクルの尤度を計算する(ステップU3)。
当該処理により、図1の下段に示すように架線5として尤もらしいパーティクルの尤度が高く、架線5の可能性が低いパーティクルの尤度は低くなる。算出した各パーティクルの尤度は尤度データとして記憶部7gに保管する。
続いて、尤度を出現確率とし、状態遷移モデル(架線5の次のラインでの位置の予測値)を用いて新たなパーティクルを作成する(ステップU4)。すなわち、リサンプリング部7dにより、尤度計算部7cにて算出した尤度データを記憶部7gから読み出し、これを用いて上述したリサンプリングを行い、状態遷移部7eにより、リサンプリング部7dにてリサンプリングしたパーティクルのパラメータを状態遷移モデルに基づいて変化させる。
続いて、予め設定した規定ライン分の処理が終了したか否かを判定する(ステップU5)。ステップU5の判定の結果、規定ライン分の処理が終了していなければ、ステップU2に戻って測距センサ6で取得した1ライン分の距離データ(新しく取得された1ライン分の距離データ)を入力し、ステップU3で、尤度計算部7cにより、状態遷移部7eにて設定した各パーティクルのパラメータと距離データ入力部7aにて新たに入力した1ライン分の距離データとを記憶部7gから読み出し、これらと尤度関数とを用いて各パーティクルの尤度を計算する。このように、ステップU2からステップU4の処理を繰り返して時系列フィルタを用いた距離データ処理を行う。
そして、規定ライン分の処理を行ったら、ステップU5からステップU6に移行し、確率伝播による架線類検出部7fにより、確率伝播法の一つであるmax-sumアルゴリズムを用いて、架線5の連続性を考慮した架線5の検出を行う。すなわち、各ラインで得られたパーティクルの尤度を記憶部7gより読み出し、時系列的な連続性を評価し(確率伝播処理を行い)、最終的に検出に用いるパーティクルを選択して距離データから架線5を検出し、これに基づいて架線5の偏位および幅を求める(ステップU6)。なお、距離データから架線5の偏位および幅を求める手法は既知の手法を用いるものとし、ここでの詳細な説明は省略する。
続いて、計測が終了したか否かを判定し(ステップU7)、計測が終了していなければ(NO)、ステップU2の処理に戻り、計測が終了していれば(YES)、処理を終了する。
以上により、時系列フィルタを用いた距離データ処理および確率伝播処理を利用した架線の検測を行う。
このように構成される本実施例に係る架線類検測装置によれば、架線5の本数が不明であっても、確実にこれらを検出して、複数架線の偏位、幅および高さを高精度に計測することができる。
以下、図13を用いて本発明の実施例6に係る架線類検測装置の詳細を説明する。
本実施例に係る架線類検測装置は、実施例5に係る架線類検測装置に比較して、距離データ処理装置7により、架線の検出に加え、吊架線(図示省略)の検出を行う点が異なる。なお、装置構成については実施例5と同様であり、以下、重複する説明は省略する。
以下、図13を利用して本実施例における距離データ処理装置7による架線類の検出処理の流れを説明する。
すなわち、本実施例の距離データ処理装置7は、ステップU1で、パーティクル初期化部7bにより、一定数のパーティクルに対し、予め設定した範囲・密度でランダムなパラメータ(架線の偏位、架線の幅、吊架線の偏位、及び吊架線の幅)を設定する。パーティクルのパラメータは実施例5と同様の架線の二パラメータに、吊架線偏位、吊架線幅の二パラメータを加えたものとなる。
続いて、ステップU2で、距離データ入力部7aにより、測距センサ6で取得した1ライン分の距離データを入力する。
続いて、ステップU3で、尤度計算部7cにより、パーティクル初期化部7bにて設定した各パーティクルのパラメータと距離データ入力部7aにて入力した1ライン分の距離データとを記憶部7gから読み出し、これらと尤度関数とを用いて各パーティクルの尤度を計算する。尤度は、実施例5で用いたものに、架線よりも吊架線の距離が大きい傾向があることを考慮した尤度関数を加えて、尤度計算を実現する。
続いて、ステップU4で、尤度を出現確率とし、状態遷移モデル(架線5および吊架線の次のラインでの位置の予測値)を用いて新たなパーティクルを作成する。
続いて、予め設定した規定ライン分の処理が終了したか否かを判定する(ステップU5)。ステップU5の判定の結果、規定ライン分の処理が終了していなければ、ステップU2に戻ってラインセンサカメラ2で取得した1ライン分の距離データ(新しく取得された1ライン分の距離データ)を入力し、ステップU3で、尤度計算部7cにより、状態遷移部7eにて設定した各パーティクルのパラメータと距離データ入力部7aにて新たに入力した1ライン分の距離データとを記憶部7gから読み出し、これらと尤度関数とを用いて各パーティクルの尤度を計算する。このように、ステップU2からステップU4の処理を繰り返してパーティクルフィルタ処理を行う。
そして、規定ライン分の処理を行ったら、ステップU5からステップU6に移行し、確率伝播による架線類検出部7fにより、確率伝播法の一つであるmax-sumアルゴリズムを用いて、架線類(本実施例では、架線5および吊架線)の連続性を考慮した架線類の検出を行う。すなわち、各ラインで得られたパーティクルの尤度を記憶部7gより読み出し、時系列的な連続性を評価し(確率伝播処理を行い)、最終的に検出に用いるパーティクルを選択して距離データから架線5および吊架線を検出し、これに基づいて架線5の偏位および幅ならびに吊架線の偏位および幅を求める。なお、距離データから架線5の偏位および幅ならびに吊架線の偏位および幅を求める手法は既知の手法を用いるものとし、ここでの詳細な説明は省略する。
続いて、計測が終了したか否かを判定し(ステップU7)、計測が終了していなければ(NO)、ステップU2の処理に戻り、計測が終了していれば(YES)、処理を終了する。
以上により、パーティクルフィルタ処理および確率伝播処理を利用した架線の検測を行う。
このように構成される本実施例に係る架線類検測装置によれば、架線、吊架線の本数が不明であっても、確実にこれらを検出して、架線5の偏位および架線5の幅、吊架線の偏位および吊架線の幅、ならびに架線5および吊架線の高さを高精度に計測することができる。
以下、図13を用いて本発明の実施例7に係る架線類検測装置の詳細を説明する。
本実施例に係る架線類検測装置は、実施例6に係る架線類検測装置に比較して、距離データ処理装置7により、架線および吊架線の検出に加え、渡り線の検出を行う点が異なる。なお、装置構成については実施例6と同様であり、以下、重複する説明は省略する。
以下、図13を利用して本実施例における距離データ処理装置7による架線類の検出処理の流れを説明する。
すなわち、本実施例の距離データ処理装置7は、ステップU1で、パーティクル初期化部7bにより、一定数のパーティクルに対し、予め設定した範囲・密度でランダムなパラメータ(架線の偏位、架線の幅、吊架線の偏位、吊架線の幅、渡り線の偏位、及び渡り線の幅)を設定する。パーティクルのパラメータは実施例6で説明した架線の二パラメータ(架線の偏位、架線の幅)と、吊架線偏位、吊架線幅の二パラメータに、さらに渡り線偏位、渡り線幅の二パラメータを加えたものとなる。
続いて、ステップU2で、距離データ入力部7aにより、測距センサ6で取得した1ライン分の距離データを入力する。
続いて、ステップU3で、尤度計算部7cにより、パーティクル初期化部7bにて設定した各パーティクルのパラメータと距離データ入力部7aにて入力した1ライン分の距離データとを記憶部7gから読み出し、これらと尤度関数とを用いて各パーティクルの尤度を計算する。尤度は、実施例6で用いたものに、架線よりも渡り線の距離が大きい傾向があることを考慮した尤度関数を加えて、尤度計算を実現する。
続いて、ステップU4で、尤度を出現確率とし、状態遷移モデル(架線5および吊架線の次のラインでの位置の予測値)を用いて新たなパーティクルを作成する。
続いて、予め設定した規定ライン分の処理が終了したか否かを判定する(ステップU5)。ステップU5の判定の結果、規定ライン分の処理が終了していなければ、ステップU2に戻ってラインセンサカメラ2で取得した1ライン分の距離データ(新しく取得された1ライン分の距離データ)を入力し、ステップU3で、尤度計算部7cにより、状態遷移部7eにて設定した各パーティクルのパラメータと距離データ入力部7aにて新たに入力した1ライン分の距離データとを記憶部7gから読み出し、これらと尤度関数とを用いて各パーティクルの尤度を計算する。このように、ステップU2からステップU4の処理を繰り返してパーティクルフィルタ処理を行う。
そして、規定ライン分の処理を行ったら、ステップU5からステップU6に移行し、確率伝播による架線類検出部7fにより、確率伝播法の一つであるmax-sumアルゴリズムを用いて、架線類(本実施例では、架線5、吊架線および渡り線)の連続性を考慮した架線類の検出を行う。すなわち、各ラインで得られたパーティクルの尤度を記憶部7gより読み出し、時系列的な連続性を評価し(確率伝播処理を行い)、最終的に検出に用いるパーティクルを選択して距離データから架線5、吊架線および渡り線を検出し、これに基づいて架線5の偏位および摩耗幅、吊架線の偏位および幅、渡り線の偏位および幅、並びに架線5、吊架線および渡り線の高さを求める。なお、距離データから架線5の偏位および摩耗幅、吊架線の偏位および幅ならびに渡り線の偏位および幅を求める手法は既知の手法を用いるものとし、ここでの詳細な説明は省略する。
続いて、計測が終了したか否かを判定し(ステップU7)、計測が終了していなければ(NO)、ステップU2の処理に戻り、計測が終了していれば(YES)、処理を終了する。
以上により、パーティクルフィルタ処理および確率伝播処理を利用した架線の検測を行う。
このように構成される本実施例に係る架線類検測装置によれば、架線、吊架線、渡り線の本数が不明であっても、確実にこれらを検出して、架線5の偏位および摩耗幅、吊架線の偏位および幅、渡り線の偏位および幅、並びに架線5、吊架線および渡り線の高さを高精度に計測することができる。
本発明は、時系列フィルタを用いた画像処理により架線類を検出する架線類検測装置に適用して好適なものである。
1 電車車両
2,2−1〜2−n ラインセンサカメラ(ラインセンサ)
3 照明装置
4 画像処理装置
4a 画像入力部
4b パーティクル初期化部
4c 尤度計算部
4d リサンプリング部
4e 状態遷移部
4f 架線類検出部
4g 記憶部
5 架線
6 測距センサ(ラインセンサ)
7 距離データ処理装置
7a 距離データ入力部
7b パーティクル初期化部
7c 尤度計算部
7d リサンプリング部
7e 状態遷移部
7f 架線類検出部
7g 記憶部

Claims (10)

  1. 時系列フィルタを用いたデータ処理により電車車両上の架線類を高精度に計測する架線類検測装置において、
    前記電車車両上面に配置されたラインセンサにより取得された前記架線類の偏位・幅を含むデータを入力するデータ入力部と、
    前記架線類の偏位・幅のランダムな値を持つパーティクルを用意するパーティクル初期化部と、
    パーティクル及び前記データ入力部で入力された前時刻の前記データを使用して尤度関数に基づき前記パーティクルの尤度値を計算する尤度計算部と、
    前記尤度計算部で計算された尤度値に基づき、尤度値の高いパーティクルが高い確率で選ばれるようにしたリサンプリングを行うリサンプリング部と、
    前記リサンプリング部でリサンプリングした前記パーティクルのパラメータを状態遷移モデルに基づいて変化させて新たなパーティクルを作成する状態遷移部と、
    予め規定した数のラインのデータから得られたパーティクルの尤度値に基づいて確率伝播処理により前記パーティクルの時系列的な連続性を評価し、最終的に検出に用いるパーティクルを選択する架線類検出部と、から構成され、
    前記尤度計算部は、前記パーティクル初期化部により用意された前記パーティクル又は前記状態遷移部により作成された前記新たなパーティクルと、前記データ入力部で入力された前時刻の前記データとを使用して前記パーティクルの尤度値を計算する
    ことを特徴とする架線類検測装置。
  2. 前記ラインセンサはラインセンサカメラであり、
    前記データ入力部は、前記ラインセンサカメラにより時系列に撮影された前記架線類の偏位・幅・摩耗幅を含む画像データを入力する画像入力部であり、
    前記尤度計算部は、前記パーティクル初期化部により用意された前記パーティクル又は前記状態遷移部により作成された前記新たなパーティクルと、前記画像入力部で入力された前時刻の画像データとを使用して尤度関数に基づき前記パーティクルの尤度値を計算し、
    前記架線類検出部は、予め規定した数のラインの画像データから得られたパーティクルの尤度値に基づいて確率伝播処理により前記パーティクルの時系列的な連続性を評価し、最終的に検出に用いるパーティクルを選択する
    ことを特徴とする請求項1記載の架線類検測装置。
  3. 前記架線類は、単一又は複数の架線であり、
    前記パーティクル初期化部は、前記架線の偏位・摩耗幅のランダムな値を持つパーティクルを用意し、
    前記尤度関数が、枕木方向において前記架線の摩耗領域とその両側とで画素値が大きく変わること、および前記摩耗領域の平均画素値が前記摩耗領域を除いた架線の領域の平均画素値よりも大きくなることを考慮して設定される
    ことを特徴とする請求項2記載の架線類検測装置。
  4. 前記架線類は、吊架線を含み、
    前記パーティクル初期化部は、前記吊架線の偏位・幅のランダムな値を持つパーティクルをさらに用意し、
    前記尤度計算部は、背景の画素値よりも吊架線の画素値が低い傾向があることを考慮して設定される尤度関数をさらに加えて前記パーティクルの尤度値を計算する
    ことを特徴とする請求項3記載の架線類検測装置。
  5. 前記架線類は、渡り線を含み、
    前記パーティクル初期化部は、前記渡り線の偏位・幅のランダムな値を持つパーティクルをさらに用意し、
    前記尤度計算部は、背景の画素値よりも渡り線の画素値が低い傾向があることを考慮して設定される尤度関数をさらに加えて前記パーティクルの尤度値を計算する
    ことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の架線類検測装置。
  6. 前記ラインセンサカメラは、複数であり、
    前記画像入力部が複数の前記ラインセンサカメラにより時系列に撮影された前記架線類の偏位・幅・摩耗幅を含む画像データをそれぞれ入力する
    ことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の架線類検測装置。
  7. 前記ラインセンサは測距センサであり、
    前記データ入力部は、前記測距センサにより取得された前記架線類の偏位・架線幅・高さを含む距離データを入力する距離データ入力部であり、
    前記尤度計算部は、前記パーティクル初期化部により用意された前記パーティクル又は前記状態遷移部により作成された前記新たなパーティクルと、前記データ入力部で入力された前時刻の距離データとを使用して尤度関数に基づき前記パーティクルの尤度値を計算し、
    前記架線類検出部は、予め規定した数のラインの距離データから得られたパーティクルの尤度値に基づいて確率伝播処理により前記パーティクルの時系列的な連続性を評価し、最終的に検出に用いるパーティクルを選択する
    ことを特徴とする請求項1記載の架線類検測装置。
  8. 前記架線類は、単一又は複数の架線であり、
    前記パーティクル初期化部は、前記架線の偏位・摩耗幅のランダムな値を持つパーティクルを用意し、
    前記尤度関数が、枕木方向において前記架線の摩耗領域とその両側とで距離データが大きく変わること、架線領域および高さは前時刻の偏位から大幅に変化しないことを考慮して設定される
    ことを特徴とする請求項7記載の架線類検測装置。
  9. 前記架線類は、吊架線を含み、
    前記パーティクル初期化部は、前記吊架線の偏位・幅のランダムな値を持つパーティクルをさらに用意し、
    前記尤度計算部は、架線よりも吊架線の距離が大きい傾向があることを考慮して設定される尤度関数をさらに加えて前記パーティクルの尤度値を計算する
    ことを特徴とする請求項8記載の架線類検測装置。
  10. 前記架線類は、渡り線を含み、
    前記パーティクル初期化部は、前記渡り線の偏位・幅のランダムな値を持つパーティクルをさらに用意し、
    前記尤度計算部は、架線よりも渡り線の距離が大きい傾向があることを考慮して設定される尤度関数をさらに加えて前記パーティクルの尤度値を計算する
    ことを特徴とする請求項8又は請求項9記載の架線類検測装置。
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