(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、画像形成装置の実施形態であるカラー複写機の構造を概略的に示す断面図である。まず、画像形成装置全体の構成と動作について説明する。
図示の画像形成装置は、電子写真方式を採用するものであり、4つのプロセスカートリッジ11Y、M、C、Kが並列に配置された画像形成部1を有している。各プロセスカートリッジ11Y、M、C、Kは、潜像担持体であるドラム状の感光体18Y、M、C、K、ドラムクリーニングユニット12Y、M、C、K、帯電ユニット13Y、M、C、K、2成分現像方式の現像装置40Y、M、C、Kなどを備えている。これらプロセスカートリッジ11Y、M、C、Kは、装置本体に着脱可能であり、装置から取り外した後、消耗部品を一度に交換できるようになっている。また、プロセスカートリッジ11は、感光体18、帯電手段である帯電ユニット13及びクリーニング手段であるドラムクリーニングユニット12の少なくとも1つと、現像装置40とを一体に具備してもよい。
なお、ユニットやその構成部品などにおけるY、C、M、Kの添え字は、各々イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの色を示す。また、Y、C、M、Kの色順は、図1に限るものではなく、他の並び順であっても構わない。
画像形成部1の上方には、潜像形成手段としての露光ユニット9が設けられ、その露光ユニット9の上部には、コンタクトガラス上に載置された原稿を走査して読み取る読取装置10が設けられている。画像形成部1の下方には、中間転写体としての中間転写ベルト15を備える転写ユニット2が設けられている。中間転写ベルト15は、複数の支持ローラに掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。転写ユニット2の下方には二次転写装置4が設けられ、二次転写ローラ17を備えている。二次転写ローラ17は、中間転写ベルト15を挟んで転写対向ローラ16に当接して、二次転写ニップを形成している。この二次転写ローラ17には不図示の電源によって二次転写バイアスが印加され、転写対向ローラ16は電気的に接地されている。これにより、二次転写ニップ内に二次転写電界が形成される。
二次転写装置4の図中左方には、用紙上に転写されたトナー像を定着するために、内部に発熱体を備えた加熱ローラを備える定着ユニット7が設けられている。二次転写装置4と定着ユニット7との間には、トナー像転写後の用紙を定着ユニット7へ搬送する搬送ベルト6が設けられている。また、装置下方には、不図示の給紙収容部から1枚ずつ分離して給送された用紙を二次転写装置4へ給紙する給紙ユニット3と、定着ユニット7を通過した用紙を機外又は両面ユニット5へ搬送する排紙ユニット8とが設けられている。
上記のように構成された画像形成装置において、コピーを取る際の一連の動作について説明する。
まず、読取装置10はコンタクトガラス上に載置された原稿を読み取る。この原稿読み取りに並行して、中間転写ベルト15が図中時計回り方向に移動する。また、画像形成部1において、各感光体18Y,M、C、Kの表面は、各帯電ユニット13Y、M、C、Kにより帯電され、読取装置10が読み取った原稿の画像情報に基づき、露光ユニット9により露光される。これにより、各感光体18Y、M、C、Kの表面に潜像が形成される。
次に、各感光体18Y、M、C、Kの表面の潜像を、各現像装置40Y、M、C、Kが現像し、単色のトナー像(顕像)を形成する。そして、各感光体18Y、M、C、Kは、中間転写ベルト15上にトナー像を互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト15上に合成トナー像を形成する。トナー像転写後の各感光体18Y、M、C、Kは、ドラムクリーニングユニット12Y、M、C、Kにより、感光体18上の残留トナーを除去され、次の画像形成に備える。
このようなトナー像形成に並行して、不図示の給紙収容部から1枚ずつ用紙が繰り出され、レジストローラ14に突き当たり止まる。そして、中間転写ベルト15上の合成トナー像の形成にタイミングを合わせてレジストローラ14が回転し、中間転写ベルト15と二次転写装置4との間に用紙を送り込み、二次転写装置4は用紙上にトナー像を転写する。
次いで、トナー像が転写された用紙は搬送ベルト6で搬送され、定着ユニット7へと送り込まれる。定着ユニット7は、トナー像が転写された用紙に熱と圧力とを加えてトナー像を定着させ、トナーが定着された用紙を排紙ユニット8へ送り込む。
そして、排紙ユニット8は片面印刷の場合、用紙を機外(装置左側)の不図示の排紙トレイへ案内する。両面印刷の場合、排紙ユニット8は切換爪を切換えて用紙を下方の両面ユニット5へ案内する。両面ユニット5は用紙を反転して、再度二次転写位置(二次転写装置4と中間転写ベルト15との二次転写ニップ位置)へと導き、裏面にもトナー像を定着させ、排紙ユニット8にて用紙を排紙トレイ上に排出する。なお、画像転写後の中間転写ベルト15は、中間転写ベルトクリーニングユニット90により、ベルト上に残留する残留トナーを除去され、次の画像形成に備える。以上がコピーを取る際の一連の動作である。
ここで、本画像形成装置は、図1に示すように、装置サイズの小型化の観点から、機械装置の高密度化とともに中間転写ベルト15を定着ユニット7の上面及び右側面を覆うように屈曲し、定着ユニット7を転写ユニット2の下側に潜り込ませる配置としている。これにより、装置の高さ方向と幅方向をコンパクトにし、装置サイズを小型化している。
しかし、中間転写ベルト15に定着ユニット7を近接すると、発熱体である定着ユニット7の熱により中間転写ベルト15が変形し、結果として色ずれなどの画像不具合が発生するおそれがある。また、両面印刷時は、定着ユニット7で加熱された用紙が両面ユニット5を経由して、再び二次転写位置にて中間転写ベルト15に接触するため、今度は用紙からの熱伝導により中間転写ベルト15の温度が上昇する。さらに、中間転写ベルト15に接触している感光体18Y、M、C、K及びプロセスカートリッジ11Y、M、C、K内の各現像装置40Y、M、C、Kにも熱が伝わり、トナーの固着などの不具合が発生しやすくなる。
そこで本実施形態では、発熱源である定着ユニット7と、定着ユニット7と近接して配置される中間転写ベルト15との間に断熱装置20を設けている。この断熱装置20は、受熱部材である受熱板21と、伝熱手段(熱輸送手段)であるヒートパイプ22と、放熱部材である放熱板23と、ダクト24と、不図示の排気ファンとを有する。
受熱板21はAl又はCuなどの熱伝導性の高い材料で形成され、発熱源である定着ユニット7と、その熱の影響から保護する対象である転写ユニット2との間に配置されている。ヒートパイプ22は、その一方の端部(下端部)が受熱部であり、受熱板21の下面に装着されている。ヒートパイプ22の他方の端部(上端部)は放熱部であり、放熱部は受熱部よりも高い位置で放熱板23に装着されている。
放熱部材である放熱板23は、Al又はCuなどの熱伝導性の高い材料で形成され、ヒートパイプ22から輸送された熱を放出する。放熱板23には、必要に応じてヒートシンクを追加して設けてもよい。ダクト24は、画像形成装置本体の前面から背面に延設され、そのダクト内部に放熱板23が位置するように設けられている。ダクト24の装置前面側の端部には空気流入口が設けられ、背面側の端部には排気口が設けられている。その排気口には不図示の排気ファンが設けられている。
このような断熱装置20は、発熱部(定着ユニット7)からの熱を受熱板21で吸収し、その熱をヒートパイプ22によって放熱部(放熱板23)まで輸送する。そして、輸送された熱は、ダクト24内にある放熱板23から放出され、不図示の排気ファンにより装置外に排出される。なお、排気ファンを設けず、自然冷却としてもよいし、ヒートパイプの代わりにダクトを用いて外気を取り入れる方法を用いてもよい。
このように、断熱装置20により、定着ユニット7の熱の影響から中間転写ベルト15を保護し、中間転写ベルト15の変形による色ズレを未然に防止することができる。また、中間転写ベルト15に接触している感光体18Y、M、C、K及び現像装置40Y、M、C、Kに伝わる熱を低減することができる。そのため、本画像形成装置は、中間転写ベルト15を屈曲して、定着ユニット7を転写ユニット2の下側に潜り込ませる配置とできるので、装置サイズの小型化を図ることができる。
また、現像装置40Y、M、C、Kにおいては、各装置内の現像剤収容容器に収容された現像剤と現像剤攪拌搬送部材との摺擦による摩擦熱や、現像剤同士の摺擦による摩擦熱により現像装置40Y、M、C、K内の温度が上昇する。さらに、現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材と現像剤との摺擦による摩擦熱や、現像剤規制部材による規制時の現像剤同士の摺擦による摩擦熱によっても、現像装置40Y、M、C、K内の温度が上昇する。
現像装置40Y、M、C、K内の温度が上昇すると、トナーの帯電量が低下して潜像担持体へのトナー付着量が減少し、所定の画像濃度が得られなくなる。また、温度上昇によりトナーが溶融して現像剤規制部材、現像剤担持体及び潜像担持体などに固着し、画像にスジ状の異常画像などが生じるおそれがある。近年では、印刷スピードの高速化により現像装置が高温になり易く、定着エネルギーを小さくするために溶融温度の低いトナーを用いる場合も、トナーの固着による異常画像などが生じやすい。
このように、現像装置40Y、M、C、Kは、高画像品質及び高信頼性のため、非常に重要な冷却部位である。そのため、本実施形態では現像装置40Y、M、C、Kの現像剤収容容器をAl又はCuなどの熱伝導性の高い材料で形成するとともに、冷却部材として多数の放熱リブを設け気流による冷却を行っている。
図2は、実施形態に係る現像装置及び感光体の構造を示す断面図である。図2を参照しながら、現像装置及び感光体の構成と動作について説明する。
なお、4つのプロセスカートリッジ11Y、M、C、Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点以外はほぼ同様の構成なので、Y、M、C、Kという添字を省略する。
現像装置40の現像剤収容容器41は、撹拌搬送路44、回収搬送路47及び供給搬送路49などを形成する壁部材と、冷却部材としての放熱リブ41aとで形成される。現像剤収容容器41の一部は熱伝導性の高いAlといった金属で形成され、現像剤収容容器41の左側側面に放熱リブ41aが一体に形成されることにより、現像装置40の放熱効果を高めている。(図中、ハッチングした部分が金属で形成されている。)また、現像バイアス印加時に現像剤収容容器41の金属部分に電荷が蓄積し、本体などへ放電しないように、現像剤収容容器41の金属部分は電気的に接地されている。なお、現像剤収容容器の材質はAlに限らず、熱伝導性の高いCuなど他の材質にしてもよい。
このように形成された現像剤収容容器41内には、非磁性トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤が収容されている。
現像装置40には、感光体18の左隣に、矢印I方向に表面移動しながら感光体18の表面の潜像にトナーを供給・現像する現像ローラ45が設けられている。なお、感光体18は潜像担持体の一例であり、現像ローラ45は現像剤担持体の一例である。
図3は、現像ローラの構造を示す断面図である。図3に示すように、現像ローラ45は、回転可能な現像スリーブ45aを備え、その内部に複数の磁極からなる磁性体45c(便宜上、単一形状で図示する)が配置されている。磁性体45cは、現像ローラ45の表面で現像剤を保持するのに用いられる。
現像スリーブ45aの表面には、平面視で円形又は楕円形状の凹みが互いに重ならないように間隔をあけて規則的に又は不規則的に多数設けられている。現像スリーブ45a表面の加工方法は、特許文献3に記載された方法を用いればよい。
また、現像スリーブ45aの表面には低摩擦膜45bが形成されている。低摩擦膜45bは、例えば、テトラヘデラルアモルファスカーボン(ta−C)や窒化チタン(TiN)など、現像スリーブ45aの基材より摩擦係数の低い材料で構成されている。
ここで、フィルター処理陰極真空アーク(FCVA:Filtered Cathodic Vacuum Arc)方式によるta−C膜の成膜方法について説明する。
まず、ほぼ真空状態のチャンバ内にターゲットとして純度の高い炭素(黒鉛)を配置し、当該ターゲットに対しアーク放電を行う。次に、このアーク放電により発生したプラズマを電磁誘導により蒸着対象である現像スリーブ45aの基材に導く。その誘導過程において、電磁気的空間フィルターにより蒸着に不要なマクロ粒子や中性原子・分子などを除去して、イオン化した炭素のみを抽出する。そして、現像スリーブ45aの基材に到達したイオン化した炭素が、基材表面に凝集される。このようにして、ta−C膜からなる低摩擦膜45bが現像スリーブ45aの外表面に形成される。
ta−C膜からなる低摩擦膜45bは、メッキや塗布などで形成された膜に比べて、均一な厚みに形成できると伴に、比較的低温での成膜処理が可能であるので、現像スリーブ45aの温度による歪みなどが発生しにくい。そのため、現像スリーブ45aの形状精度を高めることができる。なお、FVCA方式による蒸着技術については、例えば、特許文献4などに開示されており、既に広く実用化されているため、詳細説明は省略する。
また、低摩擦膜45bは、中空陰極方式(HCD方式:Hollow Cathode Discharge)を用いて、TiN膜で形成してもよい。物理蒸着法(PVD)の一つであるイオンプレーティング方式は、密着性に優れた膜が比較的容易に得られる。このイオンプレーティング方式の中でも、特にHCD方式を用いることで、均質でかつ膜厚が均一で、母材の表面粗さに沿った被膜が得られる。なお、HCD方式による蒸着技術は、例えば、特許文献5、特許文献6などに開示されており、既に広く実用化されているため、詳細説明は省略する。
なお、低摩擦膜45bは、現像スリーブ45aの基材より摩擦係数の低い材料であればよく、他にも、炭化チタン(TiC)、炭窒化チタン(TiCN)、モリブデン酸などの材料を用いてもよい。各材料における摩擦係数は、アルミニウム合金が0.5以上であり、TiNが0.3〜0.4であり、ta−Cが0.1以下程度の大きさである。
現像スリーブ45aは、表面に凹みが形成された後、低摩擦層45bが形成される。すなわち、表面の凹みは、経時変化による現像剤搬送量の低下を抑制し、画像濃度ムラを防止する。また、低摩擦層45bは、現像剤との摩擦力を低減し、現像スリーブ45aの非画像部にトナーが付着することを防止する。これによりゴースト画像(感光体1周の履歴が次の画像に写ること)といった濃度ムラを防止することができる。
低摩擦膜45bの表面摩擦係数の計測方法についても説明しておく。
図4は、オイラーベルト方式を用いた摩擦係数測定装置の模式図である。低摩擦膜45bをコートした現像スリーブ45aの摩擦係数の測定には、オイラーベルト方式を用いた摩擦係数測定装置95を用いる。架台96の上に、現像ローラ45と、台98を介してフォースゲージ99とが設置されている。また、ベルトとして中厚の上質紙100が、紙すきが長手方向になるようにして現像ローラ45の円周1/4の部分に張架してある。
ベルトの一方に、例えば0.98N(100g)の荷重(分銅97)が掛けられ、他方にフォースゲージ99が取付けられている。分銅97によりベルトが引っ張られ、ベルトが移動した時点でのフォースゲージ99の測定値Fを読み取る。読み取った測定値Fを、下記の式(1)に代入すれば、静止摩擦係数μsが算出できる。
静止摩擦係数μs=(2/π)×ln(F/0.98)・・・・(1)
再度図2に戻り、現像装置及び感光体の説明を続ける。
現像ローラ45の左隣には、現像ローラ45の軸線に沿って供給搬送路49が形成され、供給搬送路49内には、現像ローラ45に現像剤を供給しながら図の手前方向に現像剤を搬送する供給スクリュ48が備えられている。
供給スクリュ48と現像ローラ45との対向部からさらに表面移動方向の下流側には、現像ローラ45に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制するドクタブレード42が設けられている。ドクタブレード42はステンレス製であり、これにより現像ローラ45上の現像剤は薄層化される。なお、ドクタブレードは現像剤規制手段の一例である。
現像ローラ45と感光体18との対向部である現像領域よりも表面移動方向の下流側には、現像領域を通過し、現像ローラ45の表面から離脱した現像済みのトナーを回収する回収搬送路47が形成されている。回収搬送路47内には、回収したトナーを供給スクリュ48と同方向に搬送する回収スクリュ46が備えられている。回収スクリュ46も、供給スクリュ48と同じく現像ローラ45の軸線方向と平行に伸びている。
なお、現像ローラ45からの現像剤の離脱は、先に述べた現像スリーブ内部にある磁性体を、離脱させたい箇所のみ磁極がない状態に設定することにより行われる。また、離脱させたい箇所に反発磁界が形成されるような磁極配置の磁性体を用いてもよい。
図5は、現像ローラの法線方向磁束密度の絶対値をプロットした図である。図5に示すように、M1で示す実線は、現像スリーブ表面上の法線方向磁束密度の値を示し、M2で示す破線は、現像スリーブ表面から1mm離れたところの法線方向磁束密度の値を示す。
また、表1に、各極の現像スリーブ表面(距離0mm)と現像スリーブ表面から1mm離れた位置での法線方向磁束密度のピーク値(mT)を示す。
図5を用いて、現像剤の挙動について説明する。まず、供給搬送路49の現像剤は汲み上げ極:P3(N極)の磁力により現像ローラ45に汲み上がり、図中矢印A方向(時計周り)に搬送される。次に、搬送された現像剤は規制極:P4(S極)により穂立ちし、ドクタブレード42によって現像剤量が規制される。次いで、現像剤は、搬送極:P5(N極)により搬送され、主極:P1(S極)で感光体と対向してトナーを現像する。現像後、現像剤は、搬送極:P2(N極)により搬送される。そして、現像剤は、P2とP3との間の反発磁界により現像ローラ45から分離、離脱され、回収搬送路47へと回収される。
続いて、主極:P1について詳細に説明する。主極:P1では、その磁力により現像剤は穂立ち(磁気ブラシ)し、磁気ブラシは感光体と所定の間隔(現像ギャップ)をもって接触する。感光体と現像ローラ45の線速差及び現像バイアスによって磁気ブラシ中の帯電トナーは、感光体の潜像に現像されるが、主極の磁力の強さ、磁気ブラシが感光体と摺擦する部分で発生する接触部(現像ニップ幅)や線速差は、各種画像に大きく影響する。
これは、本発明の課題であるベタ周辺白抜けの異常画像にも大きく影響している。特に、ベタ画像の先端部の白抜けに関しては次のようにして生じる。ベタ部の現像に使用されるトナーのキャリアから離れる際に生じるカウンタチャージを、磁気ブラシが持ったままベタ部からハーフトーン部に移動する。そして、磁気ブラシが、ベタとハーフトーンの境界(ベタ画像の先端)に位置するハーフトーン画像のトナーを感光体から静電吸着する。このようにして、ベタ画像の先端側の白抜けが発生する。
このカウンタチャージによる影響を回避するために、対感光体線速比を小さくする(通常、現像回転数が早いが、ここでは感光体線速に近づけることを意味する)ことや、現像ローラの小径化で現像ニップ幅を小さくすることが考えられる。
しかしながら、線速比を小さくすると、現像能力が低下し十分な画像濃度が得られなくなる不具合が生じる。また、現像ローラ45の小径化は内包する磁石の小型化で十分な磁力が得られないことから磁気ブラシ先端(感光体側)の磁力が弱まり、感光体からの電気的な力でキャリアが感光体に付着する、いわゆるキャリア付着が発生してしまう。
そこで、線速比を必要以上に小さくせず、かつ現像ローラ径も必要以上に小さくせずに現像ニップを狭める方策として、主極:P1の法線方向磁束密度の減衰率を40%以上とする。ここで、減衰率とは、現像スリーブ表面上の法線方向磁束密度のピーク値と現像スリーブ表面から1mm離れたところでの法線方向磁束密度のピーク値の差を、現像スリーブ表面上の法線方向磁束密度のピーク値で割った比率と定義する。
本実施形態の場合、表1に示すように、主極:P1の現像スリーブ表面上の法線方向磁束密度のピーク値は−120mTであり、現像スリーブ表面から1mm離れたところの法線方向磁束密度のピーク値は−68mTである。また、法線方向の磁束密度の低下量(差分の絶対値)は52mTである。そのため、減衰率は43%となる。
このように、減衰率が40%以上であるため、本実施形態の現像装置は、線速比、現像ローラ径を変えずに現像ニップ幅を狭めることができ、ベタ画像周辺の白抜け、特にベタ画像先端部の白抜けを改善できる。
図2に戻り、現像装置の説明を続ける。
供給スクリュ48及び供給搬送路49の下方には、回収搬送路47に並列して撹拌搬送路44が形成されている。撹拌搬送路44内には、現像剤を撹拌しながら供給スクリュ48とは逆方向である図中奥側に搬送する撹拌スクリュ43が備えられている。撹拌スクリュ43は、撹拌軸部43aにらせん状の撹拌羽部43bが固定された形態となっている。
供給搬送路49と撹拌搬送路44とは第一仕切り壁133によって仕切られているが、第一仕切り壁133の図の手前側及び奥側の両端は開口しており、その開口部において供給搬送路49と撹拌搬送路44とが連通している。また、供給搬送路49と回収搬送路47とは第一仕切り壁133によって仕切られ、第一仕切り壁133には開口部が設けられていない。さらにまた、撹拌搬送路44及び回収搬送路47の2つの現像剤の搬送路は第二仕切り壁134によって仕切られている。第二仕切り壁134は図中手前側が開口部となっており、その開口部おいて撹拌搬送路44と回収搬送路47とが連通している。
なお、上述したように、放熱リブ41a、現像剤収容容器41の下部と左側面、第一仕切り壁133、第二仕切り壁134、回収搬送路47及び撹拌搬送路44は、Alで形成され、現像装置40の放熱効果を高めている。(図2のハッチング部分参照)
現像剤攪拌搬送部材である供給スクリュ48、回収スクリュ46及び撹拌スクリュ43は樹脂もしくは金属からなる。スクリュ径は全て直径22(mm)であり、スクリュピッチは供給スクリュ48が50(mm)の2条巻きであり、回収スクリュ46及び撹拌スクリュ43が25(mm)の1条巻きである。回転数は全てのスクリュで約600(rpm)である。
また、本実施形態の現像装置40は、撹拌搬送路44の全長が410(mm)であり、供給搬送路49の全長が320(mm)である。
現像ローラ45は、直径25(mm)のAl又はSUS(ステンレス鋼)素管からなり、その表面はV溝又はサンドブラスト処理がされている。現像ローラ45とドクタブレード42間のギャップと現像ローラ45と感光体18間のギャップは、いずれも0.3(mm)程度である。
なお、図には示していないが、現像ローラ45には現像バイアス印加機構が取り付けられ、感光体18は電気的に接地されている。
上記のように構成された現像装置40において、次のようにして感光体18上にトナー画像が形成される。
まず、感光体18は図中矢印G方向に回転しながら、その表面を不図示の帯電装置により帯電される。帯電された感光体18の表面には、不図示の露光装置から照射されたレーザ光により静電潜像が形成される。同時に、供給搬送路49内の供給スクリュ48は現像ローラ45の軸線方向に沿って現像ローラ45に現像剤を供給する。そして、供給された現像剤はドクタブレード42により現像に適した厚さに規制され、現像ローラ45上に現像剤層が形成される。
次に、現像ローラ45は、図中矢印I方向に表面移動しながら、現像バイアス印加機構により現像バイアスを印加される。これにより、現像ローラ45は感光体18の表面の潜像に現像剤を供給し、現像を行う。現像領域を通過し、現像ローラ45の表面から離脱した現像済の現像剤は回収搬送路47にて回収され、回収スクリュ46により図の手前側に搬送される。
そして、現像剤は、非画像領域部に設けられた第二仕切り壁134の開口部で、撹拌搬送路44へ移送される。撹拌搬送路44は現像剤を攪拌しながら図中奥側に搬送し、第一仕切り壁133の開口部で、供給搬送路49へ現像剤を移送する。なお、撹拌搬送路44の上流側の第二仕切り壁134にある開口部付近には、不図示のトナー補給口があり、そこから撹拌搬送路44にトナーが補給される。
本実施形態は、2成分現像方式を採用しており、現像剤として非磁性トナーに加えて、トナーを搬送する媒体として磁性キャリアを用いる。
現像剤の磁性キャリアは、例えば酸化鉄を主成分としたフェライト、マグネタイト又は鉄粉を芯材とし、樹脂でコーティングした磁性体樹脂キャリアを用いることができる。このようなキャリアの被覆材料(コーティング材料)としては、アミノ系樹脂として例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂及びポリアミド樹脂などが挙げられる。
また、ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂として例えば、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂及びスチレンアクリル共重合樹脂などのポリスチレン系樹脂が挙げられる。さらに、ポリ塩化ビニルなどのハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂も挙げられる。さらにまた、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマーなどのフルオロターポリマー及びシリコーン樹脂なども挙げられる。
また、磁性キャリアの体積固有抵抗の測定には、図6に示すように、フッ素樹脂製容器からなるセル101を用いて行った。セル101の内部には、表面積が8cm2(2cm×4cm)の電極102a、102bが2mmの間隔で配置されており、その間に磁性キャリアを充填した。キャリア充填後に三協タッピングマシンPTM−1型(パイオテク社製)を用いてキャリアの粉粒体層を一定の状態とした。タッピング操作は、30回/minのタッピングスピードにて1分間印加を行った。その後、両電極102a、102bに1000Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(4329A+LJK5HVLVWDQFH0HWHU;横川ヒューレットパッカード株式会社製)により直流抵抗を測定して電気抵抗率RΩ・cmを求め、LogRを算出した。以上より、本実施形態では、10LogΩ・cmの磁性キャリアを使用することとし、さらにアミノ系樹脂のコーティングを施した。
現像剤のトナーについては2成分現像剤として使用されるトナーであれば制限されず、さらに、バインダー樹脂、着色剤、離型剤、帯電調整剤及び外添剤などを含むトナーも使用することができる。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体:スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは単独、あるいは2種以上併用して使用できる。
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフト−ルイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、オイルイエロー、ハンザイエロー、(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラゲンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイヤーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレットB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、クロームバーミリオン、ベンジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサジンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアンエメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポンなどが挙げられる。これらは1種単独、あるいは2種以上併用することができる。
外添剤としては無機微粒子又は疎水化処理無機微粒子の公知のものすべてが使用可能であり、例えば、シリカ微粒子、疎水性シリカ、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど)、金属酸化物(チタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)、フルオロポリマーなどを含有してもよく、特に、疎水化されたシリカ、チタニア、アルミナ微粒子を好ましく用いることができる。
外添剤の無機微粒子として、例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。その中でも特にシリカ、二酸化チタンを好ましく用いることができる。
離型剤としては、例えば固形のパラフィンワックス、マイクロワックス、ライスワックス、脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸系ワックス、脂肪族モノケトン類、脂肪酸金属塩系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル系ワックス、シリコーンワニス、高級アルコール、カルナウバワックスなどを挙げることができる。なお、以上の条件は一例を示したものであり、本発明はこれらの条件に限定されない。
このように定めた磁性キャリアと非磁性トナーとを用いる2成分現像方式においては、現像バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を印加する方法がとられている。しかし、上述したように、現像剤収容容器41の一部は金属からなり、電気的に接地されているので、現像剤担持体(現像ローラ)に重畳電圧を印加すると、重畳電圧は潜像担持体(感光体)と現像剤収容容器41の2つに分岐して印加される。その結果、潜像担持体に所望の電圧を印加することができず、画像のザラツキ、画像濃度ムラの改善効果がなくなるとともに、ベタパッチ画像周辺の白抜けの悪化という問題が新たに生じる。
図7は、第1の実施形態に係る現像装置の現像領域付近の拡大図である。図7を参照しながら、本実施形態の特徴部分について説明する。
現像ローラ45の周囲には、図中左側に供給搬送路49と供給スクリュ48が設けられ、そこから回転方向Iの方向に向けて、ドクタブレード42が設けられている。ドクタブレードから現像ローラカバーEが張出し、その終端から現像ローラ45が露出している。現像ローラ45が露出し、現像ローラ45と感光体18とが対向する部分は、現像ローラから感光体18にトナーが移動・付着する現像領域Aとなっている。現像領域Aより下流側は、現像ローラ45と現像剤収容容器41とが対向する対向部Bとなり、露出していた現像ローラ45は現像装置内に収まる。対向部Bの下流は回収搬送路47へとつながる。このうち供給搬送路49及び現像ローラカバーEは樹脂で形成されているが、ドクタブレード42及び対向部Bにおける現像剤収容容器41は、金属で形成されている。
現像ローラ45に現像剤が供給され、感光体18を現像し、再度現像ローラ45の現像剤が回収されるまでの一連の工程は、以下のようになる。
現像ローラ45は供給搬送路49から現像剤の供給を受け、内部の磁性体が作る磁界により現像剤を現像スリーブ上に付着させて搬送する。搬送される現像剤は現像剤層を形成し、搬送の途中で、ドクタブレード42により予め決められた高さに規制される。高さが規制された現像剤層は、現像領域Aにおいて現像バイアス印加機構により現像バイアスが印加され、トナーが静電気力によって感光体表面に移動・付着する。これにより感光体18上の潜像がトナーにより現像される。その後、現像剤層は現像ローラ45と現像剤収容容器41との対向部Bを通過し、現像ローラ45内部の磁性体が作る磁界により回収搬送路47へ離脱する。
現像バイアスが印加された際、現像ローラ45と感光体18との間は現像剤層に含まれる帯電されたトナーにより電流が流れるが、同様に、対向部Bにおいて現像ローラ45と現像剤収容容器41の間にも電流が流れる。そのため、現像バイアスである重畳電圧が感光体18及び現像剤収容容器41の2つに分岐されて印加されることになる。これでは感光体18に所望の現像バイアスを印加することができない。なお、ドクタブレードも金属製であるが、現像ローラ45と同電位であるので問題にならない。
そこで、本実施形態では対向部Bにある現像剤収容容器41を抵抗層50により被覆し、対向部Bにある現像ローラ45と現像剤収容容器41の間に現像剤層Dと抵抗層50とからなる電流制限抵抗を形成している。抵抗層50としては、例えばPTFEテープ(住友スリーエム株式会社製 No5490 厚さ0.09mm)を用いている。また、抵抗層50は、現像ローラ45と対向部Bの間の現像剤層Dよりも高抵抗であり、少なくとも1層以上、好ましくは複数層形成することが望ましい。
この電流制限抵抗により、対向部Bにある現像ローラ45と現像剤収容容器41の間を流れる電流を抑制でき、感光体18に所望の現像バイアスを印加することができる。したがって、画像のザラツキ、画像濃度ムラ、ベタパッチ周辺の白抜けを改善することができる。
また、より確実に電流を抑制するために、対向部Bにある現像剤収容容器41に絶縁塗料などを塗布したり、絶縁テープを設けたりして、絶縁層を形成してもよい。さらに、例えば、対向部Bにある現像剤収容容器41に絶縁塗料などを塗布した上に、絶縁テープ層を設け、現像剤層Dとあわせて3層としてもよい。
次に、印加する現像バイアスについて説明する。
各感光体上の潜像をトナー像(顕像)とするために、現像ローラに現像バイアスを印加して感光体にトナーを現像する。本実施形態では現像バイアスとして、直流電圧(DC)に交流電圧(AC)を重畳した重畳電圧を印加している。
本実施形態の重畳電圧は周波数を8kHz、ピークトゥピーク電圧(Vpp)を800V、+側Dutyを50%としている。ここで、本実施形態では感光体を一様帯電するための帯電バイアスにも交流電圧(AC)を使用しており、その周波数は2.65kHzである。
帯電バイアスの周波数と現像バイアスの周波数が整数倍もしくは、1/(整数倍)からずれると、帯電周波数と現像周波数の干渉(うねり)によって帯電ムラによる横スジ画像が発生する。そこで、実際には現像バイアスの周波数は、帯電周波数の3倍である7.95kHzとしているが、ここでは便宜上、8kHzと記載している。(以後、同様に記載する)
次に重畳電圧のうちのAC波形形状について説明する。
図8は、矩形波の約1周期分の波形を模式的に示すグラフである。横軸は時間(s)であり、縦軸は電圧(V)である。また、オフセット電圧(重畳電圧の直流成分)は0Vとしてある。実線は、本実施形態に係る矩形波を示し、破線は理想的な波形を示す。
本実施形態の矩形波は、立ち上がり時間と、立下り時間が、それぞれ15〜20μsの間の値と規定されている。ここで立ち上がり時間とは、図中(1)で示すように、ピーク値の10%から、ピーク値の90%に到達するまでの時間間隔である。また、立ち下がり時間とは、図中(2)で示すように、ピーク値の90%から、ピーク値の10%に到達するまでの時間間隔である。
表2に、本実施形態の構成における重畳電圧の立ち上がり/立下り時間を変えたときのベタパッチ周辺白抜け画像と画像濃度ムラを評価した結果を示す。評価方法は、出力された画像を目視にて評価とした。画像に異常がなければ“○”とし、画像に僅かに異常があるが許容できるレベルならば“△”とし、画像に異常があれば“×”とした。
表2に示すように、画像濃度ムラとベタパッチ周辺白抜けを両立させるためには、立ち上がり/立下り時間を10μsより長く、25μsより短くする必要があり、好ましくは15〜20μsとするのが良い。
図8のグラフにおいて、破線で示す理論的な波形の場合、ピーク電圧時は電圧値が平坦である(時間に対して電圧が変化しない)。この平坦性を維持するためには、+電源と−電源をスイッチにより切り替えるスイッチング型とし、更に冷却装置などを追加して発熱による電圧降下を抑える必要がある。この場合、スイッチ切り替え時の耐圧に耐えられるスイッチを選定しなければならないことによるコスト増大、及び冷却装置の追加によるコスト増大となるとともに、両構成をとることによるスペース増大にもなる。
そこで、本実施形態では、コスト、スペース及び画像品質のいずれも満足するために、トランス型の電源を用い、ピーク電圧が時間経過とともに増加又は減少し、オフセット電圧の値に近づく構成とする。すなわち、図中(3)に示すように、0V側に電圧が減少する構成とする。
このピーク電圧のオフセット電圧側へ移動(以下、サグという)について、ピーク電圧が増加する場合をプラス、減少する場合をマイナスと定義する。また、その移動分の電圧を片側ピーク電圧で除したものを変化率(%)と定義する。
例えば、重畳電圧のピークトゥピーク電圧(Vpp)が1000Vであり、サグが1%であるとしたとき、ピーク電圧の降下分(又は上昇分)は、5V(片側ピーク電圧の1%)となる。
表3に、本実施形態の構成における重畳電圧(図8に示す矩形波)のサグを変えたときの、ベタパッチ周辺白抜けを目視評価した結果を示す。評価方法は、出力された画像を目視にて評価とした。画像に異常がなければ“○”とし、画像に僅かに異常があるが許容できるレベルならば“△”とし、画像に異常があれば“×”とした。
表3に示すように、ベタパッチ周辺白抜け画像を許容レベルとするためには、サグを10%以下とする必要があり、好ましくは5%以下とするのがよい。しかし、サグを5%未満にすると、スイッチング型の電源や冷却装置などが必要となるため、コスト、スペースともに増大する。そのため、本実施形態の矩形波のサグは、画像品質、コスト及び省スペースの両立ができる5%とする。
なお、本実施形態では、交流電圧波形として矩形波を用いているが、これに限定されない。正弦波、三角波及び/又は矩形波を組み合わせた波形形状としてもよい。
図9は、作像条件である、感光体の帯電後電位(Vd)、露光後電位(VL)及び現像バイアス(Vb)を示すグラフである。
帯電装置により一様に帯電された感光体の帯電後電位(Vd)は、露光されることで露光後電位(VL)となる。ここで、現像バイアスVbを与えることで感光体にトナー像を現像できる。この露光後電位(VL)と現像バイアス(Vb)との差を現像ポテンシャルと呼ぶ。
現像バイアスが直流電圧のみの場合は、各電位が図9(a)に示す関係であるとする。現像バイアスを重畳電圧とすると現像能力が高くなることから、図9(b)又は図9(c)に示すように現像ポテンシャルを小さくできる。これにより、ベタ部とベタ周辺のハーフトーン部に発生するエッジ電界を抑制することができ、ベタ周辺白抜けに対して効果が得られる。
ここで、図9(b)では現像ポテンシャルを小さくする際に、帯電後電位(Vd)を小さくする方式をとった。この方式の場合、感光体の電位が小さいことから、他のバイアス(例えば、中間転写体にトナー像を転写する際の転写バイアス)の影響を受け、ゴースト画像が発生しやすくなり、画像濃度ムラを生じてしまう。
そこで、本実施形態では図9(c)に示すように、現像ポテンシャルを小さくする際に、露光後電位(VL)を図9(a)、(b)のVLと比較して絶対値で大きくした。これにより帯電後電位(Vd)を、現像バイアスが直流電圧の場合と同程度にできるため、ゴースト画像を抑制でき、画像濃度ムラを改善できる。さらに現像ポテンシャルも小さいことからベタ周辺白抜けも改善できる。
なお、露光後電位を絶対値で大きくする方法としては、例えば露光装置から照射されるレーザ光の強さを変えることで対応できるが、この方法に限定されない。
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係る現像装置の現像領域付近の拡大図である。図10において、図7と同一物には同符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図10に示すように、第2の実施形態に係る現像装置は、現像ローラと対向する現像剤収容容器の一部(以後、容器先端部60と称す)を、現像剤収容容器と別体としている。容器先端部60を現像剤収容容器と別体とすることで、現像ローラと現像剤収容容器の間隔を容易に調整することが可能となる。そのため、現像剤搬送時におけるトナー飛散を抑制するための現像剤収容容器内への吸い込み気流を容易に調整することができる。
容器先端部60を現像剤収容容器と同じ金属材料(本実施形態ではアルミ)とした場合には、第1の実施形態同様に抵抗層(図7の抵抗層50、図10では不図示)を少なくとも1層以上形成することで、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、容器先端部60が別体であることから樹脂材料とすることも可能である。この場合、現像剤収容容器と現像ローラとの間に樹脂層(絶縁層)が形成されるので、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(効果確認)
第1及び第2の実施形態の現像装置(以下、実施例1、実施例2という)と、現像剤収容容器に抵抗層(テープ層)を形成しない従来の現像装置(以下、比較例という)とに対し、通紙実験を行った。比較例は、現像ローラ45と現像剤収容容器41の対向部Bに抵抗層を形成しないこと以外は、実施例1及び2と同じである。
<作像条件>
作像条件は、直流電圧、重畳電圧1、重畳電圧2の3種類である。重畳電圧1とは、感光体の帯電後電位(Vd)を小さくする方式とした。(図9(b)参照)重畳電圧2とは、露光後電位(VL)を大きくする方式とした。(図9(c)参照)
<重畳電圧条件>
印加する重畳電圧として、オフセット電圧(直流電圧)に矩形波(交流電圧)を重畳した。矩形波は、周波数が8kHz、ピークトゥピーク電圧(Vpp)が800V、+側Dutyが50%、立ち上がり/立ち下がり時間が15μs、サグが5%とした。オフセット電圧は、重畳電圧波形の面積平均値が現像バイアス(Vb)となるように設定した。(表4参照)
<評価画像>
評価画像として、ベタパッチとハーフトーンとを交互に配置したチェッカー画像(図11参照)と、画像面積率(網点面積率)が75%の画像(図12参照 以下、ハーフトーン画像という)とを用意した。チェッカー画像により画像のザラツキ及びベタパッチ周辺白抜けを評価し、ハーフトーン画像により画像濃度ムラを評価した。なお、ハーフトーン画像は、発明者らが評価に用いた画像のなかで、濃度ムラの差がもっとも出やすい(わかりやすい)画像である。
<紙種>
紙種として、NBSリコー製 タイプ6000<70W>を用いた。この用紙は坪量が70(gsm)であり、サイズはA4である。
<評価方法>
評価方法は、出力された画像を目視による評価とした。画像に異常がなければ“○”とし、画像に僅かに異常があるが許容できるレベルならば“△”とし、画像に異常があれば“×”とした。
現像バイアスを直流電圧とした場合は、比較例1、実施例1及び実施例2とともに、許容レベルではあるが異常が発生しており、いずれの構成でも画像品質に差がなかった。
次に、現像バイアスを重畳電圧1とした場合、画像ザラツキはいずれの構成でも画像に異常がなく、直流電圧の場合より改善した。ベタ周辺白抜けは、実施例1及び2の構成では直流電圧より改善したのに対し、比較例1の構成では直流電圧より悪化した。画像濃度ムラは、ゴースト画像の影響を受け、直流電圧の場合と同等レベルであった。
これら2条件に比べて、現像バイアスを重畳電圧2とした場合、画像ザラツキは、重畳電圧1と同様にいずれの構成も直流電圧より改善した。ベタ周辺白抜けは、比較例1の構成では先ほどと同じく、直流電圧より悪化したが、実施例1及び2の構成では改善した。画像濃度ムラは、ゴースト画像の発生がなく重畳電圧による濃度ムラの改善効果が得られた。これは、帯電後電位(Vd)が現像バイアスを直流電圧にした時と同程度としたためと考えられる。
以上より、実施例1、2の構成で現像バイアスを重畳電圧1とすることで画像ザラツキとベタ周辺白抜けの改善効果が確認できた。また、現像バイアスを重畳電圧2とすることで、更に画像濃度ムラの改善効果が確認できた。
(変形例)
以下より、現像装置をより効果的に冷却できる構成について説明する。
上述した2つの実施形態では、現像装置は冷却部材として放熱リブを備えている。しかし、冷却部材として冷媒により冷却する液冷装置を備えてもよい。
図13は、液冷装置30の概略構成図である。図13に示すように、液冷装置30は、冷却液で熱を受ける受熱部32Y、M、C、Kと、冷却液を冷却する3つの冷却部35と、循環パイプ34と、冷却液を循環パイプ内に循環する冷却ポンプ31と、余剰の冷却液を貯留するリザーブタンク33などを有する。
受熱部32Y、M、C、Kは、各プロセスカートリッジ11Y、M、C、Kの不図示の現像装置に圧接して取り付けられ、現像装置から発生する熱を受ける。受熱部32Y、M、C、Kの詳細な説明は後述する。
冷却部35は、放熱手段であるラジエータ35bと、冷却ファン35aなどを備えており、4つのプロセスカートリッジ11Y、M、C、Kの横に3つ設けられている。ラジエータ35bは、熱伝導率が高いAlなどで形成され、冷却媒体を内包する収容部を介して冷却液を伝熱・放熱する放熱手段である。放熱量に応じて冷却ファン35aによる強制空冷又は自然空冷がとられる。冷却ファン35aによる強制空冷の場合、冷却部35毎に冷却ファン35aを設けてもよいし、一つの冷却ファンで各冷却部35のラジエータ35bに外気を供給してもよい。
循環パイプ34は、受熱部32Y、M、C、Kと、3台の冷却部35と、冷却ポンプ31と、リザーブタンク33とを直列に連結している。冷却ポンプ31は、循環パイプ34内に冷却液を受熱部32Y、M、C、Kと冷却部35との間で循環させる駆動源であり、冷却液は図13中矢印のように循環する。また、リザーブタンク33は、冷却液保管用のタンクである。
冷却液は、受熱部32Y、M、C、Kが受けた熱を冷却部35内のラジエータ35bまで輸送する熱輸送媒体である。冷却液は、水を主成分とし、凍結温度を下げるためにプロピレングリコール又はエチレングリコールなどを添加したり、金属製の構成部品の錆を防ぐために防錆剤(例えば、リン酸塩系物質:リン酸カリ塩、無機カリ塩など)を添加したりして使用される。冷却液が水の場合、定積熱容量は空気の3000倍以上であり、少ない流量で大きな熱量を輸送できるので、強制空冷に比べ効率のよい冷却が可能である。
図14は液冷装置を用いたプロセスカートリッジの概略構成図である。冷却部材以外の構成については、上述の実施形態と同じであるため説明は割愛する。なお、図では、4つの現像装置40Y、M、C、Kから1つを代表して示し、添え字Y、M、C、Kを省略している。
図14に示すように、現像装置40の左側には前述した受熱部32が設けられている。受熱部32は、各々熱伝導性の高い部材で形成されたケース32aと、その内部に設けられた流路32bにより構成されている。ケース32aは、通常、熱伝導率が400(W/mK)程のCu、もしくは200(W/mK)程のAlをベースにして形成されている。ケース32aには、より熱伝導率の高い材質(例えば、AgやAu)を用いてもよい。
受熱部32は、各現像装置40より発生する熱を受けるために側面に圧接されている。しかし、現像装置40の側面なども、受熱部32と同じくAl又はCuなどの熱伝導性の高い部材で形成されているため、現像装置40の側面に受熱部32を密着させる際に少なからず空気層ができる。空気層は受熱部32と現像装置40の側面との熱交換の効率を下げてしまうため、本変形例においては、受熱部32と現像装置40の側面との圧接された面(以下、圧接面という)に熱伝導シート130を貼り付けている。この熱伝導シート130は高熱伝導性であると同時に、現像装置40と受熱部32との面精度を潰してくれるような硬さ(変形しやすさ)であることが必要である。
しかし、熱伝導シート130は高熱伝導であると硬く、低熱伝導だと軟らかいという性質を持っている。高熱伝導性を得るために、熱伝導シート130は、ある程度硬くなってしまう。そのため、本変形例では、受熱部32を現像装置40の側面に圧接するように、受熱部32を大きな押圧力で押圧している。これにより、ある程度硬い熱伝導シートを用いても熱伝導シート130が変形して、現像装置40と受熱部32との面精度を潰すことができる。これにより、現像装置40と受熱部32との間に空気層ができるのを抑制し、現像装置40の熱を受熱部32に良好に伝導させることができる。また、熱伝導シート130は、現像装置40側面に貼り付けてもよい。
なお、本変形例では冷却部35の設置個数を3つとしたが、これは1つでもよいし、4つ以上であっても構わない。冷却部35を複数備えることで各冷却部の冷却効率が低くても、全ての現像装置40Y、M、C、Kの温度上昇を良好に抑制することができる。その結果、1つの冷却部35で全ての現像装置40Y、M、C、Kの温度上昇を抑制するものに比べて、放熱面積が小さく冷却効率のあまり高くない小型のラジエータを用いることができ、冷却部35を小型化することができる。
以上、プロセスカートリッジを用いた複写機を例にとって説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、プロセスカートリッジは感光体、現像装置などを別体とする構成をとることも可能である。また、画像形成装置の構成も任意であり、タンデム式における各色作像ユニットの並び順などは任意である。また、4色機に限らず、3色あるいは5色以上のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。すなわち、現像装置を単一又は複数個具備してよい。もちろん、画像形成装置としては複写機に限らず、プリンタやファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であってもよい。