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JP6490195B2 - 腫瘍の治療に使用するための糖脂質を含有する組成物 - Google Patents
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JP6490195B2 - 腫瘍の治療に使用するための糖脂質を含有する組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、腫瘍治療で使用するためのα−Gal糖脂質(9Z,9’Z)−(2R)−3−(((2−(6−((3−(((2R,3R,4R,5S,6R)−3−アセトアミド−5−(((2S,3R,4S,5S,6R)−3,5−ジヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)−4−(((2R,3R,4S,5R,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−4−ヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)プロピル)アミノ)−6−オキソヘキサンアミド)エトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)プロパン−1,2−ジイルビス(オクタデカ−9−エノエート)(α−GalBOEL)を含む、医薬組成物に関する。本発明は、前記組成物を使用する腫瘍治療の方法にも関する。
複数の転移は切除不能及び/またはいかなる治療も無効であるので、固体腫瘍のある癌患者の主な死因は手術後の癌の再発である。このような患者の大部分は、末期癌疾患を有すると考えられている。いかなる治療も利用できないので、多くのこれらの患者は、転移性腫瘍病変の発見後数週間以内または数か月以内に死亡する。
免疫系が破壊されるべきである細胞として腫瘍細胞を検出できないので、腫瘍が癌患者で発生する。腫瘍細胞は、癌患者の大部分の自己腫瘍抗原を発現する。このような自己腫瘍抗原は、保護抗腫瘍免疫応答を誘発できる。腫瘍細胞または腫瘍細胞膜は、抗腫瘍免疫応答の発現を誘発するために、抗原提示細胞によって内部移行される必要がある。しかし癌患者の免疫系は、「知らぬ間」の腫瘍の初期発生と関連する腫瘍抗原に対して「無視」を示すので、それは抗原提示細胞では「見えない」(Pardoll D M.Clin.Immunol.2000;95:S44−49;and Dunn G PらNat Immunol 2002;3:991−8)。
加えて腫瘍微環境及び局所サイトカイン環境は、多くの場合免疫機能に対して抑圧性であり、及び免疫細胞アネルギー及びその死を能動的に誘発できる(Malmberg K J.Cancer Immunol.Immunother.2004;53:879−92; LugadeらJ.Immunol.2005;174:7516−23)。前記転移性腫瘍病変の効果的な治療は、2つの要素を必要とする。
1.目視でまたは画像技術により検出されるほど十分に大きい病変の破壊。
2.腫瘍抗原に対する保護性抗腫瘍免疫応答の誘発。
前記免疫応答は、目視で検出できない及び画像により検出可能でない微小転移の免疫介在性検出、退縮及び/または破壊という結果をもたらす。
保護性抗腫瘍免疫応答の誘発は、抗原提示細胞及びその輸送による流入領域リンパ節への腫瘍細胞または細胞膜の取り込みを必要としており、抗原提示細胞は腫瘍抗原分子をプロセシングする。このような腫瘍抗原の大部分は、個々の患者に特有である。免疫原性腫瘍抗原ペプチドは、腫瘍特異的CD8及びCD4T細胞それぞれの活性化のためのクラスIまたはクラスII MHC分子と共に抗原提示細胞により発現される。これらのT細胞がプロセシングされ及び提示された腫瘍抗原ペプチドにより活性化した後にのみ、これらのリンパ球はリンパ節を増殖させ、それを放置し、体内を循環して、腫瘍抗原を発現している転移性腫瘍細胞を探し、及びそれを破壊する。加えて、それらが活性化された後にのみだが、ヘルパーT細胞は腫瘍抗原に対して抗体を産生するためB細胞にヘルプを提供できる。しかし腫瘍細胞は抗原提示細胞へ「不可視に」自然に発生するので、転移性腫瘍細胞がリンパ節内でさえ増殖できるような程度まで、発現中の腫瘍転移は通常免疫系により無視される。したがって有効な抗腫瘍免疫応答を誘発することは、腫瘍細胞を抗原提示細胞の有効な標的にすることを必要とする。
求められているものは、組成物、ならびに非外科的または外科的方法により化合物が腫瘍細胞膜内に入り、及び導入された化合物と天然起源抗体が相互作用するような条件下で、腫瘍内に化合物を導入する方法である。前記相互作用は、腫瘍、ならびに標的腫瘍細胞及び/もしくは腫瘍細胞膜の後縮ならびに/または破壊における局所炎症を抗原提示細胞に誘発すると考えられる。目視でまたは画像により検出されることができず、したがって切除により除去できない微小転移の腫瘍抗原を発現する腫瘍細胞に対するホストの保護性免疫応答を、本工程は誘発する。
米国特許第2006/251661号は、天然抗Gal抗体と相互作用する腫瘍内のα−Galエピトープの局所発現を誘発する腫瘍病変に、天然糖脂質化合物を投与する方法について記載する。
したがって、腫瘍に対する抗Gal媒介免疫反応を活性化するために、α−Gal分子を腫瘍内に組み込む改良された方法を提供する必要性があり、及び前記方法を容易にする新規医薬組成物の必要性もある。
本発明の第1の態様に従って、腫瘍の治療に使用のための(9Z,9’Z)−(2R)−3−(((2−(6−((3−(((2R,3R,4R,5S,6R)−3−アセトアミド−5−(((2S,3R,4S,5S,6R)−3,5−ジヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)−4−(((2R,3R,4S,5R,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−4−ヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)プロピル)アミノ)−6−オキソヘキサンアミド)エトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)プロパン−1,2−ジイルビス(オクタデカ−9−エノエート)(α−GalBOEL)を含む、医薬組成物が提供される。
本発明の更なる態様に従って、1つ以上の追加の治療薬と組み合わせたα−GalBOELを含む、医薬組成物が提供される。
本発明の更なる態様に従って、対象の腫瘍を治療する方法が提供されており、該方法は、
a)i)細胞表面を有する複数の癌細胞を含む、少なくとも1つの腫瘍を含む対象と、
ii)本明細書で定義される医薬組成物と、を提供することと、
b)前記医薬組成物を前記腫瘍内に導入することと、を含む、方法である。
α−GalBOELの治療上の使用は、当該技術分野において及び腫瘍を治療する特定用途においてもこれまで記載されていなかった。免疫応答を誘発するために、錯体及び長い糖鎖を備えるα−Gal糖脂質は必要であると以前は考えられていた(例えば、Galiliらへの米国特許第2006/251661号の実施例、及びThe Journal of Immunology,2007,178:4676−4687に記載のとおり)。
自然源のウサギ赤血球に由来するこのような複合糖質は、それぞれα−Galエピトープを含有するα−Gal糖脂質の未分画混合物を含む。抽出から生じる化合物の非分離可能混合物と一体となったグリカン生合成から生じる微小不均一性は、材料の測定を複雑かつ困難にする(上述のGaliliら(2007))。
しかし、短い糖鎖を備えるα−Gal糖脂質(α−GalBOELの短い糖「官能」基など)は腫瘍の治療に効果的であり、かつ製造、保管及び投与の容易さという追加の利点を有することを発明者らは驚くべきことに見いだした。
α−GalBOELはそれにより注射用構造を容易にする水溶性増大を有すると更に考えられている。理論に束縛されるものではないが、α−GalBOELのスペーサ成分は分子の可溶性を改善すると考えられている。
腫瘍治療にα−GalBOELを使用することにおける多くの有益な特性を示すデータを本明細書に提示する。例えばα−GalBOELは抗Gal抗体と効果的に結合することを示す(実施例1及び図2を参照)。更にα−GalBOELは、癌細胞の補体介在性細胞溶解を誘発することにより効果的な特性を示し(実施例2及び図3を参照)、ならびに細胞の生存度は補体の不存在下で影響を受けないことを示し(実施例2及び図4を参照)、ならびにα−GalBOELは腫瘍細胞内に効果的に組み込まれることができることを示す(実施例2及び図5を参照)。更にα−GalBOELの組み込みは、腫瘍細胞上に補体タンパク質の沈着をもたらす(実施例3及び図6)。更にα−GalBOELは、in vivo有効性モデルの遠隔転移の発現に対する保護性抗腫瘍免疫応答の誘発を示す。この効果は、治療された対象の抗Galの存在に依存する。抗Galの不存在下で、著しい保護性抗腫瘍免疫応答は観察されない(実施例4、ならびに図7及び図8を参照)。更にα−GalBOEL及び抗PD−1抗体の組み合わせは、抗PD−1抗体単独上に優れたin vivo活性を示す(実施例5及び図9を参照)。
α−GalBOELの構造である。 α−GalBOELが抗Gal抗体と結合することを示すデータである。 データα−GalBOELが癌細胞の補体介在性細胞溶解を誘発することを示すデータである。 α−GalBOELの組み込みが補体の不存在下で細胞に明白な細胞毒性を生じさせないことを示すデータである。 α−GalBOELが腫瘍細胞内に組み込まれることを示すデータである。 α−GalBOELの組み込みが腫瘍細胞上へヒト血清からの補体タンパク質C3b及びMACの沈着をもたらすことを示すデータである。 α−GalBOELを用いた用量漸増実験である。抗Gal産生GT KOマウスの右脇腹に原発腫瘍の増殖のため1×10B16−F10メラノーマ細胞を、及びその左脇腹に二次性/遠位腫瘍の注入のため1×10B16−F10細胞を注射した。5日後、主腫瘍は腫瘍内で、PBS(○)で、または0.1mgのα−GalBOEL(△)で、または0.5mgのα−GalBOEL(▲)、または1mgのα−GalBOEL(●)で治療された。転移発現のモデルとしての可視遠位腫瘍の発現は、最高32日後だった。可視遠位腫瘍のないマウスのパーセンテージは、グラフにプロットされる。前記群の統計学的な差は、ログランク検定で測定された。 α−Gal産生マウス(すなわちブタ腎臓膜により免疫感作したマウス)の抗GalBOEL活性、または抗Galを欠くマウス(すなわち非免疫感作マウス)である。超免疫感作または非免疫感作GT KOマウスの右脇腹に原発腫瘍の増殖のため1×10B16−F10細胞を、及びその左脇腹に二次性/遠位腫瘍の注入のため1×10B16−F10細胞を注射した。4日後、主腫瘍は腫瘍内で、超免疫感作マウスにおいてPBS(○)で、または1mgのα−GalBOEL(超免疫感作マウスには●、非免疫感作マウスは□)で治療された。転移発現のモデルとしての可視遠位腫瘍の発現は、最高28日後だった。可視遠位腫瘍のないマウスのパーセンテージは、グラフにプロットされる。前記群の統計学的な差は、ログランク検定で測定された。 α−GalBOELと抗PD−1との組み合わせは、B16−F10黒色腫モデルでおいて優れた活性を示す。抗Gal産生GT KOマウスの右脇腹に原発腫瘍の増殖のため1×10B16−F10細胞を、及びその左脇腹に二次性/遠位腫瘍の注入のため1×10B16−F10細胞を注射した。5日後、主腫瘍は腫瘍内で(i.t.)、PBS100μLので、またはPBS100μL中のα−GalBOEL0.1及び0.25mgで治療された。8日目または10日目にマウスは腹腔内で(i.p.)、PBS200μL、またはPBS200μL中の250μgの抗PD−1で治療された。腹腔内治療は、3〜4日の間隔で3回繰り返された。転移発現のモデルとしての可視的二次性/遠位腫瘍の発現は、最高32日後だった。可視的遠位腫瘍のないマウスのパーセンテージは、グラフにプロットされる。前記治療群の統計学的な差は、ログランク検定で測定された。α−GalBOEL腫瘍内/抗PD−1腹腔内の組み合わせ(◆)は、α−GalBOEL腫瘍内/PBS腹腔内上で(●、、p<0.05)、PBS腫瘍内/抗PD−1腹腔内で(▲、***、p=0.0003)及びPBS腫瘍内/PBS腹腔内で(○、***、p<0.0001)上で統計学的に有意な優れた活性を示した。2つの独立実験の結果をグラフで組み合わせた。
本明細書に記載される本発明は、α−Gal糖脂質(すなわちα−GalなBOEL)が治療した腫瘍内で腫瘍細胞の細胞膜に挿入され得るようにする、組成物及び方法を提供する。腫瘍病変のα−Gal糖脂質の存在は、対象に存在する天然抗Gal抗体とα−GalBOELのα−Galエピトープとの間の相互作用により誘発される、免疫介在性炎症性工程による腫瘍の破壊または退縮という結果を生じる。更にこの治療は治療された腫瘍を、転移腫瘍細胞の免疫破壊によって遠隔転移の発現を防止する全身性保護性抗腫瘍免疫応答を誘発するワクチンに変換する。
本明細書に記載される本発明は、α−Galエピトープを輸送し、したがって「α−Gal糖脂質」と呼ばれることもある、α−GalBOELと称される特定の糖脂質を含む腫瘍内投与を含む治療法を含むが、これらに限定されない。α−Gal糖脂質は、治療した病変内の腫瘍細胞の細胞膜の外葉内へ入る。腫瘍病変におけるα−Gal糖脂質の存在は、2つの目標を達成する。
1.天然反Gal抗体と腫瘍細胞膜に挿入されるα−Gal糖脂質のα−Galエピトープとの間の相互作用によって腫瘍病変内で誘発される、炎症性工程による腫瘍病変の免疫介在性破壊。
2.挿入されたα−Gal糖脂質を備える腫瘍細胞及び腫瘍細胞膜の、抗原提示細胞による効果的な取り込み、そうして抗Gal抗体とin situ結合するα−Galエピトープの発現、それにより治療した腫瘍病変の自己腫瘍ワクチンへの変換。
発明のメカニズムを理解する必要はないが、この取り込みは、腫瘍細胞発現α−Galエピトープ上に存在する、またはその範囲内に存在する腫瘍抗原に対する有効な免疫応答を結果としてもたらすと考えられる。この免疫応答は、α−Galエピトープを発現しないが、腫瘍抗原を発現する転移性腫瘍細胞の免疫介在性破壊をもたらすことができると更に考えられている。
本発明は、治療した腫瘍内の細胞上のα−Galエピトープの発現を誘発する腫瘍内への注射または任意の他の手段により、化合物を投与することを意図する。α−Gal糖脂質の前記投与は以下の目的を達成する。
1.天然抗Gal抗体をα−Galエピトープのα−Gal糖脂質に結合することは局所補体活性化を結果としてもたらし、それによりC5a及びC3aを含む走化性因子を生成するが、これらに限定されない。これらの走化性因子は、腫瘍組織内への樹状細胞及びマクロファージなど抗原提示細胞の広範囲な移動を誘発するが、これらに限定されない。
2.α−Gal糖脂質の脂質尾部は治療した病変内の腫瘍細胞膜に自発的に挿入し、結果として腫瘍細胞上にα−Galエピトープの発現をもたらす。これらのエピトープと結合する抗Galは、腫瘍細胞を含む腫瘍の後縮及び/または破壊を誘発すると考えられている。
3.抗Galによる腫瘍細胞膜のオプソニン作用は、それらを腫瘍内に移動する抗原提示細胞による効果的な取り込みの目標とする。このような抗原提示細胞の移動は、治療した腫瘍内のα−Gal糖脂質への抗Gal結合後に生成される走化性補体開裂ペプチドによって導かれる。
特定のメカニズムに束縛されるものではないが、腫瘍細胞膜結合型抗GalIgG分子のFc部は抗原提示細胞上のFcγ受容体(FcγR)と結合して、抗原提示細胞による腫瘍細胞の取り込みを誘発すると考えられる。取り込みの類似の誘発は、抗Gal結合腫瘍細胞上の補体沈着物のC3b成分と抗原提示細胞上のC3b受容体との間の相互作用の結果として生じ得る。抗原提示細胞に対する腫瘍膜のこの抗Gal媒介ターゲティングは、流入領域リンパ節への自己腫瘍抗原の効果的な輸送、ならびにリンパ節内の抗原提示細胞による免疫原性腫瘍抗原ペプチドのプロセシング及び提示を可能にする。
したがってα−Gal糖脂質の腫瘍内注入は、治療した腫瘍病変を、腫瘍抗原を免疫系に提供するin situ自己腫瘍ワクチンへ変換し、それにより保護性抗腫瘍免疫応答を誘発する。この免疫応答は、個々の腫瘍細胞または腫瘍細胞の小さな凝集体(すなわち例えば微小転移)の破壊を含む、腫瘍後縮を誘発できる。このような微小転移は目視でまたは画像によって通常検出不可能であり、及び従来の外科的または放射線療法技術によって到達可能ではない(すなわち小さなサイズのため切除不能である)。したがって本方法は、それが目視でまたは画像によって通常検出不可能であり、ならびに従来の外科的及び放射線療法技術によって到達可能ではない、微小転移を治療し得る追加利点を有する。
定義
本明細書で「α−GalBOEL」という用語の意味は、図1に示す構造、及び完全な化学名(IUPAC命名法による)(9Z,9’Z)−(2R)−3−(((2−(6−((3−(((2R,3R,4R,5S,6R)−3−アセトアミド−5−(((2S,3R,4S,5S,6R)−3,5−ジヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)−4−(((2R,3R,4S,5R,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−4−ヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)プロピル)アミノ)−6−オキソヘキサンアミド)エトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)プロパン−1,2−ジイルビス(オクタデカ−9−エノエート)を有する、α−Gal架橋ビス−オクタデセノエート脂質などα−Gal糖脂質の具体例を指す。
α−GalBOELは、製品名「FSL−Galili(トリ)(商標)」(カタログ番号F9432)でSigma−Aldrichから市販されている。本構造は機能性(F)、スペーサ(S)及び脂質(L)成分からなり、ならびに細胞が機能性(F)成分をその表面に発現するように細胞膜内に挿入するために使用することができる。α−GalBOELの機能性成分は、Gal−α1−3−Gal−β1−4GlcNAc(すなわちα−Galエピトープ)の三糖基である。スペーサ成分はO(CHNH基であり、及び脂質成分はジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)のアジパート誘導体(すなわちOOC(CHCOO、アジピン酸のイオン化形態)である。
本明細書で使用する場合「α−Galエピトープ」という用語は、Galα1−3Galβ1−4GlcNAc−R、Galα1−3Gaβ1−3GlcNAc−Rもしくは非還元末端にGalα1−3Galを有する任意の糖鎖を含む末端構造を備える、任意の分子または分子の一部を指す。α−ガラクトシル(「アルファ−Gal」または「α−Gal」とも称される)エピトープ、すなわちガラクトシル−α−1,3−ガラクトシル−β−1,4−N−アセチルコサミンについて、Galili,U.and Avila,J.L.,Alpha−Gal and Anti−Gal,Subcellular Biochemistry,Vol.32,1999.に記載されている。異種移植研究は、ヒトがα−ガラクトシルエピトープに免疫応答を開始すると結論づけており、α−ガラクトシルエピトープ自体通常ヒトでは見いだせず、他の動物及び多くの微生物で見つかる。
本明細書で使用する場合「糖脂質」という用語は、セラミド、脂肪酸鎖または他の任意の脂質と連結する、少なくとも1つの糖鎖を有する任意の分子を指す。あるいは糖脂質は、グリコスフィンゴリピドと呼ばれる場合もある。一実施形態において糖脂質は、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)のアジパート誘導体である。
本明細書で使用する場合「抗Gal」という用語は、α−Galエピトープと結合する天然起源抗体を意味する。
本明細書で使用する場合「α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ」という用語は、α−Galエピトープを合成することが可能な任意の酵素を意味する。
本明細書で使用する場合「抗Gal結合エピトープ」という用語は、天然抗Gal抗体とin vivoもしくはin vitro結合することができる、任意の分子または分子の一部を指す。
本明細書で使用する場合「切除不能な」という用語は、外科的に除去することができない臓器または身体上の構造の任意の部分を意味する。例えば「切除不能な腫瘍」は、従来の外科的技術によって物理的に到達不可能な腫瘍、その除去が患者の癌疾患全体もしくは福祉を改善しない腫瘍、またはその除去が重要臓器に有害であり得る腫瘍であり得る。
本明細書で使用する場合「膜結合型」という用語は、安定してリン脂質二層に付着する、またはその内部に埋め込まれる任意の分子を指す。前記付着または埋め込みは、イオン結合、共有結合、疎水性力またはファンデルワース力などを含むが、これらに限定されない。例えば疎水性アミノ酸領域を含むタンパク質はそれ自体をリン脂質二層膜に挿入できる、または脂質尾部を含有する分子はそれ自体を細胞のリン脂質二層に挿入することができ、及び埋め込まれることができる。α−GalBOELの脂質成分は腫瘍の細胞膜に挿入して、α−Galエピトープの細胞表面上に示す腫瘍を生成するために使用される。
本明細書で使用する場合「サブセット」という用語は、数が全群より少ない特定群を意味する。例えば患者は、複数の切除不能な固体腫瘍を示すことができる。この複数の中で、サブセットは非外科的技術によって到達可能であり得るのに対して、他のサブセットは非外科的技術によって到達可能でない場合がある。
本明細書で使用する場合「到達可能である」という用語は、非外科的技術によって固体腫瘍を治療する任意の能力を意味する。前記技術は、ローション、軟膏もしくは粉による、皮膚への注射、または内視鏡、気管支鏡、膀胱鏡、結腸鏡、腹腔鏡、カテーテル法もしくは局所適用を介した注入を含むが、これらに限定されない。例えば、卵巣の固体腫瘍は腹腔鏡によって到達可能であり得る。別の例では、結腸の固体腫瘍は結腸鏡よって到達可能であり得る。
本明細書で使用する場合「導入する」という用語は、化合物を組織内に、続いて前記組織内の細胞内に伝達する任意の方法を意味する。導入の前記方法は、ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、バイオバリスティック、リポフェクション、及び当該技術分野において既知の多くの市販のDNAベクターを含むが、これらに限定されない。あるいは生理機構(すなわち、例えば疎水性相互作用または能動輸送)によって細胞内に組み込まれるように、化合物は細胞に隣接して配置されることができる。導入の一方法は注入を含んでおり、化合物は注入された組織内で直接細胞間隙内に配置される。臓器部、増殖(すなわち、例えば固体腫瘍)または体腔が「到達可能である」とき、前記注入は可能である。
本明細書で使用する場合「内」という用語は、細胞膜を通して、またはその内部への分子の成功した浸透を意味する。例えばウイルスベクターは、腫瘍細胞がトランスフェクトされるような条件下で、固体腫瘍細胞内に導入されることができる。別の例では、糖脂質が細胞のリン脂質二層膜内に挿入されるような条件下で、糖脂質は腫瘍細胞内に導入されることができる。
本明細書で使用する場合「後縮」という用語は、少なくとも部分的に大きさが減少した、または「縮小した」ことであり、固体腫瘍など身体の増殖の減少を指す。前記減少は、直径、質量(すなわち重量)または容積など測定パラメータの減少で決定されることができるが、これらに限定されない。減少はサイズが完全に縮小したことを決して示さず、測定パラメータが以前の測定より量的に少ないことのみを示す。
本明細書で使用する場合「破壊」という用語は、固体腫瘍など身体の増殖の完全な細胞破壊を意味する。身体の増殖が完全に破壊されて身体から排除されるように、前記破壊は細胞内アポトーシス、T細胞が媒介する細胞の死滅、補体が媒介する細胞崩壊、及び/またはマクロファージ食作用を含むことができる。用語「腫瘍の破壊」は、診断手段によって検出可能でない程度までの腫瘍の減少を意味する。
本明細書で使用する場合「治療すること」、「治療」及び「治療する」という用語はすべて、固体腫瘍など身体の増殖のサイズが少なくとも部分的に減少すること、またはサイズの減少を結果として生じる手順を指すことを目的とする。
本明細書で使用する場合「すべてより少ない」という用語は、群のサブセットを意味する。本発明の一実施形態との関係において、すべてより少ない患者の腫瘍の治療が考察される。換言すれば一実施形態において、α−Galエピトープ導入による(例えばα−GalBOELの導入による)あらゆる腫瘍の治療は必要ではなく、むしろサブセットへの導入は、すべての腫瘍(直接治療されないものを含む)への免疫応答を結果として生じる。このように、固体腫瘍転移など複数の身体の腫瘍の集団的な減少を達成することができる。前記減少は数など測定パラメータの減少で決定されることができるが、これに限定されない。減少はパラメータがゼロに縮小したことを決して示さず、測定パラメータが以前の測定より量的に少ないことのみを示す。
本明細書で使用する場合「増殖」という用語は、異常な繁殖を表すために考慮される細胞塊を含む任意の組織または臓器を意味する。前記増殖は、癌性、非癌性、悪性、または非悪性であり得る。増殖は癌を含む場合、それは腫瘍でもよい。
本明細書で使用する場合「腫瘍」という用語は、細胞の異常増殖または分割から生じる組織の異常な腫瘤を意味する。前記腫瘍は、固体(すなわち、腹膜、肝臓、膵臓、肺、膀胱、前立腺、子宮、子宮頸部、膣、乳房、皮膚、脳、リンパ節、頭頸部、胃、腸、結腸もしくは卵巣上など特定の臓器、組織、もしくは腺の細胞塊)または非固体(すなわち、白血病など血液で発現する液性腫瘍)であり得る。
本明細書で使用する場合「対象」という用語は、腫瘍を発現することができる任意の生物を意味する。前記生物は、哺乳動物、ヒト、非霊長類哺乳動物、原猿及び新世界ザルなどを含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用する場合「分子」という用語は、組成物の特性すべてを保持しかつ1つ以上の原子からなる組成物の最も小さい粒子を意味する。分子が他の分子と相互作用して(すなわちイオン結合的に、共有結合的に、非共有結合的になど)付着及び/または会合を形成できるように、このような1つ以上の原子は配置される。例えば分子は、抗Gal抗体と相互作用する能力を提供するように配置される1つ以上の原子を有することができる。
天然抗Gal抗体、α−Galエピトープ及び異種移植拒絶反応
抗Galはすべてのヒトに存在し得る天然抗体であると考えられており、血清免疫グロブリンの0.1〜2%を構成する(Bovin N.V.,Biochemistry(Moscow),2013;78(7):786−797,GaliliらJ.Exp.Med.1984;160:1519−31,and Hamadeh R MらClin.Diagnos.Lab.Immunol.1995,2:125−31)。抗Gal抗体は具体的には、細胞表面または遊離糖脂質及び糖タンパク質上のα−Galエピトープと相互作用する可能性があることを示すデータを研究は提示した(Galili UらJ.Exp.Med.1985,162:573−82,and Galili U.Springer Semin Immunopathol.1993;15:155−171)。胃腸管内フローラのバクテリアによる抗原刺激の結果として、抗Gal抗体は生涯にわたって生成されることができると更に報告されている(Galili UらInfect.Immun.1988;56:1730−37)。
α−Galエピトープは、非霊長類哺乳動物、原猿及び新世界ザルの細胞のゴルジ体内のグリコシル化酵素α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼによって、糖脂質及び糖タンパク質に大量に生合成され得る(Galili UらBiol.Chem.1988;263:17755−62)。これに対し、ヒト、類人猿及び旧世界ザルはα−Galエピトープを欠いているが、かなり大量の天然反Gal抗体を産生する(Galili UらProc.Natl.Acad.Sci.USA1987,84:1369−73)。サル及び類人猿のα1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ偽遺伝子の配列に基づき、α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子は、およそ2千万年前の先祖の旧世界霊長類で不活性したと推定された(Galili U,Swanson K.Proc.Natl.Acad.Sci.USA1991,88:7401−04)。この進化の過程は、旧世界(すなわち現在のヨーロッパ、アジア及びアフリカ)に固有な感染性微生物物質の出現と関連していることが示唆されており、それは霊長類に有害でかつα−Galエピトープを発現した。α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子の不活性化、したがってα−Galエピトープへの免疫寛容の消失の選択圧下で進化した後だけ、霊長類は前記推定上の有害物質に対する防御抗体として抗Galを産生することができた(Galili U,Andrews P.J.Human Evolution29:433−42,1995)。
天然抗Gal抗体の強力な防御活性は、ヒト及びサルにおいて進化的に保存された。α−Galエピトープを発現するブタ臓器に関する異種移植研究から、これを推定できる。ブタを含む種々の哺乳動物の細胞はα−Galエピトープを発現するので、ヒトまたは旧世界ザルに移植されたブタからの臓器は、抗Gal抗体をブタ細胞上のこれらのエピトープにin vivo結合するため、拒絶される(Galili,U.Immunol.Today1993,14:480−82)。ブタ組織のヒト内または旧世界ザル内への移植は、生体内移植上のα−Galエピトープへの結合性抗Galの結合、及びその後の異種移植拒絶反応の誘発を結果として生じる。抗Gal抗体分子とブタ内皮細胞上のα−Galエピトープとの結合、補体の活性化、内皮細胞の分解、及び血管床の崩壊の結果として、血管新生化異種移植片(例えばブタ心臓)はほとんどの場合30〜60分以内にサルの即時拒絶(超急性拒絶と呼ばれる)が起きる(Collins B HらJ.Immunol.1995;154:5500−10)。更に血管外領域の異種移植細胞の破壊の多くは、種々の細胞上の抗Gal IgGのα−Galエピトープへの結合により媒介される。抗Gal IgGのFc部を顆粒球、マクロファージ及びNK細胞上で細胞結合Fcγ受容体に結合した後、この結合は抗体依存性細胞性細胞溶解(ADCC)を結果として生じる。
異種移植の抗Gal媒介崩壊は、アカゲザル(すなわち抗Gal抗体を自然に産生するサル)内に移植されたブタ軟骨(無血管性異種移植組織)によってモニターされ得る。抗Galをブタ組織のα−Galエピトープに結合することは、2か月以内の組織の漸進的破壊につながる広範囲な炎症反応の誘発を結果として生じることが研究によりわかった(Stone K RらTransplantation1998,65:1577−83)。抗Galを軟骨細胞及び細胞外マトリックス糖タンパク質上のα−Galエピトープに結合することはそれらを更にオプソニン化して(すなわち、それらを有する免疫複合体を形成する)、したがって免疫−複合型抗GalのFc部を抗原提示細胞上のFcγ受容体に結合することによって抗原提示細胞を標的とする。それにより抗原提示細胞はこれらのブタ糖タンパク質を流入領域リンパ節に輸送し、それは複数のブタゼノペプチドに特有の多くのT細胞を活性化させる。このような活性化されたT細胞は続いて軟骨異種移植組織片内に移動して、浸潤性単核球細胞の約80%を含む。この炎症反応が抗Galとα−Galエピトープとの相互作用により主に媒介されることは、ブタ軟骨異種移植を免疫応答をモニターすることから推定でき、そこからα−Galエピトープは酵素処理(例えば、組換えα−ガラクトシダーゼを使用する)によって除去された。α−ガラクトシダーゼは、末端α−ガラクトシル単位を切断する(加水分解する)ことによって軟骨糖タンパク質上のα−Galエピトープを破壊する。ブタ軟骨糖タンパク質上のα−Galエピトープの非存在下で、異種移植片と結合する抗Galはなく、したがってゼノ糖タンパク質の効果的な抗原提示細胞仲介輸送は生じない。これは、異種移植片の著しいT細胞浸潤の不足により示される。
本発明は、α−Galエピトープを発現するため治療された腫瘍病変の後縮及び/または破壊のために、ならびに抗Gal抗体によって抗原提示細胞を腫瘍細胞膜の標的にするために、ブタ軟骨異種移植拒絶反応で示される天然抗Gal抗体の免疫可能性を利用することを意図する。サルのブタ軟骨の拒絶で観察される類似のメカニズムによって、転移性腫瘍細胞に対する全身性保護性免疫応答を誘発するin situ自己腫瘍ワクチンに、前記治療が腫瘍病変を変えると考えられている。腫瘍細胞発現α−Galエピトープに結合する抗GalIgG分子は、治療した病変の腫瘍細胞上に発現する及び転移性腫瘍細胞上にも発現する自己腫瘍抗原に対する保護性抗腫瘍免疫応答を誘発するため、腫瘍細胞膜を抗原提示細胞の標的にすると更に考えられている。
医薬組成物
本発明の第1の態様に従って、腫瘍の治療に使用するためのα−GalBOELを含む、医薬組成物が提供される。
一実施形態において、腫瘍は、固体腫瘍、骨髄腫またはリンパ腫である。更なる実施形態では、腫瘍は固体腫瘍である。代替的実施形態では、腫瘍は非固体腫瘍である。
一実施形態において、腫瘍は、腹膜、肝臓、膵臓、肺、膀胱、前立腺、子宮、子宮頸部、膣、骨髄、乳房、皮膚、脳、リンパ節、頭頸部、胃、腸、結腸、腎臓、精巣、及び卵巣から選択される臓器から生じる腫瘍である。更なる実施形態では、腫瘍は、腹膜、肝臓、膵臓、肺、膀胱、前立腺、子宮、子宮頸部、膣、乳房、皮膚、脳、リンパ節、頭頸部、胃、腸、結腸、及び卵巣から選択される臓器から生じる腫瘍である。
一実施形態において、腫瘍は原発腫瘍及び/または転移を含む。更なる実施形態では、腫瘍は原発腫瘍を含む。代替的実施形態では、腫瘍は二次性腫瘍を含む。
一実施形態において、腫瘍は、黒色腫、肉腫、神経膠腫または癌細胞を含む。更なる実施形態では、腫瘍は、黒色腫もしくは癌細胞、または転移を含む。
前記組成物は、α−GalBOELを含む水溶性糖脂質製剤として調製されることができる、前記製剤は糖脂質ミセルを含む。
一実施形態において前記組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体(複数を含む)、希釈剤(複数を含む)及び/または賦形剤(複数を含む)を更に含む。担体、希釈剤及び/または賦形剤は組成物の他の成分と相溶性があり及びそのレシピエントに有害であってはならないという意味で「薬学的に許容され」なければならない。当業者は、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy;Pharmaceutical Press;第22版;Allen,Loyd V.Ed.2012,London,UK.で例示される製剤処方の態様を理解するであろう。
本発明の組成物は、当該技術分野において周知の従来の手順によりα−GalBOELと標準的な薬学的担体または希釈剤を組み合わさることにより調製されることができる。このような手順は、所望の製剤に適合するように、混合する、造粒する及び圧縮する、または成分を溶解することを含有することができる。
一実施形態において医薬組成物は、デオキシコール酸塩または細胞膜内への糖脂質の浸透を増加させることができる他の中性界面活性剤も含むことができる。
本発明の医薬組成物は任意の経路による投与のために調製されることができて、ヒトを含む哺乳動物への経口、局所または非経口投与用に適応する形状のものを含む。
したがって一実施形態において、組成物は注射による投与用である。代替実施形態では組成物は、局所軟膏、局所ローションまたは局所溶液など局所適用である。
一実施形態において組成物は、1回投与または反復投与など複数回投与で投与される。更なる実施形態では複数回投与は、同時に投与される(すなわち一度に)。更なる代替的実施形態において複数回投与は、順次投与される(すなわち例えば別々の治療中など2回以上の別々の機会に)。
投与が経時的で(すなわち別々の機会で)あるとき、適切な時間が投与の間で、例えば、3日、5日、1週、2週、1か月、2か月、3か月、6か月または12か月経過したとき組成物を投与できる。
非経口投与において、液体単位投与形態は組成物及び水など無菌ビヒクルを利用して調製される。溶液の調製において、組成物は注入用に水に溶解されることができて、適切なバイアルまたはアンプル内に充填され、密封される前に濾過滅菌されることができる。
組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、トローチ剤、クリーム、または経口もしくは滅菌非経口液もしくは懸濁液など液状製剤の形態であってよい。
本発明の局所製剤は例えば、軟膏、クリームまたはローション、眼軟膏、及び点眼剤または点耳剤、含浸包帯剤及びエアゾールとして提示することができ、ならびに軟膏及びクリームの防腐剤及び皮膚軟化剤など適切な従来型添加剤を含むことができる。
製剤は、クリームまたは軟膏ベース及びローション用のエタノールまたはオレイルアルコールなど従来の相溶性担体も含有することができる。
組み合わせ
本発明の化合物は唯一の治療薬剤として投与されることができる、または腫瘍の治療のための他の多くの化合物(または治療法)のうちの1つと併せた併用療法において投与され得ることは理解されるであろう。
このように本発明の更なる態様に従って、1つ以上の追加の治療薬と組み合わせたα−GalBOELを含む、医薬組成物が提供される。
腫瘍の治療において本発明の化合物は1つ以上の他の薬剤と、より具体的には癌治療の1つ以上の抗癌剤または補助剤(治療の補助剤)と組み合わせて都合よく用いられることができる。
本発明の化合物と一緒に投与することができる(同時に、または異なる時間間隔で)他の治療薬または治療は以下を含むが、これらに限定されない。
・トポイソメラーゼI阻害剤、
・代謝拮抗剤、
・チューブリン標的剤、
・DNA結合剤及びトポイソメラーゼII阻害剤、
・アルキル化剤、
・モノクローナル抗体、
・抗ホルモン剤、
・シグナル伝達阻害剤、
・プロテアソーム阻害剤、
・DNAメチルトランスフェラーゼ、
・サイトカイン及びレチノイド、
・クロマチン標的治療、
・放射線療法、及び
・他の治療剤または予防剤
抗癌剤または補助剤(もしくはその塩)の特定例は、以下の群(i)〜(xlvi)、及び任意に群(xlvii)から選択される薬剤のいずれかを含むが、これらに限定されない。
(i)白金化合物、例えばシスプラチン(任意にアミホスチンと結合)、カルボプラチンまたはオキサリプラチン、
(ii)タキサン化合物、例えばパクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合粒子(Abraxane(商標))、ドセタキセル、カバジタキセルまたはラロタキセル、
(iii)トポイソメラーゼI阻害剤、例えばカンプトテシン化合物、例えばカンプトテシン、イリノテカン(CPT11)、SN−38またはトポテカン、
(iv)トポイソメラーゼII阻害剤、例えば抗腫瘍エピポドフィロトキシンまたはポドフィロトキシン誘導体、例えばエトポシドまたはテニポシド、
(v)ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、リポソーム型ビンクリスチン(腫瘍TCS)、ビノレルビン、ビンデシン、ビンフルニンまたはビンベシル、
(vi)ヌクレオシド誘導体、例えば5−フルオロウラシル(5−FU、任意にロイコボリンと結合)、ゲムシタビン、カペシタビン、テガフール、UFT、S1、クラドリビン、シタラビン(Ara−C、シトシンアラビノシド)、フルダラビン、クロファラビンまたはネララビン、
(vii)代謝拮抗剤、例えばクロファラビン、アミノプテリンまたはメトトレキサート、アザシチジン、シタラビン、フロクスウリジン、ペントスタチン、チオグアニン、チオプリン、6‐メルカプトプリンまたはヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)、
(viii)ナイトロジェンマスタードまたはニトロソ尿素などのアルキル化剤、例えばシクロホスファミド、クロラムブシル、カルムスチン(BCNU)、ベンダムスチン、チオテパ、メルファラン、トレオスルファン、ロムスチン(CCNU)、アルトレタミン、ブスルファン、ダカルバジン、エストラムスチン、ホテムスチン、イホスファミド(任意にメスナと結合)、ピポブロマン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テモゾロミド、ウラシル、メクロレタミン、メチルシクロヘキシルクロロエチルニトロソ尿素またはニムスチン(ACNU)、
(ix)アントラサイクリン、アントラセンジオン及び関連薬、例えばダウノルビシン、ドキソアンルビシン(任意にデクスラゾキサンと結合)、ドキソルビシンのリポソーム型製剤(例えばCaelyx(商標)、Myocet(商標)、Doxil(商標))、イダルビシン、ミトキサントロン、エピルビシン、アムサクリンまたはバルルビシン、
(x)エポチロン、例えばイクサベピロン、パツピロン、BMS−310705、KOS−862及びZK−EPO、エポチロンA、エポチロンB、デスオキシエポチロンB(別名エポチロンDもしくはKOS−862)、アザ−エポチロンB(別名BMS−247550)、ラウリマリド、イソラウリマリドまたはエリュテロビン、
(xi)DNAメチル転移酵素阻害剤、例えばテモゾロミド、アザシチジンまたはデシタビン、
(xii)抗葉酸剤、例えばメトトレキサート、ペメトレキセド二ナトリウムまたはラルチトレキセド、
(xiii)細胞毒性抗生物質、例えばアンチノマイシンD、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、カルミノマイシン、ダウノマイシン、レバミゾール、プリカマイシンまたはミトラマイシン、
(xiv)チューブリン結合剤、例えばコンブレスタチン、コルヒチンまたはノコダゾール、
(xv)キナーゼ阻害剤(例えばEGFR(上皮成長因子受容体)阻害剤、VEGFR(血管内皮成長因子受容体)阻害剤、PDGFR(血小板由来成長因子受容体)阻害剤、MTKI(多標的キナーゼ阻害剤)、Raf阻害剤、mTOR阻害剤、例えばメシル酸イマチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ダサチニブ、ラパチニブ、ドボチニブ、アキシチニブ、ニロチニブ、バンデタニブ、バタリニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、エベロリムス(RAD001)またはベムラフェニブ(PLX4032/RG7204)などのシグナル伝達阻害剤、
(xvi)オーロラキナーゼ阻害剤、例えばAT9283、barasertib(AZD1152)、TAK−901、MK0457(VX680)、cenisertib(R−763)、danusertib(PHA−739358)、alisertib(MLN−8237)またはMP−470、
(xvii)CDK阻害剤、例えばAT7519、ロスコビチン、セリシクリブ、アルボシジブ(フラボピリドール)、ジナシクリブ(SCH−727965)、7−ヒドロキシ−スタウロスポリン(UCN−01)、JNJ−7706621、BMS−387032(別名SNS−032)、PHA533533、PD332991、ZK−304709またはAZD−5438、
(xviii) PKA/B阻害剤及びPKB(akt)経路阻害剤、例えばAT13148、AZ−5363、セマフォ、ラパマイシン類似体などSF1126及びMTOR阻害剤、AP23841及びAP23573、カルモジュリン阻害剤(フォークヘッド転写阻害剤)、API−2/TCN(トリシリビン)、RX−0201、エンザスタウリンHC(LY317615)、NL−71−101、SR−13668、PX−316またはKRX−0401(ペリホシン/NSC639966)、
(xix)Hsp90阻害剤、例えばAT13387、ハービマイシン、ゲルダナマイシン(GA)、17−アリルアミノ−17−デスメトキシゲルダナマイシン(17AAG)、例えばNSC−330507、Kos−953及びCNF−1010、17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン塩酸塩(17−DMAG)、例えばNSC−707545及びKos−1022、NVP−AUY922(VER−52296)、NVP−BEP800、CNF−2024(BIIB−021経口プリン)、ガネテスピブ(STA−9090)、SNX−5422(SC−102112)またはIPI−504)、
(xx)モノクローナル抗体(放射性同位体元素、毒素または他の薬剤と非共役型または共役型)、抗CD、抗VEGFR、抗HER2または抗EGFR抗体など抗体誘導体及び関連剤、例えばリツキシマブ(CD20)、オファツムマブ(CD20)、イブリツモマブチウキセタン(CD20)、GA101(CD20)、トシツモマブ(CD20)、エプラツズマブ(CD22)、リンツズマブ(CD33)、ゲムツズマブオゾガマイシン(CD33)、アレムツズマブ(CD52)、ガリキシマブ(CD80)、トラスツズマブ(HER2抗体)、ペルツズマブ(HER2)、トラスツズマブ−DM1(HER2)、エルツマキソマブ(HER2及びCD3)、セツキシマブ(EGFR)、パニツムマブ(EGFR)、ネシツムマブ(EGFR)、ニモツズマブ(EGFR)、ベバシズマブ(VEGF)、イピリムマブ(CTLA4)、カツマキソマブ(EpCAM及びCD3)、アバゴボマブ(CA125)、ファーレツズマブ(葉酸受容体)、エロツズマブ(CS1)、デノスマブ(RANKリガンド)、フィギツムマブ(IGF1R)、CP751,871(IGF1R)、マパツズマブ(TRAIL受容体)、metMAB(met)、ミツモマブ(GD3ガングリオシド)、ナプツモマブエスタフェナトクス(5T4)またはシルツキシマブ(IL6)、
(xxi)エストロゲン受容体アンタゴニストまたは選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERMs)、またはエストロゲン合成阻害剤、例えばタモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ドロロキシフェン、フェソロデックスまたはラロキシフェン、
(xxii)エキセメスタン、アナストロゾール、レトラゾール、テストラクトンアミノグルテチミド、ミトタンまたはボロゾールなどアロマターゼ阻害剤及び関連医薬品、
(xxiii)抗アンドロゲン(すなわちアンドロゲン受容体アンタゴニスト)及び関連薬剤、例えばビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、シプロテロンまたはケトコナゾール、
(xxiv)メドロキシプロゲステロン、ジエチルスチルベストロール(別名ジエチルスチルベストロール)またはオクトレオチドなどホルモン及びその類似体、
(xxv)ステロイド、例えばプロピオン酸ドロモスタノロン、酢酸メゲストロール、ナンドロロン(デカノエート、フェンプロピオネート)、フルオキシメステロンまたはゴシポル、
(xxvi)ステロイド性シトクロムP450 17α−ヒドロキシラーゼ−17,20−リアーゼ阻害剤(CYP17)、例えばアビラテロン、
(xxvii) 性腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニストまたはアンタゴニスト(GnRAs)、例えばアバレリックス、酢酸ゴセレリン、酢酸ヒストレリン、酢酸ロイプロリド、トリプトレリン、ブセレリンまたはデスロレリン、
(xxviii)グルココルチコイド、例えばプレドニゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、
(xxix)レチノイド、レキシノイド、ビタミンD、またはレチノイン酸及びレチノイン酸代謝遮断剤(RAMBA)など分化誘導剤、例えばアキュテイン、アリトレチノイン、ベキサロテンまたはトレチノイン、
(xxx)ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばチピファルニブ、
(xxxi)ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤などクロマチン標的治療、例えば酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキシアミド酸(SAHA)、デプシペプチド(FR901228)、ダシノスタット(NVP−LAQ824)、R306465/JNJ−16241199、JNJ−26481585、トリコスタチンA、ボリノスタット、クラミドシン、A−173、JNJ−MGCD−0103、PXD−101またはアピシジン、
(xxxii)プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、CEP−18770、MLN−9708またはONX−0912、
(xxxiii)光力学性薬剤、例えばポルフィマーナトリウムまたはテモポルフィン、
(xxxiv)トラベクテジンなどの海洋生物由来抗癌剤、
(xxxv)β粒子放出同位元素、例えばヨウ素−131、イットリウム−90)を用いる、またはα粒子放出同位元素(例えばビスマス−213もしくはアクチニウム−225)を用いる放射免疫治療用放射性同位元素標識薬物、例えばイブリツモマブまたはヨウ素トシツモマブ、
(xxxvi)テロメラーゼ阻害剤、例えばテロメスタチン、
(xxxvii)マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、例えばバチマスタット、マリマスタット、プリノスタットまたはメタスタット、
(xxxviii)組換えインターフェロン(インターフェロン−γ及びインターフェロンαなど)及びインターロイキン(例えばインターロイキン2)、例えばアルデスロイキン、デニロイキンジフチトクス、インターフェロンα2a、インターフェロンα2bまたはペグインターフェロンα2b、
(xxxix)選択的免疫応答モジュレータ、例えばサリドマイドまたはレナリドマイド、
(xl)シプロイセルT(プロベンジ)またはOncoVexなど治療用ワクチン、
(xli)ピシバニール、ロムルチド、シゾフィラン、ビルリジンまたはチモシン含有サイトカイン活性化剤、
(xlii)三酸化ヒ素、
(xliii)Gタンパク質共役受容体(GPCR)阻害剤、例えばアトラセンタン、
(xliv)L−アスパラギナーゼ、ペガスパルガーゼ、ラスブリカーゼまたはペガデマーゼなどの酵素、
(xlv)PARP阻害剤などDNA修理阻害剤、例えばオラパリブ、ベラパリブ、イニパリブ、INO−1001、AG−014699またはONO−2231、
(xlvi)マパツズマブ(以前はHGS−ETR1)、コナツムマブ(以前AMG655)、PRO95780、レクサツムマブ、ドゥラネルミン、CS−1008、アポマブ、組換えヒトTRAIL/Apo2リガンドなど組換えTRAILリガンドなど死受容体アゴニスト(例えばリガンド(TRAIL)受容体を含むTNF関連アポトーシス)、
(xlvii)予防剤品(補助剤)、すなわち例えば化学療法剤に付随するいくつかの副作用を除去する、または緩和する薬剤、
−抗嘔吐剤、
−化学療法に不随する好中球減少期間を防止または減少させる、及び血小板、赤血球または白血球のレベル低下から生じる合併症を防ぐ薬剤、例えばインターロイキン−11(例えばオプレルベキン、エリトロポエチン(EPO)及びその類似体(例えばダルベポエチンアルファ)、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)などコロニー刺激因子類似体(例えばサルグラモスチム)、ならびに顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)及びその類似体(例えばフィルグラスチム、ペグフィルグラスチム)、
−デノスマブまたはビスホスホネートなど骨吸収を阻害する薬剤、例えばゾレドロネート、ゾレドロン酸、パミドロネート及びイバンドロネート、
−デキサメタゾン、プレドニゾン及びプレドニゾロンなど炎症反応を抑制する薬剤、
−ホルモンソマトスタチンの合成型など、先端巨大症または他の稀なホルモン産生腫瘍を有する患者の成長ホルモン及びIGF‐I(及び他のホルモン)の血中濃度を低減するために用いる薬剤、例えば酢酸オクトレオチド、
−ロイコボリンまたはフォリン酸など葉酸濃度を低下させる薬品に対する解毒剤、
−疼痛用薬剤、例えばモルヒネ、ヘロイン及びフェンタニルなどのアヘン剤、
−COX−2阻害剤など非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、例えばセレコキシブ、エトリコキシブ及びルミラコキシブ、
−粘膜炎用薬剤、例えばパリフェルミン、
−酢酸メゲストロールなど、食欲不振、悪液質、浮腫または血栓塞栓症発作を含む副作用治療のための薬剤
1つの特定の実施形態において、医薬組成物は免疫系ダウンレギュレーションの1つ以上の全身性阻害剤を更に含む。免疫系ダウンレギュレーションの好適な全身性阻害剤の例は米国特許第2012/263677号に記載されており、抗CTLA−4、PD−1及びPD−L1抗体を含む。
更に別の実施形態では、免疫系ダウンレギュレーションの1つ以上の全身性阻害剤は抗PD−1抗体から選択される。α−GalBOEL及び抗PD−1単独と比較して転移増殖を防ぐことに関する、本発明の化合物(α−GalBOEL)及び抗PD−1抗体の組み合わせの相乗特性を示すデータを実施例5及び図9で本明細書に提示する。
更なる実施形態では、医薬組成物は免疫系アップレギュレーションの1つ以上の促進剤を更に含む。免疫系アップレギュレーションの好適な促進剤の例は、米国特許第2012/263677号に記載されており、インターロイキン−1、−2または−6(IL−1、IL−2またはIL−6)、アルデスロイキンなど好適な非特異的サイトカイン;インターフェロン−αまたはγ(IFN−a及びIFN−γ)、インターフェロンα−2b及びペグ化インターフェロン(ペグ化インターフェロンα−2a及びペグ化インターフェロンα−2bを含む);顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF、モルグラモスチムまたはサルグラモスチム);GM−CSFをコード化する腫瘍溶解性ヘルペスウイルス(OncoVex(登録商標))、または同種異系MHCクラスI抗原を発現するように設計されたヒト白血球抗原−B7及びβ−2ミクログロブリン剤をコード化するプラスミド(Allovectin−7(登録商標))を含有する病巣内ワクチンを含む、樹状細胞ワクチンならびに他の同種異系または自己治療癌ワクチン;ならびに特定の腫瘍抗原に対する抗体を含む。更に別の実施形態では、免疫系アップレギュレーションの1つ以上の促進剤は、IL−2及びインターフェロンガンマから選択される。
本発明の組み合わせ中に存在する化合物のそれぞれは、個々に様々な投与量スケジュールで、かつ異なる経路を介して与えられることが可能である。例えば本発明のα−GalBOELは直接腫瘍に投与されることを目的としているが、これに対して抗PD−1抗体など免疫系ダウンレギュレーションの全身性阻害剤は通常全身的に、すなわち静脈注射によって注入される。したがって2つ以上の薬剤のそれぞれの薬量は異なり得る。それぞれは、同時にまたは異なる時間に投与されることができる。当業者はその共通一般知識により、投与計画及び使用される併用療法を知っている。例えば本発明の化合物は、その既存の組み合わせ投与計画に従って投与される1つ以上の他の薬剤と組み合わせて使用することができる。
治療方法
本発明の更なる態様に従って対象の腫瘍を治療する方法が提供されており、該方法は、
a)i)細胞表面を有する複数の癌細胞を含む、少なくとも1つの腫瘍を含む対象と、
ii)本明細書で定義される医薬組成物と、を提供することと、
b)医薬組成物を腫瘍内に導入することと、を含む、方法である。
一実施形態において医薬組成物は腫瘍に免疫応答を誘発し、それによって腫瘍を治療する。
一実施形態において本発明は、対象の腫瘍に免疫応答を誘発する方法を提供しており、該方法は、
a)少なくとも1つの腫瘍を含む対象にα−GalBOELを含む医薬組成物の有効量を投与して、少なくとも1つの腫瘍に免疫応答を誘発することを含む。
一実施形態において本発明は、対象の腫瘍に治療する方法を提供しており、該方法は、
a)少なくとも1つの腫瘍を含む対象にα−GalBOELを含む医薬組成物の有効量を投与して、少なくとも1つの腫瘍に免疫応答を誘発することを含んでおり、
腫瘍に免疫応答を誘発することは、結果として腫瘍を縮小させて、それにより対象の腫瘍を治療することになる。
一実施形態において組成物は、免疫系ダウンレギュレーションの少なくとも1つの全身性阻害剤を更に含む。
一実施形態において、免疫系ダウンレギュレーションの少なくとも1つの全身性阻害剤は、抗CTLA−4、PD−1及びPD−L1抗体から選択される。
一実施形態において、腫瘍の大きさが減少するまで、前記方法は1〜5回繰り返される。
一実施形態において、腫瘍が検出不可能になるまで、前記方法は1〜5回繰り返される。
一実施形態において医薬組成物は原発腫瘍内に注入されて、原発腫瘍から生じた少なくとも1つの二次性腫瘍の治療に効果的である免疫応答を誘発する。
一実施形態において医薬組成物は原発腫瘍内に注入されて、原発腫瘍から生じた少なくとも1つの二次性腫瘍の大きさの減少に効果的である免疫応答を誘発する。
一実施形態において前記方法は、腫瘍に免疫応答を誘発した後、腫瘍の外科的除去を更に含む。
一実施形態において前記方法は、医薬組成物の投与後、腫瘍の外科的除去を更に含む。
一実施形態において腫瘍の外科的除去は、医薬組成物の投与後、約1〜21日の間に生じる。
一実施形態において腫瘍の外科的除去は、医薬組成物の投与後、約1〜14日の間に生じる。
一実施形態において腫瘍の外科的除去は、医薬組成物の投与後、約1〜7日の間に生じる。
一実施形態において腫瘍の外科的除去は、医薬組成物の投与後、約7〜14日の間に生じる。
一実施形態において腫瘍の外科的除去は、医薬組成物の投与後、約14〜21日の間に生じる。
本発明の方法は、癌細胞の細胞表面上にα−Galエピトープを発現するためにα−GalBOELの投与を提供する。
一実施形態において前記方法は、前記腫瘍細胞上に膜結合型α−Galエピトープを発現することを更に含む。
一実施形態において、本発明は対象を治療する方法を意図しており、該方法は、
a)i)内因性抗Gal抗体及び複数の切除不能な腫瘍を有する対象であって、少なくとも前記腫瘍のサブセットは直接注入、内視鏡、気管支鏡、膀胱鏡、結腸鏡、腹腔鏡及びカテーテル法による注入からなる群から選択される手順を介して到達可能である、対象と、
ii)本明細書で定義される医薬組成物と、を提供することと、
b)前記手順を使用して前記組成物を腫瘍内に注入することと、を含む。
一実施形態において、α−GalBOELのα−Galエピトープはオプソニン化される。一実施形態においてオプソニン化α−Galエピトープは、抗原提示細胞を腫瘍細胞及び腫瘍細胞膜の標的にすることにより、前記腫瘍に対する自己ワクチンの産生を誘発する。
一実施形態では、対象はヒトまたはマウスである。一実施形態では、対象はヒトである。代替実施形態では、対象はマウスである。
本発明の別の態様に従ってα−GalBOELをマウスの腫瘍内へ導入する方法が提供されており、該方法は、
a)i)(1)α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子を欠いている(2)抗Gal抗体を有する、及び(3)細胞表面を有する複数の癌細胞を含む少なくとも1つの腫瘍を含む、マウスと、
ii)α−GalBOELと、を提供することと、
b)癌細胞の細胞表面上にα−Galエピトープを発現するために、α−GalBOELを少なくとも1つの前記腫瘍内に導入することと、を含む。
抗原提示細胞に対する自己腫瘍ワクチンの抗Galターゲティング
腫瘍細胞とα−Gal糖脂質をインキュベートすることによって、α−Galエピトープは腫瘍細胞膜内にin vitro挿入され得ることが示されている。腫瘍細胞または腫瘍細胞膜と前記α−Gal糖脂質とのコインキュベーションにより、腫瘍細胞膜内へのその自発的in vitro挿入、及びこれらの細胞膜上のα−Galエピトープ発現を結果として生じる。α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子に関する種々の分子生物学的方法によって、α−Galエピトープを発現するように遺伝子操作された腫瘍細胞は自己腫瘍ワクチンとして研究された。皮内注入後、抗GalIgG抗体は、ワクチン接種している腫瘍細胞膜のα−Galエピトープに対して接種部位でin situ結合し、及び抗原提示細胞をワクチンの標的にする。発明のメカニズムを理解する必要はないが、複合型抗GalのFc部を抗原提示細胞上のFcγ受容体に結合することは、オプソニン化されたワクチン接種している腫瘍細胞膜の抗原提示細胞内への効果的な取り込みを誘発すると考えられる。したがって自己腫瘍の性質不明の腫瘍抗原は、抗原提示細胞内にも内在化される。ワクチン接種している自己腫瘍膜を流入領域リンパ節に輸送した後、抗原提示細胞は、腫瘍特異的細胞傷害性細胞及びヘルパーT細胞(すなわち、CD8及びCD4T細胞それぞれ)の活性化のための腫瘍抗原ペプチドをプロセッシングし、かつ提示する。
α−Galエピトープを発現する腫瘍ワクチンの有効性の原理の証明は、α−Galエピトープを発現するメラノーマ細胞により免疫感作されたマウス、及び同じメラノーマ細胞だがα−Galエピトープを欠如する細胞でチャレンジするマウスの実験モデルの研究で達成されている(LaTemple DCらCancer Res.1999,59:3417−23,and Deriy LらCancer Gene Therapy2005;12:528−39)。その研究で使用するマウスは、α1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子のノックアウトマウスであった(すなわちこれらのマウスはα−Galエピトープを欠き、及び抗Gal抗体を産生する)。α−Galエピトープを発現するために遺伝子操作されたメラノーマ細胞により免疫感作されたマウスは、同じ腫瘍細胞だがα−Galエピトープを欠如する細胞でのチャレンジに対して有効な免疫防御を示した。これに対してα−Galエピトープを欠如する腫瘍細胞により免疫感作したマウスは、α−Galエピトープを欠如する生きた腫瘍細胞によるチャレンジに対して保護性免疫応答を示さなかった。
腫瘍治療のα−Gal糖脂質
本発明は、固体腫瘍塊を有する患者の治療を意図する。本発明の特定の実施形態は、患者自身の腫瘍を自己腫瘍ワクチンに変換することにより、個々の患者に自分自身の腫瘍病変に対するワクチン接種をすることを意図する、癌患者の新規の免疫療法治療を考察する(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,879,675号を参照)。例えば前記675号の特許は、腫瘍細胞及び/または細胞膜のin vitroプロセッシングを教示する。これらの細胞の患者内への注入の際、ワクチンはAPCに対して抗Gal抗体の標的とされて、自己腫瘍抗原に対して保護性免疫応答を誘発する。しかし本発明とは異なり、前記’675号の特許は、 i)天然抗Gal抗体による腫瘍の炎症、後縮及び/もしくは破壊の誘発のためのin vivo腫瘍内治療、または ii)癌患者内へのα−Gal糖脂質の腫瘍内注入後、in vivo腫瘍細胞でのα−Galエピトープの発現、を教示しない。
本発明の一実施態様ではα−Gal糖脂質は、非外科的腫瘍内注入によって(すなわち例えば内視鏡、カテーテル法などによって)、または種々の分子上のα−Gal糖脂質もしくは抗Gal結合エピトープの腫瘍内へのin vivo導入のための他の任意の方法によって、腫瘍細胞を含む腫瘍病変に送達され得る。
化学療法不応の転移の術後再発は、固体腫瘍を有する患者の最も一般的な死因であると考えられている。前記再発性転移の高い発現率(80%)は、膵臓及び卵巣癌腫を有する患者で、ならびにいくぶん少ない程度で黒色腫、結腸癌、肺癌及び乳癌など他の固体腫瘍で報告されている。この再発患者の多くはいかなる治療も利用できない末期疾患を有しており、及び転移の発見後数週間以内または数か月以内に死亡すると考えられる。
一実施形態において本発明は、すべてのヒトはその免疫グロブリンのおよそ1%の抗Gal抗体を自然に産生するという事実を利用することによって、腫瘍転移の後縮及び/または破壊のための治療法を考察する。抗Gal抗体の免疫可能性を利用して、いかなる腫瘍病変も退縮及び/または破壊して、α−Galエピトープ(すなわちα−GalBOEL)を運搬する糖脂質の腫瘍内注入によってそれらをin situ自己腫瘍ワクチンに変換することができる。
したがって本明細書に記載される本発明は、治療された腫瘍病変の後縮及び/または破壊を誘発できる。したがって一実施形態において、治療された腫瘍は退縮を起こす。代替実施形態では、治療された腫瘍は破壊される。
更なる態様において、腫瘍(すなわちα−Galエピトープを発現する)は後退を起こしており、前記腫瘍は黒色腫または肝転移など臓器転移から選択される。更なる代替的実施形態において、腫瘍(すなわちα−Galエピトープを発現する)は破壊されており、前記腫瘍は黒色腫または肝転移など臓器転移から選択される。
一実施形態において導入する工程は、治療された腫瘍の自己腫瘍ワクチンへの変化の結果として、対象の二次性腫瘍の後退を引き起こす。更なる実施形態では、前記二次性腫瘍は黒色腫または肝転移から選択される。
一実施形態において、導入する工程は対象の二次性腫瘍の破壊を引き起こす。更なる実施形態では、前記二次性腫瘍は黒色腫または肝転移から選択される。
水に取り囲まれたミセルコアと比較して、細胞膜の脂質二層の外葉に埋め込まれたときα−Gal糖脂質の疎水性(すなわち親油性)脂質尾部はより安定した精力的形態であるので、多くのα−Gal糖脂質は自発的に腫瘍細胞膜に挿入する。ガングリオシドと呼ばれる糖脂質の他の種類の細胞膜内への自発的な挿入(取り込み)は、以前に示されている(Kanda SらJ Biochem.(Tokyo).1982;91:1707−18,and Spiegel SらJ.Cell Biol.1985;100:721−26)。α−Gal糖脂質の腫瘍細胞膜内への挿入は、細胞膜表面にα−Galエピトープのde novo発現をもたらすと予想される。α−Galエピトープ発現は、補体介在性細胞溶解(CDC)及び抗体依存性細胞性細胞溶解(ADCC)を含むがこれらに限定されないメカニズムによる、腫瘍細胞の抗Gal抗体媒介後縮及び/または破壊を促進することができ、及び更に腫瘍壊死をもたらし得る。抗Galオプソニン化腫瘍細胞膜は次に、抗原提示細胞によって効果的に標的とされて、それにより治療した腫瘍病変を自己腫瘍ワクチンに変換する。次いでこの自己ワクチンは免疫系を刺激して腫瘍抗原に対して反応させて、治療患者の他の腫瘍病変及び/または微小転移巣内でこれらの抗原を発現する腫瘍細胞の更なる後縮及び/または破壊を結果としてもたらす。
一実施形態において対象は、外科的に腫瘍を除去するために以前に治療された。
代替実施形態では対象は、外科的に腫瘍を除去するために以前に治療されておらず、すなわち本明細書において記載されている方法は、原発腫瘍切除の数週間前に新補助療法として実行され得る。一実施形態においてα−GalBOELの腫瘍内注入は腫瘍のサイズを減少させ、かつ治療した腫瘍を自己腫瘍ワクチンに変換する。前記腫瘍は最終的に切除されるが、その切除の前に、治療された腫瘍は同じ腫瘍抗原を発現する微小転移に対して免疫応答を誘発すると考えられる。
抗Gal抗体の腫瘍後縮及び/または破壊のメカニズム
発明のメカニズムを理解する必要はないが、注入されるα−Gal糖脂質による後縮及び/または破壊は生化学及び生理学的基礎を含むことができる。
一実施形態では本方法は、腫瘍内炎症を誘発することを更に含む。
腫瘍内注入は腫瘍関連の毛細管の局所破壊をもたらして、それによって腫瘍内部へ到達する天然抗GalIgM及び抗GalIgG抗体分子を提供することができる。抗Gal抗体は次に、α−Gal糖脂質ミセルまたは個々のα−Gal糖脂質分子のα−Galエピトープと相互作用して、それにより補体の局所活性化及び補体開裂走化性因子C5a及びC3aの生成を誘発することが可能である。更にC3bは、標的細胞上へ共有結合的に付着する。それから補体活性化は、治療した腫瘍病変内でde novo産生されたC5a及びC3a走化因子によって導かれる、腫瘍内顆粒球、単球、マクロファージ及び樹状細胞遊走を促進する局所炎症過程を開始する。炎症過程は、内皮細胞の抗Gal活性化を引き起こす細胞膜内へのα−Gal糖脂質の挿入の結果として更に増幅され得る(Palmetshofer AらTransplantation.1998;65:844−53;Palmetshofer AらTransplantation.1998;65:971−8)。内皮細胞活性化及び腫瘍細胞全体の損傷は、追加の炎症誘発性サイトカイン及びケモカインの局所産生をもたらす可能性がある。このような局所分泌型サイトカイン及びケモカインは、マクロファージ、樹状細胞の更なる遊走、及びα−Galな糖脂質を注入した病変内へのリンパ球のその後の遊走を誘発する。この細胞遊走は、抗原提示細胞上及びリンパ球上の炎症誘発性サイトカインならびにケモカインへの受容体により媒介される(Cravens P D and Lipsky P E Immunol.Cell Biol.2002;80:497−505)。炎症反応のこの初期誘発により、腫瘍病変を増殖するという「内密の性質」を検出する能力の全般的な欠如を免疫系が解決することを可能にする。この炎症により更に、局所サイトカイン環境により誘発され、かつ通常リンパ球が腫瘍内を通り抜けるのを防ぐ、固体腫瘍病変内の免疫抑制微環境を免疫系が解決することを可能にする(Malmberg K J.Cancer Immunol.Immunother.2004;53:879−92; LugadeらJ.Immunol.2005;174:7516−23)。
腫瘍細胞の破壊は、細胞膜内に挿入したα−Gal糖脂質と結合する抗Galにより生じる。腫瘍内に注入されるα−Gal糖脂質は、腫瘍細胞膜のリン脂質二層の外葉に自発的に挿入できる。挿入されたα−Gal上のα−Galエピトープへの抗GalIgM及び抗GalIgGのその後の結合は、補体依存性細胞溶解(CDC)を介する治療腫瘍の後縮及び/または破壊を誘発する。このようなα−Galエピトープへの抗GalIgG分子の結合は、腫瘍細胞の抗体依存性細胞性細胞溶解(ADCC)も促進する。
一実施形態において腫瘍は、補体依存性細胞溶解(CDC)を介して後縮及び/または破壊が起きる。
一実施形態において腫瘍は、補体依存性細胞性細胞溶解(ADCC)を介して後縮及び/または破壊が起きる。
補体依存性細胞溶解において、α−Galエピトープを発現する腫瘍細胞と結合する(α−Gal糖脂質挿入による)抗GalIgG及び/またはIgM分子は、補体系を活性化すると考えられている。その後補体C5b−9膜侵襲複合体はこの補体活性化の結果として形成されて、次いで腫瘍細胞膜に孔を「突きあけて」、その結果腫瘍細胞溶解が生じる。この補体依存性細胞溶解はブタ内皮細胞が溶解するとき同様に見いだされて、異種移植の超急性拒絶をもたらす(Collins B HらJ.Immunol.1995;154:5500−10)。ADCCにおいてエフェクター細胞は、顆粒球、マクロファージ及びNK細胞である。これらの細胞は、抗Galの誘発した炎症過程のため病変に引きつけられる。それらはFcγ受容体(FcγR)を介して、腫瘍細胞膜内に挿入されるα−Gal糖脂質と結合する抗GalIgG分子のFc部に結合される。一旦腫瘍細胞に結合すると、これらのエフェクター細胞は腫瘍細胞膜に穴を生成する膜接触領域内にそのグランザイム小胞を分泌して、次いでこれらの腫瘍細胞の破壊を誘発する。α−Galエピトープを発現する細胞のADCC破壊を誘発する際の抗GalIgGの有効性は、そのα−Galエピトープを介して抗Galバイアと結合する異種移植ブタ細胞によって示された(Galili,U.Immunol.Today1993,14:480−82)。腫瘍細胞がその細胞表面膜上に発現したα−Galエピトープを介して抗Galと結合したとき、類似の抗Gal媒介ADCC工程は発生する(Tanemura M et al.J.Clin.Invest.2000;105:301−10)。
抗原提示細胞による腫瘍細胞膜の取り込みは、化学療法不応微小転移を退縮及び/または破壊するために、自己腫瘍抗原に対する保護性免疫応答の誘発をもたらす場合がある。抗Gal依存性補体活性化を介して標的細胞上に付着するα−Gal糖脂質またはC3bを挿入した膜上の、α−Galエピトープと結合した抗GalIgG抗体は、抗原提示細胞を刺激して、腫瘍抗原(すなわち例えば腫瘍関連抗原、TAA)を発現する細胞膜を内在化する。次いで内在化された腫瘍抗原は、治療腫瘍病変から流入領域リンパ節へ抗原提示細胞により輸送されることができる。次にこれらの腫瘍抗原は、抗原提示細胞によって更にプロセッシングされることができて、腫瘍特異的T細胞を活性化する免疫原性腫瘍ペプチドとして提示されることができる。このプロセスは、全身性保護性抗腫瘍免疫応答(すなわち例えば自己腫瘍ワクチン)の誘導をもたらす。したがってα−Gal糖脂質を注入された腫瘍病変は、治療した腫瘍病変のそれとして腫瘍抗原を発現する微小転移に対する免疫応答を誘発する、in situ自己腫瘍ワクチンに最終的に変換する。
臨床的治療法として、α−Gal糖脂質は、皮内注射(すなわち例えば黒色腫瘍内)、内視鏡注入(すなわち例えば結腸転移内)、腹腔鏡注入(すなわち例えば腹腔の卵巣、結腸、胃、肝臓もしくは膵臓癌転移(例えば腹膜上もしくは肝臓内)内)、経皮的画像誘導針注射(すなわち例えば肺腫瘍内)、気管支鏡注入(すなわち例えば肺腫瘍内)、結腸鏡注入、または膀胱鏡注入(すなわち例えば膀胱癌腫内)を含むがこれらに限定されない種々の方法によって癌病変へ投与されることができる。
したがって一実施形態において導入することは、注射、画像誘導注射、内視鏡、気管支鏡、膀胱鏡、結腸鏡、腹腔鏡及びカテーテル法を含有する手順を含むがこれらに限定されない。
一実施形態において導入することは、非外科的腫瘍内注入を含む。例えば導入することは、皮内注射、経皮的画像誘導注射、内視鏡注入、気管支鏡注入、膀胱鏡注入、結腸鏡注入及び腹腔鏡注入から選択される手順を含む。
一実施形態においてα−Gal糖脂質(すなわちα−GalBOEL)は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、生理食塩水、他の水溶液、または安全であると認められる(GRAS)他の賦形剤を含む群から選択されるがこれらに限定されない、薬学的に許容される溶液(すなわち滅菌溶液)で注入される。一実施形態においてα−Gal糖脂質の溶液は、デオキシコール酸塩または細胞膜内への糖脂質の浸透を増加させることができる他の中性界面活性剤も含むことができる。
一実施形態において本発明は、腫瘍切除手術前に提供される新補助療法としてのα−Gal糖脂質(すなわちα−GalBOEL)の原発腫瘍内への腫瘍内注入を考察する。一実施形態において、α−Gal糖脂質による術前注入によって誘発される即時炎症反応は、腫瘍病変サイズを縮小させて、ならびにそれをin situ自己腫瘍ワクチンに変換することをもたらす。発明のメカニズムを理解する必要はないが、治療した腫瘍に対する免疫応答は、原発腫瘍の外科的切除時に検出可能でない微小転移の免疫破壊を誘発するのを最終的に助けることができると考えられる。術前投与は、従来の補助療法(すなわち例えば化学療法及び放射線)への微小転移の抵抗性の免疫学的破壊により疾患の再発を防止するのを助けることができ、及びそれは原発腫瘍のように腫瘍抗原を発現すると更に考えられている。前記新補助療法は、直接もしくは導入画像によって、または他の任意の周知の方法によって注射されることができる任意の固体腫瘍またはリンパ腫にも適用することができる。
本発明の更なる態様に従って、本明細書で定義される医薬組成物を含むキット、及び任意に本明細書で定義される方法に従って前記キットを使用するための指示書が提供される。
一実施形態においてキットは、腫瘍内投与装置など投与装置を更に含む。
本明細書に引用されるすべての出版物及び特許は、あたかもそれぞれの出版物または特許が具体的かつ個々に参照により組み込まれると示されるがごとく、参照により本明細書に組み込まれており、出版物が引用されたことに関連する方法及び/または材料を開示かつ記載するために参照により本明細書に組み込まれるものとする。いかなる出版物の引用も出願日前のその開示のためであり、本発明が先行開示であるがゆえに前記出版物に先行する権利を有しない容認として解釈されるべきでない。
以下の実施例は、本発明の実施形態の例示的実施例としてのみ意図される。それらは、本発明を制限するものとして見なされるべきではない。
合成
以下に記載する合成方法の説明において及び出発材料を調製するために用いる参照合成方法において、溶媒、反応雰囲気、反応温度、実験の継続時間を含むすべての反応条件及び精密検査手順は、当業者により選択され得ることを理解すべきである。分子の種々の部分に存在する官能基は利用される試薬及び条件と適合しなければならないことは、有機合成の当業者によって理解される。必要な出発材料は有機化学の標準方法によって得られることができ、及びその中で例示された及び/または参照されたものに類似する手順によって入手できる。
反応は市販の試薬(Acros、Aldrich及びFluka)を用いて実施した。無水溶媒は標準法に従って精製された。カラムクロマトグラフィは0.040〜0.063mmシリカゲル60(Merck)上で実施した。ゲル濾過はSephadex LH−20(GE Healthcare)カラム上で実施した。溶媒を30〜40℃の真空で除去した。薄層クロマトグラフィ(TLC)は、Silicaゲル60F254アルミニウム製プレート(Merck)上で実施した。化合物のスポットはTLCプレートをHPO水溶液(8%)に浸漬して、続いて加熱する(>150℃)ことによって視覚化された。
H NMRスペクトルは、Bruker BioSpin GmbH(700MHz)分光計で30℃で記録した。ケミカルシフト(δ、ppm)は、内部DO(δ4.750)、CDCl(δ7.270)またはCDOD(δ3.500)のピークを参照した。結合定数(J)はHzで測定された。H NMRの信号。糖類のNMRスペクトルの単糖残基の記号:I−β−GlcNAc(還元末端)、II−β−Gal、III−α−Gal。MALDI TOF MSスペクトルは、Bruker Daltonics Ultraflex MALDI TOF/TOF質量分析計(独国)で記録した。
後述する合成法は、(9Z,9Z)−(2R)−3−(((2−(6−((3−(((2R,3R,4R,5S,6R)−3−アセトアミド−5−(((2S,3R,4S,5S,6R)−3,5−ジヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)−4−(((2R,3R,4S,5R,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−4−ヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)プロピル)アミノ)−6−オキソヘキサンアミド)エトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)プロパン−1,2−ジイルビス(オクタデカ−9−エノエート)(α−GalBOEL)を調製するため当業者によって使用され得る。
合成スキーム:
Figure 0006490195
(9Z,9’Z)−(2R)−3−(((2−(6−((3−(((2R,3R,4R,5S,6R)−3−アセトアミド−5−(((2S,3R,4S,5S,6R)−3,5−ジヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)−4−(((2R,3R,4S,5R,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−4−ヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)プロピル)アミノ)−6−オキソヘキサンアミド)エトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)プロパン−1,2−ジイルビス(オクタデカ−9−エノエート)の調製。
Figure 0006490195
乾燥DMF(2mL)の3−アミノプロピル4−O[3−O(α−D−ガラクトピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシル]−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド(II)(Mendeleev Communications,2002,(143−145) or Tetrahedron,61,(2005),4313−4321、52mg、0.086mmol)の溶液にEtN 15μLを添加し、続いてCHCl(2mL)のDOPE−Ad−ONSu(III)(米国特許第8,013、131B2号、100.6mg、1.00mmol)を添加した。反応物は室温で2時間撹拌されて、その後カラムクロマトグラフィが続き(最初にSephadexLH−20で、第2にCHCl−EtOH−HO;6:5:1で溶出するシリカゲル上で)表題の化合物(I)を得た(105.6mg、84%)。
0.5(CHCl−EtOH−HO、6:5:1)
H NMR(700MHz、CDCl−CDOD1:1、30℃)、δ、ppm、選択:5.45−5.54(m、4H、2×−CH=CH−)、5.34−5.43(m、1H、−OCH−CHO−CHO−)、5.18(d、1H、J1,22.52、H−1III)、4.61(d、1H、J1,27.57、H−1II)、4.60(dd、1H、J2.87、J12.00、C(O)OCHHCHOCHO−)、4.56(d、1H、J1,28.39、H−1)、4.36(dd、1H、J6.8、J12.00、−C(O)OCHHCHOCHO−)、4.19(d、1H、J3,42.48、H−4II)、4.13−4.18(m、2H、−CHO−CHOP−)、3.52−3.62(m、3H、PO−CH−CH−NH、−CH−CHH−NH)、3.29−3.35(m、1H、−CH−CHH−NH)、2.45−2.52(m、4H、2×−CH−CO)、2.36−2.45(m、4H、2×−CH−CO)、2.14−2.22(m、11H、2×(−CH−CH=CH−CH−)、NHC(O)CH)、1.85−1.96(m、2H、O−CHCHCH−NH)、1.73−1.84(m、8H、COCHCHCHCHCO及び2×(COCHCH−)、1.36−1.55(m、40H、20CH)、1.05(t、6H、J6.98、2CH)。
C70H126N3O26P;MALDI MS:m/z1480(M Na+H);1496(MK+H);1502(MNa+Na)、1518(M Na+K)
実施例1:抗Gal抗体への結合を示すためのELISA
96ウェルプレートを最初にα−GalBOEL(FSL−Galili(トリ)(商標)としてSigma製から入手、カタログ番号F9432)でコーティングする。50μLのPBSを各ウェルに添加する。α−GalBOELは2mg/mlの濃度までPBSで再懸濁して、50μLをウェルを添加した。移動前に各ウェルが十分に混合されるように、プレート全体のウェル内に50μLを移すことによって連続希釈を実施する。プレートは終夜放置して、乾燥する。これによって、この分子のL(脂質)部分によるα−GalBOELのウェルへの強力な接着をもたらす。
150μLのブロッキング緩衝液(1×PBS/1%BSA)を乾燥したウェルに加える。プレートはカバーされて、37℃で2時間インキュベートする。ウェル内容物を廃棄して、ウェルをPBSで洗浄した。50μLの一次抗Gal抗体(本実施例のモノクローナルマウス抗GalIgM、M86ハイブリドーマ上清)を各ウェルに加える。プレートを室温で2時間インキュベートする。プレートを200μL洗浄緩衝液で3回洗浄する(1×PBS、0.05%Tween)。
50μLの二次ヤギ抗マウスIgM−HRP溶液(Accurate Chemical、カタログ番号JGM035020)を各ウェルに加える。プレートをカバーして、室温で1時間インキュベートして、その後200μL洗浄緩衝液で3回洗浄する。100μLの標準OPD(o−フェニレンジアミンジヒドロクロリド)溶液(例えばSigma、カタログ番号P8287)を各ウェルに加えて、5分間インキュベートし、次いで50μLの停止液(1M硫酸)を加える。ウェル吸光度を、492nm(A492)で直ちに読み取る(図2を参照)。
α−GalBOELの量はELISAプレート全体で増加するので、図2はA492の増加を示す。ELISAウェルに結合するα−GalBOELの増加量とこれらのELISAウェルへのモノクローナル抗Gal抗体の増加する結合との間の直接相関関係は、ウェルで乾燥したα−GalBOEL分子上のα−Galエピトープにこの抗体が結合することを示す。
実施例2:補体依存性細胞障害、及び取り込みアッセイ
細胞形質膜内に挿入されるα−GalBOELの量、及び抗Gal媒介補体依存性細胞障害(CDC)を刺激することにおける、α−GalBOEL挿入の機能的影響の両方とも、下記のアッセイは定量化する。α−GalBOELは滴定されて、CHO−K1細胞によってインキュベートされる。これらの細胞を全細胞ELISAアッセイで固定して使用し、膜内へのα−Galの取り込みを測定する、または抗Gal抗体及びヒト血清によってインキュベートしてCDC(またはヒト血清からの補体の非存在下での一般的な細胞毒性)を測定する。
α−GalBOEL滴定及びCHO−K1細胞調製
α−GalBOELは以下のとおり滴定される。α−GalBOELの40μLアリコート1つ(2mg/ml(FSL−Galili(トリ)(商標)としてSigmaから入手可能、カタログ番号F9432)を解凍して、30秒間超音波処理する。40μlのリン酸緩衝食塩水(PBS)を管に加えて、10秒間ボルテックスする。25μlのこの混合物を、55μlのPBSに加えて、よく混合する。これらの希釈は繰り返されて、所望の濃度範囲のα−GalBOELの完全な滴定を得る。
α−Galエピトープを欠如するCHO−K1細胞を37℃でDulbeccoのPBS(DPBS)で再懸濁して、5分間1000rpmで遠心分離する。上清を吸引して、細胞沈殿物を450μlDPBS(37℃)に1×10細胞/mlまで再懸濁する。細胞沈殿物を再び洗浄して、血清のあらゆる痕跡を除去する。
CHO−K1細胞とα−GalBOELのインキュベーション
細胞懸濁液のアリコート(45μl)をα−GalBOELの全管へ移して、ゆっくり反転混合し、37℃で30分間インキュベートする。細胞を十分に洗浄して、組み込まれていない過剰のα−GalBOELを除去する。管を5分間200×gで遠心分離して、細胞沈殿物を暖かいDPBS900μlで洗浄し、再び5分間200×gで再び遠心分離して、暖かい溶媒250μlに再懸濁する。細胞懸濁液(25μl)をアッセイプレート(発光読み取り(Corning製)用標準白色96ウェルプレート)に移して、CDCアッセイ(A)を実行する、またはin cell ELISA用(B)にポリ−d−リシンコーティングプレート(Sigma製)に50μl移して、細胞膜内への取り込みを測定する。
補体依存性細胞障害/細胞溶解(CDC)アッセイ
抗Gal抗体(供給源内から、本実施例ではプラズマ含有マウス抗Gal)をCDCアッセイプレート(A)に加えて(25μl/ウェル)、次に37℃で30分間インキュベートする。アッセイプレートを加熱遠心管ブロック上で更に37℃で30分間インキュベートする。ヒト血清(活性補体を含む)を暖かい溶媒で希釈し(アッセイの滴定による所定濃度まで)、各ウェルに50μlを加える。プレートを37℃で30分間インキュベートする。プレートをインキュベータから取り出して、15分間室温で平衡化する。100μlのCellTiterGlo試薬(Promega、G7572)をプレートの各ウェルに加える。この試薬発光は、溶解細胞から放出されるATPの量と比例する。プレートを箔で覆い、2分間のプレートシェーカ(400rpm)でインキュベートする。発光出力を標準96ウェルプレート読み取り機を使用して測定する(図3を参照)。
一般的の細胞毒性を上述のCDCアッセイ手順に従って測定するが、ヒト血清を予め温めた培地に置き換える。細胞死のレベルを、厳密に上記のCDCアッセイに関する同じ方法で100μlのCellTitreGlo試薬を各ウェルに加えることで測定した(図4を参照)。
図3は、α−GalBOELの用量を増加させることによる補体依存性細胞溶解の抑制を示す。α−GalBOEL容量が増加するにつれて、細胞と結合する及びそれらを溶解させることからの補体成分のブロッキングにより、CellTitreGloで測定されるように細胞生存度は増加する。α−GalBOELミセルにより媒介される中の本ブロッキングは、溶液の抗Galを結合し、溶液の補体カスケードを活性化して、補体消費を生じさせて、それによりα−Galエピトープを発現する細胞の補体介在性溶解を阻害する。補体が不活性化した場合、細胞死は発生しない。ヒト血清がない場合、α−GalBOELは500μg/mlまで細胞生存度(図4)に影響を及ぼさない。表1は、4つの独立実験に関するα−GalBOELによるCDC抑制におけるEC50値(半最大応答をするα−GalBOEL濃度)を記載する。平均EC50値は、1.35μg/ml+/−1.48である明白な細胞毒性は、500μg/mlまで観察されない。
表1: CDCアッセイの結果
Figure 0006490195
細胞内へのα−GalBOELの取り込みを測定するためのin−cellELISA
CHO−K1細胞内へのα−GalBOELの取り込みを測定するために、α−GalBOEL含有CHO−K1細胞懸濁液50μlを、ポリ−D−リシンでコーティングした透明96ウェルプレート(B)へ移す。プレートを1,000rpmで5分間回転する。細胞を固定するために培地を除去して、100μlの4%のホルムアルデヒドを各ウェルに加える。プレートを、室温で15分間ドラフトチャンバ内でインキュベートする。ホルムアルデヒドを除去して、プレートを2度1×トリス緩衝生理食塩水(TBS)100μL/ウェルで洗浄する。in cell ELISAキット(In Cell ELISAアッセイキット、62200Pierce Ltd)を使用して、α−GalBOELの取り込み濃度を測定する。
TBSを除去して、100μL/ウェルのクエンチ溶液を加えて、20分間室温でインキュベートする。クエンチ溶液を除去して、プレートを1度1×TBSの100μL/ウェルで洗浄した。
100μL/ウェルのブロッキング緩衝液を加えて、30分間室温でインキュベートする。ブロッキング緩衝液を除去して、希釈された一次抗体の50μL/ウェルを加える(本実施例のM86ハイブリドーマ上清は最適濃度を見つけるために滴定される)。プレートシーラーを適用して、プレートを終夜4℃でインキュベートする。一次抗体溶液を除去して、プレートを1×洗浄緩衝液100μL/ウェルで3回洗浄する。
HRP抱合型ヤギ抗ヒト(またはマウス)IgG+gM+gA二次抗体100μL/ウェルを添加する。プレートを室温で30分間インキュベートする。プレートを1×洗浄緩衝液200μL/ウェルで3回洗浄する。
TMB基質100μL/ウェルを添加して、プレートを室温でインキュベートして、光から保護する。15分以内に(または所望の青色が得られたときに)TMB停止溶液100μL/ウェルを添加することにより、反応を停止する。450nmの吸収度を、反応停止の30分以内に測定する(図5を参照)。
上記のとおりインキュベーション後α−GalBOELはCHO−K1細胞表面上に検出され得ることが、図5からわかる。
実施例3:補体付着アッセイ
1×10B16−F10及びCHO−K1細胞を成長する培養物から収集して、1時間37℃でPBSのαGalBOEL500μg/mlでインキュベートし、その後細胞を3回PBSで洗浄した。CHO−K1を洗浄した後、細胞を37℃10分間、2.5%通常(NHS)または熱不活性(HI NHS)ヒト血清でインキュベートした。B16−F10細胞を10分間37℃で、通常GT−/−マウス(NMS)からの2.5%血清で、またはブタ腎臓ホモジネート免疫感作マウス(I NMS)からの2.5%血清でインキュベートした。細胞を氷上に置き、氷冷細胞染色緩衝液(PBS+0.1%BSA)で2回洗浄した。抗C3b(C3b、Pierce MAI−70054、細胞染色緩衝液で1:1000希釈)または抗SC5b−9(MAC、QuidelA239、細胞染色緩衝液で1:100希釈)で、30分間氷上で細胞をインキュベートした。細胞を2回氷冷細胞染色緩衝液で洗浄して、FITCヤギ抗マウス抗IgG(Abcamab97022、細胞染色緩衝液1:2000で希釈)で30分間氷上でインキュベートした。氷冷細胞染色緩衝液で更に2回洗浄した後、細胞を氷冷細胞染色緩衝液プラス7-AAD(Biolegend420403)で再懸濁する。細胞をBeckman Coulter Cytomics FC500フローサイトメータを使用して分析し、データをFL−1channelで捕獲した。ヒストグラムで示すデータは、生きた細胞でゲート制御される。
α−GalBOELの取り込みが、CHO K1(A&B)及びB16マウス黒色腫細胞(C&D)の表面上へヒトまたはマウス血清からの補体タンパク質C3b及びMACの沈着を導くことを、図6は示す。
実施例4:α1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼノックアウト(GT KO)マウス黒色腫モデルのin vivo活性α−GalBOEL
in vivo薬力学実験を実施して、B16−F10黒色腫細胞を有するGT KOマウス黒色腫モデルのα−GalBOELを評価した。ヒトのようにα−Gal抗原を発現しないので、GT KOマウス株が選択された。その結果、GT KOマウスはブタ腎臓膜ホモジネートで免疫感作して、自然にヒトに見られるものと類似するIgG及びIgM抗Gal抗体の力価を産生した。ブタ腎臓膜が細胞膜上及び細胞間マトリックス内の高濃度のa−Galエピトープを含有するので、前記免疫応答は誘発される。α−Galエピトープを発現しない唯一周知のマウス細胞であるので、B16−F10細胞が用いられた。
B16−F10黒色腫モデルにおいて、マウスは両脇腹に培養B16−F10細胞を注射されて、原発腫瘍を産生するために片側に1×10黒色腫細胞を注射されて原発腫瘍を産生し、二次性腫瘍とも呼ばれる「遠隔転移」モデルを産生するために反対の脇腹に減少した細胞数(1×10黒色腫細胞)を注射した。原発腫瘍は腫瘍内でα−GalBOELを注射されて、または既定の腫瘍直径に到達したとき溶媒コントロールを注射される。記録される臨界点は「遠隔」腫瘍の増殖であり、これを使用して、体全体の有効な保護性抗腫瘍免疫応答を誘発する薬剤の能力を測定する。α−GalBOEL0.1〜2.5mg用量を試験した。100μL溶媒中α−GalBOEL0.1mg〜1mg用量をB16−F10モデルで並べて試験したとき、α−GalBOELの用量依存性活性応答を観察した。図7に例示されるように、1mgのα−GalBOELは、0.1mg及び0.5mgの用量より高いレベルの保護を一貫して与えた。
ブタ腎臓膜ホモジネートを有するGT KOマウスの免疫化は、B16−F10黒色腫モデルの遠位腫瘍発現からのα−GalBOEL介在保護を付与するのに必要である、抗GalIgG及びIgM抗体の産生を誘発することも示されている。図8でわかるように、1mgのα−GalBOELは、二次性腫瘍発現から抗Gal発現GT KOマウスの80%を保護した。これに対して、1mgのα−GalBOELは、非免疫感作GT KOマウス(すなわち抗Galを欠如するマウス)の保護活性化を欠いた。これらの観察は、遠隔転移の発現に対する保護性抗腫瘍免疫応答のα−GalBOEL介在誘発は治療対象の抗Galの存在に依存していることを示す。抗Galの不存在下で、著しい保護性抗腫瘍免疫応答は観察されない。
実施例5:α−GalBOEL及び抗PD−1抗体の組み合わせは、抗PD−1抗体単独上に優れたin vivo活性を示す。
チェックポイントが抗腫瘍免疫応答を負に調整する際、T細胞上の2つの受容体PD−1及びCTLA−4が機能することを、数々の証拠は示唆する。同時に、PD−1及びCTLA−4を標的とする治療抗体薬剤の基準は、臨床試験の進行性黒色腫の治療用の見込みを示している。合成糖脂質α−GalBOELの抗腫瘍効果は、免疫学的チェックポイント阻害剤、すなわち上述のGTKOマウス黒色腫モデルの抗PD−1モノクローナル抗体(mAb)と結合して強化され得るか試験された。プロセシングされた腫瘍抗原ペプチドを示す抗原提示細胞により誘発される腫瘍特異的T細胞の初期増殖は、抗PD1モノクローナル抗体など免疫学的チェックポイントの阻害により強化されることができると推定される。したがって、α−GalBOEL及び抗PD1抗体の両方を有する、腫瘍を保持する対象の複合治療は、これらの2つの治療のうちの1つだけで治療される対象より効果的であると考えられる。
この仮定を研究するために、原発腫瘍を作成するため1つの脇腹に10B16−F10腫瘍細胞を、転移状二次腫瘍を誘発するために反対の脇腹に10B16−F10細胞を、マウスはチャレンジされた。腫瘍細胞注入の5日後、原発腫瘍は、α−GalBOEL0.1mg及び0.25mg(図7の実験の1.0mgの代わりに)またはPBS(=溶媒コントロール)のみで腫瘍内で治療された。8日目または10日目にマウスは、250μgの抗PD−1モノクローナル抗体RMP1−14(Biolegend(カタログ番号114102))で、またはPBSで腹腔内で治療された。注目すべきは、クローンRMP1−14は、腫瘍モデルの抗PD−1効果を調査するためにいくつかの研究で使用された。抗PD−1または溶媒での治療は、各実験で3回繰り返された(マウスは合計4回の250μg用量を受けた)。図9でわかるように、α−GalBOELと抗PD−1の組み合わせは、α−GalBOEL及び抗PD−1抗体単独と比較して、遠隔転移の増殖を防止することに関して優れた活性を有した。抗PD−1はα−GalBOELと相乗作用して、α−GalBOELまたは抗PD1抗体を単独で使用する治療で観察されるより強力な保護性抗腫瘍免疫応答を誘発することを示した。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
腫瘍の治療に使用のための(9Z,9’Z)−(2R)−3−(((2−(6−((3−(((2R,3R,4R,5S,6R)−3−アセトアミド−5−(((2S,3R,4S,5S,6R)−3,5−ジヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)−4−(((2R,3R,4S,5R,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−4−ヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)プロピル)アミノ)−6−オキソヘキサンアミド)エトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)プロパン−1,2−ジイルビス(オクタデカ−9−エノエート)を含む医薬組成物。
(構成2)
前記腫瘍が固体腫瘍、骨髄腫またはリンパ腫である、構成1に記載の使用のための組成物。
(構成3)
前記腫瘍が、腹膜、肝臓、膵臓、肺、膀胱、前立腺、子宮、子宮頸部、膣、骨髄、乳房、皮膚、脳、リンパ節、頭頸部、胃、腸、結腸、腎臓、精巣、及び卵巣から選択される臓器から生じる腫瘍である、構成1または構成2に記載の使用のための組成物。
(構成4)
前記腫瘍が原発腫瘍及び/または転移を含む、構成1〜3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(構成5)
前記腫瘍が黒色腫、肉腫、神経膠腫または癌細胞を含む、構成1〜3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(構成6)
注射による投与用である、構成1〜5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(構成7)
1回投与または複数回投与より投与される、構成1〜6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(構成8)
局所軟膏、局所ローションまたは局所溶液など局所適用である、構成1〜5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(構成9)
1つ以上の薬学的に許容される担体(複数を含む)、希釈剤(複数を含む)及び/または賦形剤(複数を含む)を更に含む、構成1〜8のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(構成10)
1つ以上の追加の治療薬を更に含む、構成1〜9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
(構成11)
前記1つ以上の追加の治療薬が、抗CTLA−4、PD−1及びPD−L1抗体、特に特定の抗PD−1抗体など免疫系ダウンレギュレーションの1つ以上の全身性阻害剤を含む、構成10に記載の使用のための組成物。
(構成12)
対象の腫瘍を治療する方法であって、
a)i)細胞表面を有する複数の癌細胞を含む、少なくとも1つの腫瘍を含む対象と、
ii)構成1〜11のいずれか1つに記載の医薬組成物と、を提供することと、
b)前記医薬組成物を前記腫瘍内に導入することと、を含む、前記方法。
(構成13)
前記対象がヒトなどヒトまたはマウスである、構成12に記載の方法。
(構成14)
前記導入する工程が、注射、画像誘導注射、内視鏡、気管支鏡、膀胱鏡、結腸鏡、腹腔鏡、及びカテーテルから選択される方法を含む、構成12または構成13に記載の方法。
(構成15)
腫瘍内炎症を誘発することを更に含む、構成12〜14のいずれか一項に記載の方法。
(構成16)
前記対象が、外科的に腫瘍を除去するために以前治療された、構成12〜15のいずれか一項に記載の方法。
(構成17)
前記対象が、腫瘍を除去するために以前治療されていない、構成12〜16のいずれか一項に記載の方法。
(構成18)
前記腫瘍が退縮を起こす、または破壊される、構成12〜17のいずれか一項に記載の方法。
(構成19)
前記導入する工程が対象の二次性腫瘍の退縮または破壊をさらに含む、構成12〜18のいずれか一項に記載の方法。

Claims (11)

  1. 腫瘍の治療における使用のための(9Z,9’Z)−(2R)−3−(((2−(6−((3−(((2R,3R,4R,5S,6R)−3−アセトアミド−5−(((2S,3R,4S,5S,6R)−3,5−ジヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)−4−(((2R,3R,4S,5R,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−4−ヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)プロピル)アミノ)−6−オキソヘキサンアミド)エトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)プロパン−1,2−ジイルビス(オクタデカ−9−エノエート)を含む医薬組成物。
  2. 前記腫瘍が固体腫瘍、骨髄腫またはリンパ腫である、請求項1に記載の使用のための組成物。
  3. 前記腫瘍が、腹膜、肝臓、膵臓、肺、膀胱、前立腺、子宮、子宮頸部、膣、骨髄、乳房、皮膚、脳、リンパ節、頭頸部、胃、腸、結腸、腎臓、精巣、及び卵巣から選択される臓器から生じる腫瘍である、請求項1または請求項2に記載の使用のための組成物。
  4. 前記腫瘍が原発腫瘍及び/または転移を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  5. 前記腫瘍が黒色腫、肉腫、神経膠腫または癌細胞を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  6. 注射による投与用である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  7. 1回投与または複数回投与により投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  8. 局所軟膏、局所ローションまたは局所溶液などの局所適用である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  9. 1つ以上の薬学的に許容される担体(複数を含む)、希釈剤(複数を含む)及び/または賦形剤(複数を含む)を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  10. 1つ以上の追加の治療薬を更に含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  11. 前記1つ以上の追加の治療薬が、抗CTLA−4、PD−1及びPD−L1抗体、特に抗PD−1抗体などの免疫系ダウンレギュレーションの1つ以上の全身性阻害剤を含む、請求項10に記載の使用のための組成物。
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