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JP6493158B2 - X線検出器 - Google Patents
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本発明は、リチウムドリフト領域を有するX線検出器に関する。
物質から放出される物質固有のX線、γ線、紫外線、赤外線、可視光線などの放射線を分析するために、放射線を検出する検出器が用いられている。例えばX線の検出には、シリコン(Si)基板にリチウム(Li)をドリフトさせたリチウムドリフト領域を有するX線検出器(以下において、「Si(Li)検出器」という。)が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。Si(Li)検出器は、p型半導体領域、リチウムドリフト領域及びn型半導体領域により形成されるp−i−n接合を有する半導体積層体を有する。
Si(Li)検出器の半導体積層体のn型半導体領域が露出する端面に、n側電極が配置される。一方、リチウムドリフト領域とp型半導体領域が露出する半導体積層体の他方の端面に、p側電極が配置される。Si(Li)検出器では、リチウムドリフト領域とp側電極との接合面に形成されるショットキー接合の界面状態を改善するために、リチウムドリフト領域の露出面をエッチングすることが行われてきた(例えば、非特許文献1参照。)。
特許第4356445号
T. Aramaki等、「Antideuterons as an Indirect Dark Matter Signature:Si(Li) Detector Development and a GAPS Balloon Mission」、Advances in Space Research 46 (2010)、p.1349-1353
X線検出器によって得られる試料のスペクトル特性では、通常、試料の特性X線を示す単一のピークが表れる。しかしながら、Si(Li)検出器により得られた試料のスペクトル特性では複数のピークが表れることがあった。このため、正確な測定に支障をきたす問題があった。
上記問題点に鑑み、本発明は、リチウムドリフト領域を含むSi(Li)検出器であって、単一の特性X線スペクトルが得られるX線検出器を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、(ア)p型半導体領域、p型半導体領域と下部の側面が接するリチウムドリフト領域、及びリチウムドリフト領域の上面に積層されたn型半導体領域によってp−i−n接合が形成された半導体積層体と、(イ)半導体積層体の下面に互いに隣接して露出するp型半導体領域の露出面とリチウムドリフト領域の露出面に連続して配置されたp側電極と、(ウ)n型半導体領域の上面に配置されたn側電極とを備え、半導体積層体の下面が、p型半導体領域とリチウムドリフト領域の全面に亘って平坦であり、且つ、p型半導体領域に配置されたp側電極であるリング電極のp型半導体領域に接する面に対向する表面と、リチウムドリフト領域に配置されたp側電極でるウィンドウ電極のリチウムドリフト領域に接する面に対向する表面とが、同一平面レベルに位置するX線検出器が提供される。
本発明によれば、リチウムドリフト領域を含むSi(Li)検出器であって、単一の特性X線スペクトルが得られるX線検出器を提供できる。
本発明の実施形態に係るX線検出器の構成を示す模式的な断面図である。 本発明の実施形態に係るX線検出器のp側電極方向から見た平面図である。 比較例のX線検出器の構成を示す模式的な断面図である。 比較例のX線検出器のp側電極を示す模式図である。 セグメント化されていない比較例のX線検出器によって得られるスペクトル特性を示すグラフである。 セグメント化された比較例のX線検出器によって得られるスペクトル特性を示すグラフである。 本発明の実施形態に係るX線検出器のp側電極を示す模式図である。 本発明の実施形態に係るX線検出器とセグメント化されていない比較例のX線検出器によってそれぞれ得られるスペクトル特性を示すグラフである。 本発明の実施形態に係るX線検出器をセグメント化させた場合のスペクトル特性を示すグラフである。 本発明の実施形態に係るX線検出器の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その1)。 本発明の実施形態に係るX線検出器の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その2)。 本発明の実施形態に係るX線検出器の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その3)。 本発明の実施形態に係るX線検出器の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その4)。 本発明の実施形態に係るX線検出器の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その5)。 本発明の実施形態の変形例に係るX線検出器のp側電極の構成を示す模式図である。 本発明の実施形態の変形例に係るX線検出器のp側電極の他の構成を示す模式図である。
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置を例示するものである。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
本発明の実施形態に係るX線検出器1は、図1に示すように、p型半導体領域11、リチウムドリフト領域12及びn型半導体領域13によってp−i−n接合が形成された半導体積層体10を備える。更に、X線検出器1は、半導体積層体10の下面に互いに隣接して露出するp型半導体領域11の露出面とリチウムドリフト領域12の露出面に連続して配置されたp側電極20と、n型半導体領域13の上面に配置されたn側電極30とを備える。
図1に示すように、リチウムドリフト領域12の下部の側面がp型半導体領域11と接している。また、n型半導体領域13がリチウムドリフト領域12の上面に積層されている。X線検出器1は平面視で円形状であり、半導体積層体10の下面の中央領域に露出するリチウムドリフト領域12の露出面の周囲に、p型半導体領域11の露出面が配置されている。
図1に示したX線検出器1は、p型半導体領域11としてp型Si層、リチウムドリフト領域12としてシリコン基板にリチウムをドリフトさせたリチウムドリフト層、n型半導体領域13として高濃度n+層のLi拡散層を使用したSi(Li)検出器である。
X線検出器1では、半導体積層体10の下面が、p型半導体領域11とリチウムドリフト領域12の全面に亘って平坦である。この平坦な半導体積層体10の下面と接して、p側電極20が、p型半導体領域11の露出面とリチウムドリフト領域12の露出面に連続して配置されている。p側電極20は、リチウムドリフト領域12の露出面に配置されたウィンドウ電極21と、p型半導体領域11の露出面に配置されたリング電極22とを有する。
図2示すように、p側電極20の中央領域に円形状のウィンドウ電極21が形成され、ウィンドウ電極21の周囲に円環形状のリング電極22が形成されている。なお、図1は図2のI−I方向に沿った断面図である。検出対象のX線は、ウィンドウ電極21から入射する。リング電極22は、検出対象のX線が照射されない領域である。例えば、照射領域以外を遮蔽するコリメータ(図示略)によってリング電極22が覆われる。
X線検出器1では、n側電極30とp側電極20との間に高電圧を印加することにより、ウィンドウ電極21から入射したX線がリチウムドリフト領域12で吸収される。リチウムドリフト領域12で吸収されたX線は、電子と正孔として電荷の形でリング電極22とn側電極30で取り出され、外部に電流パルスとして検出される。このように、X線検出器1は、照射されたX線のエネルギーを電気信号に変換する半導体検出器である。なお、図1に示したX線検出器1はトップハット型であり、n側電極30、n型半導体領域13及びn型半導体領域13から連続的に構成されるリチウムドリフト領域12の大部分の上部構造物の外縁部が、p型半導体領域11やp側電極20の外縁部よりも内側に位置する。
なお、図1に示すように、トップハット型を形成するための溝40の外側に外縁部を残すように、半導体積層体10を形成してもよい。外縁部を残すことにより、例えば外縁部の外側からX線検出器1を挟んで保持することによって移動が容易になるなどの利点がある。
従来、図3に示す比較例のX線検出器1Aのように、半導体積層体10の下面においてリチウムドリフト領域12の露出した領域の表面がエッチングされている。これは、検出対象のX線に対する有感領域であるリチウムドリフト領域12とp側電極20との接合面に形成されるショットキー接合の界面状態を改善するためである。一方、p型半導体領域11の露出面はエッチングされない。
このため、リチウムドリフト領域12の露出面が、周囲のp型半導体領域11の露出面よりも凹んだ構造である。このように、リチウムドリフト領域12が露出した領域のみについて半導体積層体10の下面をエッチングする比較例の構造では、薄くした中央領域とその周囲の領域との間で半導体積層体10の下面に段差が生じる。これに加え、ウィンドウ電極21の膜厚は、X線の吸収が少ないように20nm〜40nmと非常に薄く形成される。このため、例えば図4に示すように、p側電極20が、リチウムドリフト領域の露出面とp型半導体領域11の露出面との境界に生じる段差で分離されてしまう。つまり、ウィンドウ電極21とリング電極22とが分離される。なお、ウィンドウ電極21は例えば膜厚20nm程度のニッケル(Ni)膜201であり、リング電極22は例えば膜厚200nmの金(Au)膜202と膜厚20nm程度のNi膜201を積層した構造である。
図4に示したようにp側電極20が分離されることを、以下において「セグメント化」という。セグメント化されたX線検出器を用いた解析では、以下に説明するように、本来は単一のピークが表れるスペクトル特性に複数のピークが発生するという問題が生じる。
図3に示した比較例のX線検出器1Aを使用して、アンチモン(Sb)の試料についての解析結果であるスペクトル特性を、図5と図6に示す。ここで「スペクトル特性」とは、検出された電荷の個数をエネルギーの大きさごとに集計した特性であり、横軸がエネルギーのチャンネル、縦軸が集計された個数に対応するX線の強度である。
図5は、セグメント化されていないX線検出器1Aを使用した解析結果であり、SbKaのピークを示す単一のメインピークP1が表れている。一方、図6にセグメント化されたX線検出器1Aを使用した解析結果を示す。図6に示すように、メインピークP1以外のピークとして、SbKaピークの分裂ピークP2、分裂ピークP3がスペクトル特性に表れている。
上記の現象、即ち、p側電極20がセグメント化されていない場合にはメインピークのみが表れ、セグメント化された場合にメインピーク以外にも分裂ピークが表れる現象は、本発明者らが鋭意研究を重ねて得られた新たな知見である。この新たな知見が得られるまでは、完成したX線検出器を使用したX線解析の結果を確認した後、スペクトル特性に分裂ピークが表れるX線検出器を不良品として廃棄する必要があった。このため、製造コストが高かった。
また、本発明者らが上記の新たな知見を得る前は、単一ピークが得られる正常品が経時変化によって分裂ピークが発生する不良品になる可能性などが検討されていた。しかし、スペクトル特性に分裂ピークが発生する原因がp側電極20のセグメント化であることが見出されたことにより、経時変化が原因でないことを明確にすることができた。
図1に示したX線検出器1では、半導体積層体10の下面がp型半導体領域11とリチウムドリフト領域12の全面に亘って平坦である。このため、図7に示すように、リング電極22とウィンドウ電極21とが分離されるセグメント化が生じない。図7に示した例は、リング電極22とウィンドウ電極21が同一構成であり、膜厚20nm程度のNi膜201と膜厚200nmのAu膜202を積層した構造である。
X線検出器1を使用して得られた酸化マンガン(MnO)の試料についての解析結果であるスペクトル特性を、図8に特性S1として示す。特性S1には、MnOのピークを示す単一のメインピークP1が表れている。比較のため、セグメント化されていない図3に示した比較例のX線検出器1Aを使用して得られた同一試料のスペクトル特性を図8に特性S20として示す。特性S1と特性S20のピークは一致する。つまり、リチウムドリフト領域12の露出面をエッチングしないX線検出器1によっても、比較例と同等のスペクトル特性が得られている。
一方、X線検出器1を使用してセグメント化の影響を調べた結果を図9に示す。図9の特性S1はX線検出器1を使用して得られたMnOのスペクトル特性である。図9の特性S21は、p側電極20をリチウムドリフト領域12に配置された領域とp型半導体領域11に配置された領域とに分離してセグメント化させたX線検出器1を使用して得られたMnOのスペクトル特性である。このセグメント化は、半導体積層体10の下面の全面に亘って連続的に形成したp側電極20の一部をリング状に削除することによって行った。特性S1では単一のメインピークP1が表れているのに対し、セグメント化させた場合の特性S21では複数のピークが表れている。なお、本発明者らは、セグメント化されたp側電極20を金属膜で連結することによって、スペクトル特性に表れるピークが単一になることを確認した。
以上に説明したように、スペクトル特性に複数のピークが表れる現象は、電極のセグメント化に起因することが本発明者らによって見出された。図1に示したX線検出器1では、リチウムドリフト領域12の露出面のみをエッチングすることなく、p型半導体領域11の露出面とリチウムドリフト領域12の露出面とが全面に亘って平坦である。このため、リング電極22とウィンドウ電極21とが分離することなく、セグメント化が生じない。その結果、スペクトルピークが分裂するX線検出器が製造されることを防ぐことができる。このように、本発明の実施形態に係るX線検出器1によれば、リチウムドリフト領域12を含むSi(Li)検出器であって、単一の特性X線スペクトルが得られるX線検出器を提供することができる。
図面を参照して、図1に示したX線検出器1の製造方法の例を以下に説明する。なお、以下に述べるX線検出器1の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることはもちろんである。
まず、図10に示すように、p型Si基板100の上面にLi膜200を蒸着する。次いで、Li膜200のLiを熱拡散させて、図11に示すように、n型半導体領域13(リチウム拡散層)を形成する。その後、Li膜200を除去し、図12に示すようにn側電極30をn型半導体領域13上に形成する。例えば、ニッケル(Ni)膜/金(Au)膜をn型半導体領域13の上面に蒸着する。
次に、トップハット型のための加工を行う。即ち、図13に示すように、n側電極30、n型半導体領域13及びp型Si基板100の上部の一部について外周領域に超音波研削加工などによって溝40を形成する。溝40よりも外側の領域については、p型Si基板100のみを残す。
その後、n型半導体領域13とp型Si基板100の底面との間に電界を印加してLiをドリフトさせ、リチウムドリフト領域12を形成する。図14に示すように、p型Si基板100の中央領域は下面までLiがドリフトされてリチウムドリフト領域12が形成され、Liがドリフトされないp型Si基板100の下部の周囲がp型半導体領域11として残る。このように、トップハット型を採用することによって、p型Si基板100のリチウムドリフト領域12が形成された領域の残余の領域をp型半導体領域11とする。
p型半導体領域11の下面とリチウムドリフト領域12の下面をエッチングにより表面処理する。これにより、下面を滑らかに仕上げると共に、リチウムドリフト領域12とウィンドウ電極21との接合面に形成されるショットキー接合の界面状態を改善する。この表面処理した下面にp側電極20を形成することにより、図1に示したX線検出器1が完成する。p側電極20には、例えばニッケル(Ni)膜/金(Au)膜を使用する。
<変形例>
外部との電気接続のためにボンディングワイヤなどが配置されるリング電極22には、一定の膜厚が必要である。一方、X線が入射されるウィンドウ電極21の膜厚は薄いことが好ましい。このため、ウィンドウ電極21の膜厚をリング電極22の膜厚よりも薄くしてもよい。例えば、図15に示すように、ウィンドウ電極21を膜厚20nm程度のNi膜201で形成する。一方、リング電極22を、p型半導体領域11に接して形成した膜厚20nm程度のNi膜201の上に膜厚200nm程度のAu膜202を積層して形成する。これにより、ウィンドウ電極21でのX線の吸収が抑制され、低エネルギーのX線の検出感度を向上させることができる。
なお、図16に示すように、Au膜202とNi膜201の形成する順序を図15に示した構造と逆にしてもよい。つまり、リング電極22は、p型半導体領域11に接して形成したAu膜202の上にNi膜201を積層した構造を採用可能である。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
既に述べた実施形態の説明においては、トップハット型を形成するための溝40の外側に外縁部を残す構造を示したが、溝40の外側に半導体領域を残さずにリチウムドリフト領域12やn型半導体領域13の側面を外部に露出させてもよい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1…X線検出器
10…半導体積層体
11…p型半導体領域
12…リチウムドリフト領域
13…n型半導体領域
20…p側電極
21…ウィンドウ電極
22…リング電極
30…n側電極

Claims (2)

  1. p型半導体領域、前記p型半導体領域と下部の側面が接するリチウムドリフト領域、及び前記リチウムドリフト領域の上面に積層されたn型半導体領域によってp−i−n接合が形成された半導体積層体と、
    前記半導体積層体の下面に互いに隣接して露出する前記p型半導体領域の露出面と前記リチウムドリフト領域の露出面に連続して配置されたp側電極と、
    前記n型半導体領域の上面に配置されたn側電極と
    を備え、前記半導体積層体の前記下面が、前記p型半導体領域と前記リチウムドリフト領域の全面に亘って平坦であり、且つ、前記p型半導体領域に配置された前記p側電極であるリング電極の前記p型半導体領域に接する面に対向する表面と、前記リチウムドリフト領域に配置された前記p側電極であるウィンドウ電極の前記リチウムドリフト領域に接する面に対向する表面とが、同一平面レベルに位置することを特徴とするX線検出器。
  2. 前記p側電極が平面視で円形状であり、
    前記p側電極が、前記リチウムドリフト領域の前記露出面に配置された平面視で円形状のウィンドウ電極と、前記ウィンドウ電極の周囲で前記p型半導体領域の前記露出面に配置された平面視で円環形状のリング電極とを有することを特徴とする請求項1に記載のX線検出器。
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