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JP6494140B2 - 低発煙性ポリ塩化ビニル系シート - Google Patents
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JP6494140B2 - 低発煙性ポリ塩化ビニル系シート - Google Patents

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Description

本発明は高意匠性を有する低発煙性ポリ塩化ビニル系シートに関する。
ポリ塩化ビニル樹脂にフタル酸エステル等の可塑剤を添加した軟質ポリ塩化ビニルシートは、建築材料、工業用フィルム等として使用されている。また、この軟質ポリ塩化ビニルシートは柔軟性を有し、施工性や接着性に優れる等の点から、建築物、鉄道車輌、航空機等の内装材として広く用いられている。
ポリ塩化ビニル樹脂は透明度が高いことから、外観として観察される面に透明性の高い透明層を設定し、その下に印刷模様を施した意匠層を設定することで、耐久性が高く高意匠性な内装材を提供することができる。
一方、ポリ塩化ビニル樹脂は、燃焼時において多量の煙が発生するために避難や消火活動に支障をきたすとの難点がある。このためポリ塩化ビニルの低発煙化に関する検討が行われ、各種添加剤を使用する方法が提案されている。
例えば、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン化合物、亜鉛系化合物などの無機系難燃剤を含有するポリ塩化ビニル樹脂組成物が使用されている(特許文献1および2)。
特開平5−51504号公報 特開平8−208925号公報
上記無機系難燃剤をポリ塩化ビニル樹脂組成物に添加すると透明層の透明度が低下し、意匠性がそこなわれる課題があった。つまり、低発煙効果を発揮するに必要な量の無機系難燃剤が添加されたポリ塩化ビニル樹脂組成物から成る層は透明性を満足できていなかった。このように、ポリ塩化ビニル樹脂に無機系難燃剤を添加する従来技術では透明性と低発煙性を両立することは困難であった。
また要求される透明性を維持すると、低発煙性に必要な無機系難燃剤を添加できないだけでなく、他の充填剤の添加も制限されてしまう。よって、ポリ塩化ビニル樹脂組成物に対するポリ塩化ビニル樹脂や可塑剤の配合量が増加し、発煙量が増加する。
このように、透明性を満足させると無機系難燃剤を含む充填剤の添加が制限され、その結果、ポリ塩化ビニル樹脂や可塑剤の配合量が増加することにより、発煙量が増大する傾向となるために、透明層を有し低発煙性であるポリ塩化ビニル系シートを得ることは困難であった。
そこで上記のような状況に鑑み、本発明は透明な樹脂層を有し、燃焼時の発煙量を低減させた低発煙性ポリ塩化ビニル系シートを提供することを目的とする。
前述の課題を解決するために本発明が用いた手段は、透明層と充填剤を含む層とを積層し、可塑剤としてポリエステル系可塑剤、スルフォン酸エステル系可塑剤を用いることを要旨とする。
より具体的には、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、ポリエステル系可塑剤またはスルフォン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも1種である可塑剤5〜50重量部とを含有し、無機充填剤を実質的に含まないポリ塩化ビニル系樹脂組成物(a)からなる透明層(A)と、透明層(A)に積層され、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、ポリエステル系可塑剤またはスルフォン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも1種である可塑剤5〜100重量部と、炭酸カルシウム,シリカ,クレー,無機層状化合物,中空バルーンから選ばれる少なくとも1種である無機充填剤50重量部〜100重量部未満とを含有するポリ塩化ビニル系樹脂組成物(b)からなる基材層(B)とを有し、前記透明層(A)の厚みが前記基材層(B)の厚みの2/5以下であり、厚みの総和が1mm〜3mmである低発煙性ポリ塩化ビニル系シートとすることである。
本発明の低発煙性ポリ塩化ビニル系シートは透明層を有し高意匠であり、燃焼時の発煙量が低減されるとの効果が得られる。
本発明の実施形態に係る透明層と基材層を備える低発煙性ポリ塩化ビニル系シートの断面図である。 透明層と中間層と基材層を備える本発明の他の実施形態に係る低発煙性ポリ塩化ビニル系シートの断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳述する。図1に透明層1と基材層2とを有する本発明の低発煙性ポリ塩化ビニル系シートに係る実施形態の断面図を示した。
本実施形態の透明層は、ポリエステル系可塑剤またはスルフォン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも1種である可塑剤5〜50重量部を含有する樹脂組成物からなる。これにより透明性が高く、耐磨耗性、耐汚染性が得られる。
また本実施形態の基材層は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、ポリエステル系可塑剤またはスルフォン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも1種である可塑剤5〜100重量と、充填剤50〜300重量部を含有する樹脂組成物からなる。これにより適度な柔軟性と下地との接着性や施工性に優れた基材層が得られる。
このように透明層と充填剤を含む基材層を積層することで発煙量を低減できる。ここで、煙の量を減少させるには、完全燃焼させる、分解生成物を少なくする、炭化物を気相に出さないなどの方法がある。また、発煙は燃焼に伴って起こるので、発煙量は燃焼温度の上昇に伴い増加し、完全燃焼される温度になるにつれ減少するものと考えられる。透明層は基材層と比較して有機質が多く、燃焼時の分解生成物が多くなる構成である。また、発煙性の試験においては完全燃焼に至らない場合が多いことを考慮すると、燃焼時における透明層の温度を低下させることで発煙量を低減することが可能となると考えられる。
そこで、透明層に熱伝導率のより大きい層を積層することで透明層の熱を逃がし、透明層の温度上昇をより緩やかにすることで発煙量の低減を図った。充填剤を含む基材層は透明層より熱伝導率が大きいため透明層と基材層を積層することで発煙量を低減することができると想定している。
さらに、分解生成物を少なくするとの点から、発煙量が低減化されるポリエステル可塑剤、スルフォン酸エステル系可塑剤を用いている。
<可塑剤>
透明層および基材層に用いられる可塑剤は、燃焼時の発煙量の少ないものを使用することが好ましい。
発煙性が小さい可塑剤として例えば、スルフォン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、脂肪族エステル系可塑剤、含塩素系可塑剤が挙げられる。これらの可塑剤は単独で用いても複数を併用してもよい。
なかでも低発煙性に寄与し効果的に柔軟性を付与できるとの面で優れるために、スルフォン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤を用いることがさらに好ましい。
スルフォン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤を添加することで発煙量が低減される理由は充分に検討されていないが、スルフォン酸エステル系可塑剤についてはスルフォン酸基が塩化ビニル樹脂と架橋反応をすることにより炭化層が増大すると想定している。また、ポリエステル系可塑剤についてはポリエステル可塑剤由来の発煙性が少ないこと想定している。
上記以外の可塑剤を添加しても良いが発煙量が増加することから多量に配合することは好ましくない。
これらスルフォン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤の添加量は塩化ビニル樹脂100重量部に対し、透明層においては5〜50重量部、好ましくは15〜45重量部、さらに好ましくは20〜40重量部である。また、基材層においては5〜100重量部、好ましくは40〜80重量部、さらに好ましくは50〜75重量部である。
スルフォン酸エステル系可塑剤としては、下記の一般式(化1)であらわされるアルキルフェニルエステルを使用することができる。
Figure 0006494140
(式中、R1は炭素数が10〜21のアルキル基)
ポリエステル系可塑剤としては、脂肪族二塩基酸およびジオールの重縮合体が好ましい。脂肪族二塩基酸としては、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタミン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などが挙げられる。また、ジオールとしては、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,12−オクタデカンジオールなどが上げられる。
なかでも、アジピン酸系ポリエステル可塑剤が好適に用いられる。可塑化効率に優れ、発煙量が少ないとの効果を有するからである。
<充填剤>
充填剤としては特に限定は無いが、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、タルクやマイカなどの無機層状化合物、フライアッシュなどの中空バルーンなどの無機充填剤を使用することができる。
ここで、内装材のようにシートを下地等に貼り付けて使用する場合には、シートの表面積当たりの発煙量が問題となる。したがって、低発煙性ポリ塩化ビニル系シートが建築物、鉄道車両、船舶、航空機等の内装用シートとして用いられる場合においては単位面積当たりの発煙量を低減することが重要となる。
また、一定面積の試料に含まれる無機充填剤のような不燃物が多いほど発煙量は小さくなり、無機充填剤が少なければ発煙量は大きくなる傾向であると考えられる。
よって、無機充填剤を添加することによってポリ塩化ビニル系シートにおける可燃物の添加比率が低減され発煙量を抑えることができる。
そこで、低発煙性ポリ塩化ビニルシートを少なくとも透明層と基材層で構成し、相対的に透明層に添加される無機充填剤量を少なくし、基材層に添加される無機充填剤量を多くすることで、無機充填剤を多量に添加して発煙量を抑えつつ、透明層による意匠性も優れる低発煙性ポリ塩化ビニルシートを得ることができる。
具体的には、無機充填剤の配合量は基材層において50〜300重量部が好ましく、100〜300重量部がより好ましく、150〜250重量部がさらに好ましい。
<ポリ塩化ビニル系樹脂>
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル単独重合樹脂、ポリ塩素化塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル共重合樹脂(例えば、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等)、塩化ビニルグラフト共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合体、ポリウレタン−塩化ビニルグラフト共重合体等)等が挙げられ、これらを単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
<錫酸亜鉛化合物>
錫酸亜鉛化合物としては錫酸亜鉛、ヒドロシキ錫酸亜鉛等が挙げられる。
<モリブデン酸系化合物>
モリブデン酸化合物としては酸化モリブデン、三酸化モリブデン、モリブデン酸、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛カルシウム、モリブデン酸アンモニウム、ジモリブデン酸アンモニウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、デカモリブデン酸アンモニウム、二硫化モリブデン、リンモリブデン酸、リンモリブデン酸カリウム、リンモリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸亜鉛、β モリブデン酸メラミン等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で、あるいは適宜の組み合わせによる2 種以上を混合して使用することができる。
<その他の添加剤>
低発煙性ポリ塩化ビニル系シートには必要に応じて、難燃剤が添加されてもよい。難燃剤としては、水酸化金属系難燃剤、窒素含有化合物系難燃剤、無機系難燃剤等があげられる。水酸化金属系難燃剤としては水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどがあげられ、窒素含有化合物系難燃剤としてはリン酸アンモン、炭酸アンモン、窒化ホウ素などがあげられる。またホウ酸化合物としてはホウ酸亜鉛等があげられる。
低発煙性ポリ塩化ビニル系シートには必要に応じて、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、顔料、光安定剤、酸化防止剤、抗菌剤、発泡剤を添加してもよい。
さらに、低発煙性ポリ塩化ビニル系シートには可塑剤のプレートアウトを低減する目的でオリゴマー系滑剤やシリカ等の無機物を添加することができる。オリゴマー系滑剤の添加量は塩化ビニル樹脂100重量部に対し、0.5〜5重量部が好ましく、0.7〜3重量部がさらに好ましい。
<熱伝導率>
塩化ビニル樹脂組成物の燃焼は、火災で発生した熱エネルギーにより一定温度以上になると塩化ビニル樹脂組成物は熱分解が起こり、可燃性物質と炭化層が発生する。発生した可燃性物質は火災の燃焼エネルギーにより、煙と熱エネルギーとなる。すなわち、燃焼が進むにつれ熱エネルギーが多くなるほど発煙量が増加する。
発煙量を低減させる方法として発生したエネルギーを分散させることが考えられる。
内装材は火災等により燃焼する場合は外観として観察される面から燃焼が始まる。
よって発煙特に初期の発煙を低下させるには外観として観察される面の熱エネルギーを放散させることが望ましい。
燃焼は外観として観察される面において燃焼することから熱エネルギーの放散場所としては外観として観察される面の下部方向に熱エネルギーを分散させることができる。
熱エネルギーの移動については熱伝導率λが尺度として表される。熱伝導率λは一定温度差をつけた面間に流れる熱の速度を表し、温度差1K、断面積1平方メートル、厚さ1mmの物質を流れる熱量で定義され、単位はW/m・Kで表される。
よって、外観として観察される面の裏面方向に熱エネルギーを分散させるためには透明層(A)の熱伝導率λ(A)と基材層(B)の熱伝導率λ(B)との熱伝導率比λ(B)/λ(A)が1より大きいことが好ましい。
基材層には充填剤が添加されていて、透明層と比較して熱伝導率が大きくなっている。そのため透明層より熱伝導率が大きい基材層に熱エネルギーが拡散されやすく、シート全体として低発煙化が図られる。
<低発煙性ポリ塩化ビニル系シートの層構成>
透明層(A)の厚みは基材層(B)の厚みの2/5以下とすることが好ましい。2/5以上となる場合は、透明層の可燃物が多くなることで、燃焼時の熱エネルギーが増大するため、基材層への放熱効果が低下する可能性がある。
ここで透明層(A)の厚みは0.1mm〜1.2mmが好ましい。内装用シートして使用される場合には、表面の摩耗特性等にあわせて厚みを設定できる。また、より耐摩耗性が要求される公共施設、商業施設、列車やバス、航空機、船舶などのいわゆる土足で歩行され、あるいは台車やストレッチャーが通行するような重歩行用途の床材において、透明層はより厚いことが好ましい。
また、基材層の厚みは0.5mm〜2.9mmが好ましい。内装用シートして使用される場合には、耐久性や施工性等を考慮して、0.5mm〜2.0mmが好ましい。
また図2のように透明層1の下にさらに中間層3を設けることができる。中間層3は透明層1と基材層2の間に設けられている。すなわち、通常外観として観察される側から透明層1、中間層3、基材層2の順に積層されている。さらに、透明層1、基材層2、中間層3以外の層が透明層1と中間層3との間や中間層3と基材層2との間に積層されていてもよい。
中間層は少なくとも熱可塑性樹脂からなり表層、基材層との接着性に優れる等の点からポリ塩化ビニル系樹脂からなる層とすることが好ましい。
ここで中間層の厚みは0.1mm〜0.5mmが好ましい。また中間層は着色層や印刷層として透明層の上から視認可能な意匠層とすることが好ましい。
低発煙性ポリ塩化ビニル系シートの厚みは0.1mm〜5.0mmが好ましく、内装材特に床材として用いる場合には0.8mm〜4.0mmがより好ましく、1.0mm〜3.0mmがより好ましく、1.2mm〜2.5mmがさらに好ましい。
低発煙性ポリ塩化ビニル系シートには補強層を設けてもよい。補強層は、織布、不織布等が用いられる。織布、不織布を構成する繊維は、天然繊維、化学繊維、合成繊維、ガラス等の無機繊維等が使用できる。補強層は基材層の下側に設けてもよいし、基材層と表層または中間層等の層間に設けてもよい。また基材層の中間に補強層を設け、例えば表層、基材層、補強層、基材層のような構造とすることもできる。
<発煙量の測定>
本明細書における発煙量はASTM E662等の規格に従って測定することができる。そして、これらの測定方法においては、密閉した発煙箱中に試料を垂直に置き、無炎燃焼試験は電熱ヒーターで輻射熱を与えて加熱発煙させ、有炎燃焼試験は電熱ヒーターとガスバーナーとで燃焼、発煙させるものである。発生した煙は光電管による透過光の強さから減光係数を求め、比光学密度(単位面積あたりの発煙量)を求めるものである。
そして通常、発煙量は4分後の発煙量を示すDs(4.0)や最大値を示すDs(max)で評価される。ここで、Ds(max)は、試験時間内においての最大発煙量である。
試験時間は最大で20分間であるが、最大発煙量を3分間継続した場合はその時点で試験終了となる。
ここで、どの程度の発煙量が許容されるかはその用途によって異なるが、建築物の内装材においてDs(max)は450以下が求められる場合がある。そして、発煙量は当然に少ない方がより好ましいので、これらの用途ではDs(max)を300以下とすることがより好ましい。また鉄道車両や航空機等においてDs(max)は200以下が求められる場合がある。
<製造方法>
低発煙性ポリ塩化ビニル系シートを構成する表層や基材層、中間層等の各層は、所定の材料を混合し押出機やカレンダー等の成形機によって成形することで得られる。そして、低発煙性ポリ塩化ビニル系シートはこれらの各層を熱や接着剤でラミネートすることで得ることができる。また、多層押出機を用いて各層を一度に成形するとともに積層を行うことでも得られる。さらに、補強層を積層する場合には、各層を押出機やカレンダー等で成型する際に補強層を積層したり、各層を積層する際に補強層を積層するなどの製造方法を用いることができる。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
参考例及び実施例を下記表2及び表3に示した。参考例及び実施例の各層は表2、表3に記載された各層の配合物を混練し、得られたコンパウンドを175℃のロールによりシート化した。そして、得られた各層のシートをプレス加工(180℃)して、図1に示すような表層と基材層を有する低発煙性ポリ塩化ビニル系シートを得た。さらに、これらの低発煙性ポリ塩化ビニル系シートを下記に示した評価方法に従って評価し、その結果を表2、表3に示した。
また比較例については、表4に示した配合と構成によって実施例と同様の方法で製造し、評価結果についても表4に示した。
また試験体1、2は表1に示した配合の配合物を混練し得られたコンパウンドを175℃のロールによりシート化して得られたシートであり、それぞれの熱伝導率を下記に示した方法により測定した結果を表1に示している。
(使用材料)
塩化ビニル樹脂:重合度1000
フタル酸エステル:DOP
スルフォン酸エステル系可塑剤:一般式(化1)であらわされるアルキルフェニルエステル(アルキル基(R1)の炭素数が10〜21の混合物)
ポリエステル系可塑剤1:アジピン酸系ポリエステル可塑剤 粘度150mPa・s/25℃ 分子量750
ポリエステル系可塑剤2:アジピン酸系ポリエステル可塑剤 粘度200mPa・s/25℃ 分子量800
安定剤:バリウム亜鉛系安定剤
充填剤:炭酸カルシウム
錫酸亜鉛化合物:ヒドロキシ錫酸亜鉛
モリブデン酸系化合物:モリブデン酸カルシウムおよびモリブデン酸亜鉛の混合物
(試験方法)
<熱伝導率> プローブ法
京都電子工業株式会社 Kemtherm QTM−D3により測定を行った。
<発煙性> ASTM E662(有炎試験法)
76mm角の試験片を規定のチャンバ内で電熱ヒーター(熱量25KW/m)およびパイロットバーナー(プロパンガス流量50cm/minならびに空気500cm/minの混合ガス)により加熱し、発生した煙による光透過率の減衰量を測定することによって最大発煙濃度(Ds(max))を評価した。
(評価基準)
Ds(max)
◎:200以下
○:200を超えて450以下
×:450を超える
<耐汚染性>
JIS A1454に準拠し、温度23±2℃、湿度50±10%において試験体に、汚染物質を2mL滴下し、24時間後に家庭用洗剤を用い洗浄し、工業用アルコールで表面をふきとり1時間後に表面状態を評価した。
(汚染物質)
2%水酸化ナトリウム
5%塩酸
セメントペースト
5%酢酸
(評価基準)
○:すべての汚染物質において変色等の影響がない
×:いずれかの汚染物質において変色等の影響がある
<耐摩耗性>
JIS A 1454に準拠して、テーバー式の摩耗試験機を用いて1000回転での摩耗性を評価した。
(評価基準)
○:摩耗しにくい(摩耗減厚0.1mm未満)
×:摩耗しやすい(摩耗減厚0.1mm以上)
Figure 0006494140
Figure 0006494140
Figure 0006494140
Figure 0006494140
実施例1〜5は発煙性に優れるだけでなく、耐汚染性試験、耐摩耗性試験においても良好な結果であった。それに対し、比較例1は透明層のみで構成されているために発煙量が多く、比較例2は表層の可塑剤が60重量部であり透明層と裏層の厚み比が1:1であり発煙量が増大している。また、比較例3は表層にポリエステル系可塑剤を60重量部含むために発煙量が実施例と比較して増加し、比較例4は表層に充填材を30重量部含有し不透明な層であり耐汚染性に劣っといた。比較例5は基材層に充填剤である炭酸カルシウムを40重量部含有し、発煙量が実施例と比較して増加している。
一方、表1の試験体1,2は実施例2,4における透明層(A)と基材層(B)の熱伝導率であり、基材層の方が熱伝導率が高い結果であった。そして実施例2,4の熱伝導率比λ(B)/λ(A)は1.57であり、比較例1は透明層(A)のみで構成されているので熱伝導率比は1と考えられる。したがって、熱伝導率比λ(B)/λ(A)が1より大きい実施例2、4は熱伝導率の比を1より大きいとすることで発煙量が低減されている。
ここで、参考例1と実施例2、4は可塑剤が異なっているが、参考例1、2、3は同じ配合構造、同じ可塑剤であるシートに熱伝導率の高いアルミ板を接着剤で張り付けたものである。参考例1〜3を比較すると、アルミ板の厚みが多いほど発煙性が低減されていた。したがって、シートに熱伝導率が高い層を積層し、さらに熱容量が大きくなるように熱伝導率が高い層の体積を大きくすることで発煙性が低減されることが示唆されている。
したがって、実施例2、4では透明層(A)より熱伝導率の高い基材層(B)を積層し、基材層(B)の厚みを透明層(A)より厚くすることで発煙性が低減される要因となっていると考えられる。
また、実施例2と比較例2を対比すると可塑剤の量の影響もあるが、透明層と基材層の厚み比が1:1であるために、熱伝導率が高い層の体積(基材層の体積)が相対的に低くなるために全体として発煙量が増大したものと考えられる。
また実施例4においては裏層にモリブデン酸系化合物を添加することでより低発煙化されている。
1 透明層
2 基材層
3 中間層

Claims (5)

  1. ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、ポリエステル系可塑剤またはスルフォン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも1種である可塑剤5〜50重量部とを含有し、無機充填剤を実質的に含まないポリ塩化ビニル系樹脂組成物(a)からなる透明層(A)と、
    前記透明層(A)に積層され、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、ポリエステル系可塑剤またはスルフォン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも1種である可塑剤5〜100重量部と、炭酸カルシウム,シリカ,クレー,無機層状化合物,中空バルーンから選ばれる少なくとも1種である無機充填剤50重量部〜100重量部未満とを含有するポリ塩化ビニル系樹脂組成物(b)からなる基材層(B)とを有し、
    前記透明層(A)の厚みが前記基材層(B)の厚みの2/5以下であり、厚みの総和が1mm〜3mmである低発煙性ポリ塩化ビニル系シート。
  2. 前記無機充填剤が炭酸カルシウムである請求項1に記載の低発煙性ポリ塩化ビニル系シート。
  3. 前記透明層(A)の熱伝導率λ(A)と前記基材層(B)の熱伝導率λ(B)との熱伝導率比λ(B)/λ(A)が1より大きい請求項1または請求項2に記載の低発煙性ポリ塩化ビニル系シート。
  4. ASTM E662に準拠して測定された最大発煙濃度(Ds(max))が450以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の低発煙性ポリ塩化ビニル系シート。
  5. 前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(b)が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、錫酸亜鉛化合物、モリブデン酸系化合物から選ばれる少なくとも1種である添加剤1重量部〜20重量部を含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の低発煙性ポリ塩化ビニル系シート。
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