JP6494140B2 - 低発煙性ポリ塩化ビニル系シート - Google Patents
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また要求される透明性を維持すると、低発煙性に必要な無機系難燃剤を添加できないだけでなく、他の充填剤の添加も制限されてしまう。よって、ポリ塩化ビニル樹脂組成物に対するポリ塩化ビニル樹脂や可塑剤の配合量が増加し、発煙量が増加する。
このように、透明性を満足させると無機系難燃剤を含む充填剤の添加が制限され、その結果、ポリ塩化ビニル樹脂や可塑剤の配合量が増加することにより、発煙量が増大する傾向となるために、透明層を有し低発煙性であるポリ塩化ビニル系シートを得ることは困難であった。
より具体的には、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、ポリエステル系可塑剤またはスルフォン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも1種である可塑剤5〜50重量部とを含有し、無機充填剤を実質的に含まないポリ塩化ビニル系樹脂組成物(a)からなる透明層(A)と、透明層(A)に積層され、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、ポリエステル系可塑剤またはスルフォン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも1種である可塑剤5〜100重量部と、炭酸カルシウム,シリカ,クレー,無機層状化合物,中空バルーンから選ばれる少なくとも1種である無機充填剤50重量部〜100重量部未満とを含有するポリ塩化ビニル系樹脂組成物(b)からなる基材層(B)とを有し、前記透明層(A)の厚みが前記基材層(B)の厚みの2/5以下であり、厚みの総和が1mm〜3mmである低発煙性ポリ塩化ビニル系シートとすることである。
また本実施形態の基材層は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、ポリエステル系可塑剤またはスルフォン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも1種である可塑剤5〜100重量部と、充填剤50〜300重量部を含有する樹脂組成物からなる。これにより適度な柔軟性と下地との接着性や施工性に優れた基材層が得られる。
そこで、透明層に熱伝導率のより大きい層を積層することで透明層の熱を逃がし、透明層の温度上昇をより緩やかにすることで発煙量の低減を図った。充填剤を含む基材層は透明層より熱伝導率が大きいため透明層と基材層を積層することで発煙量を低減することができると想定している。
さらに、分解生成物を少なくするとの点から、発煙量が低減化されるポリエステル可塑剤、スルフォン酸エステル系可塑剤を用いている。
透明層および基材層に用いられる可塑剤は、燃焼時の発煙量の少ないものを使用することが好ましい。
スルフォン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤を添加することで発煙量が低減される理由は充分に検討されていないが、スルフォン酸エステル系可塑剤についてはスルフォン酸基が塩化ビニル樹脂と架橋反応をすることにより炭化層が増大すると想定している。また、ポリエステル系可塑剤についてはポリエステル可塑剤由来の発煙性が少ないこと想定している。
なかでも、アジピン酸系ポリエステル可塑剤が好適に用いられる。可塑化効率に優れ、発煙量が少ないとの効果を有するからである。
充填剤としては特に限定は無いが、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、タルクやマイカなどの無機層状化合物、フライアッシュなどの中空バルーンなどの無機充填剤を使用することができる。
よって、無機充填剤を添加することによってポリ塩化ビニル系シートにおける可燃物の添加比率が低減され発煙量を抑えることができる。
具体的には、無機充填剤の配合量は基材層において50〜300重量部が好ましく、100〜300重量部がより好ましく、150〜250重量部がさらに好ましい。
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル単独重合樹脂、ポリ塩素化塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル共重合樹脂(例えば、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等)、塩化ビニルグラフト共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合体、ポリウレタン−塩化ビニルグラフト共重合体等)等が挙げられ、これらを単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
錫酸亜鉛化合物としては錫酸亜鉛、ヒドロシキ錫酸亜鉛等が挙げられる。
モリブデン酸化合物としては酸化モリブデン、三酸化モリブデン、モリブデン酸、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛カルシウム、モリブデン酸アンモニウム、ジモリブデン酸アンモニウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、デカモリブデン酸アンモニウム、二硫化モリブデン、リンモリブデン酸、リンモリブデン酸カリウム、リンモリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸亜鉛、β モリブデン酸メラミン等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で、あるいは適宜の組み合わせによる2 種以上を混合して使用することができる。
低発煙性ポリ塩化ビニル系シートには必要に応じて、難燃剤が添加されてもよい。難燃剤としては、水酸化金属系難燃剤、窒素含有化合物系難燃剤、無機系難燃剤等があげられる。水酸化金属系難燃剤としては水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどがあげられ、窒素含有化合物系難燃剤としてはリン酸アンモン、炭酸アンモン、窒化ホウ素などがあげられる。またホウ酸化合物としてはホウ酸亜鉛等があげられる。
塩化ビニル樹脂組成物の燃焼は、火災で発生した熱エネルギーにより一定温度以上になると塩化ビニル樹脂組成物は熱分解が起こり、可燃性物質と炭化層が発生する。発生した可燃性物質は火災の燃焼エネルギーにより、煙と熱エネルギーとなる。すなわち、燃焼が進むにつれ熱エネルギーが多くなるほど発煙量が増加する。
内装材は火災等により燃焼する場合は外観として観察される面から燃焼が始まる。
よって発煙特に初期の発煙を低下させるには外観として観察される面の熱エネルギーを放散させることが望ましい。
燃焼は外観として観察される面において燃焼することから熱エネルギーの放散場所としては外観として観察される面の下部方向に熱エネルギーを分散させることができる。
透明層(A)の厚みは基材層(B)の厚みの2/5以下とすることが好ましい。2/5以上となる場合は、透明層の可燃物が多くなることで、燃焼時の熱エネルギーが増大するため、基材層への放熱効果が低下する可能性がある。
本明細書における発煙量はASTM E662等の規格に従って測定することができる。そして、これらの測定方法においては、密閉した発煙箱中に試料を垂直に置き、無炎燃焼試験は電熱ヒーターで輻射熱を与えて加熱発煙させ、有炎燃焼試験は電熱ヒーターとガスバーナーとで燃焼、発煙させるものである。発生した煙は光電管による透過光の強さから減光係数を求め、比光学密度(単位面積あたりの発煙量)を求めるものである。
そして通常、発煙量は4分後の発煙量を示すDs(4.0)や最大値を示すDs(max)で評価される。ここで、Ds(max)は、試験時間内においての最大発煙量である。
試験時間は最大で20分間であるが、最大発煙量を3分間継続した場合はその時点で試験終了となる。
低発煙性ポリ塩化ビニル系シートを構成する表層や基材層、中間層等の各層は、所定の材料を混合し押出機やカレンダー等の成形機によって成形することで得られる。そして、低発煙性ポリ塩化ビニル系シートはこれらの各層を熱や接着剤でラミネートすることで得ることができる。また、多層押出機を用いて各層を一度に成形するとともに積層を行うことでも得られる。さらに、補強層を積層する場合には、各層を押出機やカレンダー等で成型する際に補強層を積層したり、各層を積層する際に補強層を積層するなどの製造方法を用いることができる。
参考例及び実施例を下記表2及び表3に示した。参考例及び実施例の各層は表2、表3に記載された各層の配合物を混練し、得られたコンパウンドを175℃のロールによりシート化した。そして、得られた各層のシートをプレス加工(180℃)して、図1に示すような表層と基材層を有する低発煙性ポリ塩化ビニル系シートを得た。さらに、これらの低発煙性ポリ塩化ビニル系シートを下記に示した評価方法に従って評価し、その結果を表2、表3に示した。
また比較例については、表4に示した配合と構成によって実施例と同様の方法で製造し、評価結果についても表4に示した。
また試験体1、2は表1に示した配合の配合物を混練し得られたコンパウンドを175℃のロールによりシート化して得られたシートであり、それぞれの熱伝導率を下記に示した方法により測定した結果を表1に示している。
(使用材料)
塩化ビニル樹脂:重合度1000
フタル酸エステル:DOP
スルフォン酸エステル系可塑剤:一般式(化1)であらわされるアルキルフェニルエステル(アルキル基(R1)の炭素数が10〜21の混合物)
ポリエステル系可塑剤1:アジピン酸系ポリエステル可塑剤 粘度150mPa・s/25℃ 分子量750
ポリエステル系可塑剤2:アジピン酸系ポリエステル可塑剤 粘度200mPa・s/25℃ 分子量800
安定剤:バリウム亜鉛系安定剤
充填剤:炭酸カルシウム
錫酸亜鉛化合物:ヒドロキシ錫酸亜鉛
モリブデン酸系化合物:モリブデン酸カルシウムおよびモリブデン酸亜鉛の混合物
(試験方法)
<熱伝導率> プローブ法
京都電子工業株式会社 Kemtherm QTM−D3により測定を行った。
<発煙性> ASTM E662(有炎試験法)
76mm角の試験片を規定のチャンバ内で電熱ヒーター(熱量25KW/m2)およびパイロットバーナー(プロパンガス流量50cm3/minならびに空気500cm3/minの混合ガス)により加熱し、発生した煙による光透過率の減衰量を測定することによって最大発煙濃度(Ds(max))を評価した。
(評価基準)
Ds(max)
◎:200以下
○:200を超えて450以下
×:450を超える
<耐汚染性>
JIS A1454に準拠し、温度23±2℃、湿度50±10%において試験体に、汚染物質を2mL滴下し、24時間後に家庭用洗剤を用い洗浄し、工業用アルコールで表面をふきとり1時間後に表面状態を評価した。
(汚染物質)
2%水酸化ナトリウム
5%塩酸
セメントペースト
5%酢酸
(評価基準)
○:すべての汚染物質において変色等の影響がない
×:いずれかの汚染物質において変色等の影響がある
<耐摩耗性>
JIS A 1454に準拠して、テーバー式の摩耗試験機を用いて1000回転での摩耗性を評価した。
(評価基準)
○:摩耗しにくい(摩耗減厚0.1mm未満)
×:摩耗しやすい(摩耗減厚0.1mm以上)
したがって、実施例2、4では透明層(A)より熱伝導率の高い基材層(B)を積層し、基材層(B)の厚みを透明層(A)より厚くすることで発煙性が低減される要因となっていると考えられる。
また、実施例2と比較例2を対比すると可塑剤の量の影響もあるが、透明層と基材層の厚み比が1:1であるために、熱伝導率が高い層の体積(基材層の体積)が相対的に低くなるために全体として発煙量が増大したものと考えられる。
2 基材層
3 中間層
Claims (5)
- ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、ポリエステル系可塑剤またはスルフォン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも1種である可塑剤5〜50重量部とを含有し、無機充填剤を実質的に含まないポリ塩化ビニル系樹脂組成物(a)からなる透明層(A)と、
前記透明層(A)に積層され、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部と、ポリエステル系可塑剤またはスルフォン酸エステル系可塑剤から選ばれる少なくとも1種である可塑剤5〜100重量部と、炭酸カルシウム,シリカ,クレー,無機層状化合物,中空バルーンから選ばれる少なくとも1種である無機充填剤50重量部〜100重量部未満とを含有するポリ塩化ビニル系樹脂組成物(b)からなる基材層(B)とを有し、
前記透明層(A)の厚みが前記基材層(B)の厚みの2/5以下であり、厚みの総和が1mm〜3mmである低発煙性ポリ塩化ビニル系シート。 - 前記無機充填剤が炭酸カルシウムである請求項1に記載の低発煙性ポリ塩化ビニル系シート。
- 前記透明層(A)の熱伝導率λ(A)と前記基材層(B)の熱伝導率λ(B)との熱伝導率比λ(B)/λ(A)が1より大きい請求項1または請求項2に記載の低発煙性ポリ塩化ビニル系シート。
- ASTM E662に準拠して測定された最大発煙濃度(Ds(max))が450以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の低発煙性ポリ塩化ビニル系シート。
- 前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(b)が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、錫酸亜鉛化合物、モリブデン酸系化合物から選ばれる少なくとも1種である添加剤1重量部〜20重量部を含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の低発煙性ポリ塩化ビニル系シート。
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