JP6497635B2 - 接点装置 - Google Patents
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Description
本発明は、接点装置に関する。
従来から、固定接点及び可動接点と、電気的信号により接点の開閉を制御できるように可動接点を駆動するアクチュエータとを備えた電磁開閉装置が知られている。このような電磁開閉装置では、可動接点が固定接点から瞬間的に離隔した場合、すなわち接点のオフ時にアークが発生することがある。このアークを迅速に消弧するために、接点が配置された空間を気密空間で構成し、気密空間内に消弧ガスを充填する密封接点の製造方法が知られており、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1に記載の従来例では、固定接点及び可動接点を備える消弧部と、固定鉄心及び可動鉄心とが気密空間に収納されるように、ハウジング、連結体、プレート、及びプランジャキャップを設置して気密接合している。これにより、ハウジングは、固定接点及び可動接点を収容する気密空間を形成している。そして、気密空間には、水素を主成分とする絶縁性ガス(アーク消弧性ガス)を封入している。
上記従来例では、アーク消弧性ガスを封入した気密空間に固定接点及び可動接点を配置することでアークを消弧することができるが、以下のような問題があった。すなわち、上記従来例では、通電の条件によっては、アークを消弧するためにある程度の時間を要する可能性があった。
本発明は、上記の点に鑑みて為されており、アークを速やかに消弧することのできる接点装置を提供することを目的とする。
本発明の接点装置は、固定接点と、前記固定接点と接触する閉位置から前記固定接点から離れる開位置へと移動する可動接点と、前記固定接点及び前記可動接点と同一の空間に配置され、水素を吸蔵した水素吸蔵金属を有する消弧部材と、前記固定接点と前記可動接点とを囲む内面を有する容器と、を備え、前記内面は、前記水素吸蔵金属とは異なる材料で形成されており、前記消弧部材は、前記内面に配置されていることを特徴とする。
この接点装置において、前記可動接点は、前記開位置から前記閉位置へと移動することが好ましい。
この接点装置において、前記消弧部材は、前記開位置にある前記可動接点と同一の空間に配置されていることが好ましい。
本発明は、固定接点及び可動接点と同一の空間に、水素を放出する水素吸蔵金属を有する消弧部材を設けている。したがって、本発明は、水素吸蔵金属から放出される水素によりアークを素早く冷却し、アークを速やかに消弧することができる。
本発明に係る実施形態の接点装置1は、図1に示すように、固定接点10と、固定接点10と接触する閉位置と固定接点10から離れる開位置との間で移動する可動接点11とを備える。また、本実施形態の接点装置1は、固定接点10及び可動接点11と同一の空間に配置され、水素を放出する水素吸蔵金属を有する消弧部材14を備える。
以下、本発明の実施形態に係る接点装置1について具体的に図面を用いて説明する。但し、以下に説明する接点装置1は本発明の一例に過ぎない。そして、本発明は、下記の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、以下の説明では、後述するシャフト23の軸方向を上下方向とし、シャフト23から見て後述するホルダ24側を上方、後述する可動子21側を下方として説明するが、接点装置1の使用形態を限定する趣旨ではない。
本実施形態の接点装置1は、図1に示すように、1対の固定接点10と、1対の可動接点11と、各固定接点10を支持する1対の接点台100,101と、各可動接点11を支持する可動接触子12とを備える。また、本実施形態の接点装置1は、各固定接点10及び各可動接点11を収納する容器13を備える。なお、図1には、本実施形態の接点装置1と、接点装置1の下方に配置される電磁石装置2とで構成される電磁継電器3を表しているが、電磁石装置2は接点装置1の構成要素には含まれない。また、本実施形態の接点装置1は、電磁継電器3に用いる構成に限定されない。
1対の接点台100,101は、導電性材料から形成され、各々の下端部には固定接点10が設けられている。1対の接点台100,101は、上下方向に直交する平面内の一方向に並ぶように配置されており、各々、当該平面内での断面形状が円形状となる円柱状に形成されている。1対の接点台100,101は、後述する容器13の上板130に形成された1対の丸孔133に各々挿入される形で、容器13に接合されている。
可動接触子12は、導電性材料から矩形板状に形成されている。可動接触子12は、その長手方向の両端部が1対の接点台100,101の下端部と対向するように、1対の接点台100,101の下方に配置されている。可動接触子12のうち、各接点台100,101に設けられている固定接点10と対向する各部位には、可動接点11がそれぞれ設けられている。
可動接触子12は、後述する電磁石装置2によって上下方向に駆動される。これにより、可動接触子12に設けられている各可動接点11は、それぞれ対応する固定接点10に接触する閉位置と、固定接点10から離れた開位置との間で移動することになる。可動接点11が閉位置にあるとき、すなわち接点装置1が閉じた状態では、1対の接点台100,101の間は可動接触子12を介して短絡する。また、可動接点11が開位置にあるとき、すなわち接点装置1が開いた状態では、1対の接点台100,101の間は開放される。
容器13は、内部に気密空間を形成する箱体で構成される。容器13は、上下方向において互いに対向する上板130及び下板131と、上板130と下板131との周縁部同士を連結する側板132とを備える。容器13は、例えば、ケース(図示せず)と、継鉄板(図示せず)と、連結体(図示せず)とで構成されてもよい。ケースは、セラミック等の耐熱性材料から下面を開口した箱状に形成される。継鉄板は、後述する継鉄の一部であり、矩形板状に形成される。連結体は、ケースの開口周部と、継鉄板の上面の周縁との間に設けられる。連結体は、ケースの開口周部と継鉄板の上面の周縁とにそれぞれ接合されている。この構成では、継鉄板は、容器13の下板131を兼用する。なお、容器13は、上述のケース、継鉄板、連結体からなる構成には限定されず、各固定接点10及び各可動接点11を収納する構成であれば他の構成でもよい。
なお、容器13には、水素を主体とするアーク消弧性ガスが封入されているのが望ましい。この構成では、容器13内に収納されている可動接点11が固定接点10から離れる際にアークが生じたとしても、アーク消弧性ガスによりアークを急速に冷却して迅速に消弧することが可能になる。但し、容器13内にアーク消弧性ガスを封入するか否かは任意である。なお、本実施形態の接点装置1では、後述するように水素吸蔵金属を有する消弧部材14を設けており、水素吸蔵金属は、(水素を含む)ガスが存在しないと自発的に水素を放出するものもある。このため、本実施形態の接点装置1では、容器13内に(水素を含む)ガスを封入することが望ましい。また、容器13は、その内部に気密空間を形成する構成に限定されない。
電磁石装置2は、固定子20と、可動子21と、継鉄(図示せず)と、励磁コイル22と、シャフト23と、ホルダ24と、接圧ばね25と、復帰ばね26とを備える。なお、電磁石装置2は、励磁コイル22が巻き付けられるコイルボビン(図示せず)を有していてもよい。
固定子20は、円筒状に形成された固定鉄心であって、その上端部が容器13の下板131に固定されている。可動子21は、円柱状に形成された可動鉄心である。可動子21は、固定子20の下方において、その上端面を固定子20の下端面に対向させるように配置されている。可動子21は、その上端面が固定子20の下端面に接触した第1位置と、その上端面が固定子20の下端面から離れた第2位置との間で移動可能に構成されている。
継鉄は、固定子20及び可動子21と共に、励磁コイル22の通電時に生じる磁束が通る磁気回路を形成する。このため、継鉄と固定子20と可動子21とは、何れも磁性材料から形成されている。この継鉄の一部である継鉄板が、上述のように容器13の下板131を兼用する構成であってもよい。
励磁コイル22は、継鉄で囲まれる空間内に配置される。また、励磁コイル22の内側には、固定子20と可動子21とが配置される。電磁石装置2は、励磁コイル22への通電時に励磁コイル22で生じる磁束によって可動子21を吸引して上方へ移動させ、励磁コイル22への通電が停止すると復帰ばね26のばね力によって可動子21を下方へ移動させる。
シャフト23は、非磁性材料から上下方向に延びた丸棒状に形成されている。シャフト23は、電磁石装置2で発生した駆動力を接点装置1へ伝達する。シャフト23は、容器13の下板131の中央部に形成された通孔134に挿通されている。シャフト23は、固定子20及び復帰ばね26の内側を通って、その下端部が可動子21に固定されている。シャフト23の上端部は、可動接触子12を保持するホルダ24に固定されている。
ホルダ24は、可動接触子12の上下方向の両側に設けられて互いに対向する上板240及び下板241と、上板240と下板241との周縁部同士を連結する側板242とを備える。ここでは、上板240及び下板241はそれぞれ矩形板状に形成されている。側板242は、上板240の下面において互いに対向する1対の辺と、下板241の上面において互いに対向する1対の辺とを連結するように、1対設けられている。下板241の中央部には、シャフト23の上端部が固定されている。したがって、可動子21の上下方向への移動に連動してシャフト23、ホルダ24が上下方向に移動する。
接圧ばね25は、ホルダ24の下板241と可動接触子12との間に配置されており、可動接触子12を上方へと付勢するコイルばねである。復帰ばね26は、固定子20の内側に配置されており、可動子21を下方へと付勢するコイルばねである。
なお、電磁石装置2は、固定子20及び可動子21を収納する筒体(図示せず)を有していてもよい。筒体は、非磁性材料から上面が開口した有底円筒状に形成され、上端部(開口周部)が容器13の下板131に固定される。したがって、筒体は、可動子21の移動方向を上下方向に制限し、且つ可動子21の第2位置を規定する。ここで、筒体は、固定子20及び可動子21を収納することで、容器13の通孔134を密閉する機能も有している。すなわち、筒体は、容器13の一部ともいえる。勿論、筒体は容器13の一部でなくてもよい。
以下、本実施形態の接点装置1を用いた電磁継電器3の基本的な動作について簡単に説明する。先ず、励磁コイル22の非通電時における電磁継電器3の状態について説明する。この状態では、電磁石装置2の可動子21が第2位置に位置する。このため、ホルダ24は、可動子21と連動するシャフト23を介して下方に引き下げられている。このとき、ホルダ24は、その上板240により可動接触子12を下方に押し下げることになる。したがって、可動接触子12は、上板240によって上方への移動が規制され、可動接点11を固定接点10から離れた開位置に位置させる。この状態は、接点装置1が開いた状態であり、1対の接点台100,101間は非導通である。
次に、励磁コイル22の通電時における電磁継電器3の状態について説明する。この状態では、電磁石装置2の可動子21が第1位置に位置する。このため、ホルダ24は、可動子21と連動するシャフト23を介して上方に引き上げられている。したがって、ホルダ24の上板240が上方へと移動するため、可動接触子12は、上板240による上方への移動規制が解除される。このため、可動接触子12は、ホルダ24の下板241により接圧ばね25を介して上方に押し上げられ、可動接点11を固定接点10に接触する閉位置に位置させる。この状態は、接点装置1が閉じた状態であり、1対の接点台100,101間が導通する。ここで、可動接触子12が接圧ばね25により上方へと付勢されているため、固定接点10と可動接点11との間の接圧(接触圧)を確保することができる。
ここで、本実施形態の接点装置1では、図1に示すように、容器13の側板132における固定接点10及び可動接点11の近傍に、消弧部材14を設けている。換言すれば、本実施形態の接点装置1では、固定接点10及び可動接点11の存在する空間と同一の空間内に、消弧部材14を設けている。消弧部材14は、水素を吸蔵・放出する水素吸蔵金属を有する。水素吸蔵金属としては、チタン(Ti)等の希土類金属などの水素との親和力の強い金属が挙げられる。また、水素吸蔵金属としては、水素吸蔵合金(hydrogen absorbing alloys又はhydrogen storage alloys)が挙げられる(JIS H 7003参照)。水素吸蔵合金とは、水素との親和力の強い金属と、水素との親和力の弱い金属との合金である。水素吸蔵合金としては、鉄(Fe)−チタン(Ti)系、チタン(Ti)−ニッケル(Ni)系、ランタン(La)−ニッケル(Ni)系等が挙げられる。更に、水素吸蔵金属としては、チタンが水素と反応することで得られる水素化チタン等の金属水素化物(MH:Metal Hydride)が挙げられる。
消弧部材14の有する水素吸蔵金属は、水素を放出することで、固定接点10から可動接点11が離れる際に生じ得るアークを消弧する。水素は、アーク消弧性ガスの中でも熱伝導性が高いことから、アークを素早く冷却して消弧するのに適している。また、水素吸蔵金属から水素を放出することで、アークを吹き飛ばして消弧する効果も得られる。更には、容器13内が水素を主体とした消弧ガスを封入した気密空間であれば、水素吸蔵金属から水素を放出することで、容器13の内圧を高めて水素の密度を大きくし、アークをより速やかに消弧することが可能となる。
消弧部材14は、水素吸蔵金属のみで構成してもよいし、水素吸蔵金属及び水素吸蔵金属と異なる材料を混合して構成してもよい。なお、消弧部材14の形状は、図1に示すような板状に限定されず、他の形状であってもよい。消弧部材14は、水素吸蔵金属などの粉末にワックスや熱可塑性樹脂などのバインダーを添加した原料を、金属粉末射出成形法(MIM:Metal Injection Molding)により成形することで得られる。勿論、他の方法により消弧部材14を得てもよい。
上述のように、本実施形態の接点装置1は、固定接点10及び可動接点11の存在する空間と同一の空間内に、水素を放出する水素吸蔵金属を有する消弧部材14を設けている。したがって、本実施形態の接点装置1は、水素吸蔵金属から放出される水素によりアークを素早く冷却し、アークを速やかに消弧することができる。また、本実施形態の接点装置1は、水素等のアーク消弧性ガスを封入した気密空間を設けなくてもアークを速やかに消弧することができる。
なお、水素吸蔵合金を消弧部材14に用いる場合は、容器13内に消弧部材14を設ける前に、水素吸蔵金属から水素を放出できるようにすべく、水素吸蔵金属に予め水素を吸蔵させるのが望ましい。但し、容器13内に水素を封入する構成であれば、水素吸蔵金属に予め水素を吸蔵させる工程を経なくともよい。この構成では、水素吸蔵金属が容器13内の水素を吸蔵するためである。勿論、容器13内に水素を封入する構成であっても、水素吸蔵金属に予め水素を吸蔵させる工程を経てもよい。また、本実施形態の接点装置1では、図1に示すように、容器13の側板132に消弧部材14を設けているが、消弧部材14の設置場所はこの位置に限定されない。
ここで、消弧部材14は、加熱により水素吸蔵金属から水素を放出するように構成されているのが望ましい。この構成を実現するためには、消弧部材14は、例えばクロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等の水素の放出を促す金属を有するのが望ましい。これらの金属を消弧部材14が有することで、水素吸蔵金属が水素の放出を開始する温度を下げることができる。この構成では、励磁コイル22の通電時の熱や、アーク熱により水素吸蔵金属から水素が放出されるので、アークを速やかに消弧することができる。また、この構成では、水素吸蔵金属の水素を放出する反応が速くなることから、水素吸蔵金属の水素を吸蔵する反応も速くなる。したがって、この構成では、水素吸蔵金属に水素を吸蔵させることが容易であるため、水素吸蔵金属に水素を予め吸蔵させた消弧部材14を容易に量産することが可能になる。更に、この構成では、水素吸蔵金属の水素の吸蔵・放出の反応が速いことから、繰り返して使用するのにも適している。
なお、消弧部材14は、通電時の熱やアーク熱での加熱により、ミリ秒オーダー以下の時間で水素吸蔵金属から水素の放出を開始するように設計するのがより望ましい。このように設計すれば、加熱により水素吸蔵金属から速やかに水素が放出されるので、アークを更に速やかに消弧することができる。
また、消弧部材14は、接点装置1が開いた(固定接点10から可動接点11が離れた)状態における固定接点10及び可動接点11の周囲の温度が一定の温度を上回ると、水素吸蔵金属から水素を放出するように構成されているのが望ましい。この構成を実現するためには、消弧部材14は、例えばランタン(La)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、カルシウム(Ca)等の水素と親和性の高い元素を有するのが望ましい。また、消弧部材14は、上記の元素に加えて、例えばクロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等の水素の放出を促す金属を有するのが望ましい。この構成では、通常時(接点装置1の開閉を行っていない時)には固定接点10及び可動接点11の周囲の温度が一定の温度を上回らないため、水素吸蔵金属が無駄に水素を吸蔵・放出を繰り返すのを抑制することができる。したがって、この構成では、消弧部材14の劣化を抑制することができ、消弧部材14を長期間使用することが可能となる。なお、本実施形態の接点装置1を用いた電磁継電器3を自動車で使用する場合、車内の温度が100℃程度まで上がることが予想される。したがって、自動車で使用する場合を考慮すれば、消弧部材14は、固定接点10及び可動接点11の周囲の温度が100℃程度を上回ると水素吸蔵金属から水素を放出するように構成されているのが望ましい。
ここで、消弧部材14が有する水素吸蔵金属の平衡水素圧と水素吸蔵量との関係について説明する。図2には、水素吸蔵金属の圧力−組成等温線(所謂、PCT線。JIS H 7201参照)の一例を示す。圧力−組成等温線は、ある温度における平衡水素圧と水素吸蔵量との相関を示す。平衡水素圧は、ヒステリシスを問題としない場合の設定温度での平衡状態における水素圧力である。水素吸蔵量は、合金(水素吸蔵金属)がすべて水素化された状態において,単位合金量(単位水素吸蔵金属量)当たりに含まれる水素量の割合である。図2において、縦軸は平衡水素圧(単位はMPa)を、横軸は水素吸蔵量(単位は質量パーセント濃度(wt%))を表している。例えば、水素吸蔵金属の水素吸蔵量が最大で3wt%であれば、1kgの水素吸蔵金属は最大で30gの水素を吸蔵することが可能である。そして、水素吸蔵金属の温度が上がれば図2に示す等温線は上向きにシフトし、温度が下がれば、図2に示す等温線は下向きにシフトする。
図2に示す圧力−組成等温線における水素吸蔵量の所定の第1範囲A1(平衡水素圧がB1〜B2〔MPa〕の範囲)では、水素吸蔵量の変化に対する平衡水素圧の変化が小さい。一方、図2に示す圧力−組成等温線における水素吸蔵量が第1範囲A1の下限以下である第2範囲A2(平衡水素圧がB1〔MPa〕以下の範囲)では、水素吸蔵量の変化に対する平衡水素圧の変化が第1範囲A1よりも大きい。また、図2に示す圧力−組成等温線における水素吸蔵量が第1範囲A1の上限以上である第3範囲A3(平衡水素圧がB2〔MPa〕以上の範囲)でも、水素吸蔵量の変化に対する平衡水素圧の変化が第1範囲A1よりも大きい。すなわち、第1範囲A1では、平衡水素圧の変化が小さくても水素吸蔵金属が水素を吸蔵・放出することができる。
このため、水素吸蔵金属は、圧力−組成等温線において第1範囲A1(所謂、プラトー領域)を有するのが望ましい。換言すれば、消弧部材14は、水素吸蔵金属の圧力−組成等温線における第1範囲A1での傾きが、第2範囲A2での傾き及び第3範囲A3での傾きよりも小さくなるように構成されているのが望ましい。この構成では、水素吸蔵金属が特定の温度で水素を放出するため、接点装置1の設計の上で消弧部材14を取り扱い易いという利点がある。例えば、特定の温度に達すれば水素吸蔵金属から速やかに水素が放出されるため、アーク熱により水素吸蔵金属から水素を放出させる設計が容易に可能となる。
なお、水素吸蔵金属は、任意の温度において、平衡水素圧の1/50〜50倍の変化に対して水素吸蔵量が最大の水素吸蔵量の50%以上変化する特性を有するのが望ましい。更には、水素吸蔵金属は、平衡水素圧の1/5〜5倍の変化に対して水素吸蔵量が最大の水素吸蔵量の50%以上変化する特性を有するのがより望ましい。
ここで、既に述べたように、消弧部材14は例えば金属粉末射出成形法により成形することで得られる。そして、このような成形法により消弧部材14を得る場合、消弧部材14が有する水素吸蔵金属や、水素吸蔵金属とは異なる材料は、複数の粒子で構成されている。複数の粒子の大きさ(粒子径)が大きければ、表面積が小さくなるために、水素吸蔵金属が水素を吸蔵・放出する反応が遅くなる。一方、複数の粒子の大きさが小さければ、表面積は大きくなるが取り扱いが困難となる。そこで、消弧部材14を構成する複数の粒子の大きさは、平均して1μm〜1mmであるのが望ましい。この構成では、取り扱いの容易さと、水素を吸蔵・放出する速度との両方を兼ね備えた特性を消弧部材14に持たせることができる。なお、消弧部材14を構成する複数の粒子の大きさは、平均して10〜100μmであるのがより望ましい。この構成では、複数の粒子の大きさのばらつきも小さくなる。
また、消弧部材14は、金属と金属イオンとの少なくとも一方の発生量が所定値よりも少なくなるように構成されているのが望ましい。具体的には、消弧部材14は、リチウム(Li)等のアルカリ金属を有さないように構成されているのが望ましい。この構成では、アークの遮断を阻害する金属や金属イオンの発生量が少ないので、アークを速やかに消弧することができる。更に、この構成では、固定接点10と可動接点11との間での絶縁破壊が持続する現象(弧落)の発生を抑制することができる。
また、消弧部材14は、イオン化傾向がマグネシウム(Mg)のイオン化傾向以下の元素を主体に構成されているのが望ましい。この構成では、消弧部材14が酸化され難くなるため、水素吸蔵金属から水素を放出し易く、アークを速やかに消弧することができる。また、この構成では、水素吸蔵金属が水素を吸蔵する反応が速くなる。このため、水素吸蔵金属に水素を吸蔵させるのに必要な時間が短くなり、水素を吸蔵した消弧部材14を量産し易くなる。更に、この構成では、水素吸蔵金属が水素の吸蔵・放出を繰り返しても酸化され難いことから、長期間の使用に耐え得る。
ここで、消弧部材14の表面には酸化膜が生じる場合がある。そこで、消弧部材14は、その表面の酸化膜の少なくとも一部が除去されているのが望ましい。消弧部材14の表面の酸化膜は、例えば酸液やアルカリ液に浸漬する等の化学的方法や、表面を研磨する等の機械的方法により除去することができる。この構成では、上記と同様に消弧部材14が酸化され難くなるので、アークを速やかに消弧する効果、消弧部材14を量産し易くなる効果、消弧部材14が長期間の使用に耐え得る効果を奏することができる。更に、この構成では、マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい元素を消弧部材14に用いた場合でも、消弧部材14を酸化され難くすることができる。
また、消弧部材14は、水素又は窒素又は不活性ガス又はアーク消弧性ガスの少なくとも何れか1つの気体の雰囲気下に設けられているのが望ましい。例えば、消弧部材14が設けられている容器13内を気密空間とし、容器13内に、水素又は窒素又は不活性ガス又はアーク消弧性ガスの少なくとも何れか1つの気体が封入されているのが望ましい。不活性ガスとしては、例えばアルゴン等の希ガスが挙げられる。勿論、希ガス以外の不活性ガスであってもよい。この構成では、消弧部材14が設けられている雰囲気中の酸素の比率を小さくすることができるので、上記と同様に消弧部材14を酸化され難くすることができる。したがって、この構成では、上記と同様に、アークを速やかに消弧する効果、消弧部材14を量産し易くなる効果、消弧部材14が長期間の使用に耐え得る効果を奏することができる。なお、容器13の体積に対する酸素の比率は小さければ小さいほど良いが、実用的には5%以下が望ましい。
また、消弧部材14は、図3に示すように、その表面を水素吸蔵金属とは異なる材料からなる層140で覆われているのが望ましい。層140を設ける方法としては、例えばめっきやスパッタ法が挙げられる。勿論、その他の方法で層140を設けてもよい。この構成では、消弧部材14が層140で保護されるので、上記と同様に消弧部材14を酸化され難くすることができる。したがって、この構成では、上記と同様に、アークを速やかに消弧する効果、消弧部材14を量産し易くなる効果、消弧部材14が長期間の使用に耐え得る効果を奏することができる。また、この構成では、消弧部材14を複数の粒子で構成している場合、複数の粒子同士の結合が強くなるので、消弧部材14を成形し易くなる。なお、図3では、消弧部材14の表面全体を層140で覆っているが、消弧部材14の表面の少なくとも一部を層140で覆う構成であればよい。また、層140の厚みは限定されないが、0.1〜100μm程度が望ましい。
ここで、層140は、水素吸蔵金属よりも熱伝導率の高い伝熱部材を有するのが望ましい。換言すれば、本実施形態の接点装置1は、消弧部材14の表面の少なくとも一部を覆い且つ水素吸蔵金属よりも熱伝導率の高い伝熱部材を備えるのが望ましい。この構成では、熱伝導率の低い水素吸蔵金属のみを用いる場合と比べて、消弧部材14の熱伝導率を高めることができる。また、層140は、水素を放出する反応の触媒となる触媒部材を有するのが望ましい。換言すれば、本実施形態の接点装置1は、消弧部材14の表面の少なくとも一部を覆い且つ水素吸蔵金属が水素を放出する反応の触媒となる触媒部材を備えるのが望ましい。この構成では、触媒により水素吸蔵金属が水素を放出する反応が活性化されるので、水素吸蔵金属から水素が速やかに放出され、アークをより速やかに消弧することができる。
伝熱部材及び触媒部材としては、例えば銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)等の金属が挙げられる。その他の伝熱部材及び触媒部材としては、エポキシ樹脂等の樹脂やアルミナ等のセラミックが挙げられる。これらの材料のうち1種類の材料のみで層140を形成してもよいし、複数種類の材料を混合して層140を形成してもよい。
また、消弧部材14は、水素吸蔵金属よりも熱伝導率の高い伝熱材料を有するのが望ましい。この構成では、上記と同様に、消弧部材14の熱伝導率を高めることができる。また、消弧部材14は、水素吸蔵金属が水素を放出する反応の触媒となる触媒材料を有するのが望ましい。この構成では、上記と同様に、消弧部材14から水素が速やかに放出され、アークをより速やかに消弧することができる。更に、消弧部材14は、水素吸蔵金属よりも電気抵抗率の高い抵抗材料を有するのが望ましい。この構成では、消弧部材14の電気抵抗が高くなるため、アークが転流し難くなる。
伝熱材料及び触媒材料としては、例えば銅(Cu)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)等の金属が挙げられる。その他の伝熱材料及び触媒材料としては、エポキシ樹脂等の樹脂やアルミナ、シリコンカーバイド(SiC)等のセラミックが挙げられる。また、抵抗材料としては、例えばエポキシ樹脂等の樹脂やアルミナ、シリコンカーバイド(SiC)等の酸化物が挙げられる。これらの材料のうち1種類の材料のみを消弧部材14に混合してもよいし、複数種類の材料を消弧部材14に混合してもよい。勿論、これらの材料を有する消弧部材14の表面に、更に層140を形成してもよい。
また、消弧部材14には、水素吸蔵金属の融点以下の温度で加熱する処理(所謂、焼結処理)がなされていてもよい。このように消弧部材14を加熱処理することで、消弧部材14の形状を長期に亘って維持し易くすることができる。なお、消弧部材14は、加熱処理を行う前に成形されているのが望ましい。また、加熱処理は、不活性ガスの雰囲気下で行われるのが望ましい。更に、図4(a),(b)に示すように、加熱処理により消弧部材14を構成する粒子141間に架橋142が形成されるのが望ましい。
なお、本実施形態の接点装置1は、所謂プランジャ型の電磁石装置2と共に用いているが、以下に示す所謂ヒンジ型の電磁石装置4と共に用いてもよい。以下、本実施形態の接点装置1をヒンジ型の電磁石装置4と共に用いた電磁継電器5について図5(a),(b)を用いて簡単に説明する。
電磁石装置4は、図5(b)に示すように、容器13内に配置される。電磁石装置4は、励磁コイル40と、固定子41と、可動子42と、支持部43と、アーマチュア44とを備える。固定子41は、円柱状に形成された固定鉄心である。固定子41の上端部は、上端部以外の部位よりも径方向の寸法が大きくなっている。励磁コイル40は、固定子41に巻き付けられる。可動子42は、磁性材料から矩形板状に形成され、固定子41の上端部と対向するように可動接触子12に設けられる。支持部43は、アーマチュア44の長手方向の一端部を支持する。
アーマチュア44は、細長い板状に形成され、支持部43の上端部と可動接触子12の長手方向の中央部とを連結する。アーマチュア44は、支持部43の上端部を支点として、可動接触子12の可動接点11が固定接点10に接触する閉位置と、可動接点11が固定接点10から離れる開位置との間で回転可能に構成されている。また、図示しないが、電磁石装置4には、可動接触子12を閉位置から開位置へと向かう向きに付勢する復帰ばねが設けられている。
次に、電磁継電器5の動作について簡単に説明する。励磁コイル40の通電時には、励磁コイル40で生じる磁束により可動子42が固定子41の上端部へ吸引され、可動接触子12が閉位置へと移動する。すると、1対の接点台100,101間が可動接触子12を介して短絡し、1対の接点台100,101間が導通することで接点装置1が閉じた状態となる。また、励磁コイル40の非通電時には、復帰ばねのばね力により可動接触子12が開位置へと移動する。すると、1対の接点台100,101間が非導通となることで接点装置1が開いた状態となる。
この電磁継電器5でも、図5(a),(b)に示すように、容器13の内壁における固定接点10及び可動接点11の近傍に消弧部材14を設けるのが望ましい。このように消弧部材14を設けることで、固定接点10及び可動接点11の間に生じるアークを速やかに消弧することができる。
1 接点装置
10 固定接点
11 可動接点
14 消弧部材
10 固定接点
11 可動接点
14 消弧部材
Claims (3)
- 固定接点と、
前記固定接点と接触する閉位置から前記固定接点から離れる開位置へと移動する可動接点と、
前記固定接点及び前記可動接点と同一の空間に配置され、水素を吸蔵した水素吸蔵金属を有する消弧部材と、
前記固定接点と前記可動接点とを囲む内面を有する容器と、を備え、
前記内面は、前記水素吸蔵金属とは異なる材料で形成されており、
前記消弧部材は、前記内面に配置されている接点装置。 - 前記可動接点は、前記開位置から前記閉位置へと移動する請求項1記載の接点装置。
- 前記消弧部材は、前記開位置にある前記可動接点と同一の空間に配置されている請求項1記載の接点装置。
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